JP6597374B2 - 高強度鋼板 - Google Patents
高強度鋼板 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6597374B2 JP6597374B2 JP2016028759A JP2016028759A JP6597374B2 JP 6597374 B2 JP6597374 B2 JP 6597374B2 JP 2016028759 A JP2016028759 A JP 2016028759A JP 2016028759 A JP2016028759 A JP 2016028759A JP 6597374 B2 JP6597374 B2 JP 6597374B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- martensite
- steel sheet
- content
- ductility
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Description
C:0.04%以上0.50%未満、
Si:0.10%以上3.0%未満、
Mn:1.5〜8.0%、
P:0.10%以下、
S:0.030%以下、
sol.Al:0.01〜2.0%、
N:0.010%以下、
Ti:0〜0.20%、
Nb:0〜0.10%、
V:0〜0.50%、
Cr:0%以上1.0%未満、
Mo:0〜0.50%、
Ni:0〜1.0%、
B:0〜0.0050%、
Ca:0〜0.020%、
Mg:0〜0.020%、
REM:0〜0.020%、
Cu:0〜1.0%、
Bi:0〜0.020%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式を満足し、
金属組織が、面積%で、
マルテンサイト:60.0〜95.0%、
ポリゴナルフェライト:2.0〜25.0%、
残留オーステナイト:3.0〜35.0%、
残部:15.0%以下であって、かつ、
ポリゴナルフェライトの平均粒径:0.3〜10.0μm、
残留オーステナイトの平均粒径:1.0μm以下であり、
下記(ii)式を満足する、高強度鋼板。
0.5≦Si+sol.Al≦3.0 ・・・(i)
0.25<[Mn]PF/[Mn]M<0.70 ・・・(ii)
但し、上記(i)式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、上記(ii)式中の各記号の意味は以下のとおりである。
[Mn]PF:ポリゴナルフェライト中の平均Mn濃度(質量%)
[Mn]M:マルテンサイト中の平均Mn濃度(質量%)
Ti:0.005〜0.20%、
Nb:0.002〜0.10%、および
V:0.005〜0.50%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)に記載の高強度鋼板。
Cr:0.05%以上1.0%未満、
Mo:0.02〜0.50%、
Ni:0.05〜1.0%、および
B:0.0002〜0.0050%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)または(2)に記載の高強度鋼板。
Ca:0.0005〜0.020%、
Mg:0.0005〜0.020%、および
REM:0.0005〜0.020%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)から(3)までのいずれかに記載の高強度鋼板。
Cu:0.05〜1.0%
を含有する、上記(1)から(4)までのいずれかに記載の高強度鋼板。
Bi:0.0005〜0.020%
を含有する、上記(1)から(5)までのいずれかに記載の高強度鋼板。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、固溶強化により鋼板の強度を高める作用と残留オーステナイトを安定化させる作用とを有する。C含有量が0.04%未満では、所望の鋼板強度および残留オーステナイト面積率を確保することが困難となる。一方、C含有量が0.50%以上では、パーライトが優先的に生成してしまい目的の残留オーステナイト面積率を得ることが困難となる。したがって、C含有量は0.04%以上0.50%未満とする。C含有量は0.06%以上であるのが好ましく、0.10%以上であるのがより好ましい。また、C含有量は0.40%以下であるのが好ましい。
Siは、固溶強化により鋼板の強度を高める作用と脱酸により鋼を健全化する作用とを有する。さらにセメンタイトの析出を遅延させ、残留オーステナイトの面積率を高める作用により、延性の向上に寄与する。Si含有量が0.10%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。一方、Si含有量が3.0%以上になると、鋼板の表面性状および化成処理性の劣化、ならびに、延性および溶接性の劣化が著しくなる。また、A3変態点の著しい上昇を招き、安定した熱間圧延を困難にする。したがって、Si含有量は0.10%以上3.0%未満とする。
