JP2012218039A - 連続鋳造におけるブレークアウトの検知方法 - Google Patents

連続鋳造におけるブレークアウトの検知方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ブレークアウトによる鋳型下端以降での溶鋼流出を未然に防止することにある。
【解決手段】連続鋳造用モールドに対して幅方向100〜200mm間隔、鋳造方向にメニスカス下50〜300mmの2箇所の位置に熱電対を溶鋼側の銅板表面から5〜15mmの深さ位置に埋設し、各温度測定値をブレークアウト発生の判定に用いることを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウトの検知方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼の連続鋳造において鋳型内の凝固シェルに発生するブレークアウト(凝固シェルの破れ)につながる異常現象を精度良く検知することでブレークアウトを高精度に検知する方法に関し、特には、パウダーや介在物などの異物により凝固シェルの凝固遅れが発生することに起因するブレークアウトを高精度にかつ早期に検知する方法に関するものである。
鋼の連続鋳造において鋳型内の凝固シェルを正常に成長させることは、連続鋳造操業ならびに品質上極めて重要であり、特に、凝固シェルのブレークアウト部分が鋳型の下端を出ることによる溶鋼の流出の発生は、連続鋳造の操業ならびに設備保全上の大問題となるために、従来から様々なブレークアウトの検知方法が提案されてきている。
ブレークアウトの検知方法としては従来、
(1) 鋳型銅板に熱電対を埋設し、その温度情報もしくは熱流束情報から異常を検知する方法
(2) 鋳型振動系設備もしくは鋳型に圧力測定用の測定機器を設置し、抗力・摩擦力の変化から異常を検知する方法
等が提案され、現在ほとんどの連続鋳造機で、特に焼き付き等に起因する拘束性ブレークアウトの検知のために(1)の熱電対温度を用いる方法が周知技術として用いられている(例えば非特許文献1,2参照)。
近年では、鋳型に埋設した熱電対の温度のみでは非定常伝熱現象におけるブレークアウトの検知は困難であるとして、凝固伝熱解析を組み合わせた検知方法が提案されている。(例えば特許文献1、特許文献2参照)。これらの特許文献では、局所熱流束の算出に対して鋳型厚み方向に2点の温度を測定せずに、1点の温度と銅板冷却スリット内の水温の情報とから凝固伝熱計算で熱流束を計算することを特徴として挙げている。
特許第4105839号公報 特許第4112783号公報
鉄と鋼 第68年(1982)第7号 784-793頁 鉄と鋼 第74年(1988)第7号 1274-1281頁
しかしながら、銅板冷却スリット内の温度分布を鋳造方向に測定することは水漏れの発生が生じやすく極めて困難であり、前述した特許文献においてもスリット内の水温にスリット出側の一定温度Twを用いた計算式が示されているが、鋳造方向の水温分布を用いない限り非定常現象を精度良く捉えることは困難と考えられ、パウダーフィルム厚やエアギャップ生成の影響も計算に精度良く取りこんでいるとは言いがたい内容となっている。
ブレークアウト現象は、凝固シェルの異常成長あるいは成長阻害に起因するものが大半であるため、下記に示す局所熱流束qが異常となる時期を判断できれば、ブレークアウトの有効な検知方法となりうる。
q=λ/d×(Touter- Tinner) ・・・・・(4)
但し、q:局所熱流束(W/m)、λ:鋳型銅板の熱伝導度(W/m/K)、d:熱電対距離(m)、Touter:外側(溶鋼側)の熱電対温度(℃)、Tinner:内側(冷却スリット側)の熱電対温度(℃)である。
熱流束は、溶鋼側銅板表面からの深さ方向位置を変化させた2本の熱電対の温度差から算出できるが、鋳型周囲全体に熱電対をペアで設置することになると、大量の熱電対を要することとなり、実操業に対しては非常に負荷が大きい問題が残る。
本発明者らは、前述した拘束性ブレークアウトの検知を目的とした熱電対を同時に活用もしくは流用して凝固遅れ系ブレークアウトによる溶鋼流出を防止することを検討し、溶鋼側銅板表面からの深さ方向位置を変化させた2本のペア熱電対による熱流束値を用いずに1本の熱電対温度の温度変化量を用いても凝固遅れ系ブレークアウトの検知を可能とする熱電対の設置条件や判定方法を詳細に検討した。
