JP2012219424A - 中芯原紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】段ボール用の中芯原紙であって、酸化度が3〜10mol%である酸化澱粉および網目状の水溶性高分子が表面に塗工されていることを特徴とする。また、水溶性高分子がポリアクリルアミドであることが好ましく、圧縮強度をより高めることが可能となる。更に、内添紙力剤として両性ポリアクリルアミドを含有することが好ましく、かかる構成を有することにより、系内に異物を発生させることなく、水溶性高分子や酸化澱粉を使用した際の圧縮強度の向上効果をさらに補填することができる。
【選択図】なし
Description
中芯原紙は、JIS P 3904に規定されている表示坪量115〜200g/m2の規格商品が主流で流通しているものの、近年では省資源、軽量化が求められ、坪量が75g/m2前後の軽量中芯のニーズも多くなっており、本発明に基づく中芯は、前記軽量化においても、充分に必要な特性を示す段ボール用中芯原紙を製造できる。中芯原紙の坪量が110g/m2を超過する場合、外添する酸化澱粉が中芯原紙内部にまで浸透しにくいため圧縮強度が向上しにくい傾向がある。この場合、後述するように内添紙力剤を含有させて圧縮強度を向上させればよい。また、中芯原紙を多層抄紙して製造する場合は、中層の内添紙力剤の含有量を、表裏層よりも多くし、圧縮強度の低下を防止すればよい。
原料パルプは、中芯原紙をJIS P8220:1998「パルプ‐離解方法」に準拠して離解し、得られた離解パルプのJIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」に準拠したフリーネスが400〜600ccCSF、好ましくは450〜530ccCSFになるように調整されたパルプであることが好適である。フリーネスが400ccCSF未満の場合、紙層中の平均繊維長が短くなるため圧縮強度が低下する傾向がある。他方、フリーネスが600ccCSFを超える場合、パルプ繊維同士の絡み合いが少なく、糊の吸収性が低下する傾向がある。なお、フリーネスの調節は、たとえば、原料として用いる古紙の選択、公知の叩解処理などの調節手段を取ることによって、行うことができる。
本発明では、酸化度が3〜10mol%である酸化澱粉を用いる(以下、本発明の酸化澱粉とする)。本発明の酸化澱粉は、酸化度が3〜10mol%と適度に酸化され低分子化されているため、圧縮強度を向上させることができるとともに、中芯原紙に塗工された酸化澱粉の溶液が中芯原紙表面で成膜されにくく、貼合糊の吸収性の高い中芯原紙が得られるため、高い段ボールシート生産性を得ることができる。ここでいう高い段ボールシート生産性とは、貼合速度で250m/分以上、好ましくは300m/分以上である。
酸化度が3mol%未満の酸化澱粉は、充分に酸化されず低分子化していないため、圧縮強度が向上できるとしても、中芯原紙表面で成膜して貼合糊の吸収性が悪化し、段ボールシートの生産性が低下する問題がある。一方、酸化度が10mol%を超過する酸化澱粉では、酸化が進みすぎて低分子化されすぎており、圧縮強度が向上できない問題がある。
本発明においては、網目状の水溶性高分子を用いる。網目状の水溶性高分子を用いると、直鎖状や分岐状の水溶性高分子と比べて皮膜を形成しにくく糊の吸収性に優れる中芯原紙を得ることができる。すなわち、中芯原紙は乾燥する際に、パルプ繊維の網目隙間部分から水分が失われやすく、水が繊維間結合部分に移動しやすく、パルプ繊維が重なった繊維間結合部分の水分は乾燥の最終段階で失われるため、水の移動に伴い水中の薬品も繊維間結合部分に移動しやすくなる。つまり、複数のパルプ繊維にまたがって結合している直鎖状や分岐状の水溶性高分子は移動しにくく、分子サイズのより小さい網目状の水溶性高分子は移動しやすい。このため、同程度の分子量を有する水溶性高分子であれば、直鎖状や分岐状の水溶性高分子に比べて網目状の水溶性高分子の方が分子サイズが小さいため、繊維間結合部分に集中しやすくなる。これにより、網目状の水溶性高分子が不均一に存在しやすくなり、成膜しにくくなる。また、仮に成膜したとしても上記のとおり、パルプ繊維の網目隙間部分は成膜しにくく膜厚が薄いため、糊の吸収性の低下を最小限に抑えることができる。
内添紙力剤は一般に歩留りが悪く、添加から数時間は充分な効果が出ないため生産性が悪い傾向があるが、本発明では、本発明の酸化澱粉および網目状の水溶性高分子を外添するため、塗工後すぐに製品を得ることができる。
なお、本発明においては、たとえば滑剤、サイズ剤、填料分散剤、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、蛍光消去剤等の公知の種々の添加剤を、単独で、あるいは2種以上を混合して添加してもよい。
(水溶性高分子)
網目状PAM:ハリコートGA25(ハリマ化成(株)製、PAM系紙力剤)
直鎖状PAM:ハリコートG35(ハリマ化成(株)製、PAM系紙力剤)
分岐状PAM:PS462(荒川化学工業(株)製、PAM系紙力剤)
