JP2012204226A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池を異常に使用した場合においても、電池ケース内部のガス流路を遮断することなく、電池ケース外部に効率的にガス排気ができる非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】電極群と封口板との間に、貫通孔を有する上部絶縁板を配置する。上部絶縁板は、湾曲した形状であって、電極群の方向に湾曲するよう配置される。このような構成により、異常時にガスの圧力が集中する中央部付近の強度を高くすることができる。よって、電極群の移動を抑制し、電池ケース内部のガス流路を遮断することなく電池ケース外部に効率的にガス排気ができるため、電池の安全性を向上することができる。
【選択図】図1
【解決手段】電極群と封口板との間に、貫通孔を有する上部絶縁板を配置する。上部絶縁板は、湾曲した形状であって、電極群の方向に湾曲するよう配置される。このような構成により、異常時にガスの圧力が集中する中央部付近の強度を高くすることができる。よって、電極群の移動を抑制し、電池ケース内部のガス流路を遮断することなく電池ケース外部に効率的にガス排気ができるため、電池の安全性を向上することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解質二次電池に関し、特に円筒形電池の安全性を向上させるための絶縁板構造に関する。
円筒形電池は、一般に、有底円筒形の金属製の電池ケースに発電要素を収納し、その開口部を封口板(組立封口体を含む)により封口して密閉し構成される。リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池においては、発電要素は、電極群および電解質により構成される。電極群は、正極および負極を、セパレータを介して渦巻き状に巻回して構成される。セパレータは、正極と負極との間を絶縁するとともに、電解質を保持する機能を有している。また、封口板と電池ケースに電極群から導出された正、負極リードを接続することにより、封口板と電池ケースは正、負極のどちらかの外部端子を兼ねている。さらに、電池ケースに挿入された電極群と封口板との間には上部絶縁板が設けられ、電極群と電池ケースとの間には下部絶縁板が設けられることで、電極群は封口板や電池ケースと電気的に絶縁されている。
このような構成の非水電解質二次電池では、落下衝撃時において、電極群が電池ケース内で移動して破損する可能性があった。
上記問題を解決するために、例えば、電極群の周辺部に相当する箇所に突起を設けた上部絶縁板を用いて電極群が移動しないように構成した構造や、上部絶縁板の中央に中芯を圧入させることで電池ケースの内壁と中芯で突っ張って電極群を固定する構造などが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
一般的な非水電解質二次電池は、過充電などの異常により、電池ケース内でガスが発生することを想定して、電池ケースの内部圧力が所定値に達したときに作動する排出機構を封口板に備えている。
一方、近年、電子機器の多機能化に伴って、電池の高容量化が推進されている中、上記異常が発生したときの電池ケース内部の圧力の上昇もますます大きくなっている。
そのような状況において、電池の異常により、上記封口板の排出機構が作動し、電池ケースの外部へガスが排出される場合、特許文献1のような上部絶縁板では、ガス排出による圧力が集中する中央部付近の強度が弱く、上部絶縁板が破壊される可能性があった。よって、電極群が移動して封口板に形成されたガス排気流路を遮断したり、さらには電極群が外部へ飛び出したりする危険性があった。
また、特許文献2のような構造では、電池ケースへの挿入性が悪いため、電池の作製が困難であった。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたもので、生産性が高く、電池が異常状態に置かれた場合であっても、電極群の移動を抑制し、電池ケース内部のガス排出流路を遮断することなく、電池ケース外部に効率的にガスを排気できる非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の非水電解質二次電池は、正極と負極とをセパレータを介して巻回した電極群を、開口部を有する電池ケースに収納し、前記開口部を封口板で封口した非水電解質二次電池であって、前記封口板は、前記電池ケースの内部圧力が所定値に達した時に作動する排気機構を有しており、前記電極群と前記封口板との間には、貫通孔を有する上部絶縁板を備えており、前記上部絶縁板は、湾曲した形状であって、前記電極群の方向に湾曲するよう配置されることを特徴とする。
このような構成とすることで、過充電などの異常でガスが発生し、ガス排出により中央部付近の圧力が増加しても、電極群と封口板との間に配された上部絶縁板が湾曲した形状であることにより、中央部の強度が強く、上部絶縁板の破壊を抑えることができる。したがって、電極群の移動によるガス排気流路の遮断や、電極群の飛び出しを防止することができる。
