JP2012213880A - ガスバリア膜、その製造装置、及びその製造プログラム - Google Patents
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- C23C16/401—Oxides containing silicon
Abstract
【課題】ガスバリア膜において、可視光の透過性と被覆性及び可撓性との良好なバランスを実現することができる技術の提供。
【解決手段】珪素化合物を含有するバッファ層2と、バッファ層2に積層され、珪素酸化物及び/または珪素窒化物を含有するバリア層3と、を含むガスバリア膜1において、バッファ層2についてのフーリエ変換赤外吸収スペクトルにおいて、波数900cm−1での赤外吸光度A1と波数1260cm−1での赤外吸光度A2との比AR(AR=A1/A2)と、前記ガスバリア膜に含まれるバッファ層の厚みの合計t(nm)とが、AR<3未満かつ式(1)を満たすか、又はAR≧3かつ式(2)を満たす、t≦15656/AR 3.313(1)t≦837/AR 0.648(2)ガスバリア膜。
【選択図】図1
【解決手段】珪素化合物を含有するバッファ層2と、バッファ層2に積層され、珪素酸化物及び/または珪素窒化物を含有するバリア層3と、を含むガスバリア膜1において、バッファ層2についてのフーリエ変換赤外吸収スペクトルにおいて、波数900cm−1での赤外吸光度A1と波数1260cm−1での赤外吸光度A2との比AR(AR=A1/A2)と、前記ガスバリア膜に含まれるバッファ層の厚みの合計t(nm)とが、AR<3未満かつ式(1)を満たすか、又はAR≧3かつ式(2)を満たす、t≦15656/AR 3.313(1)t≦837/AR 0.648(2)ガスバリア膜。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機EL等の電子デバイスの保護に使用可能なガスバリア膜、並びにその製造装置及びその製造プログラムに関する。
従来、飲食品、医薬品、化学薬品、日用品、雑貨品等の種々の物品包装に対し、ガスバリア性の高いプラスチックフィルムが求められている。一般にプラスチックフィルムは、ガラスなどに比べてガスバリア性に劣るため、種々のガスバリア膜をプラスチックフィルムにコーティングする種々の方法が提案されている。
さらに、近年では、有機ELや液晶等を用いた表示デバイスについて、軽量化および薄膜化、さらにはフレキシブル化の観点から、プラスチック薄板又はプラスチックフィルムを基板として用いる方法が提案されている。表示部の視認性を維持しつつ、かつ、基板表面上に形成した素子部の酸化劣化防止の観点から、透明、かつ、酸素および水蒸気バリア性の非常に高いガスバリア性を有するガスバリア膜が求められている。また、太陽電池についても発電層や電極等の劣化を防ぎ、長寿命化の観点から、ガスバリア性の高いガスバリア膜が求められている。
例えば、特許文献1には、プラスチック基材上に形成され、有機ケイ素化合物の化学蒸着により形成され、波数845〜833cm−1におけるSiCH3の赤外特性吸収が実質上ゼロであり、且つSiOH/SiOの赤外吸光度比(A)が0.25以下であるケイ素酸化物被膜が記載されている。
一方、特許文献2には、基板上で、酸化物層を形成するための面の凹凸を平坦化するために、有機化合物層を設けることが記載されている。
また、特許文献3には、低温プラズマ法によりプラスチックス基体の表面に有機シリコン化合物重合体の被膜を形成し、ついでこの基体の有機シリコン化合物重合体の被膜上にシリコン酸化物膜を被覆することで、ガス遮断性プラスチックス材を製造することが記載されている。
ケイ素酸化物被膜自体は優れたガス遮断性を示すものの、可撓性が低いので、プラスチック等の柔軟な基材に形成させた場合には、膜と基板との間の密着性も低くなり、膜に破断などが生じ易いという欠点がある。その結果、ガスバリア性が十分に発揮されないという問題がある。
有機珪素化合物重合体の層と珪素酸化物層を積層したガスバリア膜には、次のような問題点がある。有機珪素化合物重合体の層は、バッファ層、つまり応力緩和層として機能するが、一般に有機珪素化合物重合体は透明性が低い。そのため、透明性の高いガスバリア膜とするには、有機珪素化合物の層の厚みを薄くする必要がある。結果として、応力緩和の効果が低下し、フレキシブル性が低くなり破断が生じやすくなる。
本発明は、ガスバリア膜において、可視光の透過性と被覆性及び可撓性との良好なバランスを実現することができる技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係るガスバリア膜は、珪素化合物を含有するバッファ層と、前記バッファ層に積層され、珪素酸化物及び/または珪素窒化物を含有するバリア層と、を含むガスバリア膜であって、前記バッファ層についてのフーリエ変換赤外吸収スペクトルにおいて、波数900cm−1での赤外吸光度A1と波数1260cm−1での赤外吸光度A2との比AR(AR=A1/A2)と、前記ガスバリア膜に含まれるバッファ層の厚みの合計t(nm)とが、AR<3未満かつ式(1)を満たすか、又はAR≧3かつ式(2)を満たす。
