JP2012213257A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】不活性化バッテリであるか正常な状態であるかにかかわらず、バッテリ電源を確実に満充電状態とする。
【解決手段】携帯型プリンタ1は、バッテリ電源BTの出力電圧値を検出するA/D入力回路19を有し、充電回路10により充電処理が開始された後検出電圧降下値△Vが満充電検出用の所定の第1しきい値△V1を超えるか否かを判定し、第1しきい値△V1を超えた場合、バッテリ電源BTから所定の負荷電流値によって満充電識別用の試行放電処理を行い、当該試行放電処理の実行時において検出された電圧降下値△Vが、不活性化バッテリ識別用の所定の第2しきい値△V2を超えるか否かを判定する。
【選択図】図8

Description

本発明は、充電可能なバッテリ電源からの電力により動作する電子機器に関する。
電子機器に用いられる充電可能なバッテリに充電を行うとき、満充電となったことを検知する手法が、既に知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、通常のバッテリ電源における、満充電に達した後に出力電圧値が若干下がる挙動を利用して、満充電の検知が行われる。すなわち、上記従来技術では、満充電に達したことを検出するために所定のしきい値が定められており、電圧検出手段により検出された電圧降下が上記しきい値を超えたことをもって、満充電が検出される。
特開平11−215725号公報
ここで、上記のように充電中に電圧検出を行っているとき、回路内部や周囲環境から生じた電気的なノイズが電圧検出手段で検出される場合がある。バッテリ電源が正常な状態であれば、電池の内部抵抗は十分に小さいので、電気的ノイズの影響を受けにくいことから上記ノイズ発生による弊害は特に生じない。一方、バッテリ電源が、放電及び充電を繰り返して内部抵抗が大きくなったいわゆる不活性化バッテリであった場合には、電気的ノイズの影響を受けやすいことから、上記ノイズ発生直後の電圧の立ち下がり部分を上記電圧降下として誤検出する可能性がある。このような場合には、充電完了であるとみなされることから、実際には満充電に達していないにもかかわらず、充電処理が終了してしまうという問題があった。
本発明の目的は、不活性化バッテリであるか正常な状態であるかにかかわらず、バッテリ電源を確実に満充電状態とすることができる電子機器を提供することにある。
上記目的を達成するために、本願発明は、充電可能なバッテリ電源を収納するバッテリ収納部と、外部電源と接続可能な電源接続部と、前記電源接続部に接続された前記外部電源により前記バッテリ電源に対する充電処理を行う充電手段と、前記バッテリ電源の出力電圧値を検出する電圧検出手段と、前記充電手段により前記充電処理が開始された後、前記電圧検出手段により検出された電圧降下が、満充電検出用の所定の第1しきい値を超えるか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段により前記電圧降下が前記第1しきい値を超えると判定された場合、前記バッテリ収納部に収納された前記バッテリ電源から、所定の負荷電流値によって満充電識別用の試行放電処理を行う、放電処理手段と、前記放電処理手段による前記満充電識別用の試行放電処理の実行時において前記電圧検出手段により検出された電圧降下が、不活性化バッテリ識別用の所定の第2しきい値を超えるか否かを判定する第2判定手段と、を有することを特徴とする。
充電可能なバッテリに充電を行うとき、満充電となったことを検知する手法は種々ある。満充電に達した後に出力電圧値が若干下がる挙動となるバッテリ電源では、この電圧降下挙動を利用して満充電の検知が行われる。本願第1発明においては、充電手段が外部電源によりバッテリ電源に対する充電処理を行い、そのときのバッテリ電源の出力電圧値が電圧検出手段によって検出される。このとき、上記満充電に達したことを検出するために所定の第1しきい値が定められており、第1判定手段が、電圧検出手段により検出された電圧降下が、上記第1しきい値を超えるか否かを判定する。
