JP2012211681A - 多段変速機の組立及び分解用治具 - Google Patents

多段変速機の組立及び分解用治具 Download PDF

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Abstract

【課題】多段変速機の組立および分解作業を容易にする治具を供する
【解決手段】カムロッド(C)とコントロールロッド(51)の代わりに第2歯車軸(12)の中空部に挿入されて全てのピン部材(23)を第2歯車軸(12)の外周方向に押し出し全ての揺動爪部材(R)の係合爪部(Rp)を第2歯車軸(12)の外周面から内側に押し戻して全ての第2歯車(n)群と揺動爪部材(R)の係合を解除状態とするカウンタロッド(85)と、第2歯車軸(12)の外周面に嵌合されるとともに揺動爪部材(R)の係合爪部(Rp)が第2歯車軸(12)の外周面より突出した際に係合爪部(Rp)が進入可能な孔部(90h)を設けたアウタカラー(90)とを備えた多段変速機の組立及び分解用治。
【選択図】図26

Description

本発明は、常時噛合い式の多段変速機の組立及び分解用治具に関する。
互いに平行な歯車軸11,12にそれぞれ複数の駆動歯車mと被動歯車nが変速段毎に常時噛み合い状態で軸支され、駆動歯車mと被動歯車nの一方の複数の歯車mが歯車軸11に固定され、他方の複数の歯車nと歯車軸12との間で歯車軸12と各歯車nの係合を揺動爪部材Rの揺動によって歯車ごとに切り換える係合切換機構20が備えられ、変速駆動機構50のコトロールロッド51が歯車軸12の内部を軸方向に移動することにより係合切換機構20の揺動爪部材Rが揺動されて変速を行う多段変速機10について、本願と同じ出願人により先に出願した例がある(特許文献1参照)。
特開2010−078048号公報
歯車軸12に揺動爪部材Rなどの係合切換機構20を組み込み、その周囲に各歯車nを軸支しなければならないが、特許文献1では、特別治具を用いずに組立および分解を行っていた。
したがって、組立に際しては、1速段ごとに、歯車軸12に揺動爪部材Rなどの係合切換機構20を組み込み、1つの歯車nを嵌合する作業を、繰り返しながら順次組み立てており、分解するときも同様で、1速段ごとに、歯車軸12から1つの歯車nを抜き取り、係合切換機構20を外す作業を、繰り返しながら順次分解していた。
そのため、組立も分解も極めて煩雑な作業となり、作業に時間と労力を要した。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、多段変速機の組立および分解作業を容易にする治具を供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
第1歯車(m)群を回転不能に軸支する第1歯車軸(11)と、
前記第1歯車軸(11)に平行に設けられ前記第1歯車(m)群と常時噛合う第2歯車(n)群を回転自在に軸支するとともに軸中心に中空部を有する第2歯車軸(12)と、
前記第2歯車軸(12)に揺動自在に支持されスプリング(22)により付勢されて前記第2歯車軸(12)の外周面より係合爪部(Rp)を突出して前記第2歯車(n)群の内周面に形成された係合凸部(31)に係合して前記第2歯車軸(12)と前記第2歯車(n)群を一体に回転させる揺動爪部材(R)と、
前記第2歯車軸(12)の軸中心側から外周に向かって進退自在に設けられ前記揺動爪部材(R)の前記係合爪部(Rp)を前記第2歯車軸(12)の外周面から内側に押し戻すピン部材(23)と、
前記第2歯車軸(12)の中空部に軸方向に摺動自在に設けられ前記ピン部材(23)を進退させるカム溝を有するカムロッド(C)と、
前記カムロッド(C)を軸方向に移動させるコントロールロッド(51)と、
を備えた多段変速機の組立及び分解用治具において、
前記カムロッド(C)と前記コントロールロッド(51)の代わりに前記第2歯車軸(12)の中空部に挿入されて全ての前記ピン部材(23)を前記第2歯車軸(12)の外周方向に押し出し全ての前記揺動爪部材(R)の前記係合爪部(Rp)を前記第2歯車軸(12)の外周面から内側に押し戻して全ての前記第2歯車(n)群と前記揺動爪部材(R)の係合を解除状態とするカウンタロッド(85)と、
前記第2歯車軸(12)の外周面に嵌合されるとともに前記揺動爪部材(R)の前記係合爪部(Rp)が前記第2歯車軸(12)の外周面より突出した際に前記係合爪部(Rp)が進入可能な孔部(90h)を設けたアウタカラー(90)と、
を備えたことを特徴とする多段変速機の組立及び分解用治具である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の多段変速機の組立及び分解用治具において、
円錐筒状の周壁(91a)の小径の端部に中空の底壁(91b)が形成され前記第2歯車軸(12)に軸支される前記第2歯車(n)群を囲繞するギアホルダ(91)と、
前記ギアホルダ(91)の内部に前記第2歯車(n)群を収容して前記ギアホルダ(91)の大径の開口端に係止して蓋をする蓋部材(92)とを設けたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の多段変速機の組立及び分解用治具において、
前記カムロッド(C)を前記コントロールロッド(51)に組付けた状態で周囲を囲繞するシフトロッドホルダ(83)を設けたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の多段変速機の組立及び分解用治具において、
前記第2歯車軸(12)と同じ外径を有した円筒本体(87a)を有し、前記円筒本体の外周に前記アウタカラー(90)をセットするとともに、前記円筒本体(87a)の端部内周に前記カウンタロッド(85)の端部を保持する鍔部(87c)を有した第1ホルダベース(87)を設けたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の多段変速機の組立及び分解用治具において、
前記第2歯車軸(12)の外周に嵌合する円筒本体(100a)を有し、前記円筒本体(100a)の一開口端に前記揺動爪部材(R)の1個分が露出する開口部(100c)が切り欠かれたラチェットセットホルダ(100)を設けたことを特徴とする。
請求項1記載の多段変速機の組立及び分解用治具によれば、カウンタロッド(85)が、カムロッド(C)とコントロールロッド(51)の代わりに第2歯車軸(12)の中空部に挿入されると、第2歯車軸(12)に組み込まれた全ての揺動爪部材(R)が係合爪部(Rp)を外周面から引込めた状態に維持することができるので、全ての第2歯車(n)群を一斉に組み込みまたは取り外しすることを可能とし、また、アウタカラー(90)は、第2歯車軸(12)に組み込まれた揺動爪部材(R)が外周面より突出した係合爪部(Rp)を孔部に進入させて係止させて第2歯車軸(12)の外周面に嵌合することができ、カウンタロッド(85)と組み合わせて使用して、第2歯車軸(12)に対して第2歯車(n)群と交代して組み込みまたは取り外しすることができ、多段変速機の組立および分解作業を容易にすることができる。
請求項2記載の多段変速機の組立及び分解用治具によれば、円錐筒状の周壁(91a)の小径の端部に中空の底壁(91b)が形成されたギアホルダ(91)が、内部に第2歯車(n)群を収容して大径の開口端を蓋部材(92)で蓋をすることができるので、第2歯車(n)群を一体で取り扱い、第2歯車軸(12)に取り付けおよび取り外しを簡単にし、多段変速機の組立および分解作業を容易にする。
請求項3記載の多段変速機の組立及び分解用治具によれば、シフトロッドホルダ(83)がカムロッド(C)をコントロールロッド(51)に組付けた状態で周囲を囲繞することができるので、コントロールロッド(51)にカムロッド(C)が結合された状態で取り扱うことができ、第2歯車軸(12)の中空部に挿入および抜き出し等を容易にし、組立分解の作業性を良好にする。
