JP2012203328A - 光学フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】低位相差で耐熱性や強度および可とう性に優れたアクリル系重合体を有する光学フィルムを提供する。
【解決手段】N−ベンジルマレイミド単位(a)および(メタ)アクリル酸エステル単位(b)を構成単位として含むアクリル系重合体(A)を有する光学フィルムであって、二軸延伸により面内位相差Reを0〜5nm、厚さ方向の位相差Rthを−5nm〜5nmとした光学フィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、N−ベンジルマレイミド単位および(メタ)アクリル酸エステル単位を構成単位として含むアクリル系重合体を有する光学フィルムに関する。
近年、ディスプレイ市場の拡大に伴い、より画像を鮮明にみたいという要求が高まっており、単なる透明材料ではなく、より高度な光学特性が付与された光学材料が求められている。このような高度な光学特性の一つに複屈折性がある。一般に、高分子は分子主鎖方向とそれに垂直方向とで屈折率が異なるために複屈折を生じる。用途によっては、この複屈折を厳密にコントロールすることが求められている。例えば、液晶表示装置の偏光板に用いられる保護フィルムの場合は、全光線透過率が同じであっても複屈折がより小さい高分子材料成形体が必要とされ、トリアセチルセルロースが代表的な材料として用いられている。しかしながら、セルロース系樹脂フィルムは斜め方向の入射光に対して位相差を生じる。かかる位相差は、近年、液晶ディスプレイの大型化が進むにしたがって、顕著に視野角特性に影響を及ぼすようになっている。
一方、成形加工性や表面硬度などのバランスが良く、高い光線透過率や低複屈折、低波長依存性などの光学特性に優れているポリメタクリル酸メチル(PMMA)は光学材料として広く使用されており、例えば、特許文献1にはPMMAフィルムを延伸した偏光子保護フィルム開示されている。
また、透明性と耐熱性とを兼ね備えたアクリル樹脂として、主鎖に環構造を有する樹脂が知られている。主鎖に環構造を有する樹脂は、主鎖に環構造を有さないアクリル樹脂に比べてガラス転移温度(Tg)が高く、例えば、画像表示装置において光源などの発熱部に近接した配置が容易となるなど、実用上の様々な利点を有しており、例えば、特許文献2には環構造としてN−置換マレイミド構造を主鎖に有するアクリル樹脂からなる位相差フィルムが開示されている。
特開2000−206333号公報 特開2007−031537号公報
しかしながら、PMMAはわずかながらも固有複屈折を有しており、フィルムの延伸により、厚さ方向に位相差が生じてしまうために、視野角特性に影響が出るおそれがある。さらに、ガラス転移温度(Tg)が100℃程度と低く、より高い耐熱性が求められる用途への使用、例えば、画像表示装置への使用が困難であった。また、N−置換マレイミド構造を有するアクリル樹脂からなるフィルムは、硬く、可とう性に乏しいために、未延伸のまま使用することは困難であった。フィルムを延伸することにより、強度や可とう性を付与することできるが、N−置換マレイミド構造に由来する複屈折が発現するために、耐熱性を付与しながら、低位相差の光学フィルムとすることは困難であった。
本発明の目的は、低位相差で耐熱性や強度および可とう性に優れた光学フィルムを提供することである。
本発明の光学フィルムは、N−ベンジルマレイミド単位(a)5質量%以上50質量%以下および(メタ)アクリル酸エステル単位(b)50質量%以上95質量%以下を構成単位として含み、ガラス転移温度が110℃以上である、アクリル系重合体(A)を有し、波長589nmの光における面内位相差Reが0〜5nm、厚さ方向の位相差Rthが−5nm〜5nmである、二軸延伸光学フィルムである。
[フィルムの面内における遅相軸方向の屈折率をnx、フィルムの面内における進相軸方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、フィルムの厚さをdとしたときに、面内位相差Reは、Re=(nx−ny)×dで定義される値であり、厚さ方向の位相差Rthは、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dで定義される値である。]
本発明の光学フィルムは、前記アクリル系重合体(A)が、N−ベンジルマレイミド単位(a)5質量%以上45質量%未満、(メタ)アクリル酸エステル単位(b)50質量%以上90質量%未満および芳香族ビニル単量体単位(c)5質量%を越えて20質量%以下を構成単位として含むアクリル系重合体(A)であることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、波長400nmおよび750nmの光における、面内位相差Reが5nm以下、Rthが−5〜5nmであることが好ましい。
本発明により、可視光領域全体で面内位相差Reと厚さ方向の位相差Rthが小さく、耐熱性と強度を兼ね備えた光学フィルムを提供することができる。本発明の光学フィルムは、画像表示装置用の光学フィルム、特に偏光子保護フィルムとして好適に用いることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本明細書における「樹脂」は「重合体」よりも広い概念である。樹脂は、例えば1種類または2種類以上の重合体からなってもよいし、必要に応じて、重合体以外の材料、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、フィラーなどの添加剤、相溶化剤、安定化剤などを含んでいてもよい。
