JP2012197347A - フッ素樹脂成形体及びフッ素樹脂成形体表面改質方法 - Google Patents

フッ素樹脂成形体及びフッ素樹脂成形体表面改質方法 Download PDF

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浩史 滝川
Daishi Shikamata
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肇 志岐
Shigenobu Yamanaka
重宣 山中
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Abstract

【課題】表面改質後にフッ素樹脂の特性を有し、大気圧雰囲気下で励起ガスを照射して表面改質処理が可能なフッ素樹脂成形体を提供することである。
【解決手段】本発明は、フッ素樹脂改質面を形成したフッ素樹脂成形体において、レーザーラマン分光スペクトルを測定して、GバンドとCFバンドからバックグランドのスペクトル強度を差引いたとき、ピーク強度Iとピーク強度ICFの強度比I/ICF2が0〜0.01の範囲にあり、1000cm−1のスペクトル強度をI1000、2000cm−1のスペクトル強度をI2000としたとき、ΔItr=|(I2000−I1000)|/ICF2が0〜0.1の範囲にあり、前記フッ素樹脂改質面上で所定区間平面の区間平面積をSとし、前記所定区間平面内にある前記フッ素樹脂改質面の表面積をSとしたとき、前記フッ素樹脂改質面の改質表面積率R=S/Sが1.2以上であるフッ素樹脂成形体である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、フッ素樹脂成形体及びその表面改質方法に関し、更に詳細には、フッ素樹脂表面に励起ガスを照射してフッ素樹脂改質面を形成したフッ素樹脂成形体及び電極間にフッ素樹脂成形体を配設し、励起ガスを照射するフッ素樹脂成形体表面改質方法に関する。
フッ素樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性等の優れた性質を有している。一方、フッ素樹脂の表面は不活性であり、他の材料との接着が困難であることから、接着の際には表面処理を行う必要がある。
特開2006−128443号公報(特許文献1)には、フッ素樹脂基板を金属ナトリウム−ナフタレン錯体溶液に浸漬して表面処理することが記載されている。また、特開2009−263529号公報(特許文献2)には、フッ素樹脂系成形体表面にプラズマ照射を行う際に、成形体表面に負電圧を印加することにより、イオン注入して粗面化する物理的改質と、フッ素原子を置換する化学的改質を行うことが記載されている。
特許文献2では、0.05Pa〜50Paの範囲に減圧された雰囲気下でプラズマによる表面処理を行うことと、不活性ガスを供給して大気圧雰囲気下において、プラズマによる表面処理を行うことが記載されている。大気圧雰囲気下において、安定したプラズマを生成する方法として、誘電体バリア放電があり、特開2003−41372号公報(特許文献3)には、電極の一方を誘電体で被覆し、大気圧雰囲気下において電極間の放電により、プラズマを発生させることが記載されている。
特開2006−128443号公報 特開2009−263529号公報 特開2003−41372号公報
前述のように、特許文献1に記載される表面処理方法では、フッ素樹脂基板を金属ナトリウム−ナフタレン錯体溶液に浸漬して表面処理している。しかしながら、化学処理による表面改質の場合、フッ素樹脂表面の組成が変化し、前述のようなフッ素樹脂の特性が有効に利用できないといった問題があった。後述するように、金属ナトリウム−ナフタレン錯体溶液を用いた表面処理では、フッ素樹脂表面が炭化し、フッ素樹脂の優れた特性が低減していた。
