圧延の生産性を上げるひとつの方法として、圧延機をタンデム式にする方法がある。熱間圧延の仕上圧延においては、タンデム圧延設備は、よく用いられる設備である。
仕上圧延の場合、被圧延材の板厚が薄いので、被圧延材の剛性が低い。そのため、1台目の圧延機を通過した被圧延材は、ガイドやテーブルの誘導に従って通板されやすく、十分な板クラウン・形状制御装置が備わっているので、2台目の圧延機で咬みこむことができ、2台目の圧延機でも圧延することができる。
厚板圧延、及び熱間圧延の粗圧延(以下「熱延粗圧延」という)は、通常、単スタンドのリバース圧延である。これらの圧延をタンデム化した場合、被圧延材をリバースさせる時のロスを低減できるので、生産性を向上させることが可能である。しかしながら、被圧延材は圧延当初、厚いことにより剛性が高いので、蛇行・キャンバーや反り等の通板トラブルが発生するとガイド等による矯正が困難であるため、2台目の圧延機に咬みこむことができない。さらに前記に加え、板厚が薄い領域では、板クラウンを板厚で割ったクラウン比率が圧延前後で一定で圧延されない場合、すなわち、板クラウン・形状制御が十分でない場合、その影響が圧延後の板形状の不良として現れる。このような形状不良が発生した場合は、2台目の圧延機に咬み込み時に被圧延材が折り込まれた状態で圧延される、所謂、絞りと呼ばれる、通板トラブルが生じる。
圧延設備のタンデム化のメリットしては、リバース回数の低減による生産性の向上と、圧延範囲の拡大(板厚の厚いものから薄いものまでの圧延)による前後工程の負荷低減等が挙げられるが、従来の厚板圧延や熱延粗圧延では、上記で述べたような形状不良,蛇行・キャンバーや反りによるトラブルに対する制御能力が十分ではなかったため、圧延機のタンデム化の実現は困難であった。
特許文献1に開示されているような典型的な厚板圧延機(図7)は、ロール開度を大きくとることを最優先として設計されている。すなわち、圧下装置11によって上下位置が設定・制御される上補強ロールチョック4−1に繋がるアーム部が上作業ロールチョック3−1を保持する構造となっている。そして、構造上大きさに制約のある当該アーム部に入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2を組み込むため、大容量の油圧シリンダーを組み込むことが困難だからである。このため、強力なロールベンディング力を付与することができない。
例えば、作業ロール直径が800mm程度のホットストリップミル仕上圧延機でも200tf/chockを超える能力の作業ロールベンディング装置が実用化されている。これに対して、作業ロール直径が1000mm程度の厚板圧延機では200tf/chock程度の作業ロールベンディング装置しか実用化されていない。ロール直径の対比から、より大容量のロールベンディング力が必要なことは明白である。
ここで、ロールベンディング効果の指標となるロールたわみは、負荷された曲げモーメントが同じであればロールの断面二次モーメントに反比例する。したがって、作業ロール直径が1000mmの厚板圧延機のロールベンディング効果は、作業ロール直径が800mmのホットストリップミル仕上圧延機に比べて約60%も劣ることになる。
このため、厚板圧延機の板クラウン・形状制御装置としては、ロールクロス機能やロールシフト機能が実用化され活用されている。作業ロールベンディング装置が使用されることはあまりない。しかしながら、ロールクロス機能やロールシフト機能は、圧延中に迅速に設定変更することが困難である。したがって、圧延中の外乱因子を取り除くことが不可能で、タンデム圧延を行うための形状制御としては、不完全と言わざるを得ない。
一方、特許文献2及び3に開示されているような圧延機(図9)のように、入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2が、それぞれ、上作業ロールチョック3−1、及び下作業ロールチョック3−2に組み込まれている場合は、油圧シリンダーのストロークを長くとることができる。これによって大きなロール開度を実現できる。さらに、大容量の油圧シリンダーを組み込むことも可能となるので、厚板圧延機でも実用的な作業ロールベンディング効果を期待できる。
一方、上作業ロール1−1、及び下作業ロール1−2は圧延操業による損耗が激しいために定期的なロール組み替えが必要である。そして、組み替え作業の度に、インクリースベンディング装置の油圧配管を着脱しなければならない。これによって、ロール組み替え時間が長くなるだけでなく、配管着脱時には油圧配管内に微小な異物が混入する可能性が高くなる。
このため、この圧延機(図9)では、高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用することができない。また、配管の着脱を容易にするために、柔構造かつ着脱自在な、フレキシブル配管などの油圧配管を介して、それぞれの油圧制御弁に接続しなければならない。また、フレキシブル配管を採用すると、柔構造であるために油圧の変動を吸収緩和することがある。したがって、タンデム圧延を行うために十分な応答性の高いロールベンディング装置とすることが困難となる。
