JP2012214035A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層フィルムは、プラスチック基材フィルムの少なくとも片面に被覆層が設けられてなり、前記被覆層は、オキサゾリン基を含むとともに、ポリエステルポリオールを構成成分とするカルボン酸基含有ウレタン樹脂をも含み、該被覆層の膜厚(D)は5〜100nmであり、かつ該被覆層の全反射赤外吸収スペクトルにおいて1655±10cm-1の領域に吸収極大を持つピークのピーク強度(P1)と1580±10cm-1の領域に吸収極大を持つピークのピーク強度(P2)との比(P1/P2)と前記被覆層の膜厚(D)とが下記式
0.03≦(P1/P2)/D≦0.15
に示す関係を満たす。
【選択図】なし
Description
(1)プラスチック基材フィルムの少なくとも片面に被覆層が設けられてなり、前記被覆層は、オキサゾリン基を含むとともに、ポリエステルポリオールを構成成分とするカルボン酸基含有ウレタン樹脂をも含み、該被覆層の膜厚(D)は5〜100nmであり、かつ該被覆層の全反射赤外吸収スペクトルにおいて1655±10cm-1の領域に吸収極大を持つピークのピーク強度(P1)と1580±10cm-1の領域に吸収極大を持つピークのピーク強度(P2)との比(P1/P2)と前記被覆層の膜厚(D)とが下記式
0.03≦(P1/P2)/D≦0.15
に示す関係を満たすことを特徴とする積層フィルム。
(2)前記被覆層は、オキサゾリン基を有する樹脂と前記ウレタン樹脂とを必須成分として含む被覆層用樹脂組成物から形成されている前記(1)に記載の積層フィルム。
(3)前記被覆層用樹脂組成物中のオキサゾリン基を有する樹脂は、そのオキサゾリン基量が5.1〜9.0mmol/gである前記(2)に記載の積層フィルム。
(4)前記被覆層用樹脂組成物中のウレタン樹脂は、その酸価が10〜40mgKOH/gである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5)前記被覆層用樹脂組成物中の全樹脂成分100質量%中、前記オキサゾリン基を有する樹脂が20〜70重量% 、前記ウレタン樹脂が10 〜 60重量%である前記(2)〜(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6)前記被覆層の上に無機薄膜層が積層されてなる前記(1)〜(5)のいずれかに記載の積層フィルム。
(7)前記無機薄膜層が、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物からなる層である前記(6)に記載の積層フィルム。
容易に製造できるので経済性に優れ、さらに生産安定性に優れ、均質な特性が得られやすい。
本発明で用いるプラスチック基材フィルム(以下「基材フィルム」と称する)としては、例えば、プラスチックを溶融押出しし、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムを用いることができる。プラスチックとしては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12等に代表されるポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等に代表されるポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等に代表されるポリオレフィン;のほか、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、寸法安定性、透明性の点でポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートに他の成分を共重合した共重合体が好ましい。
基材フィルムの透明度は、特に限定されるものではないが、透明性が求められる包装材料として使用する場合には、50%以上の光線透過率をもつものが望ましい。
また基材フィルムには、本発明の目的を損なわない限りにおいて、コロナ放電処理、グロー放電、火炎処理、表面粗面化処理等の表面処理が施されていてもよく、また、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾等が施されてもよい。
本発明において、前記被覆層は、オキサゾリン基を含むとともに、ポリエステルポリオールを構成成分とするカルボン酸基含有ウレタン樹脂をも含む。そのためには、被覆層は、オキサゾリン基を有する樹脂と前記ウレタン樹脂とを必須成分として含む被覆層用樹脂組成物から形成されることが好ましい。そして、この被覆層の膜厚(D)は特定範囲であり、かつ被覆層の全反射赤外吸収スペクトルにおける所定の2つのピークのピーク強度比(P1/P2)と前記膜厚(D)とが特定の関係を満たす。これにより、レトルト処理を施した際にも優れたガスバリア性およびラミネート強度を保持させることができる。