これ以降の説明において特に記載がない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を、それぞれ意味する。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。
[アクリル系重合体(A)]
本発明の光学フィルムに用いられるアクリル系重合体(A)は、N−ベンジルマレイミド単位(a)5質量%以上50質量%以下および(メタ)アクリル酸エステル単位(b)50質量%以上95質量%以下を構成単位として含む。N−ベンジルマレイミド単位(a)の含有量は5質量%以上45質量%未満がより好ましく、5質量%以上35質量%以下がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単位(b)の含有量は、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、65質量%以上90質量%以下がさらに好ましい。N−ベンジルマレイミド単位(a)の含有量が5質量%以下であると、耐熱性が不十分となるおそれがあり、50質量%より多いと、重合体中に残存するモノマーが多くなり、成形加工時の作業環境の安全性が懸念される。
本発明の光学フィルムに用いられるアクリル系重合体(A)は、N−ベンジルマレイミド単位(a)5質量%以上45質量%未満、(メタ)アクリル酸エステル単位(b)50質量%以上90質量%未満および芳香族ビニル単量体単位(c)5質量%を越えて20質量%以下を構成単位として含むことが好ましい。より好ましくは、N−ベンジルマレイミド単位(a)10質量%以上35質量%未満、(メタ)アクリル酸エステル単位(b)60質量%以上85質量%未満および芳香族ビニル単量体単位(c)5質量%を越えて15質量%以下である。
N−ベンジルマレイミド単位(a)において、ベンジル基は、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子やメチル基、エチル基などの炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシ基などの置換基を有していてもよく、置換基の数は制限されない。
(メタ)アクリル酸エステル単位(b)は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどの単量体に由来する構成単位が挙げられ、これらの(メタ)アクリル酸エステル単位の構成単位のうち1種類を単独で含んでいてもよいし、2種類以上併存してもよい。中でも、熱安定性や光学特性に優れる点で(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましく、メタクリル酸メチルを含むことが特に好ましい。
芳香族ビニル単量体単位(c)としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、メトキシスチレン、ビニルトルエン、ハロゲン化スチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレンなどの各単量体に由来する構成単位が挙げられ、これらのうち1種類を単独で含んでいてもよいし、2種類以上併存してもよい。
本発明の芳香族ビニル単量体単位(c)は、複素芳香族ビニル化合物単位であってもよく、例えば、ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルチオフェンの各単量体により形成される構成単位であってもよい。
本発明において、例えば、ベンジルマレイミド単位(a)は正の複屈折性を有し、(メタ)アクリル酸エステル単位(b)および/または、芳香族ビニル単量体単位(c)は、負の複屈折性を有することにより、延伸により発現する位相差を打ち消しあうためにアクリル系重合体(A)における位相差の発現性が小さくなることから、面内位相差Re、厚さ方向位相差Rthが小さい二軸延伸光学フィルムとすることができる。
アクリル系重合体(A)のTgは、110℃以上が好ましく、115℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましい。アクリル系重合体(A)のTgが高いことにより、本発明の光学フィルムは、画像表示装置における光源などの発熱部近傍への配置が容易となるなど、光学用途に好適である。Tgの上限については特に制限されないが、成形が容易になることから200℃以下が好ましい。
アクリル系重合体(A)の重量平均分子量は、2,000〜1,000,000の範囲が好ましく、10,000〜500,000の範囲がより好ましく、50,000〜300,000の範囲がさらに好ましい。
アクリル系重合体(A)はその他の共重合可能な構成単位を含んでいてもよく、その含有量は0〜10質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましく、0〜2質量%がさらに好ましく。0〜1質量%が特に好ましい。