本発明によれば、過充電などの異常でガスが発生した際に、電池ケース内部のガス排出流路を遮断することなく電池ケース外部に効率的にガス排気ができるとともに、電極群の飛び出しを防止することで、安全性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
本発明の非水電解質二次電池は、正極と負極とをセパレータを介して巻回した電極群を、開口部を有する電池ケースに収納し、前記開口部を封口板で封口した非水電解質二次電池であって、前記封口板は、前記電池ケースの内部圧力が所定値に達した時に作動する排気機構を有しており、前記電極群と前記封口板との間には、貫通孔を有する上部絶縁板を備えており、前記上部絶縁板は、湾曲した形状であって、前記電極群の方向に湾曲するよう配置されることを特徴とする。
正極と負極とをセパレータを介して巻回した電極群を備えた構造では、中央部に空隙が存在するため、電池の異常状態において、急激な圧力上昇が起こった場合、電池ケース内部における圧力は均等ではなく、特に、その中央部において圧力密度が瞬時に高くなる。したがって、電極群の上部に位置する上部絶縁板においても、その中央部にかかる圧力が高くなる。
本発明に係る非水電解質二次電池は、上部絶縁板を湾曲した形状とし、その湾曲が電極群に対向するよう配置する。そのため、上部絶縁板の中央部にかかる圧力が高くなっても、湾曲した形状により中央部の強度が強く、上部絶縁板の破壊を抑えることができる。その結果、電極群の移動によるガス排気流路の遮断を防止し電池外部に効率的にガス排気ができるとともに、電極群の飛び出しを防止することができる。さらに、仮に上部絶縁板が封口板の方向に移動し、上部絶縁板の外縁部が封口板と接触したとても、電極群方向に湾曲している構造であるため、封口板との上部絶縁板と間の空間が保持され、封口板のガス
排出流路を塞ぐことを防ぐことができる。
排出流路を塞ぐことを防ぐことができる。
本発明は、通常用いられている上部絶縁板を本発明に係る上部絶縁板に変更するのみで、本発明が実施できるため生産工程が増えることなく、また電池ケースへの挿入性を損なうことも無い。
また、上部絶縁板の強度が強くなるため、ガス排出のための貫通孔を大きくしても電極群の移動を抑えることが可能となることから、ガスを効率よく排気することができる。
さらに、電極群の移動を抑制するには、上部絶縁板は厚いものほど強度が高く望ましいが、湾曲した形状とすることで、薄く形成しても強度が維持できるため、安価に作成することが可能となる。
また、本発明において、上部絶縁板は、耐熱性の観点からポリオレフィン系樹脂およびポリイミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。また、耐熱性および強度の観点から、ガラスクロスを基材とし無機添加剤を含むフェノール樹脂から構成されていてもよい。上記無機添加物としては、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
また、本発明において、湾曲した上部絶縁板は、その曲率が0.02/mm以上0.07/mm以下であることが望ましい。曲率が0.02/mmより小さい場合は、異常に使用した場合において、変形に対する耐圧が低く、電極群の移動を十分抑制できないため望ましくない。また、0.07/mmより大きい場合は、電池内部空間の利用効率の観点から望ましくない。
また、本発明において、上部絶縁板は、その厚みが0.3mm以上1.0mm以下であることが望ましい。0.3mmより薄いと十分な変形に対する耐圧が得られなく、電極群の移動を十分抑制できないため望ましくない。また、1.0mmより厚くすると、電池ケース内で必要以上の体積を占め容量を損なってしまう上、コストの観点からも望ましくない。
以下、実施の形態について、図面を参照し、詳細に説明する。
図1に本発明の一実施の形態に係る円筒形電池の概略構成を断面図により示す。図示例の電池10は、円筒形のリチウムイオン二次電池であり、正極2と、負極3と、それらの間に介在するセパレータ4とを渦巻き状に巻回して構成された電極群18を備えている。電極群18は、図示しない非水電解質とともに有底円筒型の金属製の電池ケース1に収納される。電池ケース1の開口部は封口板5により封口され、これにより電極群18および非水電解質は電池ケース1の内部に密閉される。
ここで、電池ケース1の内部において、電極群18の上側には、電極群側へ湾曲した上部絶縁板8Aが、電極群18の下側には下部絶縁板8Bが配設される。上部絶縁板8Aの外縁部は、図1に示すように、電池ケース溝部17で支持され、湾曲した中央部は、電極群18と接して配置されるため、電極群は、上部絶縁板8Aにより固定される。
封口板5は、導体からなる、ハット状の端子板11、環状のPTC(positive
temperature coefficient: 正温度係数)サーミスタ板12、円形の上側弁板13および下側弁板15、並びに基板16と、絶縁体からなる環状の組立体用ガスケット14とから構成される。組立体用ガスケット14は上側弁板13の周辺
部と下側弁板15の周辺部との間に配設されて、上側弁板13の周辺部と下側弁板15の周辺部とが接触するのを防いでいる。また、組立体用ガスケット14は、基板16と端子板11の周縁部とが接触しないように、両者の間に介在される。
