JP2012203261A - レジスト組成物、レジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)のEUV(極紫外線)や、EB(電子線)、X線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、従来、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
たとえば現像液としてアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセスにてポジ型のレジストパターンを形成するための化学増幅型レジスト組成物としては、酸発生剤成分と、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分と、を含有するものが一般的に用いられている。かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用により樹脂成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大して、露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。そのためアルカリ現像することにより、未露光部がパターンとして残るポジ型パターンが形成される。
前記樹脂成分としては、一般的に、酸の作用により樹脂の極性が増大するものが用いられている。極性が増大すると、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する一方で、有機溶剤に対する溶解性は低下する。そのため、アルカリ現像プロセスでなく、有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いた溶剤現像プロセスを適用すると、露光部では、相対的に有機系現像液に対する溶解性が低下するため、該溶剤現像プロセスにおいては、レジスト膜の未露光部が有機系現像液により溶解、除去されて、露光部がパターンとして残るネガ型のレジストパターンが形成される。このようにネガ型のレジストパターンを形成する溶剤現像プロセスをネガ型現像プロセスということがある(たとえば特許文献1)。
ベース樹脂は、一般的に、リソグラフィー特性等の向上のために、複数の構成単位を含有している。たとえば前記酸の作用により樹脂の極性が増大する樹脂成分の場合、通常、酸発生剤成分から発生した酸の作用により分解して極性が増大する酸分解性基を有する構成単位を含み、その他、水酸基等の極性基を有する構成単位、ラクトン構造を有する構成単位等を含むものが用いられている。特に、極性基を有する構成単位は、アルカリ現像液との親和性を高め、解像性の向上に寄与することから汎用されている。
最近、ベース樹脂として、−SO2−NH−構造を有するものが提案されている(たとえば特許文献3〜4参照)。かかるベース樹脂は、波長193nm付近の透明性に優れ、適度な酸性度を持ち、高感度化とともに解像性・ラフネスの総合的なリソグラフィ性能向上に寄与するとされている。
ラフネスは、レジストパターンの表面荒れを意味し、レジストパターンの形状不良の原因となる。たとえば線幅のラフネス(ラインワイズラフネス(LWR))は、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅の不均一さに代表される形状不良の原因となる。
レジストパターンの形状不良は、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがあり、パターンが微細化するほどその改善が重要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、リソグラフィー特性に優れ、良好な形状のレジストパターンを形成できるレジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
前記基材成分(A)が、下記一般式(a0−1)または下記一般式(a0−2)で表される構成単位(a0)を有する樹脂成分(A1)を含有し、
前記酸発生剤成分(B)が、下記一般式(b0−1)または(b0−2)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)を含有することを特徴とするレジスト組成物である。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「ハロゲン化アルキル基」はアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、「ハロゲン化アルキレン基」はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」はアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基であり、「フッ素化アルキレン基」はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基である。
本発明のレジスト組成物は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有する。
かかるレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部にて(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部では(A)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため該レジスト膜を現像すると、当該レジスト組成物がポジ型の場合は露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、当該レジスト組成物がネガ型の場合は未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
本明細書においては、露光部が溶解除去されてポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をポジ型レジスト組成物といい、未露光部が溶解除去されるネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。
本発明のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。
また、本発明のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
本発明のレジスト組成物は、(A)成分(酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分)として、特定の一般式(a0−1)または下記一般式(a0−2)で表される構成単位(a0)を有する樹脂成分(A1)(以下、(A1)成分という。)を含有する。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。本明細書および特許請求の範囲において「樹脂」という場合、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大するものであってもよく、酸の作用により現像液に対する溶解性が減少するものであってもよい。
アルカリ可溶性基材成分は、通常、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等のアルカリ可溶性基を有しており、架橋剤成分としては、メチロール基、アルコキシメチル基等の、酸の作用により該アルカリ可溶性基と反応し得る反応性基を有するものが用いられる。そのため、かかるレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部にて(B)成分から酸が発生し、該酸の作用によりアルカリ可溶性基材成分と架橋剤成分との間で架橋が起こり、アルカリ可溶性基材成分のアルカリ可溶性基の減少およびそれに伴う極性の低下、分子量の増大等が生じ、結果、アルカリ現像液に対する溶解性が減少(有機系現像液に対する溶解性が増大)する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性(有機系現像液に対して可溶性)へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性(有機系現像液に対して難溶性)のまま変化しないため、アルカリ現像液で現像することによりネガ型レジストパターンが形成できる。また、このとき現像液として有機系現像液を用いると、ポジ型のレジストパターンが形成できる。
架橋剤成分としては、例えば、通常は、メチロール基またはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤、メラミン系架橋剤などを用いると、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。架橋剤成分の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
なお、アルカリ可溶性基材成分が自己架橋性を有する場合(たとえばアルカリ可溶性基材成分が、酸の作用によりアルカリ可溶性基と反応し得る基を有する場合)は、必ずしも架橋剤成分は配合しなくてもよい。
つまり、アルカリ現像プロセスを適用する場合、(A−1)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することによりポジ型レジストパターンが形成できる。一方、溶剤現像プロセスを適用する場合、(A−1)成分は、露光前は有機系現像液に対して溶解性が高く、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が高くなって有機系現像液に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部は有機系現像液に対して可溶性から難溶性に変化する一方で、未露光部は可溶性のまま変化しないため、有機系現像液で現像することにより、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、ネガ型レジストパターンが形成できる。
本発明において、(A)成分は、(A−1)成分であることが好ましい。したがって、(A1)成分は、酸の作用により極性が増大する樹脂成分であることが好ましい。
(構成単位(a0))
(A1)成分は、下記一般式(a0−1)または下記一般式(a0−2)で表される構成単位(a0)を有する。
Rにおける炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基としてとしては、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」は、水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の基または原子)で置換されていてもよい2価の炭化水素基である。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
Xにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香族炭化水素環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−、−NH−、−NR04(R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)−、−NH−C(=O)−、=N−等の非炭化水素系連結基、これらの非炭化水素基の少なくとも1種と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。該2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい2価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
酸分解性部位としては、たとえば、カルボニルオキシ基と、その末端の酸素原子(−O−)に結合した第三級炭素原子とを有するものが挙げられる。かかる酸解離性部位に酸が作用すると、酸素原子と第三級炭素原子との間の結合が解裂する。
Xがかかる酸分解性部位を有する場合、露光時に(B)成分から発生した酸がX中の酸分解性部位を分解させることで(A1)成分の極性が増大する。そのため、当該(A1)成分が構成単位(a0)のみから構成される場合でも、酸の作用により極性が増大する性質を有するものとなる。
Xが直鎖状または分岐鎖状アルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」の説明中、「直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基」として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
Xが2価の脂環式炭化水素基である場合、該脂環式炭化水素基としては、前記「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」の説明中、「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」として挙げた脂環族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該脂環式炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
Xが−NH−の場合、そのHはアルキル基、アリール基(芳香族基)等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アリール基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y21−O−Y22−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Y21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Y22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH2)a’−C(=O)−O−(CH2)b’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
Y2におけるヘテロ原子を含む2価の連結基としては、少なくとも1種と非炭化水素基と2価の炭化水素基との組み合わせからなる有機基が好ましい。なかでも、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエーテル結合またはエステル結合を含む基、が好ましく、前記式−Y21−O−Y22−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基がより好ましく、前記式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基好ましい。
R1は、任意の位置に酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい(n+1)価の環状の脂肪族炭化水素基である。
ここで、「酸素原子または硫黄原子を含む」とは、炭素鎖(環状の場合は環骨格)中に酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)が挿入されていることを示す。
該環状の脂肪族炭化水素基の炭素数は、3〜20であることが好ましく、5〜12であることがより好ましい。
該環状の脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、飽和であることが好ましい。
該環状の脂肪族炭化水素基は、単環式、多環式のいずれであってもよい。ガラス転移温度(Tg)が高くなることによりリソグラフィー特性が向上する点や、エッチング耐性がより向上する点から、多環式であることが好ましく、2〜4環式であることが好ましい。
単環式の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから(n+1)個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂肪族炭化水素基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから(n+1)個の水素原子を除いた基が好ましい。該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはノルボルナン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)、アダマンタン、トリシクロデカン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン)、テトラシクロ[6.2.1.1(3,6).0(2,7)]ドデカン等が挙げられる。
たとえばnが1である場合のR1の好ましい具体例として、
シクロプロパンジイル基、シクロブタ−1,2−ジイル基、シクロブタ−1,3−ジイル基、シクロペンタ−1,2−ジイル基、シクロペンタ−1,3,−ジイル基、シクロヘキサ−1,2−ジイル基、シクロヘキサ−1,3−ジイル基、シクロヘキサ−1,4−ジイル基、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,3−ジイル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジイル基、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジイル基、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,6−ジイル基、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,6−ジイル基、7−チオビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,6−ジイル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジイル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−4,8−ジイル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−5,8−ジイル基、10−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジイル基、10−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−4,8−ジイル基、10−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−5,8−ジイル基、アダマンタ−1,3−ジイル基、アダマンタ−1,2−ジイル基、などが挙げられる。
該アルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である場合、その炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜7であることがさらに好ましい。