その他の共重合可能な構成単位としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタリルアルコール、アリルアルコール、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニル、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドンなどの単量体に由来する構成単位である。これらその他の共重合可能な構成単位のうち、1種類を単独で含んでいてもよいし、2種類以上を併存してもよく、本発明の光学フィルムの面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthを満たす限り、特に制限はない。
アクリル系重合体(A)の重合方法は、特に限定されないが、溶剤を使用する重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
重合温度や重合時間は、使用する単量体の種類や割合などに応じて変化するが、例えば、好ましくは、重合温度が0〜150℃、重合時間が0.5〜20時間であり、より好ましくは、重合温度が80〜140℃、重合時間が1〜10時間である。
溶剤を使用する重合形態の場合、重合溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるアクリル系共重合体の残存揮発分が多くなることから、沸点が50〜200℃である溶剤が好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートなどのアゾ化合物;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑制するために、重合反応混合物中に生成したアクリル系重合体の濃度が50質量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中に生成したアクリル系共重合体の濃度が50質量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50質量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中に生成したアクリル系重合体の濃度は、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。なお、重合反応混合物中に生成したアクリル系重合体の濃度が低すぎると生産性が低下するので、重合反応混合物中に生成したアクリル系重合体の濃度は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中に生成したアクリル系重合体の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより充分に抑制することができる。添加する重合溶剤としては、例えば、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの単一溶剤であっても2種以上の混合溶剤であってもよい。
重合反応における単量体の重合転化率は90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、98%以上であることがさらに好ましい。重合転化率が90%未満であると、得られた重合体を加熱加工する際に、溶融した樹脂から未反応のN−置換マレイミド単量体が多量に揮散することになるため、N−置換マレイミド単量体が有する毒性により、人体および環境へ及ぼす影響が懸念されることから好ましくない。このことから、N−置換マレイミド単量体の重合転化率を向上させるため、交互共重合性のある芳香族ビニル単量体を共重合させることがより好ましい。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、N−ベンジルマレイミド単位(a)5質量%以上50質量%以下および(メタ)アクリル酸エステル単位(b)50質量%以上95質量%以下を構成単位として含むアクリル系重合体(A)を有し、波長589nmの光における面内位相差Reが0〜5nm、厚さ方向の位相差Rthが−5nm〜5nmである、二軸延伸光学フィルムである限り特に制限は無い。
本発明の光学フィルムは、波長589nmの光における面内位相差Reは0〜5nmであり、0〜3nmがより好ましく、0〜2nmであることがさらに好ましい。
本発明の光学フィルムは、波長589nmの光における厚さ方向の位相差Rthは−5nm〜5nmであり、−3〜3nmがより好ましく、−2〜2nmであることがさらに好ましい。
本発明の光学フィルムは、波長400nmおよび750nmの光における、面内位相差Reが5nm以下であることが好ましく、3nm以下がより好ましく、2nm以下がさらに好ましい。
本発明の光学フィルムは、波長400nmおよび750nmの光における、厚さ方向の位相差Rthが−5〜5nmであることが好ましく、−3〜3nmがより好ましく、−2〜2nmであることがさらに好ましい。
可視光領域における面内位相差や厚さ方向の位相差が上記の範囲を外れると、光学フィルムの屈折率の異方性が上昇し、当該フィルムを液晶表示装置に用いた場合に、視野角が狭くなる、コントラストが低下する等、低複屈折を要求される用途には適さないおそれがある。
