JP2012201124A - 車両の後部構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両後方から加わる衝撃荷重を効果的に吸収することで、車室内における乗員の安全性を高めることができる車両の後部構造を提供する。
【解決手段】車両後部において車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレーム2,3と、該左右のリアサイドフレーム2,3間に架設され、タイヤパン14が形成されたリアフロアパネル10と、タイヤパン14に収納されたスペアタイヤ30と、該スペアタイヤ30のタイヤホイール32をタイヤパン14に固定する固定部74と、を備えた車両において、前記固定部74に、後方からスペアタイヤ30に衝撃荷重が加わったときにタイヤホイール32の固定状態を維持しつつ該タイヤホイール32がタイヤパン14に対して前方へ相対移動することを許容する可動機構78を設け、スペアタイヤ30の前方に、タイヤホイールと共にタイヤパンに対して前方へ相対移動したスペアタイヤ30を受け止める受け部材40を設ける。
【選択図】図3
【解決手段】車両後部において車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレーム2,3と、該左右のリアサイドフレーム2,3間に架設され、タイヤパン14が形成されたリアフロアパネル10と、タイヤパン14に収納されたスペアタイヤ30と、該スペアタイヤ30のタイヤホイール32をタイヤパン14に固定する固定部74と、を備えた車両において、前記固定部74に、後方からスペアタイヤ30に衝撃荷重が加わったときにタイヤホイール32の固定状態を維持しつつ該タイヤホイール32がタイヤパン14に対して前方へ相対移動することを許容する可動機構78を設け、スペアタイヤ30の前方に、タイヤホイールと共にタイヤパンに対して前方へ相対移動したスペアタイヤ30を受け止める受け部材40を設ける。
【選択図】図3
Description
本発明は、車両後方から加わる衝撃荷重を吸収するための車両の後部構造に関する。
車両の衝突時の安全対策として、衝突時に車両に加わる衝撃荷重をサイドフレーム等の車体の一部が潰れることで吸収する技術が一般的に知られており、この技術によれば、車室内に伝わる衝撃を緩和することができ、これにより乗員の安全性が高められる。
例えば、前方衝突の場合、先ず、フロントサイドフレームの前端部とフロントバンパとに跨って設けられたクラッシュカンが潰れることで、このクラッシュカンで衝撃荷重を吸収し、これによって吸収しきれない衝撃荷重は、さらにフロントサイドフレームが潰れることで吸収するようにした技術が知られている。
一方、後方衝突の対策に関しては、例えば、先ず、リアサイドフレームの後端部とリアバンパとに跨って設けられたクラッシュカンが潰れることで、このクラッシュカンで衝撃荷重を吸収し、これによって吸収しきれない衝撃荷重は、さらにリアサイドフレームが潰れることで吸収するようにした技術が知られている。
また、車両後部の荷室フロアのタイヤパンにスペアタイヤが収容されている車両に関して、特許文献1には、スペアタイヤの上方において車両前後方向に延びるメンバを設けて、後方衝突時に該メンバによりスペアタイヤが下方へ案内されるようにすることで、後方衝突時にスペアタイヤがリアシート等に向かって上方へ移動したり、デファレンシャル装置や燃料タンク等に向かって前方へ移動したりすることを防止する技術が開示されている。
さらに、特許文献2には、後方衝突時にスペアタイヤとリアシートとの間で展開するエアバッグを設置して、このエアバッグによりスペアタイヤがリアシートに向かって移動することを防止する技術が開示されている。
しかしながら、後方衝突の対策に関して、車両後部のクラッシュカン及びリアサイドフレームだけでは必ずしも十分に衝撃荷重を吸収できない場合があるため、より効果的に衝撃荷重を吸収するための技術の開発が求められている。
また、特許文献1及び2には、後方衝突時においてリアシートや燃料タンク等を保護するようにスペアタイヤの移動を規制する技術が開示されているに過ぎず、より効果的に衝撃荷重を吸収するための技術については開示されていない。
そこで、本発明は、車両後方から加わる衝撃荷重を効果的に吸収することで、車室内における乗員の安全性を高めることができる車両の後部構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る車両の後部構造は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
車両後部において車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレームと、
該左右のリアサイドフレーム間に架設され、タイヤパンが形成されたリアフロアパネルと、
