JP2012204884A - 送信装置およびこの送信装置に該当する回路を備えるicチップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発振器110から供給されるローカル信号を用いてベースバンド信号に対する周波数変換を行いRF変調出力信号を得る送信機11に、ローカル信号に対する位相調整を行って位相調整位ローカル信号を得る相調整回路130を設けると共に、この位相調整位ローカル信号の位相がRF信号による発振器110への干渉が低減された位相となるように相調整回路130に対しその位相調整動作を制御するための制御信号を供給する制御信号生成部160を含むデジタル制御回路12、を備えた送信装置。
【選択図】 図1
Description
また、他の態様として、発振器が発振した信号を分周回路で周波数を分周して、ローカル信号として周波数変換器に入力する。この場合も、発振器の発振周波数を中心周波数とした変調信号が、高調波歪み成分として送信機から出力される。
上述における干渉の強弱は、発振器の発振信号と干渉波のそれぞれの振幅の大小関係と、位相関係に依存する。次式は、発振器が差動出力の場合における、干渉の強さを表す式である。
また、数式1から判読されるとおり、発振器の発振信号と干渉波の位相差α1がπ/2になると干渉は最大になり、0に近づけると、理想的には干渉は極めて小さくなる。即ち、干渉波の位相を発振器の位相に近づけることによって干渉を低減させることができる。
反対に、干渉波を小さくすることは、その発信源である送信機の出力パワーに対する要求仕様上の制約を受けて、効果的な解決手段にならない場合が多い。
また仮に、上記の計算が可能であるとしても、後述する様々な要因によって発振器に到達する時点における干渉波の位相が定常とはならず、送信機の使用状況に応じて動的に変化するという問題がある。
また、PLL周波数シンセサイザの設定周波数が変わる場合、発振器が発振する信号の周波数、すなわち干渉波の周波数が変化することにより、発振器に到達する時点における干渉波の位相が変化する。この位相の変化量Δα3は次の数式3で表される。
さらに、送信機の回路を備えたICが搭載されるボード基盤上の信号または電源経路からIC内の発振器へ到達する干渉波が大きい場合、そのボード基盤上の環境による影響が大きくなる。
本発明は、上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、ゲインや周波数の設定値が変化しても、発振器への変調信号の高調波歪み成分による干渉を低減することができる送信装置および、この送信装置に該当する回路を備えるICチップを提供することを目的とする。
(1) ローカル信号を用いてベースバンド信号に対する周波数変換を行いRF変調出力信号を得る送信装置であって、
前記ローカル信号を生成するための信号を発振する発振器と、前記発振器の発振出力による前記ローカル信号に対する位相調整を行って位相調整ローカル信号を得る位相調整回路と、前記位相調整回路からの位相調整ローカル信号を用いてベースバンド信号に対する周波数変換を行ってRF信号を得る周波数変換器と、を含む送信機と、
前記位相調整ローカル信号の位相が前記RF信号による前記発振器への干渉が低減された位相となるように前記位相調整回路に対しその位相調整動作を制御するための制御信号を供給する制御信号生成部を含む制御回路と、
を備えたことを特徴とする送信装置。
(3)前記位相調整回路は、差動増幅器を含み、前記制御信号生成部から供給される前記位相設定コードに応じて、前記差動増幅器の差動対のテイル電流を変更することによって前記発振器からのローカル信号の位相を0°〜180°の間でシフトさせることを特徴とする(2)の送信装置。
前記ドライバーアンプのゲインおよび前記周波数変換器のゲインのうち少なくとも一方のゲイン調整をもって前記発振器からのローカル信号の位相制御に寄与させることを特徴とする(2)の送信装置。
(5)前記ドライバーアンプのゲインおよび前記周波数変換器のゲインのうち少なくとも一方のゲインを設定するゲイン設定コードを発生するゲイン設定コード発生回路を更に備えることを特徴とする(4)の送信装置。
(7)前記発振器は、発振する周波数を変化させるPLL周波数シンセサイザであり、前記制御回路は、前記PLL周波数シンセサイザの周波数の変化に応じて前記ローカル信号の位相を制御する態様の前記位相設定コードを前記制御信号として発生することを特徴とする(6)の送信装置。
(9)前記位相設定コード発生回路は、前記周波数設定コード発生回路が発する前記周波数設定コードの変化に応じて、前記位相設定コードを変更することを特徴とする(8)の送信装置。
