JP2012214868A - 加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】伸びと局所変形能の両方を改善した加工性に優れた高強度鋼板、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】C、Si、Mn、Al、P、Sを含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼板であり、該鋼板の金属組織は、ポリゴナルフェライト、ベイナイト、焼戻しマルテンサイト、および残留オーステナイトを含み、(1)金属組織を走査型電子顕微鏡で観察したときに、(1a)前記ポリゴナルフェライトの面積率aが金属組織全体に対して50%超であり、(1b)前記ベイナイトは、隣接する残留オーステナイトおよび/または炭化物の平均間隔が1μm以上である高温域生成ベイナイトと、隣接する残留オーステナイトおよび/または炭化物の平均間隔が1μm未満である低温域生成ベイナイトとの複合組織で構成されており、前記高温域生成ベイナイトの面積率bが金属組織全体に対して5〜40%、前記低温域生成ベイナイトと前記焼戻しマルテンサイトとの合計面積率cが金属組織全体に対して5〜40%を満足し、(2)飽和磁化法で測定した前記残留オーステナイトの体積率が金属組織全体に対して5%以上とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、引張強度が590MPa以上の加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法に関するものである。
自動車業界では、CO2排出規制など、地球環境問題への対応が急務となっている。一方、乗客の安全性を確保という観点から、自動車の衝突安全基準が強化され、乗車空間における安全性を充分に確保できる構造設計が進められている。これらの要求を同時に達成するには、自動車の構造部材として引張強度が590MPa以上の高強度鋼板を用い、これを更に薄肉化して車体を軽量化することが有効である。しかし一般に、鋼板の強度を大きくすると加工性が劣化するため、上記高強度鋼板を自動車部材に適用するには、加工性の改善は避けられない課題である。
強度と加工性を兼ね備えた鋼板としては、金属組織がフェライトとマルテンサイトからなるDP(Dual Phase)鋼板や、残留オーステナイト(残留γ)の変態誘起塑性を利用したTRIP(Transformation Induced Plasticity:変態誘起塑性)鋼板が知られている。
これらのうち強度と加工性を備えたTRIP鋼板としては、例えば特許文献1の鋼板が知られている。この文献には、鋼板の金属組織を、マルテンサイトおよび残留γがフェライト中に混在する複合組織とすることによって、鋼板の強度と加工性(特に、伸び)を改善する技術が開示されている。
また、特許文献2には、TRIP鋼板について、強度(TS)と伸び(EL)のバランス(具体的には、TS×EL)を改善してプレス成形性を向上させる技術が開示されている。この文献では、プレス成形性を改善するために、金属組織を、フェライト、残留γ、ベイナイトおよび/またはマルテンサイトを含む組織としている。そしてこの文献には、残留γは、鋼板の伸びを向上させる作用を有していると記載されている。
上記特許文献1、2に開示されているように、鋼板の金属組織を、残留γを含む組織にすることによって鋼板の強度を高めたうえで、伸び特性を向上させることができる。
特開平11−279691号公報 特開2007−126747号公報
最近では鋼板の加工性に対する要求特性が益々厳しくなっており、例えばピラーやメンバーなどに用いる鋼板には、従来にも増して厳しい条件で張り出し成形や絞り成形することが求められている。そのためTRIP鋼板には、強度と伸びを劣化させることなく、伸びフランジ性(λ)や曲げ性(R)などの局所変形能を改善することが求められている。しかし上述したTRIP鋼板は、残留γが加工中に、非常に硬いマルテンサイトに変態するため、伸びフランジ性や曲げ性などの局所変形能に劣るという問題がある。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、引張強度が590MPa以上の高強度鋼板について、伸びと局所変形能の両方を改善した加工性に優れた高強度鋼板、およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る高強度鋼板とは、質量%で、C:0.10〜0.3%、Si:1.0〜3%、Mn:1.0〜2.5%、Al:0.005〜3%を含有し、且つP:0.1%以下、S:0.05%以下を満足し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼板である。そして該鋼板の金属組織は、ポリゴナルフェライト、ベイナイト、焼戻しマルテンサイト、および残留オーステナイトを含み、(1)金属組織を走査型電子顕微鏡で観察したときに、(1a)前記ポリゴナルフェライトの面積率aが金属組織全体に対して50%超であり、(1b)前記ベイナイトは、隣接する残留オーステナイトおよび/または炭化物の平均間隔が1μm以上である高温域生成ベイナイトと、隣接する残留オーステナイトおよび/または炭化物の平均間隔が1μm未満である低温域生成ベイナイトとの複合組織で構成されており、前記高温域生成ベイナイトの面積率bが金属組織全体に対して5〜40%、前記低温域生成ベイナイトと前記焼戻しマルテンサイトとの合計面積率cが金属組織全体に対して5〜40%を満足し、(2)飽和磁化法で測定した前記残留オーステナイトの体積率が金属組織全体に対して5%以上である点に要旨を有している。
上記鋼板は、その金属組織を光学顕微鏡で観察したときに、焼入れマルテンサイトおよび残留オーステナイトが複合したMA混合相が存在している場合には、MA混合相の全個数に対して、観察断面での円相当直径dが7μm超を満足するMA混合相の個数割合が15%未満(0%を含む)であることが好ましい。
前記ポリゴナルフェライト粒の平均円相当直径Dは、10μm以下(0μmを含まない)であることが好ましい。
前記鋼板は、更に他の元素として、
(a)Cr:1%以下(0%を含まない)および/またはMo:1%以下(0%を含まない)、
(b)Ti:0.15%以下(0%を含まない)、Nb:0.15%以下(0%を含まない)およびV:0.15%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上の元素、
(c)Cu:1%以下(0%を含まない)および/またはNi:1%以下(0%を含まない)、
(d)B:0.005%以下(0%を含まない)、
(e)Ca:0.01%以下(0%を含まない)、Mg:0.01%以下(0%を含まない)および希土類元素:0.01%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上の元素、
等を含有してもよい。
本発明には、上記鋼板の表面に溶融亜鉛めっき層を有している高強度溶融亜鉛めっき鋼板、および上記鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有している高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板も包含される。
本発明の高強度鋼板は、Ac1点+20℃以上、Ac3点+20℃以下の温度域に加熱する工程と、該温度域で50秒間以上保持する工程と、下記式(1)を満たす任意の温度Tまで平均冷却速度2〜50℃/秒で冷却する工程と、下記式(1)を満たす温度域で10〜100秒間保持する工程と、下記式(2)を満たす温度域で200秒間以上保持する工程と、をこの順で含む方法によって製造できる。
400℃≦T1(℃)≦540℃ ・・・(1)
200℃≦T2(℃)<400℃ ・・・(2)
本発明によれば、金属組織全体に対する面積率が50%を超えるようにポリゴナルフェライトを生成させたうえで、特にベイナイトとして、残留γと炭化物の存在形態が異なる2種類のベイナイトであって、400℃以上、540℃以下の高温域で生成するベイナイト(以下、高温域生成ベイナイトと表記することがある。)と、200℃以上、400℃未満の低温域で生成するベイナイト(以下、低温域生成ベイナイトと表記することがある。)とを両方生成させることによって、590MPa以上の高強度域であっても伸びと局所変形能が良好な加工性に優れた高強度鋼板を実現できる。また、本発明によれば、こうした高強度と良好な加工性を両立した鋼板の製造方法を提供できる。
図1は、隣接する残留オーステナイトおよび/または炭化物の平均間隔の一例を示す模式図である。 図2は、高温域生成ベイナイトおよび低温域生成ベイナイト等(低温域生成ベイナイト+焼戻しマルテンサイト)の分布状態を模式的に示す図である。 図3は、T1温度域とT2温度域におけるヒートパターンの一例を示す模式図である。 図4は、引張強度(TS)と伸び(EL)との関係を示すグラフである。