他方、特許文献4に開示されているような圧延機(図10)では、入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2が、それぞれ、圧延機ハウジング9に繋がる入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2に組み込まれている。このため、ロール組み替え作業の度にインクリースベンディング装置の油圧配管を着脱する必要がない。したがって、この圧延機は、応答性の高いロールベンディング装置とすることができる。そのため、ホットストリップミル仕上圧延機に多用されている。
しかしながら、この形式では、上作業ロール1−1に作用するオフセット分力等の圧延方向力を支持するのは、上作業ロールチョック3−1と出側プロジェクトブロック5−2との接触面である。そのため、圧下装置11を操作してロール開度を大きくすると、作業ロールの回転中心が該接触面の外側となって上作業ロールチョック3−1の姿勢が不安定となる。その結果、大きなロール開度をとることができない。このため、大きなロール開度が必要な厚板圧延機では、この圧延機が採用されることはほとんどない。
上記のように、ロール開度を大きくとることのできる圧延機において、応答性が高く強力な作業ロールベンディング装置を組み込むことのでき、十分な板クラウン・形状制御ができる圧延機は従来技術では存在しない。
そのため、圧延機を単に2台並べただけではタンデム圧延設備とはなり得ず、厚板圧延や熱延粗圧延に対応できるタンデム圧延設備は、実現できなかった。
本発明は、上記の事情に鑑み、強力なロールベンディング力を付与することにより板クラウン・形状を十分に制御することにより、厚板圧延や熱延粗圧延に対応できるタンデム圧延設備の提供を課題とする。さらには、蛇行、キャンバー、反りの発生を抑制したタンデム圧延設備の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、圧延機ハウジングからその内側方向に突出するプロジェクトブロックを、パスラインに対して下側にシフトし、パスラインに対して上下非対称にするように設置することにより、以下のことが可能となることを見出した。
(a)上作業ロールチョックにかかる圧延方向力を常に圧延機ハウジングで受ける構造とできること。これにより、安定して作業ロールチョックを支えることができる。
(b)上記プロジェクトブロックに、上下インクリースベンディング装置を組み込むことができること。これにより、大容量・大ストロークの強力ベンディング装置を備えることができる。
(c)また、インクリースベンディング装置をプロジェクトブロックに組み込むことで、油圧配管を固定化でき、サーボバルブを適用することができること。これにより高応答のインクリースベンディング力の制御が可能となる。また、これらの装置上の発明により、以下の圧延機操業方法が可能となることも見出した。
(d)応答性の低いディクリースベンディング装置であっても、応答性の速いインクリースベンディング装置との協働により、高応答のベンディング力制御が可能となること。これにより、製品品質、圧延歩留が大きく改善される。
(e)これらの結果、厚板圧延、及び熱延粗圧延において、圧延機を2台以上並べたタンデム圧延設備としても、形状不良起因の絞り等の咬みこみトラブルの発生を抑えられるほどの、十分な形状制御が可能となること。その結果、圧延機を2台以上並べたタンデム圧延設備としても、咬みこみ不良等のトラブルの発生を抑えられ、従来適用できなかった厚板圧延、及び熱延粗圧延にもタンデム圧延が適用できるようになること。
(f)さらに、上ロールチョックに作用する圧延方向力がハウジングウインドウで、下ロールチョックに作用する圧延方向力がプロジェクトブロックで、それぞれしっかり支持されるとともに、ロードセルを配備することが容易であるので、圧延方向力の左右差によるキャンバー制御がしやすく、この制御を用いる場合、1スタンド目出側のキャンバーが抑えられるので、キャンバーによる咬みこみ不良を防止することができること。
(g)上記に加え,一方を回転速度制御,他方を圧延トルク制御とする反り制御機能を付与することにより反りの発生が抑制でき、この制御を用いる場合、1スタンド目出側の反りが抑えられるので、反りによる咬みこみ不良を防止することができること。
本発明は、これら知見を基に成されたものであり、その要旨は、以下のとおりである。
(1)金属板材の圧延機を2台以上連続に配置したタンデム圧延設備において、
前記圧延機は、上下一対の作業ロールとこれらをそれぞれ支持する上下一対の補強ロールを有し、
上下作業ロールにそれぞれインクリースベンディング力を負荷する油圧シリンダーが、圧延機ハウジングの内側に突出したプロジェクトブロックに配備され、
下作業ロールの胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックと下作業ロールチョックとの接触面によって支持され、
上作業ロールの胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックの上方に位置する圧延機ハウジングウインドウと上作業ロールチョックとの接触面によって支持されることを特徴とする金属板材のタンデム圧延設備。