アクリル樹脂:ポリマセット500(荒川化学(株)製)に架橋剤を加えて架橋させ、網目状とした。
ポリビニルアミン:ルレデュアVI(星光PMC(株)製)に架橋剤を加えて架橋させ、網目状とした。
(澱粉)
酸化澱粉:次のとおり生澱粉(トウモロコシ生澱粉)を酸化して、表に記載の酸化度を有する澱粉を調製した。
澱粉15g(トウモロコシ生澱粉、日本コーンスターチ(株)製)を、750mlの実験室混合機を使用して600rpmで撹拌することによって水200mlに分散させた。所定量の次亜塩素酸ナトリウムを徐々に加え、塩酸を添加してpHを2.3の値に維持しながら、35℃の温度で60分間加水分解を生起させた。次いで、水酸化ナトリウム溶液を添加してpH値を7.5にした。次いで、撹拌機を2200rpmに設定し、さらに15分間反応を続けた。その後、25℃で30分間600rpmで撹拌しながら、95%エタノール250mlを添加した。次いで、生成物を遠心し、70%エタノール中に分散させ、再度遠心し、イソプロパノール中に再度分散させ、24時間放置した。生成物をろ過し、真空乾燥器中60℃で乾燥した。次亜塩素酸ナトリウムの量は、表1に記載の酸化度となるように調整した。なお、酸化澱粉の酸化度は、TAPPI METHOD T237 om-83に準拠してカルボキシル基含有量を測定し、グルコース単位中のカルボキシル基の含有割合(mol%)として算出した。
リン酸澱粉:スターコート#16(日本食品加工(株)製、尿素リン酸エステル化澱粉)
HES:COATMASTER K96F(三晶(株)製、ヒドロキシエチル化澱粉)
(内添紙力剤)
両性PAM:ハーマイドRB300(ハリマ化成(株)製)
カチオンPAM:ハリフィックスUF−570(ハリマ化成(株)製)
アニオンPAM:ハーマイドC10(ハリマ化成(株)製)
ノニオンPAM:ハリコート1057(ハリマ化成(株)製)
(圧縮強度)
JIS P 8126:2005「紙および板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法」に準拠して、抄紙幅方向(横方向)について測定した。圧縮強度が204N以上であれば特に圧縮強度に優れ、194N以上であれば圧縮強度が良好であり、184N以上であれば圧縮強度があり実使用可能であり、184N未満であれば圧縮強度に劣り実使用できないものである。
(糊の吸収性)
動的吸水性試験で評価した。動的吸水性はサイズテスター(商品名:EST、Emtec社製)を用い、紙片(75mm×50mm)を両面テープでフォルダーに固定し、このフォルダーを、水350mlを満たした試験容器内に設けられた、超音波の発信素子と受信素子との間に沈めた。紙片と水とが接触してから0.025秒後に測定を開始し、サイズテスターのモニターに表示された動的吸水性試験値と経過時間とのグラフから、測定開始1秒後の動的吸水性試験値を読みとった。なお、測定用の超音波周波数は2MHzであった。
動的吸水性が25%以下であれば糊の吸収性に特に優れ、28%以下であれば糊の吸収性が良好であり、30%以下であれば糊の吸収性があり実使用可能であり、30%を超過すると糊の吸収性に劣り実使用できない。
(離解フリーネス)
中芯原紙をJIS P8220:1998「パルプ‐離解方法」に準拠して離解し、得られた離解パルプのJIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」に準拠してフリーネスを測定した。フリーネスは400〜600ccCSFであることが好ましく、特に450〜530ccCSFであることが好ましい。フリーネスが400ccCSF未満の場合、紙層中の平均繊維長が短くなるため圧縮強度が低下する傾向がある。フリーネスが600ccCSFを超える場合、パルプ繊維同士の絡み合いが少なく、糊の吸収性が低下する傾向がある。
段ボール古紙パルプ60重量%と、雑誌古紙パルプ40重量%を混合した後、ダブルディスクリファイナーで叩解し、中芯原紙を離解した際の離解フリーネスが表1に記載の値となるよう、原料パルプスラリーを調製した。この原料パルプスラリーに、表1に記載の種類および量の内添紙力剤を含有させ、単層の湿紙を形成し、その後、湿紙を搾水し、プレドライヤーで乾燥させた。次いで、表1に記載の種類の澱粉および水溶性高分子を、それぞれ両面あたり表1に記載の塗工量となるよう混合した後、塗料濃度10質量%に調整して表1に記載の塗工量となるよう湿紙の表裏面にフィルム転写方式で塗布し、乾燥させて、坪量が120g/m2である中芯原紙を調製した。実施例2以降および比較例は、実施例1を元に、表に記載の条件となるよう変更して製造した。
Claims (3)
- 段ボール用の中芯原紙であって、
酸化度が3〜10mol%である酸化澱粉および網目状の水溶性高分子が表面に塗工されていることを特徴とする、中芯原紙。 - 前記水溶性高分子がポリアクリルアミドであることを特徴とする、請求項1記載の中芯原紙。
- 前記中芯原紙が、内添紙力剤として両性ポリアクリルアミドを含有することを特徴とする、請求項1または2記載の中芯原紙。
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