JP2012220104A - 配管システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一連の配管路1により密閉型の循環経路を構成し、その途中に組み込んだ循環ポンプ4によって流体を循環させる配管システムにおいて、循環ポンプを配管路の低所に設置してその吐出側に大気開放型の膨張タンク7を接続する。膨張タンクを昇降可能としてその設置位置を上下方向に変更可能とする。複数の管体どうしを差し込み継手によって気密裡に接続して配管路を構成する。クリーンルームを対象とする空調用の冷水循環経路に適用し、熱源機との間で熱交換を行って冷水を調整する熱交換器15を組み込み、空調機6を低圧力損失型のファンコイルユニットとする。配管路に脱気装置20、泡検出機構30、空気排出機構を組み込む。
【選択図】図1
Description
図6は、クリーンルームを対象とする空調設備における冷水循環系統にその種の配管システムを適用した場合の一例を示すもので、チラー等の熱源機に接続した立ち上がり管2(往管2aおよび還り管2b)およびクリーンルーム内の天井部に設置した横引き管3(往管3aおよび還り管3b)によって一連の配管路1を構成し、冷却媒体としての冷水を図中の矢印のように熱源機(図示略)に通しつつ、かつ三方弁5の操作によって水温を調整しつつ、循環ポンプ4によって配管路1を循環させることによって、所定水温に調製した冷水を横引き管3に接続したファンコイルユニット(FCU)等の空調機6に対して循環供給して冷房を行うようにしたものである。
そのため、上記従来の配管システムでは配管路1に万一リークが発生するとそのリーク部より冷水が漏出してしまうことになるから、半導体製造施設のように万一の漏水事故も許されないような施設においてはそのような配管路1を天井部に設置することは好ましくないとされている。
このような重力真空式の配管システムでは、配管路に万一リークが発生した場合には配管路に空気が吸い込まれるだけで冷水の漏出が生じる余地がなく、したがって漏水事故を防止するうえでは有利であると考えられる。
その場合においては、クリーンルームに設置する空調機を低圧力損失型のファンコイルユニットとすることが好ましい。
また、膨張タンクを昇降可能としてその位置を上下方向に変更可能としているので、運転時には配管路内の圧力を適正な負圧に維持し得る位置に膨張タンクを配置可能であることはもとより、運転開始に先立って行う必要のある水張り時には膨張タンクを配管路の最高部よりもさらに高所に配置することにより配管路に対して支障なく水張りを行うことが可能である。
また、運転開始前の配管路1への冷水供給時つまり配管路1への水張り時には、膨張タンク7を破線で示すように上方に引き上げて配管路1の最高部よりも高所の位置に配置することにより、配管路1から空気を排気しつつ配管路1全体に冷水を容易に充満させることが可能となっている。
また、膨張タンク7と配管路1とを接続している膨張管8は膨張タンク7の昇降に支障を来さないように柔軟なホース等のフレキシブルな管体とすれば良い。
具体的には、配管路1を構成するための管体を鉄管ないし塩ビ管とし、図2(a)に示すように接続するべき双方の管体10の一方を差し込み管10aとして他方を受け入れ管10bとし、各々の接触面を十分に平滑に研磨して傷のない平滑仕上げとしておき、接触面に真空グリスを塗布し、差し込み長さを25mm程度確保したうえで、双方のフランジ11どうしをボルト12により締結することによって接続するようにしている。
このような差し込み継手はガラス管による真空配管路を形成する際に採用されているものであり、これによれば図2(b)に示す気密試験結果から明らかなように、従来一般の鋼管フランジによる継手に比べて高度の真空を長時間維持可能な優れた空気漏入防止性能を有するものである。
したがって本実施形態の配管システムでは、二次側の空調系統としての配管路1における圧力を一次側の熱源系統とは独立して制御することが可能であり、それにより配管路1における圧力を熱源系統の影響を受けることなく最適にかつ容易に制御し得るものであって、配管路1を真空に維持した状態での安定な運転が可能である。
すなわち、従来一般的なファンコイルユニットの機器圧損は-5.5mAq程度であるから、それをそのまま使用するとそれ自体でほぼ許容圧力損失に達してしまって管路圧損をあまり見込むことができず、そのため1系統当たりの所要配管長を抑制する必要があり、結果として系統数を多くせざるを得ない。