また、本発明の第2の観点に係るバッファ層厚み算出装置は、少なくとも、ガスバリア膜において目標とされる可視光の正透過率と、バッファ層についてのフーリエ変換赤外吸収スペクトルにおいて、波数900cm−1での赤外吸光度A1と波数1260cm−1での赤外吸光度A2との比AR(AR=A1/A2)と、の入力を受け付ける入力受付部と、前記入力受付部の受付内容に基づいて、ガスバリア膜に含まれるバッファ層の厚みの合計t(nm)を、AR<3未満かつ式(1)を満たすか、又はAR≧3かつ式(2)を満たすように算出するバッファ層厚み算出部と、を備える。
本発明によると、ガスバリア膜において、良好な可視光の透過性を維持すると共に、適度な厚みを実現することができる。
〔1.ガスバリア膜〕
本実施形態のガスバリア膜1について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のガスバリア膜1は、基板4上に配置された有機EL素子等の電子デバイス42を覆うように設けられる。ガスバリア膜1は、封止膜とも呼ばれ、電子デバイス42を水及び酸素等から保護する。
本実施形態のガスバリア膜1について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のガスバリア膜1は、基板4上に配置された有機EL素子等の電子デバイス42を覆うように設けられる。ガスバリア膜1は、封止膜とも呼ばれ、電子デバイス42を水及び酸素等から保護する。
ガスバリア膜1全体の厚みは、1μm程度であってもよい。
ガスバリア膜1の最外面は、バリア層3によって覆われている。本実施形態では、バッファ層2とバリア層3とは交互に積層される。なお、ガスバリア膜1は、例えば組成が異なり、直接積層された2つ以上のバッファ層を含んでいてもよいし、組成が異なり、直接積層された2つ以上のバリア層を含んでいてもよい。
図1には、n個のバッファ層2及びn個のバリア層3が示されている。それぞれのバッファ層2を、基板4に近い方から、第1バッファ層2−1、第2バッファ層2−2、・・・第nバッファ層2−nと呼ぶ。また、それぞれのバリア層3を、基板4に近い方から、第1バリア層3−1、第2バリア層3−2、・・・第nバッファ層3−nと呼ぶ。個々のバッファ層を特に区別しない場合は、これらをまとめて単にバッファ層2と呼び、個々のバリア層を特に区別しない場合は、これらをまとめて単にバリア層3と呼ぶ。
nを以下「積層数」と称することがあり、積層数nは例えば2以上であってもよく、5以上であってもよく、10以下であってもよい。また、個々のバリア層3及びバッファ層2の厚みは特に限定されるものではなく、10nm〜数百nmであってもよい。特にバリア層3の厚みは、20nm以上であることが好ましい。
バッファ層2は、応力緩和層とも呼ばれ、珪素化合物を含有する。バッファ層2は、珪素化合物を主成分として含有することができる。「主成分として含有する」とは、特定の成分を、60重量%以上含有することであってもよく、70重量%以上含有することであってもよく、80重量%以上含有することであってもよく、90重量%以上含有することであってもよく、その成分のみからなることを意味してもよい。
例えば、バッファ層2はシリコン系膜であってもよく、H,C及びSiを含むシリコン系膜であってもよい。具体的には、バッファ層2は、Si(CH3)を含むシリコン系膜であってもよい。個々のバッファ層2の組成は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
バッファ層2の密度は、1.3〜1.7g/cm3の範囲が好ましい。
バッファ層2の密度は、1.3〜1.7g/cm3の範囲が好ましい。
バッファ層2についてのフーリエ変換赤外吸収スペクトルにおいて、波数900cm−1での赤外吸光度A1と波数1260cm−1での赤外吸光度A2との比AR(AR=A1/A2)、及びガスバリア膜1に含まれるバッファ層2の厚みの合計t(nm)は、AR<3未満かつ式(1)を満たすか、又はAR≧3かつ式(2)を満たす。
バッファ層2の厚みの合計tは、10nm以上であることが好ましく、4000nm以下であることが好ましい。
ガスバリア膜1がこの条件を満たすことによって、可視光の正透過率(例えば70%以上)と、可撓性及び被覆性の少なくとも一方とが良好なバランスを保つことができる。
バリア層3は、珪素酸化物及び/または珪素窒化物を主成分として含有することができる。また、バリア層3が珪素酸化物及び珪素窒化物を主成分として含有する場合、また、第1バリア層31の組成と第2バリア層32の組成とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
バリア層3は、バッファ層2よりも高い密度を有する。バリア層3の密度は具体的な数値に限定されるものではないが、水や酸素が電子デバイス42に到達することを防止できる程度であればよい。例えば、バリア層3の密度は、1.8〜2.5g/cm3程が好ましい。
なお、ガスバリア膜1の構成は、バッファ層2及びバリア層3の他に、有機物を含む層をさらに備えるように変更されてもよい。
また、ガスバリア膜1の構成は、バッファ層2とバリア層3とが逆に配置されるように変更されてもよい。すなわち、基板4、バリア層3、バッファ層2、バリア層3、バッファ層2・・・が、この順に配置されていてもよい。なお、全てのバッファ層2中で最も外側(上側)に位置するバッファ層2よりもさらに外側に、少なくとも1つのバリア層3が設けられていることが好ましい。
〔2.製造装置〕
図1〜図4を参照して、ガスバリア膜の製造装置について説明する。
