JP2012221685A - 電気化学セル用水性ペースト、電気化学セル用水分散体および電気化学セル用極板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の電気化学セル用水性ペーストは、オレフィン系共重合体(aa)を含む電気化学セル用水分散体(A)、活物質(B)および導電助剤(C)を含有し、前記オレフィン系共重合体(aa)は、酸価が1.5mg−KOH/g以上200mg−KOH/g未満である特定の酸変性ポリオレフィン(a)に、ポリオレフィン(a)に含まれる酸に対して、リチウム換算で15〜100モル%のリチウム化合物を添加して得られた、ポリオレフィン(a)に含まれる酸の少なくとも一部が塩である。
【選択図】なし
Description
また、本発明は、二次電池、例えば、リチウム化合物を用いて得られる非水電解液二次電池(リチウムイオン電池)を構成する電気化学セル用水分散体(A)に関する。詳しくは、特定のオレフィン系共重合体(aa)を水に分散させた電気化学セル用水分散体(A)に関する。
また、特許文献3には、酸変性ポリオレフィン樹脂を含む水分散体と、該水分散体を用いて得られる二次電池電極が開示されている。
また、本発明において変性(体)とは、たとえば、オレフィン系共重合体、ポリオキシエチレン、またはポリビニルアルコール等に重合反応、グラフト反応、付加反応あるいは置換反応などを用いて、主構造と異なる構造を付与する事の意味である。
前記オレフィン系共重合体(aa)は、酸価が1.5mg−KOH/g以上200mg−KOH/g未満である酸変性ポリオレフィン(a)に、ポリオレフィン(a)に含まれる酸に対して、リチウム換算で15〜100モル%のリチウム化合物を添加して得られた、ポリオレフィン(a)に含まれる酸の少なくとも一部が塩である共重合体であり、
前記酸変性ポリオレフィン(a)は、ランダムプロピレン系共重合体(a−1)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物、該ランダムプロピレン系共重合体(a−1)を酸変性した酸変性ランダムプロピレン系共重合体(a−2)および(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位の含有率が5重量%以上25重量%以下であるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(a−3)から選ばれる少なくとも1種であり、
該共重合体(a−1)〜(a−3)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量が、それぞれ5万以上(ポリスチレン換算)であり、
該(共)重合体(a−4)は、GPCにより求められる重量平均分子量が5万未満(ポリスチレン換算)であることを特徴とする。
オレフィン系共重合体(aa)を含む電気化学セル用水分散体(A)、活物質(B)および導電助剤(C)を含有し、
前記オレフィン系共重合体(aa)は、酸価が1.5mg−KOH/g以上200mg−KOH/g未満である酸変性ポリオレフィン(a)に、ポリオレフィン(a)に含まれる酸に対して、リチウム換算で15〜100モル%のリチウム化合物を添加して得られた、ポリオレフィン(a)に含まれる酸の少なくとも一部が塩である共重合体であり、
前記酸変性ポリオレフィン(a)は、ランダムプロピレン系共重合体(a−1)を酸変性した酸変性ランダムプロピレン系共重合体(a−2)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物および(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位の含有率が5重量%以上25重量%以下であるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(a−3)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物から選ばれる少なくとも1種であり、
該共重合体(a−2)および(a−3)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量が、それぞれ5万以上(ポリスチレン換算)であり、
該(共)重合体(a−4)は、GPCにより求められる重量平均分子量が5万未満(ポリスチレン換算)であることを特徴とする。