請求項4記載の多段変速機の組立及び分解用治具によれば、第1ホルダベース(87)がアウタカラー(90)を円筒本体(87a)の外周にセットし、円筒本体(87a)の端部内周の鍔部(87c)がカウンタロッド(85)の端部を保持するので、第1ホルダベース(87)が端部を保持したカウンタロッド(85)を第2歯車軸(12)の中空部に挿入して円筒本体(87a)を第2歯車軸(12)に同軸に当接することで、第2歯車軸(12)に軸支された第2歯車(n)群と円筒本体(87a)の外周にセットされたアウタカラー(90)の入れ替えを簡単に行うことができる。
請求項5記載の多段変速機の組立及び分解用治具によれば、ラチェットセットホルダ(100)を第2歯車軸(12)の外周に嵌合して第2歯車軸(12)の外周面の揺動爪部材(R)を取り付けようとする位置に開口部(100c)を合せ、開口部(100c)から第2歯車軸(12)に揺動爪部材(R)を取り付け、ラチェットセットホルダ(100)を回動または軸方向に移動して次の揺動爪部材(R)の取り付けを順次行うことで、既に取り付けた揺動爪部材(R)を円筒本体が押さえて保持することができ、揺動爪部材(R)の第2歯車軸(12)への組付作業を容易にし円滑に速やかに作業を行うことができる。
本発明の一実施の形態に係る多段変速機の断面図である。 カウンタ歯車軸およびその周りの構造を示す断面図(図4,図5のII−II線断面図)である。 カウンタ歯車軸およびその周りの構造を示す別の断面図(図4,図5のIII−III線断面図)である。 図2,図3のIV−IV線断面図である。 図2,図3のV−V線断面図である。 コントロールロッドとロストモーション機構の分解斜視図である。 コントロールロッドにロストモーション機構組み付けた状態とカムロッド等の分解斜視図である。 カウンタ歯車軸およびピン部材とスプリングの一部の分解斜視図である。 カウンタ歯車軸の左側面図(図8のIX矢視図)である。 揺動爪部材および支軸ピン,ピン部材,スプリングの分解斜視図である。 コントロールロッドに変速駆動手段の一部および係合手段を組み付けた状態を示す斜視図である。 図11に示す状態のカウンタ歯車軸に1つの軸受カラー部材を外装した状態を示す斜視図である。 2速へのシフトアップ完了直前のカウンタ歯車軸およびその周りの構造を示す断面図である。 図13のXIV−XIV線断面図である。 図13のXV−XV線断面図である。 多段変速機の分解手順の初めの分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 次の分解作業を説明するための図である。 多段変速機の組立手順の初めの組立作業を説明するための図である。 次の組立作業を説明するための図である。 次の組立作業を説明するための図である。 次の組立作業を説明するための図である。 次の組立作業を説明するための図である。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図34に基づいて説明する。
まず、本実施の形態に適用される多段変速機10について図1ないし図15に基づいて説明する。
本多段変速機10は、自動二輪車に搭載される内燃機関に組み込まれて構成されている。
図1は、該多段変速機10の断面図であり、同図1に示すように、該多段変速機10は、内燃機関と共通の機関ケース1に設けられている。
左右割りの左機関ケース1Lと右機関ケース1Rが合体して構成された機関ケース1は、変速室2を形成しており、同変速室2にメイン歯車軸11とカウンタ歯車軸12が互いに平行に左右方向に指向して回転自在に軸支されている。
メイン歯車軸11は、左機関ケース1Lの側壁と右機関ケース1Rの別体の側壁1RRにベアリング3L,3Rを介して回転自在に軸支され、右ベアリング3Rを貫通して変速室2から突出した右端部には多板式の摩擦クラッチ5が設けられている。
摩擦クラッチ5の左側には、図示されないクランク軸の回転が伝達されるプライマリ被動ギヤ4がメイン歯車軸11に回転自在に軸支されている。
内燃機関のクランク軸の回転がプライマリ被動ギヤ4から係合状態の摩擦クラッチ5を介してメイン歯車軸11に伝達される。
他方、カウンタ歯車軸12も、左機関ケース1Lの側壁と右機関ケース1Rの側壁1RRにベアリング7L,7Rを介して回転自在に軸支され、左ベアリング7Lを貫通して変速室2から突出した左端部には出力スプロケット32がスプライン嵌合して袋ナット37で抜け止めされて取り付けられる。
出力スプロケット32に巻き掛けられた駆動チェーン38が後方の図示されない後輪を駆動するスプロケットに巻き掛けられ、カウンタ歯車軸12の回転動力が後輪に伝達され、車両が走行する。
メイン歯車軸11には、左右のベアリング3L,3Rの間に駆動変速歯車m群がメイン歯車軸11と一体に回転可能にメイン歯車軸11に構成されている。
右ベアリング3Rに沿って第1駆動変速歯車m1がメイン歯車軸11に一体に形成され、メイン歯車軸11の同第1駆動変速歯車m1と左ベアリング3Lとの間に形成されたスプラインに右から左へ順に順次径を大きくした第2,第3,第4,第5,第6駆動変速歯車m2,m3,m4,m5,m6がスプライン嵌合されている。
他方、カウンタ歯車軸12には、左右のベアリング7L,7Rの間に被動変速歯車n群が円環状の軸受カラー部材13を介して回転自在に軸支されている。
カウンタ歯車軸12において、右ベアリング7Rの左に介装されたカラー部材14Rを介して外装された右端の軸受カラー部材13と、左ベアリング7Lの右に介装されたカラー部材14Lを介して外装された左端の軸受カラー部材13との間に、等間隔に5つの軸受カラー部材13が外装され、この全部で7つの軸受カラー部材13の隣り合う軸受カラー部材13,13間に跨るようにして右から左へ順に順次径を小さくした第1,第2,第3,第4,第5,第6被動変速歯車n1,n2,n3,n4,n5,n6が回転自在に軸支されている。
メイン歯車軸11と一体に回転する第1,第2,第3,第4,第5,第6駆動変速歯車m1,m2,m3,m4,m5,m6は、カウンタ歯車軸12に回転自在に軸支される対応する第1,第2,第3,第4,第5,第6被動変速歯車n1,n2,n3,n4,n5,n6にそれぞれ常時噛み合っている。
第1駆動変速歯車m1と第1被動変速歯車n1の噛合が、最も減速比の大きい1速を構成し、第6駆動変速歯車m6と第6被動変速歯車n6の噛合が、最も減速比の小さい6速を構成し、その間順次減速比が小さくなって2速、3速、4速、5速が構成される。
カウンタ歯車軸12に変速段が奇数段の奇数段歯車(第1,第3,第5被動変速歯車n1,n3,n5)と変速段が偶数段の偶数段歯車(第2,第4,第6被動変速歯車n2,n4,n6)が交互に配列されることになる。
中空筒状をなすカウンタ歯車軸12は、各被動変速歯車nと係合可能な係合手段20が後記するように組み込まれ、後記するように係合手段20の1構成要素である種類ごと2本ずつ4種類の計8本のカムロッドC(Cao,Cao,Cae,Cae,Cbo,Cbo,Cbe,Cbe)がカウンタ歯車軸12の中空内周面に形成された後記するカム案内溝12gに嵌合して軸方向に移動自在に設けられる。
このカムロッドCを駆動して変速する変速駆動手段50の1構成要素であるコントロールロッド51が、カウンタ歯車軸12の中空中心軸に挿入されており、コントロールロッド51の軸方向の移動は、ロストモーション機構52,53を介して連動してカムロッドCを軸方向に移動する。
このコントロールロッド51を軸方向に移動する機構が、右機関ケース1Rに設けられている。
コントロールロッド51の軸方向の移動は、ロストモーション機構52,53を介してカムロッドCを軸方向に連動し、このカムロッドCの移動がカウンタ歯車軸12に組み込まれた係合手段20により各被動変速歯車nを選択的にカウンタ歯車軸12と係合して変速を行う。