(2)作業ロールチョックの圧延方向入側、出側のいずれか一方に、
該作業ロールチョックを前記圧延機のハウジングウインドウ又はプロジェクトブロックとの接触面に圧延方向に押しつけるための装置と、
前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックの圧延方向入側と出側の双方に、該作業ロールチョックに作用する圧延方向の力を測定するための荷重検出装置と、
前記荷重検出装置による測定値に基づいて前記作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
該圧延方向力の作業側と駆動側の差異の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する演算装置と、
該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置
を有することを特徴とする前記(1)の金属板材のタンデム圧延設備。
(3)前記一対の作業ロールをそれぞれ独立に駆動する一対の電動機を有し、
一方の電動機はロール回転速度を制御目標値として制御し、
他方の電動機は該電動機で駆動される作業ロールから被圧延材に加えられる圧延トルクがほぼ一定になることを制御目標として駆動トルクを制御量として制御する
制御手段を備えたことを特徴とする前記(1)又は(2)の金属板材のタンデム圧延設備。
(4)前記上作業ロールにインクリースベンディング力を負荷する油圧シリンダーと、前記下作業ロールにインクリースベンディング力を負荷する油圧シリンダーとが、前記プロジェクトブロック内において平面図上で異なる位置に配備されていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかの金属板材のタンデム圧延設備。
(5)前記上作業ロールにディクリースベンディング力を負荷する油圧シリンダーが、上補強ロールの上補強ロールチョックに配備されていることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかの金属板材のタンデム圧延設備。
(6)前記下作業ロールにディクリースベンディング力を負荷する油圧シリンダーが、前記下補強ロールの下補強ロールチョック又は前記プロジェクトブロックの下方に設置する第2のプロジェクトブロックに配備されていることを特徴とする前記(5)の金属板材のタンデム圧延設備。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかのタンデム圧延設備を用いてリバース圧延することを特徴とする熱間圧延方法。
本発明に係るタンデム圧延設備に用いる圧延機は、図4に示すように、上作業ロール1−1の胴部に負荷される圧延方向力を、上作業ロールチョック3−1と出側プロジェクトブロック5−2より上方の圧延機ハウジングウインドウ12との接触面によって支持する構造である。そのため、大きなロール開度をとることができるとともに、強力なロールベンディング力を得ることができる。
そして、上作業ロール1−1、及び下作業ロール1−2にそれぞれインクリースベンディング力を負荷する油圧シリンダーが、圧延機ハウジングの内側に突出した出側プロジェクトブロック5−2にそれぞれ配備された構造である。そのため、作業ロールの組み替え作業の度にインクリースベンディング装置の油圧配管を着脱する必要がない。このために、インクリースベンディング装置に、固定油圧配管を介してそれぞれの油圧制御弁に接続することができ、高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用することができ、応答性の高いインクリースベンディング装置とすることができる。
したがって、被圧延材の入側板厚や被圧延材の温度等の、圧延中に変動する外乱に対しても良好な板クラウン・形状を造り込むことが可能であるので、圧延機を2台以上並べた場合であっても、2台目以降で咬みこみ不良が生じることが無く、厚板圧延、及び熱延粗圧延に対応したタンデム圧延設備とすることができる。
さらに、作業ロールチョックのサポートが十分なので、圧延方向に作用するロードセルを配備することが容易であり、圧延方向の左右差に基づく蛇行、キャンバー制御機能を付与することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本発明に係るタンデム圧延設備の構造を示す図である。図4は、このタンデム圧延設備に用いる圧延機の構造を示す図である。本発明に係る圧延機は、上作業ロールチョック3−1を介して上作業ロール1−1にインクリースベンディング力を負荷する入側上インクリースベンディング装置6−1及び出側上インクリースベンディング装置6−2、並びに、下作業ロールチョック3−2を介して下作業ロール1−2にインクリースベンディング力を負荷する、入側下インクリースベンディング装置6−3及び出側下インクリースベンディング装置6−4が、圧延機ハウジング9の内側に突出した入側プロジェクトブロック5−1及び出側プロジェクトブロック5−2に配備されている。
