JP6597374B2 - 高強度鋼板 - Google Patents

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本発明は、高強度鋼板に係り、特に、延性および伸びフランジ性に優れる高強度鋼板に関する。
近年、地球環境保護の観点から、多くの分野において炭酸ガス排出量削減に取り組んでいる。自動車メーカーにおいても低燃費化を目的とした車体軽量化の技術開発が盛んに行われている。しかし、乗員安全確保のために耐衝突特性の向上にも重点が置かれるため、車体軽量化は容易ではない。
そこで、車体軽量化と耐衝突特性とを両立するべく、高強度鋼板を用いて部材を薄肉化することが検討されている。このため、高い強度と優れた成形性とを兼備する鋼板が強く望まれており、これらの要求に応えるために、これまでにいくつかの技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、平均結晶粒径が10μm以下であるフェライト中に平均結晶粒径が5μm以下である残留オーステナイトを分散させた、耐衝突安全性および成形性に優れた自動車用高強度鋼板が開示されている。
特許文献2には、結晶粒内に残留オーステナイトおよび/またはマルテンサイトからなる第二相を微細に分散させた、伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度鋼板が開示されている。
特許文献3には、面積率で、75%以上のフェライト相と1%以上のベイニティックフェライト相と1%以上10%以下のパーライト相を有し、さらに、マルテンサイト相の面積率が10%以下であり、かつ、マルテンサイト面積率/(ベイニティックフェライト面積率+パーライト面積率)≦0.6を満たし、かつフェライト相中のMn濃度と第2相中のMn濃度の比が0.70以上である、加工性および耐衝撃特性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。
特許文献4には、面積率で5%以上95%以下の焼戻しマルテンサイトと残部がフェライトから構成される二相組織を有し、フェライト中の平均Mn濃度CMn・αと焼戻しマルテンサイト中の平均Mn濃度CMn・Mとの比CMn・α/CMn・Mが0.95以上である、伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板が開示されている。
特許文献5には、熱間圧延完了後、1秒間以内に720℃以下の温度域まで冷却し、500℃超720℃以下の温度域に1秒間以上20秒間以下の滞在時間で滞在させた後、350℃以上500℃以下の温度域で巻き取る、延性と伸びフランジ性が良好な高強度熱延鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献6には、熱間圧延完了後、0.4秒以内に780℃以下の温度域まで冷却した後に巻取り、冷間圧延を施してから(Ac点−40℃)以上の温度域で均熱処理を施した後、500℃以下300℃以上の温度域まで冷却し、該温度域で30秒間以上保持する、延性と伸びフランジ性が良好な冷延鋼板の製造方法が開示されている。
特開平11−61326号公報 特開2005−179703号公報 国際公開第2011/090179号 特開2010−156032号公報 特開2012−251200号公報 国際公開第2013/005714号
一般的に、金属組織に残留オーステナイトを含む鋼板は、加工中に残留オーステナイトがマルテンサイト変態することで生ずる変態誘起塑性(TRIP)の効果により大きな伸びを示すが、硬質なマルテンサイトの生成により穴拡げ性が損なわれる。特許文献1に記載される鋼板は、フェライトおよび残留オーステナイトの微細化により延性および穴拡げ性が向上するとされているが、穴拡げ比は高々1.5であり十分なプレス成形性を備えるとはいい難い。また、加工硬化指数を高めて耐衝突安全性を改善するために、主相を軟質なフェライト相とする必要があり、高い引張強度を得ることが困難である。
また、特許文献2に記載の技術では、第二相をナノサイズにまで微細化し結晶粒内に分散させるために、CuおよびNi等の高価な元素を多量に含有させ、さらに高温で長時間の溶体化処理を行う必要があり、製造コストの上昇および生産性の低下が著しい。
さらに、特許文献3によれば、鋼中におけるMnの分布を均一にし、フェライト相中のMn濃度と第2相中のMn濃度の比を0.70以上とすることにより、プレス加工による歪の導入がなくても、5%程度の低歪域までの吸収エネルギーが大きく、耐衝突特性の向上が可能とされている。しかし、主相を軟質なフェライト相とする必要があり、高い引張強度を得ることが困難である。
そして、特許文献4によれば、フェライト中とマルテンサイト中とのMn濃度の比を一定値以上とすることで、フェライトとマルテンサイトの硬さの差が小さくなり、フェライトおよびマルテンサイトの界面における応力集中が低減することで、1000MPaを超える引張り強度で良好な伸びフランジ性が得られるとされている。しかし、強度−延性バランス(TS×EL)は16000MPa・%に満たず、延性が要求される部材への適用は困難である。
ところで、自動車部品には様々な加工様式があるため、要求される成形性は適用される部材により異なるが、延性と伸びフランジ性とは、なかでも重要な成形性の指標と位置付けられており、これらを高いレベルで兼備することが望まれている。さらに、近年では従来よりもさらに高い強度を有することが望まれている。
上述の特許文献5および特許文献6に開示される技術は、そのような要請に応える優れた技術であるが、熱間圧延直後に急速冷却を行う設備が必要不可欠である。さらに数百℃/秒以上の急速冷却を700℃近傍の温度まで続けるため鋼板の温度制御が難しいという問題を有している。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、熱間圧延直後の急速冷却を行うことなく、高強度であり、かつ優れた延性と伸びフランジ性とを有する鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、高強度鋼板の化学組成および鋼組織と機械特性との関係について鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得るに至った。
(a)高い強度を得るには鋼組織は硬質であることが好ましく、優れた伸びフランジ性を得るには鋼組織は均質であることが好ましい。したがって、高い強度と優れた伸びフランジ性とを兼備させるには、硬質かつ均質な組織であるマルテンサイトが適しており、マルテンサイトを主体とする鋼組織とすることが重要である。