オキサゾリン基は金属酸化物といった無機薄膜との親和性が高く、また無機薄膜層形成時に発生する無機酸化物の酸素欠損部分や金属水酸化物と反応できるため、無機薄膜層と強固な密着性を示す。また被覆層中に存在する未反応のオキサゾリン基は、基材フィルムおよび被覆層の加水分解により発生したカルボン酸末端と反応し、架橋を形成することができる。このような作用により、本発明では、レトルト処理時であっても、無機薄膜層−被覆層−基材フィルムの各層間の密着性が強固になり、結果として無機薄膜のひび割れや劣化を防止でき、ガスバリア性およびラミネート強度を維持できる。
0.03≦(P1/P2)/D≦0.15
に示す関係を満たしている必要がある。ここで、1655±10cm-1の領域に吸収極大を持つピークはオキサゾリン基に由来し、1580±10cm-1の領域に吸収極大を持つピークはポリエステルに由来するものである。上記式中、(P1/P2)/Dで示される値は、好ましくは0.035以上、さらに好ましくは0.04以上であり、好ましくは0.13以下、さらに好ましくは0.10以下である。(P1/P2)/Dで示される値が0.03未満であると、オキサゾリン基量が少ないため、レトルト処理後において十分なガスバリア性およびラミネート強度が得られない場合がある。一方、(P1/P2)/Dで示される値が0.15を超えると、オキサゾリン基量が多すぎることにより凝集力が低下したり、オキサゾリン基量に対して膜厚が薄くなりすぎ、レトルト処理後に十分な層間密着性が得られない。なお、被覆層の全反射赤外吸収スペクトル測定は、例えば後述する実施例に記載の方法で行うことができる。
(オキサゾリン基を有する樹脂)
被覆層用樹脂組成物は、オキサゾリン基を有する樹脂を含有することが好ましい。オキサゾリン基を有する樹脂としては、例えば、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体を、必要に応じその他の重合性不飽和単量体とともに従来公知の方法(例えば溶液重合、乳化重合等)で共重合させることにより得られるオキサゾリン基を有する重合体等を挙げることができる。
本発明においては、被覆層用樹脂組成物はポリエステルポリオールを構成成分とするカルボン酸基含有ウレタン樹脂を含有する。かかるウレタン樹脂は、構成成分として、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分を含み、さらに必要に応じて鎖延長剤を含むものであり、これら構成成分が主としてウレタン結合により共重合された高分子化合物である。被覆層を形成するウレタン樹脂がウレタン結合部分を有することにより、被覆層自体の凝集力が向上し、結果として耐水性が向上する。また、本発明におけるウレタン樹脂ではポリオール成分としてポリエステルポリオールを必須としており、これによりポリエステルポリオール部分が導入される。このポリエステルポリオール部分は、被覆層に柔軟性を付与させ、レトルト処理時のフィルムの歪みによる無機薄膜層への応力を低減することを可能にし、さらに基材フィルム(PETフィルム等)との密着性にも寄与する。なお、これらウレタン樹脂の構成成分は、核磁気共鳴分析などにより特定することが可能である。
ポリエステルポリオールを形成するジカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸のいずれをも使用することができる。脂肪酸ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、シュウ酸などが挙げられる。脂肪族以外のジカルボン酸のうち芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。またp−ヒドロキシ安息香酸のようなオキシ酸の一部を用いることもできる。脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。ポリエステルポリオールを形成する多価アルコール成分としては、炭素数2以上の脂肪族グリコール類および脂環族グリコール類のいずれをも使用することができる。
前記被覆層用樹脂組成物には、被覆層の凝集力を向上させるために、上述したオキサゾリン基を有する樹脂およびウレタン樹脂以外の他の樹脂を含有させてもよい。他の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。耐水性の面では、アクリル樹脂がより好ましい。アクリル樹脂を混合することで、被覆層自体の凝集力が向上し、結果として耐水性が高まる。さらに好ましくは、カルボン酸基を含有する樹脂である。カルボン酸基を含有している場合、オキサゾリン基と部分的に架橋することで被覆層の凝集力が向上し、耐水性をより向上させることができる。他の樹脂(アクリル樹脂等)がカルボン酸基を有する場合、その酸価は40mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは20mgKOH/g以下、さらに好ましくは10mgKOH/g以下である。酸価が40mgKOH/gを超えると、架橋が進みすぎることによって被覆層の柔軟性が低下し、レトルト処理時の無機薄膜層への応力が増加する虞がある。
本発明の積層フィルムは、前記被覆層のさらにその上に無機薄膜層が積層されている態様であってもよい。つまり、本発明の積層フィルムは無機薄膜層を備えたガスバリア性積層フィルムに用いるものであるが、該無機薄膜層を予め積層した態様であってもよい。