本発明者らは、引張強度が590MPa以上の高強度鋼板の加工性、特に伸びと局所変形能を改善するために検討を重ねてきた。その結果、
(1)鋼板の金属組織を、ポリゴナルフェライト主体(具体的には、金属組織全体に対する面積率が50%超)としたうえで、ベイナイト、焼戻しマルテンサイト、および残留γを含む混合組織とし、特にベイナイトとして、
(1a)隣接する残留γ同士、隣接する炭化物同士、或いは隣接する残留γと隣接する炭化物(以下、これらをまとめて残留γ等と表記することがある。)の中心位置間距離の平均間隔が1μm以上である高温域生成ベイナイトと、
(1b)残留γ等の中心位置間距離の平均間隔が1μm未満である低温域生成ベイナイトの2種類のベイナイトを生成させれば、伸びを劣化させることなく局所変形能を改善した加工性に優れた高強度鋼板を提供できること、
(2)具体的には、上記高温域生成ベイナイトは鋼板の伸び向上に寄与し、上記低温域生成ベイナイトは鋼板の局所変形能向上に寄与すること、
(3)2種類のベイナイトを所定量生成させるには、上記二相温度域で加熱した後、400℃以上、540℃以下の温度域(以下、T1温度域と呼ぶことがある。)の任意の温度Tまでを平均冷却速度2℃/秒以上で冷却し、このT1温度域で10〜100秒間保持して高温域生成ベイナイトを生成させた後、200℃以上、400℃未満の温度域(以下、T2温度域と呼ぶことがある。)に冷却し、このT2温度域で200秒間以上保持すればよいこと、
を見出し、本発明を完成した。
まず、本発明に係る高強度鋼板を特徴づける金属組織について説明する。
《金属組織について》
本発明に係る高強度鋼板の金属組織は、ポリゴナルフェライト、ベイナイト、焼戻しマルテンサイト、および残留γで構成される混合組織である。
[ポリゴナルフェライト]
本発明の鋼板の金属組織は、ポリゴナルフェライトを主体としている。主体とは、金属組織全体に対する面積率が50%超であることを意味する。ポリゴナルフェライトは、ベイナイトに比べて軟質であり、鋼板の伸びを高めて加工性を改善するのに作用する組織である。こうした作用を発揮させるには、ポリゴナルフェライトの面積率は、金属組織全体に対して50%超、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上とする。ポリゴナルフェライトの面積率の上限は、飽和磁化法で測定される残留γの占積率を考慮して決定されるが、例えば、85%である。
上記ポリゴナルフェライト粒の平均円相当直径Dは、10μm以下(0μmを含まない)であることが好ましい。ポリゴナルフェライト粒の平均円相当直径Dを小さくし、細かく分散させることによって、鋼板の伸びを一段と向上させることができる。この詳細なメカニズムは明らかではないが、ポリゴナルフェライトを微細化することによって、金属組織全体に対するポリゴナルフェライトの分散状態が均一になるため、不均一な変形が起こりにくくなり、これが伸びの一層の向上に寄与していると考えられる。即ち、本発明の鋼板の金属組織は、ポリゴナルフェライト、ベイナイト、焼戻しマルテンサイト、および残留γの混合組織で構成されているため、ポリゴナルフェライト粒の粒径が大きくなると、個々の組織の大きさにバラツキが生じるため、不均一な変形が生じて歪が局所的に集中して加工性(特に、ポリゴナルフェライト生成による伸び向上作用)を改善することが難しくなると考えられる。従ってポリゴナルフェライトの平均円相当直径Dは、10μm以下であることが好ましく、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは4μm以下である。
上記ポリゴナルフェライトの面積率および平均円相当直径Dは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することによって測定できる。
[ベイナイトおよび焼戻しマルテンサイト]
本発明の鋼板は、ベイナイトが、高温域生成ベイナイトと、高温域生成ベイナイトに比べて強度が高い低温域生成ベイナイトとの複合組織から構成されているところに特徴がある。高温域生成ベイナイトは鋼板の伸び向上に寄与し、低温域生成ベイナイトは鋼板の局所変形能向上に寄与する。そしてこれら2種類のベイナイト組織を含むことにより、鋼板の伸びを劣化させることなく、局所変形能を向上させることができ、鋼板の加工性全般を高めることができる。これは強度レベルの異なるベイナイト組織を複合化することによって不均一変形が生じるため、加工硬化能が上昇することに起因すると考えられる。
上記高温域生成ベイナイトとは、Ac1点+20℃以上、Ac3点+20℃以下の温度(二相温度域)に加熱した後の冷却過程において、400℃以上、540℃以下のT1温度域で生成するベイナイト組織である。高温域生成ベイナイトは、ナイタール腐食した鋼板断面をSEM観察したときに、残留γ等の平均間隔が1μm以上になっている組織である。
一方、上記低温域生成ベイナイトとは、上記二相温度域に加熱した後の冷却過程において、200℃以上、400℃未満のT2温度域で生成するベイナイト組織である。低温域生成ベイナイトは、ナイタール腐食した鋼板断面をSEM観察したときに、残留γ等の平均間隔が1μm未満になっている組織である。
ここで「残留γ等の平均間隔」とは、鋼板断面をSEM観察したとき、隣接する残留γ同士の中心位置間距離、隣接する炭化物同士の中心位置間距離、または隣接する残留γと隣接する炭化物との中心位置間距離を測定した結果を平均した値である。上記中心位置間距離は、最も隣接している残留γおよび/または炭化物について測定したときに、各残留γまたは各炭化物について中心位置を求め、この中心位置同士の距離を意味する。上記中心位置は、残留γまたは炭化物について長径と短径を決定し、長径と短径が交差する位置とする。
但し、残留γまたは炭化物がラスの境界上に析出する場合は、複数の残留γと炭化物が連なってその形態は針状または板状になるため、中心位置間距離は、残留γおよび/または炭化物同士の距離ではなく、図1に示すように、残留γおよび/または炭化物が長径方向に連なって形成する線と線の間隔(ラス間距離)を中心位置間距離とすればよい。
また、焼戻しマルテンサイトは、上記低温域生成ベイナイトと同様の作用を有する組織であり、鋼板の局所変形能向上に寄与する。なお、上記低温域生成ベイナイトと焼戻しマルテンサイトは、SEM観察しても区別できないため、本発明では、低温域生成ベイナイトと焼戻しマルテンサイトをまとめて「低温域生成ベイナイト等」と呼ぶこととする。
本発明では、ベイナイトを、高温域生成ベイナイトおよび低温域生成ベイナイト等を含む複合ベイナイト組織とすることによって加工性全般を改善した高強度鋼板を実現できる。即ち、高温域生成ベイナイトは、低温域生成ベイナイト等よりも軟質であるため、鋼板の伸び(EL)を高めて加工性を改善するのに寄与する。一方、低温域生成ベイナイト等は、炭化物および残留γが小さく、変形に際して応力集中が軽減されるため、鋼板の伸びフランジ性(λ)や曲げ性(R)を高めて局所変形能を向上して加工性を改善するのに寄与する。そして本発明では、こうした高温域生成ベイナイトと低温域生成ベイナイト等を混在させているため、加工硬化能が向上し、伸びを劣化させることなく局所変形能を改善できる。
本発明において、ベイナイトを上記のように生成温度域の相違および残留γ等の平均間隔の相違によって「高温域生成ベイナイト」と「低温域生成ベイナイト等」に区別した理由は、一般的な学術的組織分類ではベイナイトを明瞭に区別し難いからである。例えば、ラス状のベイナイトとベイニティックフェライトは、変態温度に応じて上部ベイナイトと下部ベイナイトに分類される。しかし本発明のようにSiを1.0%以上と多く含んだ鋼種では、ベイナイト変態に伴う炭化物の析出が抑制されるため、SEM観察では、マルテンサイト組織も含めてこれらを区別することは困難である。そこで本発明では、ベイナイトを学術的な組織定義により分類するのではなく、上記のように生成温度域の相違および残留γ等の平均間隔に基づいて区別した次第である。
高温域生成ベイナイトと低温域生成ベイナイト等の分布状態は特に限定されず、旧γ粒内に高温域生成ベイナイトと低温域生成ベイナイト等の両方が生成していてもよいし、旧γ粒毎に高温域生成ベイナイトと低温域生成ベイナイト等が夫々生成していてもよい。
高温域生成ベイナイトと低温域生成ベイナイト等の分布状態を模式的に図2に示す。図2では、高温域生成ベイナイトには斜線を付し、低温域生成ベイナイト等には細かい点々を付した。図2(a)は、旧γ粒内に高温域生成ベイナイトと低温域生成ベイナイト等の両方が混合して生成している様子を示しており、図2(b)は、旧γ粒毎に高温域生成ベイナイトと低温域生成ベイナイト等が夫々生成している様子を示している。図2中に示した黒丸は、MA混合相を示している。MA混合相については後述する。
本発明では、金属組織全体に占める高温域生成ベイナイトの面積率をbとし、金属組織全体に占める低温域生成ベイナイト等(低温域生成ベイナイトと焼戻しマルテンサイト)の合計面積率をcとしたとき、該面積率bおよびcは、いずれも5〜40%を満足していることが必要である。ここで、低温域生成ベイナイトの面積率ではなく、低温域生成ベイナイトと焼戻しマルテンサイトの合計面積率を規定した理由は、前述したようにSEM観察ではこれらの組織を区別できないからである。