本発明の光学フィルムは、Rth/dで表わされる厚さ方向の複屈折が−2×10−4〜2×10−4であることが好ましく、−1×10−4〜1×10−4であることがより好ましく、−0.5×10−4〜0.5×10−4であることがさらに好ましい。厚さ方向の複屈折が小さいことにより、フィルムの厚さの自由度が増すことから、光学フィルムとしての強度、可とう性を向上することができる。上記の範囲を外れると、光学フィルムの厚さを必要以上に薄くする必要があり、フィルムとしての強度が保てなくなるおそれがある。
本発明の光学フィルムは、N−置換マレイミド単位を構成単位として含むアクリル系重合体(A)を有するため、耐熱性に優れる。当該フィルムのTgは、例えば110℃以上であり、アクリル系重合体(A)の組成および光学フィルムにおけるアクリル系重合体(A)の含有率によっては、115℃以上、120℃以上、さらには130℃以上となる。このような高いTgを有する光学フィルムは、画像表示装置における光源などの発熱部近傍への配置が容易となるなど、光学用途に好適である。Tgの上限については特に制限されないが、成形が容易になることから200℃以下が好ましく、180℃以下がさらに好ましい。
本発明の光学フィルムにおけるアクリル系重合体(A)の含有量は60〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%がさらに好ましく、90〜100質量%が特に好ましい。
本発明の光学フィルムは、アクリル系重合体(A)以外の成分を、当該組成物に占める割合にして40質量%未満、より好ましくは20質量%未満、さらに好ましくは10質量%未満の範囲で含んでいてもよい。
その他の熱可塑性樹脂を含む場合、その他の熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのオレフィンポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂などのハロゲン含有ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレンポリマー;ポリメタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリルポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;トリアセチルセルロースなどのセルロースエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド;ポリアセタール:ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド:ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;などである。
その他の添加剤を含む場合、その他の添加剤は、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシケート系、ベンゾエート系、トリアジン系などの紫外線吸収剤;フェノール系、リン酸系、チオエーテル系などの酸化防止剤;位相差上昇剤、位相差低減剤などの位相差調整剤;位相差安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤に代表される帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラー、無機フィラー;樹脂改質剤;可塑剤;滑剤;難燃剤;ASAやABSなどのゴム質量体などである。本発明のアクリル樹脂における、前記その他の添加剤の添加量は、例えば0〜5%であり、好ましくは0〜2%であり、より好ましくは0〜0.5%である。過度に多いとブリードアウトやシルバーストリークが生じるために好ましくない。
本発明の光学フィルムは、二軸延伸してなることが好ましく、逐次二軸延伸、同時二軸延伸いずれの手法でもかまわない。本発明の光学フィルムにおける二軸延伸は、面内位相差Reが0〜5nm、厚さ方向の位相差Rthが−5nm〜5nmである限り、縦延伸−横延伸の2段延伸であっても、縦延伸−横延伸−縦延伸や横延伸−縦延伸−横延伸の3段延伸などの多段延伸であってもよい。本発明の光学フィルムは、二軸延伸フィルムであることにより、強度が高く、膜厚の均一性に優れる。未延伸フィルムの場合、位相差が小さく光学特性を満たすフィルムが得られやすいが、フィルムの強度が十分ではなく、単軸延伸フィルムの場合は、光学特性や強度に異方性が生じやすく、位相差特性を満たさなくなるおそれがある。
本発明の光学フィルムの延伸温度は特に限定されず、アクリル系重合体(A)を含む樹脂組成物のTg近傍の温度が好ましく、例えば、(Tg−20)〜(Tg+50)の範囲であり、より好ましくは(Tg−10)〜(Tg+30)の範囲である。(Tg−20)度以下であると延伸の際にフィルムが延伸に追随できずに破断しやすく、(Tg+50)度以上では延伸による効果が不十分となることがある。延伸速度は特に限定されず、例えば10〜20000%/分の範囲であり、より好ましくは100〜10000%/分の範囲内である。延伸速度が10%/分よりも遅いと、延伸を行うまでに時間がかかるため製造コストが高くなる。延伸速度が20000%/分よりも速いと、フィルムの破断等が起こるおそれがある。