無機薄膜層は金属または無機酸化物からなる薄膜である。無機薄膜層を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、ガスバリア性の観点から、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物等の無機酸化物が好ましく挙げられる。特に、薄膜層の柔軟性と緻密性を両立できる点からは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物が好ましい。この複合酸化物において、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は、金属分の質量比でAlが20〜70%の範囲であることが好ましい。Al濃度が20%未満であると、水蒸気バリア性が低くなる場合がある。一方、70%を超えると、無機薄膜層が硬くなる傾向があり、印刷やラミネートといった二次加工の際に膜が破壊されてバリア性が低下する虞がある。なお、ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO2等の各種珪素酸化物又はそれらの混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl2O3等の各種アルミニウム酸化物又はそれらの混合物である。
本発明の積層フィルムを用いてなる無機薄膜層を備えたガスバリア性積層フィルムには、上記基材フィルム、被覆層および無機薄膜層のほかに、必要に応じて、公知のガスバリア性積層フィルムが備えている種々の層を設けることができる。
例えば、無機薄膜層を備えたガスバリア性積層フィルムを包装材料として用いる場合には、シーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層を形成することが好ましい。ヒートシール性樹脂層は通常、無機薄膜層上に設けられるが、基材フィルムの外側(被覆層形成面の反対側の面)に設けることもある。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂等を使用できる。
(1)評価用ラミネート積層体の作製
実施例および比較例で得られた各積層フィルムの無機薄膜層の上に、ウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学社製「タケラック(登録商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」を13.5:1(質量比)の割合で配合)を用いてドライラミネート法により、熱接着性樹脂層として厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製「P1147」)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングを施すことにより、評価用のラミネートガスバリア性積層体(以下「ラミネート積層体」と称することもある)を得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも約4μmであった。
上記(1)で作製したラミネート積層体について、JIS−K7129−B法に準じて、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製「PERMATRAN−W 3/33MG」)を用い、温度40℃、湿度100%RHの雰囲気下で、常態での水蒸気透過度を測定した。なお、水蒸気透過度の測定は、ラミネート積層体の基材フィルム側から熱接着性樹脂層側に水蒸気が透過する方向で行った。
他方、上記(1)で作製したラミネート積層体に対して、温度121℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、40℃で1日間(24時間)乾燥し、得られたレトルト処理後のラミネート積層体について、上記と同様にして水蒸気透過度(レトルト処理後)を測定した。
上記(1)で作製したラミネート積層体について、JIS−K7126−2の電解センサー法(付属書A)B法に準じて、酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/20」)を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で、常態での酸素透過度を測定した。なお、酸素透過度の測定は、ラミネート積層体の基材フィルム側から熱接着性樹脂層側に酸素が透過する方向で行った。
他方、上記(1)で作製したラミネート積層体に対して、温度121℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、40℃で1日間(24時間)乾燥し、得られたレトルト処理後のラミネート積層体について、上記と同様にして酸素透過度(レトルト処理後)を測定した。