前記ランダムプロピレン系共重合体(a−1)は、ランダムプロピレン−ブテン共重合体、ランダムエチレン−プロピレン−ブテン共重合体およびランダムエチレン−プロピレン共重合体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記水分散体(A)は、界面活性剤(x)および粘度調整剤(y)から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記オレフィン系共重合体(aa)は、酸価が1.5mg−KOH/g以上200mg−KOH/g未満である酸変性ポリオレフィン(a)に、ポリオレフィン(a)に含まれる酸に対して、リチウム換算で15〜100モル%のリチウム化合物を添加して得られた、ポリオレフィン(a)に含まれる酸の少なくとも一部が塩である共重合体であり、
前記酸変性ポリオレフィン(a)は、ランダムプロピレン系共重合体(a−1)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物、該ランダムプロピレン系共重合体(a−1)を酸変性した酸変性ランダムプロピレン系共重合体(a−2)および(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位の含有率が5重量%以上25重量%以下であるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(a−3)から選ばれる少なくとも1種であり、
該共重合体(a−1)〜(a−3)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量が、それぞれ5万以上(ポリスチレン換算)であり、
該(共)重合体(a−4)は、GPCにより求められる重量平均分子量が5万未満(ポリスチレン換算)であることを特徴とする。
オレフィン系共重合体(aa)を含む電気化学セル用水分散体(A)であり、
前記オレフィン系共重合体(aa)は、酸価が1.5mg−KOH/g以上200mg−KOH/g未満である酸変性ポリオレフィン(a)に、ポリオレフィン(a)に含まれる酸に対して、リチウム換算で15〜100モル%のリチウム化合物を添加して得られた、ポリオレフィン(a)に含まれる酸の少なくとも一部が塩である共重合体であり、
前記酸変性ポリオレフィン(a)は、ランダムプロピレン系共重合体(a−1)を酸変性した酸変性ランダムプロピレン系共重合体(a−2)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物および(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位の含有率が5重量%以上25重量%以下であるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(a−3)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物から選ばれる少なくとも1種であり、
該共重合体(a−2)および(a−3)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量が、それぞれ5万以上(ポリスチレン換算)であり、
該(共)重合体(a−4)は、GPCにより求められる重量平均分子量が5万未満(ポリスチレン換算)であることを特徴とする。
本発明の電気化学セル用極板は、本発明の電気化学セル用水分散体(A)を用いて得られることを特徴とする。
また、該電気化学セル用水性ペーストを用いて得られる極板を含む電池は、充放電によるサイクル寿命が高い。
本発明の電気化学セル用ペーストは、特定の電気化学セル用水分散体(A)、活物質(B)および導電助剤(C)を含む。
本発明の電気化学セル用水分散体(A)は、水に分散したエマルションである。
また、水分散体(A)は、本発明に係るオレフィン系共重合体(aa)のほかに、必要に応じて、界面活性剤(x)、粘度調整剤(y)などを含む。
水分散体(A)に、本発明に係るオレフィン系共重合体(aa)を用いることで、良好な密着性と電池サイクル性能を得ることができる。
(ランダムプロピレン系共重合体(a−1))
ランダムプロピレン系共重合体(a−1)は、プロピレンから導かれる構成単位を主体として、他にエチレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチルデセン-1、11-メチルドデセン-1および12-エチルテトラデセン-1などのα―オレフィンを共重合したものである。これら共重合体は1種のみを使用しても良いし、複数の種類を組み合わせて使用しても良い。
酸変性ランダムプロピレン系共重合体(a−2)は、前記ランダムプロピレン系共重合体(a−1)を酸で変性した共重合体である。金属集電体との接着のために、酸で変性した共重合体を用いることが好ましい。