前記タイヤパンに収納されたスペアタイヤと、
該スペアタイヤのタイヤホイールを前記タイヤパンに固定する固定部と、を備えた車両の後部構造であって、
前記固定部は、後方から前記スペアタイヤに衝撃荷重が加わったときに前記タイヤホイールの固定状態を維持しつつ該タイヤホイールが前記タイヤパンに対して前方へ相対移動することを許容する可動機構を備え、
前記スペアタイヤの前方に、前記タイヤホイールの前記相対移動によって前記タイヤパンに対して前方へ相対移動した前記スペアタイヤを受け止める受け部材が設けられていることを特徴とする。
車両後部において車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレームと、
該左右のリアサイドフレーム間に架設され、タイヤパンが形成されたリアフロアパネルと、
前記タイヤパンに収納されたスペアタイヤと、
該スペアタイヤのタイヤホイールを前記タイヤパンに固定する固定部と、を備えた車両の後部構造であって、
前記固定部は、後方から前記スペアタイヤに衝撃荷重が加わったときに前記タイヤホイールの固定状態を維持しつつ該タイヤホイールが前記タイヤパンに対して前方へ相対移動することを許容する可動機構を備え、
前記スペアタイヤの前方に、前記タイヤホイールの前記相対移動によって前記タイヤパンに対して前方へ相対移動した前記スペアタイヤを受け止める受け部材が設けられていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記受け部材は、前記左右のリアサイドフレーム間に架設されたクロスメンバに取り付けられていることを特徴とする。
前記受け部材は、前記左右のリアサイドフレーム間に架設されたクロスメンバに取り付けられていることを特徴とする。
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、
前記固定部は、前記タイヤパンと前記タイヤホイールとに設けられた挿通穴に挿通されるボルトを備え、
前記挿通穴の一方が車両前後方向に延設された長穴であることにより前記可動機構が構成されていることを特徴とする。
前記固定部は、前記タイヤパンと前記タイヤホイールとに設けられた挿通穴に挿通されるボルトを備え、
前記挿通穴の一方が車両前後方向に延設された長穴であることにより前記可動機構が構成されていることを特徴とする。
またさらに、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記タイヤホイールは、前記固定部により前記タイヤパンの底部に固定された円形のディスク部と、該ディスク部の周縁から立ち上がる環状のリム部とを備え、
前記受け部材が前記スペアタイヤを受け止めるときに該スペアタイヤを介して前記リム部の上縁部を受けることで該リム部の変形を促進する変形促進部が、前記受け部材の後面に突設されていることを特徴とする。
前記タイヤホイールは、前記固定部により前記タイヤパンの底部に固定された円形のディスク部と、該ディスク部の周縁から立ち上がる環状のリム部とを備え、
前記受け部材が前記スペアタイヤを受け止めるときに該スペアタイヤを介して前記リム部の上縁部を受けることで該リム部の変形を促進する変形促進部が、前記受け部材の後面に突設されていることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、
前記受け部材の後面における前記変形促進部よりも下側の全部分は、該変形促進部の後端よりも前側に位置するように設けられていることを特徴とする。
前記受け部材の後面における前記変形促進部よりも下側の全部分は、該変形促進部の後端よりも前側に位置するように設けられていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、
前記受け部材の後面から前記スペアタイヤの上方に向かって、前記スペアタイヤの上方への移動を規制する規制部が突設されていることを特徴とする。
前記受け部材の後面から前記スペアタイヤの上方に向かって、前記スペアタイヤの上方への移動を規制する規制部が突設されていることを特徴とする。
さらに、請求項7に記載の発明は、前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発明において、
前記スペアタイヤの後方に、車両後方から衝撃荷重が加わったときに前記スペアタイヤを突き刺して該スペアタイヤのパンクを促進するパンク促進部材が設けられていることを特徴とする。