環状のアルキレン基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜16であることがより好ましい。
該環状のアルキレン基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式のアルキレン基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとして具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式のアルキレン基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Yとしては、単結合が特に好ましい。
鎖状のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。
鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜7がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。具体例として、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、3−メチル−2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基などが挙げられる。
環状のアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、4〜15がより好ましく、5〜12がさらに好ましい。
環状のアルキル基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式のアルキレン基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとして具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式のアルキレン基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。好ましい具体例として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、などが挙げられる。
該鎖状もしくは環状のアルキル基は、任意の位置に酸素原子(−O−)を含んでいてもよく、該アルキル基の水素原子を置換する置換基を有していてもよい。
酸素原子を含む鎖状もしくは環状のアルキル基としては、アルコキシ基、アルコキシアルキル基等が挙げられる。また、酸素原子を含む環状のアルキル基としては、テトラヒドロピラン等の環状エーテルから炭素原子を1つ除いた基(以下、環状エーテル基ということがある。)等も挙げられる。
鎖状もしくは環状のアルキル基の水素原子を置換する置換基としては、アルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。これらのうち、置換基としてのアルキル基およびフッ素化アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましい。
アルキル基が鎖状である場合、置換基として環状のアルキル基を有していてもよい。
アルキル基が環状である場合、置換基として鎖状のアルキル基を有していてもよい。
「酸解離性基」は、酸(露光により(B)成分から発生する酸等)の作用により、少なくとも、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子(ここではR2およびR3が結合した窒素原子)との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基である。
任意の位置に酸素原子を含んでいてもよく置換基を有していてもよい鎖状もしくは環状のアルキル基であって酸解離性基である基としては、隣接する原子(ここではR2およびR3が結合した窒素原子)に結合する原子が第3級炭素原子であるアルキル基、アセタール型酸解離性基等が挙げられる。
隣接する原子に結合する原子が第3級炭素原子であるアルキル基としては、たとえば、置換基として環状のアルキル基を有していてもよい分岐鎖状の第3級アルキル基、環状のアルキル基の環骨格上、当該アルキル基に隣接する原子(ここではR2およびR3が結合した窒素原子)と結合する炭素原子にアルキル基が結合して第3級炭素原子が形成されている基、等が挙げられる。
分岐鎖状の第3級アルキル基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。
置換基として環状のアルキル基を有する分岐鎖状の第3級アルキル基としては、後述する構成単位(a1)の説明中、酸解離性基として例示する(ii)の基(その具体例として一般式(2−1)〜(2−6)で表される基)等が挙げられる。
環状のアルキル基の環骨格上、当該アルキル基に隣接する原子と結合する炭素原子にアルキル基が結合して第3級炭素原子が形成されている基としては、後述する構成単位(a1)の説明中、酸解離性基として例示する(i)の基(その具体例として一般式(1−1)〜(1−9)で表される基)等が挙げられる。
アセタール型酸解離性基としては、鎖状または環状のアルコキシ基、環状エーテル基等が挙げられ、その具体例としては、後述する構成単位(a1)の説明中、酸解離性基として例示するアセタール型酸解離性基と同様のものが挙げられる。
R2およびR3におけるフッ素化アルキル基は、鎖状であることが好ましく、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。該フッ素化アルキル基としては、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
R2およびR3におけるアルコキシカルボニル基におけるアルキル基としては、前記R2およびR3におけるアルキル基と同様のものが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、鎖状のアルコキシカルボニル基が好ましく、たとえば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基等が挙げられる。なかでも、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基等の鎖状の第3級アルコキシカルボニル基が好ましい。
該環は、単環式であっても多環式であってもよく、単環式であることが好ましい。単環式である場合、該環は、窒素原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
形成される環としてより具体的には、たとえば、飽和炭化水素環の環骨格を構成する−CH2−を−NH−で置換し、該−NH−から水素原子を除いたものが挙げられる。該飽和炭化水素環は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。飽和炭化水素環の具体例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカン;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカン;等が挙げられる。
該環は、環骨格を構成する原子として、炭素原子および窒素原子以外に、酸素原子を有していてもよい。
該環には、置換基が結合していてもよい。該置換基としては、アルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。これらのうち、置換基としてのアルキル基およびフッ素化アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましい。
R2およびR3は相互に結合して環を形成している場合に、−N(R2)(R3)で表される基の好ましい例として、ピロリジニル基、ピペリジノ基、4−メチルピペリジノ基、等が挙げられる。
本発明のレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する(または溶剤現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する)レジスト組成物である場合、R2およびR3の少なくとも一方が水素原子である−SO2−N(R2)(R3)は、アルカリ可溶性基として機能し、架橋剤成分との間で架橋を形成し得る。
本発明のレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成し、溶剤現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物である場合、R2およびR3の少なくとも一方が水素原子である−SO2−N(R2)(R3)は、極性基として機能し、(A1)成分の極性を高める。極性の向上、特に露光後の極性の向上は、特にアルカリ現像プロセスの場合に、現像液との親和性を高め、解像性等の向上に寄与する。
該鎖状もしくは環状のアルキル基、フッ素化アルキル基としてはそれぞれ、前記R2およびR3の説明で挙げた鎖状もしくは環状のアルキル基、フッ素化アルキルと同様のものが挙げられる。
R4としては、フッ素化アルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
前記一般式(a0−2)で表される構成単位としては、下記一般式(a0−2−1)〜(a0−2−4)で表される構成単位が好ましく、式(a0−1−4)で表される構成単位が特に好ましい。
L’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が挿入された基が挙げられ、たとえば−O−CH2−、−CH2−O−CH2−、−CH2−O−(CH2)2−、−S−CH2−、−CH2−S−CH2−、−CH2−S−(CH2)2−等が挙げられる。
L’としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−がより好ましく、メチレン基または−O−がさらに好ましい。
式(a0−2−1)〜(a0−2−4)で表される構成単位としては、上記のなかでも、XおよびYが単結合であるものが好ましい。また、R4がフッ素化アルキル基であるものが、トリフルオロメチル基であるものが特に好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a0)の割合は、特に限定されず、当該レジスト組成物の用途、リソグラフィー特性等を考慮して適宜設定できる。
たとえば、本発明のレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する(または溶剤現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する)レジスト組成物である場合、(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、20〜90モル%が好ましく、30〜90モル%がより好ましい。20モル%以上であると解像性が向上し、90モル%以下であると露光余裕度が向上する。
本発明のレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する(または溶剤現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する)レジスト組成物である場合、(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、1〜70モル%が好ましく、5〜60モル%がより好ましい。上記範囲内とすることで、本発明の効果が向上する。
たとえばアルカリ現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する(または溶剤現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する)レジスト組成物のベース樹脂としては、例えば特開2000−206694号公報に開示されている、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸のアルキルエステル(好ましくは炭素数1〜5のアルキルエステル)から選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂;米国特許6949325号公報に開示されている、スルホンアミド基を有するα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル樹脂またはポリシクロオレフィン樹脂;米国特許6949325号公報、特開2005−336452号公報、特開2006−317803号公報に開示されている、フッ素化アルコールを含有し、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル樹脂;特開2006−259582号公報に開示されている、フッ素化アルコールを有するポリシクロオレフィン樹脂等のアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
なお、前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸のうち、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
これらのアルカリ可溶性樹脂を構成する構成単位の一部を構成単位(a0)で置換することで(A1)成分とすることができる。
(A−1)成分を構成する構成単位の種類としては、特に限定されないが、たとえば、エチレン性二重結合(C=C)を有する化合物から誘導される構成単位が挙げられる。
ここで、「エチレン性二重結合を有する化合物から誘導される構成単位」とは、エチレン性二重結合を有する化合物におけるエチレン性二重結合が開裂して単結合となった構造の構成単位を意味する。
エチレン性二重結合を有する化合物としては、たとえば、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸またはそのエステル、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリルアミドまたはその誘導体、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいスチレンまたはその誘導体、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいビニルナフタレンまたはその誘導体、等が挙げられる。これらの中でも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルが好ましい。
本明細書において、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して(α置換)アクリル酸エステルということがある。
α置換アクリル酸エステルのα位の炭素原子に結合する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
前記α位の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記α位の置換基としての炭素数1〜5のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
前記α位の置換基としての炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として具体的には、上記の炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
前記α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基が好ましく、具体的には、上記の炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がヒドロキシ基で置換された基が挙げられる。
本発明において、(α置換)アクリル酸エステルのα位の炭素原子に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基としては、特に限定されないが、たとえば後述する構成単位(a1)〜(a4)の説明で挙げるような、酸解離性基、−SO2−含有環式基、ラクトン含有環式基、極性基含有炭化水素基、酸非解離性の脂肪族多環式基等の特性基、該特性基を構造中に含む特性基含有基等が挙げられる。該特性基含有基としては、たとえば、前記特性基に2価の連結基が結合した基等が挙げられる。2価の連結基としては、たとえば後述する構成単位(a1)の説明で挙げる一般式(a1−0−2)中のY2の2価の連結基と同様のものが挙げられる。
アクリルアミドまたはその誘導体のα位の炭素原子に結合してもよい置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルのα位の炭素原子に結合する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
(α置換)アクリルアミドのアミノ基末端の水素原子の一方または両方を置換する置換基としては、有機基が好ましい。該有機基としては、特に限定されないが、たとえば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基と同様のものが挙げられる。
(α置換)アクリルアミドのアミノ基末端の水素原子の一方または両方が置換基で置換された化合物としては、たとえば前記(α置換)アクリル酸エステル中のα位の炭素原子に結合した−C(=O)−O−を、−C(=O)−N(Rb)−[式中、Rbは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。]で置換した化合物が挙げられる。
式中、Rbにおけるアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。
ヒドロキシスチレンは、ベンゼン環に、1つのビニル基と、少なくとも1つの水酸基とが結合した化合物である。ベンゼン環に結合する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が特に好ましい。ベンゼン環における水酸基の結合位置は特に限定されない。水酸基の数が1つである場合は、ビニル基の結合位置のパラ4位が好ましい。水酸基の数が2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
スチレンまたはその誘導体のα位の炭素原子に結合してもよい置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルのα位の炭素原子に結合する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
スチレンまたはその誘導体のベンゼン環に結合してもよい、水酸基以外の置換基としては、特に限定されず、たとえば、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