図1〜図4を参照して、ガスバリア膜の製造装置について説明する。
図2に示すように、製造装置100は、入力受付部101、制御装置102、製膜装置10を備える。
入力受付部101は、操作者から、可視光の正透過率、バッファ層の赤外吸光度比AR及びガスバリア膜全体の厚み、バッファ層の厚み、バッファ層の数等のガスバリア膜についての希望条件の入力を受け付ける。入力受付部101は、ハードキー及びタッチパネル等により実現される。
制御装置102は、様々な演算を行うと共に、製造装置100の各部の動作を制御する。制御装置102に含まれる機能ブロックは、CPU(Central Processing Unit)、並びに、ROM(Read Only Memory)、RAM、FLASH等の記憶媒体によって実現可能である。つまり、CPUはROM等の記録媒体内に格納されたプログラムを読み出して実行することで、各種機能を実現することができる。RAMは、CPUの作業領域として機能することができる。また、ROM等の記録媒体には、赤外吸光度比ARと製膜条件との相関関係を示す検量線、ガスバリア膜内のバッファ層の厚みの総和と赤外吸光度比ARとの相関関係を示す検量線、赤外吸光度比ARと可視光の正透過率との相関関係等が記録されていてもよい。
具体的には、制御装置102は、赤外吸光度比算出部103,製膜条件決定部104,バッファ層厚み算出部105,製膜装置制御部106を備える。各ブロックの機能については後述する。
図3及び図4に示すように、製膜装置10は、ロードロック室5、ロードロック室5に連結されたロボット室6、及びロボット室6に連結された第1製膜室7及び第2製膜室8を備える。この製膜装置10は、バッファ層2とバリア層3との積層膜(つまりガスバリア膜)を形成することができる。
ロードロック室5とロボット室6との間には、ゲートバルブ51が設けられている。ゲートバルブ51により、ロードロック室5とロボット室6とは隔絶可能である。
ロードロック室5は、真空ポンプ52に接続されると共に、その内部に基板ストッカー53を備える。基板ストッカー53は、基板4の周縁部を支持する支持ピン54を備える。基板4の片面には表面に電子デバイス42が形成されており、基板4のサイズは例えば370mm×470mm程度である。
ロボット室6は、内部に基板搬送ロボット61を備える。基板搬送ロボット61は、モータ62、アーム63及び可動支持台64を備える。可動支持台64は、モータ62の駆動によりアーム63を介してx、y及びz各方向に移動自在に構成される。可動支持台64は、基板ストッカー53が支持ピン54を備えるのと同様に、支持ピン65を備える。
また、ロボット室6には、第1流量制御バルブ66を介して真空ポンプ67が接続されている。
ロボット室6と第1製膜室7との間にはゲートバルブ68が設けられており、ロボット室と第2製膜室8との間にはゲートバルブ69が設けられている。ゲートバルブ68及び69が開閉することで、基板搬送ロボット61は、可動支持台64を移動させて基板4を第1製膜室7及び第2製膜室8に移動させることができる。
第1製膜室7は、ロボット室6と連通しており、第2流量制御バルブ761を介して真空ポンプ71に接続され、第3流量制御バルブ762を介してHMDS供給タンク72に接続され、第4流量制御バルブ763を介してH2供給タンク73及びAr供給タンク74に接続される。
第1製膜室7の内部には、ループアンテナ77が設けられる。ループアンテナ77は、プラズマを生成する手段であり、絶縁チューブ78と導電性電極79とにより構成される。2本の絶縁チューブ78は、第1製膜室7内に平行に配設される。導電性電極79は、2本の絶縁チューブ78に挿設され、図4に示すように、平面視が略U字形を呈するように第1製膜室7の向かい合う2つの側壁を貫通し、高周波電流を供給する電源771に接続される。高周波電流の周波数は13.56MHz程度であることが好ましい。なお、ループアンテナ77の構造はICP(Inductive Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)放電のものであるが、別の構造の電極としてCCP(Capacitive Coupled Plasma:容量結合プラズマ)、バリア、ホロー等の電極でプラズマ放電させても良い。
第2製膜室8は、ロボット室6と連通しており、第5流量制御バルブ861を介して真空ポンプ81に接続され、第6流量制御バルブ862を介してHMDS供給タンク82に接続され、第7流量制御バルブ863を介してO2供給タンク83に接続される。
第2製膜室8内には、ループアンテナ87が設けられる。ループアンテナ87は、絶縁チューブ88と導電性電極89により構成される。ループアンテナ87についての詳細な説明は、第1製膜室7のループアンテナ77と重複するので省略する。導電性電極89は、高周波電流を供給する電源871に接続される。
〔3.製造方法〕
次に、図2及び図5〜図8を参照して、製造装置100を用いてガスバリア膜を製造する方法、つまり製造装置100の動作について説明する。なお、製膜は、本実施形態では自動で制御されるが、その一部または全部の開始及び終了等が手動で制御されてもよい。
次に、図2及び図5〜図8を参照して、製造装置100を用いてガスバリア膜を製造する方法、つまり製造装置100の動作について説明する。なお、製膜は、本実施形態では自動で制御されるが、その一部または全部の開始及び終了等が手動で制御されてもよい。
