以下、図面を参照しながら本実施形態に係る自動分析装置を説明する。
本実施形態に係る自動分析装置は、色素液が付着されたプローブや撹拌子を洗浄し、洗浄されたプローブや撹拌子に付着された色素液と洗浄水との混合液の測光データを生成し、生成された測光データに基づいて洗浄プールにおけるプローブや撹拌子の洗浄性能を評価する。
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の構成を示す図である。図1に示すように、自動分析装置1は、分析機構2、分析機構制御部3、洗浄性能評価部4、表示部5、入力部6、記憶部7、及びシステム制御部8を備える。
分析機構2は、分析機構制御部3による制御に従って作動する。分析機構2は、例えば、図1に示すように、反応ディスク11、サンプルディスク13、第1試薬庫15、第2試薬庫17、サンプルアーム19―1、サンプルプローブ21―1、第1試薬アーム19―2、第1試薬プローブ21―2、第2試薬アーム19―3、第2試薬プローブ21―3、撹拌アーム23、撹拌子25、サンプルプローブ洗浄プール27―1、第1試薬プローブ洗浄プール27―2、第2試薬プローブ洗浄プール27―3、撹拌子洗浄プール29、測光機構31、及び反応管洗浄機構33を搭載する。
反応ディスク11は、円周上に配列された複数の反応管35を保持する。反応ディスク11は、ある一定のサイクルで回動と停止とを交互に繰り返す。サンプルディスク13は、反応ディスク11の近傍に配置されている。サンプルディスク13は、試料が収容されたサンプル容器37を保持する。サンプルディスク13は、分注対象の試料が収容されたサンプル容器37がサンプル吸入位置に配置されるように回動する。第1試薬庫15は、試料の測定項目に選択的に反応する第1試薬が収容された複数の第1試薬容器39を保持する。第1試薬庫15は、分注対象の第1試薬が収容された第1試薬容器39が第1試薬吸入位置に配置されるように回動する。第2試薬庫17は、反応ディスク11の近傍に配置される。第2試薬庫17は、第1試薬に対応する第2試薬が収容された複数の第2試薬容器41を保持する。第2試薬庫17は、分注対象の第2試薬が収容された第2試薬容器41が第2試薬吸入位置に配置されるように回動する。
本実施形態においては、複数のサンプル容器37のうち、少なくとも1つにはサンプルの替わりに色素液が収容されている。同様に、複数の第1試薬容器39のうち、少なくとも1つには第1試薬の替わりに色素液が、複数の第2試薬容器41のうち、少なくとも1つには第2試薬の替わりに色素液が収容されている。
本実施形態に係る色素液は、測光機構31により測光可能な既知の吸収波長帯域を有する色素の溶液である。色素液としては、吸収波長帯域が測光機構31により測光可能な波長帯域に属する溶液であれば如何なる種類の溶液でも利用可能である。また、本実施形態に係る色素液は、発色する液体に限定されず、発色しない液体であっても良い。換言すれば、色素液の吸収波長帯域は可視光帯域に限定されない。色素としては、例えば、オレンジGが利用可能である。オレンジGは、測光機構31により測光可能な略476nmに吸収スペクトルを有している。
反応ディスク11とサンプルディスク13との間にはサンプルアーム19―1が配置される。サンプルアーム19―1の先端には、サンプルプローブ21―1が取り付けられている。サンプルアーム19―1は、サンプルプローブ21―1を上下動可能に支持している。また、サンプルアーム19―1は、円弧状の回動軌跡に沿って回動可能にサンプルプローブを支持している。サンプルプローブの回動軌跡は、サンプルディスク13上のサンプル吸入位置や反応ディスク11上のサンプル吐出位置、後述のサンプルプローブ洗浄プール27―1を通過する。サンプルプローブ21―1は、サンプルディスク19―1上のサンプル吸入位置に配置されているサンプル容器37から溶液(色素液又はサンプル)を吸入し、反応ディスク11上のサンプル吐出位置に配置されている反応管35に溶液を吐出する。