本発明に係る圧延機では、圧延機の構造設計上の観点、特にロール開度を大きくとるための観点から、入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2の位置、及び上作業ロールチョック3−1の形状などについて抜本的に見直し、以下に説明するとおり、図10に示す従来の圧延機の問題点を解決している。
すなわち、図10に示す従来形式では、板クラウン・形状制御が必要な領域で大きなロール開度をとることができない。この圧延機は、入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2を、被圧延材10の通過する位置(以下「パスライン」ともいう)に対して、ほぼ上下対称になるように配置している。このため、上作業ロールチョック3−1と出側プロジェクトブロック5−2との接触面によって、上作業ロール1−1に作用するオフセット分力等の圧延方向力、すなわち、被圧延材10や上補強ロール2−1等から、上作業ロール1−1の胴部に負荷される圧延方向力を支持する構造だからである。
この構造では、ロール開度を大きくするにしたがい、上作業ロール1−1の回転中心位置、すなわち、圧延方向力の作用点と上作業ロールチョック3−1が上方に移動し、前記圧延方向力を支持する出側プロジェクトブロック5−2との接触面積が減少する。したがって、ロール開度を大きくするにしたがって、上作業ロールチョック3−1の姿勢が不安定となるので、大きなロール開度をとることができない。
本発明に係る圧延機は、上記の問題点を解決する。本発明に係る圧延機は、図4に示すように、圧延機ハウジング9からその内側方向に突出する入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2を、パスラインに対して下側にシフトした位置に配置する。すなわち、図10に示す従来の圧延機とは異なり、パスラインに対して上下非対称になるように入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2を配置する。さらに、上作業ロールチョック3−1は、出側プロジェクトブロック5−2と接触して圧延力を支えるのではなく、圧延機ハウジングウインドウ12に接触して圧延力を支えるようにした。
これにより、本発明に係る圧延機では、上作業ロールチョック3−1と出側プロジェクトブロック5−2の上方の圧延機ハウジングウインドウ12との接触面によって、上作業ロール1−1に作用するオフセット分力等の圧延方向力、すなわち、被圧延材10や上補強ロール2−1等から上作業ロール1−1の胴部に負荷される圧延方向力を支持する。
このような構造にすれば、圧延機上側の圧下装置11を操作してロール開度を大きくしても、上作業ロールチョック3−1と圧延機ハウジングウインドウ12とが接触する面積は一切変化しない。したがって、上作業ロールチョック3−1の姿勢は、ロール開度の値にかかわらず常に安定して保持されることになる。
図10に示すように、上下のインクリースベンディング装置をプロジェクトブロックに配備した圧延機は周知ではある。しかし、図4に示す本発明に係る圧延機は、入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2の位置、並びに上作業ロールチョック3−1の形状について抜本的な見直しを行って、上作業ロール1−1の胴部に負荷される圧延方向力を、上作業ロールチョック3−1と出側プロジェクトブロック5−2の上方の圧延機ハウジングウインドウ12とが接触する接触面で支持する構造としたので、板クラウン・形状制御が必要な領域で大きなロール開度をとることができる。
さらに、本発明に係る圧延機では、上作業ロール1−1にインクリースベンディング力を負荷する入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2と、下作業ロール1−2にインクリースベンディング力を負荷する入側下インクリースベンディング装置6−3、出側下インクリースベンディング装置6−4を、圧延機ハウジング9の内側に突出した入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2に配備している。
そのため、作業ロールの組み替え作業の度にインクリースベンディング装置の油圧配管を着脱する必要がなく、応答性の高いインクリースベンディング装置とすることができる。これは、インクリースベンディング装置を入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2に固定された油圧配管を介して、それぞれの油圧制御弁に接続することができ、高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用することができるからである。
被圧延材の板厚が、おおむね100mm以下のときは、板クラウン・形状制御が必要である。この場合は、上作業ロール1−1にインクリースベンディング力を負荷する入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2を使用してロールバランスをとる。