(11)上記(1)から(10)のいずれかに記載の送信装置に該当する回路を備えることを特徴とするICチップ。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の一つの実施の形態としての送信装置を表す機能ブロック図である。
図1の送信装置10は、送信機11とそれを制御するデジタル制御回路12から構成される。ここに、送信機11とデジタル制御回路12とは機能上区分して観念し各別の称呼にて表現しているが、実装上二分される態様を採ることを必須とする意ではない。
そして、この周波数変換器140から出力されたRF信号にドライバーアンプ150によって一定のゲインを加えて出力する。
ゲイン設定コード発生回路180は、既述のドライバーアンプ150のゲインを制御するゲイン設定コードを生成し、該生成したゲイン設定コードをドライバーアンプ150および位相設定コード発生回路160に供給する。
上述のようにゲイン設定コードによってこの周波数変換器140のゲインをも制御する態様を採る場合には、ドライバーアンプ150のゲインおよび周波数変換器140のゲインのうち少なくとも一方のゲイン調整(上述の場合は双方のゲイン調整)をもって発振器としてのPLL周波数シンセサイザ110からのローカル信号の位相制御に寄与させる構成となる。
位相設定コード発生回路160は、発振器としてのPLL周波数シンセサイザ110
からのローカル信号に対する位相シフトの態様を制御する位相設定コードを制御信号として発生する制御信号生成部を成している。
本実施の形態では、デジタル制御回路12に、周波数設定コード発生回路170とゲイン設定コード発生回路180とを含んだ例を示したが、周波数設定コード発生回路170と、ゲイン設定コード発生回路180をデジタル制御回路12の外部に備えてもよく、その場合は、周波数設定コードとゲイン設定コードとを、それら外部に備えた回路によって書き換えが可能とする。
加算器161は、外部から供給される位相設定初期コードと、ゲイン変動加算コード発生回路162から供給されるゲイン変動加算コードと、周波数変動加算コード発生回路163から供給される周波数変動加算コードとを加算して、図1の送信機11における位相調整回路130に供給する位相設定コードを生成する。
また、周波数変動加算コード発生回路162は、外部から供給される周波数位相変動幅設定コード、周波数設定コード、および、ゲイン設定コードの各コードに基づいて周波数変動加算コードを生成する。
ゲイン変動加算コード発生回路162は、ゲイン設定コードによって設定されるゲインが変動する場合に、周波数設定コードによって設定される周波数に応じて当該ゲイン変動によって生じる位相の変化を抑制したゲイン変動加算コードを生成する。
このときのゲイン変動加算コードの決定の方法を説明する。ゲイン設定コードによって設定されるゲインが変動する場合の、発振器(PLL周波数シンセサイザ110)の発振信号と干渉波の位相α1を次の数式4で表す。
以上より、ゲインの変化による位相の変化量を打ち消すためのゲイン変動加算コード発生回路162の出力であるゲイン変動加算コードNgaは、次の数式6で与えられる。
図3において、Ng2は、ゲイン変動加算コードを1コード変化させるゲイン設定コードの変動値に相当し、上掲の数式6の符号を用いると1/(K2*F1)になる。即ち、ゲイン設定コードがNg2だけ変動する毎に、位相設定コードが1コードずれて干渉が弱い状態を保っている。仮に、ゲイン設定の変動に対応して、位相設定コードを変動させなければ、干渉強度は図3の点線の軌跡をたどり、ゲイン設定が変動する程に強くなっていく。
上述のようなゲイン変動加算コードおよび周波数変動加算コードが加算器161によって位相設定初期コードと加算されることによって、周波数が変動しても、発振器(PLL周波数シンセサイザ110)の発振信号と干渉波の位相差が十分小さいままに保たれるような位相設定コードが図1の送信機11における位相調整回路130に供給される。
上述における周波数変動加算コードの算定方法について説明する。周波数設定コードによって設定される周波数が変化する場合の、上記発振器の発振信号と干渉波の位相α1を次の数式7で表す。
以上より、周波数の変化による位相の変化量を打ち消すための周波数変動加算コードNfaは、次の数式9で与えられる。
図4において、Nf2は、周波数変動加算コードを1コード変化させる周波数設定コードの変動値に相当し、数式9の符号を用いると1/(K4*Ng1)になる。つまり、即ち、周波数設定コードがNf2だけ変動する毎に、位相設定コードが1コードずれて干渉が弱い状態を保っている。仮に、周波数設定の変動に対応して、位相設定コードを変動させなければ、干渉強度は図4の点線の軌跡をたどり、周波数設定が変動する程に強くなっていく。