上記(1)で作製したラミネート積層体を幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(東洋ボールドウイン社製「テンシロンUMT−II−500型」)を用いてラミネート強度(常態)を測定した。なお、ラミネート強度の測定は、引張速度を200mm/分とし、実施例および比較例で得られた各積層フィルムの無機薄膜層(ガスバリア性積層フィルム層)と無延伸ポリプロピレンフィルム層との層間に水をつけて剥離角度90度で剥離させたときの強度を測定した。
他方、上記(1)で作製したラミネート積層体に対して、温度121℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、直ちに、得られたレトルト処理後のラミネート積層体から上記と同様にして試験片を切り出し、上記と同様にしてラミネート強度(レトルト処理後)を測定した。
各実施例および比較例において、基材フィルム上に被覆層を形成した段階で得られた各フィルムの被覆層の面について、全反射吸収赤外分光法で全反射赤外吸収スペクトルを測定し、1655±10cm-1の領域に吸収極大を持つピーク(オキサゾリン由来のピーク)のピーク強度(P1)と、1580±10cm-1の領域に吸収極大を持つピーク(ポリエチレンテレフタレート由来のピーク)のピーク強度(P2)を求め、その強度比(P1/P2)を算出した。
ピーク強度の算出に際しては、ピーク強度の比(P1/P2)は各ピークの高さの比に基づき求めた。なお、1655±10cm-1の領域に吸収極大を持つピークについては、ピークがショルダーになることから、1600cm-1と1800cm-1を結ぶ線をベースラインとし、一方、1580±10cm-1の領域に吸収極大を持つピークのベースラインについては、ピークの両側の袖を結ぶ線とした。
装置:Varian社製「FTS−60A/896」
1回反射ATRアタッチメント:SPECTRA TECH社製「Silver Gate」
光学結晶:Ge
入射角:45°
分解能:4cm-1
積算回数:128回
各実施例および比較例において基材フィルム上に被覆層のみを積層した段階で得られた積層フィルムを試料とし、該試料を斜め切削して得られた斜め切削面を観察し、被覆層表面から被覆層/基材フィルム界面までの高さ測定を走査型プローブ顕微鏡(SPM)で行うことにより、被覆層の膜厚(D)(nm)を求めた。
オキサゾリンを含有する樹脂を凍結乾燥し、これを核磁気共鳴分析計(NMR)(ヴァリアン社製「ジェミニ−200」)を用いて1H−NMR分析し、オキサゾリン基に由来する吸収ピーク強度と、その他のモノマーに由来する吸収ピーク強度とを求め、それらピーク強度からオキサゾリン基量(mmol/g)を算出した。
(オキサゾリン基を有する樹脂(A−1))
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、イソプロピルアルコール460.6部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら80℃に加熱した。そこへ予め調製しておいたメタクリル酸メチル126部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン210部およびメトキシポリエチレングリコールアクリレート84部からなる単量体混合物と、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(日本ヒドラジン工業株式会社製「ABN−E」)21部およびイソプロピルアルコール189部からなる開始剤溶液を、それぞれ滴下漏斗から2時間かけて滴下して反応させ、滴下終了後も引き続き5時間反応させた。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を80±1℃に保った。その後、反応液を冷却し、固形分濃度25%のオキサゾリン基を有する樹脂(A−1)を得た。得られたオキサゾリン基を有する樹脂(A−1)のオキサゾリン基量は4.3mmol/gであり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定した数平均分子量は20000であった。
上記オキサゾリン基を有する樹脂(A−1)の合成と同様の方法で、組成(オキサゾリン基量および分子量)の異なる固形分濃度10%のオキサゾリン基を有する樹脂(A−2)を得た。得られたオキサゾリン基を有する樹脂(A−2)のオキサゾリン基量は7.7mmol/gであり、GPCにより測定した数平均分子量は40000であった。
アクリル樹脂として、市販のアクリル酸エステル共重合体の25質量%エマルジョン(ニチゴー・モビニール(株)社製「モビニール(登録商標)7980」)を用意した。このアクリル樹脂(B−1)の酸価(理論値)は4mgKOH/gであった。