酸の種類としては、ランダムプロピレン系共重合体(a−1)を変性できる化合物であれば特に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸などのカルボン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸などスルホン酸等が挙げられる。また、これらの酸の無水物、ナトリウムやカリウムなどの塩、これらの酸の誘導体も適宜用いることができる。これらの中で、密着性の観点からカルボン酸が好ましい。また、不飽和結合を持つようなマレイン酸、安息香酸とそれらの誘導体などが挙げられ、特に、酸官能基数の点から、マレイン酸で変性された、マレイン化変性ランダムポリプロピレンが好ましい。より好ましくは、極板柔軟性の点から、マレイン化変性ランダムプロピレン-ブテン共重合体、マレイン化変性ランダムエチレン−プロピレン−ブテン共重合体およびマレイン化変性ランダムエチレン-プロピレン共重合体である。
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(a−3)は、(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位の含有率が5重量%以上25重量%以下、好ましくは6〜20重量%、より好ましくは極板密着性の点から10〜20重量%である。構成単位の含有率が、5重量%未満であると、水分散体としたときの安定性が低下すると共に結着剤としての密着性が低下する。また、25重量%を超えると、水分散体ではなく水溶性高分子となり低添加領域での結着性が低下する。
また、該(メタ)アクリル酸は、アルカリで中和されている事が望ましい。アルカリ種には特に制限はなく、アンモニアや有機アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類が挙げられる。特にアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムが水分散体化するのに適している。
酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)は、酸で変性した(共)重合体である。オレフィン系(共)重合体は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭素数2〜6の単独重合体や、炭素数2〜6のオレフィンを共重合したものが挙げられる。中でも、プロピレン単独重合体、または、プロピレンと、炭素数2〜6(プロピレンを除く)のα−オレフィンとのランダム共重合体もしくはブロック共重合体であり、通常、プロピレンから導かれる単位および炭素数2〜6(プロピレンを除く)のα−オレフィンから導かれる単位の合計100モル%中、プロピレンから導かれる単位を50モル%以上、好ましくは60モル%以上の量で含む共重合体である。
(共)重合体(a−4)のGPCにより求められる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、5万未満、好ましくは5,000〜5万未満、より好ましくは5,000〜4万である。本発明において、低分子量の共重合体(a−4)は、オレフィン系共重合体(aa)を分散するときの分散助剤としての役割と、水分散体(A)を電極活物質と混練したときの混和安定性と、極板(合材層)密着性、さらに、増粘剤(粘度調整剤)、特にカルボキシメチルセルロースとの相溶性を向上させる役割がある。
本発明にかかる酸変性ポリオレフィン(a)では、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の共重合体(a−5)を含んでいてもよい。
スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、およびこれらの水素添加物が挙げられる。
これらの中で、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体が、極板柔軟性の点で好ましい。
(リチウム化合物)
本発明では、所定量のリチウム化合物を、酸変性ポリオレフィン(a)に添加することで、酸変性ポリオレフィン(a)に含まれる酸の少なくとも一部をリチウム塩にしたオレフィン系共重合体(aa)を用いる。オレフィン系共重合体(aa)は、リチウムイオンを対カチオンに持つことで、オレフィン系重合体(aa)のリチウムイオン輸送性が向上し、さらには他種対カチオンとリチウムイオンの交換による電池の容量低下を防止できる。
オレフィン系重合体(aa)を水分散体化する際に、酸変性ポリオレフィン(a)に含まれる酸性基のうち、リチウム塩となっている酸性基以外の酸性基の全量または少なくとも一部を、アルカリ等で中和して使用することが好ましい。アルカリの種類としては、上記リチウム化合物の他に、有機アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどがあげられる。
