JP2005254275A - 金属板材の圧延方法および圧延装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する金属板材の圧延機と該圧延機の入側に配置された少なくとも1対のサイドガイドとからなる圧延設備を用いて圧延を実行する圧延方法および装置であって、該サイドガイドが被圧延材を挟持することによって該作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向の力を測定し、この差異に基づいて、該圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
このような問題に対し、特許文献1では、圧延機の入側および出側において圧延材の幅方向位置を測定する装置を配備し、この測定値から圧延材のキャンバーを演算し、これを修正するように圧延機入側に配備したエッジャーロールの位置を調整するキャンバー制御技術が開示されている。
また、特許文献3には、圧延荷重の左右差の実測値を分析して、ロール開度の左右差すなわち圧下レベリングを制御するか、またはサイドガイドの位置を制御するキャンバー制御技術が開示されている。
また、特許文献4には、入側のエッジャーロールとサイドガイド、そして出側サイドガイドで圧延材を拘束してキャンバー制御する方法が開示されている。
特許文献2に記載の、圧延機入出側のエッジャーロール荷重左右差に基づくキャンバー制御技術に関する発明では、入側の圧延材に既にキャンバーが存在する場合、これが入側のエッジャーロール荷重差の外乱になって高い制御精度を得ることが困難になる。また、出側のエッジャーロールは圧延材先端がエッジャーロールに衝突することを避けるため圧延材先端通板時は退避しておく必要があり、圧延材先端からキャンバー制御を実施することも困難である。また、左右のサイドガイドの反力差を使うことも同様な理由でキャンバー制御に用いることが困難である。
特許文献4に記載の、入側エッジャーロール、入側サイドガイドおよび出側サイドガイドによるキャンバー制御に関する発明では、出側サイドガイドが出側圧延材を完全に拘束することができれば出側キャンバーを零とすることが可能となるが、圧延操業を円滑に実施するには出側サイドガイドを圧延材板幅より広げておく必要があり、この余裕代の分だけ圧延材にキャンバーを生じることになる。
前述のような従来技術の問題は、結局、種々の原因によって発生するキャンバーを高精度かつ時間遅れなく測定、制御する方法がないことに起因していると言える。
そこで、本発明は、以上のキャンバー制御に関する従来技術の問題点を有利に解決して、キャンバーのない、あるいは極めてキャンバーの軽微な金属板材を安定して製造することのできる、金属板材の圧延方法および圧延装置を提供することを目的とするものである。
(1)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する金属板材の圧延機と該圧延機の入側に配置された少なくとも1対のサイドガイドとからなる圧延設備を用いて圧延を実行する圧延方法であって、前記サイドガイドが被圧延材を挟持することによって、前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向の力を測定し、該圧延方向の力の作業側と駆動側との差異を演算し、この差異に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする金属板材の圧延方法。
(2)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する金属板材の圧延機を含む圧延装置と該圧延機の入側に配置された被圧延材を挟持する少なくとも1対のサイドガイドとからなる金属板材の圧延装置であって、前記作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の双方に、前記作業ロールの作業側および駆動側のロールチョックに作用する圧延方向の力を測定可能な荷重検出装置を備えたことを特徴とする金属板材の圧延装置。
(3)前記作業ロールチョックの圧延方向入側、出側のどちらか一方に、該作業ロールチョックを圧延方向に押しつける装置を有することを特徴とする(2)に記載の金属板材の圧延装置。
(4)前記作業ロールチョックを圧延方向に押しつける装置が油圧装置であることを特徴とする(3)に記載の金属板材の圧延装置。
(5)前記作業ロールチョックの圧延方向入側と出側のうち、補強ロールを基準として作業ロールをオフセットしている側とは反対側に、該作業ロールチョックを圧延方向に押しつける油圧装置を備えることを特徴とする(4)に記載の金属板材の圧延装置。
(6)前記荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、該演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する演算装置と、該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とから構成されることを特徴とする(2)乃至(5)のいずれかに記載の金属板材の圧延装置。
一般に、圧延によってキャンバーを生ずる原因としては、ロールギャップ設定不良、圧延材の入側板厚左右差あるいは変形抵抗左右差等があげられる。しかしながら、何れの原因の場合でも、最終的には、圧延によって生じる圧延方向の伸び歪に左右差を生じることで先進率および後進率が板幅方向に変化し、圧延材の出側速度および入側速度に左右差が生じることによって、キャンバーは発生する。