Mnは、鋼の焼入れ性を高めてマルテンサイトの生成を促進する作用を有する。Mn含有量が1.5%未満では、目的とするマルテンサイト量を確保することが困難である。一方、Mn含有量が8.0%を超えると、フェライト変態が過度に抑制されてしまい、目的とするポリゴナルフェライト量を確保することが困難となる。したがって、Mn含有量は1.5〜8.0%とする。Mn含有量は2.0%以上であるのが好ましく、2.3%以上であるのがより好ましい。また、Mn含有量は6.0%以下であるのが好ましい。
Pは、一般に不純物として含有される元素であるが、固溶強化により強度を高める作用を有する元素でもある。したがって、Pを積極的に含有させてもよい。しかし、Pは偏析し易い元素であり、その含有量が0.10%を超えると、粒界偏析に起因する成形性および靭性の低下が顕著となる。したがって、P含有量は0.10%以下とする。P含有量は0.050%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましく、0.020%以下であるのがさらに好ましい。P含有量の下限は特に規定する必要はないが、精錬コストの観点からは0.001%以上とすることが好ましい。
Sは、不純物として含有される元素であり、鋼中に硫化物系介在物を形成して鋼板の成形性を低下させる。S含有量が0.030%を超えると、成形性の低下が著しくなる。したがって、S含有量は0.030%以下とする。S含有量は0.010%以下であるのが好ましく、0.005%以下であるのがより好ましく、0.001%以下であるのがさらに好ましい。S含有量の下限は特に規定する必要はないが、精錬コストの上昇を抑制する観点からは0.0001%以上とすることが好ましい。
Alは、Siと同様に、鋼を脱酸して鋼板を健全化する作用を有する。さらにセメンタイトの析出を遅延させ、残留オーステナイトの面積率を高める作用により、延性の向上に寄与する。sol.Al含有量が0.01%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。一方、sol.Al含有量が2.0%を超えると、A3変態点の著しい上昇を招いて、安定した熱間圧延を困難にする。したがって、sol.Al含有量は0.01〜2.0%とする。sol.Al含有量は0.03%以上であるのが好ましい。また、sol.Al含有量は1.5%以下であるのが好ましく、1.0%以下であるのがより好ましい。
Nは、不純物として含有される元素であり、鋼板の成形性を低下させる作用を有する。N含有量が0.010%を超えると、成形性の低下が著しくなる。したがって、N含有量は0.010%以下とする。N含有量は0.0080%以下であるのが好ましく、0.0070%以下であるのがより好ましい。N含有量の下限は特に規定する必要はないが、後述するようにTi、NbおよびVの1種以上を含有させて鋼組織の微細化を図る場合を考慮すると、炭窒化物の析出を促進させるためにN含有量は、0.0010%以上とすることが好ましく、0.0020%以上とすることがより好ましい。
Nb:0〜0.10%
V:0〜0.50%
Ti、NbおよびVは、鋼中に炭化物または窒化物として析出し、そのピン止め効果によって鋼組織を微細化する作用を有する。したがって、これらの元素から選択される1種以上を含有させてもよい。しかし、過剰に含有させても、上記作用による効果が飽和して不経済となる。したがって、Ti含有量は0.20%以下、Nb含有量は0.10%以下、V含有量は0.50%以下とする。これらの元素の上記作用による効果をより確実に得るには、Ti:0.005%以上、Nb:0.002%以上、およびV:0.005%以上の少なくともいずれかを満足させることが好ましい。
Mo:0〜0.50%
Ni:0〜1.0%
B:0〜0.0050%
Cr、Mo、NiおよびBは、焼入性を高める作用を有する。また、Moは、鋼中に炭化物を析出して強度を高める作用を有する。さらに、Niは、後述するようにCuを含有させる場合においては、Cuに起因するスラブの粒界割れを効果的に抑制する作用を有する。したがって、これらの元素から選択される1種以上を含有させてもよい。
Mg:0〜0.020%
REM:0〜0.020%
Ca、MgおよびREMは、介在物の形状を調整することにより、成形性を高める作用を有する。したがって、これらの元素から選択される1種以上を含有させてもよい。しかし、これらの元素の含有量が上記上限値を超えると、鋼中の介在物が過剰となり、却って成形性を低下させる場合がある。したがって、Ca含有量は0.020%以下、Mg含有量は0.020%以下、REM含有量は0.020%以下とする。それぞれの元素は、0.010%以下であるのが好ましく、0.005%以下であるのがより好ましい。上記作用による効果をより確実に得るには、上記元素の少なくともいずれかを0.0005%以上含有させることが好ましい。