本発明は、鋳片のブレークアウトに至るような鋳型内の凝固シェルの異常成長現象を鋳型の上方で検出することで、凝固シェルのブレークアウト部分が鋳型の下端を出ることによる溶鋼の流出の発生を防止し、溶鋼流出の発生に伴う操業、設備保全上の損失を最小限に抑止することを目標とするものである。
前記目的を達成する本発明の連続鋳造におけるブレークアウトの検知方法は、以下の通りである。
[1]連続鋳造用モールドに対して幅方向100〜200mm間隔、鋳造方向にメニスカス下50〜300mmの2箇所の位置に熱電対を溶鋼側の銅板表面から5〜15mmの深さ位置に埋設し、各温度測定値をブレークアウト発生の判定に用いることを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウトの検知方法。
[2]下記の判定式で算出される、時間tiにおける各幅方向位置の上段熱電対温度変化量ΔT_upperと下段熱電対温度変化量ΔT_lowerとの積Nの値が、事前に設定した閾値よりも大きい場合に、ブレークアウトに至る異常凝固シェル発生と判断することを特徴とする[1]記載のブレークアウトの検知方法。
N=η×ΔT_upper×ΔT_lower
ΔT_upper={Tave_upper(ti-t2)-T_upper(ti-t2)}/Δt
ΔT_lower={Tave_lower(ti)-T_lower(ti)}/Δt
η:熱電対絶対温度補正係数(1前後)
2=(L_lower-L_upper+α)/VR×60(sec)
T_upper(ti-t2):時間ti-t2における上段熱電対温度(℃)
T_lower(ti):時間tiにおける下段熱電対温度(℃)
Tave_upper(ti-t2):時間ti-t2以前n秒間の上段熱電対平均温度(℃)
Tave_lower(ti):時間ti以前n秒間の下段熱電対平均温度(℃)
L_upper:上段熱電対の、メニスカスからの距離(m)
L_lower:下段熱電対の、メニスカスからの距離(m)
VR:鋳造速度(m/min)
α:伝播遅れ時間考慮定数(0〜0.05m)
Δt:サンプリング時間(sec)
[3]ブレークアウト発生有無の閾値として、溶鋼側銅板表面から5〜15mmの深さ位置に設置した熱電対に対してN=100〜130を用いることを特徴とする[2]記載のブレークアウトの検知方法。
[4]長辺熱電対に関して、鋳片幅W−(マイナス)所定量(例えば20〜30mm)よりも外側に配置される熱電対の信号は使用しないことを特徴とする[2]記載のブレークアウトの検知方法。
[5]湯面レベル位置(メニスカス位置)が上部熱電対位置−(マイナス)所定量(例えば20〜30mm)よりも小さな値となる場合は湯面レベル低下と判断し、前記判定式によるブレークアウトの発生の有無の判定は実施しないことを特徴とする[2]記載のブレークアウトの検知方法。
[6]鋳造速度の加速度値AがA<-0.5m/min2またはA>0.5m/min2に該当する場合は鋳造速度急変による熱電対温度変化と判断し、前記判定式によるブレークアウト発生危険の判定は実施しないことを特徴とする[2]記載のブレークアウトの検知方法。
[7]熱電対データのサンプリング時間ΔtをΔt=0.5〜1.0secとするとともに、熱電対温度平均値に過去5〜10秒間の平均温度を用いることを特徴とする[2]記載のブレークアウトの検知方法。
本発明のブレークアウトの検知方法によれば、連続鋳造時のブレークアウトの原因となる凝固シェルの異常成長が検出可能となることから、そのブレークアウトに至る異常凝固シェルが発生したと判断し場合に鋳造速度を減速させることで、ブレークアウトによる鋳型下端以降での溶鋼流出を未然に防止することができる。
そして本発明のブレークアウトの検知方法によれば、高速鋳造時もブレークアウトによる鋳型下端以降での溶鋼流出の発生を未然に防止することが可能となることから、生産性向上ならびに省エネルギーを達成することができる。