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管および温度計を備えた4つ口フラスコに、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン72.96部と、ジメチロールプロピオン酸12.60部と、ネオペンチルグリコール11.74部と、数平均分子量2000のポリエステルジオール112.70部と、溶剤としてアセトニトリル85.00部およびN−メチルピロリドン5.00部とを投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次いで、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン9.03部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液(イソシアネート基末端プレポリマー)を得た。
次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450部を添加し、25℃に調整して2000min-1で攪拌混合しながら、上記で得られたポリウレタンプレポリマー溶液(イソシアネート基末端プレポリマー)の全量を添加して水分散させた。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分濃度30%の水溶性のポリエステルポリオールを構成成分とするカルボン酸基含有ポリウレタン樹脂(C−1)を調製した。得られたウレタン樹脂(C−1)の酸価(理論値)は25mgKOH/gであり、DSC(示差走査熱量測定)により測定したガラス転移温度(Tg)は100℃であった。
ポリエステルポリオールを構成成分とするカルボン酸基含有ウレタン樹脂(C−2)として、市販の水系ウレタン樹脂25質量%水溶液(三井化学(株)社製「タケラック(登録商標)W405」)を用意した。このウレタン樹脂(C−2)の酸価(理論値)は25mgKOH/gであり、DSC(示差走査熱量測定)により測定したガラス転移温度(Tg)は130℃であった。
温度計、窒素ガス導入管および攪拌機を備えた反応器に、窒素ガスを導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート627.1部と、50℃に加温した数平均分子量1000のメトキシポリエチレングリコール372.9部とを仕込み、80℃で6時間反応させた。所定のイソシアネート基含有量に到達した後、スミス式薄膜蒸留器にて未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを取り除き、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネート(a)を得た。
次に、温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応器に、室温下、窒素ガスを導入しながら、ジエタノールアミン83.9質量部を仕込んだ。冷却しながら、上記ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネート(a)916.1部を添加し、60℃で3時間反応させた。赤外吸収スペクトルにて尿素結合の生成を確認し、ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオール(A)を得た。
次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450部を添加して、25℃に調整し2000min-1で攪拌しながら、上記イソシアネート基末端プレポリマーの全量を添加して水分散させた。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分濃度35%の水溶性のポリカーボネートポリオールを構成成分とするカルボン酸基を有さないポリウレタン樹脂(C−3)を調製した。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた4つ口フラスコに、ポリイソシアネートとして1,3−シクロヘキサンビス(メチルイソシアネート)73.0部と、数平均分子量2000のポリヘキサンジオールカーボネート112.7部と、ネオペンチルグリコール11.7部と、ジメチロールプロピオン酸12.6部と、有機溶媒としてアセトニトリル60部およびN−メチルピロリドン30部とを仕込み、窒素雰囲気下で反応液温度を75〜78℃に調整し、反応触媒としてオクチル酸第一錫(ナカライテスク社製)0.06部を加えて7時間反応させ、反応率を99%以上とした。次いで、得られた反応液を30℃まで冷却し、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。
次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450部を添加して、25℃に調整し2000min-1で攪拌しながら、上記イソシアネート基末端プレポリマーの全量を添加して水分散させた。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分濃度35%のポリカーボネートポリオールを構成成分とするカルボン酸基含有ウレタン樹脂(C−4)を調製した。得られたウレタン樹脂(C−4)の酸価(理論値)は25mgKOH/gであった。
(1)塗布液(被覆層用樹脂組成物)の調製
下記の配合比率で各材料を混合し、塗布液(被覆層用樹脂組成物)を作成した。なお、得られた塗布液中のオキサゾリン基を有する樹脂およびウレタン樹脂の固形分換算の質量比は表1に示す通りである。