temperature coefficient: 正温度係数)サーミスタ板12、円形の上側弁板13および下側弁板15、並びに基板16と、絶縁体からなる環状の組立体用ガスケット14とから構成される。組立体用ガスケット14は上側弁板13の周辺
部と下側弁板15の周辺部との間に配設されて、上側弁板13の周辺部と下側弁板15の周辺部とが接触するのを防いでいる。また、組立体用ガスケット14は、基板16と端子板11の周縁部とが接触しないように、両者の間に介在される。
封口板5の周縁部と電池ケース1の開口部との間には、絶縁体からなるガスケット9が配設される。ガスケット9は、封口板5と電池ケース1との間を封止するとともに、それらの間を絶縁している。
端子板11とPTCサーミスタ板12とはそれらの周辺部で接触している。PTCサーミスタ板12と上側弁板13とはそれらの周辺部で接触している。上側弁板13と下側弁板15とはそれらの中央部で接触している。下側弁板15と基板16とはそれらの周辺部で接触している。以上の結果、端子板11と基板16とは互いに導通されている。
封口板5の基板16は正極2と正極リード6を介して導通される。その結果、封口板5の端子板11が、電池10の正極側の外部端子として機能する。一方、電池ケース1が、負極3と負極リード7を介して導通されて、電池10の負極側の外部端子として機能する。
基板16は、薄い円皿状の本体と、その周縁部から立ち上がる円筒部とを有している。基板16の本体の周辺部の上には下側弁板15が載置され、その周辺部の上に組立体用ガスケット14が載置され、さらにその上に、上側弁板13、PTCサーミスタ板12および端子板11がこの順に載置される。
封口板5の端子板11は、複数の外部ガス抜き孔20を有している。基板16もまた複数の内部ガス抜き孔19を有している。上側弁板13は、環状の破断可能溝により囲われた円形の破断可能部が中央部に形成されている。破断可能部が破断すると、そこに弁孔が形成される。
一方、下側弁板15は、環状の破断可能溝により囲われた円形の破断可能部が中央部に形成されている。破断可能部が破断すると、そこに弁孔が形成される。
以上の構成により、何らかの事故で電池ケース1内部の圧力が異常に上昇したときには、上側弁板13および下側弁板15の破断可能部が押し破られて、上側弁板13および下側弁板15に図示しない弁孔が形成される。その結果、電池ケース1の内部のガスが、基板16の内部ガス抜き孔19、上側弁板13および下側弁板15の上記弁孔、並びに端子板11の外部ガス抜き孔20を通過して外部に放出される。このような構成とすることで、電池ケースの内部圧力が所定値に達した時に作動する排気機構が封口板5に備えられる。
図2(a)、(b)は、本発明に係る非水電解質二次電池に用いられる上部絶縁板を示す図である。
上記のような排気機構が作動する場合において、巻回された電極群では、中央部に空間ができるためガスの排気が集中する。さらに、電池ケース1内部の圧力が異常に上昇すると、上部絶縁板8Aの貫通孔21を通り、基板16の内部ガス抜き孔19に向かってガスが排出される。
従来の非水電解質二次電池によれば、上記のような異常時において、排出されるガスの圧力により、電極群が上部絶縁板を押し上げ、上部絶縁板と基板との間にある空間へ変形しながら移動するため、上部絶縁板の貫通孔や基板の内部ガス抜き孔を塞いでしまうこと
がある。さらに、上部絶縁板が破壊された場合には、電極群が電池外部へ飛ぶ出す危険性もある。
がある。さらに、上部絶縁板が破壊された場合には、電極群が電池外部へ飛ぶ出す危険性もある。
本発明においては、図1に示すように、電極群側へと湾曲した構造とすることで、特に中央部のガスの圧力に対する強度を高くすることで、電極群の移動を抑えることができる。そのため、内部ガス抜き孔19へのガス流路を確保することができ、また電極群の飛び出しも防止できる。したがって、電池の安全性を向上させることができる。また、排出されるガスの圧力によって、上部絶縁板が封口板側に移動した場合であっても、上部絶縁板が電極群の方向に湾曲している構造であるため、上部絶縁板の外縁部が封口板と接触して電極群の移動を抑えることが可能となる。その結果、封口板と上部絶縁板と間の空間が保持され、封口板のガス排出流路が塞がれることを防ぐことができる。
上部絶縁板8Aの曲率は、曲率が大きくなるにつれ、強度は強くなるが電池内部空間の利用効率が低下するため、0.02/mm以上0.07/mm以下であることが望ましい。
さらに、上部絶縁板8Aの厚みは、厚み大きくなるにつれ、強度は強くなるが電池内部空間の利用効率が低下するため、0.3mm〜1.0mmであることが望ましい。
なお、上部絶縁板の貫通孔21の形状、個数は、図2に図示した形態に限定されない。
また、非水電解質二次電池の種類は特に制限されないが、例えば、リチウムイオン二次電池では、正極板の正極活物質として、リチウムニッケル系複合酸化物を用いた場合、本発明の効果がより発揮される。正極活物質としてリチウムニッケル系複合酸化物を用いた場合、異常時のガス発生量は、コバルト系に比べて、3倍程度大きくなるため、上記課題は顕在化する畏れがあるが、この場合でも、本発明により効果を得ることができる。
本発明の実施例を説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下のようにして、リチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