図6を参照して、変速駆動手段50のコントロールロッド51は、円柱棒状をなし、軸方向の左右2か所に縮径して形成された外周凹部51a,51bがそれぞれ所定長さに亘って形成されている。
コントロールロッド51の右端は雄ねじが形成された雄ねじ端部51bbとなっており、雄ねじ端部51bbの手前に6角形状のナット部51cが形成されている。
このコントロールロッド51の左右の外周凹部51a,51bにそれぞれ対応してロストモーション機構52,53が組み付けられる。
左右のロストモーション機構52,53は、同じ構造のものを左右に配設している。
左側のロストモーション機構52は、コトロールロッド51を摺動自在に嵌挿するスプリングホルダ52hが長尺ホルダ52hlと短尺ホルダ52hsの連結で構成され、内周面にコトロールロッド51の外周凹部51aに対応する内周凹部52haが形成されている。
このスプリングホルダ52hにコントロールロッド51を貫通させてスプリングホルダ52hを外周凹部51aに位置させたとき、スプリングホルダ52hの内周凹部52haとコントロールロッド51の外周凹部51aの両空間が共通の空間を構成する。
スプリングホルダ52hの内周凹部52haとコントロールロッド51の外周凹部51aの両空間に跨るようにスプリング受けである左右一対のコッタ52c,52cが対向して嵌挿され、両コッタ52c,52c間にコントロールロッド51に巻回される圧縮コイルスプリング52sが介装されて両コッタ52c,52cを離間する方向に付勢する。
なお、コッタ52cは、スプリングホルダ52hの内周凹部52haの内径を外径とし、コトロールロッド51の外周凹部51aの外径を内径とした中空円板状をなし、組み付けのため半割りにされている。
右側のロストモーション機構53(スプリングホルダ53h,長尺ホルダ53hl,短尺ホルダ53hs,内周凹部53ha,コッタ53c,圧縮コイルスプリング53s)も同じ構造をしてコトロールロッド51の外周凹部51bに配設される。
したがって、コトロールロッド51が軸方向に移動すると、左右のロストモーション機構52,53の圧縮コイルスプリング52s,53sを介してスプリングホルダ52h,53hが軸方向に移動する。
このコントロールロッド51の左右の外周凹部51a,51bに取り付けられたロストモーション機構52,53のスプリングホルダ52h,53hの外周面に、8本のカムロッドC(Cao,Cao,Cae,Cae,Cbo,Cbo,Cbe,Cbe)が放射位置にあって当接される(図7参照)。
カムロッドCは、断面が矩形で軸方向に長尺に延びる角柱棒状部材であり、スプリングホルダ52h,53hと接する内周側面の反対側の外周側面がカム面を形成しており、カム面にカム溝vが所要3か所に形成され、内周側面にはスプリングホルダ52h,53hのいずれか一方を左右から挟むように係止する一対の係止爪pが突出している。
カムロッドCは、断面が特別な形状をしておらず概ね外形が単純な矩形の角柱棒状部材であるので、カムロッドCを容易に製造することができる。
カム溝v1,v3,v5が奇数段歯車(第1,第3,第5被動変速歯車n1,n3,n5)に対応する3か所に形成された奇数段用カムロッドCao,Cboには、正回転(加速時に被動変速歯車nからカウンタ歯車軸12に力が加わる回転方向)用と逆回転(減速時に被動変速歯車nからカウンタ歯車軸12に力が加わる回転方向)用の2種類があり、一方の正回転奇数段用カムロッドCaoは、内周側面に右側スプリングホルダ53hに係止する係止爪pを有し、他方の逆回転奇数段用カムロッドCboは、内周側面に左側スプリングホルダ52hに係止する係止爪pを有する(図7参照)。
同様に、カム溝v2,v4,v6が偶数段の偶数段歯車(第2,第4,第6被動変速歯車n2,n4,n6)に対応する3か所に形成された偶数段用カムロッドCae,Cbeには、正回転用と逆回転用の2種類があり、一方の正回転偶数段用カムロッドCaeは、内周側面に左側スプリングホルダ52hに係止する係止爪pを有し、他方の逆回転偶数段用カムロッドCbeは、内周側面に右側スプリングホルダ53hに係止する係止爪pを有する(図7参照)。
したがって、コントロールロッド51の軸方向の移動により、右側のロストモーション機構53の圧縮コイルスプリング53sを介してスプリングホルダ53hとともに正回転奇数段用カムロッドCaoと逆回転偶数段用カムロッドCbeが軸方向に連動し、左側のロストモーション機構52のコイルスプリング52sを介してスプリングホルダ52hとともに逆回転奇数段用カムロッドCboと正回転偶数段用カムロッドCaeが軸方向に連動する。
図7に示すように、コントロールロッド51のナット部51cより右側の右端部分には、円筒状をしたコントロールロッド操作子55が、その内側に嵌装されたボールベアリング56を介して取り付けられる。
ボールベアリング56は、軸方向に2個連結したもので、コントロールロッド51のナット部51cより右側の右端部分に嵌入され、雄ねじ端部51bbに螺合されるナット57によりナット部51cとの間で挟まれて締結される。
したがって、コントロールロッド操作子55は、コントロールロッド51の右端部を回転自在に保持している。
このコントロールロッド操作子55の螺着されたナット57より右側に延出した円筒部に直径方向に穿孔したピン孔55hが形成されており、同ピン孔55hにシフトピン58が貫通する。
シフトピン58は、コトロールロッド操作子55を貫通して一方にのみ突出するもので(図2参照)、図14に示すように、その突出する端部が後記するシフトドラム67のシフト案内溝Gに摺動自在に係合する円柱状の係合部58aであり、コトロールロッド操作子55を貫通する小径円柱部58cと係合部58aとの間に直方体状をした摺動部58bが形成されている。
右機関ケース1Rの側壁1RRの右方に突出したガイド部1Raに溝条60が左右方向に指向して形成されており、この溝条60にシフトピン58の直方体状をした摺動部58bが摺動自在に嵌合してシフトピン58の回り止めとしている。
側壁1RRには右方に突出して支軸65が植設されて、同支軸65にベアリング66を介してシフトドラム67が回動自在に軸支されており、このシフトドラム67のシフト溝67vにシフトピン58の突出した係合部58aが摺動自在に嵌合している。
シフトドラム67のシフト溝67vは、ドラム外周面に略一周に亘って螺旋を描くように形成され、その間に所定回動角度(例えば60度)毎に1速から6速までの各変速段位置およびその途中にニュートラル位置が形成されている。
したがって、シフトドラム67の回動は、シフト溝67vに嵌合するシフトピン58をコントロールロッド操作子55とともに軸方向に移動させる。
コントロールロッド操作子55はコントロールロッド51の右端部を回転自在に保持しているので、結局シフトドラム67の回動はコントロールロッド51を軸方向に移動させる。
このシフトドラム67は、図示されないシフトセレクトレバーの手動操作によってシフト伝達手段(図示せず)を介して回動する。
シフト伝達手段は、シフトドラム67を所定角度毎の変速段位置に安定して保持させるシフトカム部材などの機構を備えてシフトセレクトレバーの操作動力をシフトドラム67の側縁に形成されたギヤ67gに伝達してシフトドラム67を順次変速段位置に回動する。
なお、シフトドラム67は、変速用モータにより回動するようにしてもよい。
以上のように、変速駆動手段50は、シフトセレクトレバーの手動操作(または変速用モータの駆動)によってシフトドラム67が回動し、シフトドラム67の回動がシフト溝67vに嵌合したシフトピン58を案内して軸方向に移動し、シフトピン58の移動がコントロールロッド操作子55を介してコントロールロッド51を軸方向に移動し、コントロールロッド51の移動がロストモーション機構52,53を介して係合手段20の8本のカムロッドCao,Cao,Cae,Cae,Cbo,Cbo,Cbe,Cbeを連動する。