反応ディスク11の外周近傍には第1試薬アーム19―2が配置される。第1試薬アーム19―2の先端には第1試薬プローブ21―2が取り付けられている。第1試薬アーム19―2は、第1試薬プローブ21―2を上下動可能に支持する。また、第1試薬アーム19―2は、円弧状の回動軌跡に沿って回動可能に第1試薬プローブ21―2を支持している。第1試薬プローブ21―2の回動軌跡は、第1試薬庫15上の第1試薬吸入位置や反応ディスク11上の第1試薬吐出位置、後述の第1試薬プローブ洗浄プール27―2を通過する。第1試薬プローブ21―2は、第1試薬庫15上の第1試薬吸入位置に配置されている第1試薬容器39から溶液(色素液又は第1試薬)を吸入し、反応ディスク11上の第1試薬吐出位置に配置されている反応管35に溶液を吐出する。
反応ディスク11と第2試薬庫17との間には第2試薬アーム19―3が配置される。第2試薬アーム19―3の先端には第2試薬プローブ21―3が取り付けられている。第2試薬アーム19―3は、第2試薬プローブ21―3を上下動可能に支持する。また、第2試薬アーム19―3は、円弧状の回動軌跡に沿って回動可能に第2試薬プローブ21―3を支持している。第2試薬プローブ21―3の回動軌跡は、第2試薬庫17上の第2試薬吸入位置や反応ディスク11上の第2試薬吐出位置、後述の第2試薬プローブ洗浄プール27―3を通過する。第2試薬プローブ21―3は、第2試薬庫17上の第2試薬吸入位置に配置されている第2試薬容器41から溶液(色素液又は第2試薬)を吸入し、反応ディスク11上の第2試薬吐出位置に配置されている反応管35に溶液を吐出する。
以下の説明を簡単に行うためサンプルアーム19―1、第1試薬アーム19―2、及び第2試薬アーム19―3を特に区別しない場合、単にアーム19と呼ぶことにする。同様に、サンプルプローブ21―1、第1試薬プローブ21―2、及び第2試薬プローブ21―3を特に区別しない場合、単にプローブ21と呼ぶことにする。
反応ディスク11の外周近傍には撹拌アーム23が配置される。撹拌アーム23の先端には撹拌子25が取り付けられている。撹拌アーム23は、撹拌子25を上下動可能に支持する。また、撹拌アーム23は、円弧状の回動軌跡に沿って回動可能に撹拌子25を支持している。撹拌子25は、反応ディスク11上の撹拌位置に配置された反応管35内の溶液を撹拌する。撹拌子の回動軌跡は、反応ディスク11上の撹拌位置や後述の撹拌子洗浄プール29を通過する。
前述のように、サンプルプローブ21―1の回動軌跡上にはサンプルプローブ洗浄プール27―1が設けられている。サンプルプローブ洗浄プール27―1は、サンプルプローブ21―1の外壁を洗浄水で洗浄する。また、サンプルプローブ洗浄プール27―1においてサンプルプローブ21―1は、洗浄水を吐出することによりサンプルプローブ21―1の内腔の壁(内壁)を洗浄する。このように、サンプルプローブ洗浄プール27―1は、サンプルプローブ21―1の洗浄部として機能する。第1試薬プローブ21―2の回動軌跡上には第1試薬プローブ洗浄プール27―2が設けられている。第1試薬プローブ洗浄プール27―2は、第1試薬プローブ21―2の外壁を洗浄水で洗浄する。また、第1試薬プローブ洗浄プール27―2において第1試薬プローブ21―2は、洗浄水を吐出することにより第1試薬プローブ21―2の内壁を洗浄する。このように、第1試薬プローブ洗浄プール27―2は、第1試薬プローブの洗浄部として機能する。同様に、第2試薬プローブ21―3の回動軌跡上には第2試薬プローブ洗浄プール27―3が設けられている。第2試薬プローブ洗浄プール27―3は、第2試薬プローブ21―3の外壁を洗浄水で洗浄する。また、第2試薬プローブ洗浄プール27―3において第2試薬プローブ21―3は、洗浄水を吐出することにより第2試薬プローブ21―3の内壁を洗浄する。このように、第2試薬プローブ洗浄プール27―3は第2試薬プローブ21―3の洗浄部として機能する。撹拌子25の回動軌跡上には撹拌子洗浄プール29が設けられている。撹拌子洗浄プール29は、撹拌子25の外壁を純水で洗浄する。このように、撹拌子洗浄プール29は、撹拌子25の洗浄部として機能する。洗浄水の種類は、特に限定されず、色素液の種類に応じて任意に選択可能である。洗浄水としては、例えば、酸性洗剤やアルカリ性洗剤、中性洗剤、純水等が利用される。以下の説明を具体的に行うため洗浄水は純水であるとする。