(α置換)ヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子が有機基で置換された化合物における有機基としては、特に限定されないが、たとえば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基として挙げた有機基が挙げられる。
ビニル(ヒドロキシナフタレン)は、ナフタレン環に、1つのビニル基と、少なくとも1つの水酸基とが結合した化合物である。ビニル基は、ナフタレン環の1位に結合していてもよく、2位に結合していてもよい。ナフタレン環に結合する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が特に好ましい。ナフタレン環における水酸基の結合位置は特に限定されない。ナフタレン環の1位または2位にビニル基が結合している場合、ナフタレン環の5〜8位のいずれかが好ましい。特に、水酸基の数が1つである場合は、ナフタレン環の5〜7位のいずれかが好ましく、5または6位が好ましい。水酸基の数が2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
ビニルナフタレンまたはその誘導体のα位の炭素原子に結合してもよい置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルのα位の炭素原子に結合する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
ビニルナフタレンまたはその誘導体のナフタレン環に結合してもよい、水酸基以外の置換基としては、前記(α置換)ヒドロキシスチレンのベンゼン環に結合してもよい、水酸基以外の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
(α置換)ビニル(ヒドロキシナフタレン)の水酸基の水素原子が有機基で置換された化合物における有機基としては、特に限定されないが、たとえば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基と同様のものが挙げられる。
(α置換)アクリルアミドまたはその誘導体から誘導される構成単位から誘導される構成単位として具体的には、下記一般式(II)で表される構成単位が挙げられる。
(α置換)スチレンまたはその誘導体から誘導される構成単位から誘導される構成単位として具体的には、下記一般式(III)で表される構成単位が挙げられる。
(α置換)ビニルナフタレンまたはその誘導体から誘導される構成単位として具体的には、下記一般式(IV)で表される構成単位が挙げられる。
「酸分解性基」は、酸(露光により(B)成分から発生する酸)の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。酸分解性基について、詳しくは、後述する構成単位(a1)で説明する。
構成単位(a0)が、酸分解性基を含む場合(たとえば式(a0−1)または(a0−2)中のXが構造中に酸分解性部位を有する場合や、式(a0−1)中のR2およびR3のいずれか一方または両方が酸解離性基である場合)、(A1)成分は、構成単位(a0)のみからなるものであってもよく、さらに、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有してもよい。
構成単位(a0)として、酸解離性基を含むものを有さない場合、(A1)成分は、構成単位(a0)以外に、さらに、構成単位(a1)を有する必要がある。
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、上述したとおり、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SO3H)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−O−Hを含有する極性基(以下、OH含有極性基ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基を酸解離性基で保護した基(たとえばOH含有極性基の水素原子を酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
「酸解離性基」は、酸(露光により(B)成分から発生する酸等)の作用により、少なくとも、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基である。酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、アルカリ現像プロセスを適用する場合であれば、相対的に、アルカリ現像液に対する溶解性が増大し、他方、溶剤現像プロセスを適用する場合であれば、有機溶剤を含有する有機系現像液に対する溶解性が減少する。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基が形成される。
前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性基としては、脂肪族分岐鎖状第3級アルキルエステル型酸解離性基、脂肪族環式基を含有する第3級アルキルエステル型酸解離性基、芳香族環式基を含有する第3級アルキルエステル型酸解離性基等が挙げられる。
脂肪族分岐鎖状第3級アルキルエステル型酸解離性基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
脂肪族環式基を含有する第3級アルキルエステル型酸解離性基における脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる環(炭化水素環)であることに限定はされないが、炭化水素環であることが好ましい。また、該炭化水素環は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などの脂環式炭化水素基が挙げられる。また、これらの脂環式炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されたものであってもよい。
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合して第3級炭素原子が形成されている基。
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基。
前記(i)の基において、脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に結合する置換基としては、たとえばアルキル基が挙げられる。該アルキル基としては、たとえば後述する式(1−1)〜(1−9)中のR14と同様のものが挙げられる。
前記(i)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
前記(ii)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
式(2−1)〜(2−6)中、R15〜R16のアルキル基としては、前記R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
芳香族環式基は、水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基等が挙げられる。
芳香族環式基を含有する第3級アルキルエステル型酸解離性基としては、たとえば、下記(iii)の基等が挙げられる。
(iii)1価の芳香族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基。
前記(iii)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(3)で表される基等が挙げられる。
Rr、Rsのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rr、Rsの炭素数1〜5のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rr、Rsの炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基としてとしては、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
rは0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
sは0〜4の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
アセタール型酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R1’,R2’のアルキル基としては、上記アクリル酸エステルについての説明で、α位の置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’,R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」で挙げた脂肪族環式基と同様のものが例示できる。
特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、エチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17と、R19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
構成単位(a11)〜(a13)における酸分解性基、酸解離性基としては、それぞれ前記と同様のものが挙げられる。
構成単位(a1)としては、上記のなかでも、構成単位(a11)が好ましい。
構成単位(a11)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸分解性基を含む構成単位である。
構成単位(a11)としては、たとえば、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位等が挙げられる。
X1は、酸解離性基であれば特に限定されることはなく、たとえば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性基、アセタール型酸解離性基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性基が好ましい。
X2は、式(a1−0−1)中のX1と同様である。
Y2の2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
前記2価の炭化水素基において、「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の基または原子)で置換されていることを意味する。
前記連結基における2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
Y2における2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香族炭化水素環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−、−NH−、−NR04(R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)−、−NH−C(=O)−、=N−等の非炭化水素系連結基、これらの非炭化水素基の少なくとも1種と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。該2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい2価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
Y2が直鎖状または分岐鎖状アルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記R1における2価の連結基の説明中、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
Y2が2価の脂環式炭化水素基である場合、該脂環式炭化水素基としては、前記Y2における2価の連結基の説明中、「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」として挙げた脂環族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該脂環式炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
Y2が−NH−の場合、そのHはアルキル基、アリール基(芳香族基)等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アリール基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y21−O−Y22−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記でY2における「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Y21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Y22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH2)a’−C(=O)−O−(CH2)b’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
Y2におけるヘテロ原子を含む2価の連結基としては、少なくとも1種と非炭化水素基と2価の炭化水素基との組み合わせからなる有機基が好ましい。なかでも、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエーテル結合またはエステル結合を含む基、が好ましく、前記式−Y21−O−Y22−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基がより好ましく、前記式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基好ましい。
R1’、R2’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR1’、R2’、n、Yと同様のものが挙げられる。
Y2としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるY2と同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
式(a1−0−11)中、R21のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
R22が、当該R22が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族単環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、単環式基であるものと同様のものが挙げられる。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該モノシクロアルカンは、3〜11員環であることが好ましく、3〜8員環であることがより好ましく、4〜6員環がさらに好ましく、5または6員環が特に好ましい。
該モノシクロアルカンは、環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
また、該モノシクロアルカンは、置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基を有していてもよい。
かかる脂肪族単環式基を構成するR22としては、たとえば、炭素原子間にエーテル基(−O−)が介在してもよい直鎖状のアルキレン基が挙げられる。
各式中、hは、1または2が好ましい。
R24が、当該R24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、多環式基であるものと同様のものが挙げられる。
式(a1−0−12)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−26)、(a1−1−28)〜(a1−1−30)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−12)で表される構成単位としては、R24が、当該R24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−26)で表される構成単位が好ましい。
R25の直鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14のアルキル基で挙げた直鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
式(a1−0−13)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−1)〜(a1−1−3)、(a1−1−7)〜(a1−1−15)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−13)で表される構成単位としては、R24が、当該R24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−1)または(a1−1−2)で表される構成単位が好ましい。
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、特に、式中のY2が前記式−Y21−O−Y22−で表される基、前記式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基、または前記式−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基であるものが好ましい。
かかる構成単位として、好ましいものとしては、下記一般式(a1−3−01)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−02)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−03)で表される構成単位などが挙げられる。
R14は、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14と同様である。
yは、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が最も好ましい。
n’は、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
式(a1−3−01)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位等が挙げられる。
式(a1−3−02)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−27)〜(a1−3−28)で表される構成単位等が挙げられる。
Y2’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