本発明では、必要に応じて、乳化剤として界面活性剤(x)を添加してもよい。界面活性剤は、水分散体(A)に含まれることが好ましい。
これら界面活性剤の中でも、活物質や導電助剤を水に分散させる点で、オレイン酸カリウム、ステアリン酸カリウムが好ましい。また、水の表面張力を低下させる点で、アセチレニックグリコール誘導体のポリオキシエチレンエーテル、シリコン変性ポリオキシエチレンエーテルが好ましい。界面活性剤としては、オレイン酸カリウム、アセチレニックグリコール誘導体のポリオキシエチレンエーテルおよびシリコン変性ポリオキシエチレンエーテルから選ばれる少なくとも1種以上を用いると、得られる水分散体は良好な活物質、導電助剤の分散状態を得ることができるためより好ましい。
このような界面活性剤としては、特に限定されないが、好ましくはオレイン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、アセチレニックグリコール誘導体のポリオキシエチレンエーテル、シリコン変性ポリオキシエチレンエーテル、より好ましくはオレイン酸カリウム、アセチレニックグリコール誘導体のポリオキシエチレンエーテル、シリコン変性ポリオキシエチレンエーテルである。この場合、界面活性剤は特に限定されないが、オレフィン系共重合体(aa)の固形分100重量部に対して、固形分換算で0〜100重量部、好ましくは、サイクル特性の点から3〜80重量部である。この範囲であると、極板密着性に基づく良好な容量保持率を得られるため好ましい。
本発明では、必要に応じて、粘度調整剤(y)を添加してもよい。粘度調整剤は、水分散体(A)に含まれることが好ましい。
粘度調整剤は、1種のみを使用しても良いし、これらの複数の種類を組み合わせて使用しても良い。
本発明に係る水分散体(A)には、発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、耐熱安定剤、スリップ防止剤、発泡剤、結晶化助剤、核剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、衝撃改良剤、充填剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤、加工助剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
活物質(B)としては、特に限定されないが、負極用としては天然黒鉛、人造黒鉛、正極用としてはLiCoO2、LiMn2O4、LiFePO4などが挙げられる。また、導電助剤の炭素材料を適宜用いてもよい。
導電助剤(C)としては、特に限定されないが、カーボンブラック、アモルファスウィスカーカーボン、グラファイト、アセチレンブラック、人造黒鉛などの炭素材料、ポリチオフェン、ポリピロールなどの導電性ポリマーとその誘導体、コバルト等の金属微粒子などが挙げられる。これらは、1種単独でも、2種以上組み合わせて用いても良い。活物質の炭素材料を適宜用いてもよい。
(オレフィン系共重合体(aa)の作成)
オレフィン系共重合体(aa)は、酸変性ポリオレフィン(a)にリチウム化合物を所定量添加する方法であれば、特に限定されない。このような方法としては、たとえば、以下があげられる。
オレフィン系共重合体(aa)の水への分散方法は、公知のもので特に制限されないが、乳化助剤や乳化剤量を最小限にするためには溶融混練した樹脂にアルカリ水を少量添加する方法が好ましい(特公平7−008933号)。
本発明の一つの態様において、本発明にかかる電気化学セル用電極は、本発明のオレフィン系共重合体(aa)を含む電気化学セル用水分散体(A)と、正極では正極活物質、負極では負極活物質と、導電助剤、好ましくはカーボンブラック、アモルファスウィスカーカーボン、グラファイトなどの炭素材料を用いて得られる。
<エマルション組成物の調製>
[実施例1]
オートクレーブに、エチレン−アクリル酸共重合体(重量平均分子量8万(ポリスチレン換算)、アクリル酸から導かれる構成単位の含有率:20%、酸価:156mg−KOH/g)(a−3)250部、水酸化リチウム一水和物18.9部(リチウム換算で65モル%)、脱イオン水750部を仕込み、180℃で2時間攪拌後、冷却することで、体積平均粒子径50nm、固形分25.6%で、リチウム塩を含む乳白色のオレフィン系共重合体(aa)(融点:85℃)を含む水分散体1Aを得た。
オートクレーブに、エチレン−メタアクリル酸共重合体(重量平均分子量8万(ポリスチレン換算)、メタアクリル酸から導かれる構成単位の含有率:20%、酸価:130mg−KOH/g)(a−3)250部、水酸化リチウム一水和物15.9部(リチウム換算で65モル%)、脱イオン水750部を仕込み、180℃で2時間攪拌後、冷却することで、体積平均粒子径50nm、固形分26%で、リチウム塩を含む乳白色のオレフィン系共重合体(aa)(融点:85℃)を含む水分散体2Aを得た。
