JP2012214694A - 共重合体ラテックス及び該共重合体ラテックスを含有する組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脂肪族共役ジエン系単量体10〜60重量部と炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体5〜40重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜15重量部およびこれらと共重合可能な他の単量体20〜84重量部から構成される単量体(単量体合計100重量部)を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、光子相関法による平均粒子径が50〜150nmであり、炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体の残留量が、共重合体ラテックスの固形分基準で300ppm以下であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
一般に塗工紙は塗工原紙の表面に紙塗工用組成物を塗工、乾燥して製造される。紙塗工用組成物は、クレーや炭酸カルシウムなどの白色顔料を水に分散した顔料分散液、顔料同士および顔料を原紙に接着固定するためのバインダー、およびその他の添加剤によって構成される水性塗料である。バインダーとしてはスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスに代表されるような合成エマルションバインダーやデンプン、カゼインに代表されるような天然バインダーが使用される。その中でもスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスは、品質設計の自由度が大きく、今日では紙塗工用組成物に最も適したバインダーとして広く使用されており、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの性能が紙塗工用組成物の性能や塗工紙作製時の操業性あるいは最終的な塗工紙製品の表面強度、印刷光沢などの品質に影響することが知られている。
例えば、特開平3−121179号公報(特許文献4)ではα−メチルスチレンダイマーやターピノーレン等の連鎖移動剤の存在下で脂肪族共役ジエン系単量体を乳化重合することにより風合いと接着強度に優れるカーペットを与えるラテックスが得られるという技術が明らかにされている。
例えば、塗工紙製品の臭気と共に表面強度、インキ着肉性を改善する方法として、特開平2001−248098号公報(特許文献5)には、共重合する単量体組成と、1、3−ブタジエンとスチレンの反応生成物である4−フェニルシクロヘキセンのラテックス中の残留量を規定する技術の開示がある。
しかし、これらの様々な改良技術は、各種用途におけるバインダーとして日々高まる要求物性を十分に満足するレベルには至っておらず、更なる改良が強く求められている。
脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に1,3−ブタジエンの使用が好ましい。
脂肪族共役ジエン系単量体は、全単量体100重量部中、10〜60重量部の範囲で使用されることが必要である。10重量部未満では、塗工紙のドライピック強度やカーペットの風合いが低下する。60重量部を超えると、カーペットの剥離・抜糸強度が低下し、また塗工紙やカーペットなどの得られる最終製品における臭気が悪化する。より好ましくは、15〜50重量部である。
炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体は、全単量体100重量部中、5〜40重量部の範囲で使用されることが必要である。炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体が5重量部未満では、塗工紙にした場合はドライピック強度が低下し、カーペットでは風合いが低下する。共重合体ラテックスの架橋が進み過ぎるためである。炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体が40重量部を超えると、塗工紙にした場合はウエットピック強度が低下し、カーペットでは剥離・抜糸強度が低下する。より好ましくは、5〜30重量部である。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体は、全単量体100重量部中1〜15重量部の範囲で使用されることが必要である。エチレン性不飽和カルボン酸系単量体が1重量部未満では、塗工紙にした場合はウエットピック強度が低下し、カーペットでは剥離・抜糸強度が低下する。一方、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体が15重量部を越えるとラテックスの粘度が高くなり、取り扱いが困難となる。好ましくは1.5〜10重量部である。
炭素数が4以下のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体を用いた場合、得られる最終製品の臭気が低下する傾向があることから、炭素数4以下のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸エステルを使用する場合には、その使用量は1重量部未満、より好ましくは0.5重量部未満とすることが好ましい。
本発明の紙塗工用組成物に使用する顔料としては、公知の顔料、例えば、カオリンクレー、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、サチンホワイトなどの無機顔料、あるいはポリスチレンラテックスのような有機顔料をそれぞれ単独または混合して使用することができる。また、紙塗工用組成物中の共重合体ラテックスの含有量は顔料100重量部(固形分)に対して1〜20重量部(固形分)を使用することが好ましい。共重合体ラテックスの含有量が1重量部未満では顔料を充分に接着できないために好ましくなく、20重量部を超えると不透明度や白紙光沢が低下する上に、紙塗工用組成物のコスト上昇を招くために好ましくない。