ロストモーション機構52,53が組み付けられたコントロールロッド51は、カウンタ歯車軸12の中空内に挿入され中心軸に配設される。
この中空円筒状のカウンタ歯車軸12は、内径がロストモーション機構52,53のスプリングホルダ52h,53hの外径に略等しく、コントロールロッド51に取り付けられたスプリングホルダ52h,53hを摺動自在に嵌挿する。
そして、カウンタ歯車軸12の中空の内周面における8か所の放射位置に断面が矩形の8本のカム案内溝12gが軸方向に指向して延出形成されている(図9参照)。
8本のカムロッドCao,Cao,Cae,Cae,Cbo,Cbo,Cbe,Cbeは、図7に示す配列で対応するカム案内溝12gに摺動自在に嵌合する。
同種類のカムロッドCは、対称位置に配設される。
カウンタ歯車軸12に対するカム部材Cの回り止めとなるカム案内溝12gは、断面コ字状の単純な形状をして簡単に加工成形できる。
カム案内溝12gの深さはカムロッドCの放射方向の幅に等しく、よってカムロッドCの外周側面であるカム面はカム案内溝12gの底面に摺接し、内周側面は中空内周面と略同一面をなしてスプリングホルダ52h,53hの外周面に接し、内周側面から突出した係止爪pはスプリングホルダ52h,53hのいずれかを両側から挟むようにして掴む。
中空筒状をなすカウンタ歯車軸12は、軸受カラー部材13を介して被動変速歯車nが軸支される中央円筒部12aの左右両側に外径が縮径された左側円筒部12bと右側円筒部12cが形成されている(図8参照)。
カウンタ歯車軸12の左側円筒部12bにはワッシャ14Lを介してベアリング7Lが嵌合され、他方、右側円筒部12cにはワッシャ14Rを介してベアリング7Rが嵌合される(図1,図2,図3参照)。
なお、カウンタ歯車軸12の左側円筒部12bの軸端部は外径が縮径されて雄ねじ12eが形成されており、雄ねじ12eの軸方向内側には出力スプロケット32がスプライン嵌合するスプライン溝12sが形成されている。
カウンタ歯車軸12の中空内は、カム案内溝12gが形成される内径がスプリングホルダ52h,53hの外径に等しい小径内周面と、同小径内周面の両側の内径がカム案内溝12gの底面と略同一周面をなす大径内周面とが形成されている(図2,図3参照)。
右側の拡大内径部の内側に前記コントロールロッド操作子55が半分程挿入されている。
このように、カウンタ歯車軸12の中空内にコントロールロッド51とロストモーション機構52,53と8本のカムロッドCao,Cao,Cae,Cae,Cbo,Cbo,Cbe,Cbeが組み込まれると、これら全てが一緒に回転し、コントロールロッド51が軸方向に移動すると、左側ロストモーション機構52のコイルスプリング52sを介して逆回転奇数段用カムロッドCboと正回転偶数段用カムロッドCaeが軸方向に連動し、右側ロストモーション機構53のコイルスプリング53sを介して正回転奇数段用カムロッドCaoと逆回転偶数段用カムロッドCbeが軸方向に連動する。
ロストモーション機構52,53がカウンタ歯車軸12の軸方向に並んでコントロールロッド51の外周面と複数のカムロッドCの内側面との間に介装されるので、カウンタ歯車軸12の中空内にあってコントロールロッド51,ロストモーション機構52,53,カムロッドCと径方向に重なる構造で多段変速機10の軸方向の拡大を避け、ロストモーション機構52,53をカウンタ歯車軸12の中空内にコンパクトに収容して、多段変速機10自体の小型化を図ることができる。
ロストモーション機構52,53は、コントロールロッド51上に軸方向に2つ設け、各ロストモーション機構52,53は互いに別のカムロッドCを連動するので、1本のコントロールロッド51の移動に対して複数のカムロッドCに2種類の異なる動きをさせて変速を滑らかにさせることを可能とするとともに、ロストモーション機構52,53を同じ構造として、製造コストを抑えるとともに組立て時の部品管理を容易とする。
ロストモーション機構52,53がコントロールロッド51の外周面と複数のカムロッドCの内側面との間に介装されるスプリングホルダ52h,53hの内周凹部52ha,53haとコントロールロッド51の外周凹部51a,51bで形成される空間にコイルスプリング52s,53sが介装されるので、同じ形状のロストモーション機構52,53をコントロールロッド51上に構成することができる。
また、ロストモーション機構52(53)は、コッタ52cが半割りの割りコッタとし、スプリングホルダ52h(53h)は長尺ホルダ52hl(53hl)と短尺ホルダ52hs(53hs)に2分割されているので、コントロールロッド51の外周凹部51a(51b)の軸方向中央部に拡径ストッパ部51as(51bs)が形成されていても、その両側凹部に割りコッタ52cを配してスプリングホルダ52h(53h)を簡単に組み付けることができ、ロストモーション機構52(53)の組立を容易にすることができる。
図8に示すように、カウンタ歯車軸12の軸受カラー部材13を介して被動変速歯車nが軸支される中央円筒部12aは、外径が大きく厚肉に構成されており、この厚肉の外周部に周方向に一周する幅狭の周方向溝12cvが第1,第2,第3,第4,第5,第6被動変速歯車n1,n2,n3,n4,n5,n6に対応して軸方向に亘って等間隔に6本形成されるとともに、軸方向に指向した軸方向溝12avが周方向に亘って等間隔に4本形成されている。
さらに、カウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの外周部には、4本の軸方向溝12avで区画された4つの部分が各周方向溝12cvにおいて周方向溝12cvの溝幅を隣り合う軸方向溝12av,12av間に亘って長尺に左右均等に拡大した長尺矩形凹部12pと、周方向溝12cvの溝幅を隣り合う軸方向溝12av,12av間の一部で左右均等に拡大した短尺矩形凹部12qとが、軸方向に交互に形成されている。
長尺矩形凹部12pの底面の周方向に離れた2か所に軸方向に長尺の楕円形をして周方向溝12cvに跨って若干凹んだスプリング受部12d,12dが形成されている。
また、短尺矩形凹部12qと軸方向溝12avとの間の厚肉部で周方向溝12cv上にピン孔12hが前記カム案内溝12gまで径方向に穿孔されている。
すなわち、カウンタ歯車軸12の中空内周面から周方向の8か所に刻設されたカム案内溝12gの放射方向にピン孔12hが穿孔される。
各周方向溝12cv上にはそれぞれ4か所ピン孔12hが形成される。
スプリング受部12dには、楕円形に巻回された圧縮スプリング22がその端部を嵌装させて設けられる。
ピン孔12hにはピン部材23が摺動自在に嵌挿される。
なお、ピン孔12hが連通するカム案内溝12gの幅は、ピン部材23の外径幅より小さい。
したがって、ピン孔12hを進退するピン部材23がカム案内溝12gに脱落することがないので、カウンタ歯車軸12への係合手段20の組み付けを容易にする。
カム案内溝12gにはカムロッドCが摺動自在に嵌合されるので、ピン孔12hに嵌挿されたピン部材23は中心側端部が対応するカムロッドCのカム面に接し、カムロッドCの移動でカム溝vがピン孔12hに対応するとピン部材23がカム溝vに落ち込み、カム溝v以外の摺接面が対応するとピン部材は摺接面に乗り上げ、カムロッドCの移動により進退する。
ピン孔12h内でのピン部材23の進退は、その遠心側端部を周方向溝12cvの底面より外側に出没させる。
以上のような構造のカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの外周部に形成された長尺矩形凹部12pと短尺矩形凹部12qと両凹部間を連通する周方向溝12cvに、揺動爪部材Rが埋設され、軸方向溝12avに揺動爪部材Rを揺動自在に軸支する支軸ピン26が埋設される。
このようにして、全ての揺動爪部材Rが組み付けられた状態を図11に示す。