ここで、上記のように充電中に電圧検出を行っているとき、回路内部や周囲環境から生じた電気的なノイズが電圧検出手段で検出される場合がある。バッテリ電源が正常な状態であれば、電池の内部抵抗は十分に小さいので、電気的ノイズの影響を受けにくいことから上記ノイズ発生による弊害は特に生じない。一方、バッテリ電源が、放電及び充電を繰り返して内部抵抗が大きくなったいわゆる不活性化バッテリであった場合には、電気的ノイズの影響を受けやすいことから、上記ノイズ発生直後の電圧の立ち下がり部分を上記電圧降下と誤検出する可能性がある。すなわち上記電圧の立ち下がり部分の幅が第1しきい値を超える場合には、第1判定手段の判定が満たされることとなる。
そこで本願発明では、さらに、放電処理手段と第2判定手段とを設けている。すなわち、第1判定手段の判定が満たされた場合、放電処理手段が、バッテリ電源から、所定の負荷電流値によって満充電識別用の試行放電処理を行う。そして、第2判定手段は、その試行放電処理の実行時における電圧降下が、不活性化バッテリ識別用の所定の第2しきい値を超えるか否かを判定する。上述したように、不活性化バッテリは、内部抵抗が大きくなっていることから、上記試行放電処理により発生する電圧降下の大きさが、正常な状態のバッテリ電源よりも大きくなる。したがって、第2しきい値の値を適宜に設定して、例えば不活性化バッテリの場合のみ第2判定手段の判定が満たされるようにすることにより、バッテリ収納部に収納されたバッテリ電源が不活性化バッテリであることを識別することができる。これにより、例えば、第2判定手段の判定が満たされた場合には不活性化バッテリであるとみなしてそのまま充電処理を続行し、第2判定手段の判定が満たされない場合には満充電状態に達したとみなして充電処理を終了することができる。この結果、不活性化バッテリであるか正常な状態であるかにかかわらず、バッテリ電源を確実に満充電状態とすることができる。
本発明によれば、不活性化バッテリであるか正常な状態であるかにかかわらず、バッテリ電源を確実に満充電状態とすることができる。
本発明の一実施の形態である携帯型プリンタの外観構成を表す斜視図である。 携帯型プリンタの内部構造を表す、前方側斜め上方向から見た分解斜視図である。 携帯型プリンタの内部構造を表す図1中III−III断面による側断面図である。 携帯型プリンタの制御系を表す機能ブロック図である。 バッテリ電源に対する充電処理時の一般的挙動を表すグラフである。 バッテリ電源が不活性化バッテリであった場合の充電処理時の挙動の一例を表すグラフである。 本実施形態で実行される電圧降下値の検出を説明するためのグラフを表す図である。 CPUにより実行される制御内容を表すフローチャートである。 図8のステップS50で実行される試行放電処理を説明するための説明図である。 本実施形態において実現される、バッテリ電源が正常バッテリであった場合の充電処理時の挙動の一例を表すグラフである。 本実施形態において実現される、バッテリ電源が不活性化バッテリであった場合の充電処理時の挙動の一例を表すグラフである。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本発明は、電子機器の一例として、充電式のバッテリ電源BT(後述)によって駆動可能な印刷装置である携帯型プリンタに対し、本発明を適用した場合の実施形態である。
図1〜図3を用いて、本実施形態の携帯型プリンタ1の外観構成及び内部構造について説明する。以下では、図1中左下方向を前方、右上方向を後方、左上方向を左方、右下方向を右方として説明する。また、以下の説明において各部品について前後左右上下の各方向をいうときは、当該各部品が携帯型プリンタ1に取り付けられた状態での各方向に対応させて説明する。
図1〜図3において、携帯型プリンタ1は、例えばPC端末や携帯電話等の外部機器2(後述の図4参照)より有線通信あるいは無線通信を介して受信した印刷データを種々の被印刷用紙(図示せず)に印刷する。この携帯型プリンタ1は、樹脂材料で構成された、装置外郭を構成する略直方体形状のハウジング100と、シャーシ組立体50とを組み付けることによって、概略組み立てられる。