前述のように、特許文献2には、0.05Pa〜50Paの範囲に減圧された雰囲気下でプラズマによる表面処理を行う際に、成形体表面に負電圧を印加することにより、イオン注入して粗面化する物理的改質と、フッ素原子を置換する化学的改質を行うことが記載されている。しかしながら、化学的改質が行われる場合、フッ素樹脂の特性が失われる場合があった。また、減圧雰囲気下で表面処理を行うためには、排気手段を備えた大型装置等が必要となり、フッ素樹脂成形体の表面処理コストを増加させていた。
特許文献3には、大気圧雰囲気下において、安定したプラズマを生成する方法として誘電体バリア放電が記載され、電極の一方を誘電体で被覆し、大気圧雰囲気下において電極間の放電により、プラズマを発生させることが記載されている。しかしながら、大気圧雰囲気下の誘電体バリア放電によりプラズマ等の励起ガスを生起し、その励起ガスを用いて表面処理されたフッ素樹脂の表面物性については、その詳細が明らかにされておらず、どのような表面処理が可能なのかは、明らかにされてこなかった。
従って、本発明の目的は、表面処理後においてもその表面がフッ素樹脂の特性を有すると共に、好適な表面改質が行われ、且つ、大気圧雰囲気下で励起ガスによる表面処理によって得られるフッ素樹脂成形体を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、フッ素樹脂表面に励起ガスを照射してフッ素樹脂改質面を形成したフッ素樹脂成形体において、波長532nmのレーザー光を前記フッ素樹脂改質面に照射してラマン分光器によりレーザーラマン分光スペクトルを測定して、前記レーザーラマン分光スペクトルの1500cm−1から1650cm−1の間で極大となるGバンドと1300cm-1から1400cm-1の間で極大となるCFバンドからバックグラウンドのスペクトル強度を差引いたとき、前記Gバンドのピーク強度Iと前記CFバンドのピーク強度ICF2の強度比I/ICF2が0〜0.01の範囲にあり、前記バックグラウンドの前記スペクトル強度を差引く前の前記レーザーラマン分光スペクトルにおける1000cm−1のスペクトル強度をI1000、2000cm−1のスペクトル強度をI2000としたとき、前記ICF2に対する前記I2000と前記I1000との差の比ΔItrが下記の式で表され、
ΔItr=|(I2000−I1000)|/ICF2
前記ΔItrが0〜0.1の範囲にあり、前記フッ素樹脂改質面上で所定区間平面の区間平面積をSとし、前記所定区間平面内にある前記フッ素樹脂改質面の表面積をSとしたとき、前記フッ素樹脂改質面の改質表面積率Rは、R=S/Sで表され、前記改質表面積率Rが1.2以上であるフッ素樹脂成形体である。
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記励起ガスを照射しない未処理の前記フッ素樹脂表面の算術平均粗さをRaとし、前記励起ガスを照射した後の前記フッ素樹脂改質面の算術平均粗さをRaとしたとき、粗面化率RRはRR=Ra/Raで表され、前記粗面化率RRが1.20以上であるフッ素樹脂成形体である。
本発明の第3の形態は、第1又は第2の形態において、前記励起ガスを前記フッ素樹脂表面に照射した後、1分以内に前記フッ素樹脂成形体を蒸留水に10 秒間浸漬し、引き上げ速度10cm/sで前記フッ素樹脂成形体を引き上げて1分間水切りをしたとき、前記励起ガスが照射された前記フッ素樹脂改質面の全改質面積TSに付着した蒸留水量をMとし、前記励起ガスを照射しない未処理の前記フッ素樹脂表面の蒸留水付着量をMとしたとき、付着量増加率RMは、RM=M/Mで表され、前記付着量増加率RMが1.1以上であるフッ素樹脂成形体である。