なお、本発明に係る圧延機において、下作業ロール1−2の胴部に負荷される圧延方向力については、下作業ロールチョック3−2と出側プロジェクトブロック5−2の接触面によって支持される。このため、図4に示す圧延機では、下作業ロールチョック3−2の入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2に挟み込まれる部分の高さを大きくしている。
また、ロール開度は、主に上作業ロールチョックを上下に移動させることにより調整するので、下作業ロールチョックの上下の移動量は少ない。そのため、ロール開度が大きくなるにしたがい、下作業ロールの姿勢が不安定になることはない。
図5は、上下のインクリースベンディング装置の配置例を示す断面平面図である。つまり、入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2のパスライン高さの断面図である。
本発明に係る圧延機では、上下のインクリースベンディング装置を、プロジェクトブロックの断面平面図上で互いにずらして配備することが望ましい。例えば、図5に示すように、入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2と、入側下インクリースベンディング装置6−3、出側下インクリースベンディングとを、下作業ロール1−2の軸方向にシフトした位置関係となるように配備することが望ましい。
このようにすれば、上下のインクリースベンディング装置が互いに干渉しない。その結果、入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2のストロークを大きくして、板クラウン・形状制御が必要な領域においてさらに大きなロール開度をとることができる。
なお、図5では入側下インクリースベンディング装置6−3、出側下インクリースベンディング装置6−4は入側、出側それぞれ油圧シリンダーを2本としているが、油圧シリンダーを1本として入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2と干渉しないように下作業ロール1−2の軸方向に異なる位置に配置することでも同様の効果を得ることができる。
図6も上下のインクリースベンディング装置の配置例を示す透視平面図である。つまり、入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2のパスライン高さの断面図である。図5に示すように、入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2と、入側下インクリースベンディング装置6−3、出側下インクリースベンディングとを、圧延方向にシフトした位置関係としてもよい。このような配置でも、上下のインクリースベンディング装置は互いに干渉しない。その結果、入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2のストロークを大きくして、さらに大きなロール開度をとることができる。
ここまでは、主に解決課題の一つである大きなロール開度を獲得する観点から、本発明に係る圧延機の構造について説明してきた。次に、この構造によれば、もう一つの解決課題である強力なロールベンディング力の付与についても容易に達成できることを説明する。
図7、図8はいずれも従来技術に係る厚板圧延用の圧延機の構造を示す側面図であり、いずれの圧延機もロール開度を大きくとることができる圧延機である。これらの従来の圧延機では、強力なロールベンディング力を付与することができない。
これは、上補強ロールチョック4−1から下方に突出したアーム部に、入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2を組み込む構造であるため、大容量及び大ストロークの入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2を配備することができないからである。
また、これらの圧延機は、上補強ロールチョックからアーム部を出すため、上ディクリースベンディング装置の設置スペースがロールの軸心に寄る。そのため、上補強ロールチョック4−1の軸受けと干渉するので、大容量・大ストロークの入側上ディクリースベンディング装置7−1、及び出側上ディクリースベンディング装置7−2を配備することができない。
一方、図4に示すように本発明に係る圧延機では、圧延機ハウジング9からその内側方向に突出する入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2に、大容量・大ストロークの入側上インクリースベンディング装置6−1、及び出側上インクリースベンディング装置6−2を配備することができる。
また、本発明に係る圧延機は、上補強ロールチョック4−1には図7、図8、図11に示すようなアーム部を備えない。このため、上補強ロールチョック4−1の軸受けと干渉しない位置に、大容量・大ストロークの入側上ディクリースベンディング装置7−1、及び出側上ディクリースベンディング装置7−2を配備することができる。これにより、上作業ロール1−1に大きなディクリースベンディング力を負荷することが可能となる。