(b)マルテンサイトは延性に乏しい組織である。このため、単にマルテンサイトを主体とする鋼組織としたのでは延性を確保することが困難である。
(c)鋼組織中に残留オーステナイトを含有させることで、TRIP効果により延性向上が図られる。しかし、残留オーステナイトが粗大な場合、加工誘起変態により生じたマルテンサイトによって粗大なボイドが形成されるため、伸びフランジ性が劣化する。伸びフランジ性を維持し、延性向上を図るためには、微細な残留オーステナイトを含有させて加工誘起変態により生じるマルテンサイトを微細なものとし、粗大なボイドの形成を抑制することが効果的である。
(d)微細な残留オーステナイトは、周囲の結晶粒からの三次元的拘束により変形に対する安定性が高いため、高強度鋼板ではTRIP効果が十分に発現される前に局所変形が生じ、延性の向上が図れない場合がある。
(e)高強度鋼板の延性向上には、軟質なポリゴナルフェライトを含有させて変形初期の加工硬化指数を高めることが効果的であるが、ポリゴナルフェライトの含有量に加えて、ポリゴナルフェライトの平均粒径、ならびに、マルテンサイト中およびポリゴナルフェライト中それぞれのMn濃度の比を適切な範囲に制御することで、伸びフランジ性を維持したまま、延性向上を図ることができる。ポリゴナルフェライトの平均粒径は粒界強化により、Mn濃度は固溶強化によりそれぞれポリゴナルフェライトの強化に寄与するため、これらを適切な範囲に制御し、マルテンサイトとポリゴナルフェライトとの硬度差を制御することで、高強度かつ延性と伸びフランジ性とを高いレベルで兼備することが可能となる。
本発明は、上記の知見を基礎としてなされたものであり、下記の高強度鋼板を要旨とする。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.04%以上0.50%未満、
Si:0.10%以上3.0%未満、
Mn:1.5〜8.0%、
P:0.10%以下、
S:0.030%以下、
sol.Al:0.01〜2.0%、
N:0.010%以下、
Ti:0〜0.20%、
Nb:0〜0.10%、
V:0〜0.50%、
Cr:0%以上1.0%未満、
Mo:0〜0.50%、
Ni:0〜1.0%、
B:0〜0.0050%、
Ca:0〜0.020%、
Mg:0〜0.020%、
REM:0〜0.020%、
Cu:0〜1.0%、
Bi:0〜0.020%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式を満足し、
金属組織が、面積%で、
マルテンサイト:60.0〜95.0%、
ポリゴナルフェライト:2.0〜25.0%、
残留オーステナイト:3.0〜35.0%、
残部:15.0%以下であって、かつ、
ポリゴナルフェライトの平均粒径:0.3〜10.0μm、
残留オーステナイトの平均粒径:1.0μm以下であり、
下記(ii)式を満足する、高強度鋼板。
0.5≦Si+sol.Al≦3.0 ・・・(i)
0.25<[Mn]PF/[Mn]<0.70 ・・・(ii)
但し、上記(i)式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、上記(ii)式中の各記号の意味は以下のとおりである。
[Mn]PF:ポリゴナルフェライト中の平均Mn濃度(質量%)
[Mn]:マルテンサイト中の平均Mn濃度(質量%)
(2)前記化学組成が、質量%で、
Ti:0.005〜0.20%、
Nb:0.002〜0.10%、および
V:0.005〜0.50%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)に記載の高強度鋼板。
(3)前記化学組成が、質量%で、
Cr:0.05%以上1.0%未満、
Mo:0.02〜0.50%、
Ni:0.05〜1.0%、および
B:0.0002〜0.0050%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)または(2)に記載の高強度鋼板。
(4)前記化学組成が、質量%で、
Ca:0.0005〜0.020%、
Mg:0.0005〜0.020%、および
REM:0.0005〜0.020%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)から(3)までのいずれかに記載の高強度鋼板。
(5)前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.05〜1.0%
を含有する、上記(1)から(4)までのいずれかに記載の高強度鋼板。
(6)前記化学組成が、質量%で、
Bi:0.0005〜0.020%
を含有する、上記(1)から(5)までのいずれかに記載の高強度鋼板。
本発明によれば、高い強度を有するとともに優れた延性と伸びフランジ性とを有する鋼板を得ることができる。したがって、本発明に係る高強度鋼板は、自動車部材、機械構造部材、建築部材等の素材として用いるのに好適である。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
(A)化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.04%以上0.50%未満
Cは、固溶強化により鋼板の強度を高める作用と残留オーステナイトを安定化させる作用とを有する。C含有量が0.04%未満では、所望の鋼板強度および残留オーステナイト面積率を確保することが困難となる。一方、C含有量が0.50%以上では、パーライトが優先的に生成してしまい目的の残留オーステナイト面積率を得ることが困難となる。したがって、C含有量は0.04%以上0.50%未満とする。C含有量は0.06%以上であるのが好ましく、0.10%以上であるのがより好ましい。また、C含有量は0.40%以下であるのが好ましい。
Si:0.10%以上3.0%未満
Siは、固溶強化により鋼板の強度を高める作用と脱酸により鋼を健全化する作用とを有する。さらにセメンタイトの析出を遅延させ、残留オーステナイトの面積率を高める作用により、延性の向上に寄与する。Si含有量が0.10%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。一方、Si含有量が3.0%以上になると、鋼板の表面性状および化成処理性の劣化、ならびに、延性および溶接性の劣化が著しくなる。また、A変態点の著しい上昇を招き、安定した熱間圧延を困難にする。したがって、Si含有量は0.10%以上3.0%未満とする。