(実施例1)
(1)正極の作製
正極活物質として、平均粒径が12μmであるLiNi0.8Co0.15Al0.05O2を使用した。正極活物質100重量部、結着剤ポリフッ化ビニリデンフルオライド1.7重量部、及び導電剤アセチレンブラック2.5重量部を液状成分に混合させて正極合剤ペーストを調製した。
(1)正極の作製
正極活物質として、平均粒径が12μmであるLiNi0.8Co0.15Al0.05O2を使用した。正極活物質100重量部、結着剤ポリフッ化ビニリデンフルオライド1.7重量部、及び導電剤アセチレンブラック2.5重量部を液状成分に混合させて正極合剤ペーストを調製した。
その正極合剤ペーストを、アルミニウム箔からなる正極集電体の両面に、正極リード6の接続部分を除いて塗布し、乾燥して正極合剤層を形成した。そのようにして、正極の前駆体を作製し、その後、それを圧延して、正極を得た。このとき、厚みが128μmとなるように正極の前駆体を圧延した。また、正極集電体として使用したアルミニウム箔の長さは667mm、幅は57mm、厚さは15μmであった。また、正極リード6の接続部分は、後述するように、正極の巻始めの部分に形成した。
(2)負極の作製
負極活物質として平均粒径が20μmのグラファイトを使用した。負極活物質100重量部と、結着剤ポリフッ化ビニリデンフルオライド0.6重量部と、増粘剤カルボキシメ
チルセルロース1重量部と、適量の水とを、双腕式練合機にて攪拌し、負極ペーストを得た。
負極活物質として平均粒径が20μmのグラファイトを使用した。負極活物質100重量部と、結着剤ポリフッ化ビニリデンフルオライド0.6重量部と、増粘剤カルボキシメ
チルセルロース1重量部と、適量の水とを、双腕式練合機にて攪拌し、負極ペーストを得た。
その負極合剤ペーストを、銅箔からなる負極集電体の両面に、負極リード7の接続部分を除いて塗布し、乾燥して負極合剤層を形成した。そのようにして、負極の前駆体を作製し、その後、それを圧延して、負極を得た。このとき、厚みが155μmとなるように負極の前駆体を圧延した。また、負極集電体として使用した銅箔の長さは745mm、幅は58.5mm、厚さは8μmであった。また、負極リード7の接続部分は負極の巻終わりの部分に形成した。負極リード7は、上記接続部分に超音波溶接法により接続した。
(3)非水電解質の調整
非水電解質は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを1対1の体積比で混合した混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0mol/Lの濃度で溶解することにより調製した。
非水電解質は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを1対1の体積比で混合した混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0mol/Lの濃度で溶解することにより調製した。
(4)封口板の作製
図1に示した封口板5を作製した。上側弁板13および下側弁板15はアルミニウム製とした。端子板11は鉄製とした。基板16はアルミニウム製とした。組立体用ガスケット14はポリプロピレン製とした。
図1に示した封口板5を作製した。上側弁板13および下側弁板15はアルミニウム製とした。端子板11は鉄製とした。基板16はアルミニウム製とした。組立体用ガスケット14はポリプロピレン製とした。
(5)電池の組立
上述のようにして作製した正極および負極を、間にセパレータ4を介在させて積層し、積層体を得た。セパレータ4には、厚さが20μmであるポリエチレン製の多孔膜を使用した。得られた積層体の正極の巻き始めの部分に正極リード6を接続し、負極の巻き終わりの部分に負極リード7を接続した。その状態で、上記積層体を渦巻き状に巻回して電極群18を得た。
上述のようにして作製した正極および負極を、間にセパレータ4を介在させて積層し、積層体を得た。セパレータ4には、厚さが20μmであるポリエチレン製の多孔膜を使用した。得られた積層体の正極の巻き始めの部分に正極リード6を接続し、負極の巻き終わりの部分に負極リード7を接続した。その状態で、上記積層体を渦巻き状に巻回して電極群18を得た。
そのようにして得られた電極群18を鉄製の電池ケース1に収納した。このとき、正極リード6を周縁部にポリプロピレン製のガスケット9を取り付けた封口板5の基板16にレーザー溶接法により溶接し、負極リード7を電池ケース1の底部に抵抗溶接法により溶接した。電池ケース1は、直径(外径)が18mm、高さが65mm、缶壁の厚みが0.15mmであるものを使用した。この電池ケース1の厚みは、通常市販されている円筒形のリチウムイオン二次電池の電池ケースの厚みに近いものである。また、電極群18の上側に、湾曲したポリプロピレン製の上部絶縁板8A(a=18mm、b=0.5mm、曲率0.01/mm、厚み0.15mm)を、電極群18側へ湾曲する方向で配置し、電極群18の下側には、下部絶縁板8Bを配設した。ここで、曲率は、図3に示す寸法a、bを測定し、2b/{(a/2)2+b2}の値を計算することで求めた。