本発明のカーペットバッキング用組成物に使用する充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレイ、硫酸バリウム、珪酸、珪酸塩、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの無機充填剤を単独または混合して使用することができる。共重合体ラテックスと無機充填剤の使用割合は、通常共重合体ラテックス100重量部(固形分)に対して、無機充填剤が30〜800重量部(固形分)が好ましい。無機充填剤量が30重量部未満では高固形分の接着剤組成物が得られず乾燥速度が低下すると共に、コスト上昇を招くため好ましくなく、800重量部を超えると剥離・抜糸強度が低下するため好ましくない。より好ましくは100〜700重量部である。
カーペットバッキング用組成物の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、ロールコート法、ダイレクトコート法、含浸法、スプレー法等が挙げられる。塗布後の乾燥については、加熱処理して乾燥する方法が望ましいが、加熱温度は80〜160℃であり、より好ましくは100〜140℃である。
共重合体ラテックスの光子相関法による平均粒子径を測定した。尚、測定に際しては、FPAR−1000(大塚電子製)を使用した。
ガスクロマトグラフとしては、島津製作所製 GC−2014型を使用した。
(1)サンプルの作成
共重合体ラテックス1gを精秤し、N、N−ジメチルホルムアミド25mlに溶解し24時間後、これを測定サンプルとした。
(2)ガスクロマトグラフ測定条件
サンプル量:1μL
検出器:FID
インジェクション温度:170℃
検出器温度:250℃
カラム:長さ/内径/膜厚(液層)=30m/0.25mm/0.5μm(DB−WAX)
キャリアーガス:He 1mL/分
スプリット比:1/40
カラム温度:70℃で5分ホールドした後に、10℃/分で170℃まで昇温し、更に20℃/分で230℃まで昇温し、230℃で10分間ホールド
(3)定量方法
シクロヘキシルアクリレート、2-エチルへキシルアクリレート、ブチルアクリレートをそれぞれN、N−ジメチルホルムアミドで希釈した試料を用いて各々検量線を作成した。その検量線を用いて、得られたガスクロマトグラフから共重合体ラテックスに残留するシクロへキシルアクリレート、2-エチルへキシルアクリレート、ブチルアクリレートを定量した。検量線から定量した残留単量体量を、共重合体ラテックスの固形分に対する濃度(ppm)に換算した。
80℃にてラテックスフィルムを作製する。その後ラテックスフィルムを約1g秤量しXgとする。これを400mlのトルエンに入れ48時間膨潤溶解させる。その後、これを秤量済みの300メッシュのステンレス金網で濾過し、その後トルエンを蒸発乾燥させ、その乾燥後重量からメッシュ重量を減じて、試料の乾燥後重量を秤量しYgとする。下記式よりゲル含量を計算した。
ゲル含量(%)=Y/X*100
RI印刷機で各塗工紙試料を同時に印刷した際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5級(優)から1級(劣)まで相対的に目視評価した。
RI印刷機を用いてモルトンロールにより各塗工紙試料に同時に湿し水を付与し、その直後にインキロールにより各塗工紙試料を同時に印刷した際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5級(優)から1級(劣)まで相対的に目視評価した。
約3cm角に切断した各塗工紙試料10gを500mLの臭気瓶にいれ、20℃にて24時間放置した後、70℃で30分間加熱した。その後室温まで冷却した後に、試料の臭気を嗅ぎ、臭気の程度によって5級(臭気が少なく良い)から1級(臭気が多く悪い)まで相対的に評価した。各塗工紙試料について10人の試験者の判定を平均し、テスト結果とした。
JIS L−1021繊維性床敷物試験方法準拠した方法で、パイル糸の引き抜き強さ及び剥離強さを測定した。
作成した各カーペット試験片のソフト感を触感により評価した。
○:ソフト(柔らかい)
△:普通
×:硬い
作成した各カーペット試験片を約3cm角に切断し、10gを500mLの臭気瓶にいれ、20℃にて24時間放置した後、70℃で30分間加熱した。その後室温まで冷却した後に、試料の臭気を嗅ぎ、臭気の程度によって5級(臭気が少なく良い)から1級(臭気が多く悪い)まで相対的に評価した。各塗工紙試料について10人の試験者の判定を平均し、テスト結果とした。
共重合体ラテックス1〜4、11
攪拌機を備えた耐圧性の重合反応器に、重合水150部、過硫酸カリウム1部、表−1または表−2の1段目に示す単量体、乳化剤、炭化水素系溶剤及び連鎖移動剤を仕込み、70℃に昇温し、表−1または表−2の2段目に示す単量体、炭化水素系溶剤及び連鎖移動剤を7時間で連続添加した。更に、重合を継続し、重合転化率が98%を超えた時点で重合を終了した。次いで、水酸化ナトリウムを用いて、pHを7に調製し、水蒸気蒸留を行い、共重合体ラテックス1〜4、11を得た。
攪拌機を備えた耐圧性の重合反応器に、重合水150部、過硫酸カリウム1部、表−1または表−2の1段目に示す単量体、乳化剤、炭化水素系溶剤及び連鎖移動剤を仕込み、70℃に昇温し、表−1または表−2の2段目に示す単量体及び連鎖移動剤を4時間で連続添加した。更に、表−1または表−2の3段目に示す単量体及び連鎖移動剤を4時間で連続添加した。更に重合を継続し、重合転化率が98%を超えた時点で重合を終了した。 次いで、水酸化ナトリウムを用いて、pHを7に調製し、水蒸気蒸留を行い、共重合体ラテックス5、10を得た。
攪拌機を備えた耐圧性の重合反応器に、重合水150部、過硫酸カリウム1部、表−1の1段目に示す単量体、乳化剤、炭化水素系溶剤及び連鎖移動剤を仕込み、70℃に昇温し、表−1の2段目に示す単量体及び連鎖移動剤を6.5時間で連続添加した。更に、表−1の3段目に示す単量体を1.5時間で連続添加した。更に重合を継続し、重合転化率が98%を超えた時点で重合を終了した。次いで、水酸化ナトリウムを用いて、pHを7に調製し、水蒸気蒸留を行い、共重合体ラテックス6を得た。