水 80.94質量%
イソプロパノール 5.00質量%
オキサゾリン基を有する樹脂 (A−1) 8.00質量%
ウレタン樹脂 (C−2) 6.06質量%
極限粘度0.62(30℃、フェノール/テトラクロロエタン(質量比)=60/40)のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)を予備結晶化した後、本乾燥し、Tダイを有する押出機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に、得られた無定形シートを加熱ロールと冷却ロールとの間で縦方向に100℃で4.0倍に延伸し、一軸延伸PETフィルムを得た。
次に、得られた一軸延伸PETフィルムの片面に、上記(1)で調製した塗布液をファウンテンバーコート法により塗布した。その後、乾燥しながらテンターに導き、予熱温度100℃で溶媒を揮発、乾燥させた。次いで、温度120℃で横方向に4.0倍に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、225℃で熱固定処理を行うことにより、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(プラスチック基材フィルム)の片面に被覆層が形成された積層フィルムを得た。
なお、この積層フィルムについて全反射赤外吸収スペクトル測定および膜厚測定を行った。結果を表1に示す。
次に、上記(2)で得られた積層フィルムの被覆層面に、無機薄膜層として二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合無機酸化物層を電子ビーム蒸着法で形成した。蒸着源としては、3mm〜5mm程度の粒子状SiO2(純度99.9%)とA12O3(純度99.9%)とを用いた。ここで複合酸化物層の組成は、SiO2/A12O3(質量比)=60/40であった。またこのようにして得られたフィルム(無機薄膜層/被覆層含有フィルム)における無機薄膜層(SiO2/A12O3複合酸化物層)の膜厚は13nmであった。
以上のようにして、基材フィルムの上に被覆層および無機薄膜層を備えた本発明の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて、上記の通り、酸素透過度、水蒸気透過度およびラミネート強度を評価した。結果を表1に示す。
塗布液(被覆層用樹脂組成物)を調製するにあたり、オキサゾリン基を有する樹脂、アクリル樹脂およびウレタン樹脂の固形分換算の質量比が表1に示す通りとなるよう各材料の使用量を変更し(このとき、塗工液全量に占めるイソプロパノールの比率は、実施例1と同様、5.00質量%とした)、あるいは被覆層の膜厚が表1に示す通りとなるよう塗布液の塗布量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、酸素透過度、水蒸気透過度およびラミネート強度を評価した。結果を表1に示す。
Claims (7)
- プラスチック基材フィルムの少なくとも片面に被覆層が設けられてなり、
前記被覆層は、オキサゾリン基を含むとともに、ポリエステルポリオールを構成成分とするカルボン酸基含有ウレタン樹脂をも含み、該被覆層の膜厚(D)は5〜100nmであり、かつ該被覆層の全反射赤外吸収スペクトルにおいて1655±10cm-1の領域に吸収極大を持つピークのピーク強度(P1)と1580±10cm-1の領域に吸収極大を持つピークのピーク強度(P2)との比(P1/P2)と前記被覆層の膜厚(D)とが下記式
0.03≦(P1/P2)/D≦0.15
に示す関係を満たすことを特徴とする積層フィルム。 - 前記被覆層は、オキサゾリン基を有する樹脂と前記ウレタン樹脂とを必須成分として含む被覆層用樹脂組成物から形成されている請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記被覆層用樹脂組成物中のオキサゾリン基を有する樹脂は、そのオキサゾリン基量が5.1〜9.0mmol/gである請求項2に記載の積層フィルム。
- 前記被覆層用樹脂組成物中のウレタン樹脂は、その酸価が10〜40mgKOH/gである請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記被覆層用樹脂組成物中の全樹脂成分100質量%中、前記オキサゾリン基を有する樹脂が20〜70重量% 、前記ウレタン樹脂が10〜60重量%である請求項2〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記被覆層の上に無機薄膜層が積層されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記無機薄膜層が、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物からなる層である請求項6に記載の積層フィルム。
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