本発明のブレークアウトの検知方法の一実施形態におけるモールド銅板への熱電対埋め込み位置を示す模式図である。 熱電対補正係数η算出の例である。 介在物,モールドパウダーなどの異物の噛み込みがブレークアウトに至るメカニズムの模式図である。 ブレークアウト発生無しの場合の熱電対温度変化量推移の例である。 ブレークアウト発生有の場合の熱電対温度変化量推移の例である。 ブレークアウト発生無しの場合のN値推移の例である。 ブレークアウト発生有の場合のN値推移の例である。 ブレークアウト発生有の場合のN値推移の例(過去データ解析例)である。 ブレークアウト発生有の場合のN値推移の例(過去データ解析例)である。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、本発明のブレークアウトの検知方法の一実施形態におけるモールド銅板への熱電対埋め込み位置を示す模式図であり、このモールド銅板は、鋼の連続鋳造設備において鋳型の内面を形成しているものである。
本実施形態の方法では、図1の模式図に▲印で示すように、熱電対を鋳造方向(上下方向)にメニスカス下50〜300mmの位置に、モールド周方向に100〜200mm間隔で2段に設置する。メニスカス下50〜300mm位置に鋳造方向に2段に設置するのは以下の理由による。
すなわち、メニスカス下0〜50mm位置では、湯面変動などの湯面位置変化による影響を大きく受けるため、上段熱電対はこの位置より下位に設置することが望ましい。また、熱電対設置位置が300mmより下方では、仮に凝固シェル成長異常を検知できても、鋳型下端までの距離が600mm以下となり、鋳造速度3.0m/minなどの高速鋳造では5〜6秒程度で鋳型下端に達してしまうことから、鋳造速度を減速させて凝固シェル成長阻害箇所の健全化を図るのに不十分な場合が生じるため、下段熱電対はメニスカス下300mm以内に設置するのが望ましい。但し、通常鋳型下端までの距離は約900mmであるが鋳型下端までの距離が長ければ熱電対を設置する下段位置を更に300mmより大きくしても良い。少なくとも下端の熱電対位置は凝固シェル成長異常を検知できた時に鋳型下端までの距離で対応が取れる位置であれば良い。
幅方向の熱電対の間隔は、狭い間隔で設置するのが凝固シェルの異常成長位置を検出するのに有利である。しかしながら、ブレークアウト検知のためには、リアルタイム(オンライン)で計算判定を行う必要があり、過度に熱電対点数を増やすと計算システムのコストや負荷が膨大となることから可能な限り点数を減らすことが重要となる。さらに銅板加工上の制約や熱電対コストの面からも熱電対点数を減らすことは重要である。
これに対して本発明者らは、ブレークアウトが生じた際の溶鋼が流出した穴もしくはキレツ箇所の幅のサイズ、縦割れ発生時の凹みサイズなどを経験的に調査した結果、以下の知見を得た。
ブレークアウト発生に至った穴幅、キレツ幅:120mm〜200mm
縦割れ発生時の凹み量:20〜80mm
従って、縦割れ等の異常を熱電対で検知するには50〜100mm程度の非常に細かい間隔で熱電対を設置することが重要となるが、設備に多大な被害をもたらすブレークアウトの検知には100〜200mm程度の熱電対間隔で幅方向に設置すれば十分に凝固シェル成長の異常を捉えられる可能性を得た。
本発明者らは本知見より、幅方向150mm間隔、上段熱電対:メニスカス下50mm、下段熱電対:メニスカス下250mmの条件で熱電対を設置し、ブレークアウト検知方法を検討した。
またコンピュータによりオンラインで、実質的にリアルタイムで後述の計算を行うため、熱電対温度をサンプリングする時間間隔Δtが短いほど高速鋳造まで対応することが可能となるが、サンプリング時間Δtが短すぎると計算負荷が膨大となることが問題となる。前述したように鋳造速度3.0m/minの高速鋳造では50mm/secの下降速度で凝固シェル異常成長部(凝固シェル異常個所)が引抜かれることから、1.5〜2秒のサンプリング時間では鋳造方向に100mmピッチの検出能となり、異常成長部を見逃す確率が高くなるため、検出能が50mm以下となる0.5〜1.0秒前後でのサンプリング時間が好ましい。
ブレークアウト発生の検出に対しては、メニスカス位置での鋳造長を基準として、その位置が上段〜下段の熱電対温度の温度変化量に注目する。
ΔT_upper={Tave_upper(ti-t2)-T_upper(ti-t2)}/Δt
ΔT_lower={Tave_lower(ti)-T_lower(ti)}/Δt