Cuは、低温で析出して強度を高める作用を有するので、鋼中に含有させてもよい。しかし、Cu含有量が1.0%を超えると、スラブの粒界割れが生じる場合がある。したがって、Cu含有量は1.0%以下とする。Cu含有量は0.5%未満であるのが好ましく、0.3%未満であるのがより好ましい。上記作用による効果をより確実に得るにはCu含有量は0.05%以上とすることが好ましい。
Biは、凝固組織を微細化することにより成形性を高める作用を有するので、鋼中に含有させてもよい。しかし、Bi含有量が0.020%を超えると、上記作用による効果は飽和してしまい、コスト的に不利となる。したがって、Bi含有量は0.020%以下とする。Bi含有量は0.010%以下であるのが好ましい。上記作用による効果をより確実に得るには、Bi含有量を0.0005%以上とすることが好ましい。
但し、上記(i)式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
上述したように、SiおよびAlはともにセメンタイトの析出を抑制して残留オーステナイト面積率を高める作用を有し、延性を向上させることから、本発明ではSiとsol.Alとの合計含有量(Si+sol.Al)を規定する。
本発明に係る鋼板の金属組織について、以下に説明する。
マルテンサイトは硬質かつ均質な組織であり、高い強度と優れた伸びフランジ性とを兼備させるのに適した組織である。マルテンサイトの面積率が60.0%未満の場合、所望の強度と伸びフランジ性とを得ることが困難となる。一方、マルテンサイトの面積率が95.0%を超えると延性が著しく低下する。したがって、マルテンサイトの面積率は60.0〜95.0%とする。マルテンサイトの面積率は70.0%以上であるのが好ましい。なお、本発明でのマルテンサイトは、無拡散でせん断的機構により生成する、いわゆるフレッシュマルテンサイトの他に焼戻しマルテンサイトを総称したものである。
軟質なポリゴナルフェライトを含有させることにより延性を向上させるため、ポリゴナルフェライトの面積率は2.0〜25.0%とする。ポリゴナルフェライトの面積率が2.0%未満では延性向上の効果が得られない。一方、25.0%を超えると伸びフランジ性が低下するばかりでなく、所望の強度確保が困難となる。ポリゴナルフェライトの面積率は5.0%以上であるのが好ましく、6.0%以上であるのがより好ましい。また、上記面積率は20.0%以下であるのが好ましく、15.0%以下であるのがより好ましい。
残留オーステナイトは、変態誘起塑性(TRIP)により延性を高める作用を有する。残留オーステナイト面積率が3.0%未満では、上記作用による効果を得ることが困難である。一方、残留オーステナイトの面積率が35.0%を超えると、加工誘起変態により生じた硬質なマルテンサイトによる伸びフランジ性の劣化が顕著となる。したがって、残留オーステナイト面積率は3.0〜35.0%とする。残留オーステナイト面積率は4.0%以上であるのが好ましく、6.0%以上であるのがより好ましい。
ポリゴナルフェライトの平均粒径が0.3μm未満になると延性が著しく劣化するため、0.3μm以上とする。一方、平均粒径が10.0μmを超えると、ポリゴナルフェライトとマルテンサイトとの界面で粗大なボイドが生成し、伸びフランジ性が劣化する。細粒化強化によりマルテンサイトとの硬度差を軽減し、伸びフランジ性を向上させる観点から、ポリゴナルフェライトの平均粒径は10.0μm以下とする必要がある。
残留オーステナイトの平均粒径が1.0μmを超えると、加工誘起変態により生じたマルテンサイトにより伸びフランジ性が劣化する。したがって、残留オーステナイトの平均粒径は1.0μm以下とする。残留オーステナイトの平均粒径は0.8μm以下であるのが好ましく、0.6μm以下であるのがより好ましい。
但し、上記(ii)式中の各記号の意味は以下のとおりである。
[Mn]PF:ポリゴナルフェライト中の平均Mn濃度(質量%)
[Mn]M:マルテンサイト中の平均Mn濃度(質量%)
マルテンサイトとポリゴナルフェライトの硬度差を制御して延性と伸びフランジ性とを高いレベルで兼備させるため、マルテンサイト中のMn濃度とポリゴナルフェライト中のMn濃度とが、上記(ii)式を満足する必要がある。
上述した化学組成および鋼組織を有する本発明に係る高強度鋼板の表面には、耐食性の向上等を目的としてめっき層を形成させて表面処理鋼板としてもよい。めっき層は、電気めっき層であってもよく、溶融めっき層であってもよい。
本発明の一実施形態に係る高強度鋼板は、例えば以下に示す工程を含む製造方法によって得ることができる。