本実施形態では、ガスバリア膜1の可視光の正透過率の目標値が70%以上に設定されているものとする。また、積層数nも、一定の値に設定され、不変であるものとする。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ガスバリア膜1の可視光の正透過率及び積層数nが、操作者によって指定されてもよい。
図5に示すように、入力受付部101が操作者からの入力を受け付けると、その内容に応じて、製膜条件が設定される。例えば、バッファ層2の赤外吸光度比ARまたはそれに準じる値が入力された場合(ステップS31でYes)、バッファ層2の厚みの総和が決定される(ステップS32)。ここで、上述したように積層数nは固定であるから、ステップS32は、個々のバッファ層2の厚みを決定するステップである、ともいえる。
赤外吸光度比ARとは、既に説明した通り、波数900cm−1での赤外吸光度A1と波数1260cm−1での赤外吸光度A2との比AR(AR=A1/A2)である。
なお、赤外吸光度比ARに準ずる値とは、バッファ層2の可視光の正透過率及び「製膜圧力×HMDS流量/投入パワー(Pa*sccm/kW)」を含む。後述するように、バッファ層2の可視光の正透過率と赤外吸光度比ARとは相関関係を有し、また赤外吸光度比ARと製膜圧力×HMDS流量/投入パワー(Pa*sccm/kW)とは、相関関係を有する。よって、制御装置102は、これらの相関関係に基づいて、「準ずる値」から赤外吸光度比ARを求めることができる。
こうして入力された又は求められた赤外吸光度比ARから、バッファ層厚み算出部105によって、バッファ層2の厚みの合計が算出される。すなわち、ガスバリア膜1に含まれるバッファ層2の厚みの合計t(nm)の目標値は、AR<3かつ式(1)を満たすか、又はAR≧3かつ式(2)を満たすように設定される。これらの式のグラフは、図9の通りである。
可視光の正透過率の目標値が70%であれば、式(1)及び(2)における不等号は、等号に変更されればよい。
つまり、入力受付部101及びバッファ層厚み算出部105は、バッファ層厚み算出装置として機能する。
また、操作者によって入力されたのが、赤外吸光度比AR(それに準じる値を含む)でなく(ステップS31でNo)、バッファ層2の厚みの合計値tであれば(ステップS33でYes)、赤外吸光度比算出部103によって、目標とする赤外吸光度比ARが、上記式(1)又は(2)に基づいて算出される(ステップS34)。このとき、tが411nmより大きければ式(1)が、tが411nm以下であれば式(2)が適用される。
次に、製膜条件が決定される(ステップS35)。このステップにおいては、製膜条件決定部104が、ステップS32で決定された、又は操作者によって入力された厚みの合計値から、各バッファ層の製膜時間を設定したり、ステップS34で決定された、又は操作者によって入力された赤外吸光度比ARの目標値に基づいて、製膜圧力×HMDS流量/投入パワー(Pa*sccm/kW)を設定したりする。
製膜条件を決定するために必要な情報が入力されなかった場合には(ステップS31及びS33でNo)、製膜条件を決定することなく処理は終了される。このとき、図示しない表示装置において、操作者に、情報の入力を促すメッセージを表示してもよい。
次に、製膜条件が決定される(ステップS35)。このステップにおいては、製膜条件決定部104が、ステップS32で決定された、又は操作者によって入力された厚みの合計値から、各バッファ層の製膜時間を設定したり、ステップS34で決定された、又は操作者によって入力された赤外吸光度比ARの目標値に基づいて、製膜圧力×HMDS流量/投入パワー(Pa*sccm/kW)を設定したりする。
製膜条件を決定するために必要な情報が入力されなかった場合には(ステップS31及びS33でNo)、製膜条件を決定することなく処理は終了される。このとき、図示しない表示装置において、操作者に、情報の入力を促すメッセージを表示してもよい。
製膜装置制御部106は、以上のようにして決定された条件に基づいて、製膜装置10の動作を制御する。
製膜装置10は、次に示す初期状態にあるものとして説明する。すなわちロードロック室5は、ゲートバルブ51が閉じた状態であり、ロードロック室5の内圧は大気圧である。基板ストッカー53には、表面に電子デバイス42が配置された未封止の基板4が、その片面を鉛直下方に向けた状態で保持されている。
まず、ゲートバルブ69を閉じ、ゲートバルブ68が開けられた状態で、図6に示すように、第1製膜室7及びロボット室6を、真空ポンプ71により減圧する(ステップS1)。このとき、真空ポンプ81によって、第2製膜室8を減圧する(ステップS1)。
次に、真空ポンプ52が作動を開始し、ロードロック室5を減圧する(ステップS2)。ロードロック室5の内圧が第1製膜室7及びロボット室6の内圧とほぼ同じになった時点で、ゲートバルブ51を開く。
続いて、バッファ層2−1を形成する(ステップS3)。基板搬送ロボット61は、アーム63をロードロック室5に伸延させ、基板ストッカー53に保持された未封止の基板4を、同じ姿勢、すなわちその片面を鉛直下方に向けた状態で可動支持台64上に受け取る。基板4を受け取った後、基板搬送ロボット61はアーム63を収縮させる。アーム63が収縮した後、ゲートバルブ51は閉じ、基板搬送ロボット61は、アーム63を第1製膜室7の方向に回転する。
