JP2012223163A - 円偏光照明装置及び植物の成長制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発光光源と、該発光光源からの入射光の一方の偏光成分を透過し、他方の偏光成分を反射する反射型偏光板と、前記反射型偏光板から反射した光の偏光状態を変化させて前記反射型偏光板に再度照射させる再照射手段と、前記反射型偏光板を透過した光を円偏光に変換させる円偏光変換手段とを有する円偏光照明装置である。
【選択図】なし
Description
関連する先行技術として、例えば、偏光分離素子により右偏光と左偏光を生成し、片方の光を遮蔽板で囲って照射する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、吸収型偏光子で特定方向の直線偏光を照射したところ、照射中に植物の成育の差はみられなかった(特許文献2参照)。
また、励起光を放出するLEDと、反射偏光子とを組合せた光源について提案されている(特許文献3参照)。前記反射偏光子としては、コレステリック材料、多層高分子材料、多層複屈折高分子材料を含むものが挙げられる。
<1> 発光光源と、
該発光光源からの入射光の一方の偏光成分を透過し、他方の偏光成分を反射する反射型偏光板と、
前記反射型偏光板から反射した光の偏光状態を変化させて前記反射型偏光板に再度照射させる再照射手段と、
前記反射型偏光板を透過した光を円偏光に変換させる円偏光変換手段と、
を有することを特徴とする円偏光照明装置である。
<2> 反射型偏光板と、円偏光変換手段とを兼ねた部材を有する前記<1>に記載の円偏光照明装置である。
<3> 偏光状態の変化を複屈折部材で行う前記<1>から<2>のいずれかに記載の円偏光照明装置である。
<4> 偏光状態の変化を散乱部材で行う前記<1>から<3>のいずれかに記載の円偏光照明装置である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の円偏光照明装置を照射光源として用いることを特徴とする植物の成長制御方法である。
本発明の円偏光照明装置は、発光光源と、反射型偏光板と、再照射手段と、円偏光変換手段とを有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
前記発光光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光ランプ、LED、水銀灯等の放電ランプ、タングステンランプ、レーザーライト、有機発光ダイオード(OLED)ランプ、メタルハライドランプ(メタハラ)、キセノンランプ、などが挙げられる。これらの中でも、効率性の観点からLEDが特に好ましい。
発光によって得られた波長の光をそのまま用いてもよく、蛍光体によって変換された光を用いてもよい。
なお、円偏光照明装置を植物の成長制御に用いる場合には、植物の成長に効率の高い波長を発光するLEDを用いるのが好ましい。具体的には、460nm付近と660nm付近のいずれか又は両方の波長のエネルギーが高い光源を用いることが好ましい。
前記反射型偏光板は、前記発光光源からの入射光の一方の偏光成分を透過し、他方の偏光成分を反射する手段である。
前記全反射型偏光子は、光学軸を持つ結晶(屈折率の軸特性)を組み合わせて作製することで入射偏光方向によって全反射を起こすことにより偏光方向を決定する偏光子であり、非常に高い偏光特性を示す。
前記全反射型偏光子としては、例えば、グラントムソンプリズム、グランテーラープリズム、などが挙げられる。
前記グラントムソンプリズムは、方解石製の偏光プリズムで、非偏光のビームを入射すると直線偏光が得られる偏光子である。
前記グランテーラープリズムは、方解石製の偏光プリズムで、非偏光のビームを入射すると直線偏光が得られる偏光子であり、短波長において良好な透過率を示す。
前記複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子としては、例えば、特表平9−506837号公報などに記載されたものを用いることができる。
具体的には、屈折率関係を得るために選ばれた条件下で加工すると、広く様々な材料を用いて、偏光子を形成できる。一般に、第一の材料の一つが、選ばれた方向において、第二の材料とは異なる屈折率を有することが必要である。この屈折率の違いは、フィルムの形成中、又はフィルムの形成後の延伸、押出成形、或いはコーティングを含む様々な方法で達成できる。更に、2つの材料が同時押出することができるように、類似のレオロジー特性(例えば、溶融粘度)を有することが好ましい。