前記スペアタイヤの後方に、車両後方から衝撃荷重が加わったときに前記スペアタイヤを突き刺して該スペアタイヤのパンクを促進するパンク促進部材が設けられていることを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明によれば、リアフロアパネルのタイヤパンに収納されたスペアタイヤに後方から衝撃荷重が加わるとき、該スペアタイヤのタイヤホイールは、タイヤパンへの固定状態が維持されつつ該タイヤパンに対して前方へ相対移動し、これに伴って同様に移動するスペアタイヤが、スペアタイヤの前方に配設された受け部材により受け止められる。これにより、タイヤホイールが挟み潰されるため、タイヤホイールを利用して効果的に衝撃荷重を吸収することができる。よって、車両後部のクラッシュカン及びリアサイドフレームだけでは十分に衝撃荷重を吸収できない場合であっても、タイヤホイールによる衝撃吸収を併用することで、車室の変形を効果的に抑制して、乗員の安全性を高めることができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、前記受け部材が、左右のリアサイドフレーム間に架設されたクロスメンバに取り付けられているため、スペアタイヤのタイヤホイールが受け部材により受け止められたとき、後方からスペアタイヤに加わった衝撃荷重を、受け部材と前記クロスメンバとを介して左右のリアサイドフレームに伝達することができる。そのため、タイヤホイールによる衝撃吸収を図りつつ、これにより吸収しきれない衝撃荷重をリアサイドフレームに伝達することで、荷重を分散させることができる。したがって、車室の変形を一層効果的に抑制することができ、これにより、乗員の安全性を更に高めることができる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、後方からスペアタイヤ衝撃荷重が加わったとき、スペアタイヤのタイヤホイールをタイヤパンに固定するボルトが、タイヤパン又はタイヤホイールにおいて車両前後方向に延設された長穴に沿ってスライド移動することにより、タイヤホイールが、タイヤパンへの固定状態が維持されつつ前方へ移動することができる。
またさらに、請求項4に記載の発明によれば、後方からの衝撃荷重が加わることによりスペアタイヤのタイヤホイールが前方へ移動したとき、該タイヤホイールのリム部の上縁部が、前記受け部材の後面に突設された変形促進部に受け止められ、これによりタイヤホイールのリム部の変形が促進されるため、該タイヤホイールを利用した衝撃吸収を促進することができる。
また、請求項5に記載の発明を請求項4に記載の発明に適用すれば、前記受け部材の後面における前記変形促進部よりも下側の全部分が、該変形促進部の後端よりも前側に位置するように設けられていることにより、該変形促進部にタイヤホイールのリム部の上縁部が受け止められたとき、該受け止め部分を支点として変形促進部の下方空間に向かって回転する方向の力がタイヤホイールに働くため、タイヤホイールの上方への移動を規制して、後席の乗員の安全性を高めることができる。
またさらに、請求項6に記載の発明によれば、前記受け部材の後面に、スペアタイヤの上方への移動を規制する規制部が突設されているため、この規制部により、スペアタイヤの上方への飛び出しを防止して、後席の乗員の安全性を高めることができるとともに、前記可動機構によるタイヤホイールの前方への移動を一層容易にすることができる。
加えて、請求項7に記載の発明によれば、車両後方から衝撃荷重が加わったとき、スペアタイヤの後方に設けられたパンク促進部材がスペアタイヤに突き刺さって、該スペアタイヤがパンクすることで、該スペアタイヤのタイヤホイールの移動スペースが確保されるため、該タイヤホイールを確実に前進させることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「前後」、「右」、「左」、「左右」等の方向を示す用語は、特段の説明がある場合を除いて、車両の進行方向を「前」とした場合の方向を指すものとする。
図1は、本実施形態に係る車両の後部構造を示す平面図であり、図2は、図1のA−A線断面図であり、図3は、図2の要部を拡大した拡大断面図である。
図1及び図2に示すように、車両1の後部には、車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレーム2,3が設けられている。
左右のリアサイドフレーム2,3の前端部間にはクロスメンバ16が架設されている。また、各リアサイドフレーム2,3の前端部には、前方へ延びるサイドシル22,23が連ねて設けられており、左右のサイドシル22,23間にフロントフロアパネル20が架設されている。
リアサイドフレーム2,3よりも後方には、リアバンパ4が車幅方向に延設されている。リアバンパ4は、車幅方向に延びるリアバンパレインフォースメント6と、該リアバンパレインフォースメント6を覆う図示しないリアバンパカバーとを備えている。
また、各リアサイドフレーム2,3の後端部と、リアバンパレインフォースメント6とに跨ってそれぞれクラッシュカン12,13が設けられている。車両後方からリアバンパ4に衝撃荷重が加わったときは、先ずクラッシュカン12,13が潰れながら該衝撃荷重を吸収し、クラッシュカン12,13により衝撃荷重を吸収しきれない場合は、さらにリアサイドフレーム2,3が潰れながら該衝撃荷重を吸収するようになっている。