また、以下の説明を簡単に行うためサンプルプローブ洗浄プール27―1、第1試薬プローブ洗浄プール27―2、及び第2試薬プローブ洗浄プール27―3を特に区別しない場合、単に洗浄プール27と呼ぶことにする。
反応ディスク11には、測光機構31が設けられている。測光機構31は、分析機構制御部3による制御に従って作動する。具体的には、測光機構31は、反応ディスク11内の測光位置にある反応管35に光を照射する。反応管35は、測光位置に照射されている光を横切るように反応ディスク11により回動される。測光機構31は、反応管35内の純水と色素液との混合液の透過光の光量を測定し、測定された光量に応じた測定値を有するデータ(以下、測光データと呼ぶことにする。)を生成する。
反応ディスク11の外周には、反応管洗浄機構33が設けられている。反応管洗浄機構33は、分析機構制御部3による制御に従って作動する。具体的には、反応管洗浄機構33は、洗浄ノズルと乾燥ノズルとが取り付けられている。反応管洗浄機構33は、反応ディスク11の洗浄位置にある反応管35を洗浄ノズルで洗浄し、乾燥ノズルで乾燥する。
分析機構制御部3は、システム制御部8による制御に従って分析機構2の各装置や機構を作動する。洗浄能力評価部4は、測光データの測定値に基づいて洗浄プール27,29によるプローブ21や撹拌子25の洗浄能力を評価する。表示部5は、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイスを有する。表示部5は、洗浄性能の評価結果を表示する。入力部6は、オペレータからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力部6としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、スイッチボタン等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。記憶部7は、洗浄性能の評価のための動作プログラム等を記憶している。システム制御部8は、自動分析装置1の中枢として機能する。システム制御部8は、記憶部7から動作プログラムを読み出し、動作プログラムに従って各部3,4,5,6,7を制御する。
以下、本実施形態に係る自動分析装置1について詳細に説明する。
まず洗浄プール27,29におけるプローブ21や撹拌子25の洗浄について説明する。図2は、純水タンク51から洗浄プール27,29及びプローブ21への流路を模式的に示す図である。なお洗浄プール27,29の動作及び構成は、プローブ21の種類に限定されない。従って図2においては、サンプルプローブ洗浄プール27―1、第1試薬プローブ洗浄プール27―2、及び第2試薬プローブ洗浄プール27―3を1つにまとめて示している。
プローブ21のための洗浄プール27と撹拌子25のための洗浄プール29とは、純水のための流路53を介して純水タンク51に接続されている。純水タンクには、洗浄水としての純水が貯蔵されている。純水タンク51と洗浄プール27との間には第1ポンプ55が設けられている。純水タンク51と洗浄プール29との間には第2ポンプ57が設けられている。洗浄プール27,29には、少なくとも1つの放水口59が設けられている。第1ポンプ55と洗浄プール27の各放水口59とは、流路53を介して接続されている。このように、第1ポンプ55から洗浄プール27への流路53は、放水口59の数に応じて分岐されている。同様に、第2ポンプ57と洗浄プール27の各放水口59とは、流路53を介して接続されている。このように、第2ポンプ57から洗浄プール27への流路53は、放水口59の数に応じて分岐されている。また、プローブ21は、流路53を介して純水タンク51に接続されている。プローブ21と純水タンク51との間には第3ポンプ61が設けられている。流路53としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等の化学物質から構成されるチューブが利用される。