酸変性ポリオレフィン(a)として、重量平均分子量10万(ポリスチレン換算)、マレイン化変性度1.0、酸価:11.4mg−KOH/gで、エチレン、ブテンを合計で4重量%共重合したマレイン化変性ランダムポリプロピレン(a−2)100重量部と、重量平均分子量2万、マレイン化変性度4、酸価:45.8mg−KOH/gのマレイン化変性ポリプロピレン(a−4)30重量部を混合した。酸変性ポリオレフィン(a)の酸価は、18mg−KOH/gであった。更に、オレイン酸カリウム10部を混合し、二軸押出機にて200℃で溶融混錬後、水酸化リチウム水溶液(リチウム換算で100モル%)を添加しながら混錬した。
[実施例4]
酸変性ポリオレフィン(a)として、変性ランダムポリプロピレン(a−2)の代わりに、重量平均分子量10万、ブテンを合計で30重量%共重合したランダムポリプロピレン(a−1)を用いた以外は、実施例3と同様に調製し、体積平均粒子径200nm、不揮発分45%のリチウム塩を含むオレフィン系共重合体(aa)を含む水分散体4A(融点:80℃)を得た。
実施例1の水酸化リチウムを25%アンモニア水溶液32部に変更した以外は同様の操作で固形分25%のオレフィン乳白色の水分散体を得た。そこに水酸化リチウム一水和物18.9部を9%の水溶液にしたもの(リチウム換算で65モル%)を良く撹拌しながら徐々に加えることで、体積平均粒子径50nm、リチウム塩を含むオレフィン系共重合体(aa)を(融点:65℃)を含む水分散体5Aを得た。
オレフィン系共重合体(aa)として、スチレンブタジエンゴムを含むエマルション(SBR、日本エイアンドエル(株)製SR143、体積平均粒子径:160nm、固形分濃度:48重量%)を水分散体1aとし、そのまま用いた。
実施例2の水酸化リチウムを、96%水酸化ナトリウム13.7部に変更した以外は、実施例2と同様の操作で固形分25%のオレフィン乳白色のオレフィン系共重合体(融点:85℃)を含む水分散体2aを得た。
重量平均分子量10万(ポリスチレン換算)、マレイン化変性度1.0、酸価:11.4mg−KOH/gで、ブテンを合計で25重量%共重合したマレイン化変性ランダムポリプロピレン(a−2)100重量部と、重量平均分子量2万、マレイン化変性度4、酸価:45.8mg−KOH/gのマレイン化変性ポリプロピレン(a−4)30重量部を混合した。更に、オレイン酸カリウム10部を混合し、二軸押出機にて200℃で溶融混錬後、水酸化カリウム水溶液を添加しながら混錬した。
<樹脂の電解液に対する膨潤性>
実施例1〜5または比較例1〜3のエマルションをガラス板に塗布し、120℃で3時間乾燥後フィルムを得た。エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)=1/1(vol/vol)溶液にフィルムを80℃で3日間浸漬し、膨潤したフィルムの重量を測定した。膨潤フィルムの重量/膨潤前の重量比を算出した。同様にして、浸漬溶液を水酸化カリウム(KOH)水溶液(20℃)とした場合の重量比を算出した。
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学株式会社CMC1160、重量平均分子量:650,000)、ポリオキシエチレン(明成化学工業株式会社アルコックスE−75、重量平均分子量:2,000,000)およびポリビニルアルコール(株式会社クラレKL−318、重量平均分子量:70,000)から選ばれる粘度調整剤(y)を1.2重量%に調製して、固形分換算で1重量部と、
実施例1〜5および比較例1〜3で調製したエマルションを固形分換算で2重量部と、
必要に応じて、アニオン型(日油株式会社製ノンサールOK−2)の界面活性剤(x)0.5重量部を混合し、配合実施例1A〜8Aおよび配合比較例1a〜3aの水分散体(A)を得た。水分散体(A)の組成を表2に示す。
負極板の作製に使用した粘度調整剤(y)を、固形分換算で1.5重量部と、
実施例1〜5または比較例1〜3で調製したエマルションを固形分換算で5重量部と、
さらに必要に応じて、負極板の作製に使用した界面活性剤またはLiOH水溶液を加え、配合実施例1B〜8Bおよび配合比較例1b〜3bの水分散体(A)を得た。水分散体(A)の組成を表3に示す。
前記で作製した電極を切り、瞬間接着剤にてガラスプレパラートに貼り付け電極を固定し評価用サンプルとした。評価用サンプルを塗膜剥離強度測定装置サイカスDN20型(ダイプラウインテス(株)製)で合材層と集電体との界面を水平速度2μm/秒の速度で切削し、切削に必要な水平方向の力から合材層と集電体との界面の剥離強度を測定した。剥離強度の3回の平均値をとり密着性を評価した。なお、合材層とは、水性ペーストをアルミ箔あるいは銅箔(集電体)に塗工して乾燥プレスした塗工部分を指す。