左右のリアサイドフレーム2,3間には、荷室の底部を構成するリアフロアパネル10が架設されている。リアフロアパネル10には、平面視略円形のタイヤパン14が設けられており、このタイヤパン14にスペアタイヤ30が収納されている。
図3に示すように、スペアタイヤ30のタイヤホイール32は、円形のディスク部34と、該ディスク部34の周縁から立ち上がる環状のリム部36とを備えている。該リム部36の高さ方向中間部には、径方向内側へ凹入した窪み部38が設けられている。また、ディスク部34は、固定部74によりタイヤパン14の底部に固定されている。
図4に示すように、前記固定部74は、ボルト76と、ナット90と、タイヤホイール32のディスク部34の中央部に設けられたボルト取付部70と、タイヤパン14の底部に設けられたブラケット80とを有する。
ボルト取付部70は、ディスク部34から上側へ円錐台状に突設されており、ボルト取付部70の中央に円形のボルト挿通穴72が設けられている。
ブラケット80は、タイヤパン14の底部に例えば溶接により固定された左右一対の底面部82,83と、該底面部82,83からそれぞれ立ち上がる左右一対の側面部84,85と、左右の側面部84,85の上端部間に架設された上面部86とを有する。底面部82,83と側面部84,85と上面部86とはいずれも車両前後方向に延設されており、左右の側面部84,85と上面部86とにより、車両前後方向に延びるトンネル部81が形成されている。上面部86にはボルト挿通穴88が設けられており、該ボルト挿通穴88は、車両前後方向に長い長穴となっている。
ナット90は、ブラケット80のトンネル部81に挿入された状態で使用されるものである。該ナット90は、平面視半円形の前半部と平面視矩形の後半部とを有する柱状に形成されている。また、ナット90は、車幅方向に関してトンネル部81と略同じ幅を有するため、該トンネル部81内においてボルト76の軸周りの回転が規制されるようになっている。さらに、ナット90の後端部をトンネル部81の後端に位置合わせすると、ナット90のねじ穴92がブラケット80のボルト挿通穴(長穴)88の後端部に位置合わせされるようになっている。
固定部74によりスペアタイヤ30をタイヤパン14に固定する際は、先ず、該タイヤパン14に固定されたブラケット80のトンネル部81にナット90を挿入する。このとき、トンネル部81の後端とナット90の後端部とを位置合わせしておき、これにより、該ナット90のねじ穴92が、ブラケット80のボルト挿通穴(長穴)88の後端部に位置合わされる。続いて、タイヤパン14の底部にスペアタイヤ30を載置し、該スペアタイヤ30のタイヤホイール32のボルト挿通穴72を、ブラケット80のボルト挿通穴(長穴)88の後端部に位置合わせする。この状態で、タイヤホイール32のボルト挿通穴72とブラケット80の挿通穴88とに、上方からボルト76を差し込むとともに、該ボルト76の先端をナット90のねじ穴92にねじ込んで締め付けることで、スペアタイヤ30がタイヤパン14に固定される。
この固定部74は、後方からスペアタイヤ30に衝撃荷重が加わったときにタイヤホイール32の固定状態を維持しつつ該タイヤホイール32がタイヤパン14に対して前方へ相対移動することを許容する可動機構78を備え、この可動機構78は、ブラケット80のボルト挿通穴88が車両前後方向に延設された長穴であることにより構成されている。つまり、後方からスペアタイヤ衝撃荷重が加わったとき、前記ボルト76とナット90は、螺合状態を維持しながらブラケット80の長穴88に沿ってスライド移動可能であり、これにより、タイヤホイール32は、タイヤパン14への固定状態が維持されつつ該タイヤパン14に対する前方への相対移動が可能となっている。
図3に示すように、スペアタイヤ30は、タイヤパン14の周縁との間にほとんど隙間がない状態で該タイヤパン14に収納されている。これにより、タイヤパン14内におけるスペアタイヤ30の移動が規制されるため、該スペアタイヤ30がパンクしない限り、前記可動機構78によるタイヤホイール32の前方移動は困難である。
そこで、本実施形態では、図1及び図3に示すように、荷室の後縁部、すなわちスペアタイヤ30の後方において車幅方向に延設されたリアエンドメンバー26に、複数のパンク促進部材98が設けられている。パンク促進部材98は、尖った形状の前端部を有することが好ましく、これにより、スペアタイヤ30のパンクを効果的に促進することができる。図6に示すように、車両後方から衝撃荷重が加わったとき、パンク促進部材98はスペアタイヤ30に直接突き刺さるか、又は、リアエンドメンバー26を挟んだ状態でスペアタイヤ30に突き刺さり、これにより、スペアタイヤ30のパンクが促進される。このようにしてスペアタイヤ30がパンクすると、タイヤパン14内においてタイヤホイール32の移動スペースが確保されるため、前記可動機構78によるタイヤホイール32の前方移動が容易となる。