好ましい組み合わせとしては、第一の材料として結晶性又は半結晶性有機ポリマー、第二の材料として有機ポリマーが挙げられる。前記第二の材料は、結晶性、半結晶性、もしくは非晶質であってよく、又は第一の材料とは逆の複屈折を有していてもよい。
好ましい材料の具体例としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はその異性体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、又は2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又はポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリイミド(例えば、ポリアクリルイミド)、ポリエーテルイミド、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、又はポリメチルメタクリレート)、ポリアクリレート(例えば、ポリブチルアクリレート、又はポリメチルアクリレート)、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、アセチルセルロース、セルロースプロピオネート、アセチルセルロースブチレート、又は硝酸セルロース)、ポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、又はポリ(4-メチル)ペンテン)、フッ素化ポリマー(例えば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、又はポリクロロトリフルオロエチレン)、塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン、又はポリ塩化ビニル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルアミド、アイオノマー樹脂、エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、又はネオプレン)、ポリウレタンなどが挙げられる。
コポリマーとしては、例えば、PENのコポリマー[例えば、(a)テレフタル酸又はそのエステル、(b)イソフタル酸又はそのエステル、(c)フタル酸又はそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、及び/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、及び/又は2,3−ナフタレンジカルボン酸又はそれらのエステルとのコポリマー]、ポリアルキレンテレフタレートのコポリマー[例えば、(a)ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル、(b)イソフタル酸又はそのエステル、(c)フタル酸又はそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、及び/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と、テレフタル酸又はそのエステルとのコポリマー]、並びにスチレンコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、又はスチレン−アクリロニトリルコポリマー)、4,4−ビ安息香酸、エチレングリコール、或いは各層はそれぞれ、2種又はそれ以上の上記のポリマー又はコポリマーのブレンド(例えば、SPSとアタクチックポリスチレンとのブレンド)を包含してよい。
偏光子の場合、特に好ましい層の組み合わせとしては、PEN/co−PEN、ポリエチレンテレフタレート(PET)/コ−PEN、PEN/SPS、PET/SPS、PEN/イーストエアー(Eastair)、PET/イーストエアーが挙げられる。
ここで、前記「co−PEN」とは、ナフタレンジカルボン酸をベースとするコポリマー又はブレンドを意味する。「イーストエアー」は、イーストマン・ケミカル・カンパニーから市販されているポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートである。
積層数は、経済上の理由から、最小の積層数を用いて所望の光学特性を達成できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、偏光子の場合には、10,000以下が好ましく、5,000以下がより好ましく、2,000以下が更に好ましい。
