JP2012218684A - 船外機の推進機支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】支持剛性に優れ、操縦性や走行性能を大幅に向上する船外機の推進機支持構造を提供する。
【解決手段】フレームに搭載されたエンジンをケース100内部に収容すると共に、ケース100外部にエンジンによって駆動される推進機を備える。ケース100の後面側中央部にてケース100内方へ凹設した凹部103に沿うように、コ字型のメインブラケット44をケース100に対して外付けし、メインブラケット44により推進機が支持される。
【選択図】図13
【解決手段】フレームに搭載されたエンジンをケース100内部に収容すると共に、ケース100外部にエンジンによって駆動される推進機を備える。ケース100の後面側中央部にてケース100内方へ凹設した凹部103に沿うように、コ字型のメインブラケット44をケース100に対して外付けし、メインブラケット44により推進機が支持される。
【選択図】図13
Description
本発明は、船外機における特に推進機の支持構造に関する。
船舶もしくは舟艇の推進機関あるいは推進システムの主なものとして船外機、船内外機及び船内機等がある。このうち船外機はアウトボードドライブ等と呼ばれ、エンジン、その捕機類、駆動系のギアやシャフト及びスクリュー等が一体化して構成されており、一般には船体船尾のトランサムボードに搭載される。典型的には小型の舟艇等に搭載され、ステアリング機能とチルティング機能を有している。
また、船内外機は、小型船舶等の推進機関の設置方法として、インボードエンジン・アウトボードドライブ等と呼ばれ、エンジンを船内船尾部に搭載すると共に減速ギア、前後進クラッチ及びプロペラ等を一体化してなるドライブユニットをトランサムボードの外部に配置したものである。
例えば特許文献1に記載のものにおいて、船外機は一対のクランプブラケット部で船体に固定され、クランプブラケット間にスルーチューブ(チルト軸)を介してスイベルブラケットが支持される。また、船外機本体はスイベルブラケット上のステアリング軸を中心にステアリングする。ステアリングすると横方向に揚力(舵力)が発生するが、この力はクランプブラケット経由で船体に伝えられる。
また、船内外機において例えば特許文献2に記載の構造では、船内外機はチルト軸及びステアリング軸をドライブシャフトの自在継ぎ手(ユニバーサルジョイント)中心においている。自在継手の折曲げ角には制限があるため、チルト角及びステアリング角とも船外機よりも小さい。
しかしながら、特許文献1に記載の船外機では、左右のクランプブラケットは船体及びスルーチューブを通じてのみ連結されるので、船体の剛性が低いとクランプブラケットの組立剛性が低い。ステアリング時に横方向に発生する力は、クランプブラケット経由で船体に伝えられるが、クランプブラケットは船体に対して片持ち固定であるため、トリム(チルト)すると、揚力(舵力)中心が船体から後方に離れるので、クランクブラケットがハの字上に開き気味となる。このような理由から船外機は実質的に大きな揚力(舵力)を発生させることができないという問題があり、また、トリム(チルト)角もスラスト状態では大きくできないという問題がある。更に同様な理由から舵が効き難く、小回り性能が良くないという問題がある。
また、ハイチルト状態ではクランプブラケット下端とスイベルブラケット下端が重なり合わない。このようなハイチルト状態であっても、浅瀬では運転される。この場合揚力(舵力)を受けるのはスルーチューブである。スルーチューブはスイベルブラケットに回転可能に支持されているだけなので、剛性が小さくそのままではガタも大きく、大きな舵力を発生させることができない。
更に、特許文献2に記載のものでは、前述のように自在継手の折曲げ角には制限があるため、チルト角及びステアリング角とも船外機よりも小さく、従って舵が効き難く、小回り性能が悪いという問題がある。
本発明はかかる実情に鑑み、支持剛性に優れ、操縦性や走行性能を大幅に向上する船外機の推進機支持構造を提供することを目的とする。
本発明による船外機の推進機支持構造は、フレームに搭載されたエンジンをケース内部に収容すると共に、ケース外部に前記エンジンによって駆動される推進機を備えた船外機において、前記ケースの後面側中央部にてケース内方へ凹設した凹部に沿うように、コ字型のメインブラケットを前記ケースに対して外付けし、このメインブラケットにより前記推進機が支持されるようにしたことを特徴とする。