図3に示すように、スペアタイヤ30の前方には、可動機構78によるタイヤホイール32の前方移動によってタイヤパン14に対して前方へ相対移動したスペアタイヤ30を受け止める受け部材40が設けられており、この受け部材40は前記クロスメンバ16に固定されている。
図5に示すように、受け部材40は、車幅方向に延びる中空部材であり、クロスメンバ16の上面に固定される上面固定部42と、該上面固定部42の後端部から下方へ延びるとともに、クロスメンバ16の後面に固定される後面固定部44と、該後面固定部44から後上方に向かって突設された変形促進部48とを有する。
上面固定部42には、車幅方向に間隔を空けて複数のボルト挿通穴52が設けられ、該ボルト挿通穴52に上方から差し込まれるボルト62によりクロスメンバ16の上面に固定される(図3参照)。
後面固定部44の車幅方向両端部には、下方へ延出した左右一対の下方延出部46が設けられ、各下方延出部46には、車幅方向に間隔を空けて複数のボルト挿通穴54が設けられている。また、該下方延出部46は、リアフロアパネル10に設けられた図示しない差し込み口に上方から差し込まれ、該リアフロアパネル10よりも下側において、前記ボルト挿通穴54に後方から差し込まれるボルト64によりクロスメンバ16の後面に固定される(図3参照)。
図3及び図4に示すように、変形促進部48の上面と下面とは、後方に向かって上側へ傾斜した傾斜面となっており、変形促進部48の後面は、車両前後方向に対して垂直で、且つ、タイヤホイール32のリム部36の上縁部と略同じ高さに配設されている。また、変形促進部48の後面の上端部には、スペアタイヤ30の上方への移動を規制する規制部50が、スペアタイヤ30の上方に向かって突設されている。
したがって、この規制部50により、スペアタイヤ30が上方のリアシート18等に向かって飛び出すことを防止でき、これにより、後席の乗員の安全性を高めることができる。また、後方から衝撃荷重が加わったとき、受け部材40の規制部50によりスペアタイヤ30の上方への移動が規制されることで、前記可動機構78によるタイヤホイール32の前方への移動がより確実になし得る。
図7は、車両1に後方車両101が衝突して、これにより加わった衝撃荷重によりスペアタイヤ30がパンクするとともに、前記可動機構78により、スペアタイヤ30のタイヤホイール32が、タイヤパン14への固定状態を維持しつつタイヤパン14に対して前方へ相対移動した状態を示す。
このとき、図7に示すように、タイヤホイール32は、スペアタイヤ30を介して受け部材40により受け止められて、該受け部材40と後方車両101等の衝突物とによって挟み潰されるため、これにより、タイヤホイール32を利用して効果的に衝撃荷重を吸収することができる。よって、車両後部のクラッシュカン12,13及びリアサイドフレーム2,3だけでは十分に衝撃荷重を吸収できない場合であっても、タイヤホイール32による衝撃吸収を併用することで、車室の変形を効果的に抑制して、乗員の安全性を高めることができる。
また、このとき、受け部材40が前記クロスメンバ16に取り付けられていることにより、後方から加わった衝撃荷重を、受け部材40とクロスメンバ16とを介して左右のリアサイドフレーム2,3に伝達することができる。そのため、タイヤホイール32による衝撃吸収を図りつつ、これにより吸収しきれない衝撃荷重をリアサイドフレーム2,3に伝達することで、荷重を分散させることができる。したがって、車室の変形を一層効果的に抑制することができ、これにより、乗員の安全性を更に高めることができる。
さらに、図8に示すように、タイヤホイール32が受け部材40により受け止められるとき、該受け部材40の変形促進部48が、パンクしたスペアタイヤ30を挟んでタイヤホイール32のリム部36の上縁部に当接するため、該リム部36は、特に窪み部38から上側の部分が後側へ折れ曲がるように変形が促進される。そのため、タイヤホイール32を利用した衝撃吸収を効果的に促進することができる。
また、受け部材40には、変形促進部48よりも下側において後方への突出部が設けられておらず、受け部材40の後面における変形促進部48よりも下側の全部分は、該変形促進部48の後端よりも前側に位置するように設けられている。そのため、変形促進部48がタイヤホイール32のリム部36の上縁部を受け止めるとき、該受け止め部分を支点として変形促進部48の下方空間に向かって回転する方向の力がタイヤホイール32に働くため、これにより、タイヤホイール32の上方への移動が規制されて、後席の乗員の安全性が高められている。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、タイヤパン14とタイヤホイール32とに設けられた挿通穴72,88に対して上方から差し込むボルト76により、スペアタイヤ30をタイヤパン14に固定する構成について説明したが、前記挿通穴に対して下方から差し込むボルトによりスペアタイヤをタイヤパンに固定するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、タイヤパン14に設けられた挿通穴88が車両前後方向に延設された長穴であることにより可動機構78が構成される場合について説明したが、本発明では、これに代えて、タイヤホイールに設けられた挿通穴を車両前後方向に延びる長穴で構成し、これにより可動機構が構成されるようにしてもよい。