後述するように、本発明ではSiおよびsol.Alの合計含有量(Si+sol.Al)が重要であるが、Siはsol.Alよりも固溶強化能が高い。そのため、より高い強度を求める場合には、Si含有量は0.50%以上とすることが好ましく、0.80%以上とすることがより好ましく、1.0%以上とすることがさらに好ましい。また、Si含有量は2.5%以下であるのが好ましい。
Mn:1.5〜8.0%
Mnは、鋼の焼入れ性を高めてマルテンサイトの生成を促進する作用を有する。Mn含有量が1.5%未満では、目的とするマルテンサイト量を確保することが困難である。一方、Mn含有量が8.0%を超えると、フェライト変態が過度に抑制されてしまい、目的とするポリゴナルフェライト量を確保することが困難となる。したがって、Mn含有量は1.5〜8.0%とする。Mn含有量は2.0%以上であるのが好ましく、2.3%以上であるのがより好ましい。また、Mn含有量は6.0%以下であるのが好ましい。
P:0.10%以下
Pは、一般に不純物として含有される元素であるが、固溶強化により強度を高める作用を有する元素でもある。したがって、Pを積極的に含有させてもよい。しかし、Pは偏析し易い元素であり、その含有量が0.10%を超えると、粒界偏析に起因する成形性および靭性の低下が顕著となる。したがって、P含有量は0.10%以下とする。P含有量は0.050%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましく、0.020%以下であるのがさらに好ましい。P含有量の下限は特に規定する必要はないが、精錬コストの観点からは0.001%以上とすることが好ましい。
S:0.030%以下
Sは、不純物として含有される元素であり、鋼中に硫化物系介在物を形成して鋼板の成形性を低下させる。S含有量が0.030%を超えると、成形性の低下が著しくなる。したがって、S含有量は0.030%以下とする。S含有量は0.010%以下であるのが好ましく、0.005%以下であるのがより好ましく、0.001%以下であるのがさらに好ましい。S含有量の下限は特に規定する必要はないが、精錬コストの上昇を抑制する観点からは0.0001%以上とすることが好ましい。
sol.Al:0.01〜2.0%
Alは、Siと同様に、鋼を脱酸して鋼板を健全化する作用を有する。さらにセメンタイトの析出を遅延させ、残留オーステナイトの面積率を高める作用により、延性の向上に寄与する。sol.Al含有量が0.01%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。一方、sol.Al含有量が2.0%を超えると、A変態点の著しい上昇を招いて、安定した熱間圧延を困難にする。したがって、sol.Al含有量は0.01〜2.0%とする。sol.Al含有量は0.03%以上であるのが好ましい。また、sol.Al含有量は1.5%以下であるのが好ましく、1.0%以下であるのがより好ましい。
N:0.010%以下
Nは、不純物として含有される元素であり、鋼板の成形性を低下させる作用を有する。N含有量が0.010%を超えると、成形性の低下が著しくなる。したがって、N含有量は0.010%以下とする。N含有量は0.0080%以下であるのが好ましく、0.0070%以下であるのがより好ましい。N含有量の下限は特に規定する必要はないが、後述するようにTi、NbおよびVの1種以上を含有させて鋼組織の微細化を図る場合を考慮すると、炭窒化物の析出を促進させるためにN含有量は、0.0010%以上とすることが好ましく、0.0020%以上とすることがより好ましい。
本発明の鋼板には、上記の元素に加えてさらに、下記に示す量のTi、Nb、V、Cr、Mo、Ni、B、Ca、Mg、REM、CuおよびBiから選択される1種以上の元素を含有させても良い。
Ti:0〜0.20%
Nb:0〜0.10%
V:0〜0.50%
Ti、NbおよびVは、鋼中に炭化物または窒化物として析出し、そのピン止め効果によって鋼組織を微細化する作用を有する。したがって、これらの元素から選択される1種以上を含有させてもよい。しかし、過剰に含有させても、上記作用による効果が飽和して不経済となる。したがって、Ti含有量は0.20%以下、Nb含有量は0.10%以下、V含有量は0.50%以下とする。これらの元素の上記作用による効果をより確実に得るには、Ti:0.005%以上、Nb:0.002%以上、およびV:0.005%以上の少なくともいずれかを満足させることが好ましい。
Cr:0%以上1.0%未満
Mo:0〜0.50%
Ni:0〜1.0%
B:0〜0.0050%
Cr、Mo、NiおよびBは、焼入性を高める作用を有する。また、Moは、鋼中に炭化物を析出して強度を高める作用を有する。さらに、Niは、後述するようにCuを含有させる場合においては、Cuに起因するスラブの粒界割れを効果的に抑制する作用を有する。したがって、これらの元素から選択される1種以上を含有させてもよい。
しかし、Cr含有量が1.0%以上では、化成処理性の低下が著しくなる。したがって、Cr含有量は1.0%未満とする。上記作用による効果をより確実に得るには、Cr含有量を0.05%以上とすることが好ましい。また、Mo含有量が0.50%を超えると、上記作用による効果は飽和してコスト的に不利となる。したがって、Mo含有量は0.50%以下とする。好ましくは0.20%以下である。上記作用による効果をより確実に得るにはMo含有量を0.02%以上とすることが好ましい。
Niは高価な元素であるため、多量の含有はコスト的に不利となる。したがって、Ni含有量は1.0%以下とする。上記作用による効果をより確実に得るには、Ni含有量を0.05%以上とすることが好ましい。また、B含有量が0.0050%を超えると成形性の低下が著しくなる。したがって、B含有量は0.0050%以下とする。上記作用による効果をより確実に得るには、B含有量を0.0002%以上とすることが好ましい。
Ca:0〜0.020%
Mg:0〜0.020%
REM:0〜0.020%
Ca、MgおよびREMは、介在物の形状を調整することにより、成形性を高める作用を有する。したがって、これらの元素から選択される1種以上を含有させてもよい。しかし、これらの元素の含有量が上記上限値を超えると、鋼中の介在物が過剰となり、却って成形性を低下させる場合がある。したがって、Ca含有量は0.020%以下、Mg含有量は0.020%以下、REM含有量は0.020%以下とする。それぞれの元素は、0.010%以下であるのが好ましく、0.005%以下であるのがより好ましい。上記作用による効果をより確実に得るには、上記元素の少なくともいずれかを0.0005%以上含有させることが好ましい。