上記面積率bは、5〜40%とする。高温域生成ベイナイトの生成量が少な過ぎると鋼板の伸びが低下して加工性を改善できない。従って上記面積率bは5%以上、好ましくは8%以上、より好ましくは10%以上である。しかし高温域生成ベイナイトの生成量が過剰になると低温域生成ベイナイト等との生成量のバランスが悪くなり、高温域生成ベイナイトと低温域生成ベイナイト等の複合化による効果が発揮されない。従って高温域生成ベイナイトの面積率bは40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下とする。
また、上記合計面積率cは、5〜40%とする。低温域生成ベイナイト等の生成量が少な過ぎると鋼板の局所変形能が低下して加工性を改善できない。従って上記合計面積率cは5%以上、好ましくは8%以上、より好ましくは10%以上である。しかし低温域生成ベイナイト等の生成量が過剰になると高温域生成ベイナイトとの生成量のバランスが悪くなり、低温域生成ベイナイト等と高温域生成ベイナイトの複合化による効果が発揮されない。従って低温域生成ベイナイト等の面積率cは40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下とする。
上記面積率bと上記合計面積率cの関係は、それぞれの範囲が上記範囲を満足していれば特に限定されず、b>c、b<c、b=cのいずれの態様も含まれる。
高温域生成ベイナイトと、低温域生成ベイナイト等の混合比率は、鋼板に要求される特性に応じて定めればよい。具体的には、鋼板の加工性のうち局所変形能(特に、伸びフランジ性(λ))を一層向上させるには、高温域生成ベイナイトの比率をできるだけ小さくし、低温域生成ベイナイト等の比率をできるだけ大きくすればよい。一方、鋼板の加工性のうち伸びを一層向上させるには、高温域生成ベイナイトの比率をできるだけ大きくし、低温域生成ベイナイト等の比率をできるだけ小さくすればよい。また、鋼板の強度を一層高めるには、低温域生成ベイナイト等の比率をできるだけ大きくし、高温域生成ベイナイトの比率をできるだけ小さくすればよい。
なお、本発明において、ベイナイトには、ベイニティックフェライトも含まれる。ベイナイトは炭化物が析出した組織であり、ベイニティックフェライトは炭化物が析出していない組織である。
[ポリゴナルフェライト+ベイナイト+焼戻しマルテンサイト]
本発明では、上記ポリゴナルフェライトの面積率a、上記高温域生成ベイナイトの面積率b、および上記低温域生成ベイナイト等(低温域生成ベイナイト+焼戻しマルテンサイト)の合計面積率cの合計(a+b+c)が、金属組織全体に対して70%以上を満足していることが好ましい。合計面積率(a+b+c)が70%を下回ると、伸びが劣化することがある。合計面積率(a+b+c)は、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上である。合計面積率(a+b+c)の上限は、飽和磁化法で測定される残留γの占積率を考慮して決定されるが、例えば、95%である。
[残留γ]
残留γは、鋼板が応力を受けて変形する際にマルテンサイトに変態することによって変形部の硬化を促し、歪の集中を防ぐ効果があり、それにより均一変形能が向上して良好な伸びを発揮する。こうした効果は、一般的にTRIP効果と呼ばれている。
これらの効果を発揮させるために、金属組織全体に対する残留γの体積率は、飽和磁化法で測定したとき、5%以上含有させる必要がある。残留γは、好ましくは8体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。しかし残留γの生成量が多くなり過ぎると、後述するMA混合相も過剰に生成し、MA混合相が粗大化し易くなるため、局所変形能(伸びフランジ性および曲げ性)を低下させてしまう。従って残留γの上限は30体積%程度、好ましくは25体積%である。
残留γは、主に金属組織のラス間に生成しているが、ラス状組織の集合体(例えば、ブロックやパケットなど)や旧γの粒界上に、後述するMA混合相の一部として塊状に存在することもある。
[その他]
本発明に係る鋼板の金属組織は、上述したように、ポリゴナルフェライト、ベイナイト、焼戻しマルテンサイト、および残留γを含むものであり、これらのみから構成されていてもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、(a)焼入れマルテンサイトと残留γとが複合したMA混合相や、(b)パーライト等の残部組織が存在していてもよい。
(a)MA混合相
MA混合相は、焼入れマルテンサイトと残留γとの複合相として一般的に知られており、最終冷却前までは未変態のオーステナイトとして存在していた組織の一部が、最終冷却時にマルテンサイトに変態し、残りはオーステナイトのまま残存することによって生成する組織である。こうして生成するMA混合相は、熱処理(特に、オーステンパ処理)の過程で炭素が高濃度に濃化し、しかも一部がマルテンサイト組織になっているため、非常に硬い組織である。そのためベイナイトとMA混合相との硬度差は大きく、変形に際して応力が集中してボイド発生の起点となりやすいので、MA混合相が過剰に生成すると、伸びフランジ性や曲げ性が低下して局所変形能が低下する。また、MA混合相が過剰に生成すると、強度が高くなり過ぎる傾向がある。MA混合相は、残留γ量が多くなるほど、またSi含有量が多くなるほど生成し易くなるが、その生成量はできるだけ少ない方が好ましい。
上記MA混合相は、金属組織を光学顕微鏡で観察したときに、金属組織全体に対して30面積%以下であることが好ましく、より好ましくは25面積%以下、更に好ましくは20面積%以下である。
上記MA混合相は、円相当直径dが7μmを超えるMA混合相の個数割合が、MA混合相の全個数に対して15%未満(0%を含む)であることが好ましい。円相当直径dが7μmを超える粗大なMA混合相は、局所変形能に悪影響を及ぼす。上記円相当直径dが7μmを超えるMA混合相の個数割合は、MA混合相の全個数に対して10%未満であることがより好ましく、更に好ましくは5%未満である。
上記円相当直径dが7μmを超えるMA混合相の個数割合は、圧延方向に平行な断面表面を光学顕微鏡で観察して算出すればよい。
なお、上記MA混合相は、その粒径が大きくなるほどボイドが発生し易くなる傾向が実験により認められたため、MA混合相はできるだけ小さいことが推奨される。
(b)パーライト
上記パーライトは、金属組織をSEM観察したときに、金属組織全体に対して20面積%以下であることが好ましい。パーライトの面積率が20%を超えると、伸びが劣化し、加工性を改善することが難しくなる。パーライトの面積率は、金属組織全体に対して15%以下であることがより好ましく、更に好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
上記の金属組織は、次の手順で測定できる。
ポリゴナルフェライト、高温域生成ベイナイト、低温域生成ベイナイト等(低温域生成ベイナイト+焼戻しマルテンサイト)、およびパーライトは、鋼板の圧延方向に平行な断面のうち、板厚の1/4位置をナイタール腐食し、倍率3000倍程度でSEM観察すれば識別できる。
ポリゴナルフェライトは、結晶粒の内部に白色もしくは薄い灰色で観察される残留γや炭化物を含まない結晶粒として観察される。
高温域生成ベイナイトおよび低温域生成ベイナイト等は、主に灰色で観察され、結晶粒の中に白色もしくは薄い灰色で観察される残留γ等が分散している組織として観察される。従ってSEM観察によれば、高温域生成ベイナイトおよび低温域生成ベイナイト等には、残留γや炭化物も含まれるため、残留γ等も含めた面積率として算出される。
パーライトは、炭化物とフェライトが層状になった組織として観察される。
鋼板の断面をナイタール腐食すると、炭化物と残留γは、いずれも白色もしくは薄い灰色の組織として観察され、両者を区別することは困難である。これらのうち炭化物(例えば、セメンタイト)は、低温域で生成するほど、ラス間よりもラス内に析出する傾向があるため、炭化物同士の間隔が広い場合は、高温域で生成したと考えられ、炭化物同士の間隔が狭い場合は、低温域で生成したと考えることができる。残留γは、通常ラス間に生成するが、ラスの大きさは組織の生成温度が低くなるほど小さくなるため、残留γ同士の間隔が広い場合は、高温域で生成したと考えられ、残留γ同士の間隔が狭い場合は、低温域で生成したと考えることができる。従って本発明ではナイタール腐食した断面をSEM観察し、観察視野内に白色または薄い灰色として観察される残留γ等に着目し、隣接する残留γ等間の中心位置間距離を測定したときに、この平均値(平均間隔)が1μm以上である組織を高温域生成ベイナイト、平均間隔が1μm未満である組織を低温域生成ベイナイト等とする。