そして、電池ケース1内に非水電解質を注入した後、電池ケース1の開口端部より5mmの位置において、電池ケース1を周方向に一周するように、内側に突出する電池ケース溝部17(図1参照)を形成し、これにより電極群18を電池ケース1の内部に上部絶縁板8Aを介して保持した。
次に、電池ケース溝部17の上に載せるようにして、封口板5をガスケット9を介して電池ケース1の開口部に配置した後、電池ケース1の開口部を内側に曲げるようにかしめて、電池ケース1を封口した。以上のようにして、直径が18mm、高さが65mmである円筒形のリチウムイオン二次電池からなる試験体を10個作製した。このリチウムイオン二次電池の設計容量は2600mAhであった。
(実施例2)
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(a=18mm、b=1.0mm、曲率0.02/mm、厚み0.3mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(a=18mm、b=1.0mm、曲率0.02/mm、厚み0.3mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
(実施例3)
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(a=18mm、b=1.0mm、曲率0.02/mm、厚み1.0mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(a=18mm、b=1.0mm、曲率0.02/mm、厚み1.0mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
(実施例4)
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(a=18mm、b=1.0mm、曲率0.02/mm、厚み1.5mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(a=18mm、b=1.0mm、曲率0.02/mm、厚み1.5mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
(比較例1)
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(平板状、厚み0.3mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(平板状、厚み0.3mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
(比較例2)
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(平板状、厚み1.0mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(平板状、厚み1.0mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
(比較例3)
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(平板状、厚み1.5mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
ポリプロピレン製の上部絶縁板8A(平板状、厚み1.5mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして10個のリチウムイオン二次電池からなる試験体を作製した。
(加熱試験)
作製された各10個の試験体に対して、以下のような条件で加熱試験を実施した。まず、25℃の環境の下で1500mAの電流により電池電圧が4.25Vとなるまで充電した。充電後の試験体をホットプレートの上に置き、25℃から200℃まで毎秒1℃ずつ温度が上昇するように加熱した。そして、電池ケース1に小さな亀裂が発生した試験体の個数をカウントした。その結果を、下記表1に示す。
作製された各10個の試験体に対して、以下のような条件で加熱試験を実施した。まず、25℃の環境の下で1500mAの電流により電池電圧が4.25Vとなるまで充電した。充電後の試験体をホットプレートの上に置き、25℃から200℃まで毎秒1℃ずつ温度が上昇するように加熱した。そして、電池ケース1に小さな亀裂が発生した試験体の個数をカウントした。その結果を、下記表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜4においては試験体に亀裂は生じなかった。実施例1〜4を分解したところ、上部絶縁板の湾曲した形状により、電極群の迫り上がりを抑制できていることが確認できた。したがって、封口板の基板の内部ガス抜き孔が塞がれることなく、ガス流路が確保されたため、電池ケースに亀裂が生じなかったと考えられる。
これに対して、比較例1においては試験体に亀裂が生じたものが7個あった。この試作体を分解したところ、上部絶縁板が電極群の迫上がりを抑制できずに、電極群により封口板のガス流路である基板の内部ガス抜き孔を塞いでいることが確認できた。したがって、内部圧力が過大となったため電池ケースに亀裂が生じてしまったと考えられる。