また、本発明の船外機の推進機支持構造において、前記メインブラケットはそのコ字型の両辺部において、スイベルブラケットのチルト軸両端部を支持する軸受部を有し、この軸受部が2つ割りに分割構成されることを特徴とする。
また、本発明の船外機の推進機支持構造において、前記メインブラケットの軸受部は前記ケースを介して、前記フレームとボルト結合することを特徴とする。
また、本発明の船外機の推進機支持構造において、前記ケースにはチルト軸上に配置される駆動軸が貫通する開口が形成され、この開口に沿って装着したグロメットが、前記メインブラケットの軸受部と前記フレームに設けたフランジ部とによって両側から挟まれて弾圧されることを特徴とする。
本発明によれば、ケース本体の凹部にてコ字型のメインブラケットにより推進機を支持することで、推進機に対する極めて高い支持剛性を得ることができる。これにより急旋回や旋回中のチルト操作が滑らかに且つ短い時間で行うことができる。この場合、メインブラケットの軸受部を半割り状にし、推進機をエンジンケースの外側から独立してフレームに取り付けることができ、組立及びメインテナンス等を簡単化することができる。
また、ベアリングハウジングを2つ割りに分割構成しながらも、メインブラケットは全体としてコ字状に一体化しているため、加工時及び組立時同軸度が得られ、加工及び組立精度を大幅に向上することができる。更に、メインブラケットの軸受部を構成するベアリングハウジングはケース本体を介して、フレームのフランジ部とボルト結合するが、スペーサを介装し且つそれらの周囲にスイベルグロメット及びボルトグロメットを設けることで、高い水密性を確保できる。
以下、図面に基づき、本発明における船外機の推進機支持構造の好適な実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る船外機10を搭載した船舶もしくは舟艇の例を示している。この例では船舶は典型的には中小型とし、船体1の後部にトランサムボード2(船尾板)有するものとする。船外機10は図示のようにトランサムボード2を利用して搭載される。なお、以下で参照する各図の要所において、前方(船首側)を矢印Frにより、後方(船尾側)を矢印Rrによりそれぞれ示す。また、必要に応じて船体の左右方向(船幅方向)をそれぞれ矢印L、矢印Rにより示す。
図1は、本発明に係る船外機10を搭載した船舶もしくは舟艇の例を示している。この例では船舶は典型的には中小型とし、船体1の後部にトランサムボード2(船尾板)有するものとする。船外機10は図示のようにトランサムボード2を利用して搭載される。なお、以下で参照する各図の要所において、前方(船首側)を矢印Frにより、後方(船尾側)を矢印Rrによりそれぞれ示す。また、必要に応じて船体の左右方向(船幅方向)をそれぞれ矢印L、矢印Rにより示す。
ここで先ず本実施形態に係る船体1において、図1のように船体1の底部に船床3が敷設され、この船床3の後端にトランサムボード2が配置される。船床3の中央部付近において操縦席4が設けられ、操縦席4にはハンドル5を始めとする操縦に必要な装置及び機器類、計器類等が配設される。船外機10は動力、推進機、転舵装置及びチルト装置等が一体的に装備され、所謂オールインワンタイプとして構成され、船体1側に燃料タンク、バッテリ等の通常の備品があれば運転可能である。
なお、船舶としてこの図示例のものに限定されず、その他トランサムボードの後側に船外機搭載用のブラケット等を具備した船体もあり、つまり船体の船尾に船尾板又はこれに相当する部位もしくは部材を有するタイプのものに対して、本発明の船外機10は有効に適用可能である。
図2〜図5は船外機10の外観を示し、図2は船外機10の斜視図、図3は後面図、図4は側面図及び図5は前面図である。船外機10は樹脂製エンジンケース100を有し、このエンジンケース100内部に後述する動力源であるエンジンユニットを収容すると共に、エンジンケース100の後部下方にスクリュー(プロペラ)を配置し、エンジンユニットによってスクリューを回転駆動する。エンジンケース100は船外機10の外観を構成する外装部材としても機能し、全体として一体感のある外観を呈している。