図10の分解斜視図には、奇数段歯車(第1,第3,第5被動変速歯車n1,n3,n5)に対応する周方向溝12cvおよび長尺矩形凹部12p,短尺矩形凹部12qに埋設される4個の揺動爪部材Rと、偶数段の偶数段歯車(第2,第4,第6被動変速歯車n2,n4,n6)に対応する周方向溝12cvおよび長尺矩形凹部12p,短尺矩形凹部12qに埋設される4個の揺動爪部材Rとが、互いの相対角度位置関係を維持した姿勢で図示されており、加えて各揺動爪部材Rを軸支する支軸ピン26および各揺動爪部材Rに作用する圧縮スプリング22とピン部材23が示されている。
揺動爪部材Rは、全て同じ形状のものを使用しており、軸方向視で略円弧状をなし、中央に支軸ピン26が貫通する貫通孔の外周部が欠損して軸受凹部Rdが形成されており、同軸受凹部Rdの揺動中心に関して一方の側に長尺矩形凹部12pに揺動自在に嵌合する幅広矩形の係合爪部Rpが形成され、他方の側にはピン孔12hが形成された周方向溝12cvに揺動自在に嵌合する幅狭のピン受部Rrが延出し、その端部は短尺矩形凹部12qに至り幅広に拡大した幅広端部Rqが形成されている。
揺動爪部材Rは、ピン受部Rrがピン孔12hが形成された周方向溝12cvに嵌合し、一方の係合爪部Rpが長尺矩形凹部12pに嵌合するとともに軸受凹部Rdが軸方向溝12avに合致し、他方の幅広端部Rqが短尺矩形凹部12qに嵌合する。
そして、合致した軸受凹部Rdと軸方向溝12avに支軸ピン26が嵌合される。
揺動爪部材Rは、嵌合する周方向溝12cvに関して左右対称に形成されており、一方の幅広矩形の係合爪部Rpが他方のピン受部Rrおよび幅広端部Rqより重く、支軸ピン26に軸支されてカウンタ歯車軸12とともに回転したとき、遠心力に対して係合爪部Rpが重錘として作用して遠心方向に突出するように揺動爪部材Rを揺動させる。
揺動爪部材Rは、ピン受部Rrが揺動中心に関して反対側の係合爪部Rp側より幅が狭く形成されている。
また、ピン受部Rrは、ピン部材23を受け止めるだけの幅を具えれば足りるので、揺動爪部材Rを小型に形成することができ、かつ他方の係合爪部Rpの遠心力による揺動を容易にすることができる。
周方向に隣り合う揺動爪部材Rは、互いに対称な姿勢にカウンタ歯車軸12に組み付けられるので、互いに所定間隔を存して対向する係合爪部Rp,Rpは共通の長尺矩形凹部12pに嵌合し、他方の互いの近接する幅広端部Rqは共通の短尺矩形凹部12qに嵌合する。
揺動爪部材Rの係合爪部Rpの内側にカウンタ歯車軸12のスプリング受部12dに一端を支持された圧縮スプリング22が介装され、ピン受部Rrの内側にピン孔12hに嵌挿されたピン部材23がカムロッドCとの間に介装される。
このようにして、揺動爪部材Rが、支軸ピン26に揺動自在に軸支されてカウンタ歯車軸12の長尺矩形凹部12p,短尺矩形凹部12q,周方向溝12cvに埋設され、一方の係合爪部Rpが圧縮スプリング22により外側に付勢され、他方のピン受部Rrがピン部材23の進退により押圧されることで、圧縮スプリング22の付勢力に抗して揺動爪部材Rが揺動する。
ピン部材23が遠心方向に進行して揺動爪部材Rを揺動したときは、揺動爪部材Rは係合爪部Rpが長尺矩形凹部12pに没してカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの外周面より外側に突出するものはない。
また、ピン部材23が退行したときは、圧縮スプリング22により付勢された係合爪部Rpがカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの外周面より外側に突出し被動変速歯車nと係合可能とする。
圧縮スプリング22がカウンタ歯車軸12の軸方向を長径とする楕円形状をなし、楕円形状をした圧縮スプリング22は、長径が揺動爪部材Rのピン受部Rrの幅より大きく、ピン受部Rrを揺動可能に嵌合する周方向に一周に亘って形成される周方向溝12cvを跨いで受け止められるので、カウンタ歯車軸12の加工を容易にするとともに、揺動爪部材Rを安定してカウンタ歯車軸12に組み付けることができる。
奇数段歯車(第1,第3,第5被動変速歯車n1,n3,n5)に対応する4個の揺動爪部材Rと、偶数段の偶数段歯車(第2,第4,第6被動変速歯車n2,n4,n6)に対応する4個の揺動爪部材Rは、互いに軸中心に90度回転した相対角度位置関係にある。
奇数段歯車(第1,第3,第5被動変速歯車n1,n3,n5)に対応する4個の揺動爪部材Rは、歯車の正回転方向で当接して各奇数段被動変速歯車n1,n3,n5とカウンタ歯車軸12とが同期して回転するように係合する正回転奇数段揺動爪部材Raoと、歯車の逆回転方向で当接して各奇数段被動変速歯車n1,n3,n5とカウンタ歯車軸12とが同期して回転するように係合する逆回転奇数段係合部材Rboとが、それぞれ対称位置に一対ずつ設けられる。
同様に、偶数段歯車(第2,第4,第6被動変速歯車n2,n4,n6)に対応する4個の揺動爪部材Rは、歯車の正回転方向で当接して各偶数段被動変速歯車n2,n4,n6とカウンタ歯車軸12とが同期して回転するように係合する正回転偶数段揺動爪部材Raeと、歯車の逆回転方向で当接して各偶数段被動変速歯車n2,n4,n6とカウンタ歯車軸12とが同期して回転するように係合する逆回転偶数段係合部材Rbeとが、それぞれ対称位置に一対ずつ設けられる。
正回転奇数段揺動爪部材Raoが前記正回転奇数段用カムロッドCaoの移動により進退するピン部材23により揺動し、逆回転奇数段係合部材Rboが前記逆回転奇数段用カムロッドCboの移動により進退するピン部材23により揺動する。
同様に、正回転偶数段揺動爪部材Raeが前記正回転偶数段用カムロッドCaeの移動により進退するピン部材23により揺動し、逆回転偶数段係合部材Rbeが前記逆回転偶数段用カムロッドCbeの移動により進退するピン部材23により揺動する。
カウンタ歯車軸12に係合手段20を組み込む場合、まず右端の軸受カラー部材13を中央円筒部12aの外周端部に外装し、その軸受カラー部材13の内側の軸方向溝12avに支軸ピン26の一端を嵌入するようにして右端の係合手段20を組み込み、次の軸受カラー部材13を前記支軸ピン26の他端を覆うように外装した後、前段と同じようにして次段の係合手段20を組み込むことを、順次繰り返して、最後に左端の軸受カラー部材13を外装して終了する。
図12に示すように、軸受カラー部材13は、中央円筒部12aの長尺矩形凹部12pおよび短尺矩形凹部12q以外の軸方向位置に外装され、それは軸方向溝12avに一列に連続して埋設される支軸ピン26の隣り合う支軸ピン26,26に跨って配置され、支軸ピン26および揺動爪部材Rの脱落を防止する。
カウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの軸方向溝12avに埋設される支軸ピン26は、中央円筒部12aの外周面に接する深さに埋設されるので、軸受カラー部材13が外装されると、ガタなく固定される。
7個の軸受カラー部材13がカウンタ歯車軸12に等間隔に外装され、隣り合う軸受カラー部材13,13間に跨るようにして被動変速歯車nが回転自在に軸支される。
各被動変速歯車nは、左右内周縁部(内周面の左右周縁部)に切欠きが形成されて左右切欠きの間に薄肉環状の突条30が形成されており、この突条30を挟むように左右の軸受カラー部材13,13が切欠きに滑動自在に係合する(図2,図3参照)。
この各被動変速歯車nの内周面の突条30に係合凸部31が周方向に等間隔に6箇所形成されている(図2,図3,図4,図5参照)。
係合凸部31は、側面視(図4,図5に示す軸方向視)で薄肉円弧状をなし、その周方向の両端面が前記揺動爪部材Rの係合爪部Rpと係合する係合面をなす。