本発明の光学フィルムは、未延伸フィルムに対して面積比で1.2倍〜25倍に延伸してなることが好ましく、1.5倍〜15倍がより好ましく、2倍〜10倍がさらに好ましい。倍率が1.2倍以下であるとフィルムの強度や可とう性が得られ難く、25倍以上であると、延伸倍率を上げるだけの効果が認められず、また延伸中にフィルムの破断が起こる場合があり好ましくない。
本発明の光学フィルムの厚さは、5〜250μmであり、好ましくは10〜150μmであり、より好ましくは20〜80μmである。5μmよりも薄いとフィルムとしての強度が不足するために好ましくなく、250μmよりも厚いと、フィルムの複屈折が大きくなることから好ましくない。
本発明の光学フィルムを形成する方法は特に限定されず、例えば、キャスト成形、溶融押出成形、プレス成形などの公知の手法を用いればよい。
本発明の光学フィルムを形成する方法として、押出成形法がある。具体的な例としては、アクリル系重合体(A)を含む光学フィルムを構成する各成分をオムニミキサーなどの混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を混練機から押出混練してもよい。押出混練に用いる混練機は特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機、あるいは加圧ニーダーなどの公知の混練機を用いることができる。
また、別途形成したアクリル系重合体(A)を含む樹脂を溶融押出成形してもよい。溶融押出法には、例えば、Tダイ法、インフレーション法などがあり、その際の成形温度は、好ましくは200〜350℃、より好ましくは250〜300℃、さらに好ましくは255℃〜300℃、特に好ましくは260℃〜300℃である。
Tダイ法を用いる場合、押出機の先端部にTダイを取り付け、このTダイから押し出したフィルムを巻き取ることで、ロール状に巻回させた樹脂フィルムを得ることができる。このとき、巻き取りの温度および速度を制御して、フィルムの押し出し方向に延伸(一軸延伸)を加えることも可能である。
押出成形に押出機を用いる場合、その種類は特に限定されず、単軸であっても二軸であっても多軸であってもよいが、そのL/D値は(Lは押出機のシリンダーの長さ、Dはシリンダー内径)、アクリル樹脂を十分に可塑化して良好な混練状態を得るために、好ましくは10以上100以下であり、より好ましくは15以上80以下であり、さらに好ましくは20以上60以下である。L/D値が10未満の場合、樹脂を十分に可塑化できず、良好な混練状態が得られないことがある。一方、L/D値が100を超えると樹脂に対して過度に剪断発熱が加わることで、組成物中の樹脂が熱分解する可能性がある。
またこの場合、シリンダーの設定温度は、好ましくは200℃以上350℃以下であり、より好ましくは250℃以上320℃以下である。設定温度が200℃未満では、樹脂の溶融粘度が過度に高くなって、樹脂フィルムの生産性が低下する。一方、設定温度が350℃を超えると、樹脂が熱分解する可能性がある。
押出成形に押出機を用いる場合、その形状は特に限定されないが、押出機が1個以上の開放ベント部を有することが好ましい。このような押出機を用いることによって、開放ベント部から分解ガスを吸引することができ、得られた樹脂フィルムに残存する揮発成分の量を低減できる。開放ベント部から分解ガスを吸引するためには、例えば、開放ベント部を減圧状態にすればよく、その減圧度は、開放ベント部の圧力にして、931〜1.3hPaの範囲が好ましく、798〜13.3hPaの範囲がより好ましい。開放ベント部の圧力が931hPaより高い場合、揮発成分、あるいは樹脂の分解により発生する単量体成分などが、樹脂中に残存しやすい。一方、開放ベント部の圧力を1.3hPaより低く保つことは工業的に困難である。
本発明の光学フィルムは、ポリマーフィルターで濾過した樹脂を成形してフィルムとすることが好ましい。ポリマーフィルターにより、樹脂中に存在する異物を除去できるため、得られたフィルムの外観上の欠点を低減できる。なお、ポリマーフィルターによる濾過時には、樹脂は高温の溶融状態となる。このため、ポリマーフィルターを通過する際に樹脂が劣化し、劣化により形成されたガス成分や着色劣化物が組成物中に流れだして、得られたフィルムに、穴あき、流れ模様、流れスジなどの欠点が観察されることがある。この欠点は、特に樹脂フィルムの連続成形時に観察されやすい。このため、ポリマーフィルターで濾過した樹脂を成形する際には、その成形温度は、樹脂の溶融粘度を低下させ、ポリマーフィルターにおける樹脂の滞留時間を短くするために、例えば200〜350℃であり、250〜320℃が好ましい。
ポリマーフィルターの構成は特に限定されないが、ハウジング内に多数枚のリーフディスク型フィルターを配したポリマーフィルターを好適に用いることができる。リーフディスク型フィルターの濾材は、金属繊維不織布を焼結したタイプ、金属粉末を焼結したタイプ、金網を数枚積層したタイプ、あるいはそれらを組み合わせたハイブリッドタイプのいずれでもよいが、金属繊維不織布を焼結したタイプが最も好ましい。