エンジンケース100は図1をも参照して、船体1の船尾部(典型的にはトランサムボード2とする)と略同一の幅を有する筐体として構成される。この例ではエンジンケース100の基本的な形態は概略直方体とし、該直方体の長手方向が船幅方向としている。エンジンケース100はエンジンユニット及びその周辺部品もしくは部材を収容するケース本体101と、ケース本体101の上部開口101a(図12参照)を覆うケースカバー102とを有する。
エンジンケース100内に収容されるエンジンユニット及びその周辺部品等について説明する。本発明の船外機10はそのパワーユニットとして内燃機関を主動力とし、これを作動させて推進機を駆動する。図6は船外機10におけるエンジンケース100内部の構成例を示し、図7はエンジンケース100内の主要構成の分解斜視図である。エンジンケース100内において、パワーユニットを構成するエンジンユニット11が、コンパクト且つ重量バランス良く配置収容される。この実施形態では2基のエンジンユニット11を有し、その筐体の長手方向が船幅方向としたエンジンケース100の左右に、一対のエンジンユニット11がセンタ振分けで配置される。各エンジンユニット11には、吸気系12及び排気系13が接続されると共に、それぞれの出力端(クランクシャフト)に動力伝達機構14が連結される。動力伝達機構14はエンジンユニット11の後側にて左右方向中央部で推進機15と結合し、これらの船外機構成部材が図7のようにフレーム16上に搭載支持される。
更に具体的に説明すると、エンジンユニット11において、この例では水冷式直列4気筒4サイクルガソリンエンジンを使用する。なお、エンジン気筒数等は必要に応じて適宜変更可能であり、この例に限定されるものではない。図8を参照して、エンジンユニット11においてクランクケース17、シリンダブロック18、シリンダヘッド19及びシリンダヘッドカバー20が順次重なるように一体的に結合し、最下部にオイルパン21が付設される。各エンジンユニット11のクランクシャフトは船幅方向(左右方向)に沿って配置され、その軸端に結合するエンジン出力軸が左右両外側に位置するように配置され、即ち右側のエンジンユニット11のエンジン出力軸は右側に、左側のエンジンユニット11のエンジン出力軸は左側となるように配置される。
次に吸気系12において、図6に示すようにエンジンユニット11相互間に単一のエアクリーナ22が配置される。一方、図8に示されるように右側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の前側に、及び左側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の後側にそれぞれインテークマニホールド23が結合し、これらのインテークマニホールド23とエアクリーナ22との間がそれぞれインテークパイプ24を介して接続される。エアクリーナ22の前面部からエンジンケース100前部の船体1側まで吸気管25が延出し(図9参照)、その先端の空気取込み口から空気を取り込むようになっている。空気取込み口は、船体1において波、しぶき及び雨等に曝されることがない部屋もしくはスペースに設置される。図8に示されるように各エンジンユニット11において、単一の吸気管25から複数(この例では4つ)のインテークマニホールド23に分岐する。
排気系13において、図7等に示されるように右側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の後側に、及び左側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の前側にそれぞれエキゾーストマニホールド26が結合し、それらは単一のエキゾーストパイプ27に接続する。エキゾーストパイプ27には排気ホース28が接続され、排気ホース28にはマフラ29が接続される。このマフラ29には排気ホース30が接続され、この排気ホース30に取り付けられた排気出口31から排気ガスが排出されるようになっている。
マフラ29は、エンジンケース100のケース本体101の下面外側に設置される。この場合、マフラ29及び排気ホース30等はケース本体101の下面から実質的に突出しないように配置されると共に、ケース本体101の後面左右両側の下部付近に配置された排気出口31から左右バランス良く水中に排気される。