正回転奇数段揺動爪部材Rao(正回転偶数段揺動爪部材Rae)と逆回転奇数段係合部材Rbo(逆回転偶数段係合部材Rbe)は、互いに対向する側に係合爪部Rp,Rpを延出しており、正回転奇数段揺動爪部材Rao(正回転偶数段揺動爪部材Rae)は被動変速歯車n(およびカウンタ歯車軸12)の正回転方向で係合凸部31に当接して係合し、逆回転奇数段係合部材Rbo(逆回転偶数段係合部材Rbe)は被動変速歯車nの逆の回転方向で、係合凸部31に当接して係合する。
なお、正回転奇数段揺動爪部材Rao(正回転偶数段揺動爪部材Rae)は被動変速歯車nの逆の回転方向では係合爪部Rpが外側に突出していても係合せず、同様に、逆回転奇数段係合部材Rbo(逆回転偶数段係合部材Rbe)は被動変速歯車nの正回転方向では係合爪部Rpが外側に突出していても係合しない。
図13ないし図15を参照して、1速の加速状態から減速比が1段小さい2速状態にシフトアップする際に、第1被動変速歯車n1の係合凸部31が正回転奇数段揺動爪部材Raoの係合爪部Rpに当接して係合しカウンタ歯車軸12を第1被動変速歯車n1と同速度で回転させている状態で、より高速で回転する第2被動変速歯車n2の係合凸部31が正回転偶数段揺動爪部材Raeの係合爪部Rpに追いつき当接してカウンタ歯車軸12を第2被動変速歯車n2とともにより高速度で回転させて変速するので、第1被動変速歯車n1の係合凸部31から正回転奇数段揺動爪部材Raoの係合爪部Rpは自然と離れていき係合が円滑に解除されるため、係合解除に力を要せず滑らかに作動して滑らかなシフトアップを行うことができる。
シフトダウンも同様に滑らかに実行することができる。
以上のような多段変速機10の組立及び分解手順について以下説明する。
まず、多段変速機10の分解手順について図16ないし図29に従って説明する。
図16は、機関ケース1から多段変速機10の被動変速歯車n群を軸支したカウンタ歯車軸12を、側壁1RRおよびシフトドラム67とともに取り出したものを、治具ベース80に支持させた状態を示している。
カウンタ歯車軸12は、中央円筒部12aに軸受カラー部材13を介して被動変速歯車nが軸支され、両側に嵌着されたワッシャ14L,14Rにより挟まれており、右側円筒部12cに嵌合されたベアリング7Rを介して側壁1RRに支持されている。
治具ベース80の端部には、カウンタ歯車軸12の左側円筒部12bを挟持するクランプ機構81が立設されている。
クランプ機構81の上下の挟持部81a,81bがカウンタ歯車軸12の左側円筒部12bを挟持して固定支持した状態で、カウンタ歯車軸12を水平にして治具ベース80が側壁1RRを摺動自在に支持している。
したがって、カウンタ歯車軸12の左側円筒部12bが固定された状態で、側壁1RRを右方(図16,17の右方)に移動すると、図17に示すように、側壁1RRと一体にベアリング7Rおよびシフトドラム67が移動し、シフトドラム67のシフト溝67vに嵌合したシフトピン58を介してコントロールロッド操作子55が右方に引っ張られる。
コントロールロッド操作子55が右方に引っ張られて移動すると、ベアリング56を介してコントロールロッド51が移動し、コントロールロッド51はロストモーション機構52,53を介して8本のカムロッドCを伴ってカウンタ歯車軸12の中空部から引き抜かれる(図17参照)。
コントロールロッド51がカムロッドCを伴って途中まで引き抜かれたところで、コントロールロッド51の周囲にロストモーション機構52,53とともに8本のカムロッドCを組付けた状態のところを半割の円筒部材であるシフトロッドホルダ82が囲繞し、周囲をタイラップ83で締め付けて一纏めにする(図18参照)。
そして、シフトロッドホルダ82に囲繞されてコントロールロッド51がカムロッドCとともにカウンタ歯車軸12の中空部から引き抜かれる(図19参照)。
引き抜かれたコントロールロッド51とカムロッドCは、組付けられた状態でシフトロッドホルダ82に囲繞されて、一体に取り扱うことができ、カウンタ歯車軸12の中空部に挿入および抜き出し等を容易にし、組立分解の作業性を良好にしている。
こうしてコントロールロッド51をカムロッドCとともにカウンタ歯車軸12の中空部から引き抜いた後に、代わりにカウンタロッド85がカウンタ歯車軸12の中空部に挿入する(図20参照)。
カウンタロッド85は、円筒部材であり、カウンタ歯車軸12の中空内周面に形成されたカムロッドCが摺動自在に嵌挿されていた8本のカム案内溝12gに代わりに嵌挿する突条85aが形成されており、端部にはプラグ部材86が嵌着されている。
したがって、カウンタロッド85をカウンタ歯車軸12の中空部に挿入すると、突条85aが各カム案内溝12gに嵌挿されて全てのピン部材23をカウンタ歯車軸12の外周方向に押し出し、全ての揺動爪部材Rを圧縮スプリング22に抗して揺動して、揺動爪部材Rの係合爪部Rpを第2歯車軸12の外周面から内側に没して全ての被動変速歯車nと揺動爪部材Rの係合爪部Rpの係合を解除することができる。
このカウンタロッド85とともに、第1ホルダベース87がその円筒本体87aにアウタカラー90を外周に嵌合しセットした状態で、また円筒本体87aの左端に中空円板状の蓋部材92を嵌合保持した状態で、円筒本体87aをカウンタ歯車軸12の右端に当接する。
第1ホルダベース87は、円筒本体87aの一端がフランジ状に展開して台座87bを形成しており、円筒本体87aは外径がカウンタ歯車軸12の外径(被動変速歯車nが軸支される中央円筒部12aの外径)と等しく、内径がカウンタ歯車軸12の右側円筒部12cの外径に略等しい。
なお、円筒本体87aの内周には左端寄りに鍔部87cが形成されており、カウンタロッド85の右端に嵌着されたプラグ部材86の突起部を嵌入して保持することができ、カウンタロッド85の右端を保持した状態でカウンタロッド85をカウンタ歯車軸12の中空部に挿入することができる。
また、アウタカラー90は、内径が第1ホルダベース87の円筒本体87aおよびカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの外径と略等しい円筒部材であり、カウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの外周面に嵌合される複数の揺動爪部材Rの外周面から突出する係合爪部Rpが進入可能な孔部90hが複数形成されている。
こうしてカウンタ歯車軸12にカウンタロッド85を挿入し、第1ホルダベース87を移動して、円筒本体87aをカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの側壁に当接すると、図21に示すように、カウンタロッド85の右端のプラグ部材86がカウンタ歯車軸12の内部に入り、カウンタ歯車軸12の右側円筒部12cが第1ホルダベース87の円筒本体87a内に嵌入して鍔部87cに当接する。
第1ホルダベース87の円筒本体87aはカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aと外周面が同一周面をなし、円筒本体87aの左端に保持された蓋部材92は右端の第1被動変速歯車n1に接する。
クランプ機構81の挟持を解除し、カウンタ歯車軸12が第1ホルダベース87に結合した状態で、第1ホルダベース87を下側にして立て、第1ホルダベース87の台座87bで保持する(図22参照)。
カウンタ歯車軸12とカウンタロッド85は第1ホルダベース87に支持され、被動変速歯車n群はアウタカラー90によって蓋部材92を介して支持される。
そして、図22に示すように、ギアホルダ91を上方から被動変速歯車n群に被せる。
ギアホルダ91は、円錐筒状の周壁91aの小径の端部に中空の底壁91bが形成されたカップ状をしたもので、大径の開口側を下にして、大径の第1被動変速歯車n1から上に順に径を小さくした被動変速歯車n群に被せると、ギアホルダ91は中空の底壁91bが最上段の第6被動変速歯車n6の当接して支持され、被動変速歯車n群を周壁91aが囲繞し、蓋部材92が周壁91aの下側の大径の開口に蓋をする形となる。
なお、カウンタ歯車軸12の左側円筒部12bに圧入され中央円筒部12aの上側側壁面に接して固着されたワッシャ14Lが最上段の第6被動変速歯車n6を回転自在に軸支する軸受カラー部材13を上から押さえている。
この状態で、アウタカラー90を上方に持ち上げ、アウタカラー90と第1ホルダベース87の台座87bとの間にスペーサ93を挟むと、図23に示すように、アウタカラー90は第1ホルダベース87に対して蓋部材92を介して被動変速歯車n群をギアホルダ91とともに上方に移動し、同時にワッシャ14Lがカウンタ歯車軸12に固着されていることからカウンタ歯車軸12もカウンタロッド85とともに上方に移動する。
そして、カウンタ歯車軸12の上端にキャップ94を被せ、キャップ94の上からハンマーなどで軽く叩くと、ワッシャ14Lが被動変速歯車n群および軸受カラー部材13に当接して保持された状態で、カウンタ歯車軸12が下降し、ワッシャ14Lはカウンタ歯車軸12との固着を解かれる。
カウンタ歯車軸12は下降して第1ホルダベース87の円筒本体87aに当接して支持される。
カウンタ歯車軸12からキャップ94およびワッシャ14Lを外し、スペーサ93も外すと、アウタカラー90とともに被動変速歯車n群が下降し、図25に示す状態となる。
そして、上方に突出したカウンタ歯車軸12の左側円筒部12bに第2ホルダベース95を嵌合する。
第2ホルダベース95は、カウンタ歯車軸12の中央円筒部12aと同じ外径を有し左側円筒部12bの外径に略等しい内径を有する円筒本体95aと同円筒本体95aの一端がフランジ状に展開して台座95bとを形成している。
この第2ホルダベース95の円筒本体95aを台座95bを上にしてカウンタ歯車軸12の左側円筒部12bに上から嵌合すると、円筒本体95aがカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aに当接して、円筒本体95aとカウンタ歯車軸12が同一外周面をなして連結する。
この状態で上下を逆さにすると、カウンタ歯車軸12の中空部へのカウンタロッド85の挿入により揺動爪部材Rの係合爪部Rpを第2歯車軸12の外周面から内側に没して全ての被動変速歯車nと揺動爪部材Rの係合爪部Rpの係合を解除しているので、図26に示すように、重力により被動変速歯車n群はギアホルダ91および蓋部材92とともに下降してカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aから第2ホルダベース95の円筒本体95aに移り、一緒に下降するアウタカラー90は被動変速歯車n群に代わってカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aに移る。
なお、逆に組立時には、カウンタ歯車軸12の中央円筒部12aにアウタカラー90に代わって被動変速歯車n群を嵌合することができる。
このように、アウタカラー90をカウンタロッド85と組み合わせて使用して、カウンタ歯車軸12に対して被動変速歯車n群とアウタカラー90とを交代して組み込みまたは取り外しすることができ、多段変速機の組立および分解作業を容易にすることができる。
また、被動変速歯車n群はギアホルダ91に収容され蓋部材92で蓋されて、一体として取り扱うことができるようにしているので、被動変速歯車n群のカウンタ歯車軸12への取り付けおよび取り外しを簡単にし、多段変速機の組立および分解作業を容易にしている。
さらに、第1ホルダベース87の円筒本体87aをカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aに当接して同一外周面をなして連結することで、アウタカラー90の円筒本体87aとカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aとの間の移動を円滑にし、よって被動変速歯車n群のカウンタ歯車軸12への取り付けおよび取り外しを円滑にし、多段変速機の組立および分解作業を益々容易にしている。
前述のようにして、ギアホルダ91の底壁91bが第2ホルダベース95の台座95bに当接して下降を停止すると、被動変速歯車n群は完全に第2ホルダベース95の円筒本体95aに移り、アウタカラー90はカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aに移り、中央円筒部12aの外周を覆う(図27参照)。
図27は、この状態から第1ホルダベース87を取り外すとともに、カウンタロッド85をカウンタ歯車軸12の中空部から抜き取った状態を示している。
なお、カウンタロッド85をカウンタ歯車軸12の中空部から抜き取ることで、全てのピン部材23の押さえが解かれ、全ての揺動爪部材Rは圧縮スプリング22により揺動して、揺動爪部材Rの係合爪部Rpを第2歯車軸12の外周面から外側に突出し、アウタカラー90の孔部90hに進入して係合する。
したがって、図28に示すように、カウンタ歯車軸12を第2ホルダベース95の円筒本体95aから上方に引き抜くと、アウタカラー90もカウンタ歯車軸12に係止して一緒になって離れる。
第2ホルダベース95に軸支され、ギアホルダ91で覆われ、蓋部材92で蓋された被動変速歯車n群は、全体を上下逆さにして、第2ホルダベース95を上方に抜き去り、図29に示すように、ギアホルダ91を上方に取り去ることで、後は簡単に被動変速歯車n群を軸受カラー部材13とともに分解することができる。
なお、カウンタ歯車軸12側も、中空部にカウンタロッド85を挿入することで、アウタカラー90をカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aから取り外すことができるので、後はカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aから各揺動爪部材R,ピン部材23,圧縮スプリング22,支軸ピン26を容易に分解することができる。
以上が多段変速機10の分解手順であるが、この分解手順を逆に実行すれば多段変速機10の組立手順となる。
しかし、分解作業とは異なり、組立作業において、カウンタ歯車軸12の中央円筒部12aに揺動爪部材R,ピン部材23,圧縮スプリング22,支軸ピン26を組み付けるのが容易ではない。
そこで、揺動爪部材R等の組付け用の治具であるラチャットセットホルダ100を使用した。
ラチャットセットホルダ100は、カウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの外径と略等しい内径の円筒本体100aと円筒本体100aの一方の開口端が拡径した環状支持部100bからなるとともに、円筒本体100aの他方の端開口端に揺動爪部材Rの1個分が露出可能な矩形の開口部100cが切り欠かれている。
図30を参照して、第2ホルダベース95に嵌合支持されたカウンタ歯車軸12に、上からラチャットセットホルダ100の円筒本体100aを開口部100cを下にして嵌合し、まずカウンタ歯車軸12の第1被動変速歯車n1に用いられる揺動爪部材Rが組み込まれる場所に開口部100cを合わせ,開口部100cから揺動爪部材R,ピン部材23,圧縮スプリング22,支軸ピン26を組み込む。
第1被動変速歯車n1には4個の揺動爪部材Rが必要であるので、ラチャットセットホルダ100を回転して順次開口部100cを所要場所に合わせて揺動爪部材R等を組み込んでいく。
なお、組み込まれた揺動爪部材R等は外周をラチャットセットホルダ100の円筒本体100aの周壁で覆われて外れることはない。
第1被動変速歯車n1用の4個の揺動爪部材R等が組み込まれると、ラチャットセットホルダ100を1段下げて、第2被動変速歯車n2用の4個の揺動爪部材R等が同様の作業によって組み込まれ、以後第3,第4,第5,第6被動変速歯車n3,n4,n5,n6用の揺動爪部材R等について同じ組み込み作業を繰り返して組み込んでいく。