本発明の第4の形態は、第1〜第3のいずれかの形態において、前記フッ素樹脂改質面の断面の高さ方向をY軸とし、前記断面上のX軸を所定間隔ΔXでn個の区間に区切り、各区間におけるY軸上での間隔をΔYとしたとき、前記フッ素樹脂改質面の平均傾斜角Δaは下記の式で表され、
Δa={1/(n−1)}{Σ[i=1,n]tan−1|(ΔY/ΔX)|}
前記平均傾斜角Δaが5°以上であるフッ素樹脂成形体である。
本発明の第5の形態は、大気圧雰囲気下にある2つ以上の励起電極と基体電極の間にフッ素樹脂成形体を配設し、励起用電圧が印加された前記励起電極の間に動作ガスを供給してプラズマを生起し、且つ前記励起電極と前記基体用電極の間に処理用電圧を印加して、前記プラズマを前記フッ素樹脂成形体のフッ素樹脂表面に誘導すると同時に改質プラズマを生成し、前記改質プラズマによりフッ素樹脂改質面を形成するフッ素樹脂成形体表面改質方法であり、波長532nmのレーザー光を前記フッ素樹脂改質面に照射してラマン分光器によりレーザーラマン分光スペクトルを測定して、前記レーザーラマン分光スペクトルの1500cm−1から1650cm−1の間で極大となるGバンドと1300cm-1から1400cm-1の間で極大となるCFバンドからバックグラウンドのスペクトル強度を差引いたとき、前記Gバンドのピーク強度Iと前記CFバンドのピーク強度ICF2の強度比I/ICF2が0〜0.01の範囲にあり、前記バックグラウンドの前記スペクトル強度を差引く前の前記レーザーラマン分光スペクトルにおける1000cm−1のスペクトル強度をI1000、2000cm−1のスペクトル強度をI2000としたとき、前記ICF2に対する前記I2000と前記I1000との差の比ΔItrが下記の式で表され、
ΔItr=|(I2000−I1000)|/ICF2
前記ΔItrが0〜0.1の範囲にあり、前記フッ素樹脂改質面上で所定区間平面の区間平面積をSとし、前記所定区間平面内にある前記フッ素樹脂改質面の表面積をSとしたとき、前記フッ素樹脂改質面の改質表面積率Rは、R=S/Sで表され、前記改質表面積率Rが1.2以上であるフッ素樹脂成形体表面改質方法である。
本発明の第6の形態は、第5の形態において、前記改質プラズマを照射しない未処理の前記フッ素樹脂表面の算術平均粗さをRaとし、前記改質プラズマを照射した後の前記フッ素樹脂改質面の算術平均粗さをRaとしたとき、粗面化率RRはRR=Ra/Raで表され、前記粗面化率RRが1.20以上であるフッ素樹脂成形体表面改質方法である。
本発明の第7の形態は、第5又は第6の形態において、前記励起用電圧と前記処理用電圧が単一の電源を用いて印加される交播電圧であるフッ素樹脂成形体表面改質方法である。
本発明の第8の形態は、第7の形態において、前記交番電圧の周波数が1kHz〜40kHzの範囲に設定されるフッ素樹脂成形体表面改質方法である。
本発明の第9の形態は、第5〜第8のいずれかの形態において、前記動作ガスが不活性ガス又は不活性ガスと反応性ガスの混合ガスからなるフッ素樹脂成形体表面改質方法である。
本発明の第10の形態は、第5〜第9のいずれかの形態において、前記動作ガスが固体及び/又は液体を気化させて供給されるフッ素樹脂成形体表面改質方法である。
本発明の第11の形態は、第1〜第4のいずれかの形態において、前記フッ素樹脂改質面が形成されたフッ素樹脂成形体において、下記数式(I)により算出されるCIE1976Lの色空間における色差ΔE
ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2 (I)
ΔL=L −L
Δa=a −a
Δb=b −b
(式中、L ,a ,b およびL ,a ,b は、のCIE標準光源D65の入射角40°の入射光に対する正反射光の色味をCIE1976L色空間のL値,a値,b値で表したものであり、L ,a ,b は、前記励起ガスを照射しない未処理のフッ素樹脂表面のL値,a値,b値を表し、L ,a ,b は、前記フッ素樹脂改質面のL値,a値,b値を表す。)で定義されるとき、前記色差ΔEが1以下であるフッ素樹脂成形体である。