プローブ21が洗浄プール27に配置されると分析機構制御部3により第1ポンプ55と第3ポンプ61とが作動される。第1ポンプ55は、純水タンク51から純水を吸入し、吸引された純水を既定の圧力で押し出す。これにより、洗浄プール27の放水口59から純水が放出される。放水口59からの純水によりプローブ21の外壁が洗浄される。第3ポンプ61は、純水タンク51から純水を吸入し、吸入された純水を既定の圧力で押し出す。これにより、プローブ21の内腔に純水が放出される。これによりプローブ21の内壁が洗浄される。プローブ21の内腔を通過した純水は、洗浄プール27に放水される。第1ポンプ55と第3ポンプ61との作動開始から反応ディスク11の停止期間だけ経過すると分析機構制御部3は、第1ポンプ55と第3ポンプ61とを停止する。洗浄プール27に放出された純水や混合液は、洗浄プール27に接続された廃液ラインを介して廃液タンクに収容される。
撹拌子25が洗浄プール29に配置されると分析機構制御部3により第2ポンプ57が作動される。第2ポンプ57は、純水タンク51から純水を吸入し、吸入された純水を既定の圧力で押し出す。これにより、洗浄プール29の放水口59から純水が放出される。放水口59からの純水により撹拌子25の外壁が洗浄される。第2ポンプ57の作動開始から反応ディスク11の停止期間だけ経過すると分析機構制御部3は、第2ポンプ57を停止する。洗浄プール59に放出された純水や混合液は、洗浄プール29に接続された廃液ラインを介して廃液タンクに収容される。
次に、本実施形態に係る洗浄能力の評価処理の動作例について説明する。なお本実施形態に係る洗浄能力の評価処理は、典型的には、試料の分析開始前に行われる。評価処理は、プローブ21の洗浄能力の評価処理と撹拌子25の洗浄能力の評価処理とに大別される。まずは、図3と図4とを参照しながら、プローブ21の洗浄能力の評価処理について説明する。
図3は、システム制御部8による制御のもとに行われる、洗浄プールによるプローブの洗浄能力の評価処理の典型的な流れを示す図である。図4は、洗浄プールによるプローブの洗浄能力の評価処理の流れを模式的に示す図である。なお、説明を具体的に行うためプローブ21は、サンプルプローブ21―1であるとする。
オペレータから入力部6を介して開始指示が入力されるとシステム制御部8は、記憶部7から動作プログラムを読み出して、サンプルプローブ21―1の洗浄能力の評価処理を開始する。まず、システム制御部8は、分析機構制御部3を制御してステップSA1からSA6までの処理を行わせる。
ステップSA1において分析機構制御部3は、サンプルプローブ21―1でサンプルディスク13から色素液を吸入し、反応ディスク11上の反応管35に吐出させる。具体的には、分析機構制御部3は、色素液が収容されたサンプル容器37がサンプル吸入位置に配置されるようにサンプルディスク13を回動する。分析機構制御部3は、サンプルプローブ21―1がサンプルディスク13のサンプル吸入位置上に配置されるようにサンプルアーム19―1を回動させる。サンプルプローブ21―1がサンプル吸入位置上に配置されると分析機構制御部3は、サンプルアーム19―1を駆動してサンプルプローブ21―1の先端がサンプル容器37内の色素液に浸るまでサンプルプローブ21―1を下降させる。そして分析機構制御部3は、サンプルプローブ21―1の第3ポンプ61を駆動し、サンプルプローブ21―1にサンプル容器37から色素液を吸入させる。色素液が吸入されると分析機構制御部3は、サンプルアーム19―1を駆動してサンプルプローブ21―1を上昇させる。色素液の吸入によりサンプルプローブ21―1の内壁と先端部の外壁とが汚染される。このように分析機構制御部3と色素液が収容された容器との組合せは、プローブ21を汚染する汚染部として機能する。次に分析機構制御部3は、サンプルプローブ21―1が反応ディスク11のサンプル吐出位置上に配置されるようにサンプルアーム19―1を回動する。サンプルプローブ21―1がサンプル吐出位置上に配置されると分析機構制御部3は、サンプルアーム19―1を駆動してサンプルプローブ21―1の先端が反応管35内の底面近傍に配置されるまでサンプルプローブ21―1を下降させる。そして分析機構制御部3は、サンプルプローブ21―1の第3ポンプ61を駆動し、吸入された色素液をサンプル吐出位置に配置された反応管35に吐出させる。色素液が吐出されると分析機構制御部3は、サンプルアーム19―1を駆動してサンプルプローブ21―1を上昇させる。