非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を、EC:EMC=4:6(重量比)の割合で混合したものを用い、次に電解質であるLiPF6を溶解し、電解質濃度が1.0モル/リットルとなるように非水電解液を調製した。
コイン型電池用負極として前記の負極を直径14mmの円盤状に打ち抜いて、重量20mg/14mmφのコイン状の負極を得た。コイン型電池用正極として前記の正極を直径13.5mmの円盤状に打ち抜いて、重量42mg/13.5mmφのコイン状の正極を得た。
前記コイン型電池を用いて、この電池を株式会社ナガノの装置を用い0.5mA定電流、4.2V定電圧の条件で、4.2V定電圧の時の電流値が0.05mAになるまで充電し、その後、1mA定電流、3.0V定電圧の条件で、3.0V定電圧の時の電流値が0.05mAになるまで放電した。このサイクルを100回繰り返し、100サイクル後の電極の合材層の厚み(L1)と、電解液注入前の電極の合材層の厚み(L2)を比較した。
前記電極膨潤性と同様の評価法にて、サイクルを500回繰り返し、初期の電池容量に対する500サイクル後の容量(%)を評価した。なお、本測定は全て50℃の恒温槽中で行った。
Claims (11)
- オレフィン系共重合体(aa)を含む電気化学セル用水分散体(A)、活物質(B)および導電助剤(C)を含有し、
前記オレフィン系共重合体(aa)は、酸価が1.5mg−KOH/g以上200mg−KOH/g未満である酸変性ポリオレフィン(a)に、ポリオレフィン(a)に含まれる酸に対して、リチウム換算で15〜100モル%のリチウム化合物を添加して得られた、ポリオレフィン(a)に含まれる酸の少なくとも一部が塩である共重合体であり、
前記酸変性ポリオレフィン(a)は、ランダムプロピレン系共重合体(a−1)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物、該ランダムプロピレン系共重合体(a−1)を酸変性した酸変性ランダムプロピレン系共重合体(a−2)および(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位の含有率が5重量%以上25重量%以下であるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(a−3)から選ばれる少なくとも1種であり、
該共重合体(a−1)〜(a−3)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量が、それぞれ5万以上(ポリスチレン換算)であり、
該(共)重合体(a−4)は、GPCにより求められる重量平均分子量が5万未満(ポリスチレン換算)である
ことを特徴とする電気化学セル用水性ペースト。 - オレフィン系共重合体(aa)を含む電気化学セル用水分散体(A)、活物質(B)および導電助剤(C)を含有し、
前記オレフィン系共重合体(aa)は、酸価が1.5mg−KOH/g以上200mg−KOH/g未満である酸変性ポリオレフィン(a)に、ポリオレフィン(a)に含まれる酸に対して、リチウム換算で15〜100モル%のリチウム化合物を添加して得られた、ポリオレフィン(a)に含まれる酸の少なくとも一部が塩である共重合体であり、
前記酸変性ポリオレフィン(a)は、ランダムプロピレン系共重合体(a−1)を酸変性した酸変性ランダムプロピレン系共重合体(a−2)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物および(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位の含有率が5重量%以上25重量%以下であるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(a−3)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物から選ばれる少なくとも1種であり、
該共重合体(a−2)および(a−3)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量が、それぞれ5万以上(ポリスチレン換算)であり、
該(共)重合体(a−4)は、GPCにより求められる重量平均分子量が5万未満(ポリスチレン換算)である
ことを特徴とする電気化学セル用水性ペースト。 - 前記活物質(B)100重量部に対して、