次に、第4流量制御バルブ763を開くことによりH2ガスとArガスの混合ガスを第1製膜室7に導入する(図7のステップS10)。それと同時に第3流量制御バルブ762を開くことにより、HMDSガスを第1製膜室7に導入する(図7のステップS10)。このときの各ガスの導入流量、特にHMDSガスの流量は、ステップS35で決定された通りとされる。例えば、H2ガスとArガスの混合ガスについては20sccm〜40sccm、HMDSガスについては3sccm〜5sccmとすることができる。
ステップS35で決定された流量で各ガスを第1製膜室7に導入し、第2流量制御バルブ761の開度を調整することで第1圧力にする(図7のステップS11)。第1圧力とは、ステップS35で決定される製膜条件における製膜圧力に該当する。
ステップS35で決定された流量で各ガスを第1製膜室7に導入し、第2流量制御バルブ761の開度を調整することで第1圧力にする(図7のステップS11)。第1圧力とは、ステップS35で決定される製膜条件における製膜圧力に該当する。
続いて、電源771からループアンテナ77に高周波電流を流す。このときのプラズマ電力、つまり投入パワーは、例えば0.1kW〜10kW程度に設定される。これにより、ループアンテナ77の周辺にプラズマが発生する(図7のステップS12)。その後、アーム63を第1製膜室7に伸延させ、ループアンテナ77の上方に基板4をセットする(図7のステップS13)。基板4の表面では表面反応が行われ、電子デバイス42を覆うように、バッファ層2−1が形成される。HMDSの化学式は(CH3)3SiNHSi(CH3)3であるから、HMDS供給タンク72がC(炭素)の供給源として機能する。炭素を含めることで、形成される膜の密度を比較的低密度にすることができ、応力発生によるクラック等を効果的に抑制することができる。
所定の時間が経過した後、第3流量制御バルブ762及び第4流量制御バルブ763を閉じることにより、HMDSガス、H2ガス及びArガスの導入を止める(図7のステップS14)。
バッファ層2−1が形成されると、ステップS4において、バリア層3−1の形成処理を開始する。
まず、基板搬送ロボット61は、基板4を第1製膜室7からロボット室6に退避させる。退避が完了すると、ゲートバルブ68を閉じる。
次に、図8に示すように、真空ポンプ67と第1流量制御バルブ66を作動させロボット室6を減圧する(ステップS20)。ロボット室6の内圧と第2製膜室8の内圧がほぼ同じになった時点で、ゲートバルブ69を開き、真空ポンプ67を停止する。なお、真空ポンプ81は作動したままの状態とする。
次いで、第7流量制御バルブ863を開くことによりO2ガスを第2製膜室8に導入する(ステップS21)。それと同時に第6流量制御バルブ862を開くことにより、HMDSガスを第2製膜室8に導入する(ステップS21)。このときの各ガスの導入流量は、O2ガスを20sccm〜1000sccm、HMDSガスを3sccm〜20sccmとすることができる。第5流量制御バルブ861の開度を調整することで第2圧力にする(ステップS22)。
続いて、電源871からループアンテナ87に、高周波電流を流す。このときのプラズマ電力、つまり投入パワーは、例えば0.1kW〜10kW程度に設定される。これにより、ループアンテナ87の周辺にプラズマが発生する(ステップS23)。その後、アーム63を第2製膜室8に伸延させ、ループアンテナ87の上方に基板4をセットする(ステップS24)。基板4の表面では表面反応が行われ、バッファ層2−1を被覆するようにバリア層3−1、すなわち珪素酸化物層が形成される。所定時間が経過した後、第6流量制御バルブ862及び第7流量制御バルブ863を閉じることにより、HMDSガス及びO2ガスの導入を停める(ステップS25)。
なお、O2ガスに代えて、窒素含有ガス(N2ガス又はNH3ガス)、又はO2ガスと窒素含有ガスとの混合ガスを用いてもよい。
上記ステップS3及びステップS4の処理を所定の回数(N回)繰り返す(ステップS5)。処理の回数がNに満たないとき(ステップS5でNo)、バリア層形成後にバッファ層を形成するときは、ステップS3を行う。
なお、複数のバッファ層2を形成する場合、個々のバッファ層2の製膜条件(材料ガスの組成、材料ガスの流量、圧力等)は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。バリア層3の製膜についても同様である。
所定数の層が形成されると(ステップS5でYes)、基板搬送ロボット61はアーム63をロードロック室5の方向に回転する。ゲートバルブ51が開き、基板搬送ロボット61はアーム63をロードロック室5に伸延させる。そして、封止済みの基板4を基板ストッカー53に移載し、基板搬送ロボット61はアーム63を収縮させる。アーム63が収縮した後、ゲートバルブ51は閉じ、ステップS6において真空ポンプ52を停止し、外部空気を取り入れるなどして、ロードロック室5を大気圧に戻して開放した後、ステップS7において封止膜形成済みの基板4を外部へ取り出すことができる。
なお、本実施形態では、バッファ層2が先に形成され、その後バリア層3が形成され、これが繰り返されることで、基板4上に、バッファ層2、バリア層3、バッファ層2、バリア層3・・が、この順に積層された繰り返し構造が形成される。
ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、バリア層3が先に形成され、バッファ層2がその後に形成されてもよい。つまり、基板4上に、バリア層3、バッファ層2、バリア層3・・が、この順に形成されてもよい。
なお、図5〜図8のフローチャートに示す製造方法では、基板4にはマスクが対向するように配置された状態で、第1圧力下で、プラズマCVDにより無機物を堆積させることでバッファ層2を形成するバッファ層形成工程(ステップS3)と、バッファ層形成工程後、マスクが配置された基板4に、第1圧力よりも低い第2圧力下で、プラズマCVDにより無機物を堆積させることでバリア層3を形成するバリア層形成工程(ステップS4)が実行される。マスクは、ガスバリア膜1が形成される領域を規定する。
なお、本実施形態では、ガスバリア膜が電子デバイスを保護するためのガスバリア膜として用いられるので、ガスバリア膜を形成する基材として基板4を挙げたが、本発明の製造方法及び製造装置はこれに限らず、様々な物体(基材)に対してガスバリア膜を製造するのに用いることができる。
〔4.製造装置の他の実施形態〕
図3及び図4に示す製膜装置10は、バッファ層形成部の一例として第1製膜室7(接続された各種タンク及び真空ポンプを含む)を備え、バリア層形成部の一例として第2製膜室8(接続された各種タンク及び真空ポンプを含む)を備える。また、ロボット室6も、バッファ層形成部及びバリア形成部の一部とみなされてもよい。
図3及び図4に示す製膜装置10は、バッファ層形成部の一例として第1製膜室7(接続された各種タンク及び真空ポンプを含む)を備え、バリア層形成部の一例として第2製膜室8(接続された各種タンク及び真空ポンプを含む)を備える。また、ロボット室6も、バッファ層形成部及びバリア形成部の一部とみなされてもよい。
すなわち、上述の実施形態では、2つの製膜室の間を基板搬送ロボット61によって移動させることで、第1圧力と第2圧力との切り替えを行っている。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、ガスバリア膜の製造装置は、1つの製膜室の内圧を変えることで、第1圧力と第2圧力との切り替えを行うようになっていてもよい。
また、基板4は、プラスチック等の長尺状のフィルムであってもよい。フィルムは、ロールトゥロール方式によって、連続的にガスバリア膜の形成を受けることができる。
なお、HMDSは原料ガスの一例に過ぎず、原料ガスを他のガスに変更することは可能である。原料ガスとしては、特に、Si及びC(炭素)を含むガスが好ましい。
また、バッファ層2を形成する原料ガスと、バリア層3を形成するガスとは、組成が異なっていてもよい。
また、バッファ層2を形成する原料ガスと、バリア層3を形成するガスとは、組成が異なっていてもよい。
〔5.赤外吸光度比、製膜条件、可視光の正透過率、バッファ層の厚みの関係〕
以下の実験において、赤外吸光度は、フーリエ変換赤外吸収法、具体的にはBruker製FT-IR IFS-66V/Sを用いた透過法によって測定された。また、可視光領域における正透過率は、分光光度計(日本分光製 MODEL V-670)によって測定された。
以下の実験において、赤外吸光度は、フーリエ変換赤外吸収法、具体的にはBruker製FT-IR IFS-66V/Sを用いた透過法によって測定された。また、可視光領域における正透過率は、分光光度計(日本分光製 MODEL V-670)によって測定された。
図10に示すように、バッファ層2のフーリエ変換赤外吸収スペクトルは、波数900cm−1にSi−C及びSi−Nの伸縮振動に由来するピークを示し、波数1260cm−1にSi−CH3変角振動に由来するピークを示す。つまり、波数900cm−1のピーク量はSi−C及びSi−Nの量の和を示し、波数1260cm−1のピークはSi−CH3の量を示す。
本発明者等は、バッファ層2についての波数900cm−1での赤外吸光度A1と波数1260cm−1での赤外吸光度A2との比AR(AR=A1/A2)と、バッファ層2の製膜時の製膜圧力×HMDS流量/投入パワー(Pa*sccm/kW)とは、図11に示す相関関係を有することを見出した。さらに、ガスバリア膜における可視光の正透過率(つまり、可視光領域400〜800nmにおいて測定される正透過率の最小値)とバッファ層2の製膜圧力×HMDS流量/投入パワー(Pa*sccm/kW)とは、図12に示す相関関係を有することを見出した。なお、図12での正透過率の測定対象は、ガスバリア膜全体であり、このガスバリア膜において、バッファ層の厚みの合計tは420nmであった。バリア層の正透過率は高いので、バリア層がガスバリア膜全体の正透過率に与える影響は無視することができる。バリア層の形成は、実施例1と同様に行った。
つまり、本発明者等は、赤外吸光度比ARと可視光の正透過率とが相関関係を有することを見出した。
このように、製膜時の投入パワーや原料ガスの流量や圧力等を変えることで、原料ガスの種類を変えずにバッファ層の赤外吸光度比は変えることができる。そのメカニズムは、以下のように考えられる。原料ガスにHMDSを用いて投入バワーを変えた場合を例に挙げると、投入パワーが小さい場合には、HMDSに含まれる結合エネルギーの小さいC‐H結合の解離があまり起こらず、Si−CH3の存在量は多いままの状態となる。一方、投入パワーが大きい場合には、C−H結合の解離が多くなり、Si−CH3の存在量も減少すると共に、逆にSi−CH3を除くSi−Cの量は増加する。そのため、投入パワーが大きい場合は、小さい場合に比べて、赤外吸光度比AR、つまりSi−C量/Si−CH3量の値が大きくなる。