動力伝達機構14はエンジンユニット11の出力を推進機15へと伝達する。動力伝達機構14において、左右のエンジンユニット11のエンジン出力軸には図10に示されるように減速機32が連結される。減速機32のケーシング33内に回転自在に軸支されたギア群を有し、その出力軸にタイロッド34が連結される。左右のタイロッド34は相互に同心且つ水平で左右方向に配置され、左右中央部で中間減速機35と連結する。各タイロッド34は両端でそれぞれユニバーサルジョイント36,37を介して、減速機32及び中間減速機35と連結する。
本実施形態において中間減速機35は、それぞれタイロッド34に連結する一対の入力側ベベルギアとこれらの入力側ベベルギアに噛合する出力側ベベルギアとを含む。出力側ベベルギアは、ドライブシャフトケース38内のドライブシャフトと連結し、中間減速機35、ドライブシャフトケース38及びスイベルブラケット39が、相互に一体的に結合する。ドライブシャフトは中間減速機35から下方へ延出する。これらのスイベルブラケット39等はベアリング40を介して、後述するようにケース本体101に回動可能に支持される。
推進機15は図10等に示されるように、ドライブシャフトケース38の下方に配置される。推進機15は、プロペラ駆動用のギアを内蔵するギアケース41を含み、全体としてフィン状を呈する。ギアケース41の後端部にはプロペラ42が装架される。ドライブシャフトはドライブシャフトケース38内を通って更に下方へ延出し、ギアケース41内まで延設される。ギアケース41内には最終減速機が構成され、この最終減速機を介してプロペラ42を回転駆動することができる。
更に、推進機15に対するチルト機構及びステアリング機構を備えている。これらについての詳細な説明はここでは省略するが、先ずチルト機構により、中間減速機35、ドライブシャフトケース38及び推進機15全体がチルト軸のまわりに上下方向に回動可能である。チルト軸Tはタイロッド34と同軸に設定され、図10の矢印Aで示すように推進機15はチルト軸Tのまわりにチルト動作することができる。なお、チルト機構において所謂、パワートリムチルト(PTT)等と称する駆動装置を備え、電動油圧式のチルト機構が構成されるものであってよい。
また、ステアリング機構により、図10の矢印Bで示すように推進機15はステアリング軸Sのまわりにヨー方向(左右方向)に回動可能である(ヨーイング)。このステアリング機構において、例えば電動油圧式に油圧駆動されるステアリングシリンダを有し、油圧ポンプを油圧源としてステアリングロッドに沿って往復動させることで推進機15が左右方向に回動、即ちステアリング動作することができる。
上述した船外機10の主要構成部材は図6のようにフレーム16上に搭載支持される。フレーム16は鋼管等の材料を用いて、図11に示されるようにエンジンケース100を構成する筐体の直方体に略沿った外形となるように形成される。フレーム16の所定部位にはエンジンユニット11を搭載支持するための複数のエンジンマウント43が配設され、これらのエンジンマウント43を介してエンジンユニット11がフレーム16上に取り付けられる。また、フレーム16の後部には、前述したスイベルブラケット39等を支持するためのベアリング40が装着されるメインブラケット44が取り付けられる。
更に、フレーム16の前面部には複数のトランサムボルト45が前方に向けて取り付けられる。フレーム16にはエンジンユニット11を始めとする船外機構成部材が搭載されるが、それらを搭載したフレーム16はエンジンケース100内に収容される。トランサムボルト45はそのようなエンジンケース100のケース本体101の前面部を貫通してトランサムボード2に締結され、これによりエンジンケース100全体をトランサムボード2に締着固定することができる。なお、ケース本体101から突出するトランサムボルト45にはシールもしくはパッキン等が装着され、水密性が確保される。
前述のようにエンジンケース100は、エンジンユニット11やその周辺部品を収容するケース本体101と、ケース本体101の上部開口101aを覆うケースカバー102とを有する。ケース本体101に対してケースカバー102が閉じることでエンジンケース100内は実質的に密閉空間となり、高い水密性が確保される。この場合、船外機10の構成部材はフレーム16によって支持され、フレーム16はエンジンユニット11を保持すると共に推進機15の推進力や操舵力を受け持ち、即ちエンジンケース100自体にはそれらの負荷荷重がかからない。また、エンジンケース100は図1に示されるように船外機10の外装部材としても機能し、船外機10に搭載されて全体として一体感の外観を呈する。