本発明の第1の形態によれば、励起ガスを照射して形成されたフッ素樹脂改質面の前記改質表面積率Rが1.2以上であるから、前記フッ素樹脂改質面には、粗面化による所望の表面特性が付与されており、且つ、表面改質によりフッ素樹脂表面が炭化されてグラファイト構造やその前駆構造が形成されることが殆ど無く、フッ素樹脂改質面においてもフッ素樹脂の物性を保持している。フッ素樹脂表面が炭化されると、フッ素樹脂固有の物性が変化し、優れた電気絶縁性等が低減化する。前記フッ素樹脂改質面において、フッ素樹脂表面の炭化等が防止又は抑制され、フッ素樹脂の物性を保持していることは、波長532nmのレーザー光を前記フッ素樹脂改質面に照射してラマン分光器を用いて測定したレーザーラマン分光スペクトルから判断される。
グラファイト構造由来のバンドが前記レーザーラマン分光スペクトルの1500cm−1から1650cm−1の間で極大となるGバンドとして観測され、炭化が進むほど、Gバンドのピーク強度Iが大きくなり、フッ素樹脂固有のCFバンドと比較することにより炭化の程度を判断することができる。例えば、金属ナトリウム−ナフタレン錯体溶液等を用いた化学処理により、従来のフッ素樹脂成形体表面改質方法を施した場合、フッ素樹脂表面が炭化され易く、従来のフッ素樹脂表面のラマン分光スペクトル測定では、グラファイト構造由来のGバンドが大きなピーク強度を有している。また、レーザーラマン分光スペクトルには、フッ素樹脂表面の炭化に伴って形成される表面状態に起因して、蛍光によるスペクトルがバックグラウンドとして含まれる。
本発明の第1の形態によれば、前記レーザーラマン分光スペクトルの1500cm−1から1650cm−1の間で極大となるGバンドと1300cm-1から1400cm-1の間で極大となるCFバンドから蛍光のスペクトル強度を線形に増大する直線状のバックグラウンドとして差引いたとき、前記Gバンドのピーク強度Iと前記CFバンドのピーク強度ICF2の強度比I/ICF2が0〜0.01の範囲にあることから、フッ素樹脂改質面が殆ど炭化されていないことが明らかである。
さらに、フッ素樹脂表面の炭化が進むほど、蛍光のスペクトル成分が増大し、前記レーザーラマン分光スペクトルの1000cm−1から2000cm−1に蛍光のスペクトル成分による特徴が顕著に現れる。即ち、前記フッ素樹脂改質面のラマン分光スペクトルでは、表面改質において、フッ素樹脂表面が炭化された場合、フッ素樹脂表面にCH結合やグラファイト構造が形成される。CH結合に由来する蛍光が1000cm−1から2000cm−1における基線の傾きとして観測され、CH結合の増加とともに傾きが大きくなる。前記レーザーラマン分光スペクトルにおける1000cm−1のスペクトル強度をI1000、2000cm−1のスペクトル強度をI2000とし、前記I1000に対する前記I2000と前記I1000との差の比ΔItrが下記の式で表したとき、
ΔItr=|(I2000−I1000)|/ICF2
前記ΔItrの値が小さいほど、フッ素樹脂表面の炭化が抑制されていることを示し、前記ΔItrの値が0の場合は、フッ素樹脂表面の炭化が防止され、表面の組成がフッ素樹脂の組成から変化していないことを示していると考えることができる。よって、前記ΔItrが0〜0.1の範囲にある場合、フッ素樹脂表面の炭化等が防止又は抑制され、フッ素樹脂改質面は、フッ素樹脂の物性を保持し、本発明の第1の形態では、前述のように、前記改質表面積率Rが1.2以上であるから、好適な粗面化が施されている。