実際、投入パワーを下げるとARが小さくなり、製膜圧力を上げることでARが小さくなり、原料(例えばHMDS)ガスの流量を上げることでARは下がる。
図示を省略するが、ガスバリア膜におけるバッファ層の厚み合計を変えても、可視光の正透過率と赤外吸光度比ARとの間には、相関関係が見られた。
可視光の正透過率70%を満たす場合の赤外吸光度比ARとバッファ層の厚みの合計との関係を、図9に示す。図9に示すように、赤外吸光度比AR=3、つまりバッファ層の厚み合計411nmを境界として、式(1’)及び(2’)が満たされる。
可視光の正透過率70%を満たす場合の赤外吸光度比ARとバッファ層の厚みの合計との関係を、図9に示す。図9に示すように、赤外吸光度比AR=3、つまりバッファ層の厚み合計411nmを境界として、式(1’)及び(2’)が満たされる。
つまり、この式を満たすように赤外吸光度比及びバッファ層の厚み合計を設定することで、正透過率70%を満たすことができる。なお、式(1’)及び(2’)を上述の式(1)及び(2)に置き換えることで、正透過率70%以上を満たす条件が得られる。
(実施例1)
上述した手順に沿って、ガスバリア膜を作成した。
具体的には、厚さ100μmのPETフィルム上に、バッファ層とバリア層とを交互に7層ずつ積層した。
バッファ層の製膜においては、HMDSガスを原料ガスとして、H2ガス及びArガスをプラズマ生成ガスとして、プラズマCVDを行った。バッファ層2の赤外吸光度比ARは2.05であり、バッファ層の厚みの合計値は810nmであった。
なお、本書において、赤外吸光度比を算出する際の、波数900cm−1における赤外吸光度と波数1260cm−1における赤外吸光度は、それぞれ、530〜1320cm−1、1225〜1300cm−1の範囲でベースライン補正を行った値である。
上述した手順に沿って、ガスバリア膜を作成した。
具体的には、厚さ100μmのPETフィルム上に、バッファ層とバリア層とを交互に7層ずつ積層した。
バッファ層の製膜においては、HMDSガスを原料ガスとして、H2ガス及びArガスをプラズマ生成ガスとして、プラズマCVDを行った。バッファ層2の赤外吸光度比ARは2.05であり、バッファ層の厚みの合計値は810nmであった。
なお、本書において、赤外吸光度比を算出する際の、波数900cm−1における赤外吸光度と波数1260cm−1における赤外吸光度は、それぞれ、530〜1320cm−1、1225〜1300cm−1の範囲でベースライン補正を行った値である。
バリア層は、HMDSガスを原料ガスとして、O2ガスをプラズマ生成ガスとして、プラズマCVDによって形成した。バリア層3は、透明性が高く、高いガスバリア性が獲られる条件で作製した。
作製したガスバリア膜の可視光の正透過率(ただし、基板を差し引いた値)を測定したところ、可視光領域で91.0%であった。本実施例で用いた珪素酸化物であるバリア層の可視光領域における可視光の正透過率は非常に高く、ガスバリア膜の正透過率に影響を与えないことは確認できている。
赤外吸光度比ARとバッファ層の厚みtとの関係式(1)からバッファ層2の厚み合計の最大値を計算すると、1452nmとなる。つまり、上述したバッファ層の厚み合計値は、この式を十分に満たしている。
(実施例2)
厚さ100μmのPETフィルム上に、バッファ層2とバリア層3を交互に3層ずつ積層することで、ガスバリア膜1を作製した。
厚さ100μmのPETフィルム上に、バッファ層2とバリア層3を交互に3層ずつ積層することで、ガスバリア膜1を作製した。
バリア層3の条件は実施例1と同じとした。
バッファ層2の赤外吸光度比ARを5.86とし、ガスバリア膜中に含まれるバッファ層の厚みの合計値を180nmとした。可視光の正透過率を測定したところ、可視光領域で83.9%であった。なお、赤外吸光度比ARとバッファ層2の厚みtとの関係式(2)からバッファ層の厚み合計の最大値を計算すると266nmとなる。よって、本実施例のバッファ層の厚みの合計値は、この式(2)を十分に満たしている。
バッファ層2の赤外吸光度比ARを5.86とし、ガスバリア膜中に含まれるバッファ層の厚みの合計値を180nmとした。可視光の正透過率を測定したところ、可視光領域で83.9%であった。なお、赤外吸光度比ARとバッファ層2の厚みtとの関係式(2)からバッファ層の厚み合計の最大値を計算すると266nmとなる。よって、本実施例のバッファ層の厚みの合計値は、この式(2)を十分に満たしている。
(比較例1)
厚み100μmのPETフィルム上に、バッファ層とバリア層を交互に7層ずつ積層しガスバリア膜を作製した。
厚み100μmのPETフィルム上に、バッファ層とバリア層を交互に7層ずつ積層しガスバリア膜を作製した。
バリア層3の条件は実施例1と同じとした。
バッファ層の赤外吸光度比を3.90とし、ガスバリア膜中に含まれるバッファ層の厚みの合計値を420nmとした。
バッファ層の赤外吸光度比を3.90とし、ガスバリア膜中に含まれるバッファ層の厚みの合計値を420nmとした。
ガスバリア膜の可視光の正透過率を測定したところ、可視光領域で63.9%であった。赤外吸光度比ARとバッファ層の厚みの合計値tとの関係式(2)から、バッファ層の最大厚みを計算すると347nmである。よって、実際の厚みは、式から外れている。