上述した化学組成を有する鋼は、公知の手段により溶製された後に、連続鋳造法により鋼塊とされるか、または、任意の鋳造法により鋼塊とした後に分塊圧延する方法等により鋼片とされる。連続鋳造工程では、介在物に起因する表面欠陥の発生を抑制するために、鋳型内にて電磁攪拌等の外部付加的な流動を溶鋼に生じさせることが好ましい。
スラブ加熱温度:1350℃以下
熱間圧延に供するスラブの温度は、スケールロスを抑制する観点から1350℃以下とすることが好ましく、1280℃以下とすることがより好ましい。熱間圧延に供するスラブの温度の下限は特に限定する必要はなく、後述するように熱間圧延をAr3点以上で完了することが可能な温度であればよい。
熱間圧延は、圧延完了後にオーステナイトを変態させることにより熱延鋼板の金属組織を微細化するために、Ar3点以上の温度域で完了させる。圧延完了温度がAr3点未満では、熱間圧延中にフェライト変態が生じ、熱延鋼板の金属組織において、圧延方向に展伸した粗大な低温変態相が生成する。これによって焼鈍後の金属組織が粗大化し、延性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため、熱間圧延の完了温度はAr3点以上とすることが好ましい。
圧延完了後、冷却開始までの時間が10秒を超える場合、または、冷却速度が5℃未満の場合は熱延鋼板の金属組織が粗大となり、焼鈍後の金属組織が粗大となって、延性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため圧延完了後の一次冷却は、10秒以内に冷却を開始し、5℃/秒以上の冷却速度にて冷却することが好ましい。
熱間圧延後に行うフェライトとオーステナイトとの二相域温度での焼鈍(一次焼鈍)によって、フェライトとオーステナイトとの間でMnの分配が促進され、その後に行う焼鈍(二次焼鈍)によって、ポリゴナルフェライト面積率およびマルテンサイト中のMn濃度とポリゴナルフェライト中のMn濃度との関係を所望の範囲に制御することが可能となる。その効果を得るには、熱間圧延後の巻取り温度は650℃以下とすることが好ましい。巻取り温度が650℃を超えるとパーライトが生成し易く、フェライトとパーライトとの間でMn分配が進行し、延性および伸びフランジ性に好適な組織を得るのが困難となる。巻取り温度は、400℃未満とするのがより好ましく、300℃未満とするのがさらに好ましい。
上述した熱間圧延工程で得られた熱延鋼板に対して、フェライトおよびオーステナイトの二相域温度で焼鈍を行う。この焼鈍を本発明では「一次焼鈍」と呼ぶ。なお、一次焼鈍に先立って酸洗等により熱延鋼板の脱スケールを行ってもよく、さらに常法に従って冷間圧延を行ってもよい。一次焼鈍によってフェライトとオーステナイトとの間でMnの分配を促進することで、延性および伸びフランジ性に好適な金属組織を得ることが容易となる。この一次焼鈍条件は以下の範囲を満足することが好ましい。
一次焼鈍温度は、(Ac3点−50℃)〜(Ac3点−2℃)とすることが好ましい。この範囲の温度で焼鈍することにより、ポリゴナルフェライトの面積率と平均粒径、マルテンサイト中のMn濃度とポリゴナルフェライト中のMn濃度との関係を所望の範囲に制御することが可能となる。一次焼鈍温度が(Ac3点−50℃)未満では粗大なポリゴナルフェライトが生成し易く、伸びフランジ性が劣化するおそれがある。一方、一次焼鈍温度が(Ac3点−2℃)を超えると、所望のポリゴナルフェライト量を確保するのが困難となり、延性が劣化するおそれがある。
一次焼鈍保持時間は、上述の一次焼鈍温度との関係において、下記(iii)式を満足することが好ましい。
1.4×10−8×exp{26500/(T+273)}≦t≦4.0×105 ・・・(iii)
但し、上記(iii)式中の各記号の意味は以下のとおりである。
t:一次焼鈍保持時間(秒)
T:一次焼鈍温度(℃)
上述した一次焼鈍で得られた焼鈍鋼板を、必要に応じて公知の方法に従って脱スケール、脱脂等の処理を施した後、焼鈍する。この焼鈍を本発明では「二次焼鈍」と呼ぶ。なお、二次焼鈍に先立って常法に従って冷間圧延を行ってもよい。二次焼鈍を行うことによって、マルテンサイトおよび残留オーステナイトを生成させる。それによって、延性および伸びフランジ性に好適な金属組織を得ることが容易となる。この二次焼鈍条件は、以下の範囲を満足することが好ましい。
二次焼鈍温度は、(Ac3点−40℃)以上とすることが好ましい。これは、主相がマルテンサイトであって、第二相に残留オーステナイトを含む金属組織を得るためである。マルテンサイトの面積率を増加させ、伸びフランジ性を向上させるためには、二次焼鈍温度は(Ac3点−20℃)を超える温度とすることがより好ましく、Ac3点を超える温度とすることがさらに好ましい。しかし、二次焼鈍温度が高くなりすぎると、オーステナイトが過度に粗大化するとともに一次焼鈍で促進したMn分配が拡散により低下し、延性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため、二次焼鈍温度は、(Ac3点+100℃)未満とすることが好ましい。二次焼鈍温度は、(Ac3点+50℃)未満とすることがより好ましく、(Ac3点+20℃)未満とすることがさらに好ましい。