図2〜図4等に示されるようにケース本体101の後面側において、その後面部から底面部へかけての領域において、船幅方向中央部にはケース本体101の内方へ凹むように形成された凹部103が設けられている。この凹部103まわりには、推進装置を構成する推進機15やそのチルト及びステアリング機構等が配設される。凹部103はケース本体101の後面側から前方へ向けて形成されるが、チルト機構及びステアリング機構あるいはそれらの周辺機器や部材等がチルトあるいはステアリング動作する際にケース本体101と干渉しないように必要且つ十分な間隙が設けられている。
前述したように船体1側には燃料タンク、バッテリ等の備品が配備され、これらの備品と船外機10とが接続もしくは連結される。この場合、図5に示すようにケーシング101の前面部とトランサムボード2との間で穴を共あけするかたちで、複数の貫通孔104が形成されている。即ち、エンジンに燃焼用空気を供給するための吸気管25を挿通させるための貫通孔104A、燃料タンクからエンジンに燃料を供給するための燃料パイプを挿通させるための貫通孔104B、エンジンケース100内を換気するための換気空気用筒体を通すための貫通孔104C等が形成される。更に、エンジンケース100内の装置もしくは機器類又は部材と船体1側の操縦装置との間を、電気的(制御信号等を含む)あるいは機械的に接続するコード又はケーブル類を挿通させるための貫通孔104Dが形成される。なお、これらの貫通孔104には吸気管25等の実装時に水密保持手段(シール等)が施される。
ケースカバー102はエンジンケース100の上面部を構成するが、図2あるいは図3に示されるようにケース本体101の後部上端付近にてヒンジ105を介して回動可能に結合する。図12のようにケースカバー102をヒンジ105のまわりに回動させて開成することで、エンジンケース100内部が開放され、これにより露呈したエンジンケース100内部のエンジンユニット11等に自由にアクセス可能となる。ケースカバー102を開けて内部の点検等を容易に行うことができ、この種の作業の利便性を向上することができる。
ケース本体101とケースカバー102の閉合部もしくは合せ面には、図12に示されるようにシール106が敷設され、ケースカバー102をケース本体101に対して閉めることでエンジンケース100の高い水密性が確保・保持される。この場合、シール106は、ケース本体101及びケースカバー102の合せ面に沿って全周に亘って敷設される。そして、ケースカバー102が閉まった際にはケース本体101の閉合部との間に挟着され、これによりエンジンケース100に対する高い水密性が得られる。また、ケースカバー102をケース本体101に対して閉じた際、ケースカバー102をその閉合状態に固定保持する図12に示されるようなロック機構107を有している。
また、ケースカバー102をその開き状態に保持可能な保持機構を有し、図12のようにケース本体101に対してケースカバー102を開いた状態に保持することができる。保持機構の具体的構成において、図12のようにケース本体101の開口部101a付近に油圧ダンパ108が配置される。この油圧ダンパ108は、ケースカバー102とフレーム16との間に結合される。ここで図11を参照して、フレーム16の上部後方において左右一対の支持アーム16aを備え、各油圧ダンパ108の一端が、自在軸受109を介して支持アーム16aに連結支持される。油圧ダンパ108の他端は同様に、自在軸受を介してケースカバー102の裏側に連結される。
上記の場合、上述した船外機10の構成部材の他に、エンジンユニット11の冷却配管系、チルト機構及びステアリング機構の駆動用の油圧配管系あるいは部材相互間等で電気信号もしくは電力等を授受するための電気信号線又はコード類等がエンジンケース100内の適所に引き回されると共に、船外機10の運転に必要な補機類が配設される。そして、これらの配管系等を介して、あるいは補機類が作動して、船外機10の適正な運転が遂行される。
前述したようにエンジンユニット11はエンジンマウント43を介して、フレーム16に搭載支持される。ここで、フレーム16は具体的には図11に示されるように左右のサイドフレーム46、船幅方向で凹部103に略対応するインナフレーム47、前部のフロントフレーム48、後部のリヤフレーム49、上部のアッパフレーム50及び下部のロアフレーム51等を含み、パイプ材及び板材、更には厚肉部により構成される。これらの部材は溶接、ボルト結合等によって組み合わされ、相互に結合される。