ステップSA2において分析機構制御部3は、サンプルアーム19―1を駆動し、サンプルプローブ21―1をサンプルプローブ洗浄プール27―1まで回動する。
ステップSA3において分析機構制御部3は、サンプルプローブ洗浄プール27―1においてサンプルプローブ21―1を純水で洗浄する。具体的には、分析機構制御部3は、サンプルアーム19―1を駆動し、サンプルプローブ21―1を洗浄プール27―1内に下降させる。次に分析機構制御部3は、サンプルプローブ21―1を洗浄するために第1ポンプ55と第3ポンプ61とを駆動する。第1ポンプ55は、サンプルプローブ21―1の外壁を洗浄するために純水を吐出する。第3ポンプ61は、サンプルプローブ21―1の内壁を洗浄するためにサンプルプローブ21―1の内腔に純水を吐出する。これによりサンプルプローブ21―1の外壁や内壁に付着された色素液が剥離される。しかしながら、純水の量や水圧等が十分でない場合、サンプルプローブ21―1に付着された全ての色素液が完全に剥離されるわけではない。この場合、洗浄プール27―1によるサンプルプローブ21―1の洗浄能力が低下していることを意味する。
ステップSA4において分析機構制御部3は、サンプルアーム19―1を駆動し、サンプルプローブ21―1を反応ディスク11のサンプル吐出位置上まで回動させる。
ステップSA5において分析機構制御部3は、サンプルプローブ21―1内に残留している色素液を反応管35に吐出する。具体的には、分析機構制御部3は、サンプルアーム19―1を駆動して、サンプルプローブ21―1の先端がサンプル吐出位置に配置されている反応管35の底辺近傍に配置されるまでサンプルプローブ21―1を下降させる。なお、サンプルプローブ21―1の下降までに、分析機構制御部3は、反応ディスク11を回動し、吐出対象の反応管35をサンプル吐出位置に配置しているとする。吐出対象の反応管35は、空であっても、純水等の既知の溶液が収容されていても良い。次に分析機構制御部3は、サンプルプローブ21―1の第3ポンプ61を駆動し、純水タンク51からの純水をサンプルプローブ21―1の内腔に吐出させる。これによりサンプルプローブ21―1の内壁に付着されている残留色素液が純水により押し出される。純水は、サンプルプローブ21―1の先端が浸される程度に吐出される。これにより残留色素液は、サンプル吐出位置に配置されている反応管35に吐出される。その結果、反応管35には、残留色素液を含む溶液(典型的には、残留色素液と純水との混合液)が収容される。純水が吐出されると分析機構制御部3は、サンプルアーム19―1を駆動してサンプルプローブ21―1を上昇させる。
ステップSA6において分析機構制御部3は、測光機構31に、反応管35に収容されている色素液を含む溶液(典型的には、残留色素液と純水との混合液)の測光を行わせる。ステップSA6において測光機構31は、ステップSA5において混合液が収容された反応管35が反応ディスク11内の測光位置を通過する毎に測光を行う。測光において測光機構31は、光源から光を反応管35に向けて照射し、反応管35内の混合液を透過した光を検出し、検出された光の光量に応じた測定値を有する測光データを生成する。測定値は、光量だけでなく、濃度や吸光度、濁度等の光量に基づいて算出される値でもよい。生成された測光データは、洗浄能力評価部4に供給される。