Y2”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性基は、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性基であることが好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に置換基が結合して第3級炭素原子が形成されている基がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
wは0〜3の整数であり、wは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(a1−3−03)で表される構成単位としては、下記一般式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位が好ましく、中でも、式(a1−3−03−1)で表される構成単位が好ましい。
b’は、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
tは1〜3の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−29)〜(a1−3−32)で表される構成単位が挙げられる。
構成単位(a12)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいヒドロキシスチレンから誘導される構成単位の水酸基の水素原子が酸解離性基または酸解離性基を含む置換基で置換されてなる構成単位である。
「α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいヒドロキシスチレン」は、前記「スチレンまたはその誘導体」の説明で挙げた(α置換)ヒドロキシスチレンと同様である。
構成単位(a12)において、水酸基の水素原子を置換する酸解離性基としては、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性基またはアセタール型酸解離性基が好ましく、アセタール型酸解離性基がより好ましい。
酸解離性基を含む置換基としては、酸解離性基と2価の連結基とから構成される基が挙げられる。2価の連結基としては、前記式(a1−0−2)中のY2の説明で挙げた2価の連結基と同様のものが挙げられる。2価の連結基としては、特に、酸解離性基側の末端構造がカルボニルオキシ基である基が好ましい。この場合、該カルボニルオキシ基の酸素原子(−O−)に酸解離性基が結合していることが好ましい。
酸解離性基を含む置換基としては、R11’−O−C(=O)−で表される基、R11’−O−C(=O)−R12’−で表される基が好ましい。式中、R11’は酸解離性基であり、R12’は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。
R11’における酸解離性基は、第3級アルキルエステル型酸解離性基またはアセタール型酸解離性基が好ましく、第3級アルキルエステル型酸解離性基がより好ましい。
R11’における第3級アルキルエステル型酸解離性基の好ましい例として、前述した−C(R71)(R72)(R73)で表される脂肪族分岐鎖状酸解離性基、式(1−1)〜(1−9)で表される基、式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
R12’におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。R12’としては、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
構成単位(a12)として具体的には、前記「スチレンまたはその誘導体から誘導される構成単位」の説明で挙げた一般式(III)中のpが1〜3の整数(好ましくは1)であり、Xcが酸解離性基または酸解離性基を含む置換基であるものが挙げられる。
構成単位(a13)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいビニル(ヒドロキシナフタレン)から誘導される構成単位の水酸基の水素原子が酸解離性基または酸解離性基を含む置換基で置換されてなる構成単位である。
「α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいビニル(ヒドロキシナフタレン)」は、前記「ビニルナフタレンまたはその誘導体」の説明で挙げた(α置換)ビニル(ヒドロキシナフタレン)と同様である。
構成単位(a13)において、水酸基の水素原子を置換する酸解離性基、酸解離性基を含む置換基としては、それぞれ、前記構成単位(a12)の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
構成単位(a13)として具体的には、前記「ビニルナフタレンまたはその誘導体から誘導される構成単位」の説明で挙げた一般式(IV)中のxが1〜3の整数(好ましくは1)であり、Xdが酸解離性基または酸解離性基を含む置換基であるものが挙げられる。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、15〜70モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、感度、解像性、パターン形状等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A1)成分は、構成単位(a0)に加えて、または構成単位(a0)および(a1)に加えて、さらに、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって−SO2−含有環式基を含む構成単位(以下、構成単位(a2S)という。)、およびα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であってラクトン含有環式基または環状カーボネート骨格を含む構成単位(以下、構成単位(a2L)という。)、からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位(a2)を有することが好ましい。
構成単位(a2)の−SO2−含有環式基、ラクトン環式基またはカーボネート骨格含有環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めうえで有効なものである。また、アルカリ現像液等の水を含有する現像液との親和性が向上する点で、アルカリ現像プロセスにおいて有効である。
なお、前記構成単位(a0)または(a1)がその構造中に−SO2−含有環式基、ラクトン含有環式基または環状カーボネート骨格を含むものである場合、該構成単位は構成単位(a2)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a0)または(a1)に該当し、構成単位(a2)には該当しないものとする。
構成単位(a2S)は、−SO2−含有環式基を含む(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
−SO2−含有環式基とは、上述したとおり、その環骨格中に−SO2−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO2−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に−SO2−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。−SO2−含有環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
−SO2−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO2−を含む環式基、すなわち−O−SO2−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。
−SO2−含有環式基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、4〜20であることが好ましく、4〜15であることがより好ましく、4〜12であることが特に好ましい。ただし、該炭素数は環骨格を構成する炭素原子の数であり、置換基における炭素数を含まないものとする。
−SO2−含有環式基は、−SO2−含有脂肪族環式基であってもよく、−SO2−含有芳香族環式基であってもよい。好ましくは−SO2−含有脂肪族環式基である。
−SO2−含有脂肪族環式基としては、その環骨格を構成する炭素原子の一部が−SO2−または−O−SO2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基が挙げられる。より具体的には、その環骨格を構成する−CH2−が−SO2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基、その環を構成する−CH2−CH2−が−O−SO2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基等が挙げられる。
該脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
該脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式の脂環式炭化水素基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状の何れであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。その炭素数は1〜30が好ましい。
該アルキル基が直鎖状または分岐鎖状である場合、その炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜17であることがより好ましく、1〜15であることがさらに好ましく、1〜10が特に好ましい。具体的には、この後、脂肪族炭化水素基として例示する直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基の具体例と同様のものが挙げられる。それらのなかでも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該アルキル基が環状である場合(シクロアルキル基である場合)、その炭素数は、3〜30であることが好ましく、3〜20がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、炭素数4〜12であることが特に好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。該アルキル基は単環式であってもよく、多環式であってもよい。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。前記モノシクロアルカンとして、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、前記ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。これらのシクロアルキル基は、その環に結合した水素原子の一部または全部が、フッ素原子、フッ素化アルキル基等の置換基で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルコキシ基としては、前記置換基としてのアルコキシ基として挙げたアルコキシ基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルコキシ基としては、フッ素化アルコキシ基が好ましい。
前記置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基が有する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が最も好ましい。
前記置換基としての−C(=O)−R80、−COOR81、−OC(=O)R81において、R80、R81におけるアルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
−SO2−含有環式基が有する置換基としては、上記の中でも、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、−COOR81、−OC(=O)R81、シアノ基等が好ましい。
A’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH2−、−CH2−O−CH2−、−S−CH2−、−CH2−S−CH2−等が挙げられる。
A’としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
zは0〜2のいずれであってもよく、0が最も好ましい。
zが2である場合、複数のR8はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
R8におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、−COOR81、−OC(=O)R81としては、それぞれ、前記で−SO2−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR81、−OC(=O)R81、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(3−1)〜(3−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、各式中の「Ac」はそれぞれアセチル基を示す。
RSは、前記で挙げた−SO2−含有環式基と同様である。
R29は、単結合、2価の連結基のいずれであってもよい。本発明の効果に優れることから、2価の連結基であることが好ましい。
R29における2価の連結基としては、特に限定されず、たとえば、前記構成単位(a1)の説明中の一般式(a1−0−2)中のY2における2価の連結基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R29における2価の連結基としては、特に、アルキレン基、またはエステル結合(−C(=O)−O−)を含むものが好ましい。
該アルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。具体的には、前記Y2における脂肪族炭化水素基として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
エステル結合を含む2価の連結基としては、特に、一般式:−L4−C(=O)−O−[式中、L4は2価の連結基である。]で表される基が好ましい。すなわち、構成単位(a2S)は、下記一般式(a2−6−1)で表される構成単位であることが好ましい。
L4の2価の連結基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
該直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、前記一般式(a1−0−2)中のY2の説明で好ましいものとして挙げた直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
上記の中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、またはヘテロ原子として酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。
L4における直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基またはエチレン基が好ましく、メチレン基が特に好ましい。分岐鎖状のアルキレン基としては、アルキルメチレン基またはアルキルエチレン基が好ましく、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−または−C(CH3)2CH2−が特に好ましい。
酸素原子を含む2価の連結基としては、エーテル結合またはエステル結合を含む2価の連結基が好ましく、前記一般式(a1−0−2)中のY2の説明で挙げた、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−[Y21−C(=O)−O]m−Y22−で表される基がより好ましい。なかでも、式−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基が好ましく、−(CH2)c−C(=O)−O−(CH2)d−で表される基が特に好ましい。cは1〜5の整数であり、1または2が好ましい。dは1〜5の整数であり、1または2が好ましい。
L4としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、または酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。L4における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、前記で挙げた直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
式(a2−6−12)で表される構成単位としては、特に、下記一般式(a2−6−12a)または(a2−6−12b)で表される構成単位が好ましい。
構成単位(a2L)は、ラクトン含有環式基または環状カーボネート骨格を含む(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ラクトン含有環式基とは、上述したとおり、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
環状カーボネート骨格とは、−O−C(O)−O−構造を含むひとつの環を含有する環式基(カーボネート骨格含有環式基)を示す。該環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
ラクトン環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、−C(=O)−R80[R80はアルキル基である。]、−COOR81[R81は水素原子またはアルキル基である。]、−OC(=O)R81[R81は水素原子またはアルキル基である。]、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、硫黄原子、スルホニル基(SO2)等が挙げられる。
これらのうち、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、−C(=O)−R80、−COOR81、−OC(=O)R81としては、それぞれ、前記−SO2−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
ラクトン環式基が有する置換基としては、特に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”[R”は水素原子またはアルキル基である。]が好ましい。該アルキル基、アルコキシ基、−COOR”は、それぞれ、以下に示す一般式(a2−1)〜(a2−5)中のR’の説明で挙げるアルキル基、アルコキシ基、−COOR”と同様のものが挙げられる。