2=(L_lower-L_upper+α)/VR×60 (sec)
T_upper(ti-t2):時間ti-t2(時間tiより時間t2だけ前)における上段熱電対温度(℃)
T_lower(ti):サンプリングした任意の時間tiにおける下段熱電対温度(℃)
Tave_upper(ti-t2):時間ti-t2以前n秒間の上段熱電対平均温度(℃)
Tave_lower(ti):時間ti以前n秒間の下段熱電対平均温度(℃)
L_upper:上段熱電対のメニスカスからの距離(m)
L_lower:下段熱電対のメニスカスからの距離(m)
VR:鋳造速度(m/min)
α:伝播遅れ時間考慮定数(0〜0.05m)
Δt:サンプリング時間(sec)
ブレークアウト発生の検出は、最下段の熱電対通過時の時間で判定するため、鋳造速度VRが一定の場合には、凝固シェル異常箇所の、上下段熱電対間の通過時間t2:t2=(L_lower-L_upper+α)/VR×60(sec)を考慮して、メニスカス鋳造長に対応した同一位置を上下段の熱電対で判定するようにする。なお、式中のαは、凝固シェル異常箇所が下方に引抜き伝播する際に凝固シェルから若干遅れて鋳造速度よりも若干遅れがでた場合を考慮するもので、α=0〜0.05mを設定した。
ブレークアウト発生の検出は、以下の式に示すN値を用いて実施する。
N=η×ΔT_upper×ΔT_lower
η:熱電対絶対温度補正係数(1前後)
ΔT_upperとΔT_lowerとの積を評価しているのは、ΔT_upperは溶鋼の湯面変動で大きくなる場合があるが、ΔT_lowerは湯面変動の影響を受けにくいので、両方とも同時に大きくなった場合にブレークアウト発生と判断することで、ブレークアウト発生を精度良く検知できるからである。
式中に定数ηを設けているのは以下の理由による。すなわち、熱電対設置位置を銅板加工上変化させない限りは、熱電対絶対温度は通常数℃のレベルでしか変化しないため問題ないが、モールドの個体差や、銅板使用回数あるいはそれにより減少した銅板厚さ、モールドパウダーの種類等により絶対温度に若干差が生じる場合が発生することを考慮したものである。
本発明者らは、この誤差を低減するために熱電対絶対温度補正係数ηを掛けると、よりNの絶対値が統一化されることを確認した。なお、定数ηは、上述したモールドの個体差や銅板使用回数、モールドパウダーの種類等あるいはそれらの組合わせ毎に設定しておくと好ましい。
具体的な方法としては、図2に例を示すように、同一のモールドパウダーを用いた同等の鋼種について、定常部の銅板温度を上下段熱電対で比較し、傾きの値から補正係数ηを上下段の熱電対より算出し、N値を算出するものである。
η=(η_upper×η_lower)0.5
本発明者らが調査した限りでは、ηの値は0.8〜1.2程度と極めて1に近く、N値そのものへの影響は小さいことが確認できている。
図3に、溶鋼3の周囲の凝固シェル4にパウダー等の異物5が噛み込んだ場合の模式図を示す。異物5を噛み込んだ場合は、凝固シェル4の成長が阻害され、凝固シェル厚みが健全な箇所に比べて薄くなる。パウダー、介在物などの噛み込んだ異物5は、熱伝導度が鋼に比べて極めて小さなため、その箇所で熱流を阻害するので、銅板1内の熱電対2の温度が小さくなるものと推定される。
本実施形態の方法は、熱電対温度変化量に着目し、上下段の熱電対温度変化量が同一鋳片位置で共に急低下あるいは急上昇した位置を抽出するものである。
温度変化量算出にあたり、直前位置の平均温度については、直前5〜10秒間の温度平均値を採用している。これは、平均温度算出の時間範囲が長すぎるとオンライン計算に負荷が大きくなるだけでなく、鋳造速度が変化している時期では熱電対温度が時々刻々と変化するため、鋳型内に鋳片が残存している範囲を考慮して10秒以内の平均温度を採用することとしたものである。
熱電対絶対温度は、
・モールドフラックスの種類
・銅板厚み
・銅板と熱電対の接触状況
・冷却スリット内の状況(閉塞や冷却水の流速変化)
等の影響を受け、温度の値が同一の鋳造条件でも絶対値が大きく異なる場合があることから、可能であれば成分や特定の鋼種でグルーピングしてその集団別に閾値を設けることで、より高精度にブレークアウト発生検知を達成できることになるが、計算上グルーピングすることが困難な場合は、統一した閾値で判定を実施してもかまわない。