そこで、本実施形態では、冷水コイル内配管の冷水流量が通常のものに比べて半分程度の小流量型としてそこでの圧力損失を−0.5mAq程度にまで低減せしめた低圧力損失型のファンコイルユニットを空調機6として用いることとする。これにより管路圧損を−5〜−5.5mAq程度まで見込むことができるから、管路相当長がたとえば100m以上であってもその管路圧損を含めた全圧力損失を許容限度内に支障なく抑制することが可能となり、それにより安定な真空運転が可能となるし、1系統当たりの配管長を十分に長くして系統数を抑制することが可能となって合理的かつ実用的な空調設備を実現することができる。
周知のように、大気に晒されている水は20℃において0.019cm3/gの空気を溶存しており、水を真空にするとその溶存空気は気体となり泡となって配管路1内を浮遊して循環ポンプ7の能力を低下させてしまうことから、本実施形態の配管システムでは水中の空気分子を膜により分離するための脱気装置20を立ち上がり管2(還り管2b)の途中に設置して、その脱気装置20を適宜運転することにより水中の溶存酸素を脱気して循環ポンプ7を安定に運転するものである。
具体的には、配管路1における内圧が例えば−7mAqでありかつ水温12℃の場合においては、気泡を生じない限界の溶存空気濃度は0.0066cm3/gであるから、冷水中の溶存空気濃度を測定して上記の限界値を超えないように脱気装置20を運転し制御することにより、真空運転に伴う冷水からの泡の発生を確実に防止することができる。なお、冷水の酸素濃度を測定してその値を5倍して空気濃度を推定し、それに基づいて脱気装置20を運転・制御することでも良いし、あるいは配管路1内における水流の状況を適宜目視確認して泡が認められた場合には脱気装置20を強制運転するようにしても良い。
すなわち、図1に示すように、配管路1の高所となっている横引き管3(還り管3a)の末端部にその管路よりもやや大径の透明管31を設置し、その透明管31上に立ち上げた垂直管の頂部に泡センサ32を装着した構成の泡検出機構30が設置されている。
これにより、配管路1内を泡となって流れる空気は透明管31に達するとそこで流速が低下して透明管31の上部に集積されるので、外部からの目視観察により泡の有無や状況を確認できる。また、透明管31に集積された泡は垂直管から泡センサ32に浮上し、そこで光が照射されてその反射光がCdセンサ等の光センサによって検出されることにより泡の有無や状況が光学的にも検出される。
なお、泡検出機構30に集積された泡は最終的には真空ポンプ33あるいはエア抜き弁により排気すれば良い。
また、泡検出機構30を設置する管路はその泡検出機構3に向かってやや上り勾配となるように配管することが好ましい。
その空気排出機構40は、空気溜まりとなるタンク41と、そのタンク41に接続された真空タンク42および真空ポンプ43と、それらに付設された液面センサ44a、44b、真空計45a、45b、真空バルブ46からなり、配管路1内に漏入したり配管路1内において発生した空気をタンク41に導き、タンク41内に溜まる空気量によって変動する水位の変化を液面センサ44a、44bにより検出して真空ポンプ43を作動させることにより、タンク41内から自動的に空気を排出するようにしたものである。
具体的には、低位置に設置した液面センサ44aが液面低下を検知したときに真空ポンプ43を運転し、タンク41および真空タンク42にそれぞれ設けられた真空計45a、45bの圧力を比較して真空タンク42の方が低圧であることを確認した時点で真空バルブ46を開として排気を行い、液面センサ44bにより液位が上昇して回復したことを検知したら真空バルブ46を閉じて真空ポンプ43を停止することにより、タンク41内に溜まる空気を自動的に排気することができる。
また、膨張タンク7を昇降可能としてその位置を上下方向に変更可能としているので、運転時には配管路1内の圧力を適正な負圧に維持し得る位置に膨張タンク7を配置可能であることはもとより、運転開始に先立って行う必要のある水張り時には膨張タンク7を配管路1の最高部よりもさらに高所に配置することにより配管路1に対する水張りを支障なくしかも容易に行うことが可能である。
これは基本的には図1に示したものと同様であって、両者に共通の要素には同一符号を付しているが、膨張タンク7からの膨張管8をバルブV2を介して循環ポンプ4の吐出側に接続することに加えて、膨張管8をバルブV1を介して循環ポンプ7の吸込側にも接続してある。
また、本実施例では図1に示した泡検出機構30や図3に示した空気排出機構40は省略しており、それに代えて横引き管3の4個所にエア溜まり50およびエア抜き管51を設けてある。