ここで、REMは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、REMの含有量は、これらの元素の合計含有量を指す。ランタノイドの場合、工業的にはミッシュメタルの形で添加される。
Cu:0〜1.0%
Cuは、低温で析出して強度を高める作用を有するので、鋼中に含有させてもよい。しかし、Cu含有量が1.0%を超えると、スラブの粒界割れが生じる場合がある。したがって、Cu含有量は1.0%以下とする。Cu含有量は0.5%未満であるのが好ましく、0.3%未満であるのがより好ましい。上記作用による効果をより確実に得るにはCu含有量は0.05%以上とすることが好ましい。
Bi:0〜0.020%
Biは、凝固組織を微細化することにより成形性を高める作用を有するので、鋼中に含有させてもよい。しかし、Bi含有量が0.020%を超えると、上記作用による効果は飽和してしまい、コスト的に不利となる。したがって、Bi含有量は0.020%以下とする。Bi含有量は0.010%以下であるのが好ましい。上記作用による効果をより確実に得るには、Bi含有量を0.0005%以上とすることが好ましい。
0.5≦Si+sol.Al≦3.0 ・・・(i)
但し、上記(i)式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
上述したように、SiおよびAlはともにセメンタイトの析出を抑制して残留オーステナイト面積率を高める作用を有し、延性を向上させることから、本発明ではSiとsol.Alとの合計含有量(Si+sol.Al)を規定する。
Si+sol.Alの値が0.5未満では、上記作用が不十分なために所望の残留オーステナイト面積率が得られず、延性が劣化する。一方、Si+sol.Alの値が3.0を超えると、A変態点の著しい上昇を招いて、安定した熱間圧延を困難にする。したがって、上記(i)式を満足する必要がある。Si+sol.Alの値は、1.0以上であるのが好ましく、1.2以上であるのがより好ましい。また、Si+sol.Alの値は、2.5以下であるのが好ましく、2.2以下であるのがより好ましい。
本発明の鋼板の化学組成において、残部はFeおよび不純物である。
なお「不純物」とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
(B)鋼板の金属組織
本発明に係る鋼板の金属組織について、以下に説明する。
マルテンサイトの面積率:60.0〜95.0%
マルテンサイトは硬質かつ均質な組織であり、高い強度と優れた伸びフランジ性とを兼備させるのに適した組織である。マルテンサイトの面積率が60.0%未満の場合、所望の強度と伸びフランジ性とを得ることが困難となる。一方、マルテンサイトの面積率が95.0%を超えると延性が著しく低下する。したがって、マルテンサイトの面積率は60.0〜95.0%とする。マルテンサイトの面積率は70.0%以上であるのが好ましい。なお、本発明でのマルテンサイトは、無拡散でせん断的機構により生成する、いわゆるフレッシュマルテンサイトの他に焼戻しマルテンサイトを総称したものである。
ポリゴナルフェライトの面積率:2.0〜25.0%
軟質なポリゴナルフェライトを含有させることにより延性を向上させるため、ポリゴナルフェライトの面積率は2.0〜25.0%とする。ポリゴナルフェライトの面積率が2.0%未満では延性向上の効果が得られない。一方、25.0%を超えると伸びフランジ性が低下するばかりでなく、所望の強度確保が困難となる。ポリゴナルフェライトの面積率は5.0%以上であるのが好ましく、6.0%以上であるのがより好ましい。また、上記面積率は20.0%以下であるのが好ましく、15.0%以下であるのがより好ましい。
残留オーステナイトの面積率:3.0〜35.0%
残留オーステナイトは、変態誘起塑性(TRIP)により延性を高める作用を有する。残留オーステナイト面積率が3.0%未満では、上記作用による効果を得ることが困難である。一方、残留オーステナイトの面積率が35.0%を超えると、加工誘起変態により生じた硬質なマルテンサイトによる伸びフランジ性の劣化が顕著となる。したがって、残留オーステナイト面積率は3.0〜35.0%とする。残留オーステナイト面積率は4.0%以上であるのが好ましく、6.0%以上であるのがより好ましい。
なお、残留オーステナイトの定量方法には、X線回折、電子線後方散乱回折像(EBSP)解析、磁気測定による方法等があり、方法によって定量値が異なる場合がある。本発明で規定する残留オーステナイトの面積率は、X線回折による測定値である。
本発明に係る鋼板には、上述の組織以外に残部としてセメンタイト、パーライトおよびベイニティックフェライト等が含まれる場合がある。マルテンサイト、ポリゴナルフェライトおよび残留オーステナイトを除く残部の組織の合計面積率が15.0%を超えると、伸びフランジ性が低下する。成形性の観点から、残部の面積率は15.0%以下とする必要がある。残部の面積率は10.0%以下であるのが好ましく、6.0%以下であるのがより好ましい。
ポリゴナルフェライトの平均粒径:0.3〜10.0μm
ポリゴナルフェライトの平均粒径が0.3μm未満になると延性が著しく劣化するため、0.3μm以上とする。一方、平均粒径が10.0μmを超えると、ポリゴナルフェライトとマルテンサイトとの界面で粗大なボイドが生成し、伸びフランジ性が劣化する。細粒化強化によりマルテンサイトとの硬度差を軽減し、伸びフランジ性を向上させる観点から、ポリゴナルフェライトの平均粒径は10.0μm以下とする必要がある。
ポリゴナルフェライトの平均粒径は0.8μm以上であるのが好ましく、1.2μm以上であるのがより好ましい。また、上記平均粒径は7.0μm以下であるのが好ましく、5.0μm以下がより好ましい。なお、本発明におけるポリゴナルフェライトの平均粒径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)観察像およびEBSP解析結果を用いた画像解析により求めた円相当径のことである。
また、ポリゴナルフェライトの平均アスペクト比は、異方性を軽減し伸びフランジ性を向上させる観点から3.0以下とするのが好ましく、2.5以下とするのがより好ましい。なお、ポリゴナルフェライトの平均アスペクト比とは、SEM観察像およびEBSP解析結果を用いた画像解析から楕円近似し求めた(長軸長さ)/(短軸長さ)で表される値のことである。