図6において、位相調整回路130に入力されるローカル信号Iとローカル信号Qは、位相調整回路130に前置された分周回路120の出力信号であって、互いにπ/2の位相差を持つ。位相調整回路130はローカル信号I2とローカル信号Q2が出力されるステージ1(131)と、ローカル信号I3とローカル信号Q3が出力されるステージ2(132)と、位相設定コードに基づいてそれらステージ1および2を制御するデジタルコードを発生するデコーダ133から構成される。
先ず、ローカル信号Iおよびローカル信号Qが入力されてローカル信号I2およびローカル信号Q2を出力するステージ1(131)について説明する。
ステージ1(131)の増幅器131−1と、反転増幅器131−2と、増幅器131−3と、増幅器131−4はそれぞれゲインが可変のアンプで、増幅器131−1と増幅器131−4はデコーダ133からのゲイン制御コードGC1に応じてゲインが決まり、それぞれのゲインは常に等しく、反転増幅器131−2と増幅器131−3はゲイン制御コードGC2に応じてゲインが決まり、それぞれゲインの絶対値は常に等しい。従って、ローカル信号I2とローカル信号Q2はそれぞれ次の数式10で表される。
また、それらのオンとオフの切換えはデコーダ133からのON/OFF切換え制御信号SCで制御され、増幅器132−1と増幅器132−4のペアに入力される信号と反転増幅器132−2と増幅器132−3のペアに入力される制御信号は極性が互いに反対になる。
従って、ローカル信号I3はローカル信号I2または、ローカル信号Q2のどちらかになり、ローカル信号Q3はローカル信号I2の反転または、ローカル信号Q2のどちらかになる。ローカル信号I3がローカル信号I2を出力するときは、ローカル信号Q3はローカル信号Q2を出力し、ローカル信号I3がローカル信号Q2を出力するときは、ローカル信号Q3はローカル信号I2の反転を出力する。以上より、ローカル信号I3とローカル信号Q3は次の数式13または、数式14で表される。
以上を要するに、ステージ1(131)では0〜π/2の間に入る位相βをシフトさせて、ステージ2(132)では、位相をシフトしないかまたは、π/2シフトさせることで、全体としては、ローカル信号I3とローカル信号Q3は互いにπ/2の位相差を保ったまま、ローカル信号Iとローカル信号Qから0〜πの間までシフトさせることができる。
ステージ1(131)のβの制御はゲイン制御コードGC1とゲイン制御コードGC2によって行うことができ、ステージ2(132)の位相をシフトしないかまたは、π/2シフトさせる選択はON/OFF切換え制御信号SCで制御することができる。従って、デコーダ133を用いることで、位相設定コードに応じて、位相シフトを0〜πの間で設定することができる。
図7は、差動回路を用いて、図6におけるステージ1(131)を実現した構成例を示す回路図である。差動対710と電流源711は図6における増幅器131−1に相当する。
図7において、電流源711は、例えば一般的なカレントミラー回路から構成され、ゲイン制御コードGC1に応じて、電流を流すカレントミラー回路の数が変化して、差動対のテイル電流を変えることによってゲイン調整を行う回路構成を採ることができる。
同様に、差動対720と電流源712は反転増幅器131−2に相当し、差動対730と電流源713は増幅器131−3に相当し、差動対740と電流源714は増幅器131−4に相当する。
図8において、図7と同様に、差動対810と電流源811は図6における増幅器132−1に相当し、差動対820と電流源812は反転増幅器132−2に相当し、差動対830と電流源813は増幅器132−3に相当し、差動対840と電流源814は増幅器131−4に相当し、抵抗801と抵抗802は加算器132aに相当し、抵抗803と抵抗804は加算器132bに相当する。
反対に、差動対810および差動対840が動作しないときは、差動対820および差動対830が動作する。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、位相調整回路130や位相設定コード発生回路160を用いることで、送信機が出力する信号の位相を制御することができるため、例えばPLL周波数シンセサイザ内部の発振器に到達する干渉波の位相を制御することができる。そのため、発振器が発振する信号振幅を高くするための余分な電力を消費させることなく、発振器への干渉を低減することができる。
ドライバーアンプ150または周波数変換器140においてそれらに対して設定されるゲインが変わる場合は、位相設定コード発生回路160において、ゲイン設定コードの変化に応じて、位相設定コードを切り換えることによって、ゲインが変動しても、常に発振器への干渉を低減することができる。
本発明の他の一つの態様は、図1乃至図8を参照して説明した送信装置10に該当する回路を備えるICチップである。