ステップSA7においてシステム制御部8は、洗浄能力評価部4に評価処理を行わせる。評価処理において洗浄能力評価部4は、測光データに基づいて洗浄プール27―1によるサンプルプローブ21―1の洗浄能力を評価する。以下、評価処理について具体的に説明する。具体的には、洗浄能力評価部4は、測光データが有する測定値と閾値とを比較する。閾値は予めオペレータ等により入力部6を介して設定されているものとする。例えば、測定値が濃度の場合、閾値は10ppm(parts per million)程度に設定されるとよい。測定値が閾値以上であると判定した場合、洗浄能力評価部4は、洗浄プール27―1によるサンプルプローブ21―1の洗浄能力が十分でないと評価する。この場合、システム制御部8は、洗浄プール27―1によるサンプルプローブ21―1の洗浄能力が十分でない旨のアラームを表示部5に表示させる。一方、測定値が閾値未満であると判定した場合、洗浄能力評価部4は、洗浄プール27―1によるサンプルプローブ21―1の洗浄能力が十分であると評価する。この場合、システム制御部8は、洗浄プール27―1によるサンプルプローブ21―1の洗浄能力が十分である旨のメッセージを表示部5に表示させる。
ステップSA7が終了するとシステム制御部8は、サンプルプローブ21―1の洗浄能力の評価処理を終了する。
なお、ステップSA3の洗浄工程において、色素液のプローブ21への付着が強固でないために、洗浄能力が十分でないのにもかかわらずプローブ21の内腔から色素液が完全に剥離されてしまう場合がある。この場合、プローブ21による色素液の吸入から、純水による洗浄までの時間間隔を長く設定するとよい。また、色素液が強固に付着されるまでステップSA1からSA3までを繰り返しても良い。さらには、ステップSA1からSA6を複数回繰り返し行い、繰り返し回数分の複数の測定値に基づく統計値を利用して洗浄能力を評価してもよい。なお統計値としては、平均値や合計値、最大値、最小値、中間値等が採用される。これにより、たまたま綺麗に洗浄できたりできなかったりという偶然性を排除できるため、評価の信頼性が向上する。
また、ステップSA5において、プローブ21の内壁に付着された残留色素液が剥離されない場合がある。この場合、ステップSA5を繰り返し行い、繰り返し回数分の複数の測定値に基づく統計値を利用して洗浄能力を評価してもよい。各ステップSA5において、純水と残留色素液との混合液は、別々の反応管35に吐出されると良い。これにより、プローブ21の内壁に残留色素液が存在するにもかかわらず、測光された溶液には残留色素液が含まれないという事態が発生する確率を低減することができる。結果的に、評価の信頼性が向上する。
次に、図5と図6とを参照しながら、撹拌子25の洗浄能力の評価処理について説明する。
図5は、システム制御部8による制御のもとに行われる、撹拌子洗浄プール27による撹拌子25の洗浄能力を評価するための処理の典型的な流れを示す図である。図6は、撹拌子洗浄プール27による撹拌子25の洗浄能力を評価するための処理の流れを模式的に示す図である。なお、撹拌子25の洗浄能力を評価するための処理と前述のプローブ21の洗浄能力を評価するための処理とは、個別に行われても同時に行われても良い。以下の説明を具体的に行うため、撹拌子25の洗浄能力の評価処理とプローブ21の洗浄能力の評価処理とは、同時に行われるものとする。
まず、システム制御部8は、分析機構制御部3を制御してステップSB1からSB6までの処理を行わせる。
ステップSB1において分析機構制御部3は、ステップSA1においてプローブ21から反応管35に吐出された色素液を撹拌子25で撹拌する。具体的には、分析機構制御部3は、色素液を収容する反応管35が撹拌位置に配置されるように反応ディスク11を回動させる。この反応管35が撹拌位置に配置されると分析機構制御部3は、撹拌アーム23を駆動して撹拌子25が反応管35内の色素液に浸るまで撹拌子25を下降させ、色素液の撹拌のために撹拌子25を振動または回転させる。色素液が撹拌されると分析機構制御部3は、撹拌アーム23を駆動して撹拌子25を上昇させる。撹拌子25による色素液の撹拌により、撹拌子25の表面が色素液により汚染される。このように分析機構制御部3と色素液が収容された反応管35との組合せは撹拌子25を汚染する汚染部として機能する。