ケース本体101の後面側に形成された凹部103に対応して、ケース本体101内側のフレーム16も凹状に形成される。この場合、リヤフレーム49やロアフレーム51の凹部103対応する部位を下方に延長し、あるいは斜めに傾斜させることで、図11から分かるようにトラス構造を有する。図13等を参照してスイベルブラケット39の下部において、その左右両側には推進機15がチルト動作する際にケース本体101側に接触するようにしたパッド52が付設される。一方、フレーム16のトラス構造部位には図14にも示すように、パッド52に対応するパッド53が付設される。これらのパッド52,53を設けることで、推進機15を左右両側からガイドするようにしている。
前述したようにスイベルブラケット39はベアリング40を介して、フレーム16に回動可能に支持される。また、フレーム16の後部には図11に示したように、スイベルブラケット39を回動可能に支持するためのベアリング40が装着されるメインブラケット44が取付支持される。フレーム16の後部中央には、メインブラケット44を取り付けるための一対のドーナツ状フランジ部54が設けられている。図11においてはケース本体101は図示されていないが、図13に示されるようにメインブラケット44とフランジ部54の間に挟まれるようにケース本体101、より具体的には凹部103の側壁が介在する。
メインブラケット44は平面視(図11等)でコ字状に形成され、コ字の左右両辺部にベアリング40を装着するベアリングハウジング55(軸受部)を有する。これらのベアリングハウジング55の周囲にて複数、この例では4つのボルト56によってフレーム16に締着固定される。
このようにメインブラケット44は左右のベアリングハウジング55を含めて、全体としてコ字状に一体成形さえるので、従来型船外機の左右独立したクランプブラケットでスイベルブラケットのチルト軸を支える方式よりも、高い剛性でスイベルブラケット39を支えることができる。従って、急旋回や旋回中のチルト(トリム)操作が滑らかに且つ短い時間で行えるようになる。
このようにメインブラケット44は左右のベアリングハウジング55を含めて、全体としてコ字状に一体成形さえるので、従来型船外機の左右独立したクランプブラケットでスイベルブラケットのチルト軸を支える方式よりも、高い剛性でスイベルブラケット39を支えることができる。従って、急旋回や旋回中のチルト(トリム)操作が滑らかに且つ短い時間で行えるようになる。
ここで、ベアリングハウジング55自体は図13等に示されるように前後に2つ割りに分割構成され、これについては後述するものとするが、図15を参照してその固定構造について説明する。メインブラケット44とフランジ部54の間にて、先ずフランジ部54の開口部54aに沿って、スペーサ57が装着され、更にスペーサ57の外周側のボルト56の配設位置にスペーサ58が装着される。これらのスペーサ57,58は、ケース本体101の板厚に相当する厚さを有する。このようにメインブラケット44とフランジ部54の間にスペーサ57,58を装着することで、塑性変形し易いケース本体101に対してボルト56の締付けによる軸力が直接作用しないため、フレーム16とメインブラケット44をボルト56によって強固に締め付けることができる。
また、上記のようにスペーサ57,58を介装することによって、フレーム16及びメインブラケット44間の間隙寸法が決定される。スペーサ57の周囲にはスイベルグロメット59を、またボルト56の周囲にはボルトグロメット60をそれぞれを設けることによって、ケース本体101に開設された開口61の周囲からエンジンケース100内に水が浸入することを防ぐことができる。
上述したようにベアリングハウジング55は前後に2つ割りに分割構成され、即ち図16(A)のように一方のハウジング本体55Aと他方のキャップ55Bからなる。ハウジング本体55A及びキャップ55Bの合せ面には図16(B)のようにノック62が打設され、両者はノック62を介して相互に位置合せされる。更にノック62のノック穴と同心にボルト63を螺着し、これによりキャップ55Bが図16(C)のようにハウジング本体55Aに締付け固定されることで、ベアリングハウジング55として一体的に結合する。