前記複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、3M社製の商品名:DBEFなどが挙げられる。
前記ワイヤーグリッド型偏光子は、金属細線の複屈折によって、偏光の一方を透過し、他方を反射させる偏光子である。
前記ワイヤーグリッド偏光子は、金属ワイヤーを周期的に配列したもので、テラヘルツ波帯域で主に偏光子として用いられる。ワイヤーグリッドが偏光子として機能するためには,ワイヤー間隔が入射電磁波の波長よりも十分小さいことが必要となる。
前記ワイヤーグリッド偏光子では、金属ワイヤーが等間隔に配列されている。金属ワイヤーの長手方向と平行な偏光方向の偏光成分はワイヤーグリッド偏光子において反射され、垂直な偏光方向の偏光成分はワイヤーグリッド偏光子を透過する。
前記ワイヤーグリッド型偏光子としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、エドモンドオプティクス社製のワイヤーグリッド偏光フィルタ50×50、NT46−636などが挙げられる。
前記薄型偏光子は、誘電体薄膜の反射率の入射角度依存性(ブリュースター角)によるものであり、対パワー性が高く大きい面積のものが製造でき、ハイパワーレーザ装置などに用いられる。
前記薄型偏光子は、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜を複数層積層してなるものが挙げられる。前記積層数は、2層〜20層が好ましく、2層〜12層がより好ましい。
前記高屈折率の誘電体薄膜の材料としては、例えば、Sb2O3、Sb2S3、Bi2O3、CeO2、CeF3、HfO2、La2O3、Nd2O3、Pr6O11、Sc2O3、SiO、Ta2O5、TiO2、TlCl、Y2O3、ZnSe、ZnS、ZrO2、などが挙げられる。これらの中でも、Bi2O3、CeO2、CeF3、HfO2、SiO、Ta2O5、TiO2、Y2O3、ZnSe、ZnS、ZrO2が好ましく、SiO、Ta2O5、TiO2、Y2O3、ZnSe、ZnS、ZrO2が特に好ましい。
なお、前記誘電体薄膜の材料においては、原子比についても特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、成膜時に雰囲気ガス濃度を変えることにより、原子比を調整することができる。
前記スパッタリング法としては、成膜レートの高いDCスパッタリング法が好ましい。なお、DCスパッタリング法においては、導電性が高い材料を用いることが好ましい。
前記複屈折型偏光子は、複屈折結晶の光学軸に角度を持って入射することにより出射方向の異なるデバイスであり、光通信に用いられている。前記複屈折型偏光子としては、例えば、ウォラストンプリズムなどが挙げられる。
前記ウォラストンプリズムは、方解石のような複屈折性のある結晶を2つ、結晶軸をずらして貼り合せたものである。このプリズムが、光の偏光性に基づく屈折率の差異によって光を分割することができる。
前記再照射手段は、前記反射型偏光板から反射した光の偏光状態を変化させて前記反射型偏光板に再度照射させる手段である。
前記偏光状態の変化は、複屈折部材又は散乱部材により行うことが好ましい。
前記複屈折素部材としては、直交する偏光成分の位相差に変化を与える部材であり、高分子フィルムを延伸したもの、液晶高分子を所定の配向で重合させたもの、無機の誘電体材料をガラス基板等に斜方蒸着したものなどが挙げられる。
前記散乱部材としては、例えば、メレスグリオ社製の拡散板(型番HD)などが挙げられる。
前記再照射手段としては、例えば、(1)拡散性反射板、(2)鏡面反射板、(3)複屈折部材と反射板との組み合わせ、(4)反射型偏光板と円偏光変換手段を兼ねた部材、などが挙げられる。
前記拡散性反射板としては、表面に微細な凹凸を形成し、この凹凸により照射された光を拡散して反射させるような構成であってもよいし、また、表面に多数の反射ビーズを混入してなる拡散層を設け、この反射ビーズにより照射された光を拡散して反射させるような構成であってもよい。
前記鏡面反射板は、光を鏡面反射させる反射板であり、例えば、ガラス基板、プラスチック基板上に、銀、アルミニウム等の金属を蒸着させることにより形成できる。
前記複屈折部材としては、直交する偏光成分の位相差に変化を与える部材であり、高分子フィルムを延伸したもの、液晶高分子を所定の配向で重合させたもの、無機の誘電体材料をガラス基板等に斜方蒸着したものなどが挙げられる。
前記反射板としては、拡散性でなくてもよく、鏡面反射板であってもよい。
前記反射型偏光板と円偏光変換手段を兼ねた部材を用いることにより、高い効率を得ることができ、例えば、それぞれの部材の表面反射による効率低下を防止できたり、一体化させるときの組立て誤差による効率の低下を防ぐことができる。