残留オーステナイトの平均粒径:1.0μm以下
残留オーステナイトの平均粒径が1.0μmを超えると、加工誘起変態により生じたマルテンサイトにより伸びフランジ性が劣化する。したがって、残留オーステナイトの平均粒径は1.0μm以下とする。残留オーステナイトの平均粒径は0.8μm以下であるのが好ましく、0.6μm以下であるのがより好ましい。
0.25<[Mn]PF/[Mn]<0.70 ・・・(ii)
但し、上記(ii)式中の各記号の意味は以下のとおりである。
[Mn]PF:ポリゴナルフェライト中の平均Mn濃度(質量%)
[Mn]:マルテンサイト中の平均Mn濃度(質量%)
マルテンサイトとポリゴナルフェライトの硬度差を制御して延性と伸びフランジ性とを高いレベルで兼備させるため、マルテンサイト中のMn濃度とポリゴナルフェライト中のMn濃度とが、上記(ii)式を満足する必要がある。
ポリゴナルフェライト中の平均Mn濃度がマルテンサイト中の平均Mn濃度の0.70倍以上である場合、Mnによるポリゴナルフェライトの固溶強化量が大きく所望の延性が得られない。一方、ポリゴナルフェライト中の平均Mn濃度がマルテンサイト中の平均Mn濃度の0.25倍以下である場合、マルテンサイトとポリゴナルフェライトとの硬度差が大きいため、変形時に粗大なボイドが発生しやすく、伸びフランジ性が低下する。
なお、金属組織の同定および面積率の算出は以下の方法で行う。まず、鋼板の圧延方向垂直断面を鏡面研磨後、ナイタール腐食し、光学顕微鏡またはSEMを用いた組織観察から金属組織を同定する。次に鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率をEBSP解析から算出する。また、圧延面法線方向から板厚の1/4深さまで面削した試料を用い、X線回折測定により残留オーステナイト面積率を求める。
さらに、レペラ腐食した試料を用い、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置の圧延方向垂直断面について圧延方向200μm×圧延面法線方向50μm領域を光学顕微鏡で撮影し、市販の画像処理ソフトウェア「Image−Pro」を用いた二値化処理により残留オーステナイトとマルテンサイトとの合計面積率を算出する。レペラ腐食で求めた残留オーステナイトとマルテンサイトの合計面積率から、X線回折測定で求めた残留オーステナイト面積率を差し引いた値をマルテンサイト面積率とする。
そして、上記で求めたマルテンサイト、ポリゴナルフェライトおよび残留オーステナイトの面積率の合計を、100%から差し引いた値を残部組織の面積率とする。また、ポリゴナルフェライトおよび残留オーステナイトの平均粒径は、EBSP解析および鋼板表面から板厚の1/4深さ位置から採取した薄膜試験片の透過型電子顕微鏡(TEM)観察から算出する。
ポリゴナルフェライト中およびマルテンサイト中のMn濃度は、電界放射型電子銃を備えた電子線マイクロアナライザー(FE−EPMA)を用いて、以下の方法で求める。まず鋼板表面から板厚の1/4深さ位置の50μm×50μm領域について、0.1μmの間隔でFE−EPMAにてMn濃度のマッピング分析を行う。次に、同一視野の金属組織を上述した方法でEBSP解析から同定する。同定されたマルテンサイトとポリゴナルフェライトについて任意の10点のMn濃度の平均値を算出し、マルテンサイトおよびポリゴナルフェライトそれぞれのMn濃度とする。
(C)めっき層
上述した化学組成および鋼組織を有する本発明に係る高強度鋼板の表面には、耐食性の向上等を目的としてめっき層を形成させて表面処理鋼板としてもよい。めっき層は、電気めっき層であってもよく、溶融めっき層であってもよい。
電気めっき層としては、電気亜鉛めっき、電気Zn−Ni合金めっき等が例示される。また、溶融めっき層としては、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき、溶融Zn−Al合金めっき、溶融Zn−Al−Mg合金めっき、溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき等が例示される。めっき付着量は特に制限されず、従来と同様でよい。また、めっき後に適当な化成処理(例えば、シリケート系のクロムフリー化成処理液の塗布と乾燥)を施して、耐食性をさらに高めることも可能である。
(D)製造条件
本発明の一実施形態に係る高強度鋼板は、例えば以下に示す工程を含む製造方法によって得ることができる。
<鋳造工程>
上述した化学組成を有する鋼は、公知の手段により溶製された後に、連続鋳造法により鋼塊とされるか、または、任意の鋳造法により鋼塊とした後に分塊圧延する方法等により鋼片とされる。連続鋳造工程では、介在物に起因する表面欠陥の発生を抑制するために、鋳型内にて電磁攪拌等の外部付加的な流動を溶鋼に生じさせることが好ましい。
鋼塊または鋼片は、一旦冷却されたものを再加熱して熱間圧延に供してもよく、連続鋳造後の高温状態にある鋼塊または分塊圧延後の高温状態にある鋼片をそのまま、もしくは保温して、または補助的な加熱を行って熱間圧延に供してもよい。本発明では、このような鋼塊および鋼片を、熱間圧延の素材として「スラブ」と総称する。
<熱間圧延工程>
スラブ加熱温度:1350℃以下
熱間圧延に供するスラブの温度は、スケールロスを抑制する観点から1350℃以下とすることが好ましく、1280℃以下とすることがより好ましい。熱間圧延に供するスラブの温度の下限は特に限定する必要はなく、後述するように熱間圧延をAr点以上で完了することが可能な温度であればよい。
圧延完了温度:Ar点〜1100℃
熱間圧延は、圧延完了後にオーステナイトを変態させることにより熱延鋼板の金属組織を微細化するために、Ar点以上の温度域で完了させる。圧延完了温度がAr点未満では、熱間圧延中にフェライト変態が生じ、熱延鋼板の金属組織において、圧延方向に展伸した粗大な低温変態相が生成する。これによって焼鈍後の金属組織が粗大化し、延性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため、熱間圧延の完了温度はAr点以上とすることが好ましい。
一方、圧延完了の温度が1100℃を超えると熱延鋼板の金属組織が粗大となり、焼鈍後の金属組織が粗大となって、延性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため、熱間圧延の完了温度は1100℃以下とすることが好ましく、1050℃以下とすることがより好ましい。
なお、熱間圧延が粗圧延と仕上圧延とからなる場合には、仕上圧延を上記温度で完了するために、粗圧延と仕上圧延との間で粗圧延材を加熱してもよい。この際、粗圧延材の後端が先端よりも高温となるように加熱することにより、仕上圧延の開始時における粗圧延材の全長にわたる温度の変動を140℃以下に抑制することが望ましい。これにより、コイル内の製品特性の均一性が向上する。
粗圧延材の加熱方法は公知の手段を用いて行えばよい。例えば、粗圧延機と仕上圧延機との間にソレノイド式誘導加熱装置を設けておき、この誘導加熱装置の上流側における粗圧延材長手方向の温度分布等に基づいて加熱昇温量を制御してもよい。
また、熱間圧延は、多パス圧延としてレバースミルまたはタンデムミルを用いるのが好ましい。特に工業的生産性の観点から、少なくとも最終の数段はタンデムミルを用いた圧延とすることがより好ましい。
圧延完了後の一次冷却:圧延完了後10秒以内に冷却を開始し、5℃/秒以上の冷却速度にて冷却
圧延完了後、冷却開始までの時間が10秒を超える場合、または、冷却速度が5℃未満の場合は熱延鋼板の金属組織が粗大となり、焼鈍後の金属組織が粗大となって、延性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため圧延完了後の一次冷却は、10秒以内に冷却を開始し、5℃/秒以上の冷却速度にて冷却することが好ましい。
巻取り温度:650℃以下
熱間圧延後に行うフェライトとオーステナイトとの二相域温度での焼鈍(一次焼鈍)によって、フェライトとオーステナイトとの間でMnの分配が促進され、その後に行う焼鈍(二次焼鈍)によって、ポリゴナルフェライト面積率およびマルテンサイト中のMn濃度とポリゴナルフェライト中のMn濃度との関係を所望の範囲に制御することが可能となる。その効果を得るには、熱間圧延後の巻取り温度は650℃以下とすることが好ましい。巻取り温度が650℃を超えるとパーライトが生成し易く、フェライトとパーライトとの間でMn分配が進行し、延性および伸びフランジ性に好適な組織を得るのが困難となる。巻取り温度は、400℃未満とするのがより好ましく、300℃未満とするのがさらに好ましい。
<一次焼鈍工程>
上述した熱間圧延工程で得られた熱延鋼板に対して、フェライトおよびオーステナイトの二相域温度で焼鈍を行う。この焼鈍を本発明では「一次焼鈍」と呼ぶ。なお、一次焼鈍に先立って酸洗等により熱延鋼板の脱スケールを行ってもよく、さらに常法に従って冷間圧延を行ってもよい。一次焼鈍によってフェライトとオーステナイトとの間でMnの分配を促進することで、延性および伸びフランジ性に好適な金属組織を得ることが容易となる。この一次焼鈍条件は以下の範囲を満足することが好ましい。
一次焼鈍温度:(Ac点−50℃)〜(Ac点−2℃)
一次焼鈍温度は、(Ac点−50℃)〜(Ac点−2℃)とすることが好ましい。この範囲の温度で焼鈍することにより、ポリゴナルフェライトの面積率と平均粒径、マルテンサイト中のMn濃度とポリゴナルフェライト中のMn濃度との関係を所望の範囲に制御することが可能となる。一次焼鈍温度が(Ac点−50℃)未満では粗大なポリゴナルフェライトが生成し易く、伸びフランジ性が劣化するおそれがある。一方、一次焼鈍温度が(Ac点−2℃)を超えると、所望のポリゴナルフェライト量を確保するのが困難となり、延性が劣化するおそれがある。
一次焼鈍保持時間:下記(iii)式を満足する
一次焼鈍保持時間は、上述の一次焼鈍温度との関係において、下記(iii)式を満足することが好ましい。
1.4×10−8×exp{26500/(T+273)}≦t≦4.0×10 ・・・(iii)
但し、上記(iii)式中の各記号の意味は以下のとおりである。
t:一次焼鈍保持時間(秒)
T:一次焼鈍温度(℃)
Mnの拡散速度は非常に遅いため、上述した一次焼鈍温度にて所定時間保持してフェライト中からオーステナイト中へのMn分配を促進する。この焼鈍鋼板に対して後述のように二次焼鈍することにより、マルテンサイト中のMn濃度とポリゴナルフェライト中のMn濃度との関係を所望の範囲に制御することが可能となる。保持時間が(iii)式左辺[1.4×10−8×exp{6500/(T+273)}]未満の場合、Mnの分配が不十分なため、マルテンサイト中のMn濃度とポリゴナルフェライト中のMn濃度との比が所望の値とならず、延性が劣化し易くなる。一方、長時間保持するとMn濃度の比は平衡状態に近づくため、4.0×10秒を超える焼鈍を行っても熱処理コストが嵩むばかりである。
<二次焼鈍工程>
上述した一次焼鈍で得られた焼鈍鋼板を、必要に応じて公知の方法に従って脱スケール、脱脂等の処理を施した後、焼鈍する。この焼鈍を本発明では「二次焼鈍」と呼ぶ。なお、二次焼鈍に先立って常法に従って冷間圧延を行ってもよい。二次焼鈍を行うことによって、マルテンサイトおよび残留オーステナイトを生成させる。それによって、延性および伸びフランジ性に好適な金属組織を得ることが容易となる。この二次焼鈍条件は、以下の範囲を満足することが好ましい。
二次焼鈍温度:(Ac点−40℃)以上(Ac点+100℃)未満
二次焼鈍温度は、(Ac点−40℃)以上とすることが好ましい。これは、主相がマルテンサイトであって、第二相に残留オーステナイトを含む金属組織を得るためである。マルテンサイトの面積率を増加させ、伸びフランジ性を向上させるためには、二次焼鈍温度は(Ac点−20℃)を超える温度とすることがより好ましく、Ac点を超える温度とすることがさらに好ましい。しかし、二次焼鈍温度が高くなりすぎると、オーステナイトが過度に粗大化するとともに一次焼鈍で促進したMn分配が拡散により低下し、延性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため、二次焼鈍温度は、(Ac点+100℃)未満とすることが好ましい。二次焼鈍温度は、(Ac点+50℃)未満とすることがより好ましく、(Ac点+20℃)未満とすることがさらに好ましい。
二次焼鈍保持時間:150秒未満
二次焼鈍温度での保持時間の下限は特に限定する必要はないが、安定した機械特性を得るために、15秒を超える時間とすることが好ましく、60秒を超える時間とすることがより好ましい。一方、保持時間が長くなりすぎると、一次焼鈍で分配したMnの拡散が生じて、延性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため、保持時間は、150秒間未満とすることが好ましく、120秒間未満とすることがより好ましい。
二次焼鈍における加熱過程では、一次焼鈍で分配したMnの拡散を抑制するため、平均加熱速度を5℃/秒以上とすることが好ましく、20℃/秒以上とすることがより好ましく、100℃/秒以上とすることがさらに好ましい。
二次焼鈍の均熱後の冷却過程では、微細なポリゴナルフェライトの生成を促進し、延性を向上させるために、10℃/秒未満の冷却速度で、二次焼鈍温度から50℃以上冷却を行うことが好ましい。この均熱後の冷却速度は5℃/秒未満であることが好ましく、3℃/秒未満であることがより好ましく、2℃/秒未満であることがさらに好ましい。なお、一次焼鈍で鋼板中にMn分配を生じさせているため、ポリゴナルフェライトはMn濃度の低い部位から優先的に生成する。これにより、延性および伸びフランジ性に好適なポリゴナルフェライト面積率およびマルテンサイト中のMn濃度とポリゴナルフェライト中のMn濃度との関係が容易に得られる。
また、マルテンサイトを主相とする金属組織を得るために、650〜500℃の温度範囲での平均冷却速度を15℃/秒以上とすることが好ましい。650〜450℃の温度範囲での平均冷却速度を15℃/秒以上とすることがより好ましい。冷却速度が速いほどマルテンサイトの面積率が高まるので、上記の平均冷却速度は30℃/秒を超える速度とするのがより好ましく、50℃/秒を超える速度とするのがさらに好ましい。一方、冷却速度が速すぎると、鋼板の形状が損なわれるので、650〜500℃の温度範囲における冷却速度は、200℃/秒以下とすることが好ましく、150℃/秒未満とすることがより好ましく、130℃/秒未満とすることがさらに好ましい。
次に、マルテンサイトを生成させるために、(Ms点−200℃)〜(Ms点−20℃)の温度域で100秒以下保持することが好ましい。これにより所望のマルテンサイト面積率が得られるとともに、一部は未変態オーステナイトとして残り、その後の熱処理で所望の残留オーステナイト面積率が得られる。保持温度が(Ms点−200℃)未満では未変態オーステナイトの割合が少なく、所望の残留オーステナイト面積率が得られ難い。一方、(Ms−20℃)を超えると、所望のマルテンサイト面積率が得られ難い。また、この温度域で100秒を超える時間保持すると、焼戻しによりセメンタイトが析出し、伸びフランジ性が劣化するおそれがある。
さらに、残留オーステナイトを得るためには、Ms点〜500℃の温度域で30秒以上保持することが好ましい。残留オーステナイトの安定性を高めて、延性および伸びフランジ性を向上させるためには、上記の保持温度域を475℃〜(Ms点+20℃)とすることがより好ましく、450℃〜(Ms点+40℃)とすることがさらに好ましく、430℃〜(Ms点+60℃)とすることが特に好ましい。また、上記の保持時間を長くするほど残留オーステナイトの安定性が高まるので、保持時間を60秒以上とすることが好ましく、120秒以上とすることがより好ましく、300秒を超える時間とすることがさらに好ましい。
なお、Ms点は元素含有量から下記(iv)式を用いて算出される。
Ms点(℃)=561−407×C−7.3×Si−37.8×Mn−20.5×Cu−19.5×Ni−19.8×Cr−4.5×Mo ・・・(iv)
但し、上記(iv)式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
<冷間圧延工程>
冷圧率:30%以上80%未満
前記の一次焼鈍工程後の焼鈍鋼板および/または前記の熱間圧延工程後の熱延鋼板に対して、常法に従い冷間圧延を施してもよい。また、冷間圧延の前に酸洗等により焼鈍鋼板および/または熱延鋼板に脱スケールを行ってもよい。冷間圧延は、再結晶を促進して冷間圧延および焼鈍後の金属組織を均一化し、伸びフランジ性をさらに向上させるために、冷圧率(冷間圧延における総圧下率)を30%以上とすることが好ましい。冷圧率は40%以上とすることがより好ましい。これにより焼鈍後の金属組織がさらに細粒化するとともに集合組織が改善され、延性および伸びフランジ性が一層向上する。この観点からは、冷圧率は50%を超える値とすることがさらに好ましく、60%を超える値とすることが特に好ましい。一方、冷圧率が高すぎると、圧延荷重が増大して圧延が困難となるため、冷圧率は80%未満とすることが好ましく、70%未満とすることがより好ましい。
電気めっき鋼板を製造する場合には、上述した方法で製造された焼鈍鋼板に、必要に応じて表面の清浄化および調整のための周知の前処理を施した後、常法に従って電気めっきを行えばよく、めっき被膜の化学組成および付着量は限定されない。電気めっきの種類として、電気亜鉛めっき、電気Zn−Ni合金めっき等が例示される。
溶融めっき鋼板を製造する場合には、上述した二次焼鈍の冷却過程において、500℃〜Ms点の温度域で30秒以上保持した後、必要に応じて鋼板を加熱してから、めっき浴に浸漬し溶融めっきを施す。残留オーステナイトの安定性を高めて延性および伸びフランジ性を向上させるためには、保持温度域を475℃〜(Ms点+20℃)とすることが好ましく、450℃〜(Ms点+40℃)とすることがより好ましく、430℃〜(Ms点+60℃)とすることがさらに好ましい。
また、500℃〜Ms点の温度域での保持時間を長くするほど残留オーステナイトの安定性が高まるので、保持時間を60秒以上とすることが好ましく、120秒以上とすることがより好ましく、300秒を超える時間とすることがさらに好ましい。溶融めっき後に再加熱して合金化処理を行ってもよい。めっき被膜の化学組成および付着量は限定されない。溶融めっきの種類としては、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき、溶融Zn−Al合金めっき、溶融Zn−Al−Mg合金めっき、溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき等が例示される。
めっき鋼板は、その耐食性をさらに高めるために、めっき後に適当な化成処理を施してもよい。化成処理は、従来のクロメート処理に代わって、ノンクロム型の化成処理液(例えば、シリケー卜系、リン酸塩系等)を用いて実施することが好ましい。