また、周波数設定コードの変化に応じて、位相設定コードを切り換える際に、外部入力により、位相設定の変動幅を変えることにより、干渉波の位相の周波数依存性が変化しても、発振周波数の変動に応じて適応的に発振器への干渉を低減することが可能である。
11………………………………送信機
12………………………………デジタル制御回路
110……………………………PLL周波数シンセサイザ
120……………………………分周回路
130……………………………位相調整回路
131……………………………ステージ1
132……………………………ステージ2
133……………………………デコーダ
140……………………………周波数変換器
150……………………………ドライバーアンプ
160……………………………位相設定コード発生回路
161……………………………加算器
162……………………………ゲイン変動加算コード発生回路
163……………………………周波数変動加算コード発生回路
170……………………………周波数設定コード発生回路
180……………………………ゲイン設定コード発生回路
Claims (11)
- ローカル信号を用いてベースバンド信号に対する周波数変換を行いRF変調出力信号を得る送信装置であって、
前記ローカル信号を生成するための信号を発振する発振器と、前記発振器の発振出力による前記ローカル信号に対する位相調整を行って位相調整ローカル信号を得る位相調整回路と、前記位相調整回路からの位相調整ローカル信号を用いてベースバンド信号に対する周波数変換を行ってRF信号を得る周波数変換器と、を含む送信機と、
前記位相調整ローカル信号の位相が前記RF信号による前記発振器への干渉が低減された位相となるように前記相位調整回路に対しその位相調整動作を制御するための制御信号を供給する制御信号生成部を含む制御回路と、
を備えたことを特徴とする送信装置。 - 前記制御信号生成部は、前記発振器からのローカル信号に対する位相シフトの態様を制御する位相設定コードを前記制御信号として発生する位相設定コード発生回路であることを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
- 前記位相調整回路は、差動増幅器を含み、前記制御信号生成部から供給される前記位相設定コードに応じて、前記差動増幅器の差動対のテイル電流を変更することによって前記発振器からのローカル信号の位相を0°〜180°の間でシフトさせることを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
- 前記送信機は、前記周波数変換器からのRF信号に所定のゲインを与えるドライバーアンプを更に有し、
前記ドライバーアンプのゲインおよび前記周波数変換器のゲインのうち少なくとも一方のゲイン調整をもって前記発振器からのローカル信号の位相制御に寄与させることを特徴とする請求項2に記載の送信装置。 - 前記ドライバーアンプのゲインおよび前記周波数変換器のゲインのうち少なくとも一方のゲインを設定するゲイン設定コードを発生するゲイン設定コード発生回路を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の送信装置。
- 前記位相設定コード発生回路は、前記ゲイン設定コード発生回路による前記ゲイン設定コードの変化に応じて前記位相設定コードを変更することを特徴とする請求項5に記載の送信装置。
- 前記発振器は、発振する周波数を変化させるPLL周波数シンセサイザであり、前記制御回路は、前記PLL周波数シンセサイザの周波数の変化に応じて前記ローカル信号の位相を制御する態様の前記位相設定コードを前記制御信号として発生することを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
- 前記制御回路は、前記PLL周波数シンセサイザにその出力周波数を設定する周波数設定コードを供給する周波数設定コード発生回路を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の送信装置。
- 前記位相設定コード発生回路は、前記周波数設定コード発生回路が発する前記周波数設定コードの変化に応じて、前記位相設定コードを変更することを特徴とする請求項8に記載の送信装置。
- 前記位相設定コード発生回路は、前記周波数設定コード発生回路が発する前記周波数設定コードの変化に応じて前記位相設定コードを変更するときに、前記周波数設定コードによって表される周波数の変動に対する前記位相設定コードの変動幅を制御可能であることを特徴とする請求項9に記載の送信装置。
- 請求項1から10のいずれかに記載の送信装置に該当する回路を備えることを特徴とするICチップ。
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