前記反射型偏光板と、円偏光変換手段とを兼ねた部材としては、例えばコレステリック液晶構造を有する円偏光反射板、直線偏光反射板とλ/4波長板からなる円偏光反射板などが挙げられる。
前記円偏光変換手段は、前記反射型偏光板を透過した光を円偏光に変換させる手段である。
ここで、光の右円偏光成分の強度をIR、左円偏光成分の強度をILとしたとき、|IR−IL|/(IR+IL)を円偏光度と定義する。
また、円偏光のセンスは、光が手前に向かって進んでくるように眺めた場合に電場ベクトルの先端が時間の増加に従って時計回りに回る場合が右偏光であり、反時計回りに回る場合が左偏光である。
前記発光光源から出射された光の各波長ごとの偏光状態は、円偏光板を装着した分光放射輝度計又はスペクトルメータを用いて測定することができる。この場合、右円偏光板を通して測定した光の強度がIR、左円偏光板を通して測定した光の強度がILに相当する。また、白熱電球、水銀灯、蛍光灯、LED等の通常光源は、ほぼ自然光を発しているが、これらに装着して偏光状態制御部材の偏光を作り出す特性は、例えば、AXOMETRICS社製の偏光位相差解析装置AxoScanなどを用いて測定することができる。
前記円偏光変換手段としては、次式、(λ/4)×(2n+1)〔ただし、nは、整数を表す。〕で表される波長板などが挙げられる。これらの中でも、λ/4波長板、−λ/4波長板、3λ/4波長板、−3λ/4波長板が、精度の面で好ましく、λ/4波長板、−λ/4波長板が特に好ましい。
前記λ/4波長板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、延伸されたポリカーボネートフィルム、延伸されたノルボルネン系ポリマーフィルム、炭酸ストロンチウムのような複屈折を有する無機粒子を含有して配向させた透明フィルム、支持体上に無機誘電体を斜め蒸着した薄膜などが挙げられる。
このようなλ/4波長板としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば商品名:ピュアエース WR(帝人株式会社製)などが挙げられる。
本発明の円偏光照明装置は、前記その他の部材として、更に必要に応じて、熱線遮蔽層、反射層、熱線透過層、熱伝導性材料、偏光解消抑制壁などを有することができる。
本発明の円偏光照明装置は、効率の高い右円偏光光源から高い光量の右円偏光を照射することで、植物の成長を促進することができると共に、効率の高い左円偏光光源から高い光量の左円偏光を照射することで、植物の成長を抑制することができるので、以下に説明するように、例えば、街灯、植物工場、漁業、健康、医療などの各種分野で幅広く用いることができるが、これらの中でも、後述する植物の成長制御方法に好適に用いられる。
植物の花芽形成促進、抑制、成長制御等に関わるフィトクロム、クリプトクロム、フォトトロピン、ZTLなどの光受容体に含まれる発色団のフィトクロモビン、フラビンは光学活性化合物であるため、光吸収波長領域近傍において円偏光に対する吸収二色性を有する。つまり、光受容体が吸収する光は左右いずれかの円偏光であり、もう一方のセンスの円偏光はそれと比較して吸収されにくいために、これを照射しても光受容体の機能を誘起することが難しい。そのため左右それぞれの円偏光のみの照射する場合、成長が異なる現象が生じるものと推定している。ただ、これらの吸収二色性は実験室レベルでの溶液系で確認できる現象であって、実際には発色団に偏光がいたるまでに細胞内の物質による散乱のため偏光状態がくずされ、前述のような現象は見られないと考えることが一般的である。しかし、驚いたことに、本発明においては、これらが存在する葉又は茎の中においても、照射光の偏光状態に応じて植物の成長が制御可能であることが分かった。
また、キャベツ、ホウレンソウ等の典型的な害虫である夜活動型害虫のヨトウムシを防除する目的で、夜間に作物の近辺を照明する方法がとられているが、その照明光に反応したフィトクロムによって花芽が形成されて商品価値が著しく損なわれる問題が生じている。この対策のために、赤色光成分を除去した照明が用いられることもあるが、不自然な色合いであるために生産地域に異様な雰囲気を与えている。
この目的の照明としても本発明の照射装置のフィトクロムの吸収波長領域でのみフィトクロムが吸収しない左円偏光を照射する光源を用いることで、一般人に対して見た目に違和感のない白色光の照明光でも害虫防除と中台抑制を両立することが可能となる。