以上のように、本発明によれば、リアフロアパネルのタイヤパンに収納されたスペアタイヤのタイヤホイールを利用して、車両後方から加わる衝撃荷重を効果的に吸収することで、車室内における乗員の安全性を高めることが可能となるから、リアフロアパネルのタイヤパンにスペアタイヤを搭載した車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
1:車両、2,3:リアサイドフレーム、10:リアフロアパネル、14:タイヤパン、16:クロスメンバ、30:スペアタイヤ、32:スペアタイヤのタイヤホイール、36:タイヤホイールのリム部、40:受け部材、48:変形促進部、50:規制部、74:固定部、78:可動機構、88:長穴、98:パンク促進部材。
Claims (7)
- 車両後部において車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレームと、
該左右のリアサイドフレーム間に架設され、タイヤパンが形成されたリアフロアパネルと、
前記タイヤパンに収納されたスペアタイヤと、
該スペアタイヤのタイヤホイールを前記タイヤパンに固定する固定部と、を備えた車両の後部構造であって、
前記固定部は、後方から前記スペアタイヤに衝撃荷重が加わったときに前記タイヤホイールの固定状態を維持しつつ該タイヤホイールが前記タイヤパンに対して前方へ相対移動することを許容する可動機構を備え、
前記スペアタイヤの前方に、前記タイヤホイールの前記相対移動によって前記タイヤパンに対して前方へ相対移動した前記スペアタイヤを受け止める受け部材が設けられていることを特徴とする車両の後部構造。 - 前記受け部材は、前記左右のリアサイドフレーム間に架設されたクロスメンバに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両の後部構造。
- 前記固定部は、前記タイヤパンと前記タイヤホイールとに設けられた挿通穴に挿通されるボルトを備え、
前記挿通穴の一方が車両前後方向に延設された長穴であることにより前記可動機構が構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の後部構造。 - 前記タイヤホイールは、前記固定部により前記タイヤパンの底部に固定された円形のディスク部と、該ディスク部の周縁から立ち上がる環状のリム部とを備え、
前記受け部材が前記スペアタイヤを受け止めるときに該スペアタイヤを介して前記リム部の上縁部を受けることで該リム部の変形を促進する変形促進部が、前記受け部材の後面に突設されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の後部構造。 - 前記受け部材の後面における前記変形促進部よりも下側の全部分は、該変形促進部の後端よりも前側に位置するように設けられていることを特徴とする請求項4に記載の車両の後部構造。
- 前記受け部材の後面から前記スペアタイヤの上方に向かって、前記スペアタイヤの上方への移動を規制する規制部が突設されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両の後部構造。
- 前記スペアタイヤの後方に、車両後方から衝撃荷重が加わったときに前記スペアタイヤを突き刺して該スペアタイヤのパンクを促進するパンク促進部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両の後部構造。
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CN114987634A (zh) * | 2022-07-01 | 2022-09-02 | 随州常森汽车部件有限公司 | 一种具有防护功能的货车底盘 |
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2011
- 2011-03-23 JP JP2011064505A patent/JP2012201124A/ja not_active Withdrawn
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