このようにして得られた焼鈍鋼板およびめっき鋼板には、常法にしたがって調質圧延を行ってもよい。しかし、調質圧延の伸び率が高いと延性の劣化を招くので、調質圧延の伸び率は1.0%以下とすることが好ましく、0.5%以下とすることがより好ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する180kgの鋼塊を高周波真空溶解炉にて溶製し、熱間鍛造により30mm厚さの鋼片にした。この鋼片を試験用小型タンデムミルにて表2に示す条件で熱間圧延を行い、板厚2〜4mmの熱延鋼板を得た。この熱延鋼板を表2に示す種々の一次焼鈍温度で所定時間熱処理した後、室温まで冷却した。
続いて、連続焼鈍シミュレーターを用いて、得られた一次焼鈍鋼板を表2に示す種々の二次焼鈍温度まで加熱し、所定時間保持した。その後、表2に示す種々の条件で冷却し、その温度で所定時間保持した後、表2に示す温度まで再昇温し、その温度で330秒保持した後に、室温まで冷却して焼鈍鋼板を得た。
なお、上記の熱延鋼板および/または一次焼鈍鋼板のいくつかについては、酸洗および冷間圧延を施した後に焼鈍を行った。
Figure 0006597374
Figure 0006597374
得られた焼鈍鋼板について、鋼板の圧延方向垂直断面を鏡面研磨し、ナイタール腐食液またはレペラ腐食液で腐食したのち、光学顕微鏡またはSEMを用いて組織観察を行った。さらに、鏡面研磨後に電解研磨で調製した試料を用いて、EBSP法による結晶方位の測定および解析を行なった。さらに鋼板表面から板厚の1/4深さ位置からTEM観察用の薄片を採取し、ツインジェット電解法で開孔した近傍をTEMで観察した。さらにFE-EPMAおよびEBSP法で同一視野の組織を解析し、マルテンサイト中およびポリゴナルフェライト中のMn濃度を求めた。
機械特性として、引張特性および伸びフランジ性を評価した。引張特性は、JIS Z 2241(2011)に準拠して引張試験を行ない、引張強度(TS)と全伸び(El)を測定した。伸びフランジ性は、JIS Z 2256(2010)に準拠して穴広げ試験を行ない、穴広げ率(λ)を求めた。
得られた鋼板の金属組織および機械特性を表3にまとめて示す。なお、本発明においては、引張強度が980MPa以上であり、かつ、TS×ELの値が16000MPa・%以上、TS×λの値が50000MPa・%以上の鋼板を、高い引張強度を有するとともに、強度−延性バランスおよび強度−伸びフランジ性バランスに優れると判定することとする。
Figure 0006597374
表1〜3を参照して、本発明例である試験番号1〜20では、高い引張強度(TS)を有するとともに、優れた強度−延性バランス(TS×El)と優れた強度−伸びフランジバランス(TS×λ)とを有している。一方、本発明の規定を満足しない比較例である試験番号21〜33では、TS×ElまたはTS×λのいずれかの特性が劣っている。
本発明によれば、高い強度を有するとともに優れた延性と伸びフランジ性とを有する鋼板を得ることができる。したがって、本発明に係る高強度鋼板は、自動車部材、機械構造部材、建築部材等の素材として用いるのに好適である。

Claims (6)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.04%以上0.50%未満、
    Si:0.10%以上3.0%未満、
    Mn:1.5〜8.0%、
    P:0.10%以下、
    S:0.030%以下、
    sol.Al:0.01〜2.0%、
    N:0.010%以下、
    Ti:0〜0.20%、
    Nb:0〜0.10%、
    V:0〜0.50%、
    Cr:0%以上1.0%未満、
    Mo:0〜0.50%、
    Ni:0〜1.0%、
    B:0〜0.0050%、
    Ca:0〜0.020%、
    Mg:0〜0.020%、
    REM:0〜0.020%、
    Cu:0〜1.0%、
    Bi:0〜0.020%、
    残部:Feおよび不純物であり、
    下記(i)式を満足し、
    金属組織が、面積%で、
    マルテンサイト:60.0〜95.0%、
    ポリゴナルフェライト:2.0〜25.0%、
    残留オーステナイト:3.0〜35.0%、
    残部:15.0%以下であって、かつ、
    ポリゴナルフェライトの平均粒径:0.3〜10.0μm、
    残留オーステナイトの平均粒径:1.0μm以下であり、
    下記(ii)式を満足する、高強度鋼板。
    0.5≦Si+sol.Al≦3.0 ・・・(i)
    0.25<[Mn]PF/[Mn]<0.70 ・・・(ii)
    但し、上記(i)式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、上記(ii)式中の各記号の意味は以下のとおりである。
    [Mn]PF:ポリゴナルフェライト中の平均Mn濃度(質量%)
    [Mn]:マルテンサイト中の平均Mn濃度(質量%)
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    Ti:0.005〜0.20%、
    Nb:0.002〜0.10%、および
    V:0.005〜0.50%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載の高強度鋼板。
  3. 前記化学組成が、質量%で、
    Cr:0.05%以上1.0%未満、
    Mo:0.02〜0.50%、
    Ni:0.05〜1.0%、および
    B:0.0002〜0.0050%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項1または請求項2に記載の高強度鋼板。
  4. 前記化学組成が、質量%で、
    Ca:0.0005〜0.020%、
    Mg:0.0005〜0.020%、および
    REM:0.0005〜0.020%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の高強度鋼板。
  5. 前記化学組成が、質量%で、
    Cu:0.05〜1.0%
    を含有する、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の高強度鋼板。
  6. 前記化学組成が、質量%で、
    Bi:0.0005〜0.020%
    を含有する、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の高強度鋼板。
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