すなわち、入側プロジェクトブロック5−1、及び出側プロジェクトブロック5−2の位置、並びに上作業ロールチョック3−1の形状について抜本的な見直しを行って、上作業ロール1−1の胴部に負荷される圧延方向力を、上作業ロールチョック3−1と出側プロジェクトブロック5−2との接触面によって支持する構造とした本発明に係る圧延機によれば、大きなロール開度をとることができるとともに、強力なロールベンディング力の付与もできる。
また、作業ロールの組み替え作業の度にインクリースベンディング装置の油圧配管を着脱する必要がない。このために、それぞれのインクリースベンディング装置は、固定油圧配管を介して、それぞれの油圧制御弁に接続することができ、高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用することができる。したがって、応答性の高いインクリースベンディング装置とすることができる。
ところで、図11に示す圧延機のように、入側下ディクリースベンディング装置7−3、及び出側下ディクリースベンディング装置7−4を、下補強ロールチョック4−2に配備すると、下補強ロール2−2を組み替える際には、ディクリースベンディング装置の油圧配管を着脱しなければならない。
このため、高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用することは困難であり、油圧配管の着脱を容易にするために、フレキシブル配管を一部に採用しなければならない場合もある。
したがって、固定配管やサーボバルブを採用した場合と比較すると、ロールベンディング装置の応答性は低くならざるを得ない。さらに、着脱時には、油圧配管内に微小な異物が混入する可能性が高い。
これに対し、図12に示す圧延機によれば、下補強ロール2−2を組み替える際に生じる上記問題を解決することができる。専用のプロジェクトブロックに配備する下ディクリースベンディング装置の油圧配管には高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用でき、フレキシブル配管を使用せずに済むからである。このために、下補強ロール2−2の組み替えが容易になるとともに応答性の高いロールベンディング装置とすることができる。
以上説明した圧延機を用いれば、厚板圧延、及び熱延粗圧延においても十分な形状制御が可能となる。したがって、圧延機を2台以上並べたタンデム圧延設備としても、2台目以降での咬みこみ不良による問題は発生しない。
本発明のタンデム圧延設備は、上ロールチョックに作用する圧延方向力をハウジングウインドウで、下ロールチョックに作用する圧延方向力をプロジェクトブロックで、それぞれしっかり支持するので、さらに、被圧延材の蛇行及びキャンバーを高精度に抑制するための構成を備えることもできる。
一般に、板材の圧延によってキャンバーが生じる原因としては、ロールギャップ設定不良、被圧延材の入側板厚の左右差あるいは変形抵抗の左右差等が挙げられる。いずれの原因の場合でも、最終的には、圧延によって生じる圧延方向の伸び歪に左右差を生じることで、先進率及び後進率が板幅方向に変化し、被圧延材の出側速度及び入側速度に左右差を生じ、キャンバーを生じる。
このとき、例えばキャンバーを生じやすい被圧延材先端部の圧延時は、既に圧延が終了した出側の被圧延材長さは短いので比較的自由な状態で出側速度に左右差を生じるが、入側速度に左右差を生じるためには、入側に存在する被圧延材の全体が水平面内で剛体回転する必要がある。しかし、先端部圧延時は、一般に入側に長い未圧延材が残っているので、被圧延材自身の重量とテーブルローラーとの摩擦によって、上記剛体回転に抗するモーメントが発生する。このモーメントは、圧延機の作業ロールに反力として伝わることになるので、作業ロールチョック部に作用する圧延方向力に左右差を生じることで、最終的には支持されることになる。
被圧延材の蛇行及びキャンバーを抑制するための構成としては、例えば、作業ロールチョックの圧延方向入側、出側のいずれか一方に作業ロールチョックを、圧延機ハウジングウインドウ又はプロジェクトブロックとの接触面に圧延方向に押しつけるための装置を備えることができる。
図2に、作業ロールチョックの圧延方向入側、出側のいずれか一方に作業ロールチョックを、圧延機ハウジングウインドウ又はプロジェクトブロックとの接触面に圧延方向に押しつけるための装置として、上作業ロール押し付け装置14−1、及び下作業ロール押し付け装置14−2を備えたタンデム圧延設備の例を示す。
作業ロールチョックを圧延方向に押しつけた状態で圧延すると、前記したように伸び歪の左右差によって被圧延材から作業ロールにモーメントが作用しても、作業ロールチョックに押さえつける力が作用するので、モーメントが押さえつける力によって減殺される。つまり、作業ロールチョックの圧延方向位置を安定させることができる。その結果、実質的にキャンバー発生のない、あるいは極めてキャンバーの軽微な圧延が実現可能となる。
図2の作業ロール押し付け装置を備えた圧延機の装置構成では、上作業ロール押し付け装置14−1によって、上作業ロールチョック3−1はハウジングブロックとの接触面に押しつけられ、上作業ロールチョック3−1と圧延機ハウジングウインドウ12との間に間隙は存在しない。下作業ロールについても同様である。