ハウジング100は、装置外郭上部を構成するトップカバー101と、装置外郭下部を構成するアンダーカバー102と、トップカバー101の上面前方側に開閉可能に設けられたカバー部材103とを備えている。
ハウジング100内には、搬送手段を構成するプラテンローラ111と、サーマルヘッドの一種であるサーマルラインヘッド112とが設けられている。サーマルラインヘッド112は、後方側端部に軸部材113を備えた放熱板114上に設けられており、この放熱板114は上記サイドシャーシ部材130L,130Rにより軸部材113を中心に回動可能に支持されている。また、アンダーカバー102の内表面に設けられたメインシャーシ部材150には、上記サーマルラインヘッド112を支持する放熱板114をプラテンローラ111側に回動付勢する複数のコイルバネ115が設けられている。これにより、サーマルラインヘッド112は上記プラテンローラ111に圧接可能となっている。
ハウジング100の後方側には、例えば略棒状の充電式のバッテリ電源BTを収容するバッテリ収納室105(バッテリ収納部)が設けられており、このバッテリ収納室105にはバッテリ室カバー170が着脱可能に設けられている。当該バッテリ室カバー170を取り外した状態では、上記バッテリ収納室105がハウジング100の背面部分に開口する。
シャーシ組立体50は、アンダーカバー102の内表面に設けられた、シャーシ組立体50の底部を構成する上記メインシャーシ部材150と、このメインシャーシ部材150の長手方向両側端部より立設される一対の上記サイドシャーシ部材130L,130Rとを備えている。サイドシャーシ部材130L,130Rは、軸孔131にプラテンローラ111の軸部材111aを挿通することにより、プラテンローラ111を回転可能に支持している。プラテンローラ111は、駆動モータ11により回転駆動されることで被印刷用紙を搬送する。またサイドシャーシ部材130L,130Rは、サーマルラインヘッド112を備えた放熱板114を、前述した軸部材113を介して回動可能に支持している。
左側のサイドシャーシ部材130Lには、プラテンローラ111を駆動する上記駆動モータ11と、この駆動モータ11の駆動力をプラテンローラ111の上記軸部材111aに伝達する、複数のギアからなるギア機構132が設けられている。
また、サイドシャーシ部材130L,130Rの上部には、ビーム部材140が架け渡され、ネジにより固定されている。そして、挿入口104から挿入された被印刷用紙をプラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との圧接部Pに案内する前述のガイド部材120が、ハウジング100を構成するトップカバー101、アンダーカバー102、及びカバー部材103とは分離された別体として構成されており、上記ビーム部材140に固定されることによって、サイドシャーシ部材130L,130Rに設けられている。
上記構成において、印刷時には、カバー部材103を閉じた状態で、トップカバー101とカバー部材103との間に形成された挿入口104に上記被印刷用紙が挿入される。挿入された被印刷用紙は、挿入口104の下方に設けられたガイド部材120により、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との圧接部P(図3参照)に案内される。プラテンローラ111は所定の圧接力で被印刷用紙に接触し、被印刷用紙を搬送する。この搬送される被印刷用紙に対し、サーマルラインヘッド112が所望の印刷を行う。印刷完了後の被印刷用紙は、カバー部材103とアンダーカバー102との間に形成された排出口107より排出される。なお、紙詰まり等が生じた場合には、カバー部材103を開放することで、サーマルラインヘッド112からプラテンローラ111がリリースされ、容易に被印刷用紙を引き出すことが可能となる。