よって、本発明の第1の形態によれば、他の材料と容易に接着させることができると共に、第1の形態に係るフッ素樹脂改質面は、改質前のフッ素樹脂が有する耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性等を保持することができる。
本発明の第2の形態によれば、未処理の前記フッ素樹脂表面の算術平均粗さをRaとし、表面改質後の前記フッ素樹脂改質面の算術平均粗さをRaとしたとき、粗面化率RRがRR=Ra/Raで表され、前記粗面化率RRが1.20以上であるから、前記フッ素樹脂表面を他の物品に接着させたとき、優れた接着強度を有している。前記粗面化率RRが1.20未満である場合、種々の物品に対して好適な接着強度を有することが困難となる。
本発明の第3の形態によれば、前記励起ガスを前記フッ素樹脂表面に照射した後、1分以内に前記フッ素樹脂成形体を蒸留水に10 秒間浸漬し、引き上げ速度10cm/sで前記フッ素樹脂成形体を引き上げて1分間水切りをしたとき、前記励起ガスが照射された前記フッ素樹脂改質面の全改質面積TSに付着した蒸留水量をMとし、前記励起ガスを照射しない未処理の前記フッ素樹脂表面の蒸留水付着量をMとしたとき、付着量増加率RMは、RM=M/Mで表され、前記付着量増加率RMが1.1以上であるから、前記フッ素樹脂改質面が好適な粗面を有し、好適な接着強度を有している。
本発明の第4の形態によれば、前記フッ素樹脂改質面の断面の高さ方向をY軸とし、前記断面上のX軸を所定間隔ΔXでn個の区間に区切り、各区間におけるY軸上での間隔をΔYとしたとき、前記フッ素樹脂改質面の平均傾斜角Δaは下記の式で表され、
Δa={1/(n−1)}{Σ[i=1,n]tan−1|(ΔY/ΔX)|}
前記平均傾斜角Δaが5°以上であるから、好適な粗面が形成されている。
よって、前記平均傾斜角Δaが5°未満の場合、粗面化が十分でなく、好適な接着強度等を得ることが困難となる。
本発明の第5の形態によれば、大気圧雰囲気下にある2つ以上の励起用電極と基体電極の間にフッ素樹脂成形体を配設し、励起用電圧が印加された前記励起電極の間に動作ガスを供給してプラズマを生起し、且つ前記励起電極と前記基体用電極の間に処理用電圧を印加して、前記プラズマを前記フッ素樹脂成形体のフッ素樹脂表面に誘導すると同時に改質プラズマを生成し、前記改質プラズマによりフッ素樹脂改質面を形成するから、大気圧雰囲気下で所望の表面処理を行うことができ、下記の特性を有するフッ素樹脂成形体の表面改質することができる。
第5の形態のフッ素樹脂成形体表面改質方法によれば、前記強度比I/ICFが0〜0.01の範囲にあり、前記ΔItrが0〜0.1の範囲にあり、前記フッ素樹脂改質面上で所定区間平面の区間平面積をSとし、前記所定区間平面内にある前記フッ素樹脂改質面の表面積をSとしたとき、前記フッ素樹脂改質面の改質表面積率RがR=S/Sで表され、前記改質表面積率Rが1.2以上であるフッ素樹脂成形体を提供することができる。即ち、第5の形態に係るフッ素樹脂成形体は、前記第1の形態と同じ特性を有しており、第5の形態によれば、前記フッ素樹脂改質面に粗面化による所望の表面特性を付与することができ、且つ、表面改質によりフッ素樹脂表面が炭化されてグラファイト構造やその前駆構造が形成されることを防止又は抑制することができる。
本発明の第5の形態では、前記励起用電圧として、低周波〜高周波の交流、直流パルス、交流パルス、バースト波、バーストパルス、マイクロ波、パルスマイクロ波又はバーストマイクロ波の電圧を印加することにより、前記動作ガスを励起してプラズマを生成することができる。更に、前記処理用電圧がバイアスとして印加されており、前記プラズマにエネルギーを付与して改質プラズマを生成することができる。前記処理用電圧としては、直流、低周波〜高周波の交流、直流パスル、交流パルス、バースト波又はバーストパルスの電圧を印加することができる。
