JP2012220386A - 非破壊試験用溶接試験片の製作方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)溶接金属2と同一金属2aからなり擬似欠陥3を位置決めする位置決め治具4を準備して擬似欠陥3を位置決めし、(B)溶接金属2と同一金属2aを用いて、擬似欠陥3の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接して、溶接金属2内に擬似欠陥3を有する埋め込み片5を製作し、(C)埋め込み片5を母材1と同じ母材金属からなる金属片6に位置決めし、(D)溶接金属2と同一金属2aを用いて、埋め込み片5の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接して、溶接金属2内に擬似欠陥3を有する溶接試験片7を製作する。
【選択図】図1
Description
また、非破壊試験(NDT)は、非破壊検査(Non−destructive Inspection:NDI)又は非破壊評価(Non−destructive Evaluation:NDE)とも呼ばれる。
しかしながら、金属球やスリットは実際の自然欠陥とは異なっている。表面欠陥の場合には意図的に疲労試験等を行い、初期の疲労割れを作製することなどが可能であることから、従来からよく行われてきたが、内部欠陥については従来、自然欠陥に近い欠陥を作製する手段がなかった。そのため体積的な試験方法ではその能力を評価するには自然欠陥に近い欠陥を用いた試験が必要であるが、従来は適切に試験方法を評価できなかった。
上述した従来の試験片は、溶接後の溶接金属内に異物が存在しないため、実際の自然欠陥とは大きく相違し、溶接部の非破壊試験用試験片としては問題があった。
(A)前記溶接金属と同一金属からなり擬似欠陥を位置決めする位置決め治具を準備して擬似欠陥を位置決めし、
(B)前記溶接金属と同一金属を用いて、前記擬似欠陥の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接して、溶接金属内に擬似欠陥を有する埋め込み片を製作し、
(C)前記埋め込み片を前記母材と同じ母材金属からなる金属片に位置決めし、
(D)前記溶接金属と同一金属を用いて、前記埋め込み片の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接して、溶接金属内に擬似欠陥を有する溶接試験片を製作する、ことを特徴とする非破壊試験用溶接試験片の製作方法が提供される。
次いで、(D)溶接金属と同一金属を用いて、埋め込み片の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接して、溶接金属内に擬似欠陥を有する溶接試験片を製作するので、界面にミクロ的な隙間がない自然に近い擬似欠陥を溶接金属内に有する溶接試験片を製作することができる。
母材1は、溶接可能な金属材料、例えば、鉄鋼材料、チタン材料、ニッケル合金等の超合金、又はステンレス鋼である。
溶接金属2は、母材1を溶接するために用いる金属材料であり、好ましくは母材1と同一の金属材料2aである。
擬似欠陥3の形状は任意であるが、擬似欠陥3と溶接金属2の間にミクロ的な隙間を作らないことが重要である。従って、このような隙間ができにくい球形、楕円体、平板、直方体、等が好ましい。
また、擬似欠陥3の大きさは任意であるが、実際の自然欠陥を模擬して最大径が1〜8mmの範囲、更に好ましくは3〜4mmであるのがよい。
位置決め治具4の形状は任意であるが、後述する溶接(図1(b))において、擬似欠陥3の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接できるように、擬似欠陥3の支持部4aは溶接により溶け込む厚さに設定し、かつ擬似欠陥3の全体が溶接金属2で囲まれるように位置決め治具4の上下に凹み4bがあることが好ましい。
埋め込み片5の形状は任意であるが、後述する溶接(図1(e))において、埋め込み片5の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接できるように、埋め込み片5の金属片6(後述する)との接合部5aは溶接により溶け込む厚さに設定し、かつ金属片6との溶接部分に開先を設けることが好ましい。この開先角度は、例えば金属片6の接合面に対して30〜45°であるのがよい。
溶接試験片7の形状は任意であるが、この例では、2つの溶接試験片7を突き合わせ溶接できるように、製作した2つ溶接試験片7の擬似欠陥3を有する溶接金属部に開先面8を加工する。この開先角度は、例えば溶接試験片7の表面に直交する平面に対して30〜45°であるのがよい。
この機械加工後、上述した切断ミクロ評価を行うことが好ましい。ミクロ的隙間が無いことが確認できたら、製造工程を固定して、予備試験と同じ条件で溶接を行う。