したがって、キャンバーが発生する際の入側材料に着目すれば、入側速度に左右差が生じるため、入側に存在する圧延材全体が、水平面内で剛体回転することになる。
この入側材料の剛体回転を何らかの方法で拘束すれば、ロールバイトにその剛体回転に抗するモーメントが発生する。このモーメントは、圧延機の作業ロールに反力として伝わることになるので、作業ロールチョック部に作用する圧延方向力に左右差を生じることで最終的には支持されることになる。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明の方法では、キャンバー発生の直接原因となる圧延による伸び歪の左右差を検出・測定し、直ちにこれを均一化するための圧下レベリング操作を実施するため、実質的にキャンバー発生のない、あるいは極めてキャンバーの軽微な圧延が実現可能となる。
請求項2に記載の本発明の金属板材の圧延装置では、入側材料の剛体回転を拘束するサイドガイド、並びに、作業ロールの作業側および駆動側のロールチョックの圧延方向入側および出側の双方に荷重検出装置が備えられているので、入・出側双方の荷重測定値の方向性を考慮して合力を演算することで、入・出側何れの方向に力が作用していても作業側および駆動側それぞれのロールチョックに作用する圧延方向力を求めることができる。さらにこれらの作業側ロールチョックに作用する圧延方向力と駆動側ロールチョックに作用する圧延方向力の差異を演算することで、請求項1記載の金属板材の圧延方法を実施することが可能となる。
請求項4に記載の本発明の金属板材の圧延装置では、作業ロールチョックを圧延方向に押しつけるための装置が油圧装置となっている。油圧装置で作業ロールチョックを押しつけることによって、押さえ力を、圧延操業に支障がない程度に低く、しかも作業ロールチョックの圧延方向の振動を軽減してチョック位置を安定化できる程度に高く制御することが可能となる。
請求項6に記載の本発明の金属板材の圧延装置では、請求項2〜5の圧延装置に加え、作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置を備えているので、キャンバーの原因となる圧延方向の伸び歪の左右差に起因して圧延材より作業ロールに作用するモーメントを検出することができる。さらに作業ロールチョックに作用する圧延方向力の左右差に基づいて、伸び歪を左右均等化するための圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する演算装置と、該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて該圧延機のロール開度を制御する制御装置が配備されているので、伸び歪の左右差の発生を未然に防ぎ、キャンバーのない、あるいは極めてキャンバーの軽微な金属板材を圧延することが可能となる。
図1(a)には、請求項1に記載の本発明の圧延方法に関する圧延装置または請求項6に記載の本発明の圧延装置の好ましい実施の形態を示す。なお、図1(a)は側面図であり、基本的に作業側の装置構成のみを図示しているが、駆動側にも同様の装置が存在する。圧延機には、入側材料の剛体回転を拘束する一対のサイドガイド30,31が備わっている。なお、サイドガイドは、剛体回転を拘束できれば、任意の形式で良く、場合によっては、32,33の様に、一対の竪ロールでも良いし、34,35の様に、ローラーを複数個、並列しても良い。
図2には、請求項1に記載の本発明の圧延方法に関する圧延装置または請求項6に記載の本発明の圧延装置の他の好ましい実施の形態を示す。図2の実施形態では、図1(a)の実施形態に比べて、下作業ロールチョックに作用する圧延方向力の検出装置および演算装置を省略している。一般に伸び歪の左右差に起因して圧延材から作業ロールに作用するモーメントは、必ずしも上下作業ロールに均等に作用するとは限らないが、その時系列変化挙動については、上下作業ロールで傾向が逆転することはない。したがって圧下レベリング制御量演算装置19において適正な制御ゲインを設定することによって、上下どちらか一方の作業ロールに作用する圧延方向力の左右差に基づく良好なキャンバー制御を実現することができる。
図3には、請求項2に記載の本発明の圧延装置本体の好ましい実施の形態を示す。図3の圧延装置では、ハウジングに固定されたプロジェクトブロック24、25に内蔵されたロールバランス装置(図示せず)によって作業ロールチョックが鉛直方向に支持されている。そして上作業ロールチョック5に作用する圧延方向の力を測定するため、出側プロジェクトブロック24と上作業ロールチョック5との間に上作業ロール出側荷重検出装置9が、入側プロジェクトブロック25と上作業ロールチョック5との間に上作業ロール入側荷重検出装置10が配備されている。また下作業ロールチョック6に作用する圧延方向の力を測定するため、出側プロジェクトブロック24と下作業ロールチョック6との間に下作業ロール出側荷重検出装置11が、入側プロジェクトブロック25と下作業ロールチョック6との間に下作業ロール入側荷重検出装置12が配備されている。このように入側、出側双方に荷重検出装置を配備することによって作業ロールチョックに圧延方向の何れの方向に力が作用しても、その力の大きさを正確に測定することが可能となる。