また、ロール開度を大きくしても、作業ロール押し付け装置と作業ロールとの接触面は十分に確保されている。したがって、被圧延材が作業ロールを通過する時に作業ロールチョックとハウジングウインドウ間のガタつきを生じるという問題、上作業ロールチョック3−1の姿勢が不安定となるという問題が解決され、より安定した通板がもたらされる。ひいては、実質的にキャンバー発生のない、あるいは極めてキャンバーの軽微な圧延が実現可能となる。
作業ロールチョックを、圧延機ハウジングウインドウ又はプロジェクトブロックとの接触面に圧延方向に押しつけるための装置には、例えば、油圧装置を用いることができる。
さらに、作業ロールチョックの圧延方向入側と出側のうち、補強ロールを基準として作業ロールをオフセットしている側とは反対側に、作業ロールチョックを圧延方向に押しつけるための装置を備えてもよい。
本発明に用いる圧延機は、作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックの圧延方向入側と出側の双方に荷重検出装置を備えることもできる。入・出側双方の荷重測定値の方向性を考慮して合力を演算することで、入・出側いずれの方向に力が作用していても作業側及び駆動側それぞれのロールチョックに作用する圧延方向力を正確に求めることができる。
図2に示す例では、荷重検出装置として、上ロードセル13−1、及び下ロードセル13−2を備えている。
また、作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置を備えることにより、キャンバーの原因となる圧延方向の伸び歪の左右差に起因して被圧延材より作業ロールに作用するモーメントを検出することができる。
このモーメントは、キャンバー発生の原因となる伸び歪の左右差が生じたときにのみ発生し、しかも伸び歪差の発生とほぼ同時にモーメントも発生する。よって、圧延方向力の左右差を小さくする方向に、圧延機のロール開度の左右非対称成分、すなわち圧下レベリングを操作することで、キャンバーの発生を未然に防止することができる。
また、作業ロールチョックに作用する圧延方向力の左右差に基づいて、伸び歪を左右均等化するための圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する演算装置と、ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて圧延機のロール開度を制御する制御装置を配備することにより、伸び歪の左右差の発生を未然に防ぎ、キャンバーのない、あるいは極めてキャンバーの軽微な金属板材を圧延することが可能となる。
この原理は、被圧延材先端部圧延時の次にキャンバーが発生しやすい、被圧延材尾端部の圧延時も同様である。尾端部圧延時は、既に圧延が終了した出側の被圧延材長さが長いので、伸び歪そして先進率の左右差を生じようとしたときに主として出側の被圧延材からこれに抗するモーメントが発生し、これが作業ロールに反力として伝達される。したがって、この場合も作業ロールチョックに作用する圧延方向力の左右差を測定・演算することで伸び歪の左右差の発生を検知することができる。このとき、圧延方向力左右差を小さくする方向に圧延機のロール開度の左右非対称成分すなわち圧下レベリングを操作することで、尾端部におけるキャンバーの発生も未然に防止することが可能となる。
下作業ロールチョックに作用する圧延方向力の検出装置及び演算装置は省略してもよい。一般に、伸び歪の左右差に起因して被圧延材から作業ロールに作用するモーメントは、必ずしも上下作業ロールに均等に作用するとは限らない。しかし、その時系列変化挙動については、上下作業ロールで傾向が逆転することはない。したがって、ロール開度を制御する制御装置において適正な制御ゲインを設定することによって、上下どちらか一方の作業ロールに作用する圧延方向力の左右差に基づく良好なキャンバー制御を実現することができる。
また、ロール開度の左右非対称成分を直接的な制御パラメータとしているが、調質圧延のような極軽圧下圧延の場合には、圧延荷重を目標値として圧延操業を実行することもできる。そのような場合には、制御目標値として圧延荷重の左右差を演算して与えてもよい。すなわち、作業ロールチョックに作用する圧延方向力の左右差に基づき、これを解消する方向に圧延荷重の左右差の制御量を演算し、これを目標値として圧延荷重制御を実施することで結果的にロール開度の左右非対称成分を制御することになる。
作業ロールチョックを圧延方向に押しつけた状態で圧延すると、伸び歪の左右差によって被圧延材から作業ロールにモーメントが作用した際、直ちに作業ロールチョックに作用する圧延方向力左右差として検出できる。その結果、応答性及び精度がさらに優れたキャンバー制御システムとすることができる。
作業ロールチョックを圧延機ハウジングウインドウ12又はプロジェクトブロックとの接触面に、圧延方向に押しつけるための装置に、荷重検出装置としての機能をもたせてもよい。これにより上作業ロールチョック3−1に作用する圧延方向力の測定の応答性及び精度が高くなる。
作業ロール押し付け装置は、圧延機入側に配備しても、出側に配備してもよい。
本発明に用いる圧延機は、さらに、被圧延材のキャンバーを測定する、キャンバー測定装置と、キャンバー測定値に基づいて、圧延方向力の作業側と駆動側の差異の制御目標値を学習する演算装置とを備えてもよい。