この溶接後、上述した切断ミクロ評価を行うことが好ましい。ミクロ的隙間が無いことが確認できたら、製造工程を固定して、予備試験と同じ条件で溶接を行う。
なお、突合せ溶接は、必須ではなく、上述した溶接試験片7を非破壊試験用溶接試験片10として用いてもよい。
次いで、S8において、溶接試験片7の外面を機械加工する。さらに、S9において、上述した切断ミクロ評価により擬似欠陥3の外面全体にミクロ的な隙間がないことを確認することが好ましい。
S12において、突合せ溶接後の溶接試験片7の外面を機械加工して非破壊試験用溶接試験片10が完成する。
この実施例では、母材1として鉄鋼材料(SM490)を用い、溶接金属2として、母材1と同じ鉄鋼材料(SM490)を用いた。
また擬似欠陥3としてタングステン球を用いた。タングステン球の直径は、5,6,7,8mmとした。
各擬似欠陥3(タングステン球)は、厚さの中心位置に、図3(A)の上端から直径5,6,7,8mmの順で配置した。
このX線透過試験の撮影条件は以下の通りである。
(1)電圧:950kV
(2)X線フィルム:FUJI#50(寸法:10インチ×12インチ)
(3)焦点−フィルム間距離:1500mm
(4)増感紙
Front(線源側)Pb:0.5mm、Back(フィルム側)Pb:1.0mm
(5)透過度計
(A)通常の試験とは異なり、針金形透過度計(No.08F)1枚、及び有孔形透過度計(No.20)2枚を溶接試験片上に置いて撮影した。通常の試験では針金形透過度計または有孔形透過度計1個のみ使用する。
(B)針金形透過度計についてはこの試験片厚さでは0.50mmφの針金が識別できることが規格から要求されるが、この試験では0.40mmφの針金まで識別できている。透過度計には針金が7本あり、径が大きい方から0.80φ、0.63φ、0.50φ、0.40φ、0.32φ、0.25φ、0.20φである。
(C)有孔形透過度計については規格要求では当該試験片厚さについてNo.35の透過度計で良いことになっているが、本試験では意図的により厳しいNo.20の透過度計を使用している。No.35はNo.20より透過度計自体の厚さが厚く、放射線透過試験で穴がより識別し易い。尚、有孔形透過度計は透過度計の厚さをTとすると、4T、2T、1Tの3つの穴が開いており、通常、2Tの穴が識別できることが要求されている。
次いで、(D)溶接金属2と同一金属2aを用いて、埋め込み片5の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接して、溶接金属2内に擬似欠陥3を有する溶接試験片7を製作するので、界面にミクロ的な隙間がない自然に近い擬似欠陥3を溶接金属2内に有する溶接試験片7を製作することができる。
2 溶接金属、2a 溶接金属と同一金属、
3 擬似欠陥、4 位置決め治具、
5 埋め込み片、5a 接合部、
6 金属片、7 溶接試験片、
8 開先面、
10 非破壊試験用溶接試験片
Claims (6)
- 母材を溶接する溶接金属内に擬似欠陥を有する非破壊試験用溶接試験片の製作方法であって、
(A)前記溶接金属と同一金属からなり擬似欠陥を位置決めする位置決め治具を準備して擬似欠陥を位置決めし、
(B)前記溶接金属と同一金属を用いて、前記擬似欠陥の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接して、溶接金属内に擬似欠陥を有する埋め込み片を製作し、
(C)前記埋め込み片を前記母材と同じ母材金属からなる金属片に位置決めし、
(D)前記溶接金属と同一金属を用いて、前記埋め込み片の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接して、溶接金属内に擬似欠陥を有する溶接試験片を製作する、ことを特徴とする非破壊試験用溶接試験片の製作方法。 - (E)前記(D)により製作した2つ溶接試験片の擬似欠陥を有する溶接金属部に開先面を加工し、
(F)該2つの開先面同士を突合せ溶接する、ことを特徴とする請求項1に記載の非破壊試験用溶接試験片の製作方法。 - 前記(B)(D)又は(F)の後、切断し、ミクロ評価で隙間が無いことを確認する切断ミクロ評価により前記擬似欠陥の外面全体にミクロ的な隙間がないことを確認する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の非破壊試験用溶接試験片の製作方法。
- 前記母材は、鉄鋼材料、チタン材料、ニッケル合金等の超合金、又はステンレス鋼である、ことを特徴とする請求項1に記載の非破壊試験用溶接試験片の製作方法。
- 前記擬似欠陥は、母材より融点が高く、溶融金属と互いに拡散する金属、金属間化合物、酸化物、又は炭化物である、ことを特徴とする請求項1に記載の非破壊試験用溶接試験片の製作方法。
- 前記(B)(D)における溶接は、TIG溶接又はMAG溶接である、ことを特徴とする請求項1に記載の非破壊試験用溶接試験片の製作方法。
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