更に、稲作農村地帯での農道街灯による夜間照明で、稲の開花時期が遅れ収穫量、品質が低下する問題がおきている。そのため街灯に覆いをつけて田畑に光が当たらないようにしたり、前述のように赤色光成分を除去した照明が検討されているが、前者の方法では、道路周辺が認識できないため安全性に問題があり、後者では前述のように、不自然な色合いであるために異様な雰囲気を与えてしまう。このような問題は稲作だけではなくさまざまな作物にも起きうることであり、この問題の解決としても本発明の照射装置であるフィトクロムの吸収波長領域でのみフィトクロムが吸収しない左円偏光を照射する光源を用いることで、作物の生長に悪影響を及ぼすことが無く、明るく見た目に違和感のない白色光の照明光で、かつ遮光する必要の無い街灯を提供できる。
更に、最近注目されている紫外線光を当てて病気に対する耐性を上げる植物病害防除方法でも効果のあるセンスのみの円偏光照射で、総照射量をさげ紫外線によるダメージを低減することもできるだろうし、逆にDNA光修復性、その他の青色光バイオスイッチを低照度で効果的に活性化できる可能性もある。
ある種の昆虫、甲殻類、イカなどが円偏光を識別していることが報告されている。
また、円偏光を海中に照射することで、漁獲対象の魚そのもの、その魚のえさとなる小魚、小エビ、プランクトンなどを効果的に集めたり、選択的に集めことによって、そのエサに集まる目的の魚だけを獲ることができる可能性もある。その際の照明装置として本発明の照明装置を好ましく用いることができる。
本発明の植物の成長制御方法は、本発明の前記円偏光照明装置を照射光源として用いる。
この場合、植物の発芽から収穫までのうち、少なくとも5割の期間は本発明の照明装置で照射することが好ましい。
前記植物の成長促進には、草丈、茎長、節間等の伸長による植物体の増大、側枝の長さの増大等を意味する。
植物の成長促進作用により、農作物の重量及び丈を早く大きくできるため、生産性が上がる。また、大きな農作物を作りやすくなる。また育種において、早く成熟するため、世代交代の回数をかせげるという利点がある。
植物の成長抑制作用により、背丈が低いことは、台風などの風害に強い、穀粒が増えても倒れにくいといった利点がある。例えば、イネの場合、苗を植える列数を増やせるために、単位面積当たりの植苗密度をより大きくすることができる。高さが数メートルになる果樹(バナナ、マンゴなど)、ヤシの木(ナツメヤシ、ココナツなど)に適用すると果実の収穫作業が容易になる。また通常より小さいということは、切花、観葉植物、盆栽植物における商品価値があがる、購買者の興味を引く、などの利点がある。
具体的には、日長による花芽形成、回帰反応、葉緑体運動、間隙開放、フラボノイド生合性、植物病害防除(UVを当てて病気に対する耐性を上げる方法)でも片方の効く円偏光照射でUVダメージを低減させることができる。
また、光屈曲、遺伝子転写のオン、オフ、遺伝子発現の制御、二次代謝物の制御(栄養成分、芳香成分、うまみ、抗酸化物質、薬効成分)、ストレスを与える、DNA光修復性、青色光バイオスイッチなどが挙げられる
前記植物の成長制御方法に用いられる対象植物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウリ科、ナス科、マメ科、バラ科、アブラナ科、キク科、セリ科、アカザ科、イネ科、アオイ科、ウコギ科、シソ科、ショウガ科、スイレン科、サトイモ科の野菜、キク科、バラ科、サトイモ科、ナデシコ科、アブラナ科、イソマツ科、リンドウ科、ボマノハグサ科、マメ科、ボタン科、アヤメ科、ナス科、ヒガンバナ科、ラン科、リュウゼツラン科、ミズキ科、アカネ科、ヤナギ科、ツツジ科、モクセイ科、モクレン科、サクラソウ科、シュウカイドウ科、シソ科、フウロソウ科、ベンケイソウ科、キンポウゲ科、イワタバコ科、サボテン科、シダ類、ウコギ科、クワ科、ツユクサ科、パイナップル科、クズウコン科、トウダイクサ科、コショウ科、タカトウダイ科、ユキノシタ科、アカバナ科、アオイ科、フトモモ科、ツバキ科、オシロイバナ科の切り花類、あるいは鉢物類の花卉、バラ科、ブドウ科、クワ科、カキノキ科、ツツジ科、アケビ科、マタタビ科、トケイソウ科、ミカン科、ウルシ科、パイナップル科、フトモモ科の果樹、藻類などが挙げられる。
これらの中でも、葉物野菜、アブラナ科ツケナ類のコマツナ(小松菜)が特に好ましい。
−円偏光照明装置の作製−
発光光源として市販の拡散反射板付き白色LEDランプ(Beautiful Light Technology Corporation製、PAR30)と、全反射偏光子(ワイヤーグリッド偏光フィルタ、Edmund Optics社製)と、λ/4波長板(Edmund Optics社製)とを、図1に示すように配置して、実施例1の円偏光照明装置を作製した。