次に、図4を用いて、携帯型プリンタ1の制御系について説明する。
図4において、携帯型プリンタ1は、所定の演算を行うCPU12(演算部)を有している。
CPU12は、SDRAM13の一時記憶機能を利用しつつROM14に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって携帯型プリンタ1全体の制御を行う。なお、SDRAM13及びROM14が、各請求項記載の記憶部を構成している。
またCPU12は、携帯型プリンタ1の電源のオン・オフ処理を行う電源回路15と、プラテンローラ111を駆動する上記駆動モータ11の駆動制御を行うモータ駆動回路16と、サーマルラインヘッド112の駆動制御を行うサーマルヘッド制御回路17とに接続されている。
またCPU12は、用紙検出センサ18と、用紙送り操作を行うためのフィードキー40(図1及び図2参照)と、電源のオン・オフ操作を行うための電源キー30(図1及び図2参照)とに接続されている。CPU12は、用紙検出センサ18の検出結果に基づき、挿入口104に被印刷用紙が挿入されているか否かを検出する。
またCPU12は、電源キー30又はフィードキー40が押し下げられた場合に、当該押し下げられたキーに対応した処理を実行する。フィードキー40が押し下げられると、CPU12は、上記モータ駆動回路16に制御信号を出力し、駆動モータ11を駆動させてプラテンローラ111を回転させ、被印刷用紙を所定量搬送するフィード処理を行う。このフィードキー40は、例えば被印刷用紙の搬送方向途中位置から印刷を開始するために用紙送りをする場合や、搬送方向長さが所定の長さよりも長い被印刷用紙を用いた場合において印刷終了後に用紙を排出するような場合に、操作される。一方、携帯型プリンタ1の電源オフ状態で電源キー30が押し下げられると、CPU12は、電源回路15に制御信号を出力して電源のオン処理を行い、電源オン状態で電源キー30が押し下げられると、電源回路15に制御信号を出力して電源のオフ処理を行う。
またCPU12は、USBインターフェース駆動回路21と、無線通信部22と、赤外線通信部23とに接続されている。USBインターフェース駆動回路21は、USB端子24(図1参照)に接続されたUSBケーブル(図示省略)を介して上記外部機器2との間で行われる通信の制御を行う。また無線通信部22は、上記外部機器2との間で行われる赤外線以外の電波による無線通信の制御を行う。また赤外線通信部23は、上記外部機器2との間で行われる赤外線通信の制御を行う。
また、CPU12には、バッテリ電源BTの出力電圧値を測定(検出)するための電圧検出手段としてのA/D入力回路19(電圧検出手段)が設けられている。このA/D入力回路19は、上記バッテリ電源BTに接続される。
バッテリ電源BTは、例えば積層形のニッケル水素電池パック(公称電圧14.4V、公称容量360mAh)であり、バッテリ電源BTに対する充電処理(急速充電)を行うための充電回路10に接続される。バッテリ電源BTはまた、上記モータ駆動回路16及びサーマルヘッド制御回路17に接続され、それぞれに対して電圧を供給可能となっている。また、充電回路10は電源接続部としてのACアダプタ20によって外部電源と接続可能となっている。
電源回路15は、CPU12からの制御信号により切り替え可能なスイッチSWを介して、バッテリ電源BT(図4中、接点aへの切り替えの時)またはACアダプタ20(図4中、接点b側への切り替えの時)のいずれかに接続可能となっている。なお、CPU12の制御による後述する試行放電実行処理時においては、スイッチSWが接点aに自動接続される。
上記制御系において、携帯型プリンタ1で印刷を行う際には、操作者は、PC端末や携帯電話等の外部機器2を用いて被印刷用紙に印刷する印刷データの入力を行うとともに、印刷開始指示入力を行う。これにより、外部機器2から携帯型プリンタ1に、上記USBケーブル、又は、無線通信若しくは赤外線通信を介して、印刷データが送信され、携帯型プリンタ1において印刷データに基づいた印刷が行われる。