R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
R’の炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
R”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
A”は、炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−がより好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基またはジメチルメチレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
R29は、前記一般式(a2−6)中のR29と同様である。
式(a2−1)中、s”は1〜2であることが好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、Rαは、それぞれ、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
カーボネート骨格含有環式基を含む構成単位(a2L)の特に好ましい例として、下記式(a2−7)で現される構成単位が挙げられる。
s'''は好ましくは1である。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−6)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)、(a2−6)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−3−1)、(a2−3−5)または(a2−6−1)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜80モル%が好ましく、10〜60モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A1)成分は、さらに、構成単位(a0)および(a1)に加えて、または構成単位(a0)、(a1)および(a2)に加えて、極性基含有炭化水素基を含む構成単位(a3)を有してもよい。(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、露光後の(A1)成分の極性がさらに向上する。極性の向上は、特にアルカリ現像プロセスの場合に、解像性等の向上に寄与する。
なお、前記構成単位(a0)、(a1)または(a2)がその構造中に極性基含有炭化水素基を含む場合、該構成単位は構成単位(a3)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a0)、(a1)または(a2)に該当し、構成単位(a3)には該当しないものとする。
構成単位(a3)において好ましい極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、フッ素化アルコール基(炭素原子に結合した水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基)等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、フッ素化アルコール基の炭素骨格は、直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよく、それらの組み合わせであってもよい。直鎖状または分岐鎖状である場合、該炭素骨格の炭素数は1〜12が好ましく、具体的には後述する直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。環状である場合、該炭素骨格の炭素数は3〜30が好ましく、具体的には後述する環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
極性基としては、上記の中でも、水酸基が好ましい。
構成単位(a3)において、炭化水素基に結合する極性基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましく、1個が最も好ましい。
極性基含有脂肪族炭化水素基において、極性基が結合する脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、等が挙げられる。
該直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜12であることが好ましく、1〜10がより好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
該直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、水素原子の一部または全部が、前記極性基以外の置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。また、該直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子間にヘテロ原子を含む2価の基が介在してもよい。該「ヘテロ原子を含む2価の基」としては、前記構成単位(a1)の説明中、一般式(a1−0−2)中のY2で挙げた「ヘテロ原子を含む2価の連結基」と同様のものが挙げられる。
該環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましい。また、該環状の脂肪族炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよく、多環式が好ましい。
該環状の脂肪族炭化水素基として、具体的には、たとえばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。たとえば単環式の脂肪族炭化水素基としては、炭素数3〜20のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式の脂肪族炭化水素基としては、炭素数7〜30のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
該環状の脂肪族炭化水素基は、水素原子の一部または全部が、前記極性基以外の置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
当該2価の芳香族炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基;
ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等で、かつ、その芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、水素原子の一部または全部が、前記極性基以外の置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
これらのうち、構成単位(a32)としては、前記「スチレンまたはその誘導体から誘導される構成単位」の説明で挙げた一般式(III)中のpが1〜3の整数(好ましくは1)であり、Xcが水素原子、または極性基含有炭化水素基であるものが挙げられる。
構成単位(a33)としては、前記「ビニルナフタレンまたはその誘導体から誘導される構成単位」の説明で挙げた一般式(IV)中のxが1〜3の整数(好ましくは1)であり、Xdが水素原子、または極性基含有炭化水素基であるものが挙げられる。
構成単位(a31)の好ましい具体例を以下に示す。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−4)中、qは1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。qが2の場合は、シアノ基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。qが1の場合は、シアノ基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−8)中、r”は1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
式(a3−9)中、v”は1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
式(a3−10)中、w”は1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
構成単位(a3)を含有する場合、(A1)成分中の構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%が好ましく、5〜60モル%がより好ましく、15〜40モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
該他の構成単位は、上述の構成単位(a0)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
該他の構成単位としては、例えば、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸非解離性の環式基を含む構成単位(a4)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が非極性基で置換されていてもよいスチレンから誘導される構成単位(a5)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ナフタレン環に結合した水素原子が非極性基で置換されていてもよいビニルナフタレンから誘導される構成単位(a6)等が挙げられる。構成単位(a4)〜(a6)のうちの少なくとも1種を有することで、形成されるレジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。また、(A1)成分の疎水性が高まる。疎水性の向上は、特に有機溶剤現像の場合に、解像性、レジストパターン形状等の向上に寄与する。
構成単位(a4)における「酸非解離性の環式基」は、露光により(B)成分から酸が発生した際に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。当該環式基としてたとえば、酸非解離性の脂肪族多環式基、上記構成単位(a1)における式(2−1)〜(2−6)のR15またはR16の少なくともひとつが水素原子となる基、上記構成単位(a1)における式(3)のR15またはR16の少なくともひとつが水素原子となる基、等が挙げられる。
酸非解離性の脂肪族多環式基としては、たとえば、当該脂肪族多環式基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合していない1価の脂肪族多環式基が挙げられる。該脂肪族環式基としては、酸非解離性であれば特に限定されず、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。該脂肪族環式基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、飽和であることが好ましい。具体的には、前記構成単位(a1)において脂肪族環式基の説明で挙げたモノシクロアルカン、ポリシクロアルカン等のシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
脂肪族環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよく、上記効果に優れることから多環式であることが好ましい。特に、2〜4環式のものが好ましく、中でも、トリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基およびノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種が、工業上入手し易いなどの点で好ましい。
酸非解離性の脂肪族環式基の具体例としては、たとえば、当該脂肪族環式基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合していない1価の脂肪族環式基が挙げられる。具体的には、前記構成単位(a1)の説明で挙げた式(1−1)〜(1−9)で表される基におけるR14を水素原子で置換した基;環骨格を構成する炭素原子のみによって形成された第3級炭素原子を有するシクロアルカンの前記第3級炭素原子から水素原子を除いた基;等が挙げられる。
該脂肪族環式基には、置換基が結合していてもよい。該置換基としては、たとえば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基等が挙げられる。
構成単位(a4)としては、前記構成単位(a1)における酸解離性基を酸非解離性の脂肪族多環式基で置換した構成単位が挙げられ、前記一般式(a1−0−1)におけるX1を酸非解離性の脂肪族多環式基で置換した構成単位、すなわち下記一般式(a4−0)で表される構成単位が好ましく、特に、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)で表される構成単位が好ましい。
構成単位(a4)を含有する場合、(A1)成分中の構成単位(a4)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜30モル%が好ましく、1〜20モル%がより好ましく、5〜20モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a4)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a5)において、「α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が非極性基で置換されていてもよいスチレン」としては、前記「スチレンまたはその誘導体」の説明で挙げた(α置換)スチレンと同様のものが挙げられる(ただしベンゼン環に結合した水素原子が極性基で置換されているものを除く。)。
非極性基としては、前記構成単位(a3)で挙げたような極性基に該当しないものであれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
構成単位(a5)として具体的には、前記「スチレンまたはその誘導体から誘導される構成単位」の説明で挙げた一般式(III)中のpが0であり、qが0〜5であるものが挙げられる。
構成単位(a6)において、「α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ナフタレン環に結合した水素原子が非極性基で置換されていてもよいビニルナフタレン」としては、前記「ビニルナフタレンまたはその誘導体」の説明で挙げた(α置換)ビニルナフタレンと同様のものが挙げられる(ただしナフタレン環に結合した水素原子が極性基で置換されているものを除く。)。
非極性基としては、構成単位(a5)で挙げたものと同様のものが挙げられる。
構成単位(a6)として具体的には、前記「ビニルナフタレンまたはその誘導体から誘導される構成単位」の説明で挙げた一般式(IV)中のxが0であり、y+zが0〜7であるものるものが挙げられる。
構成単位(a0)および(a1)を有する共重合体としては、たとえば、構成単位(a0)および(a1)からなる共重合体、構成単位(a0)、(a1)および(a2)からなる共重合体、構成単位(a0)、(a1)および(a3)からなる共重合体、構成単位(a0)、(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体、構成単位(a0)、(a1)、(a2)および(a4)からなる共重合体、構成単位(a0)、(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体等が例示できる。
分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
各構成単位を誘導するモノマーは、公知の方法により合成できる。たとえば構成単位(a0)のうち、一般式(a0−1)で表される構成単位に対応するモノマーは、特開2008−223000号公報、WO2008/99727号、特開2009−242361号公報等に開示されている方法により合成できる。公知のモノマーについては市販のものを用いることもできる。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、EL等のリソグラフィー特性の向上効果、ラフネス低減効果等が向上する。
本発明のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
(A2)成分としては、特に限定されず、従来、化学増幅型レジスト組成物の基材成分として提案されている多数のもの(たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂)から任意に選択して用いればよい。
アルカリ現像液に可溶性の基材成分としては、通常、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂(アルカリ可溶性樹脂)が用いられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば特開2000−206694号公報に開示されている、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸のアルキルエステル(好ましくは炭素数1〜5のアルキルエステル)から選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂;米国特許6949325号公報に開示されている、スルホンアミド基を有するα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル樹脂またはポリシクロオレフィン樹脂;米国特許6949325号公報、特開2005−336452号公報、特開2006−317803号公報に開示されている、フッ素化アルコールを含有し、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル樹脂;特開2006−259582号公報に開示されている、フッ素化アルコールを有するポリシクロオレフィン樹脂等のアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
なお、前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸のうち、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
前記構成単位(a12)および(a32)を有する樹脂、前記構成単位(a12)、(a32)および(a5)を有する樹脂、
前記構成単位(a13)および(a33)を有する樹脂、前記構成単位(a13)、(a33)および(a6)を有する樹脂、
前記構成単位(a11)および(a2)を有する樹脂、前記構成単位(a11)、(a2)および(a31)を有する樹脂、前記構成単位(a11)、(a2)、(a31)および(a4)を有する樹脂、