二次焼鈍温度での保持時間の下限は特に限定する必要はないが、安定した機械特性を得るために、15秒を超える時間とすることが好ましく、60秒を超える時間とすることがより好ましい。一方、保持時間が長くなりすぎると、一次焼鈍で分配したMnの拡散が生じて、延性および伸びフランジ性が劣化し易くなる。このため、保持時間は、150秒間未満とすることが好ましく、120秒間未満とすることがより好ましい。
Ms点(℃)=561−407×C−7.3×Si−37.8×Mn−20.5×Cu−19.5×Ni−19.8×Cr−4.5×Mo ・・・(iv)
但し、上記(iv)式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
冷圧率:30%以上80%未満
前記の一次焼鈍工程後の焼鈍鋼板および/または前記の熱間圧延工程後の熱延鋼板に対して、常法に従い冷間圧延を施してもよい。また、冷間圧延の前に酸洗等により焼鈍鋼板および/または熱延鋼板に脱スケールを行ってもよい。冷間圧延は、再結晶を促進して冷間圧延および焼鈍後の金属組織を均一化し、伸びフランジ性をさらに向上させるために、冷圧率(冷間圧延における総圧下率)を30%以上とすることが好ましい。冷圧率は40%以上とすることがより好ましい。これにより焼鈍後の金属組織がさらに細粒化するとともに集合組織が改善され、延性および伸びフランジ性が一層向上する。この観点からは、冷圧率は50%を超える値とすることがさらに好ましく、60%を超える値とすることが特に好ましい。一方、冷圧率が高すぎると、圧延荷重が増大して圧延が困難となるため、冷圧率は80%未満とすることが好ましく、70%未満とすることがより好ましい。
Claims (6)
- 化学組成が、質量%で、
C:0.04%以上0.50%未満、
Si:0.10%以上3.0%未満、
Mn:1.5〜8.0%、
P:0.10%以下、
S:0.030%以下、
sol.Al:0.01〜2.0%、
N:0.010%以下、
Ti:0〜0.20%、
Nb:0〜0.10%、
V:0〜0.50%、
Cr:0%以上1.0%未満、
Mo:0〜0.50%、
Ni:0〜1.0%、
B:0〜0.0050%、
Ca:0〜0.020%、
Mg:0〜0.020%、
REM:0〜0.020%、
Cu:0〜1.0%、
Bi:0〜0.020%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式を満足し、
金属組織が、面積%で、
マルテンサイト:60.0〜95.0%、
ポリゴナルフェライト:2.0〜25.0%、
残留オーステナイト:3.0〜35.0%、
残部:15.0%以下であって、かつ、
ポリゴナルフェライトの平均粒径:0.3〜10.0μm、
残留オーステナイトの平均粒径:1.0μm以下であり、
下記(ii)式を満足する、高強度鋼板。
0.5≦Si+sol.Al≦3.0 ・・・(i)
0.25<[Mn]PF/[Mn]M<0.70 ・・・(ii)
但し、上記(i)式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、上記(ii)式中の各記号の意味は以下のとおりである。
[Mn]PF:ポリゴナルフェライト中の平均Mn濃度(質量%)
[Mn]M:マルテンサイト中の平均Mn濃度(質量%) - 前記化学組成が、質量%で、
Ti:0.005〜0.20%、
Nb:0.002〜0.10%、および
V:0.005〜0.50%、
から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載の高強度鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
Cr:0.05%以上1.0%未満、
Mo:0.02〜0.50%、
Ni:0.05〜1.0%、および
B:0.0002〜0.0050%、
から選択される1種以上を含有する、請求項1または請求項2に記載の高強度鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
Ca:0.0005〜0.020%、
Mg:0.0005〜0.020%、および
REM:0.0005〜0.020%、
から選択される1種以上を含有する、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の高強度鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.05〜1.0%
を含有する、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の高強度鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