なお、鋳造初期や鋳造末期は鋳造速度を大幅に加減速する場合が生じやすく、湯面が基準位置より大きく低下する場合が発生する。この場合には必然的に銅板熱電対の絶対温度が変化することとなることから、本判定法から対応時期を除去するか、本区間に固有の閾値を設けることが望ましい。そこで本実施形態では、湯面レベルが上段熱電対位置の20mm上方位置以内に低下した場合や、鋳造速度の加速度が±0.5m/min2を超過する場合には、上記の判定から除外するように設定した。
また、現状では鋳造中に鋳片の幅を狭めたり拡大したりする操業が一般的に実施されていることから、鋳片コーナー付近の熱電対が鋳片幅に一致する場合には、急激に温度低下や温度上昇が発生する現象が生じ、この場合を上記の判定式でそのまま判断してしまうと誤報となる。そこで本実施形態では、鋳片幅W−20mm位置より外側に存在する熱電対はマスキング処理して上記判定式から除外することで誤警報を防止している。
以下、本発明の一実施例について説明する。本発明者らは、スラブ連続鋳造機において、図1に示すように銅板に熱電対を埋設した鋳型を用いて、長期間の連続鋳造操業を実施した。
鋼種は極低炭素鋼、モールドパウダーはCaO成分とSiO成分の組成比である塩基度1.1(CaO/SiO)、粘度1.0poiseを用い、スラブ厚みは220mm、スラブ幅は1000〜2000mm、鋳型長(メニスカスから鋳型下端までの距離)LMOLD=800mmである。鋳造速度VRは最大3.0m/minまでの範囲で操業した。
ここで、熱電対は、図1中▲印でその位置を示すように鋳造方向(上下方向)に、1段目の熱電対位置L_upper=50mm、2段目の熱電対位置L_lower=250mmの2箇所に設置し、周方向には150mm間隔で設置した。熱電対の設置深さは、溶鋼側銅板表面より10mmの深さである。
ブレークアウトが発生した場合の熱電対温度変化量を正常部の例と比較して図4および図5に示す。図4はブレークアウト発生無しの場合の熱電対温度変化量推移の例を示し、図5はブレークアウト発生有の場合の熱電対温度変化量推移の例である。
ブレークアウトが発生した箇所では、パウダー等の噛み込みが発生し、熱電対温度が上段熱電対-7.5℃/sec、下段熱電対-18℃/sec程度に、同一メニスカス鋳造長位置(332m)での低下が生じていることが確認できた。
これに対して正常部では、熱電対温度変化量は上下段熱電対とも概ね±5℃/sec以内に安定していることも確認できた。
図6および図7に、上述したN値と鋳造長の関係を示す。図6はブレークアウト発生無しの場合のN値推移の例を示し、図7はブレークアウト発生有の場合のN値推移の例である。横軸の鋳造長はメニスカス位置における鋳造長さを示す。これにより、ブレークアウト発生位置ではN値が他の箇所と比較して100以上と大きな値となっていることが確認できた。
N値に閾値を設定し、N値がその閾値を超過した場合に鋳造速度を可能な限り低下させ、凝固シェル成長が阻害された箇所のシェル厚みが正常部と同等になるまで低速鋳造を保持することで、鋳型下端のブレークアウトを防止することが可能であることが想定されたことから、過去の6回のブレークアウト発生時の熱電対温度データを解析した。その代表例を図8および図9に示す。
ブレークアウト発生時にはN値が200以上と非常に大きな値となっており、正常箇所と異常箇所を上述した判別式により区分できる可能性を得た。また、N値が100以上で、ブレークアウトの痕跡が見られた。
本発明者らは、上述したN値の評価を約6ヶ月間の操業に対して実施し、今回の熱電対設置条件に対しN値の閾値として130を設定して調査を実施した。6ヶ月間に5回、130以上のN値となる場合が発生し、その際には直ちに鋳造速度を0.5m/min以下に低下させる減速処理を実施した。この減速処理の実施により、ブレークアウトによる鋳型下端以降での溶鋼流出の発生は皆無であった。
また、上記減速処理を実施した箇所の鋳片のうち2鋳片については目視でも確認できるようなオシレーションマークのゆがみと凹みが確認されたことから、検知ならびに減速処理が有効であったものとみられ、本実施例のブレークアウト検出法の有効性が示された。
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限られるものでなく、所要に応じて特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば、熱電対の設置位置やN値の閾値等は、連続鋳造設備等に応じて上述の例と異ならせることができる。
かくして本発明のブレークアウトの検知方法によれば、連続鋳造時のブレークアウトの原因となる凝固シェルの異常成長が検出可能となることから、そのブレークアウトに至る異常凝固シェルが発生したと判断し場合に鋳造速度を減速させることで、ブレークアウトによる鋳型下端以降での溶鋼流出を未然に防止することができる。
それゆえ本発明のブレークアウトの検知方法によれば、高速鋳造時もブレークアウトによる鋳型下端以降での溶鋼流出の発生を未然に防止することが可能となることから、生産性向上ならびに省エネルギーを達成することができる。
1 銅板
2 熱電対
3 溶鋼
4 凝固シェル
5 異物

Claims (7)

  1. 連続鋳造用モールドに対して幅方向100〜200mm間隔、鋳造方向にメニスカス下50〜300mmの2箇所の位置に熱電対を溶鋼側の銅板表面から5〜15mmの深さ位置に埋設し、各温度測定値をブレークアウト発生の判定に用いることを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウトの検知方法。
  2. 下記の判定式で算出される、時間tiにおける各幅方向位置の上段熱電対温度変化量ΔT_upperと下段熱電対温度変化量ΔT_lowerとの積Nの値が、事前に設定した閾値よりも大きい場合に、ブレークアウトに至る異常凝固シェル発生と判断することを特徴とする、請求項1記載のブレークアウトの検知方法。
    N=η×ΔT_upper×ΔT_lower
    ΔT_upper={Tave_upper(ti-t2)-T_upper(ti-t2)}/Δt
    ΔT_lower={Tave_lower(ti)-T_lower(ti)}/Δt
    η:熱電対絶対温度補正係数(1前後)
    2=(L_lower-L_upper+α)/VR×60(sec)
    T_upper(ti-t2):時間ti-t2における上段熱電対温度(℃)
    T_lower(ti):時間tiにおける下段熱電対温度(℃)
    Tave_upper(ti-t2):時間ti-t2以前n秒間の上段熱電対平均温度(℃)
    Tave_lower(ti):時間ti以前n秒間の下段熱電対平均温度(℃)
    L_upper:上段熱電対の、メニスカスからの距離(m)
    L_lower:下段熱電対の、メニスカスからの距離(m)
    VR:鋳造速度(m/min)
    α:伝播遅れ時間考慮定数(0〜0.05m)
    Δt:サンプリング時間(sec)
  3. ブレークアウト発生有無の閾値として、溶鋼側銅板表面から5〜15mmの深さ位置に設置した熱電対に対してN=100〜130を用いることを特徴とする、請求項2記載のブレークアウトの検知方法。
  4. 長辺熱電対に関して、鋳片幅−所定量よりも外側に配置される熱電対の信号は使用しないことを特徴とする、請求項2または3記載のブレークアウトの検知方法。
  5. メニスカス位置が上部熱電対位置−所定量よりも小さな値となる場合は湯面レベル低下と判断し、前記判定式によるブレークアウトの発生の有無の判定は実施しないことを特徴とする、請求項2から4までの何れか1項記載のブレークアウトの検知方法。
  6. 鋳造速度の加速度値AがA<-0.5m/min2またはA>0.5m/min2に該当する場合は鋳造速度急変による熱電対温度変化と判断し、前記判定式によるブレークアウト発生危険の判定は実施しないことを特徴とする、請求項2から5までの何れか1項記載のブレークアウトの検知方法。
  7. 熱電対データのサンプリング時間ΔtをΔt=0.5〜1.0secとするとともに、熱電対温度平均値に過去5〜10秒間の平均温度を用いることを特徴とする、請求項2から6までの何れか1項記載のブレークアウトの検知方法。
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