(実施例3及び4、並びに比較例3)
基板表面の凹凸に対する被覆性を向上させる観点から、バッファ層の厚みは、要求される正透過率を満たす範囲内で、なるべく厚膜とする方が欠陥の少ないガスバリア膜を形成することができる。
基板表面の凹凸に対する被覆性を向上させる観点から、バッファ層の厚みは、要求される正透過率を満たす範囲内で、なるべく厚膜とする方が欠陥の少ないガスバリア膜を形成することができる。
実施例3として、赤外吸光度比が2.79のバッファ層を用い、ガラス基板上にバッファ層とバリア層を交互に7層ずつ積層しガスバリア膜を作製した。ガスバリア膜中に含まれるバッファ層の厚みは480nmとした。作製したガスバリア膜の光の正透過率を測定したところ、可視光領域で73.2%であった。
赤外吸光度比ARとバッファ層の厚み合計tとの関係式(1)からバッファ層の最大厚みを計算すると523nmとなる。つまり、バッファ層の厚み合計tは、式(1)で表される範囲内にあった。
実施例3について、ガスバリア膜の水蒸気透過度をカルシウム腐食法により測定したところ、85℃×85%RHの環境下で3×10−3g/m2/day となり、高い透明性を維持した状態で良好なガスバリア性を示した。
実施例3について、ガスバリア膜の水蒸気透過度をカルシウム腐食法により測定したところ、85℃×85%RHの環境下で3×10−3g/m2/day となり、高い透明性を維持した状態で良好なガスバリア性を示した。
また、実施例4として、実施例3と同じバッファ層を用いて、バッファ層の厚み合計tを350nmとした。この値tは、式(1)で表される範囲内にある。実際、実施例4について正透過率を測定したところ、高い値が得られた。
本発明のガスバリア膜は、有機ELディスプレイの発光材料や太陽電池の発電材料などのような、酸素や水分に対して非常に弱い材料のガスバリア膜として応用できる。また、フィルムへ付加するガスバリア膜(機能性付加)としても利用できる。
1 ガスバリア膜
2 バッファ層
2−1 第1バッファ層
2−2 第2バッファ層
3 バリア層
3−1 第1バリア層
3−2 第2バリア層
4 基板
10 製造装置
11 ガスバリア膜の外縁
12 ガスバリア膜傾斜部分
13 ガスバリア膜内側部分
14 堆積された層(バリア層及びバッファ層を含む)
42 電子デバイス
5 ロードロック室
51 ゲートバルブ
52 真空ポンプ
53 基板ストッカー
54 支持ピン
6 ロボット室
61 基板搬送ロボット
62 モータ
63 アーム
64 可動支持台
65 支持ピン
66 第1流量制御バルブ
67 真空ポンプ
68 ロボット室と第1製膜室7との間のゲートバルブ
69 ロボット室と第2製膜室8との間のゲートバルブ
7 第1製膜室
71 真空ポンプ
72 HMDS供給タンク
73 H2供給タンク
74 Ar供給タンク
77 ループアンテナ
78 絶縁チューブ
79 導電性電極
761 第2流量制御バルブ
762 第3流量制御バルブ
763 第4流量制御バルブ
771 電源
8 第2製膜室
81 真空ポンプ
82 HMDS供給タンク
83 O2供給タンク
87 ループアンテナ
88 絶縁チューブ
89 導電性電極
861 第5流量制御バルブ
862 第6流量制御バルブ
863 第7流量制御バルブ
871 電源
2 バッファ層
2−1 第1バッファ層
2−2 第2バッファ層
3 バリア層
3−1 第1バリア層
3−2 第2バリア層
4 基板
10 製造装置
11 ガスバリア膜の外縁
12 ガスバリア膜傾斜部分
13 ガスバリア膜内側部分
14 堆積された層(バリア層及びバッファ層を含む)
42 電子デバイス
5 ロードロック室
51 ゲートバルブ
52 真空ポンプ
53 基板ストッカー
54 支持ピン
6 ロボット室
61 基板搬送ロボット
62 モータ
63 アーム
64 可動支持台
65 支持ピン
66 第1流量制御バルブ
67 真空ポンプ
68 ロボット室と第1製膜室7との間のゲートバルブ
69 ロボット室と第2製膜室8との間のゲートバルブ
7 第1製膜室
71 真空ポンプ
72 HMDS供給タンク
73 H2供給タンク
74 Ar供給タンク
77 ループアンテナ
78 絶縁チューブ
79 導電性電極
761 第2流量制御バルブ
762 第3流量制御バルブ
763 第4流量制御バルブ
771 電源
8 第2製膜室
81 真空ポンプ
82 HMDS供給タンク
83 O2供給タンク
87 ループアンテナ
88 絶縁チューブ
89 導電性電極
861 第5流量制御バルブ
862 第6流量制御バルブ
863 第7流量制御バルブ
871 電源
Claims (5)
- 可視光領域における光の正透過率が70%以上である
請求項1に記載のガスバリア膜。 - 前記ガスバリア膜に含まれるバッファ層の厚みの合計tが10nm以上4000nm以下である、
請求項1又は2に記載のガスバリア膜。 - 請求項1〜3の何れかに記載のガスバリア膜を備えるガスバリア性フィルム。
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TWI555645B (zh) | 2016-11-01 |
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