攪拌機を備えた耐圧性の重合反応器に、重合水150部、過硫酸カリウム1部、表−1または表−2の1段目に示す単量体、乳化剤、炭化水素系溶剤及び連鎖移動剤を仕込み、70℃に昇温し、表−1または表−2の2段目に示す単量体及び連鎖移動剤を7時間で連続添加した。更に、重合を継続し、重合転化率が98%を超えた時点で重合を終了した。次いで、水酸化ナトリウムを用いて、pHを7に調製し、水蒸気蒸留を行い、共重合体ラテックス7〜9を得た。
下記に示した配合処方に従って、上記で得られた共重合体ラテックスを配合し、水酸化ナトリウムでpH9.5に調整した紙塗工用組成物を作製した。
(紙塗工用組成物の配合処方)
配合処方
カオリン 40部
重質炭酸カルシウム 60部
変性デンプン 2部
共重合体ラテックス 8部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固形分濃度 67%
塗工原紙(坪量55g/m2)に、上記の紙塗工用組成物を片面あたりの塗被量が10g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗工し乾燥した後、線圧60kg/cm、温度50℃の条件でカレンダー処理を行って塗工紙を得た。得られた塗工紙を上記試験に供して評価した。
比較例9は、ブタジエン量が本発明の規定範囲の上限を超え、また炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体量が本発明の規定範囲の下限未満であり、塗工紙の臭気とドライピック強度が劣る。
比較例10は、ラテックスの粒子径が本発明の規定範囲の上限を超えており、塗工紙の臭気とドライピック強度が劣る。
比較例11は、炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体量及び残留量が本発明の規定範囲の上限を超えており、塗工紙の臭気が劣り、ウェットピック強度が大きく劣る。
下記に示した配合処方に従って、上記で得られた共重合体ラテックスを配合し、カーペットバッキング用組成物を作製した。
(カーペットバッキング用組成物の配合処方)
配合処方
共重合体ラテックス 100部
重質炭酸カルシウム 400部
トリポリリン酸ナトリウム 1部
スチレン化フェノール 0.5部
増粘剤
5部
・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固形分濃度 67 %
粘度 40000 mPa・s
ナイロン繊維のタフテッドカーペット生機の裏面に、上記のカーペットバッキング用組成物を固形分で700g/m2となるように均一に塗布し、ジュート織布を張り合わせて、130℃の乾燥機中15分間乾燥して、タフテッドカーペットを得た。得られたタフテッドカーペットを上記試験に供して評価した。
比較例20は、ブタジエン量が本発明の規定範囲の上限を超え、また炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体量が本発明の規定範囲の下限未満であり、タフテッドカーペットの臭気、剥離強度、抜糸強度及び風合いが劣る。
比較例21は、ラテックスの粒子径が本発明の規定範囲の上限を超えており、タフテッドカーペットの臭気、剥離強度及び抜糸強度が劣る。
比較例22は、炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体量及び残留量が本発明の規定範囲の上限を超えており、タフテッドカーペットの臭気、剥離強度及び抜糸強度が劣る。
また、該共重合体ラテックスを使用したカーペットバッキング剤を塗布して得られたカーペットは、剥離強度・抜糸強度と風合いのバランスに優れ、さらにカーペットの臭気も少なく、カーペットバッキング用バインダー及びカーペットバッキング剤として有用である。更には、電池電極用バインダー、木質接着剤用バインダー、耐チッピング用バンダーとしても、使用することが出来る。
Claims (7)
- 脂肪族共役ジエン系単量体10〜60重量部、炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体5〜40重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜15重量部およびこれらと共重合可能な他の単量体20〜84重量部から構成される単量体(単量体合計100重量部)を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、光子相関法による平均粒子径が50〜150nmであり、炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸アルキルエステル単量体の残留量が、共重合体ラテックスの固形分基準で300ppm以下である共重合体ラテックス。
- 炭素数が5以上のアルコールとアクリル酸からなるアクリル酸エステル単量体の残留量が、共重合体ラテックスの固形分基準で、200ppm以下である請求項1に記載の共重合体ラテックス。
- 光子相関法による平均粒子径が50〜130nmである請求項1または2に記載の共重合体ラテックス。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体ラテックスが、紙塗工用組成物のバインダーとして用いられることを特徴とする共重合体ラテックス。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体ラテックスをバインダーとして用いることを特徴とする紙塗工用組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体ラテックスが、カーペットバッキング用組成物のバインダーとして用いられることを特徴とする共重合体ラテックス。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体ラテックスをバインダーとして用いることを特徴とするカーペットバッキング用組成物。
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