ポリマーフィルターによる濾過精度は特に限定されないが、通常15μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。濾過精度が1μm以下になると、樹脂の滞留時間が長くなることで当該組成物の熱劣化が大きくなる他、樹脂フィルムの生産性が低下する。一方、濾過精度が15μmを超えると、樹脂中の異物を除去することが難しくなる。
ポリマーフィルターの形状は特に限定されず、例えば、複数の樹脂流通口を有し、センターポール内に樹脂の流路を有する内流型;断面が複数の頂点もしくは面においてリーフディスクフィルタの内周面に接し、センターポールの外面に樹脂の流路がある外流型;などがある。特に、樹脂の滞留箇所の少ない外流型を用いることが好ましい。
ポリマーフィルターにおける樹脂の滞留時間に特に制限はないが、好ましくは20分以下であり、より好ましくは10分以下であり、さらに好ましくは5分以下である。また、濾過時におけるフィルター入口圧およびフィルター出口圧は、例えば、それぞれ、3〜15MPaおよび0.3〜10MPaであり、圧力損失(フィルターの入口圧と出口圧の圧力差)は、1MPa〜15MPaの範囲が好ましい。圧力損失が1MPa以下になると、樹脂がフィルターを通過する流路に偏りが生じやすく、得られた樹脂フィルムの品質が低下する傾向がある。一方、圧力損失が15MPaを超えると、ポリマーフィルターの破損が起こり易くなる。
ポリマーフィルターに導入される樹脂の温度は、その溶融粘度に応じて適宜設定すればよく、例えば250〜350℃であり、好ましくは255〜320℃であり、さらに好ましくは260〜300℃である。
ポリマーフィルターを用いた濾過処理により、異物、着色物の少ない光学フィルムを得る具体的な工程は、特に限定されない。例えば、(1)クリーン環境下で樹脂の形成および濾過処理を行い、引き続いてクリーン環境下で樹脂の成形を行うプロセス、(2)異物または着色物を有する樹脂を、クリーン環境下で濾過処理した後、引き続いてクリーン環境下で樹脂の成形を行うプロセス、(3)異物または着色物を有する樹脂を、クリーン環境下で濾過処理すると同時に成形を行うプロセス、などが挙げられる。それぞれの工程毎に、複数回、ポリマーフィルターによる樹脂の濾過処理を行ってもよい。
ポリマーフィルターによって樹脂を濾過する際には、押出機とポリマーフィルターとの間にギアポンプを設置して、フィルター内の樹脂の圧力を安定化することが好ましい。
光学フィルムの光学特性および機械的特性を安定させるために、延伸後、必要に応じて熱処理(アニーリング)を実施してもよい。
本発明の光学フィルムの表面には、必要に応じて、各種の機能性コーティング層が形成されていてもよい。機能性コーティング層は、例えば、帯電防止層、粘接着剤層、接着層、易接着層、防眩(ノングレア)層、光触媒層などの防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層などである。
本発明の光学フィルムの用途は特に限定されないが、その高い透明性、耐熱性により、光学部材として好適に用いることができる。光学部材は、例えば、光学用保護フィルム、具体的には、各種の光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LDなど)基板の保護フィルム、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置が備える偏光板に用いる偏光子保護フィルムである。位相差フィルム、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルムなどの光学フィルムとして、本発明の光学フィルムを用いてもよい。特に、偏光子保護フィルムとして好適に用いられる。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の説明では、便宜上、「質量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。フィルム物性の測定用サンプルは、幅方向の中央部からサンプルを取得した。
<ガラス転移温度>
各サンプルのガラス転移温度(Tg)はJIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温して得られたDSC曲線から始点法により算出した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により以下の条件で求めた。
システム:東ソー社製GPCシステム HLC−8220
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)、流量:0.6ml/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製、PS−オリゴマーキット)
測定側カラム構成:ガードカラム(東ソー社製、TSKguardcolumn SuperHZ−L)、分離カラム(東ソー社製、TSKgel SuperHZM−M)2本直列接続
リファレンス側カラム構成:リファレンスカラム(東ソー社製、TSKgel SuperH−RC)
<重合転化率>
各単量体の重合転化率は、ガスクロマトグラフを用いて、重合溶液中の単量体成分を定量し、単量体成分の重合転化率を求めた。
システム:島津製作所製 GC14B