前記構成単位(a11)および(a32)を有する樹脂、前記構成単位(a11)、(a32)および(a5)を有する樹脂、
前記構成単位(a11)および(a33)を有する樹脂、前記構成単位(a11)、(a33)および(a6)を有する樹脂、
等が挙げられる。
該低分子化合物としては、(A2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
該低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜6核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。特には、トリフェニルメタン骨格を2〜6個有するフェノール化合物が、解像性、ラインエッジラフネス(LWR)に優れることから好ましい。
酸解離性基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
(B)成分は、下記一般式(b0−1)または(b0−2)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)(以下、(B1)成分という。)を含有する。
[アニオン部]
前記一般式(b0−1)中、Q1における炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましく、その炭素数は、1〜3が好ましく、1または2がより好ましい。
該フッ素化アルキレン基として具体的には、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2−、−CF(CF2CF3)−、−C(CF3)2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2CF2−、−CF2CF(CF3)CF2−、−CF(CF3)CF(CF3)−、−C(CF3)2CF2−、−CF(CF2CF3)CF2−、−CF(CF2CF2CF3)−、−C(CF3)(CF2CF3)−;−CHF−、−CH2CF2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2−、−CH(CF2CF3)−、−C(CH3)(CF3)−、−CH2CH2CH2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2CH2−、−CH2CH(CF3)CH2−、−CH(CF3)CH(CF3)−、−C(CF3)2CH2−;−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH3)−等が挙げられる。
これらの中でも、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、又はCH2CF2CF2−が好ましく、−CF2−、−CF2CF2−又は−CF2CF2CF2−がより好ましく、−CF2−が特に好ましい。
フッ素化アルキレン基が置換基を有するとは、当該フッ素化アルキレン基におけるフッ素原子または水素原子が、フッ素原子および水素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
フッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、たとえば、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基と、置換基を有していてもよいアルキレン基またはフッ素化アルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基の炭素数は、それぞれ、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が特に好ましい。
アルキレン基として具体的には、たとえばメチレン基[−CH2−];−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH2CH2−];−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH2CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]等が挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、前記Z3におけるアルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられ、具体的には、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2−、−CF(CF2CF3)−、−C(CF3)2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2CF2−、−CF2CF(CF3)CF2−、−CF(CF3)CF(CF3)−、−C(CF3)2CF2−、−CF(CF2CF3)CF2−、−CF(CF2CF2CF3)−、−C(CF3)(CF2CF3)−、−CHF−、−CH2CF2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2−、−CH(CF2CF3)−、−C(CH3)(CF3)−、−CH2CH2CH2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2CH2−、−CH2CH(CF3)CH2−、−CH(CF3)CH(CF3)−、−C(CF3)2CH2−等が挙げられる。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
前記非炭化水素系の酸素原子含有連結基と、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基との組み合わせからなる2価の連結基としては、たとえば、−R9a−O−、−R9b−O−C(=O)−、−O−C(=O)−R9c−、−O−R9d−O−C(=O)−、−O−R9e−O−C(=O)−R9f−、−R9g−O−C(=O)−R9h−、−C(=O)−O−R9i−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R9j−O−C(=O)−R9k−、等が挙げられる。
各式中、R9a〜R9kはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基またはフッ素化アルキレン基である。R9a〜R9kにおけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基としては、それぞれ前記と同様のものが挙げられる。R9a〜R9kとしては、それぞれ、アルキレン基が好ましい。
環骨格含有炭化水素基は、構造中に環を含有すればよく、環状の炭化水素基(環式基)のみから構成されてもよく、環式基と、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基とからなる基であってもよい。環式基は、単環式でも多環式でもよく、多環式基であることが好ましい。
環骨格含有炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
該芳香族環式基は、炭素数が3〜30であり、5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基としては、たとえば芳香族環式基からなるものであってもよく、芳香族環式基と脂肪族炭化水素基との組合せであってもよい。
該芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基;等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されている場合、Q3中、隣接するQ2に結合する原子は、炭素原子であることが好ましい。
該置換基としてのアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状の何れであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。その炭素数は1〜30が好ましい。
該アルキル基が直鎖状または分岐鎖状である場合、その炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜17であることがより好ましく、1〜15であることがさらに好ましく、1〜10が特に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
該アルキル基が環状である場合(シクロアルキル基である場合)、その炭素数は、3〜30であることが好ましく、3〜20がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、炭素数4〜12であることが特に好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。該アルキル基は単環式であってもよく、多環式であってもよい。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。前記モノシクロアルカンとして、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、前記ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。これらのシクロアルキル基は、その環に結合した水素原子の一部または全部が、フッ素原子、フッ素化アルキル基等の置換基で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、前述した置換基としてのアルキル基に酸素原子(−O−)が結合したものが挙げられる。該アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としての−C(=O)−R80、−COOR81、−OC(=O)−R82において、R80〜R82におけるアルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が特に好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルコキシ基としては、前記アルコキシ基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルコキシ基としては、フッ素化アルコキシ基が好ましい。
前記置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基が有する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が最も好ましい。
窒素原子を含む炭化水素基、その他の含窒素置換基については後述する。
該脂肪族環式基は、炭素数が3〜30であり、5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が最も好ましい。
該脂肪族環式基は、飽和であっても不飽和であってもよく、飽和であることが好ましい。
該脂肪族環式基としては、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
ヘテロ原子としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基(以下、ヘテロ原子含有置換基ということがある。)は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
前記脂肪族環式基を構成する炭素原子の一部を置換してもよいヘテロ原子含有置換基としては、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−等が挙げられる。−NH−である場合、そのHを置換してもよい置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。これらの置換基を環骨格中に含まれていてもよい。
前記脂肪族環式基を構成する水素原子の一部または全部を置換する置換基としては、たとえばハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、−C(=O)−R80[R80はアルキル基である。]、−COOR81[R81は水素原子またはアルキル基である。]、−OC(=O)−R82[R82は水素原子またはアルキル基である。]、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、オキソ基(=O)、硫黄原子、スルホニル基(SO2)、窒素原子を含む炭化水素基、その他の含窒素置換基等が挙げられる。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのハロゲン原子、アルコキシ基、−C(=O)−R80、−COOR81、−OC(=O)−R82、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、窒素原子を含む炭化水素基、その他の含窒素置換基としては、それぞれ、前記芳香族炭化水素基の水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記脂肪族環式基が、その環骨格中にヘテロ原子含有置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子含有置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環骨格を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Q3における脂肪族炭化水素基としては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基が好ましい。
窒素原子を含む環骨格含有炭化水素基としては、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環式基(以下「含窒素複素環式基」という。)、窒素原子を含む置換基(以下「含窒素置換基」という。)を有する環骨格含有炭化水素基、等が挙げられる。これらの中でも、含窒素複素環式基が好ましい。
窒素原子を含む環骨格含有炭化水素基は、窒素原子を含まない置換基(以下「非含窒素置換基」という。)を有してもよい。
前記非含窒素置換基としては、たとえば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、−C(=O)−R80[R80はアルキル基である。]、−COOR81[R81は水素原子またはアルキル基である。]、−OC(=O)−R82[R82は水素原子またはアルキル基である。]、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、酸素原子(=O)、硫黄原子、スルホニル基(SO2)、アリール基等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、−C(=O)−R80、−COOR81、−OC(=O)−R82、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記芳香族炭化水素基の水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記アリール基としては、前記Q3における芳香族炭化水素基として挙げたアリール基と同様のものが挙げられ、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が好ましい。
含窒素複素環としては、ピリジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン等の不飽和単環式含窒素複素環;ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン等の飽和単環式含窒素複素環;キノリン、イソキノリン、インドール、ピロロ[2,3−b]ピリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール(ベンズイミダゾール)、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、アクリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の多環式含窒素複素環が挙げられる。
含窒素複素環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。含窒素複素環式基の炭素数は、3〜30であり、5〜30であることが好ましく、5〜20がさらに好ましい。
含窒素複素環式基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、ピペリジノ基が好ましく、2−ピリジル基が特に好ましい。
これらの含窒素複素環式基は、水素原子の一部または全部が、含窒素置換基または非含窒素置換基で置換されていてもよい。
該環骨格含有炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。これら芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基は、それぞれ、上記Q3の環骨格含有炭化水素基についての説明で挙げた芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
含窒素置換基としては、たとえば上述の含窒素複素環式基が挙げられる。また、その他の含窒素置換基として、アミノ基(−NH2)、イミノ基(=NH)、シアノ基(−CN)、アンモニオ基(−NH3 +)、ニトロ基等の非炭化水素系含窒素置換基が挙げられる。
これらの含窒素置換基は、水素原子の一部または全部が、非含窒素置換基で置換されていてもよい。非含窒素置換基で置換された含窒素置換基としては、たとえばアルキルアミノ基、アミド基、ジアルキルアミノ基、アルキルイミノ基、トリアルキルアンモニオ基などが挙げられる。
含窒素置換基を有する炭化水素基の具体例としては、2−アミノフェニル基、4−アミノフェニル基等のアミノアリール基;(メチルアミノ)フェニル基等のアルキルアミノアリール基;(ジメチルアミノ)フェニル基、(ジエチルアミノ)フェニル基等のジアルキルアミノアリール基などが挙げられる。
エステル結合を含む2価の連結基としては、上記Q2についての説明で挙げた、−R9b−O−C(=O)−、−O−C(=O)−R9c−、−O−R9d−O−C(=O)−、−O−R9e−O−C(=O)−R9f−、−R9g−O−C(=O)−R9h−、−C(=O)−O−R9i−O−C(=O)−、または−C(=O)−O−R9j−O−C(=O)−R9k−が好ましい。なかでも、R9b〜R9kがアルキレン基であるものが好ましい。
エーテル結合を含みエステル結合を含まない2価の連結基としては、上記Q2についての説明で挙げた、−R9a−O−が好ましい。なかでも、R9aがアルキレン基であるものが好ましい。
前記Q2がカルボキシ基を含む2価の連結基であるアニオンのより好ましい例として、下記一般式(11)で表されるアニオンが挙げられる。
X10としては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましい。中でも、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含む脂肪族環式基が好ましい。