以上の基本構成及び動作において、本実施形態の携帯型プリンタ1の最大の特徴は、バッテリ電源BTに対する充電処理の内容にある。以下、その内容を順を追って説明する。
<一般的な充電処理>
例えば上述したニッケル水素等、充電可能なバッテリ電源は、満充電に達した後に出力電圧値が若干下がる挙動となる。すなわち、図5(a)に示すように、充電完了時に電圧値はピークとなり、そのピーク直後に下降する特性を示す。このようなバッテリに対しては、一般に、この電圧降下を検知することで、満充電に達したことを検出することができる(図5(a)の「検出A」参照)。
ここで、上記のように充電中に電圧検出を行っているとき、回路内部や周囲環境から生じた電気的なノイズが発生する場合がある。バッテリ電源が正常な状態であれば、当該バッテリ電源(電池)の内部抵抗は十分に小さいので、電気的ノイズの影響を受けにくいことからノイズ発生による弊害は特に生じない。すなわち、上記図5(a)と同様に電圧降下を検知することで、満充電に達したことを正しく検出することができる(図5(b)の「検出B」参照)。
<不活性化バッテリの場合>
一方、バッテリ電源が、放電及び充電を繰り返して(あるいは長時間放置で自己放電により)内部抵抗が大きくなったいわゆる不活性化バッテリとなっている場合があり得る。この場合の充電挙動は、不活性によってバッテリ容量が減少することから、満充電までの所要時間が短くなる。それでも、上記電気的ノイズの混入がなければ、上記図5(a)と同様に電圧降下を検知することで、満充電に達したことを正しく検出することができる(図6(a)の「検出C」参照)。
しかしながら、前述のように電気的なノイズが生じた場合には、不活性化バッテリは内部抵抗が大きいことから、電気的ノイズの影響を受けやすい。なぜなら、同じエネルギのノイズが発生した場合、内部抵抗が大きいと電流が流れにくくなるために、バッテリの端子に現れる電圧が比較的大きくなるからである。このため、不活性化領域におけるノイズ発生直後の電圧の立ち下がり部分を、前述の満充電検出時に生じる上記電圧降下であると誤検出する可能性がある(図6(b)の「検出D」参照)。この場合、充電完了として誤って認識されるため、以降は充電処理が行われなくなってしまう。
<本実施形態の充電処理の詳細>
上記を回避するために、本実施形態において行う充電処理の手法を図7(a)及び図7(b)により説明する。本実施形態では、前述したように、ACアダプタ20を外部電源に接続し、当該外部電源の電力を充電回路10を介しバッテリ電源BTに供給することにより充電処理を行う。そのときのバッテリ電源BTの出力電圧値は、A/D入力回路19によって検出される。このとき、SDRAM13には、上記満充電に達したことを検出するために所定の第1しきい値△V1(例えば数[V]程度の値)が定められており、A/D入力回路19により検出された電圧降下値△Vが、上記第1しきい値△V1を超えるか否かが判定される。
但し、上記の第1しきい値を用いた判定だけでは、上記図5(d)を用いて説明したように、バッテリ電源BTが不活性化バッテリであってかつ電気的ノイズが混入したとき、当該電気的ノイズの電圧の立ち下がり部分の幅が第1しきい値△Vを超えた場合には、充電完了と誤検出されてしまう。そこで本実施形態では、上記第1しきい値△Vの検出後に定電流による試行放電を行うことにより、バッテリ電源BTの満充電の誤検知を防止する。
すなわち、電圧降下値△Vが、上記第1しきい値△V1を超えると判定が満たされた場合、バッテリ電源BTから、所定の負荷電流値(詳細は後述)によって満充電識別用の試行放電処理を行う。このとき、SDRAM13には、不活性化バッテリ識別用の所定の第2しきい値△V2(例えば1[V]程度の値)が定められている。そして、上記試行放電処理の実行時における電圧降下値△Vが、当該第2しきい値△V2を超えるか否かが判定される。