残留γは、SEM観察による組織の同定ができないため、飽和磁化法により体積率を測定する。この体積率の値はそのまま面積率と読み替えることができる。飽和磁化法による詳細な測定原理は、「R&D神戸製鋼技報、Vol.52、No.3、2002年、p.43〜46」を参照すれば良い。
このように残留γの体積率(面積率)は飽和磁化法で測定しているのに対し、高温域生成ベイナイトおよび低温域生成ベイナイト等の面積率はSEM観察で残留γを含めて測定しているため、これらの合計は100%を超える場合がある。
MA混合相は、鋼板の圧延方向に平行な断面のうち、板厚の1/4位置をレペラー腐食し、倍率1000倍程度で光学顕微鏡観察すれば、白色組織として観察される。
次に、本発明に係る高強度鋼板の化学成分組成について説明する。
《成分組成について》
本発明の高強度鋼板は、C:0.10〜0.3%、Si:1.0〜3%、Mn:1.0〜2.5%、Al:0.005〜3%を含有し、且つP:0.1%以下(0%を含まない)、S:0.05%以下(0%を含まない)を満足している。こうした範囲を定めた理由は次の通りである。
Cは、鋼板の強度を高めると共に、残留γを生成させるために必要な元素である。従ってC量は0.10%以上、好ましくは0.13%以上、より好ましくは0.15%以上である。しかし、Cを過剰に含有すると溶接性が低下する。従ってC量は0.3%以下、好ましくは0.25%以下、より好ましくは0.20%以下とする。
Siは、固溶強化元素として鋼板の高強度化に寄与する他、後述するT1温度域およびT2温度域での保持中に(オーステンパ処理中に)炭化物が析出するのを抑制し、残留γを効果的に生成させるうえで大変重要な元素である。従ってSi量は1.0%以上、好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.3%以上である。しかしSiを過剰に含有すると、焼鈍での加熱・均熱時にγ相への逆変態が起こらず、ポリゴナルフェライトが多量に残存し、強度不足になる。また、熱間圧延の際に鋼板表面にSiスケールを発生して鋼板の表面性状を悪化させる。従ってSi量は3%以下、好ましくは2.50%以下、より好ましくは2.0%以下である。
Mnは、ベイナイトおよび焼戻しマルテンサイトを得るために必要な元素である。またMnは、γを安定化させて残留γを生成させるのにも有効に作用する元素である。こうした作用を発揮させるために、Mn量は1.0%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは1.8%以上とする。しかしMnを過剰に含有すると、高温域生成ベイナイトの生成が著しく抑制される。また、Mnの過剰添加は、溶接性の劣化や偏析による加工性の劣化を招く。従ってMn量は2.5%以下、好ましくは2.4%以下、より好ましくは2.3%以下とする。
Alは、Siと同様に、オーステンパ処理中に炭化物が析出するのを抑制し、残留γを生成させるのに寄与する元素である。またAlは、製鋼工程で脱酸剤として作用する元素である。従ってAl量は0.005%以上、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.03%以上とする。しかしAlを過剰に含有すると、鋼板中の介在物が多くなり過ぎて延性が劣化する。従ってAl量は3%以下、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下とする。
Pは、鋼に不可避的に含まれる不純物元素であり、P量が過剰になると鋼板の溶接性が劣化する。従ってP量は0.1%以下、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.05%以下である。P量はできるだけ少ない方が良いが、0%にするのは工業的に困難である。
Sは、鋼に不可避的に含まれる不純物元素であり、上記Pと同様、鋼板の溶接性を劣化させる元素である。またSは、鋼板中に硫化物系介在物を形成し、これが増大すると加工性が低下する。従ってS量は0.05%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.005%以下である。S量はできるだけ少ない方が良いが、0%にするのは工業的に困難である。
本発明に係る高強度鋼板は、上記成分組成を満足するものであり、残部成分は鉄および上記P、S以外の不可避不純物である。不可避不純物としては、例えば、NやO(酸素)、トランプ元素(例えば、Pb、Bi、Sb、Snなど)などが含まれる。不可避不純物のうち、N量は0.01%以下(0%を含まない)、O量は0.01%以下(0%を含まない)であることが好ましい。
Nは、鋼板中に窒化物を析出させて鋼板の強化に寄与する元素であるが、Nを過剰に含有すると、窒化物が多量に析出して伸び、伸びフランジ性、および曲げ性の劣化を引き起こす。従ってN量は0.01%以下であることが好ましく、より好ましくは0.008%以下、更に好ましくは0.005%以下である。
O(酸素)は、過剰に含有すると伸び、伸びフランジ性、および曲げ性の低下を招く元素である。従ってO量は0.01%以下であることが好ましく、より好ましくは0.005%以下、更に好ましくは0.003%以下である。
本発明の鋼板は、更に他の元素として、
(a)Cr:1%以下(0%を含まない)および/またはMo:1%以下(0%を含まない)、
(b)Ti:0.15%以下(0%を含まない)、Nb:0.15%以下(0%を含まない)およびV:0.15%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上の元素、
(c)Cu:1%以下(0%を含まない)および/またはNi:1%以下(0%を含まない)、
(d)B:0.005%以下(0%を含まない)、
(e)Ca:0.01%以下(0%を含まない)、Mg:0.01%以下(0%を含まない)および希土類元素:0.01%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上の元素、
等を含有しても良い。
(a)CrとMoは、上記Mnと同様に、ベイナイトと焼戻しマルテンサイトを得るために有効に作用する元素である。これらの元素は、単独で、或いは併用して使用できる。こうした作用を有効に発揮させるには、CrとMoは、夫々単独で、0.1%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.2%以上である。しかしCrとMoの含有量が、夫々1%を超えると、高温域生成ベイナイトの生成が著しく抑制される。また、過剰な添加はコスト高となる。従ってCrとMoは、夫々1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下である。CrとMoを併用する場合は、合計量を1.5%以下とすることが推奨される。
(b)Ti、NbおよびVは、鋼板中に炭化物や窒化物等の析出物を形成し、鋼板を強化すると共に、旧γ粒の微細化によりポリゴナルフェライト粒を細かくする作用も有する元素である。こうした作用を有効に発揮させるには、Ti、NbおよびVは、夫々単独で、0.01%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.02%以上である。しかし過剰に含有すると、粒界に炭化物が析出し、鋼板の伸びフランジ性や曲げ性が劣化する。従ってTi、NbおよびVは、夫々単独で、0.15%以下であることが好ましく、より好ましくは0.12%以下、更に好ましくは0.1%以下である。Ti、NbおよびVは、夫々単独で含有させてもよいし、任意に選ばれる2種以上の元素を含有させてもよい。
(c)CuとNiは、γを安定化させて残留γを生成させるのに有効に作用する元素である。これらの元素は、単独で、或いは併用して使用できる。こうした作用を有効に発揮させるには、CuとNiは、夫々単独で0.05%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.1%以上である。しかしCuとNiを過剰に含有すると、熱間加工性が劣化する。従ってCuとNiは、夫々単独で1%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下である。なお、Cuを1%を超えて含有させると熱間加工性が劣化するが、Niを添加すれば熱間加工性の劣化は抑制されるため、CuとNiを併用する場合は、コスト高となるが1%を超えてCuを添加してもよい。
(d)Bは、上記Mn、CrおよびMoと同様に、ベイナイトと焼戻しマルテンサイトを生成させるのに有効に作用する元素である。こうした作用を有効に発揮させるには、Bは0.0005%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.001%以上である。しかしBを過剰に含有すると、鋼板中にホウ化物を生成して延性を劣化させる。またBを過剰に含有すると、上記CrやMoと同様に、高温域生成ベイナイトの生成が著しく抑制される。従ってB量は0.005%以下であることが好ましく、より好ましくは0.004%以下、更に好ましくは0.003%以下である。