カラム:信和化工製 キャピラリーカラム HR−1
<屈折率異方性>
波長400nm、589nm、750nmの各波長における、フィルムの面内位相差Re、厚さ方向の位相差Rthは、大塚電子社製RETS−100を用いて測定した。
また、厚さ方向の位相差値Rthは、アッベ屈折率計で測定したフィルムの平均屈折率、フィルムの厚さd、40°傾斜させて測定した位相差値(Re(40°))、三次元屈折率nx、ny、nzの値を得た後、下記式から求めた。なお、フィルムの面内における遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnzとした。
厚さ方向位相差Rth(nm)={(nx+ny)/2−nz}×d
<フィルムの厚さ>
フィルムの厚さdは、デジマチックマイクロメーター((株)ミツトヨ製)を用いて測定した。
<発泡性試験>
発泡性試験は、乾燥処理したアクリル系重合体を、JIS−K7210に規定されるメルトインデクサーのシリンダー内に装填し、280℃で20分間保持した後、ストランド状に押出し、得られたストランドの上部標線と下部標線との間に存在する長径0.5mm以上の泡の発生個数を計数し、アクリル系重合体1gあたりの個数で評価した。
◎:1個以下
○:5個以下
△:10個未満
×:10個以上
(製造例1)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した反応釜に、メタクリル酸メチル35部、N−ベンジルマレイミド10部、トルエン45部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤としてターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富製、商品名:ルペロックス570)0.04部を添加した。添加と同時に、メタクリル酸メチル2部、スチレン3部、トルエン5部を2時間かけて滴下し、これとは別にターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート0.16部を4時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を行い、さらに5時間かけて熟成を行った。各単量体の重合転化率は、メタクリル酸メチルが98%、N−ベンジルマレイミドが99%、スチレンが97%であった。得られた重合体溶液を減圧下220℃で1時間乾燥し、アクリル系重合体の透明な固体(A−1)を得た。重合体(A−1)の重量平均分子量は22万であり、ガラス転移温度は121℃であった。
(製造例2)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した反応釜に、メタクリル酸メチル30部、N−ベンジルマレイミド15部、トルエン45部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤としてターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富製、商品名:ルペロックス570)0.04部を添加した。添加と同時に、メタクリル酸メチル0.5部、スチレン4.5部、トルエン5部を2時間、ターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート0.16部を4時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を行い、さらに5時間かけて熟成を行った。各単量体の重合転化率は、メタクリル酸メチルが98%、N−ベンジルマレイミドが99%、スチレンが97%であった。得られた重合体溶液を減圧下220℃で1時間乾燥し、アクリル系重合体の透明な固体(A−2)を得た。重合体(A−2)の重量平均分子量は23万であり、ガラス転移温度は124℃であった。
(製造例3)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した反応釜に、メタクリル酸メチル45.5部、N−ベンジルマレイミド4.5部、トルエン50部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤としてターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富製、商品名:ルペロックス570)0.04部を添加すると同時に、ターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート0.16部を4時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を行い、さらに5時間かけて熟成を行った。各単量体の重合転化率は、メタクリル酸メチルが97%、N−ベンジルマレイミドが96%であった。得られた重合体溶液を減圧下200℃で1時間乾燥し、アクリル系重合体の透明な固体(A−3)を得た。重合体(A−3)の重量平均分子量は15万であり、ガラス転移温度は110℃であった。
(実施例1)