前述のように、バッテリ電源BTが正常なバッテリ(=不活性化バッテリでないバッテリ)の場合は、この放電処理は満充電に達した後の処理であり、図7(a)に示すように電圧降下値△Vは比較的小さく、上記第2しきい値△V2を超えることはない。また、不活性化バッテリであるが充電処理中にノイズが混入しなかった場合も、前述のようにしてバッテリ容量が減少しているもののこの放電処理は満充電に達した後の処理であり、同様に電圧降下値△Vは比較的小さく、上記第2しきい値△V2を超えることはない。したがって、当該放電処理実行時の電圧降下値△Vが第2しきい値△V2を超えなかった場合には、上記放電処理前における電圧降下値△V(第1しきい値△V1を超えた値)の検出が、上記第1しきい値△V1を超える図5(a)に示した「検出A」の状態、図5(b)に示した「検出B」の状態、図6(a)に示した「検出C」の状態、のいずれかであったことが判明する。したがってこの場合は、充電完了であるとみなされ、対応する所定の報知(詳細は後述)が実行される。
一方、バッテリ電源BTが不活性化バッテリで、充電処理中にノイズが混入した場合は、上記放電処理は図7(b)に示すような不活性化領域での処理となる。この場合、前述した不活性化バッテリの内部抵抗の大きさに起因して電圧降下値△Vが比較的大きくなり、上記第2しきい値△V2を超える。したがって、放電処理実行時の電圧降下値△Vが第2しきい値△V2を超えた場合には、上記放電処理前における電圧降下値△V(第1しきい値△V1を超えた値)の検出は、図6(b)に示した「検出D」の状態であったことが判明する。したがってこの場合は、充電処理が終了せずに続行される。
<制御手順>
以上の内容を実行するためのCPU12の制御手順を図8により説明する。
図8において、前述したように、図4に示すスイッチSWが接点aに切り替えられた状態で、このフローが開始される。
まず、ステップS10において、A/D入力回路19により、バッテリ電源BTの出力電圧値が検出される。
その後、ステップS20において、CPU12の制御により、充電回路10が、ACアダプタ20に接続された外部電源からの電力を用いて、バッテリ電源BTに対する充電処理を行う。なお、このステップS20が各請求項記載の充電手段として機能する。
そして、ステップS30において、上記ステップS10と同様、A/D入力回路19により、バッテリ電源BTの出力電圧値が検出される。つまりこの手順では、放電処理開始前のバッテリ電源BTの電圧値が検出されることとなる。
その後、ステップS40において、CPU12は、ステップS10で検出された電圧値とステップS30で検出された電圧値との差、すなわち電圧降下値△Vが、前述の満充電検出用の所定の第1しきい値△V1を超えるか否かを判定する。なお、このステップS40が各請求項記載の第1判定手段として機能する。
バッテリ電源BTの電圧降下値△Vが上記第1しきい値△V1を超えない場合、ステップS40の判定が満たされず(ステップS40:NO)、ステップS20に戻って同様の手順を繰り返す。バッテリ電源BTの電圧降下値△Vが第1しきい値△V1を超えていた場合、ステップS40の判定が満たされ(ステップS40:YES)、ステップS50に移行する。
ステップS50では、CPU12の制御により、バッテリ収納室105に収納されたバッテリ電源BTから、所定の負荷電流値による満充電識別用の試行放電処理が実行される。この試行放電処理は、図9に示すように、バッテリ電源BTからCPU12、SDRAM13、ROM14等の上記演算部・記憶部への通電によって行われる。この際、上記駆動モータ11及びサーマルラインヘッド112等を含む上記駆動部への通電は行われない。なお、このステップS50が各請求項記載の放電処理手段として機能する。
その後、ステップS60に移り、上記ステップS10やステップS30と同様、A/D入力回路19により、試行放電処理後のバッテリ電源BTの出力電圧値が検出される。
そして、ステップS70において、CPU12は、ステップS30で検出された電圧値とステップS60で検出された電圧値との差、すなわちバッテリ電源BTの放電処理前後における電圧降下値△Vが、前述の不活性化バッテリ識別用の所定の第2しきい値△V2を超えるか否かを判定する。なお、このステップS70が各請求項記載の第2判定手段として機能する。