ステップSB2において分析機構制御部3は、撹拌アーム23を駆動し、撹拌子25を洗浄プールまで回動する。
ステップSB3において分析機構制御部3は、撹拌子洗浄プール29において撹拌子25を純水で洗浄する。具体的には、分析機構制御部3は、撹拌アーム23を駆動し、撹拌子25を洗浄プール29内に下降させる。次に分析機構制御部3は、撹拌子25を洗浄するために第2ポンプ57を駆動する。第2ポンプ57は、撹拌子25の表面を洗浄するために放水口59から純水を吐出する。これにより撹拌子25に付着された色素液が剥離される。しかしながら、純水の量や水圧等が十分でない場合、撹拌子に付着された全ての色素液が完全に剥離されるわけではない。この場合、洗浄プール29による撹拌子25の洗浄能力が低下していることを意味する。
ステップSB4において分析機構制御部3は、撹拌アーム23を駆動し、撹拌子25を反応ディスク11の撹拌位置上まで回動させる。
ステップSB5において分析機構制御部3は、撹拌子25で反応管35内の溶液を撹拌する。具体的には、分析機構制御部3は、反応ディスク11を回動し、既知の溶液が収容された反応管35を撹拌位置に配置する。この既知の溶液としては、吸光波長帯域が既知の溶液であればなんでも良い。例えば、この既知の溶液としては、純水が採用される。以下、この既知の溶液は純水であるとする。次に分析機構制御部3は、撹拌アーム23を駆動して、撹拌子25を撹拌位置に配置されている反応管35内に下降させる。次に分析機構制御部3は、撹拌子25を振動し、反応管35内の純水を撹拌する。これにより撹拌子25の表面に付着されている残留色素液が純水中に遊離され、遊離された色素液と純水とが混合される。撹拌が行われると分析機構制御部3は、撹拌アーム23を駆動して撹拌子25を上昇させる。
ステップSB6において分析機構制御部3は、測光機構31に色素液を含む溶液(典型的には、色素液と純水との混合液)の測光を行わせる。ステップSB6において測光機構31は、ステップSB5において生成された混合液に関する測光データを生成する。測光データの生成方法は、前述のステップSA5と同様の方法なので説明を省略する。生成された測光データは、洗浄能力評価部4に供給される。
ステップSB7においてシステム制御部3は、洗浄能力評価部4に評価処理を行わせる。評価処理において洗浄能力評価部4は、測光データに基づいて洗浄プールによる撹拌子の洗浄能力を評価する。撹拌子洗浄プール29による撹拌子25の洗浄能力の評価方法は、前述のステップSA7における評価方法と同様なので説明を省略する。
ステップSB7が終了するとシステム制御部8は、撹拌子25の洗浄能力の評価処理を終了する。
なお、ステップSB3の洗浄工程において、色素液の撹拌子25への付着が強固でないために、洗浄能力が十分でないのにもかかわらず撹拌子25の表面から色素液が完全に剥離される場合がある。この場合、撹拌子25による色素液の撹拌から、純水による洗浄までの時間間隔を長く設定するとよい。また、色素液が強固に付着されるまで色素液を撹拌し続けさせたり、ステップSB1からSB3までを繰り返したりしても良い。さらには、ステップSB1からSB6を複数回繰り返し行い、繰り返し回数分の複数の測定値に基づく統計値を利用して洗浄能力を評価してもよい。なお統計値としては、平均値や合計値、最大値、最小値、中間値等が採用される。これにより、たまたま綺麗に洗浄できたりできなかったりという偶然性を排除できるため、評価の信頼性が向上する。
また、ステップSB5において、撹拌子25の表面に付着された残留色素液が剥離されない場合がある。この場合、ステップSB5を繰り返し行い、繰り返し回数分の複数の測定値に基づく統計値を利用して洗浄能力を評価してもよい。各ステップSB5において撹拌子25は、同一の反応管35の純水を撹拌し続けると良い。これにより、撹拌子25の表面に残留色素液が存在するにもかかわらず、測光された溶液には残留色素液が含まれないという事態が発生する確率を低減することができる。結果的に、評価の信頼性が向上する。