製造例1で得られた重合体(A−1)をプレス成形機により、250℃でプレスして厚さ132μmのフィルム(B−1)とした。次に、作製したB−1フィルムを、二軸延伸試験装置(東洋精機製作所社製、X−6S)を用いて、141℃、1000%/分の速度で縦方向に2倍、横方向に1.5倍の順に逐次二軸延伸を行った。延伸後、速やかに試験装置からフィルムを取り出して冷却し、厚さ39μmの二軸延伸フィルム(C−1)を得た。得られた延伸フィルムC−1の波長589nmの光における面内位相差Reは0.5nm、厚さ方向位相差Rthは1.4nm、ガラス転移温度は121℃であった。
(実施例2)
製造例2で得られた重合体(A−2)をプレス成形機により、255℃でプレスして厚さ138μmのフィルム(B−2)とした。次に、作製したB−2フィルムを、二軸延伸試験装置(東洋精機製作所社製、X−6S)を用いて、144℃、1000%/分の速度で縦方向に2倍、横方向に1.5倍の順に逐次二軸延伸を行った。延伸後、速やかに試験装置からフィルムを取り出して冷却し、厚さ40μmの二軸延伸フィルム(C−2)を得た。得られた延伸フィルムC−2の波長589nmの光における面内位相差Reは1.5nm、厚さ方向位相差Rthは2.8nm、ガラス転移温度は124℃であった。
(実施例3)
製造例3で得られた重合体(A−3)をプレス成形機により、245℃でプレスして厚さ138μmのフィルム(B−3)とした。次に、作製したB−3フィルムを、二軸延伸試験装置(東洋精機製作所社製、X−6S)を用いて、130℃、1000%/分の速度で縦方向に2倍、横方向に1.5倍の順に逐次二軸延伸を行った。延伸後、速やかに試験装置からフィルムを取り出して冷却し、厚さ41μmの二軸延伸フィルム(C−3)を得た。得られた延伸フィルムC−3の波長589nmの光における面内位相差Reは0.6nm、厚さ方向位相差Rthは2.4nm、ガラス転移温度は110℃であった。
(比較例1)
ポリメタクリル酸メチル(住友化学製、商品名:スミペックスEX)をプレス成形機により、230℃でプレスして厚さ146μmのフィルム(B−4)とした。次に、作製したB−3フィルムを、二軸延伸試験装置(東洋精機製作所社製、X−6S)を用いて、129℃、1000%/分の速度で縦方向に2倍、横方向に1.5倍の順に逐次二軸延伸を行った。延伸後、速やかに試験装置からフィルムを取り出して冷却し、厚さ51μmの二軸延伸フィルム(C−4)を得た。得られた延伸フィルムC−3の面内位相差Reは6.1nm、厚さ方向位相差Rthは−11.1nm、ガラス転移温度は109℃であった。
実施例と比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 2012203328
本発明によれば、N−ベンジルマレイミド単位と(メタ)アクリル酸エステル単位を構造単位として含むアクリル系重合体を有する二軸延伸光学フィルムとすることにより、可視光領域全体で面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthの発現が小さく、低位相差で耐熱性や強度および可とう性に優れた光学フィルムを提供することができる。また、本発明の光学フィルムは、各種画像表示装置(液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等)に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. N−ベンジルマレイミド単位(a)5質量%以上50質量%以下および(メタ)アクリル酸エステル単位(b)50質量%以上95質量%以下を構成単位として含み、ガラス転移温度が110℃以上である、アクリル系重合体(A)を有する光学フィルムであって、波長589nmの光における面内位相差Reが0〜5nm、厚さ方向の位相差Rthが−5nm〜5nmである、2軸延伸光学フィルム。
    [フィルムの面内における遅相軸方向の屈折率をnx、フィルムの面内における進相軸方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、フィルムの厚さをdとしたときに、面内位相差Reは、Re=(nx−ny)×dで定義される値であり、厚さ方向の位相差Rthは、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dで定義される値である。]
  2. 前記アクリル系重合体(A)が、N−ベンジルマレイミド単位(a)5質量%以上45質量%未満、(メタ)アクリル酸エステル単位(b)50質量%以上90質量%未満および芳香族ビニル単量体単位(c)5質量%を越えて20質量%以下を構成単位として含むアクリル系重合体(A)である、請求項1記載の2軸延伸光学フィルム。
  3. 波長400nmおよび750nmの光における、面内位相差Reが5nm以下、厚さ方向の位相差Rthが−5〜5nmである請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. ガラス転移温度が115℃以上である請求項1から3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の光学フィルムを用いた偏光子保護フィルム。
  6. 請求項5に記載の偏光子保護フィルムを用いた偏光板。
  7. 請求項6に記載の偏光板を用いた液晶表示装置。
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