上記のようにハウジング本体55A及びキャップ55Bを一体結合して、両者が組み立てられた後、図16に示される左右の軸穴64が同時加工される。このようにベアリングハウジング55を一体化した状態で軸穴64を同時加工することで、ハウジング本体55A及びキャップ55Bの分解組立後にも、加工時における軸穴64の同軸度精度を確保することができる。
また、スイベルブラケット39を含む推進機15は、エンジンケース100の外側に配置される。メインブラケット44の半割り式軸受部でスイベルブラケット39を支えることで、エンジンケース100内部のエンジンユニット11とは独立して、推進機15だけを脱着できる。従って、組立及びメインテナンス等を簡単化することができる。
また、スイベルブラケット39を含む推進機15は、エンジンケース100の外側に配置される。メインブラケット44の半割り式軸受部でスイベルブラケット39を支えることで、エンジンケース100内部のエンジンユニット11とは独立して、推進機15だけを脱着できる。従って、組立及びメインテナンス等を簡単化することができる。
ここで、図17はスイベルブラケット39の上部まわりの構成例を示している。スイベルブラケット39の左右両肩部には、チルト軸Tと同心とした中空円筒状のチルト懸架部65が形成されている。このチルト懸架部65にはベアリング40が装着され、このベアリング40が更に上述のように両側からハウジング本体55A及びキャップ55Bによって挟み込まれる。このようにスイベルブラケット39はチルト懸架部65にて、ベアリング40を介してチルト軸Tのまわりに回動可能に支持され、これによりスイベルブラケット39が円滑にチルト動作することができる。この場合、チルト軸T方向のスラストベアリング66が各ベアリング40に隣接配置され、これにより例えば船体1の旋回中等においてスイベルブラケット39に対して横力が働いている際にも、円滑且つ適正なチルト動作が保証される。
また、各チルト懸架部65の内部にはチルト軸Tと同心に、中間減速機35に対する一対の入力軸67がベアリング68を介して回転自在に支持される。入力軸67の一端側は、ユニバーサルジョイント37を介してタイロッド34と連結される。この場合、両者はスプライン等を介して回転方向には固定で、軸方向には所定ストローク相対移動可能に接続される。また、入力軸67の他端側には、ベベルギア69が取り付けられる。一方、ドライブシャフトケース38内にはドライブシャフト70が回転可能に挿通支持されており、該ドライブシャフト70の上端に取り付けられたベベルギア71がベアリング72を介して回転自在に支持される。ベベルギア71は、相互に対向配置されたベベルギア69双方に噛合する。
次に、本発明の特徴的な作用効果について説明すると先ず、ケース本体101の凹部103にてコ字状のメインブラケット44により推進機15を支持することで、推進機15に対する極めて高い支持剛性を得ることができる。これにより急旋回や旋回中のチルト(トリム)操作が滑らかに且つ短い時間で行うことができる。
この場合、メインブラケット44のベアリングハウジング55、即ち軸受部を半割り状にしたので、スイベルブラケット39を含む推進機15をエンジンケース100の外側から独立してフレーム16に取り付けることができる。このように推進機15だけをエンジンケース100から脱着できるため、組立及びメインテナンス等を簡単化し、それらの作業の利便性等を向上することができる。
この場合、メインブラケット44のベアリングハウジング55、即ち軸受部を半割り状にしたので、スイベルブラケット39を含む推進機15をエンジンケース100の外側から独立してフレーム16に取り付けることができる。このように推進機15だけをエンジンケース100から脱着できるため、組立及びメインテナンス等を簡単化し、それらの作業の利便性等を向上することができる。
また、ベアリングハウジング55を2つ割りに分割構成しながらも、メインブラケット44は全体としてコ字状に一体化しているため、加工時及び組立時同軸度が得られ、加工及び組立精度を大幅に向上することができる。
更に、メインブラケット44の軸受部はケース本体101を介して、フレーム16のフランジ部54とボルト結合するが、スペーサ57,58を介装し且つそれらの周囲にスイベルグロメット59及びボルトグロメット60を設ける。
このように左右のフランジ部54をケース本体101の外側で連結することで、フレーム16の横方向(ドライブ軸スラスト方向)の剛性が高まる上、寸法精度を高くできないケース本体101の開口61を内側と外側から剛性のあるフランジ部54とベアリングハウジング55で挟むことで、高い水密性を確保できる。