バッテリ電源BTの電圧降下値△Vが上記第2しきい値△V2を超えた場合、ステップS70の判定が満たされ(ステップS70:YES)、バッテリ電源BTは内部抵抗が大きい不活性バッテリの状態であるとみなされて、ステップS20に戻って、充電処理が繰り返される。なお、このようにしてステップS70から戻って実行されるステップS20の手順が、各請求項記載の追加充電手段として機能する。
一方、バッテリ電源BTの電圧降下値△Vが上記第2しきい値△V2を超えない場合、ステップS70の判定が満たされず(ステップS70:NO)、満充電状態に達したとみなされて、ステップS80へ移る。
ステップS80では、CPU12は、適宜の報知手段に制御信号を出力し、充電完了の報知を実行させる。報知態様は、音声報知でもよいし、視覚的な表示等の報知でもよい。あるいは、充電中はランプ等を点灯しておき、ステップS80で当該点灯したランプ等を消灯することで報知するようにしてもよい。その後、このフローを終了する。
以上の制御の結果実現される、バッテリ電源BTの充電処理の挙動を、図10及び図11により説明する。バッテリ電源BTが正常バッテリであって充電処理中に電気的なノイズが生じなかった場合は、充電処理時間の経過と共に電圧値が上昇し、満充電に到達した後に電圧が降下し、当該電圧降下挙動に基づく上記試行放電処理での電圧降下挙動により満充電完了が確認され、充電処理が終了する(図10(a)参照)。一方充電処理中に電気的なノイズが生じた場合も、上記同様、満充電に到達した後に上記試行放電処理での電圧降下挙動により満充電完了が確認され、充電処理が終了する(図10(b)参照)。
一方バッテリ電源BTが不活性化バッテリであって充電処理中に電気的なノイズが生じなかった場合は、充電処理時間の経過と共に電圧値がややゆっくりと上昇し、満充電に到達した後に電圧が降下し、当該電圧降下挙動に基づく上記試行放電処理での電圧降下挙動により満充電完了が確認され、充電処理が終了する(図11(a)参照)。一方充電処理中に電気的なノイズが生じた場合には、ノイズ後の電圧降下挙動があった後に上記試行放電処理が実行され、当該試行放電処理での電圧降下挙動により不活性化バッテリへのノイズによる誤検知であることが確認されるので充電処理が終了せずに続行される。すなわち、上記図11(a)と同様に電圧値がややゆっくりと上昇し、満充電に到達した後に電圧が降下し、当該電圧降下挙動に基づく上記試行放電処理での電圧降下挙動により満充電完了が確認され、充電処理が終了する(図11(b)参照)。
以上説明したように、本実施形態においては、満充電検出用の第1しきい値△V1に加えて不活性化バッテリ識別用の第2しきい値△V2を用いる。そして、電圧降下値△Vが第1しきい値△V1を超えた場合には試行放電処理が行われ、当該試行放電処理前後の電圧降下値△Vが第2しきい値△V2を超えるか否かが判定される。これにより、電圧降下値△Vが第2しきい値△V2を超えた場合(不活性化バッテリであってノイズが混入した場合)であってもそのまま充電処理を続行し、充電処理を終了することができる。この結果、バッテリ収納室105に収納されたバッテリ電源BTが不活性化バッテリであるか正常な状態であるかにかかわらず、当該バッテリ電源BTを確実に満充電状態とすることができる。
また、本実施形態では特に、上記ステップS70において電圧降下値△Vが第2しきい値△V2を超えており判定が満たされたとき、ステップS20に戻ってバッテリ電源BTに対する追加の充電処理が行われる。これにより、バッテリ電源BTが不活性化バッテリであった場合において当該バッテリ電源BTを確実に満充電状態とすることができる。
また、本実施形態では特に、上記ステップS70において電圧降下値△Vが第2しきい値△V2を超えず判定が満たされなかったとき、ステップS80で所定の報知処理が行われる。これにより、バッテリ収納室105に収納されたバッテリ電源BTに対する充電処理が終了し、当該バッテリ電源BTが満充電状態となったことを確実に操作者に報知することができる。