また、実施例の電池は、実施例2のように、上部絶縁板の厚みを0.3mmとかなり薄くしても亀裂は生じていない。よって、比較例1〜3と比べたときに、厚みを大きくすること以上の効果が得られていることが分かる。
以上のように、湾曲した上部絶縁板を用いることにより、電極群の迫上がりが大きく抑制され、封口板のガス流路である基板の内部ガス抜き孔が、電極群により塞がれてしまうのを防止することができ、電池の安全性が向上する。
本発明によれば、安全性がさらに向上された円筒形電池を提供することができる。このような本発明の円筒形電池は、特にパーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末(PDA)、携帯用ゲーム機器並びにビデオカメラ等の携帯用電子機器の電源として有用である。また、ハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池自動車等の交通用機器において、その電動機の駆動を補助する電源としても有用である。また、電動工具、掃除機、およびロボット等の駆動用電源としても有用であり、プラグインHEVの動力源としても有用である。
1 電池ケース
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 封口板
6 正極リード
7 負極リード
8A 上部絶縁板
8B 下部絶縁板
9 ガスケット
10 電池
11 端子板
12 PTCサーミスタ板
13 上側弁板
15 下側弁板
14 組立体用ガスケット
16 基板
17 電池ケース溝部
18 電極群
19 内部ガス抜き孔
20 外部ガス抜き孔
21 貫通孔
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 封口板
6 正極リード
7 負極リード
8A 上部絶縁板
8B 下部絶縁板
9 ガスケット
10 電池
11 端子板
12 PTCサーミスタ板
13 上側弁板
15 下側弁板
14 組立体用ガスケット
16 基板
17 電池ケース溝部
18 電極群
19 内部ガス抜き孔
20 外部ガス抜き孔
21 貫通孔
Claims (3)
- 正極と負極とをセパレータを介して巻回した電極群を、開口部を有する電池ケースに収納し、前記開口部を封口板で封口した非水電解質二次電池であって、
前記封口板は、前記電池ケースの内部圧力が所定値に達した時に作動する排気機構を有しており、
前記電極群と前記封口板との間には、貫通孔を有する上部絶縁板を備えており、
前記上部絶縁板は、湾曲した形状であって、前記電極群の方向に湾曲するよう配置される非水電解質二次電池。 - 前記上部絶縁板の曲率は、0.02/mm以上0.07/mm以下である請求項1記載の非水電解質二次電池。
- 前記上部絶縁板の厚みは、0.3mm以上1.0mm以下である請求項1または2記載の非水電解質二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011069222A JP2012204226A (ja) | 2011-03-28 | 2011-03-28 | 非水電解質二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011069222A JP2012204226A (ja) | 2011-03-28 | 2011-03-28 | 非水電解質二次電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012204226A true JP2012204226A (ja) | 2012-10-22 |
Family
ID=47184991
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011069222A Withdrawn JP2012204226A (ja) | 2011-03-28 | 2011-03-28 | 非水電解質二次電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012204226A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016103667A1 (ja) * | 2014-12-26 | 2016-06-30 | 三洋電機株式会社 | 円筒形電池 |
US11088429B2 (en) | 2014-02-20 | 2021-08-10 | Samsung Sdi Co., Ltd. | Cap assembly and secondary battery including the same |
-
2011
- 2011-03-28 JP JP2011069222A patent/JP2012204226A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2016103667A1 (ja) * | 2014-12-26 | 2016-06-30 | 三洋電機株式会社 | 円筒形電池 |
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