その際、まずバルブV1を開、バルブV2を閉とした状態で循環ポンプ4を運転し、それにより配管路1内の空気を横引き管3に設けたエア抜き弁51により排気しつつ注水を行う。
そのようにして配管路1内全体に冷水を充満させたら、図1に示した脱気装置20(図4では図示略)を運転して冷水中の溶存空気を除去し、溶存空気濃度を0.7mg/L程度にする。
しかる後に、膨張タンク7を降下させて水面レベルを横引き管3のレベルよりも低い位置とし、バルブV1を閉じてバルブV2を開くことによりこの時点で膨張タンク7を循環ポンプ4の吐出側に対して接続し、その状態で負圧運転を開始すれば良い。
図5(a)は本発明のシステムとの比較のために膨張タンク7を循環ポンプ4の吸込側に接続した場合(膨張管8をバルブV1を介して循環ポンプ7の吸込側に接続した場合)であり、この場合は従来一般のシステムと同様に配管路1内全体が大気圧以上(正圧)となるから、配管路1にリークが生じた場合には漏水が懸念される。
それに対し、本発明のように膨張タンク7を循環ポンプ4の吐出側に接続した場合(膨張管8をバルブV2を介して循環ポンプ4の吐出側に接続した場合)には、(b)に示すように循環ポンプ4の前後の位置で正圧になる場合はあるものの他の位置ではほぼ負圧となり、特に冷水流量が280L/minの場合には循環ポンプ4の吐出部の直近位置である点P1の位置で正圧になるだけで他の位置ではいずれも負圧が維持され、これにより配管路1のほぼ全体において漏水の発生を有効に防止できることが確認できた。
また、上記実施形態のように安定な負圧運転を行うために様々な要素を付加することが好ましいが、それらの各要素は必要に応じて備えれば良く、不要な要素については省略して差し支えない。
2 立ち上がり管
2a 往管
2b 還り管
3 横引き管
3a 往管
3b 還り管
4 循環ポンプ
5 三方弁
6 空調機(低圧力損失型のファンコイルユニット)
7 膨張タンク
8 膨張管
9 昇降機構
10 管体
10a 差し込み管
10b 受け入れ管
11 フランジ
12 ボルト
15 熱交換器
20 脱気装置
30 泡検出機構
31 透明管
32 泡センサ
33 真空ポンプ
40 空気排出機構
41 タンク
42 真空タンク
43 真空ポンプ
44a、44b 液面センサ
45a、45b 真空計
46 真空バルブ
50 エア溜まり
51 エア抜き弁
Claims (7)
- 高低差のある一連の配管路によって密閉型の循環経路を構成し、該配管路の途中に組み込んだ循環ポンプによって流体を循環させるための配管システムであって、
前記循環ポンプを前記配管路の低所に設置して、該循環ポンプの吐出側に大気開放型の膨張タンクを接続するとともに、該膨張タンクを昇降可能としてその設置位置を上下方向に変更可能とし、
前記膨張タンクを前記配管路の最高部よりも高所に配置した状態で該膨張タンクより前記配管路内へ前記流体を流下せしめて充満せしめ、
前記膨張タンクを前記配管路の最高部よりも低所に配置した状態で前記循環ポンプを運転することにより、前記配管路の少なくとも高所での内圧を大気圧以下の負圧に維持した状態で前記流体を循環せしめる構成としたことを特徴とする配管システム。 - 請求項1記載の配管システムであって、
複数の管体どうしを差し込み継手によって気密裡に接続することで前記配管路を構成してなることを特徴とする配管システム。 - 請求項1または2記載の配管システムであって、
前記配管路をクリーンルームを対象とする空調用の冷水循環経路として構成し、該配管路に熱源機との間で熱交換を行って冷水を調整する熱交換器を組み込んでなることを特徴とする配管システム。 - 請求項3記載の配管システムであって、
クリーンルームに設置する空調機を低圧力損失型のファンコイルユニットとしてなることを特徴とする配管システム。 - 請求項1,2,3または4記載の配管システムであって、
前記配管路に脱気装置を組み込んでなることを特徴とする配管システム。 - 請求項1,2,3,4または5記載の配管システムであって、
前記配管路の高所に泡検出機構を組み込んでなることを特徴とする配管システム。 - 請求項1,2,3,4,5または6記載の配管システムであって、
前記配管路の最高部に、空気溜まりとなるタンクから真空ポンプによって空気を排出するための空気排出機構を組み込んでなることを特徴とする配管システム。
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