Bi:0.0005〜0.020%
を含有する、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の高強度鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016028759A JP6597374B2 (ja) | 2016-02-18 | 2016-02-18 | 高強度鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016028759A JP6597374B2 (ja) | 2016-02-18 | 2016-02-18 | 高強度鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017145468A JP2017145468A (ja) | 2017-08-24 |
JP6597374B2 true JP6597374B2 (ja) | 2019-10-30 |
Family
ID=59682699
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016028759A Active JP6597374B2 (ja) | 2016-02-18 | 2016-02-18 | 高強度鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6597374B2 (ja) |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106244918B (zh) * | 2016-07-27 | 2018-04-27 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种1500MPa级高强塑积汽车用钢及其制造方法 |
KR102467656B1 (ko) * | 2018-03-30 | 2022-11-17 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 강판 및 그 제조 방법 |
JP6421908B1 (ja) * | 2018-03-30 | 2018-11-14 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼板およびその製造方法 |
KR102467658B1 (ko) * | 2018-03-30 | 2022-11-18 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 강판 및 그 제조 방법 |
EP3807429A1 (de) * | 2018-06-12 | 2021-04-21 | ThyssenKrupp Steel Europe AG | Stahlflachprodukt und verfahren zu seiner herstellung |
MX2021010854A (es) * | 2019-03-11 | 2021-10-22 | Jfe Steel Corp | Lamina de acero de alta resistencia y metodo para producir la misma. |
WO2020204037A1 (ja) * | 2019-04-01 | 2020-10-08 | 日本製鉄株式会社 | ホットスタンプ成形品およびホットスタンプ用鋼板、並びにそれらの製造方法 |
JP7417165B2 (ja) * | 2020-07-20 | 2024-01-18 | 日本製鉄株式会社 | 鋼板及びその製造方法 |
CN113699458B (zh) * | 2021-09-08 | 2022-05-27 | 山东建筑大学 | 一种可室温q&p工艺制备的高强度钢及制备方法与应用 |
CN114045431B (zh) * | 2021-10-15 | 2022-12-16 | 首钢集团有限公司 | 一种870MPa级高塑韧性中锰钢宽厚钢板及其制造方法 |
WO2023132344A1 (ja) * | 2022-01-07 | 2023-07-13 | 日本製鉄株式会社 | 鋼板およびその製造方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4119758B2 (ja) * | 2003-01-16 | 2008-07-16 | 株式会社神戸製鋼所 | 加工性および形状凍結性に優れた高強度鋼板、並びにその製法 |
JP5110970B2 (ja) * | 2006-05-29 | 2012-12-26 | 株式会社神戸製鋼所 | 伸びフランジ性に優れた高強度鋼板 |