1パスp偏光透過率(%)、1パスs偏光反射率(%)、拡散反射率(%)、及び偏光変更度については、分光光度計(型番:USB2000、オーシャンオプティクス社製)を用いて測定した。
総合p偏光透過率(%)については、分光光度計(型番:USB2000、オーシャンオプティクス社製)を用いて測定し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:60%以上
○:50%以上60%未満
△:40%以上50%未満
×:40%未満
−円偏光照明装置の作製及び評価−
実施例1において、鏡面反射板(アルミ箔)と複屈折板(位相差板)をLEDランプの反射面に張った以外は、実施例1と同様にして、図2に示すような、実施例2の円偏光照明装置を作製した。
得られた円偏光照明装置について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1に示す。
−円偏光照明装置の作製及び評価−
実施例2において、鏡面反射板(アルミ箔)を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、実施例3の円偏光照明装置を作製した。
得られた円偏光照明装置について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1に示す。
−円偏光照明装置の作製及び評価−
実施例2において、複屈折板(位相差板)を設けなかった以外は、実施例2と同様にして、実施例4の円偏光照明装置を作製した。
得られた円偏光照明装置について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1に示す。
−円偏光照明装置の作製及び評価−
実施例1において、全反射偏光子(ワイヤーグリッド偏光フィルタ、Edmund Optics社製)を吸収型偏光子(偏光フィルム、Edmund Optics社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の円偏光照明装置を作製した。
得られた円偏光照明装置について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1に示す。
−植物の成長制御−
実施例3の円偏光照明装置を、偏光状態を右偏光(実施例5)、左偏光(実施例6)、直線偏光(比較例2)にそれぞれ変換させた照明装置を作製した。
即ち、「円偏光のセンスは、光が手前に向かって進んでくるように眺めた場合に電場ベクトルの先端が時間の増加に従って時計回りに回る場合が右偏光であり、反時計回りに回る場合が左偏光」であり、偏光状態を右偏光(実施例5)、左偏光(実施例6)、直線偏光(比較例2)にそれぞれ変換させた照明装置を作製した。作製方法は以下に示すとおりである。
図3に示すように、光入射面側が偏光板、出射面側がλ/4波長板となるように、λ/4波長板と偏光板を張り合わせることにより、右円偏光を有する照明装置を作製した。
一方、図4に示すように、光入射面側が偏光板、出射面側がλ/4波長板となるようにλ/4波長板と偏光板を張り合わせることにより、左円偏光を有する照明装置を作製した。
比較例2での植物の重量増加に対して、20%以上の重量減少を示した場合を「矮小化効果あり」、0%以上20%未満の重量減少を示した場合を「矮小化効果なし」と評価した。
比較例2での植物の重量増加に対して、20%以上の重量増加を示した場合を「成長促進効果あり」、0%以上20%未満の重量増加を示した場合を「成長促進効果なし」と評価した。
2 LED
3 拡散反射板
4 全反射偏光子
5 λ/4波長板
6 鏡面反射板
7 複屈折板(位相差板)
Claims (5)
- 発光光源と、
該発光光源からの入射光の一方の偏光成分を透過し、他方の偏光成分を反射する反射型偏光板と、
前記反射型偏光板から反射した光の偏光状態を変化させて前記反射型偏光板に再度照射させる再照射手段と、
前記反射型偏光板を透過した光を円偏光に変換させる円偏光変換手段と、
を有することを特徴とする円偏光照明装置。 - 反射型偏光板と、円偏光変換手段とを兼ねた部材を有する請求項1に記載の円偏光照明装置。
- 偏光状態の変化を複屈折部材で行う請求項1から2のいずれかに記載の円偏光照明装置。
- 偏光状態の変化を散乱部材で行う請求項1から3のいずれかに記載の円偏光照明装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載の円偏光照明装置を照射光源として用いることを特徴とする植物の成長制御方法。
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