また、本実施形態では特に、ステップS50において実行する試行放電処理において、負荷電流を、バッテリ電源BTからCPU12、ROM14、SDRAM13等の演算部・記憶部への通電によって与える。これにより、新たな放電回路を特別に設けることなく、既存の回路に対する通電によりバッテリ電源BTに所定の負荷電流値を与え、放電させることができる。
なお、上記は、電子機器として、印刷装置である携帯型プリンタ1に本発明を適用したが、これに限られない。すなわち、充電可能なバッテリ電源を備え、当該バッテリ電源に対して充電処理を行う電子機器であれば他のものに対しても本発明は適用でき、この場合も同様の効果を得る。
なお、以上において、図4に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図8に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
1 携帯型プリンタ(印刷装置、電子機器)
11 駆動モータ(駆動部)
12 CPU(演算部)
13 SDRAM(記憶部)
14 ROM(記憶部)
19 A/D入力回路(電圧検出手段)
20 ACアダプタ(電源接続部)
105 バッテリ収納室(バッテリ収納部)
111 プラテンローラ(搬送手段)
112 サーマルラインヘッド(駆動部)
BT バッテリ電源

Claims (5)

  1. 充電可能なバッテリ電源を収納するバッテリ収納部と、
    外部電源と接続可能な電源接続部と、
    前記電源接続部に接続された前記外部電源により前記バッテリ電源に対する充電処理を行う充電手段と、
    前記バッテリ電源の出力電圧値を検出する電圧検出手段と、
    前記充電手段により前記充電処理が開始された後、前記電圧検出手段により検出された電圧降下が、満充電検出用の所定の第1しきい値を超えるか否かを判定する第1判定手段と、
    前記第1判定手段により前記電圧降下が前記第1しきい値を超えると判定された場合、前記バッテリ収納部に収納された前記バッテリ電源から、所定の負荷電流値によって満充電識別用の試行放電処理を行う、放電処理手段と、
    前記放電処理手段による前記満充電識別用の試行放電処理の実行時において前記電圧検出手段により検出された電圧降下が、不活性化バッテリ識別用の所定の第2しきい値を超えるか否かを判定する第2判定手段と、
    を有することを特徴とする電子機器。
  2. 請求項1記載の電子機器において、
    前記第2判定手段により前記電圧降下が前記第2しきい値を超えると判定された場合に、前記電源接続部に接続された前記外部電源により、前記バッテリ電源に対する追加の充電処理を行う、追加充電手段を有する
    ことを特徴とする電子機器。
  3. 請求項1又は請求項2記載の電子機器において、
    前記第2判定手段により前記電圧降下が前記第2しきい値を超えないと判定された場合に、所定の報知処理を行う報知手段を有する
    ことを特徴とする電子機器。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電子機器において、
    所定の演算を行う演算部と、
    データを記憶可能な記憶部と、
    を有し、
    前記所定の負荷電流値は、
    前記放電処理手段による前記バッテリ電源から前記演算部及び前記記憶部への通電によって与えられる
    ことを特徴とする電子機器。
  5. 請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の電子機器において、
    前記バッテリ電源からの電力を用いて被印刷用紙に対し所望の印刷を行うサーマルヘッドと、前記バッテリ電源からの電力を用いて前記被印刷用紙を搬送する搬送手段を駆動する駆動モータと、を備える、印刷装置である
    ことを特徴とする電子機器。
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