これにより、ロール摩耗等が起因で作業ロールチョックに作用する圧延方向力の差異がシフトした場合でも、このシフトした量をキャンバー実績値に基づく学習により修正し、適切な制御目標値を演算することができる。
さらに、作業ロールチョックに作用する圧延方向力の差異、及び制御目標値に基づいて、伸び歪を左右均等化するための圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する演算装置と、ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて圧延機のロール開度を制御する制御装置を配備すれば、伸び歪の左右差の発生を未然に防ぎ、キャンバーのない、あるいは極めてキャンバーの軽微な圧延を行うことが可能となる。
圧延方向力の作業側と駆動側の差異の制御目標値を学習する演算装置での演算方法は、例えば、特許文献5に開示された方法を用いることができる。
下作業ロールチョックに作用する圧延方向力の検出装置及び演算装置は省略することもできる。一般に伸び歪の左右差に起因して被圧延材から作業ロールに作用するモーメントは、必ずしも上下作業ロールに均等に作用するとは限らない。しかし、その時系列変化挙動については、上下作業ロールで傾向が逆転することはなく、圧延方向力左右差の零点がシフトする可能性がある。
この場合も、圧延中又は圧延後の被圧延材のキャンバーを測定し、このキャンバー実績値に基づき、学習した制御目標値を当該パス、次パス、又は次材の圧延に設定することで、圧延方向力左右差のずれを修正できる。その結果、上下どちらか一方の作業ロールに作用する圧延方向力の左右差に基づく良好なキャンバー制御を実現することができる。
また、1台目のスタンドでもキャンバー発生を抑制することができるので、キャンバー発生による咬みこみ不良を防止することができる。
本発明に用いる圧延機は、さらに被圧延材の反り、及び、板幅方向に貫通した波形状による平坦度不良を抑制するための構成を備えることができる。
具体的には、上作業ロール1−1及び下作業ロール1−2を、それぞれ独立の駆動用電動機によって駆動するようにすることができる。以下、図3を用いて説明する。
上駆動用電動機21は、上駆動トルク測定値V2があらかじめ与えられた上駆動トルク目標値V1となるように計算した上駆動トルク制御量V3が与えられて制御され、上作業ロール1−1を駆動する。
下駆動用電動機22は、下作業ロール回転速度測定値V5があらかじめ与えられた下作業ロール回転速度目標値V4となるように計算した下作業ロール回転速度制御量V6が与えられて制御され、下作業ロール1−2を駆動する。
すなわち、一方の作業ロールを駆動する電動機はロール回転速度のみを制御して、駆動トルクは制御しない。他方の作業ロールを駆動する電動機は駆動トルクのみを制御して、ロール回転速度は制御しない。
本発明で用いる圧延機は、このような制御を行う場合でも、従来技術である上作業ロール及びした作業ロールをともにロール回転数制御とする制御と同様の性能を発揮でき、さらに、上下作業ロールの圧延トルクバランスの変化を防止することもできる。
これは、通常の圧延は、圧下率がほぼ一定の状態で圧延するので上下作業ロールの圧延トルクを合計したトルクはほぼ一定となるので、一方の作業ロールの圧延トルクを制御すれば他方の圧延トルクも制御でき、上下作業ロールの圧延トルクバランスの変化を防止できるからである。
すなわち、ロール回転速度のみを制御している他方の作業ロールの圧延トルクもほぼ一定となり、作業ロールと被圧延材とのスリップが0となる中立点の位置もほぼ一定に保たれる。その結果、被圧延材の速度もほぼ一定に保たれる。
したがって、この制御方法によれば、上下作業ロールの圧延トルクバランスの急激な変化を抑制することができ、被圧延材の反り、うねり、あるいは、全波、小波等と呼ばれる板幅方向に貫通した波形状の発生を抑制することができる。
この制御方法の一例は、特許文献6に示されている。
以上説明したように、本発明のタンデム圧延設備に用いる圧延機は、大きなロール開度を取ることができるとともに強力なロールベンディング力が得ることができ、高応答かつ高速な板クラウン・形状制御機能を有する。
その結果、従来は1台目の圧延機で鋼板形状が乱れることに起因して、2台面の圧延機で咬みこみ不良などが発生することよって実現が困難であった、厚板圧延、及び熱延粗圧延におけるタンデム圧延を可能としたものである。
また、被圧延材の蛇行及びキャンバーを抑制することも可能であり、さらに、反り、うねり、あるいは、全波、小波等と呼ばれる板幅方向に貫通した波形状の発生を抑制することもできる。
さらに、1台目のスタンドでも反り、うねり、前波、小波、等の発生を抑制することができるので、反り、うねり、前波、小波、等の発生による、2台目のスタンドでの咬みこみ不良を防止することができる。
本発明の圧延設備では、高応答かつ高速な板クラウン・形状制御機能を有するので、リバース圧延に用いることも可能である。
さらに、本発明の圧延設備は、幅広い板厚に対応できるので、熱延粗圧延から仕上圧延まで、本発明のタンデム圧延設備1機で行うことも可能である。