本発明の第6の形態によれば、前記改質プラズマを照射しない未処理の前記フッ素樹脂表面の算術平均粗さをRaとし、前記改質プラズマを照射した後の前記フッ素樹脂改質面の算術平均粗さをRaとしたとき、粗面化率RRはRR=Ra/Raで表され、前記粗面化率RRが1.20以上であるから、好適な接着強度を有するフッ素樹脂成形体を提供することができる。前記粗面化率RRが1.20未満である場合、種々の物品に対して好適な接着強度を有することが困難となる。
本発明の第7の形態によれば、前記励起用電圧と前記処理用電圧が単一の電源を用いて印加される交播電圧であるから、本発明に係るプラズマ処理装置の製造コストを低減化することができ、フッ素樹脂成形体の表面改質を低コストで実施することができる。
本発明の第8の形態によれば、前記交播電圧の周波数が1kHz〜40kHzの範囲に設定されるから、従来の高周波電源を用いて安定して励起ガスを生成することができる。周波数が1kHz未満又は40kHzを越える場合、励起ガスの生成が不安定化する場合があった。特に、励起ガスがプラズマから形成される場合、周波数が1kHz〜40kHzの範囲にある場合、プラズマ状態が安定し、より均一な表面改質を行うことができる。
本発明の第9の形態によれば、前記動作ガスが不活性ガス又は不活性ガスと反応性ガスの混合ガスからなるから、フッ素樹脂の種類、粗面化の程度、表面改質処理の目的などに応じて、反応性ガスを混合することができる。例えば、反応性ガスを混合して、フッ素樹脂成形体表面を所定の割合で化学処理することができ、フッ素樹脂改質面に所望の機能を付与することができる。
本発明の第10の形態によれば、前記動作ガスが固体及び/又は液体を気化させて供給されるから、常温で固体又は液体状態である種々の動作ガスを用いることができ、種々の機能をフッ素樹脂改質面に付与することができる。前記固体としては、炭化水素、樟脳などを用いることができ、前記液体としては、水、アルコールなどを用いることができる。
本発明の第11の形態によれば、第1〜第4のいずれかの形態において、前記フッ素樹脂改質面が形成されたフッ素樹脂成形体において、下記数式(I)により算出されるCIE1976Lの色空間における色差ΔE
ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2 (I)
ΔL=L −L
Δa=a −a
Δb=b −b
(式中、L ,a ,b およびL ,a ,b は、のCIE標準光源D65の入射角40°の入射光に対する正反射光の色味をCIE1976L色空間のL値,a値,b値で表したものであり、L ,a ,b は、前記励起ガスを照射しない未処理のフッ素樹脂表面のL値,a値,b値を表し、L ,a ,b は、前記フッ素樹脂改質面のL値,a値,b値を表す。)で定義されるとき、前記色差ΔEが1以下である。従って、フッ素樹脂改質面の色は、改質前とほぼ同じであり、フッ素樹脂固有の特性が保持されており、改質後においても、フッ素樹脂成形体と同じ目的や方法で取り扱うことができる。
図1は、本発明に係るフッ素樹脂成形体表面改質装置の概略構成図である。 図2は、本発明に係るフッ素樹脂成形体のラマン分光スペクトルである。 図3は、本発明に係るPTFEから形成されるフッ素樹表面を観察した原子間力顕微鏡像(AFM像)である。 図4は、図3に示したAFM像から見積もられた算術平均表面粗さRaのグラフ図である。 図5は、本発明に係るFEPから形成されるフッ素樹脂成形体(以下、単に「FEP成形体」とも称する)の表面を観察したAFM像である。 図6は、図5に示したAFM像から見積もられた算術平均表面粗さRaのグラフ図である。 図7は、本発明に係るPFAから形成されるフッ素樹脂成形体(以下、単に「PFA成形体」とも称する)の表面を観察したAFM像である。 