Q12におけるアルキレン基としては、上記Q2についての説明で挙げたR9a〜R9kにおけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
Q12としては、単結合またはメチレン基が特に好ましい。特に、X10が置換基を有していてもよい脂肪族環式基である場合は、Q12が単結合であることが好ましく、X10が芳香族炭化水素基である場合は、Q12がメチレン基であることが好ましい。
m1〜m3は、それぞれ0または1である。ただし、m2+m3、m1+m3はいずれも0とならない。すなわち、m2+m3、m1+m3はいずれも1または2である。たとえばm3=0の場合、m2は1であり、m1は1である。
pは1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
式(11b)中、X10およびpは、それぞれ、前記式(11)におけるX10およびpと同じである。
Q13のアルキレン基としては、上記Q2についての説明で挙げたR9a〜R9kにおけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
式(11c)中、pは、前記式(11)におけるpと同じである。
X10’において、「フッ素化アリール基」は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアリール基である。アリール基としては、前記Q3における芳香族炭化水素基の説明で挙げたアリール基と同様のものが挙げられ、フェニル基またはナフチル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
該アリール基は、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記Q3における芳香族炭化水素基の説明で、芳香族炭化水素基の水素原子を置換する置換基として挙げたもの(ただしフッ素原子を除く。)と同様のものが挙げられる。
Q14のアルキレン基としては、上記Q2についての説明で挙げたR9a〜R9kにおけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。Q14としては、単結合または直鎖状のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基としては、炭素数1〜5のアルキレン基が特に好ましい。
式(11d)中、pは、前記式(11)におけるpと同じである。
X10”において、脂肪族環式基としては、前記Q3における脂肪族炭化水素基の説明で挙げた脂肪族環式と同様のものが挙げられ、アダマンチル基が特に好ましい。
該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記脂肪族環式基の説明で、脂肪族環式基の水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Q15のアルキレン基としては、上記Q2についての説明で挙げたR9a〜R9kにおけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。Q15としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基としては、主鎖の炭素数が1〜12のものが好ましい。該炭素数は、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1が特に好ましい。すなわち、Q15としては、メチレン基またはアルキルメチレン基が特に好ましい。アルキルメチレン基におけるアルキル基は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
該アルキレン基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記Q3における脂肪族炭化水素基の説明で、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられ、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
式(11e)中、X10およびpは、それぞれ、前記式(11)におけるX10およびpと同じである。
Q16のアルキレン基としては、上記Q2についての説明で挙げたR9a〜R9kにおけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。該アルキレン基としては、炭素数1〜5のアルキレン基が特に好ましい。
R50に付された符号(r1〜r2、w1〜w6)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR50はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
前記式(b0−1)中、M+は有機カチオンである。
M+としては、特に制限されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤のカチオン部として提案されているものを使用することができる。
好適なカチオン部として、たとえばヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤のカチオン部が挙げられる。該カチオン部としては、たとえば下記一般式(b−1’)または(b−2’)で表されるカチオンが挙げられる。これらの中でも、式(b−1’)で表されるカチオンが好ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基;該無置換のアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アリール基等が挙げられる。
R1”〜R3”において、無置換のアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
R1”〜R3”の置換アリール基における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R6’、−O−C(=O)−R7’、−O−R8’等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
置換アリール基における置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
置換アリール基における置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換アリール基における置換基としてのアリール基としては、前記R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられ、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。
置換アリール基におけるアルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R6’、−O−C(=O)−R7’、−O−R8’としては、それぞれ、前記式(a0−0−1)中のR2の説明で、アルキル基が有していてもよい非芳香族の置換基として挙げたアルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R6’、−O−C(=O)−R7’、−O−R8’と同様のものが挙げられる。
R1”〜R3”のアリール基としては、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが好ましい。
無置換のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。その炭素数は1〜30が好ましい。
該アルキル基が直鎖状または分岐鎖状である場合、その炭素数は1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10がさらに好ましく、1〜5が特に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから、メチル基が特に好ましい。
該アルキル基が環状である場合、その炭素数は、3〜30であることが好ましく、3〜20がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、炭素数4〜12であることが特に好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。該アルキル基は単環式であっても多環式であってもよい。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。前記モノシクロアルカンとして、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、前記ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
置換アルキル基が有する置換基としては、前記置換アリール基が有する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
無置換のアルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。その炭素数は2〜10が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
置換アルケニル基が有する置換基としては、前記置換アリール基が有する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
また、該環は、芳香族環であっても脂肪族環であってもよい。脂肪族環は、飽和脂肪族環であっても不飽和脂肪族環であってもよい。
R1”〜R3”のうちの2つが結合して環を形成する場合、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
該環は、環骨格を構成する原子として、R5及びR6が結合した硫黄原子以外の他のヘテロ原子を有していてもよい。該ヘテロ原子としては、たとえば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等が挙げられる。
形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R81〜R86に付された符号n1〜n6が2以上の整数である場合、複数のR81〜R86はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
n2およびn3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n6は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
前記式(b1−2)又は(b1−3)で表されるカチオンの好適なものとしては、たとえば以下に示すもの等が挙げられる。
R4’は炭素数1〜5のアルキレン基である。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
前記式(b1−4)または(b1−5)で表されるカチオンの好適なものとしては、たとえば以下に示すもの等が挙げられる。
式中、RCは、上記置換アリール基についての説明のなかで例示した置換基(アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、アリール基、−C(=O)−O−R6’、−O−C(=O)−R7’、−O−R8’)である。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルケニル基としては、R1”〜R3”のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
リソグラフィー特性とレジストパターン形状がより向上することから、R5”〜R6”のうち、少なくとも1つはアリール基であることが好ましく、R5”〜R6”のいずれもアリール基であることがより好ましい。
これらの中でも、R5”〜R6”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
前記式(b−2’)で表されるカチオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム等が挙げられる。
[アニオン部]
前記一般式(b0−2)中、Z1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数1〜10のフッ素化アルキル基である。
該アルキル基またはフッ素化アルキル基の炭素数は1〜8が好ましく、1〜4がより好ましい。特に、Z1が炭素数1〜4のフッ素化アルキル基であると、式中の「Z1−SO2−」の骨格の分解性が、たとえば炭素数6〜10のパーフルオロアルキル鎖が難分解性であるのに対して良好で、生体蓄積性を考慮した取り扱い性がより向上するという効果も得られる。また、レジスト膜内に均一に分布しやすいことからも好ましい。
Z1としては、発生する酸の強度が強いことから、置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基が好ましい。該フッ素化アルキル基のフッ素化率(フッ素原子と水素原子との合計数に対するフッ素原子数の割合(%))は、50〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましく、85〜100%がさらに好ましい。
前記アルキル基またはフッ素化アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、たとえばアルコキシ基、フッ素原子以外のハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
該置換基としてのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
Z2としては、前記一般式(b0−1)中のQ1と同様のものが挙げられる。
Z3は、単結合または2価の連結基である。
Z3における2価の連結基としては、たとえば、前記構成単位(a1)の説明で、一般式(a1−0−2)中のY2の2価の連結基として挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましいものとして、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基が挙げられる。
Z3におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH2−];−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH2CH2−];−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH2CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]等が挙げられる。
Z3におけるフッ素化アルキレン基としては、前記Z3におけるアルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられ、具体的には、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2−、−CF(CF2CF3)−、−C(CF3)2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2CF2−、−CF2CF(CF3)CF2−、−CF(CF3)CF(CF3)−、−C(CF3)2CF2−、−CF(CF2CF3)CF2−、−CF(CF2CF2CF3)−、−C(CF3)(CF2CF3)−、−CHF−、−CH2CF2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2−、−CH(CF2CF3)−、−C(CH3)(CF3)−、−CH2CH2CH2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2CH2−、−CH2CH(CF3)CH2−、−CH(CF3)CH(CF3)−、−C(CF3)2CH2−等が挙げられる。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
少なくとも酸素原子を含む2価の連結基としては、前記式(b0−1)中のQ2と同様のものが挙げられ、好適には、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基またはフッ素化アルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
前述した非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基またはフッ素化アルキレン基との組み合わせとしては、たとえば、
−R101−O−、−O−R102−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R103−、−C(=O)−O−R104−O−、−C(=O)−O−R105−O−C(=O)−、−R106−C(=O)−O−R107−O−、−R108−C(=O)−O−R109−O−C(=O)−[式中、R101〜R109はそれぞれ独立にアルキレン基またはフッ素化アルキレン基である。]等が挙げられる。式中、R101〜R109におけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基としては、それぞれ、上記Q2の説明で挙げたR9a〜R9kにおけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基と同様のものが挙げられる。
なかでも、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接するイオウ原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基であることが好ましい。これにより、当該(B1)成分から、露光により強い酸強度を有する酸が発生する。これにより、レジストパターン形状がより良好になり、また、EL等のリソグラフィー特性も向上する。
このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2CF2−、−CF2CF(CF3)CF2−、−CF(CF3)CF(CF3)−、−C(CF3)2CF2−、−CF(CF2CF3)CF2−;−CH2CF2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CF2−;−CH2CH2CH2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH2CF2CF2CF2−等を挙げることができる。これらの中でも、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、又はCH2CF2CF2−が好ましく、−CF2−、−CF2CF2−又は−CF2CF2CF2−がより好ましく、−CF2−が特に好ましい。