(e)Ca、Mgおよび希土類元素(REM)は、鋼板中の介在物を微細分散させるのに作用する元素である。こうした作用を有効に発揮させるには、Ca、Mgおよび希土類元素は、夫々単独で、0.0005%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.001%以上である。しかし過剰に含有すると、鋳造性や熱間加工性などを劣化させ、製造し難くなる。また、過剰添加は、鋼板の延性を劣化させる原因となる。従ってCa、Mgおよび希土類元素は、夫々単独で、0.01%以下であることが好ましく、より好ましくは0.005%以下、更に好ましくは0.003%以下である。
上記希土類元素とは、ランタノイド元素(LaからLuまでの15元素)およびSc(スカンジウム)とY(イットリウム)を含む意味であり、これらの元素のなかでも、La、CeおよびYよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することが好ましく、より好ましくはLaおよび/またはCeを含有させるのがよい。
本発明に係る高強度鋼板は、引張強度が590MPa以上で、伸びに優れ、しかも局所変形能も良好であるため、加工性に優れている。この高強度鋼板は、自動車の構造部品の素材として好適に用いられる。自動車の構造部品としては、例えば、フロントやリア部サイドメンバやクラッシュボックスなどの正突部品をはじめ、ピラー類などの補強材(例えば、センターピラーリインフォース)、ルーフレールの補強材、サイドシル、フロアメンバー、キック部などの車体構成部品、バンパーの補強材やドアインパクトビームなどの耐衝撃吸収部品、シート部品などが挙げられる。
また、上記高強度鋼板は、温間での加工性が良好であるため、温間成形用の素材としても好適に用いることができる。なお、温間加工とは、50〜500℃程度の温度範囲で成形することを意味している。
以上、本発明に係る高強度鋼板の金属組織と成分組成について説明した。
次に、上記高強度鋼板を製造できる方法について説明する。上記高強度鋼板は、上記成分組成を満足する鋼板をAc1点+20℃以上、Ac3点+20℃以下の温度域(二相温度域)に加熱する工程と、該温度域で50秒間以上保持する工程と、下記式(1)を満たす任意の温度Tまで平均冷却速度2〜50℃/秒で冷却する工程と、下記式(1)を満たす温度域で10〜100秒間保持する工程と、下記式(2)を満たす温度域で200秒間以上保持する工程と、をこの順で含むことによって製造できる。以下、各工程について順を追って説明する。
400℃≦T1(℃)≦540℃ ・・・(1)
200℃≦T2(℃)<400℃ ・・・(2)
まず、二相温度域[Ac1点+20℃以上、Ac3点+20℃以下の温度域]に加熱する前の高強度鋼板として、スラブを常法に従って熱間圧延し、得られた熱延鋼板を冷間圧延したものを準備する。熱間圧延は、仕上げ圧延温度を、例えば800℃以上、巻取り温度を、例えば700℃以下とすればよい。冷間圧延では、冷延率を、例えば10〜70%の範囲として圧延すればよい。
冷間圧延して得られた冷延鋼板は、連続焼鈍ラインで、Ac1点+20℃以上、Ac3点+20℃以下の温度域に加熱し、この温度域で50秒間以上保持して均熱する。
加熱温度をフェライトとオーステナイトの二相温度域にすることによって、所定量のポリゴナルフェライトを生成させることができる。即ち、加熱温度が高過ぎるとオーステナイト単相域となり、ポリゴナルフェライトの生成が抑制されるため、鋼板の伸びを改善できず、加工性が劣化する。従って加熱温度は、Ac3点+20℃以下、好ましくはAc3点+10℃以下、より好ましくはAc3点未満とする。なお、Ac3点以上に加熱すると、オーステナイト単相の温度域となるが、本発明で規定している均熱時間程度では、加熱温度がAc3点+20℃以下であれば、均熱保持を行っても少量のポリゴナルフェライトが残存するので、後述するように均熱後の平均冷却速度を調整することによって、所定量のポリゴナルフェライトを生成させることができる。しかし加熱温度がAc1点+20℃を下回ると、ポリゴナルフェライトの生成量が過剰になり、所定量の高温域生成ベイナイト、低温域生成ベイナイト等、および残留γが得られないため、加工性が劣化する。従って加熱温度は、Ac1点+20℃以上、好ましくはAc1点+30℃以上、より好ましくはAc1点+50℃以上である。
上記二相温度域での均熱時間が50秒を下回ると、鋼板を均一に加熱できないため、残留γの生成が抑制され、伸びおよび局所変形能が低下し、加工性を改善できない。従って均熱時間は50秒以上、好ましくは100秒以上とする。しかし均熱時間が長過ぎると、オーステナイト粒径が大きくなり、それに伴いポリゴナルフェライト粒も粗大化し、伸びおよび局所変形能が悪くなる傾向がある。従って均熱時間は、500秒以下とすることが好ましく、より好ましくは450秒以下である。
なお、上記冷延鋼板を、上記二相温度域に加熱するときの平均加熱速度は、例えば1℃/秒以上とすればよい。
上記Ac1点、Ac3点は、「レスリー鉄鋼材料科学」(丸善株式会社、1985年5月31日発行、P.273)に記載されている下記式(a)、式(b)から算出できる。下記式(a)、式(b)中、[ ]は各元素の含有量(質量%)を示しており、鋼板に含まれない元素の含有量は0質量%として計算すればよい。
Ac1(℃)=723−10.7×[Mn]−16.9×[Ni]+29.1×[Si]+16.9×[Cr] ・・(a)
Ac3(℃)=910−203×[C]1/2+44.7×[Si]−30×[Mn]−11×[Cr]+31.5×[Mo]−20×[Cu]−15.2×[Ni]+400×[Ti]+104×[V]+700×[P]+400×[Al] ・・(b)
上記二相温度域に加熱して50秒間以上保持して均熱化した後は、上記式(1)を満たす任意の温度Tまで平均冷却速度2〜50℃/秒で冷却する。二相温度域から上記式(1)を満たす任意の温度Tまでの範囲を所定の平均冷却速度以上で冷却することによって、所定量のポリゴナルフェライトを生成させることができ、また高温域生成ベイナイトと低温域生成ベイナイト等の両方を生成させることができる。この温度域の平均冷却速度が2℃/秒を下回ると、パーライト変態を起こしてパーライトが過剰に生成し、伸びが低下して加工性が劣化する。この区間の平均冷却速度は、好ましくは5℃/秒以上、より好ましくは10℃/秒以上である。しかし上記区間の平均冷却速度が大き過ぎると、所定量のポリゴナルフェライトを確保できない。従って平均冷却速度は50℃/秒以下、好ましくは40℃/秒以下、より好ましくは30℃/秒以下とする。
上記式(1)を満たす任意の温度Tまで冷却した後は、上記式(1)を満たすT1温度域で10〜100秒間保持した後、上記式(2)を満たすT2温度域で200秒間以上保持する。T1温度域とT2温度域に保持する時間を夫々適切に制御することによって、高温域生成ベイナイトと低温域生成ベイナイト等を所定量ずつ生成させることができる。具体的には、T1温度域で所定時間保持することにより、高温域生成ベイナイトの生成量を制御でき、T2温度域で所定時間保持するオーステンパ処理によって、未変態オーステナイトを低温域生成ベイナイト、またはマルテンサイトに変態させると共に、炭素をオーステナイトへ濃化させて残留γを生成させ、本発明で規定する金属組織を生成させることができる。
また、T1温度域における保持と、T2温度域における保持を組み合わせることにより、MA混合相の生成を抑制できる効果も発揮される。このメカニズムは、次のように考えられる。一般的に、SiやAlを添加すると、炭化物の析出が抑制されるため、鋼中にはフリーな炭素が存在することとなり、オーステンパ処理ではベイナイト変態と共に炭素が未変態オーステナイトへ濃化する現象が認められる。炭素が未変態オーステナイトへ濃化することにより、残留γを多く生成させることができる。
ここで炭素が未変態オーステナイトへ濃化する現象について説明する。炭素の濃化量は、フェライトとオーステナイトの自由エネルギーが等しくなるTo線で示される濃度までに制限されるため、ベイナイト変態も停止することが知られている。このTo線は、温度が高いほど低炭素濃度側になることから、オーステンパ処理を比較的高温で行うと、処理時間を長くしてもベイナイト変態がある程度のところで停止してしまう。このとき未変態のオーステナイトの安定性は低いため、粗大なMA混合相が生成する。
そこで本発明では、上記T1温度域で保持した後、上記T2温度域で保持することにより未変態オーステナイトへのC濃度の許容量を多くすることができるため、高温域よりも低温域の方が、ベイナイト変態が進行し、MA混合相が小さくなる。また、上記T1温度域で保持する場合に比べて、上記T2温度域で保持する場合は、ラス状組織のサイズが小さくなるため、MA混合相が存在したとしても、MA混合相自体も細分化され、MA混合相を小さくできる。更に、T1温度域で所定時間保持した後、T2温度域で保持しているため、T2温度域での保持を開始した時点で、既に高温域生成ベイナイトが生成している。従ってT2温度域では、高温域生成ベイナイトがきっかけとなり、低温域生成ベイナイトの変態が促進されるため、オーステンパ処理の時間を短縮できるという効果も発揮される。
なお、上記二相温度域から、上記T1温度域での保持を行わずに、上記式(2)を満たす任意の温度まで冷却し、この式(2)を満たすT2温度域のみで保持した場合(即ち、単純な低温保持のオーステンパ処理)であっても、ラス状組織のサイズは小さくなるため、MA混合相を小さくできる。しかしこの場合は、上記T1温度域で保持していないため、高温域生成ベイナイトが殆ど生成せず、また基地のラス状組織の転位密度が大きくなり、伸びおよび局所変形能が低下し、加工性が劣化する。
本発明において、上記式(1)で規定するT1温度域は、具体的には、400℃以上、540℃以下とする。この温度域で所定時間保持することによって、高温域生成ベイナイトを生成させることができる。即ち、540℃を超える温度域で保持すると、高温域生成ベイナイトの生成が抑制され、その反面、ポリゴナルフェライトが過剰に生成し、また擬似パーライトが生成するため、所望の特性が得られない。従ってT1温度域の上限は540℃、好ましくは520℃、より好ましくは500℃である。一方、保持温度が400℃を下回ると、高温域生成ベイナイトが生成しないため、伸びが低下して加工性を改善できない。従ってT1温度域の下限は400℃、好ましくは420℃である。
上記T1温度域で保持する時間は、10〜100秒間とする。保持時間が100秒を超えると、高温域生成ベイナイトが過剰に生成するため、後述するように、上記T2温度域で所定時間保持しても低温域生成ベイナイト等の生成量を確保できない。従って強度と加工性を両立させることができない。また、T1温度域で長時間保持すると、炭素がオーステナイト中に濃化し過ぎるため、T2温度域でオーステンパ処理しても粗大なMA混合相が生成し、加工性が劣化する。従って保持時間は100秒以下とし、好ましくは90秒以下、より好ましくは80秒以下である。しかしT1温度域での保持時間が短過ぎると高温域生成ベイナイトの生成量が少なくなるため、伸びが低下し、加工性を改善できない。従ってT1温度域での保持時間は10秒以上とし、好ましくは15秒以上、より好ましくは20秒以上、更に好ましくは30秒以上である。
本発明において、T1温度域での保持時間とは、鋼板の表面温度が、T1温度域の上限温度に到達した時点から、T1温度域の下限温度に到達するまでの時間を意味する。即ち、鋼板の表面温度が、540℃に到達した時点から、400℃に到達するまでの時間である。
上記式(1)を満たすT1温度域で保持するには、例えば、図3の(i)〜(iii)に示すヒートパターンを採用すればよい。
図3(i)は、二相温度域から上記式(1)を満たす任意の温度Tまで急冷した後、この温度Tで所定時間恒温保持する例であり、恒温保持後、上記式(2)を満足する任意の温度まで冷却している。図3(i)には、一段階の恒温保持を行った場合について示しているがこれに限定されず、T1温度域の範囲内であれば、保持温度が異なる2段階以上の恒温保持を行ってもよい。
図3(ii)は、二相温度域から上記式(1)を満たす任意の温度Tまで急冷した後、冷却速度を変更し、T1温度域の範囲内で所定時間かけて冷却した後、再度冷却速度を変更して上記式(2)を満足する任意の温度まで冷却する例である。図3(ii)には、T1温度域の範囲内で所定時間かけて冷却した場合を示しているがこれに限定されず、T1温度域の範囲内であれば、所定時間かけて加熱する工程を含んでいても良いし、冷却と加熱を適宜繰り返してもよい。また、図3(ii)に示すように一段冷却ではなく、冷却速度が異なる二段以上の多段冷却を行ってもよい。また、一段加熱や、二段以上の多段加熱を行なってもよい(図示せず)。
図3(iii)は、二相温度域から上記式(1)を満たす任意の温度Tまで急冷した後、冷却速度を変更し、上記式(2)を満足する任意の温度までを、同じ冷却速度で徐冷する例である。このように徐冷する場合であっても、T1温度域内での滞留時間が10〜100秒間であればよい。
本発明は図3の(i)〜(iii)に示したヒートパターンに限定する趣旨ではなく、本発明の要件を満足する限り、上記以外のヒートパターンを適宜採用できる。
本発明において、上記式(2)で規定するT2温度域は、具体的には、200℃以上、400℃未満とする。この温度域で所定時間保持することにより、上記T1温度域で変態しなかった未変態オーステナイトを、低温域生成ベイナイト、またはマルテンサイトに変態させることができる。また、充分な保持時間を確保することによりベイナイト変態が進行して、最終的に残留γが生成し、MA混合相も細分化される。このマルテンサイトは、変態直後は焼入れマルテンサイトとして存在するが、T2温度域で保持している間に焼戻され、焼戻しマルテンサイトとして残留する。この焼戻しマルテンサイトは、マルテンサイト変態が起こる温度域で生成する低温域生成ベイナイトと同等の特性を示す。しかし400℃以上で保持すると、粗大なMA混合相が生成するため、伸びや局所変形能が低下して加工性を改善できない。従ってT2温度域は、400℃未満、好ましくは390℃以下、より好ましくは380℃以下とする。一方、200℃を下回る温度で保持しても低温域生成ベイナイトが生成しないため、γ中の炭素濃度が低くなり、残留γ量を確保できず、さらに焼入れマルテンサイトが多く生成するので、強度が高くなり、伸びおよび局所変形能が悪くなる。また、γ中の炭素濃度が低くなり、残留γ量を確保できないため、伸びを高めることができない。従ってT2温度域の下限は200℃、好ましくは250℃、より好ましくは280℃である。
上記式(2)を満たすT2温度域で保持する時間は、200秒間以上とする。保持時間が200秒を下回ると、低温域生成ベイナイト等の生成量が少なくなり、γ中の炭素濃度が低くなって残留γ量を確保できず、さらに焼入れマルテンサイトが多く生成するので、強度が高くなり、伸びおよび局所変形能が悪くなる。また、炭素の濃化が促進されないため、残留γ量が少なくなり、伸びを改善できない。また、上記T1温度域で生成したMA混合相を微細化できないため、局所変形能を改善できない。従って保持時間は200秒以上、好ましくは250秒以上、より好ましくは300秒以上とする。保持時間の上限は特に限定されないが、長時間保持すると生産性が低下するほか、濃化した炭素が炭化物として析出して残留γを生成させることができず、伸びの低下を招き、加工性が劣化する。従って保持時間の上限は、例えば1800秒とすればよい。
本発明において、T2温度域での保持時間とは、鋼板の表面温度が、T2温度域の上限温度に到達した時点から、T2温度域の下限温度に到達するまでの時間を意味する。即ち、400℃未満に到達した時点から、200℃に到達するまでの時間である。
上記T2温度域で保持する方法は、T2温度域での滞留時間が200秒間以上となれば特に限定されず、上記T1温度域内におけるヒートパターンのように、恒温保持してもよいし、T2温度域内で冷却または加熱してもよい。また、異なる保持温度で多段階保持を行ってもよい。
上記T2温度域で所定時間保持した後は、室温まで冷却することによって本発明に係る高強度鋼板を製造できる。
上記高強度鋼板の表面には、溶融亜鉛めっき層や合金化溶融亜鉛めっき層が形成されていてもよい。
溶融亜鉛めっき層や合金化溶融亜鉛めっき層を形成するときの条件は特に限定されず、公知の条件を採用できる。
例えばめっき浴温度を400〜500℃として溶融亜鉛めっき層を形成することが好ましく、より好ましくは440〜470℃である。めっき浴の組成は特に限定されず、公知の溶融亜鉛めっき浴を用いればよい。
溶融亜鉛めっき層を形成した溶融亜鉛めっき鋼板に、常法の合金化処理を施すことによって、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造できる。合金化処理は、例えば450〜600℃程度(特に480〜570℃程度)で、5〜30秒程度(特に10〜25秒程度)保持して行えばよい。合金化処理は、例えば加熱炉、直火、または赤外線加熱炉などを用いて行えばよい。加熱手段も特に限定されず、例えばガス加熱、インダクションヒーター加熱(高周波誘導加熱装置による加熱)など慣用の手段を採用できる。
本発明の技術は、特に、板厚が3mm以下の薄鋼板に好適に採用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
下記表1に示す化学成分組成の鋼(残部は鉄およびP、S、N、O以外の不可避不純物)を真空溶製して実験用スラブを製造した。下記表1において、REMは、Laを50%程度、Ceを30%程度含有するミッシュメタルを用いた。
下記表1に示した化学成分と、上記式(a)に基づいてAc1点、上記式(b)に基づいてAc3点を算出し、結果を下記表2、表3に示した。
得られた実験用スラブを熱間圧延した後に冷間圧延し、次いで連続焼鈍して供試材を製造した。具体的な条件は次の通りである。
実験用スラブを1250℃で30分間加熱保持した後、圧下率を約90%とし、仕上げ圧延温度が920℃となるように熱間圧延し、この温度から平均冷却速度30℃/秒で巻取り温度500℃まで冷却して巻き取った。巻き取った後、この巻取り温度(500℃)で30分間保持し、次いで室温まで炉冷して板厚2.6mmの熱延鋼板を製造した。
得られた熱延鋼板を酸洗して表面スケールを除去してから、冷延率46%で冷間圧延を行い、板厚1.4mmの冷延鋼板を製造した。
得られた冷延鋼板を、下記表2、表3に示す温度(℃)に加熱し、下記表2、表3に示す時間保持して均熱した後、次に示す4つの何れかのパターンに従って冷却し、連続焼鈍して供試材を製造した。
(冷却パターンi;上記図3の(i)に対応)
均熱後、下記表2、表3に示す平均冷却速度(℃/秒)で下記表2、表3に示す開始温度T(℃)に冷却した後、この開始温度T(℃)で保持し、次いで下記表2、表3に示すT2温度域における開始温度(℃)まで冷却し、この開始温度で保持した。下記表2、表3には、T1温度域における滞在時間(秒)とT2温度域における滞在時間(秒)を示す。また、T1温度域で保持を完了した時点から、T2温度域における開始温度に到達するまでの時間(秒)を示した。
(冷却パターンii;上記図3の(ii)に対応)
均熱後、下記表2、表3に示す平均冷却速度(℃/秒)で下記表2、表3に示す開始温度T(℃)に冷却した後、下記表2、表3に示す終了温度(℃)まで冷却し、次いで下記表2、表3に示すT2温度域における開始温度(℃)まで冷却し、この開始温度で下記表2、表3に示す時間(秒)保持した。下記表2、表3には、T1温度域における滞在時間(秒)とT2温度域における滞在時間(秒)を示す。また、T1温度域で保持を完了した時点から、T2温度域における開始温度に到達するまでの時間(秒)を示した。
(冷却パターンiii;上記図3の(iii)に対応)
均熱後、下記表2、表3に示す平均冷却速度(℃/秒)で下記表2、表3に示す開始温度T(℃)に冷却した後、下記表2、表3に示すT2温度域における開始温度(℃)まで冷却し、この開始温度で保持した。下記表2、表3には、T1温度域における滞在時間(秒)とT2温度域における滞在時間(秒)を示す。
(冷却パターンiv)
均熱後、下記表2に示すT1温度域における開始温度(℃)まで冷却し、この開始温度で保持した。即ち、下記表2のNo.19は、均熱後、420℃で450秒間保持してから室温まで保持することなく一気に冷却(平均冷却速度は5℃/秒)した例であり、下記表2に示したT2温度域における滞在時間は、T2温度域を通過するのに要した時間を示している。下記表2には、T1温度域における滞在時間(秒)とT2温度域における滞在時間(秒)を示す。
なお、表2に示したT1温度域における開始温度、終了温度、T2温度域における開始温度のうち、※印を付けた値は、本発明で規定しているT1温度域またはT2温度域から外れているが、説明の便宜上、ヒートパターンを示すために、各欄に温度を記載した。
得られた供試材について、金属組織の観察と機械的特性の評価を次の手順で行った。
《金属組織の観察》
金属組織のうち、ポリゴナルフェライト、高温域生成ベイナイト、および低温域生成ベイナイト等(即ち、低温域生成ベイナイト+焼戻しマルテンサイト)の面積率は走査型電子顕微鏡(SEM)観察した結果に基づいて算出し、残留γの体積率は飽和磁化法で測定した。
[(1)ポリゴナルフェライト、高温域生成ベイナイト、および低温域生成ベイナイト等の面積率]
供試材の圧延方向に平行な断面について、表面を研磨し、更に電解研磨した後、ナイタール腐食させて板厚の1/4位置をSEMで、倍率3000倍で5視野観察した。観察視野は約50μm×約50μmとした。
次に、観察視野内において、白色または薄い灰色として観察される残留γと炭化物の平均間隔を前述した方法に基づいて測定した。これらの平均間隔によって区別される高温域生成ベイナイトおよび低温域生成ベイナイト等の面積率は、点算法により測定した。
ポリゴナルフェライトの面積率a(%)、高温域生成ベイナイトの面積率b(%)、低温域生成ベイナイトと焼戻しマルテンサイトとの合計面積率c(%)を下記表4、表5に示す。また、上記面積率a、面積率b、および合計面積率cの合計面積率(a+b+c)も併せて示す。
また、観察視野内に認められるポリゴナルフェライト粒の円相当直径を測定し、平均値を求めた。結果を下記表4、表5に示す。また、ポリゴナルフェライト粒の平均円相当直径Dが10μm以下の場合を評価○、10μm超の場合を評価△とし、評価結果を下記表4、表5に示す。
[(2)残留γの体積率]
金属組織のうち、残留γの体積率は、飽和磁化法で測定した。具体的には、供試材の飽和磁化(I)と、400℃で15時間熱処理した標準試料の飽和磁化(Is)を測定し、下記式から残留γの体積率(Vγr)を求めた。飽和磁化の測定は、理研電子製の直流磁化B−H特性自動記録装置「model BHS−40」を用い、最大印加磁化を5000(Oe)として室温で測定した。
Vγr=(1−I/Is)×100
また、供試材の圧延方向に平行な断面の表面を研磨し、光学顕微鏡を用いて観察倍率1000倍で5視野について観察し、残留γと焼入れマルテンサイトとが複合したMA混合相の円相当直径dを測定した。MA混合相の全個数に対して、観察断面での円相当直径dが7μmを超えるMA混合相の個数割合を算出した。個数割合が15%未満である場合を合格(○)、15%以上である場合を不合格(×)として評価結果を下記表4、表5に示す。
《機械的特性の評価》
供試材の機械的特性は、引張強度(TS)、伸び(EL)、穴拡げ率(λ)、限界曲げ半径(R)、エリクセン値に基づいて評価した。
(1)引張強度(TS)と伸び(EL)は、JIS Z2241に基づいて引張試験を行って測定した。試験片は、供試材の圧延方向に対して垂直な方向が長手方向となるように、JIS Z2201で規定される5号試験片を供試材から切り出したものを用いた。測定結果を下記表4、表5に示す。
(2)伸びフランジ性は、穴拡げ率によって評価する。穴拡げ率(λ)は、鉄鋼連盟規格JFST 1001に基づいて穴拡げ試験を行って測定した。測定結果を下記表4、表5に示す。
(3)限界曲げ半径(R)は、JIS Z2248に基づいてV曲げ試験を行って測定した。試験片は、供試材の圧延方向に対して垂直な方向が長手方向(曲げ稜線が圧延方向と一致)となるように、JIS Z2204で規定される1号試験片(板厚:1.4mm)を供試材から切り出したものを用いた。なお、V曲げ試験は、亀裂が発生しないように試験片の長手方向の端面に機械研削を施してから行った。
ダイとパンチの角度は90°とし、パンチの先端半径を0.5mm単位で変えてV曲げ試験を行い、亀裂が発生せずに曲げることができるパンチ先端半径を限界曲げ半径(R)として求めた。測定結果を下記表4、表5に示す。なお、亀裂発生の有無はルーペを用いて観察し、ヘアークラック発生なしを基準として判定した。
(4)エリクセン値は、JIS Z2247に基づいてエリクセン試験を行って測定した。試験片は、90mm×90mm×厚み1.4mmとなるように供試材から切り出したものを用いた。エリクセン試験は、パンチ径が20mmのものを用いて行った。測定結果を下記表4、表5に示す。なお、エリクセン試験によれば、鋼板の全伸び特性と局部延性の両方による複合効果を評価できる。
供試材の機械的特性は、引張強度(TS)に応じた伸び(EL)、穴拡げ率(λ)、限界曲げ半径(R)、エリクセン値の基準に従って評価した。即ち、鋼板のTSによって要求されるEL、λ、R、エリクセン値は異なるため、TSレベルに応じて下記基準に従って機械的特性を評価した。
下記評価基準に基づいて、EL、λ、R、エリクセン値の全ての特性が満足している場合を合格(○)、何れかの特性が基準値に満たない場合を不合格(×)とし、評価結果を下記表4、表5に示す。
(1)590MPa級の場合
TS :590MPa以上、780MPa未満
EL :34%以上
λ :30%以上
R :0.5mm以下
エリクセン値:10.8mm以上
(2)780MPa級の場合
TS :780MPa以上、980MPa未満
EL :25%以上
λ :30%以上
R :1.0mm以下
エリクセン値:10.4mm以上
(3)980MPa級の場合
TS :980MPa以上、1180MPa未満
EL :19%以上
λ :20%以上
R :3.0mm以下
エリクセン値:10.0mm以上
(4)1180MPa級の場合
TS :1180MPa以上、1270MPa未満
EL :15%以上
λ :20%以上
R :4.5mm以下
エリクセン値:9.6mm以上
なお、本発明では、TSが590MPa以上、1270MPa未満であることを前提としており、TSが590MPa未満であるか、1270MPa以上の場合は、EL、λ、R、エリクセン値が良好であっても対象外として扱う。
下記表1〜表5から次のように考察できる。下記表4、表5に示したNo.1〜43のうち、No.1、3、4、11、14、15、20、28は上記パターンiで冷却した例であり、No.2、6は上記パターンiiiで冷却した例であり、No.19は上記パターンivで冷却した例であり、残りは上記パターンiiで冷却した例である。