JP5821260B2 (ja) * | 2011-04-26 | 2015-11-24 | Jfeスチール株式会社 | 成形性及び形状凍結性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板、並びにその製造方法 |
KR101618477B1 (ko) * | 2011-10-04 | 2016-05-04 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 고강도 강판 및 그 제조 방법 |
JP5857909B2 (ja) * | 2012-08-09 | 2016-02-10 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼板およびその製造方法 |
-
2016
- 2016-02-18 JP JP2016028759A patent/JP6597374B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017145468A (ja) | 2017-08-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6597374B2 (ja) | 高強度鋼板 | |
JP6696209B2 (ja) | 高強度鋼板の製造方法 | |
JP6108046B1 (ja) | 高強度冷延鋼板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板、および高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板 | |
JP6601253B2 (ja) | 高強度鋼板 | |
JP5365217B2 (ja) | 高強度鋼板およびその製造方法 | |
JP5365216B2 (ja) | 高強度鋼板とその製造方法 | |
JP6241274B2 (ja) | 熱延鋼板の製造方法 | |
JP6696208B2 (ja) | 高強度鋼板の製造方法 | |
JP6390273B2 (ja) | 熱延鋼板の製造方法 | |
JP2012251201A (ja) | 熱延鋼板 | |
JP6390274B2 (ja) | 熱延鋼板 | |
JP2008156680A (ja) | 高降伏比を有する高強度冷延鋼板及びその製造方法 | |
JP2012251200A (ja) | 熱延鋼板の製造方法 | |
US11332804B2 (en) | High-strength cold-rolled steel sheet, high-strength coated steel sheet, and method for producing the same | |
US11643701B2 (en) | High-strength hot-dip galvanized steel sheet and manufacturing method therefor | |
JPWO2014196645A1 (ja) | 熱処理鋼材及びその製造方法 | |
JP2019044269A (ja) | 高強度冷延薄鋼板 | |
KR102177591B1 (ko) | 고강도 강판 및 그 제조 방법 | |
JP6690793B1 (ja) | 高強度鋼板およびその製造方法 | |
JP2009102715A (ja) | 加工性および耐衝撃特性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 | |
JP6492869B2 (ja) | 溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板とその製造方法 | |
JP2015014026A (ja) | 冷延鋼板およびその製造方法 | |
JP6217455B2 (ja) | 冷延鋼板 | |
JP2018003114A (ja) | 高強度鋼板およびその製造方法 | |
JP2009144225A (ja) | 成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181003 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190710 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190903 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190916 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6597374 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |