JP2012211359A - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Toshito Fujiwara
敏人 藤原
Takayuki Irie
隆之 入江
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Abstract

【課題】電磁波を入射する入射窓の冷却ムラを抑制し、かつ、冷却に使用する空気流量を減らすことができるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】アンテナ15からの電磁波をチャンバ内部に入射する入射窓(天井板)を有するプラズマ処理装置において、アンテナ15の上方に、入射窓(天井板)を冷却する空気を供給する噴出孔31a〜31fを複数設けると共に、噴出孔31a、31b、31d、31eを、アンテナ15の周囲で密に配置した。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラズマ生成のための電磁波をチャンバ内部に入射するための入射窓を有するプラズマ処理装置に関する。
プラズマ処理装置、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置は、チャンバ内部にプラズマを生成するためのプラズマ生成機構を有している。中でも、入射窓を介して、高周波電磁波(例えば、RF(Radio Frequency))をチャンバ内部に入射するICP(Inductively-Coupled Plasma)型のプラズマ生成機構は、高密度のプラズマを生成できることが知られている。
特許第3576464号公報
ここで、図12を参照して、プラズマCVD装置におけるICP型のプラズマ生成機構の構成を説明し、その後、その問題点について説明する。
プラズマCVD装置50は、円筒形状の真空容器51と、その下部を閉塞する基部(図示省略)と、その上部を閉塞するセラミクス製の天井板52を有しており、真空容器51、基部及び天井板52に囲まれる領域が、半導体基板(図示省略)に成膜を行う成膜室53となっている。天井板52の上部には、円形リング形状の複数のアンテナ54が配置されており、このアンテナ54に整合器、高周波電源(共に図示省略)が接続されて、電源が供給されている。所謂、ICP型のプラズマ生成機構である。
成膜室53にプラズマを生成する際には、アンテナ54に電源を供給し、天井板52を介して、アンテナ54からのRFを成膜室53に入射して、プラズマが生成されることになり、この天井板52が、RFを成膜室53に入射する入射窓となる。このとき、プラズマの生成に伴い、天井板52が高温となってしまう。そのため、アンテナ54を含めて、天井板52の上方を覆うカバー55を設けると共に、天井板52を冷却する空気を供給するノズル56と、供給した空気を排出する排出孔57を設けている。
具体的には、ノズル56は、図12に示すように、天井板52の上方に配置されると共に、アンテナ54の位置を避けて配置されており、アンテナ54同士の間から天井板52の上面に垂直に空気を吹きかけて、天井板52を冷却している。そして、吹きかけた空気は、カバー55の上面外周側に設けた排出孔57から排出している。このような構成により、天井板52の冷却を行っているが、天井板52に垂直に衝突する噴流(以降、垂直衝突噴流と呼ぶ。)同士の衝突による冷却ムラが発生し、温度分布ができたり、冷却効率が悪かったりする問題点があった。
特に、上述した構成のノズル56を用いて冷却する場合、個々のノズル56の冷却範囲がスポット的で効率が悪いため、最も高い温度に合わせて冷却を行うと、冷却用空気が大量に必要となり、冷却用空気を大量に供給できる大型のブロア(空気供給装置)が必要であった。
従って、天井板52の冷却ムラを抑制することで、より均一な温度分布を得ることができ、かつ、冷却に使用する空気流量を減らすことで、ブロアに必要な能力を下げて、コストダウンや装置の小型化を図ったプラズマ処理装置が望まれている。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、電磁波を入射する入射窓の冷却ムラを抑制し、かつ、冷却に使用する空気流量を減らすことができるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の発明に係るプラズマ処理装置は、
処理室の上部となる円板形状の天井板の上方に、少なくとも1つの円形リング形状のアンテナを有し、前記アンテナからの電磁波を、前記天井板を介して入射することにより、前記処理室内にプラズマを生成するプラズマ処理装置において、
前記アンテナの上方に、前記天井板を冷却する空気を供給する噴出孔又はノズルを複数設けると共に、前記噴出孔又は前記ノズルを、前記アンテナの周囲で密に配置したことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係るプラズマ処理装置は、
上記第1の発明に記載のプラズマ処理装置において、
前記噴出孔又は前記ノズルを、前記天井板に垂直な方向に対して、1°以上55°以下の範囲で傾斜させると共に、全て同じ周方向としたことを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明に係るプラズマ処理装置は、
上記第2の発明に記載のプラズマ処理装置において、
前記噴出孔又は前記ノズルの傾斜を、前記天井板に垂直な方向に対して、1°以上22°以下の範囲としたことを特徴とする。
上記課題を解決する第4の発明に係るプラズマ処理装置は、
上記第1〜第3のいずれか1つの発明に記載のプラズマ処理装置において、
前記天井板及び前記アンテナの周囲を覆う円筒状のカバーを設け、前記噴出孔又は前記ノズルから供給された空気を排出する排出パイプを前記カバーに設けると共に、前記排出パイプの軸方向を前記カバーの側周面の接線方向としたことを特徴とする。
上記課題を解決する第5の発明に係るプラズマ処理装置は、
上記第4の発明に記載のプラズマ処理装置において、
前記天井板を均等にn(nは2以上の整数)分割すると共に、前記噴出孔又は前記ノズルと前記排出パイプとを、各々、1/n周毎に配置したことを特徴とする。
上記課題を解決する第6の発明に係るプラズマ処理装置は、
上記第4又は第5の発明に記載のプラズマ処理装置において、
前記排出パイプの総断面積を前記噴出孔又は前記ノズルの総断面積より大きくしたことを特徴とする。
本発明によれば、電磁波を入射する入射窓の冷却ムラを抑制し、かつ、冷却に使用する空気流量を減らすことができる。その結果、より均一な温度分布を得ることができ、又、ブロアに必要な能力を下げることができ、コストダウンや装置の小型化を図ることもできる。
本発明に係るプラズマ処理装置の実施形態の一例(実施例1)を説明する概略構成図である。 図1に示したプラズマ処理装置における中板の上面図である。 図1に示したプラズマ処理装置における天井板の温度分布を示す図である。 図1に示したプラズマ処理装置の変形例を示す図である。 本発明に係るプラズマ処理装置の実施形態の他の一例(実施例2)を説明する概略構成図である。 本発明に係るプラズマ処理装置の実施形態の他の一例(実施例3)を説明する概略構成図である。 天井板における垂直衝突噴流と層流を説明する図である。 垂直衝突噴流(軸対象衝突噴流)と層流の熱伝達率を示すグラフである。 本発明に係るプラズマ処理装置の実施形態の他の一例(実施例4)を説明するグラフであり、ノズルの傾斜角度に対する規格化冷却量を示すグラフである。 本発明に係るプラズマ処理装置の実施形態の他の一例(実施例5)を説明する図であり、ノズルと排出パイプの配置関係を示す概略図である。 図10に示したノズルと排出パイプとの配置関係において、ノズルから排出パイプへの流れを説明する図である。 従来のプラズマCVD装置の概略構成図である。
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の実施形態のいくつかを、図1〜図11を参照して説明を行う。なお、ここでは、一例として、プラズマCVD装置を例示するが、電磁波をチャンバ内部に入射する入射窓を有するプラズマ処理装置であれば、他のプラズマ処理装置、例えば、プラズマエッチング装置等にも適用可能である。
(実施例1)
本実施例のプラズマCVD装置について、図1〜図4を参照して説明を行う。なお、図1は、本実施例のプラズマCVD装置を説明する概略構成図であり、図2は、その中板の上面図であり、図3は、天井板の温度分布を示す図であり、図4は、本実施例の変形例を示す図である。
プラズマCVD装置10は、図1に示すように、円筒形状の真空容器11と、その下部を閉塞する基部12と、その上部を閉塞するセラミクス製の円板形状の天井板13を有しており、真空容器11、基部12及び天井板13に囲まれる領域が、半導体基板Wに成膜を行う成膜室14となっている。
天井板13の上部には、円形リング形状のアンテナ15が1つ以上配置されており、このアンテナ15に、整合器16、高周波電源17が接続されて、電源が供給されている。所謂、ICP型のプラズマ生成機構である。
半導体基板Wは載置台18上に載置されており、載置台18は支持台19に支持されて基部12に固定されている。又、載置台18の内部には、半導体基板Wにバイアスを印加するための電極20が設けられており、この電極20に、整合器21、バイアス電源22が接続されて、電源が供給されている。又、この電極20には、ローパスフィルタ23を介して、静電吸着のための直流電源24が接続されており、これにより、半導体基板Wを載置台18に静電吸着させている。
真空容器11の側壁には、当該側壁を貫通するガスノズル25が複数設けられており、このガスノズル25により、所望のガスが成膜室14内部に供給される。又、成膜室14の下部には、成膜室14内のガスを、真空排気装置(図示省略)により排気する排気口26が設けられている。
成膜室14にプラズマを生成する際には、ガスノズル25から成膜に必要なガスを供給し、アンテナ15に電源を供給し、天井板13を介して、アンテナ15からのRFを成膜室14に入射して、プラズマが生成されることになり、この天井板13が、RFを成膜室14に入射する入射窓となる。
そして、プラズマの生成に伴い、天井板13が高温になるのを防止するため、アンテナ15を含めて、天井板13の上方を覆う円筒状のカバー27が設けられており、このカバー27に、供給ダクト28を介して、ブロア29(空気供給装置)が接続されて、天井板13を冷却する空気を供給している。なお、ここでは図示していないが、カバー27には、供給した空気を排出する排出孔も設けられている。
更に、カバー27の内部であって、アンテナ15の上方に、円板形状の中板30が配置されており、この中板30にアンテナ15へ空気を噴出する複数の噴出孔31(31a〜31f)が、その表面に垂直に形成されている。噴出孔31a〜31f同士は、場所によって、その間隔(設置密度)を変えており、具体的には、図2に示すように、アンテナ15の周囲(近傍の場所)では狭いピッチとしており(噴出孔31a、31b、31c、31d)、アンテナ15から離れた場所では広いピッチとしている(噴出孔31c、31f)。
このような配置とした理由は、成膜室14の内部に生成されるプラズマは、天井板13上部のアンテナ15の位置に応じた分布を有しており、この分布に応じて、天井板13も温度分布を持つことになるからである。例えば、図3に示すように、天井板13は、アンテナ15の直下の温度が最も高くなる温度分布を持つことになる。なお、図3においては、説明を簡単にするため、1つの円形リング形状のアンテナ15に対する天井板13の温度分布を示している。又、温度が高い方を密度が高いドットで示し、温度が低い方を密度が低いドットで示している。
このように、天井板13は、アンテナ15の位置に応じた温度分布を持つことになるため、この温度分布に対応し、温度が低い場所より温度が高い場所をより強く冷却できるように、温度が低い場所、つまり、アンテナ15から離れた場所では噴出孔31c、31f同士のピッチを広くし、温度が高い場所、つまり、アンテナ15近傍の場所では噴出孔31a、31b、31c、31d同士のピッチを狭くしている。
上記構成においても、天井板13に垂直に冷却用空気が吹き付けられているが、天井板13の温度分布、即ち、アンテナ15の配置位置に対応して、噴出孔31a〜31fを配置しているので、流速や流量の配分を変える(制御する)ことなく、冷却ムラを抑制して、より均一な温度分布を得ることができる。その結果、冷却効率が向上し、冷却に使用する空気流量を減らすことができ、ブロアに必要な能力を下げることができ、省電力、装置のコストダウン、装置の小型化等を図ることができる。
なお、図1、図2においては、天井板13の冷却のため、円板形状の中板30に噴出孔31a〜31fを設けているが、噴出孔31a〜31fに替えて、例えば、図4に示すノズル32を中板30に設けるようにしてもよい。その場合でも、天井板13の温度分布に対応して、即ち、アンテナ15の配置位置に対応して、ノズル32を配置すればよい。
(実施例2)
本実施例のプラズマCVD装置は、実施例1で示したプラズマCVD装置と略同等の構成であるが、後述するように、ノズル(噴出孔)の構成が実施例1とは相違する。従って、ここでは、実施例1と重複する説明は省略するが、実施例1と同等の構成には同じ符号を付して、図5を参照して、説明を行う。なお、図5(a)、(b)は、本実施例のプラズマCVD装置において、その天井板冷却用のノズル周囲の構成と冷却用空気の流れを説明する図である。又、図5(a)、(b)では、概念的には、ノズルの方が理解し易いため、ノズルを図示して説明しているが、噴出孔にも適用可能である。
従来は、図12に示したように、天井板52の上面に対してノズル56を垂直に配置していたが、本実施例では、図5(a)に示すように、天井板13の上面に垂直な方向に対して全てのノズル33を1°以上傾斜させており、その傾斜の方向を全て同じ周方向としている。なお、全て同じ周方向であれば、時計方向でもよいし、反時計方向でもよい。
これは、全てのノズル33を同じ周方向に傾斜させることで、噴出した冷却用空気により、天井板13の上面に平行な旋回流S1を強制的に生じさせるためであり、その結果、噴流同士の直接的な衝突を避けるようにして、冷却ムラを防止すると共に、その熱伝達率を向上させることができる。
具体的には、冷却用空気が直接吹き付けられた天井板13の領域は、その冷却用空気の流速に対応した噴流の熱伝達率で冷却され、更に、旋回流S1が流れる天井板13の領域は、旋回流S1の流速に対応した層流(以降、天井板13の上面に平行な流れを層流と呼ぶ。)の熱伝達率で冷却されることになる。詳細は、後述の図7、図8で説明するが、本実施例の場合の熱伝達率は、垂直衝突噴流の熱伝達率と略同等の熱伝達率に、層流による熱伝達率を加えたものとなり、垂直衝突噴流のみの場合より向上させることができる。このように、熱伝達率が向上した結果、冷却用空気の流量の低減を図ることもできる。
上記構成により、冷却ムラを抑制して、より均一な温度分布を得ることができる共に、垂直衝突噴流の熱伝達率と略同等の熱伝達率に層流による熱伝達率を加えることになり、熱伝達率を向上させることができる。その結果、冷却効率が向上し、冷却に使用する空気流量を減らすことができ、又、ブロアに必要な能力を下げることができ、省電力、装置のコストダウン、装置の小型化等を図ることができる。
なお、本実施例は、実施例1と組み合わせた構成とすると更によい。具体的には、実施例1のように、噴出孔31又はノズル32が天井板13の上面に対して垂直に配置されている場合、アンテナ15と干渉するため、噴出孔31又はノズル32を設置できない、若しくは、設置しても、冷却効率を向上させることが難しくなる。これに対して、本実施例と実施例1とを組み合わせた構成、即ち、天井板13の温度分布(=アンテナ15の配置位置)に対応して、ノズル33を配置すると共に、全てのノズル33を同じ周方向に傾斜させた構成とすることで、アンテナ15との干渉を避けて、ノズル33を設置することができ、かつ、天井板13の上面に平行な旋回流S1を強制的に生じさせることもできる。
特に、アンテナ15との干渉を避けて、アンテナ15直下の天井板13の領域を狙って、ノズル33を傾斜させた場合には、高温となるアンテナ15直下の天井板13の領域を、垂直衝突噴流の熱伝達率と略同等の熱伝達率で冷却することになる上、アンテナ15の近傍ではノズル33の設置密度も高くなるので、更に、冷却ムラを抑制して、より均一な温度分布を得ることができる。その結果、冷却効率が向上し、冷却に使用する空気流量を減らすことができ、又、ブロアに必要な能力を下げることができ、省電力、装置のコストダウン、装置の小型化等を図ることができる。
(実施例3)
本実施例のプラズマCVD装置は、実施例2で示したプラズマCVD装置を前提とし、後述するように、排出孔の構成が実施例1、2とは相違する。従って、ここでは、実施例1、2と重複する説明は省略するが、実施例1、2と同等の構成には同じ符号を付して、図6を参照して、説明を行う。なお、図6(a)、(b)は、本実施例のプラズマCVD装置において、その天井板冷却用のノズル周囲の構成と冷却用空気の流れを説明する図である。又、図6(a)、(b)では、概念的には、ノズルの方が理解し易いため、ノズルを図示して説明しているが、噴出孔にも適用可能である。
従来は、図12に示したように、カバー55の上面外周側に排出孔57を設けている。又、上記実施例1、2において、排出孔の位置は特に特定しておらず、冷却に用いた冷却用空気を排出できれば、どこに設けても構わない。これに対して、本実施例では、図6(a)、(b)に示すように、円筒状のカバー27の側周面に排出パイプ34を設けると共に、排出パイプ34の軸方向がカバー27の側周面の接線方向となるように配置している。なお、排出パイプ34は、天井板13の上面に沿う旋回流S2の流れを考慮して、天井面13の上面近傍の高さ位置に配置してもよい。
実施例2では、冷却用空気を強制的に旋回させているが、その排気の位置を考慮しないと、噴流や層流同士の衝突により、冷却用空気が滞留する部分が生じ、熱伝導効率の悪化、冷却ムラが生じる可能性がある。
そこで、本実施例では、旋回流S2に沿う方向となるように、排出パイプ34をカバー27の側周面の接線方向に設けることで、旋回流S2の排出をスムーズにしており、その結果、実施例2の場合より、旋回流S2の旋回性を向上させると共に、旋回流S2の滞留を抑制することができる。例えば、図6(b)に示すように、旋回流S2に沿う方向に排出パイプ34を配置した場合、旋回流S2は渦巻状となる。このような位置に排出パイプ34を配置することにより、旋回流S2の旋回性が向上すると共にその滞留が抑制されるので、噴流や層流同士の衝突による冷却ムラを防止することができる上、旋回流S2の流速が向上して、熱伝達率も向上し、又、その圧損の低減も図ることができる。
上記構成により、冷却ムラを抑制して、より均一な温度分布を得ることができる共に、熱伝達率を向上させることができる。その結果、冷却効率が向上し、冷却に使用する空気流量を減らすことができ、ブロアに必要な能力を下げることができ、省電力、装置のコストダウン、装置の小型化等を図ることができる。
(実施例4)
本実施例のプラズマCVD装置は、実施例2で示したプラズマCVD装置を前提とし、後述するように、ノズル(又は噴出孔)の傾斜を適切な傾きとしている。従って、ここでは、実施例1、2と重複する説明は省略するが、実施例1、2と同等の構成には同じ符号を付して、図7〜図9を参照して、説明を行う。なお、図7は、天井板における垂直衝突噴流と層流を説明する図であり、図8は、垂直衝突噴流(図中では軸対象衝突噴流と表記)と層流の熱伝達率を示すグラフであり、図9は、ノズルの傾斜角度に対する規格化冷却量を示すグラフである。この規格化冷却量は、垂直衝突噴流の熱伝達率を面積で積算した量を1とし、これを基準として、各傾斜角度における噴流の熱伝達率を面積で積算した量を比で表したものである。なお、ここでは、ノズルを用いて説明を行うが、噴出孔にも適用可能である。
まず、図7を参照して、天井板13に垂直に吹き付けられた垂直衝突噴流の冷却量と、ノズルを傾斜させたときの噴流の冷却量を説明する。なお、ここでは、一例として、天井板13の直径を300mmとし、ノズルの直径を5mmとして説明する。
垂直衝突噴流の場合、その冷却の効果は、主に、ノズル径の5〜10倍の範囲まで及ぶ。ここでは、垂直衝突噴流の速度に対応する熱伝達率を、ノズル径の10倍となる直径50mmの円の領域Aの面積で積算し、冷却量として算出した。
一方、ノズルを傾斜させたときの噴流は、天井板13に直接衝突する噴流と、その後、天井板13に平行な方向に流れる噴流(層流)を考慮する必要がある。まず、天井板13に直接衝突する噴流については、主に、天井板13に垂直な成分を考慮する。本実施例の場合、天井板13に衝突する噴流の速度が垂直衝突噴流の場合より減少するので、その減少した速度に対応する垂直衝突噴流の熱伝達率を、直径50mmの円の領域Aの面積で積算し、冷却量として算出した。
又、天井板13に平行な方向に流れる噴流(層流)については、主に、天井板13に平行な成分を考慮する。本実施例の場合、天井板13に平行な方向に流れる噴流(層流)の速度が垂直衝突噴流の場合より減少しており、更に、垂直衝突噴流ではなく、層流としての熱伝達率を考慮する必要がある。従って、減少した速度に対応する層流の熱伝達率を、その層流の流れる領域Smの面積で積算し、冷却量として算出した。この領域Smは、ノズルの直径5mmの幅の層流が、その旋回径(図7では直径200mm(半径100mm)の旋回径)を半周流れる範囲である。
又、垂直衝突噴流(軸対象衝突噴流)の熱伝達率、層流の熱伝達率は、図8に示すように、速度に応じて変化し、速度が大きいほど、熱伝達率が大きくなることが知られており、上記計算では、図8に示された数値を用いて計算を行った。
ここで、一例として、上述した条件に基づいて、垂直衝突噴流の冷却量を算出すると共に、ノズルを22°傾斜させたときの噴流の冷却量を算出し、その規格化冷却量を算出する。なお、垂直衝突噴流の速度は55m/sとした。
まず、垂直衝突噴流の冷却量については、速度55m/sの垂直衝突噴流の熱伝達率αが約500W/m2Kとなるので、直径50mmの円の領域Aの面積(25×25×π)で積算すると、垂直衝突噴流の冷却量は、約981748となる。
又、ノズルを22°傾斜させたときの噴流の冷却量について、天井板13に垂直な成分は、おおよそ、上述した垂直衝突噴流の冷却量のコサイン成分(cos22°)を考慮すればよいので、その冷却量は、約910261となる。又、天井板13に平行な成分は、その噴流(層流)の速度として、垂直衝突噴流の速度のサイン成分(sin22°)を考慮すると、約21m/sとなり、速度21m/sの層流の熱伝達率αが約183W/m2Kとなる。これを、層流の流れる領域Smの面積(5×100×π)で積算すると、その冷却量は、約287212となる。そして、規格化冷却量は、(910261+287212)/981748=1.22となり、垂直衝突噴流の場合より冷却量が大きい、つまり、冷却効率が向上することがわかる。
同様の計算を各角度について行った結果が図9に示すグラフであり、ノズルの傾斜角度は、天井板13に垂直な方向に対して、1°以上、55°以下の範囲でノズルを傾斜させれば、垂直衝突噴流のみの場合より冷却効率が向上し、22°のときに最も冷却効率が高いことがわかる。又、ノズルを傾斜させた場合、噴流が直接衝突する位置での冷却量の低減を抑えることを考慮すると、例えば、具体的には、垂直衝突噴流の場合の冷却量の5%以下の低減に抑えることを考慮すると、更には、ノズルの傾斜角度を18°以下とすることが望ましい。
このように、ノズルの傾斜角度を1°以上、55°以下の範囲、更に、1°以上、22°以下の範囲、更には、1°以上、18°以下の範囲とすることで、冷却効率が向上するので、冷却に使用する空気流量を減らすことができ、ブロアに必要な能力を下げることができ、省電力、ランニングコストの低減、装置のコストダウン、装置の小型化等を図ることができる。
(実施例5)
本実施例のプラズマCVD装置は、実施例3で示したプラズマCVD装置を前提とし、後述するように、ノズル(又は噴出孔)と排出パイプとの関係を規定している。従って、ここでは、実施例1〜3と重複する説明は省略するが、実施例1〜3と同等の構成には同じ符号を付して、図10〜図11を参照して、説明を行う。なお、図10は、本実施例におけるノズルと排出パイプの配置関係を説明する図であり、図11は、図10において、ノズルから排出パイプへの流れを説明する図である。なお、ここでも、ノズルを用いて説明を行うが、噴出孔にも適用可能である。
本実施例においては、ノズル33の個数と排出パイプ34の個数について、数が合うように、具体的には、いずれか一方の個数をいずれか他方の個数で割ったときに割り切れるような個数となるようにしている。例えば、一例として、図10では、ノズル33a、33bを合計8個、排出パイプ34を合計4個設けており、ノズル33a、33bの個数8を排出パイプ34の個数4で割ると、きれいに割り切れる個数となる。
又、天井板13の領域を均等にn分割し(nは2以上の整数)、各々の領域に少なくとも1つのノズル33及び排出パイプ34を配置すると共に、個々のノズル33、排出パイプ34を、各々、1/n周毎に配置する。例えば、一例として、図10では、天井板13の領域を均等に4分割し、各々の領域に2つのノズル33a、33b、1つの排出パイプ34を配置すると共に、個々のノズル33a、ノズル33b、排出パイプ34を、各々、1/4周毎に配置している。この場合、例えば、図6で示した旋回流S2は、おおよそ、天井板13上を1/4周して回収されることになる。
このような個数、配置とすることにより、旋回流S2の流れがスムーズとなり、冷却される天井板13において、より均一な温度分布を得ることができる。
更に、冷却に使用した空気は、熱膨張により体積が大きくなるので、排出パイプ34の総断面積をノズル33の総断面積より大きくすればよい。上昇する温度によって異なるが、例えば、20℃で噴出した空気を50℃で回収する場合には、7%程度体積が熱膨張するため、排出パイプ34の総断面積をノズル33の総断面積より7%程度大きくすればよい。
更に、天井板13の中心と同心の円周において、ノズル33の向きをその円周方向より内側に向けると、ノズル33から噴出された冷却用空気が、直ぐに排出パイプ34から排出されにくくなるので、排出されるまでの時間(移動距離)が長くなり、より多くの熱を吸収することが可能となる。
更に、実施例1で説明したように、天井板13が最も熱くなるアンテナ15の周囲を優先的に冷却するように、ノズル(又は噴出孔)をアンテナ15の周囲で密に配置しているが、この主となるノズル33aより内側に、ノズル33aより内側を冷却するためのノズル33bを設け、このノズル33bにより、ノズル33aによる旋回流を外側へ押し出すようにしてもよい。例えば、図11に示すように、ノズル33aからの冷却用空気の流れとして、メインの流れS3m、サブの流れS3sを、ノズル33bからの冷却用空気の流れとして、メインの流れS4m、サブの流れS4sを説明上規定すると、ノズル33aからのメインの流れS3mは、ノズル33bからのメインの流れS4m、サブの流れS4sにより外周側へ押し出されることになり、1/4周程度旋回して流れて、排出パイプ34から排出されることになる。
本発明は、電磁波をチャンバ内部に入射する入射窓を有するプラズマ処理装置全てに適用可能であり、例えば、ICP型のプラズマ生成機構を有するプラズマCVD装置、プラズマエッチング装置に好適である。
10 プラズマCVD装置
13 天井板
14 成膜室
15 アンテナ
27 カバー
29 ブロア

Claims (6)

  1. 処理室の上部となる円板形状の天井板の上方に、少なくとも1つの円形リング形状のアンテナを有し、前記アンテナからの電磁波を、前記天井板を介して入射することにより、前記処理室内にプラズマを生成するプラズマ処理装置において、
    前記アンテナの上方に、前記天井板を冷却する空気を供給する噴出孔又はノズルを複数設けると共に、前記噴出孔又は前記ノズルを、前記アンテナの周囲で密に配置したことを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
    前記噴出孔又は前記ノズルを、前記天井板に垂直な方向に対して、1°以上55°以下の範囲で傾斜させると共に、全て同じ周方向としたことを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 請求項2に記載のプラズマ処理装置において、
    前記噴出孔又は前記ノズルの傾斜を、前記天井板に垂直な方向に対して、1°以上22°以下の範囲としたことを特徴とするプラズマ処理装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置において、
    前記天井板及び前記アンテナの周囲を覆う円筒状のカバーを設け、前記噴出孔又は前記ノズルから供給された空気を排出する排出パイプを前記カバーに設けると共に、前記排出パイプの軸方向を前記カバーの側周面の接線方向としたことを特徴とするプラズマ処理装置。
  5. 請求項4に記載のプラズマ処理装置において、
    前記天井板を均等にn(nは2以上の整数)分割すると共に、前記噴出孔又は前記ノズルと前記排出パイプとを、各々、1/n周毎に配置したことを特徴とするプラズマ処理装置。
  6. 請求項4又は請求項5に記載のプラズマ処理装置において、
    前記排出パイプの総断面積を前記噴出孔又は前記ノズルの総断面積より大きくしたことを特徴とするプラズマ処理装置。
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