下記表4、表5において、総合評価に○が付されている例は、いずれも本発明で規定する要件を満足している鋼板であり、各TSに応じて定めた機械的特性(EL、λ、R、エリクセン値)の基準値を満足している。従って本発明の高強度鋼板は、伸びおよび局所変形能に優れており、加工性全般に亘って良好であることが分かる。
一方、総合評価に×が付されている例(No.4、8、9、12、15、18〜20、31、34〜36)は、本発明で規定するいずれかの要件を満足していない鋼板である。詳細には次の通りである。
No.4は、二相温度域で加熱保持した後、上記式(1)を満たす任意の温度Tまで冷却するときの平均冷却速度が小さ過ぎる例であり、パーライト変態を起こし、所望の残留γ量が得られていない。従って強度不足となっている。No.8は、二相温度域における保持時間が短過ぎる例であり、残留γの生成量を確保できていないため、強度不足となった。No.9は、均熱処理した後、本発明で規定するT1温度域の温度を超える温度で保持し、T1温度域では保持せず、T2温度域まで冷却してこの温度域で保持した例である。ポリゴナルフェライトが多く生成したことによって高温域生成ベイナイトの生成量が少なく、残留γの生成量も少なくなったため、伸びおよびエリクセン値が低下し、加工性を改善できていない。
No.12は、T1温度域で保持した後、T2温度域を下回る温度に冷却したため、T2温度域では保持しなかった例であり、低温域生成ベイナイトが殆ど生成せず、SEM観察により粗大なMA混合相が多量に存在していることが確認され、焼入れマルテンサイトが多く存在していた。従って伸び、穴拡げ率、限界曲げ半径、エリクセン値の全てが本発明で規定する合格基準を満足しておらず、加工性を改善できていない。No.15は、T1温度域での保持時間が長く、T2温度域で保持していない例であり、低温域生成ベイナイト等の生成が抑制されている。また、粗大なMA混合相が多く生成している。従って穴拡げ率、限界曲げ半径が小さく、エリクセン値も小さくなって局所変形能が低下し、鋼板の加工性を改善できていない。
No.18は、加熱温度が高過ぎるため、ポリゴナルフェライトが殆ど生成せず、また高温域生成ベイナイトおよび低温域生成ベイナイト等の生成量が過剰になっている。従って伸びが低下し、鋼板の加工性を改善できていない。No.19は、T1温度域での保持時間が長過ぎ、しかもT2温度域で保持せずに冷却した例であり、低温域生成ベイナイト等の生成が抑制されている。また、粗大なMA混合相が多く生成した。従って穴拡げ率が小さく、またエリクセン値が小さくなって局所変形能が低下して加工性が劣化している。No.20は、均熱処理した後、T1温度域で保持せず、T2温度域まで一気に冷却し、この温度域で2種の温度で保持した例である。T2温度域のみで保持しているため、高温域生成ベイナイトが殆ど生成しておらず、また残留γも殆ど生成していない。従って伸びおよびエリクセン値が低下し、加工性が劣化している。No.31は、加熱温度が低過ぎる例であり、ポリゴナルフェライトの生成量が多くなり、高温域生成ベイナイト、低温域生成ベイナイト等、および残留γが全く生成しなかった。従って伸びが低下し、加工性を改善できていない。
No.34は、C量が少な過ぎる例であり、残留γの生成量が少な過ぎるため、伸びおよびエリクセン値が小さくなり、加工性が劣化している。No.35は、Si量が少な過ぎる例であり、残留γの生成量が少な過ぎるため、伸びが低下し、加工性が劣化している。No.36は、Mn量が少な過ぎる例であり、焼入れが充分に行われていないため、冷却中にポリゴナルフェライトの生成が促進される反面、低温域生成ベイナイト等の生成が抑制された。従って伸び、穴拡げ率、限界曲げ半径が小さくなり、加工性が劣化している。
以上の結果より、本発明によれば、加工性を改善した高強度鋼板を提供できることが分かる。
次に、上記表4、表5に示した780MPa級の鋼板のうち、本発明で規定している要件を満足する例(No.3、5〜7、11、14、16、17、23〜26、30、32、37〜43)について、引張強度(TS)と伸び(EL)の関係を図4に示す。図4において、●はポリゴナルフェライト粒の平均円相当直径Dが10μm以下の結果、■はポリゴナルフェライト粒の平均円相当直径Dが10μm超の結果を示している。
図4から明らかなように、引張強度(TS)が同じであっても、ポリゴナルフェライト粒の平均円相当直径Dを10μm以下に抑えることによって伸び(EL)を大きくでき、加工性を一段と改善できることが分かる。

Claims (10)

  1. 質量%で、
    C :0.10〜0.3%、
    Si:1.0〜3%、
    Mn:1.0〜2.5%、
    Al:0.005〜3%を含有し、且つ
    P :0.1%以下、
    S :0.05%以下を満足し、
    残部が鉄および不可避不純物からなる鋼板であり、
    該鋼板の金属組織は、ポリゴナルフェライト、ベイナイト、焼戻しマルテンサイト、および残留オーステナイトを含み、
    (1)金属組織を走査型電子顕微鏡で観察したときに、
    (1a)前記ポリゴナルフェライトの面積率aが金属組織全体に対して50%超であり、(1b)前記ベイナイトは、
    隣接する残留オーステナイトおよび/または炭化物の平均間隔が1μm以上である高温域生成ベイナイトと、
    隣接する残留オーステナイトおよび/または炭化物の平均間隔が1μm未満である低温域生成ベイナイトとの複合組織で構成されており、
    前記高温域生成ベイナイトの面積率bが金属組織全体に対して5〜40%、
    前記低温域生成ベイナイトと前記焼戻しマルテンサイトとの合計面積率cが金属組織全体に対して5〜40%を満足し、
    (2)飽和磁化法で測定した前記残留オーステナイトの体積率が金属組織全体に対して5%以上
    であることを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板。
  2. 前記金属組織を光学顕微鏡で観察したときに、焼入れマルテンサイトおよび残留オーステナイトが複合したMA混合相が存在している場合には、MA混合相の全個数に対して、観察断面での円相当直径dが7μm超を満足するMA混合相の個数割合が15%未満(0%を含む)である請求項1に記載の高強度鋼板。
  3. 前記ポリゴナルフェライト粒の平均円相当直径Dが、10μm以下(0μmを含まない)である請求項1または2に記載の高強度鋼板。
  4. 前記鋼板は、更に他の元素として、
    Cr:1%以下(0%を含まない)および/または
    Mo:1%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の高強度鋼板。
  5. 前記鋼板は、更に他の元素として、
    Ti:0.15%以下(0%を含まない)、
    Nb:0.15%以下(0%を含まない)および
    V :0.15%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上の元素を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の高強度鋼板。
  6. 前記鋼板は、更に他の元素として、
    Cu:1%以下(0%を含まない)および/または
    Ni:1%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の高強度鋼板。
  7. 前記鋼板は、更に他の元素として、
    B:0.005%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の高強度鋼板。
  8. 前記鋼板は、更に他の元素として、
    Ca:0.01%以下(0%を含まない)、
    Mg:0.01%以下(0%を含まない)および
    希土類元素:0.01%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上の元素を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の高強度鋼板。
  9. 前記鋼板の表面に、溶融亜鉛めっき層または合金化溶融亜鉛めっき層を有している請求項1〜8のいずれかに記載の高強度鋼板。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の高強度鋼板を製造する方法であって、
    Ac1点+20℃以上、Ac3点+20℃以下の温度域に加熱する工程と、
    該温度域で50秒間以上保持する工程と、
    下記式(1)を満たす任意の温度Tまで平均冷却速度2〜50℃/秒で冷却する工程と、下記式(1)を満たす温度域で10〜100秒間保持する工程と、
    下記式(2)を満たす温度域で200秒間以上保持する工程と、
    をこの順で含むことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
    400℃≦T1(℃)≦540℃ ・・・(1)
    200℃≦T2(℃)<400℃ ・・・(2)
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