前記水分散体(A)の固形分は、0.5〜30重量部であり、
前記導電助剤(C)は、0.1〜30重量部である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気化学セル用水性ペースト。 - 前記ランダムプロピレン系共重合体(a−1)が、ランダムプロピレン−ブテン共重合体、ランダムエチレン−プロピレン−ブテン共重合体およびランダムエチレン−プロピレン共重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気化学セル用ペースト。
- 前記酸変性が、マレイン酸変性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気化学セル用水性ペースト。
- 前記水分散体(A)が、界面活性剤(x)および粘度調整剤(y)から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気化学セル用水性ペースト。
- 前記オレフィン系共重合体(aa)の固形分100重量部に対して、
前記界面活性剤(x)の固形分は、0〜100重量部であり、
前記粘度調整剤(y)の固形分は、10〜100重量部である
ことを特徴とする請求項6に記載の電気化学セル用水性ペースト。 - オレフィン系共重合体(aa)を含む電気化学セル用水分散体(A)であり、
前記オレフィン系共重合体(aa)は、酸価が1.5mg−KOH/g以上200mg−KOH/g未満である酸変性ポリオレフィン(a)に、ポリオレフィン(a)に含まれる酸に対して、リチウム換算で15〜100モル%のリチウム化合物を添加して得られた、ポリオレフィン(a)に含まれる酸の少なくとも一部が塩である共重合体であり、
前記酸変性ポリオレフィン(a)は、ランダムプロピレン系共重合体(a−1)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物、該ランダムプロピレン系共重合体(a−1)を酸変性した酸変性ランダムプロピレン系共重合体(a−2)および(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位の含有率が5重量%以上25重量%以下であるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(a−3)から選ばれる少なくとも1種であり、
該共重合体(a−1)〜(a−3)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量が、それぞれ5万以上(ポリスチレン換算)であり、
該(共)重合体(a−4)は、GPCにより求められる重量平均分子量が5万未満(ポリスチレン換算)である
ことを特徴とする電気化学セル用水分散体(A)。 - オレフィン系共重合体(aa)を含む電気化学セル用水分散体(A)であり、
前記オレフィン系共重合体(aa)は、酸価が1.5mg−KOH/g以上200mg−KOH/g未満である酸変性ポリオレフィン(a)に、ポリオレフィン(a)に含まれる酸に対して、リチウム換算で15〜100モル%のリチウム化合物を添加して得られた、ポリオレフィン(a)に含まれる酸の少なくとも一部が塩である共重合体であり、
前記酸変性ポリオレフィン(a)は、ランダムプロピレン系共重合体(a−1)を酸変性した酸変性ランダムプロピレン系共重合体(a−2)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物および(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位の含有率が5重量%以上25重量%以下であるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(a−3)と酸変性オレフィン系(共)重合体(a−4)の混合物から選ばれる少なくとも1種であり、
該共重合体(a−2)および(a−3)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量が、それぞれ5万以上(ポリスチレン換算)であり、
該(共)重合体(a−4)は、GPCにより求められる重量平均分子量が5万未満(ポリスチレン換算)である
ことを特徴とする電気化学セル用水分散体(A)。 - 界面活性剤(x)および粘度調整剤(y)から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の電気化学セル用水分散体(A)。
- 請求項8〜10のいずれか一項に記載の電気化学セル用水分散体(A)を用いて得られた電気化学セル用極板。
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