前述のように本実施形態に係る自動分析装置1は、プローブ21や撹拌子25を色素液で汚染し、色素液で汚染されたプローブ21や撹拌子25を洗浄し、洗浄されたプローブ21や撹拌子25に付着された色素液と純水との混合液の測光データを生成し、生成された測光データに基づいて洗浄プール27,29によるプローブ21や撹拌子25の洗浄性能を評価することができる。これら汚染工程、洗浄工程、及び測光工程は、分析機構制御部3による制御のもと分析機構2により自動的に行われる。このように本実施形態によれば、色素液を用意するのみで、既存の自動分析装置に新たな機構を設けることなく、自動的に洗浄性能を評価することができる。従ってオペレータは、手間無く洗浄性能を確認することができる。
なお、ステップSA7又はSB7において洗浄能力評価部4は、プローブ21と撹拌子25との洗浄能力を総合的に評価することも可能である。以下、この総合的な洗浄能力の評価について具体的に説明する。以下の説明を具体的に行うため測光データの測定値は濃度であるとする。
図7は、プローブ21と撹拌子25との洗浄能力の総合的な評価のための処理の典型的な流れを示す図である。まず洗浄能力評価部4は、ステップSA7と同様にしてプローブ21の洗浄能力を評価する(ステップSC1)。測定値が10ppm等の閾値以上であると判定された場合、表示部5は、プローブの洗浄能力が十分でない旨のアラームを表示する。ステップSC1において測定値が10ppm等の閾値未満であると判定された場合、洗浄能力評価部4は、ステップSB7と同様にして撹拌子の洗浄能力を評価する(ステップSC2)。ステップSC2において測定値が10ppm等の閾値以上であると判定された場合、表示部5は、撹拌子25の洗浄能力が十分でない旨のアラームを表示する。
ステップSC2において測定値が10ppm等の閾値未満であると判定された場合、洗浄能力評価部4は、プローブ21に関する測光データの測定値と撹拌子25に関する測光データの測定値との統計値と閾値とを比較する(ステップSC3)。統計値としては、例えば、プローブ21に関する測光データの測定値と撹拌子25に関する測光データの測定値との平均値、合計値、最大値、最小値、中間値等が採用される。以下の説明を具体的に行うため統計値は、合計値であるとする。この場合、閾値は10ppmに設定されているとする。合計値が10ppm等の閾値以上であると判定された場合、洗浄能力評価部4は、プローブ21と撹拌子25との洗浄能力が十分でないと評価する。この場合、システム制御部8は、プローブ21と撹拌子25との洗浄能力が十分でない旨のアラームを表示部5に表示させる。ステップSC3において合計値が10ppm等の閾値未満であると判定された場合、洗浄能力評価部4は、プローブ21と撹拌子25との洗浄能力が十分であると評価する。この場合、システム制御部8は、プローブ21と撹拌子25との洗浄能力が十分である旨のメッセージを表示部5に表示させる。
前述のように洗浄能力評価部4は、まずプローブ21の洗浄能力と撹拌子25の洗浄能力とを個別に評価し、最後にプローブ21の洗浄能力と撹拌子25の洗浄能力とを合算した洗浄能力を評価する。このように複数段階に分けてプローブ21や撹拌子25の洗浄能力、あるいはその組合せを評価することで、評価の信頼性が向上する。
かくして本実施形態によれば、洗浄性能を容易に確認可能な自動分析装置1を提供することが可能となる。
(変形例)
前術の実施形態においては、色素液は、サンプル容器37や第1試薬容器39、第2試薬容器41に収容されるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。色素液は、サンプルプローブ21―1の回動軌跡上に設けられた容器、第1試薬プローブ21―2の回動軌跡上に設けられた容器、第2試薬プローブ21―3の回動軌跡上に設けられた容器に収容されていてもよい。この場合、ステップSA1において分析機構制御部3は、各プローブ21に各容器から色素液を吸入させることで各プローブ21を汚染することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。