このように、ラチャットセットホルダ100を用いることにより、カウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの複数箇所に揺動爪部材R,ピン部材23,圧縮スプリング22,支軸ピン26を組み込む煩瑣な作業を容易にし、円滑に速やかに作業を進めることができる。
こうして、全ての揺動爪部材R等がカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aに組み込まれると、ラチャットセットホルダ100は揺動爪部材R等を組み込んだカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの外周を覆う(図31参照)。
ここで、カウンタロッド85を上からカウンタ歯車軸12の中空部に挿入して、揺動爪部材Rの係合爪部Rpを第2歯車軸12の外周面から内側に没しておき、次いでアウタカラー90を上方からラチャットセットホルダ100の上端の環状支持部100bに同軸に嵌合する(図32参照)。
この状態でラチャットセットホルダ100をアウタカラー90とともに下降すると、ラチャットセットホルダ100はカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aから第2ホルダベース95の円筒本体95aに移り、ラチャットセットホルダ100と入れ替わりにアウタカラー90がカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aに移る(図33参照)。
ここでカウンタロッド85をカウンタ歯車軸12の中空部から抜き取ることで、全ての揺動爪部材Rの係合爪部Rpを第2歯車軸12の外周面から外側に突出し、アウタカラー90の孔部90hに進入して係合する。
したがって、図34に示すように、カウンタ歯車軸12を第2ホルダベース95の円筒本体95aから上方に引き抜くと、アウタカラー90もカウンタ歯車軸12に係止して一緒になって離れる。
こうしてカウンタ歯車軸12の中央円筒部12aに全ての揺動爪部材Rを組み込んだ状態でアウタカラー90により覆われた状態を容易に構成することができる。
このカウンタ歯車軸12側の状態は、前記図28に示す状態であり、一方で、同図28に示すように、台座95bで支持して立設した第2ホルダベース95の円筒本体95aにギアホルダ91を中空の底壁91bを下にして嵌合し、次いで、ギアホルダ91内に円筒本体95aに軸支されるように、軸受カラー部材13,第6被動変速歯車n6,軸受カラー部材13,第5被動変速歯車n5,…, ,…,第1被動変速歯車n1,軸受カラー部材13の順に重ねていき、最後に蓋部材92で蓋をすれば、被動変速歯車n群側が構成される。
以後の組立手順は、前記した分解手順を逆に辿ればよく、多段変速機の組立作業も簡単に行われる。
以上のように、適切な治具を用いることで、多段変速機の組立および分解作業を容易にし、作業時間の短縮、作業労力の軽減を図ることができる。
m…駆動変速歯車、m1〜m6…第1〜第6駆動変速歯車、
n…被動変速歯車、n1〜n6…第1〜第6被動変速歯車、
10…多段変速機、11…メイン歯車軸、12…カウンタ歯車軸、13…軸受カラー部材、
20…係合手段、23…ピン部材、31…係合凸部、
32…出力スプロケット、37…袋ナット、38…チェーン、
C…カムロッド、p…係止爪、v…カム溝、R…揺動爪部材、Rp…係合爪部、
50…変速駆動手段、51…コントロールロッド、51a,51b…外周凹部、51as,51bs…拡径ストッパ部、52,53…ロストモーション機構、52h,53h…スプリングホルダ、52ha,53ha…内周凹部、52s,53s…コイルスプリング、52c,53c…コッタ、55…コントロールロッド操作子、58…シフトピン、59…係合ピン、60…溝条、67…シフトドラム、67v…シフト溝、
80…治具ベース、81…クランプ機構、83…シフトロッドホルダ、85…カウンタロッド、86…プラグ部材、87…第1ホルダベース、87a…円筒本体、87c…鍔部、90…アウタカラー、90h…孔部、91…ギアホルダ、91a…周壁、91b…底壁、92…蓋部材、93…スペーサ、94…キャップ、95…第2ホルダベース、95a…円筒本体、100…ラチャットセットホルダ、100c…開口部。

Claims (5)

  1. 第1歯車(m)群を回転不能に軸支する第1歯車軸(11)と、
    前記第1歯車軸(11)に平行に設けられ前記第1歯車(m)群と常時噛合う第2歯車(n)群を回転自在に軸支するとともに軸中心に中空部を有する第2歯車軸(12)と、
    前記第2歯車軸(12)に揺動自在に支持されスプリング(22)により付勢されて前記第2歯車軸(12)の外周面より係合爪部(Rp)を突出して前記第2歯車(n)群の内周面に形成された係合凸部(31)に係合して前記第2歯車軸(12)と前記第2歯車(n)群を一体に回転させる揺動爪部材(R)と、
    前記第2歯車軸(12)の軸中心側から外周に向かって進退自在に設けられ前記揺動爪部材(R)の前記係合爪部(Rp)を前記第2歯車軸(12)の外周面から内側に押し戻すピン部材(23)と、
    前記第2歯車軸(12)の中空部に軸方向に摺動自在に設けられ前記ピン部材(23)を進退させるカム溝を有するカムロッド(C)と、
    前記カムロッド(C)を軸方向に移動させるコントロールロッド(51)と、
    を備えた多段変速機の組立及び分解用治具において、
    前記カムロッド(C)と前記コントロールロッド(51)の代わりに前記第2歯車軸(12)の中空部に挿入されて全ての前記ピン部材(23)を前記第2歯車軸(12)の外周方向に押し出し全ての前記揺動爪部材(R)の前記係合爪部(Rp)を前記第2歯車軸(12)の外周面から内側に押し戻して全ての前記第2歯車(n)群と前記揺動爪部材(R)の係合を解除状態とするカウンタロッド(85)と、
    前記第2歯車軸(12)の外周面に嵌合されるとともに前記揺動爪部材(R)の前記係合爪部(Rp)が前記第2歯車軸(12)の外周面より突出した際に前記係合爪部(Rp)が進入可能な孔部(90h)を設けたアウタカラー(90)と、
    を備えたことを特徴とする多段変速機の組立及び分解用治具。
  2. 円錐筒状の周壁(91a)の小径の端部に中空の底壁(91b)が形成され前記第2歯車軸(12)に軸支される前記第2歯車(n)群を囲繞するギアホルダ(91)と、
    前記ギアホルダ(91)の内部に前記第2歯車(n)群を収容して前記ギアホルダ(91)の大径の開口端に係止して蓋をする蓋部材(92)とを設けたことを特徴とする請求項1記載の多段変速機の組立及び分解用治具。
  3. 前記カムロッド(C)を前記コントロールロッド(51)に組付けた状態で周囲を囲繞するシフトロッドホルダ(83)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の多段変速機の組立及び分解用治具。
  4. 前記第2歯車軸(12)と同じ外径を有した円筒本体(87a)を有し、前記円筒本体の外周に前記アウタカラー(90)をセットするとともに、前記円筒本体(87a)の端部内周に前記カウンタロッド(85)の端部を保持する鍔部(87c)を有した第1ホルダベース(87)を設けたことを特徴とする請求項2記載の多段変速機の組立及び分解用治具。
  5. 前記第2歯車軸(12)の外周に嵌合する円筒本体(100a)を有し、前記円筒本体(100a)の一開口端に前記揺動爪部材(R)の1個分が露出する開口部(100c)が切り欠かれたラチェットセットホルダ(100)を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の多段変速機の組立及び分解用治具。
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