このように左右のフランジ部54をケース本体101の外側で連結することで、フレーム16の横方向(ドライブ軸スラスト方向)の剛性が高まる上、寸法精度を高くできないケース本体101の開口61を内側と外側から剛性のあるフランジ部54とベアリングハウジング55で挟むことで、高い水密性を確保できる。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
上記実施形態において4本のボルト56でメインブラケット44を固定する例を説明したが、5本以上のボルト56を用いてもよい。
上記実施形態において4本のボルト56でメインブラケット44を固定する例を説明したが、5本以上のボルト56を用いてもよい。
1 船体、2 トランサムボード、3 船床、6 貫通孔、7 船底、10 船外機、11 エンジンユニット、12 吸気系、13 排気系、14 動力伝達機構、15 推進機、16 フレーム、17 クランクケース、18 シリンダブロック、19シリンダヘッド、20 シリンダヘッドカバー、21 オイルパン、22 エアクリーナ、23 インテークマニホールド、24 インテークパイプ、25 吸気管、26 エキゾーストマニホールド、27 エキゾーストパイプ、28 排気ホース、29 マフラ、30 排気ホース、31 排気出口、32 減速機、33 ケーシング、34 タイロッド、35 中間減速機、36,37 ユニバーサルジョイント、38 ドライブシャフトケース、39 スイベルブラケット、40 ベアリング、41 ギアケース、42 プロペラ、43 エンジンマウント、44 メインブラケット、45 トランサムボルト、46 サイドフレーム、47 インナフレーム、48 フロントフレーム、49 リヤフレーム、50 アッパフレーム、51 ロアフレーム、52,53 パッド、54 フランジ部、55 ベアリングハウジング、56 ボルト、57,58 スペーサ、59 スイベルグロメット、60 ボルトグロメット、61 開口、62 ノック、63 ボルト、64 軸穴、65 チルト懸架部、66 スラストベアリング、67 入力軸、68 ベアリング、69 ベベルギア、70 ドライブシャフト、71 ベベルギア、100 エンジンケース、101 ケース本体、102 ケースカバー、103 凹部、104 貫通孔、105 ヒンジ、106 シール、107 ロック機構、108 油圧ダンパ、109 自在軸受。
Claims (4)
- フレームに搭載されたエンジンをケース内部に収容すると共に、ケース外部に前記エンジンによって駆動される推進機を備えた船外機において、
前記ケースの後面側中央部にてケース内方へ凹設した凹部に沿うように、コ字型のメインブラケットを前記ケースに対して外付けし、このメインブラケットにより前記推進機が支持されるようにしたことを特徴とする船外機の推進機支持構造。 - 前記メインブラケットはそのコ字型の両辺部において、スイベルブラケットのチルト軸両端部を支持する軸受部を有し、この軸受部が2つ割りに分割構成されることを特徴とする請求項1に記載の船外機の推進機支持構造。
- 前記メインブラケットの軸受部は前記ケースを介して、前記フレームとボルト結合することを特徴とする請求項2に記載の船外機の推進機支持構造。
- 前記ケースにはチルト軸上に配置される駆動軸が貫通する開口が形成され、この開口に沿って装着したグロメットが、前記メインブラケットの軸受部と前記フレームに設けたフランジ部とによって両側から挟まれて弾圧されることを特徴とする請求項2又は3に記載の船外機の推進機支持構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011089414A JP2012218684A (ja) | 2011-04-13 | 2011-04-13 | 船外機の推進機支持構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016055737A (ja) * | 2014-09-09 | 2016-04-21 | スズキ株式会社 | 船外機のトー角制御システム及びトー角制御方法 |
-
2011
- 2011-04-13 JP JP2011089414A patent/JP2012218684A/ja not_active Withdrawn
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