図5には、請求項3に記載の本発明の圧延装置または請求項4に記載の本発明の圧延装置の好ましい実施の形態としてその上作業ロール近傍を示す。図5の圧延装置では上作業ロールチョック5の入側に上作業ロール入側荷重検出装置10に隣接して入側作業ロールチョック押し付け装置27を有しており作業ロールチョック5を入側から出側に所定の押し力で押し付けている。このような構成とすることにより上作業ロールチョック5の圧延方向位置を安定させるとともに、上作業ロールチョック5に作用する圧延方向力測定の応答性および精度を高めることが可能となる。なお図5の圧延装置では入側作業ロールチョック押し付け装置27は油圧装置としており、このような構成とすることによって圧延材咬み込み時のように作業ロールチョックが圧延方向に瞬間的に振動するような場合においても、安定した押し力を作用させて作業ロールチョックの動きを安定させることができる。
ところで、図5、6、7の実施形態では圧延機入側に作業ロールチョック押し付け装置を配備した例を示しているが、これを出側に配備しても差し支えない。ただし図6、7の作業ロールオフセットとの位置関係は維持する必要がある。
また、図5、6、7の実施形態では上作業ロールチョック近辺の実施形態のみを示しているが、下作業ロールチョックに適用する場合の実施形態も基本的には同様である。
比較例として、特許文献3に示す、圧延荷重左右差による制御を、同一寸法の板で実施した。その結果、圧延した板の37枚の平均キャンバー量は、31mmであり、キャンバーとしては大きいものが発生した。
2 下作業ロール
3 上補強ロール
4 下補強ロール
5 上作業ロールチョック(作業側)
6 下作業ロールチョック(作業側)
7 上補強ロールチョック(作業側)
8 下補強ロールチョック(作業側)
9 上作業ロール出側荷重検出装置(作業側)
10 上作業ロール入側荷重検出装置(作業側)
11 下作業ロール出側荷重検出装置(作業側)
12 下作業ロール入側荷重検出装置(作業側)
13 圧下装置
14 上作業ロール圧延方向力演算装置(作業側)
15 下作業ロール圧延方向力演算装置(作業側)
16 作業ロール圧延方向合力演算装置[加算器](作業側)
17 作業ロール圧延方向合力(駆動側)
18 作業側−駆動側圧延方向力差演算装置
19 圧下レベリング制御量演算装置
20 圧下レベリング制御装置
21 金属板材
22 圧延方向
23 ミルハウジング
24 出側プロジェクトブロック
25 入側プロジェクトブロック
26 圧延荷重検出装置
27 入側作業ロールチョック押し付け装置
28 出側作業ロールチョック位置制御装置
29 出側作業ロールチョック位置検出装置
30 サイドガイドの一例(作業側)
31 サイドガイドの一例(駆動側)
32 サイドガイドの他の好ましい一例(作業側)
33 サイドガイドの他の好ましい一例(駆動側)
34 サイドガイドの他のより好ましい一例(作業側)
35 サイドガイドの他のより好ましい一例(駆動側)
Claims (6)
- 少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する金属板材の圧延機と該圧延機の入側に配置された少なくとも1対のサイドガイドとからなる圧延設備を用いて圧延を実行する圧延方法であって、前記サイドガイドが被圧延材を挟持することによって、前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向の力を測定し、該圧延方向の力の作業側と駆動側との差異を演算し、この差異に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする金属板材の圧延方法。
- 少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する金属板材の圧延機を含む圧延装置と該圧延機の入側に配置された被圧延材を挟持する少なくとも1対のサイドガイドとからなる金属板材の圧延装置であって、前記作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の双方に、前記作業ロールの作業側および駆動側のロールチョックに作用する圧延方向の力を測定可能な荷重検出装置を備えたことを特徴とする金属板材の圧延装置。
- 前記作業ロールチョックの圧延方向入側、出側のどちらか一方に、該作業ロールチョックを圧延方向に押しつける装置を有することを特徴とする請求項2に記載の金属板材の圧延装置。
- 前記作業ロールチョックを圧延方向に押しつける装置が油圧装置であることを特徴とする請求項3に記載の金属板材の圧延装置。
- 前記作業ロールチョックの圧延方向入側と出側のうち、補強ロールを基準として作業ロールをオフセットしている側とは反対側に、該作業ロールチョックを圧延方向に押しつける油圧装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の金属板材の圧延装置。
- 前記荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、該演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する演算装置と、該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とから構成されることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の金属板材の圧延装置。
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