なお、Z3におけるフッ素原子の数を調整することによって、露光により発生する酸の酸強度を調整することができる。前述の炭素原子がフッ素化されていない場合、酸強度は弱くなるが、ラフネス改善等の効果が期待できる。
有機基としては、特に限定されないが、置換基を有してもよい炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、1〜30が好ましく、3〜30がより好ましい。該炭化水素基は、炭素鎖の任意の位置にヘテロ原子を含む2価の連結基が挿入されていてもよく、水素原子が置換基で置換されてもよい。
該炭化水素基の炭素鎖の任意の位置に挿入されていてもよい「ヘテロ原子を含む2価の連結基」としては、前記Z3の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
該炭化水素基の水素原子を置換してもよい置換基としては、たとえば、式(b0−1)中のQ3の説明で、芳香族炭化水素基の水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。具体的には、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、−C(=O)−R80[R80はアルキル基である。]、−COOR81[R81は水素原子またはアルキル基である。]、−OC(=O)−R82[R82は水素原子またはアルキル基である。]、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、酸素原子(=O)、硫黄原子、スルホニル基(SO2)、窒素原子を含む炭化水素基、その他の含窒素置換基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、芳香族炭化水素環を有する炭化水素基が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記式(b0−1)中のQ3の説明で、芳香族炭化水素基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、これらの組合せであってもよい。
Z4における脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。不飽和炭化水素基としては、これらの中でも、プロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、式(b0−1)中のQ3の説明で挙げた脂肪族環式基と同様のものが挙げられる。
Z4としては、上記の中でも、置換基を有してもよい環式基、または置換基を有してもよい直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよい環式基がより好ましい。該環式基は、芳香族環式基であっても脂肪族環式基であってもよく、脂肪族環式基が好ましい。
前記芳香族環式基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
前記脂肪族環式基としては、単環式でも多環式でもよく、多環式が好ましい。
R7”に付された符号(w11〜w16)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR7”はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
w11〜w16は、それぞれ独立に0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、0が最も好ましい。
v11〜v18は、それぞれ独立に0〜3であり、0または1であることが好ましい。
uは、それぞれ独立に0〜4の整数であり、0〜2が好ましい。
gは、それぞれ独立に1〜4の整数であり、1または2が好ましく、1であることが最も好ましい。
tは3〜20の整数であり、3〜15の整数が好ましく、3〜12の整数がさらに好ましい。
前記一般式(b0−2)中、M+としては、前記式(b0−1)中のM+と同様のものが挙げられる。
(B)成分中の(B1)成分の割合は、(B)成分の総質量に対し、1質量%以上が好ましく、3質量%がより好ましく、5質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が5質量%以上であると、解像性、EL等のリソグラフィー特性が充分に向上し、形成されるレジストパターンも、ラフネスの低減された良好なものとなる。
(B2)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記一般式(b−1)又は(b−2)で表される化合物(ただし、前記一般式(b0−1)で表される化合物は除く。)を用いることができる。
式(b−2)中のR5”、R6”は、前記(B1)成分の説明で挙げた一般式(b−2’)中のR5”、R6”と同様である。
R4”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。
R4”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
R4”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。
前記R4”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R4”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R4”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部もしくは全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていてもよいことを意味する。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R4”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
R4”における置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
前記式中、Raとしては、前記R4”と同様のものが挙げられる。
上記「Ra−COO−」の具体例としては、たとえばトリフルオロ酢酸イオン、酢酸イオン、1−アダマンタンカルボン酸イオン等が挙げられる。
R31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
本発明のレジスト組成物は、さらに、前記(A)〜(B)成分に該当しない含窒素有機化合物成分(D)(以下、(D)成分という。)を含有してもよい。
(D)成分としては、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良い。たとえば脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミンが挙げられ、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)、環式アミン等が挙げられる。
前記アルキルアミンが有するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
該アルキル基が直鎖状または分岐鎖状である場合、その炭素数は2〜20であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
該アルキル基が環状である場合(シクロアルキル基である場合)、その炭素数は、3〜30であることが好ましく、3〜20がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、炭素数4〜12であることが特に好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。該アルキル基は単環式であってもよく、多環式であってもよい。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。前記モノシクロアルカンとして、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、前記ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記アルキルアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;が挙げられる。
前記アルキルアルコールアミンが有するヒドロキシアルキル基におけるアルキル基としては、前記アルキルアミンが有するアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記アルキルアルコールアミンの具体例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等が挙げられる。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとして、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
(D)成分はいずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物中、(D)成分の含有量は、通常、(A)成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内である。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分としては、サリチル酸が特に好ましい。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物中、(E)成分の含有量は、通常、(A)成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内である。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
かかる効果が得られる理由は定かではないが、以下のように考えられる。適度な酸強度を持つ官能基を(A)成分におけるポリマー中に導入することで、プロトン供与能を高めることができ、露光で分解する(B)成分のカウンターアニオンを酸として効率よく機能させることができる。さらに適度な酸強度を有することで、レジストパターンの膨潤も抑制できる。これらの作用により、高感度でありながら、高解像性やラフネス低減を両立させることができる。
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、前記本発明のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に前記本発明のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次に、前記レジスト膜を現像処理する。
現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)用いて行う。
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、前記現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、レジストパターンを得ることができる。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C3HCl2F5、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C5H3F7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤のなかから適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としてはたとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
現像処理は、公知の現像方法におり実施でき、該方法としてはたとえば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法におり実施でき、該方法としてはたとえば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
本実施例では、化学式中に(1−3)と表示される化合物を「化合物(1−3)」と記載し、他の式で表される化合物についても同様に記載する。
NMRによる分析において、1H−NMRの内部標準および13C−NMRの内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。19F−NMRの内部標準はヘキサフルオロベンゼンである(但し、ヘキサフルオロベンゼンのピークを−160ppmとした)。
1−ヒドロキシ−1−メチル−1−ナフチルエタン20g(0.107mol)およびピリジン16.9g(0.25mol)をテトラヒドロフラン(THF)(300ml)中で撹拌し、氷冷下でメタクリル酸クロリド25.8g(0.215mol)を滴下した。室温で10時間撹拌した後、ろ過して得られた生成物を分離精製し、化合物(1−3)を得た。
該化合物の機器分析結果は、以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ(ppm)=7.8−7.9(m、4H、Hd1、Hd2)、7.53−7.55(d、1H、Hd1)、7.48−7.51(m、2H、Hd3)、6.2(s、1H、Ha)、5.6(s、1H、Ha)、1.98(s、3H、Hb)、1.96(s、6H、Hc)。
モノマーの種類および仕込み比を調整して、特開2008−223000号公報記載のポリマー合成例と同様にして、高分子化合物1〜12、21〜23を合成した。それらのうち、高分子化合物1の合成フローを以下に示す。式中のV601は和光純薬社製の開始剤であり、THFはテトラヒドロフランである。
得られた高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)と分子量分散度(Mw/Mn)を求めた。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比を表1に示す。
表4に示す各成分を混合、溶解してレジスト組成物を調製した。
(A)−1〜(A)−12:それぞれ前記高分子化合物1〜12。
(A)−21〜(A)−23:それぞれ前記高分子化合物21〜23。
(B)−1〜(B)−11:それぞれ下記構造式(B)−1〜(B)−11で表される化合物。
(B)−21:トリフェニルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホネート。
(B)−22:トリフェニルスルホニウム d−カンファー−10−スルホネート。
(D)−1:トリ−n−オクチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S)−2:PGMEA/PGME=3000/2000(質量比)の混合溶剤。
(S)−3:PGMEA/PGME/シクロヘキサノン=2250/1500/1250(質量比)の混合溶剤。
[レジストパターンの形成]
90℃で36秒間のヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、各例のレジスト組成物を、スピンナーを用いて均一にそれぞれ塗布し、表5に示すPAB条件(温度(℃)、時間(秒))でベーク処理(PAB)を行ってレジスト膜(膜厚60nm)を成膜した。該レジスト膜に対し、電子線描画機HL800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70keVにて描画(露光)を行い、表5に示すPEB条件(温度(℃)、時間(秒))でベーク処理(PEB)を行い、さらに23℃にてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業(株)製)を用いて60秒間の現像を行った。
その結果、いずれの例においても、スペース幅100nm、ピッチ200nmのスペースアンドラインのレジストパターン(以下「SLパターン」という。)が形成された。
前記[レジストパターンの形成]で、スペース幅100nm、ピッチ200nmのSLパターンが形成される最適露光量Eop(μC/cm2)おける限界解像度を求めた。
上記Eopにて形成されたスペース幅100nm、ピッチ200nmのSLパターンにおいて、走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:S−9220、日立ハイテクノロジーズ社製)により、ライン幅を、ラインの長手方向に400箇所測定し、その測定結果から求めた標準偏差(σ)の3倍値(3s)(単位:nm)を示す。この3sの値が小さいほど、線幅のラフネスが小さく、より均一幅のSLパターンが得られたことを意味する。
前記Eopで、SLパターンのライン幅がターゲット寸法(ライン幅100nm)の±10%以内(90nm〜110nm)で形成される際の露光量を求め、次式によりEL(単位:%)を求めた。
EL(%)=(|E1−E2|/Eop)×100
[E1は、スペース幅110nmのSLパターンが形成された際の露光量(μC/cm2)を示し、E2は、スペース幅90nmのSLパターンを形成された際の露光量(μC/cm2)を示す。]
なお、ELは、その値が大きいほど、露光量の変動に伴うパターンサイズの変化量が小さいことを示す。
一方、(A)成分として(A1)成分を用いなかった比較例1、3、4、(B)成分として(B1)成分を用いなかった比較例2は、ELが小さく、解像性も劣っており、パターンのラフネスも大きかった。
Claims (4)
- 酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するレジスト組成物であって、
前記基材成分(A)が、下記一般式(a0−1)または下記一般式(a0−2)で表される構成単位(a0)を有する樹脂成分(A1)を含有し、
前記酸発生剤成分(B)が、下記一般式(b0−1)または(b0−2)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)を含有することを特徴とするレジスト組成物。
- 前記基材成分(A)が、酸の作用により極性が増大する基材成分である請求項1に記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂成分(A1)が、さらに、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって−SO2−含有環式基を含む構成単位およびα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であってラクトン含有環式基または環状カーボネート骨格を含む構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位(a2)を有する、請求項1または2に記載のレジスト組成物。
- 支持体上に、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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