図8は、図7に示したAFM像から見積もられた算術平均表面粗さRaのグラフ図である。 図9は、本発明に係るフッ素樹脂成改質面の形成過程を模式的に表した概略図である。 図10は、本発明に係るPTFE成形体の改質表面積率Rを示すグラフ図である。 図11は、本発明に係るフッ素樹改質面の改質表面積率Rをプロットしたグラフ図である。 本発明に係るフッ素樹改質面の改質表面積率Rをプロットしたグラフ図である。 図13は、本発明に係るフッ素樹改質面の付着量増加率RMをプロットしたグラフ図である。 図14は、本発明に係るPTFE成形体の平均傾斜角Δaを示すグラフ図である。 図15は、本発明に係るフッ素樹改質面の平均傾斜角Δaをプロットしたグラフ図である。 図16は、表7に示したPTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の色差ΔEをプロットしたグラフ図である。 図17は、本発明に係るフッ素樹脂成形体の接着強度測定の測定方法概略図である。 図18は、本発明に係るフッ素樹脂成形体のせん断強度測定の測定結果を示すグラフ図である。 図19は、本発明に係る表面改質処理を行ったPTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の引き剥がし試験の試験方法を示した概略図である。 図20は、図19に示した引き剥がし試験により測定された接着強度を示すグラフ図である。
図1は、本発明に係るフッ素樹脂成形体表面改質装置の概略構成図である。本発明に係るフッ素樹脂成形体表面改質装置は、大気圧雰囲気下においてフッ素樹脂成形体1の表面改質を行うものである。フッ素樹脂成形体1は、絶縁板5を介して金属電極からなる基体電極6の上に載置され、励起電極となる外部電極7及び内部電極8と基体電極6の間に配設されている。
後述する電源回路10により外部電極7と内部電極8に励起用高周波電圧が印加され、動作ガス9を供給してプラズマ3aを生成する。同時に、後述の電源回路10によって、外部電極7と内部電極8からなる励起電極と基体電極6の間に処理用交播電圧が印加され、プラズマ3aをフッ素樹脂成形体の表面に誘導すると同時に励起ガスである改質プラズマ3bを生成し、前記改質プラズマ3bによりフッ素樹脂改質面を形成する。
前記電源回路10により印加される電圧はトランス17の一次コイル16に導入され、約数千〜1万ボルトに昇圧され、二次コイル15より交播高電圧として出力される。二次コイル15の一方の出力側は、前記内部電極8と前記基体電極6が並列に接続され、他方の出力側は外部電極7に接続されている。
前記内部電極8と前記基体電極6と接続点18の間にはそれぞれ、コンデンサ12及びコイル11からなるLC直列回路、コンデンサ14及びコイル13からなるLC直列回路が挿入されている。各コンデンサの電気容量(キャパシタンス)及び各コイルのインダクタンスの値は、トランス17側からの印加電圧値や放電量、内部電極8と外部電極7や基体電極と外部電極7の間の空間容量、フッ素樹脂成形体や絶縁板5の厚さや誘電率等の条件を考慮して選択される。
基体電極6に対してバイアスが印加され、より高効率に励起ガスの改質プラズマ3bをフッ素樹脂表面2に照射することができる。さらに、改質プラズマ3bは、中心電極8と外部電極7の間で励起された動作ガス9は、電極の先端付近で低エネルギーのプラズマ3aからより高エネルギーの改質プラズマ3bに変化する。従って、より高効率な表面改質処理を行うことができる。
以下で示すフッ素樹脂成形体の表面改質処理では、処理速度が1mm/s、電源10の出力500W、パルス周波数30kHz、間欠周波数100kHz、デューティー比50%に設定されている。
図2は、本発明に係るフッ素樹脂成形体のラマン分光スペクトルである。図2のラマン分光スペクトルの測定では、Polytetrafluoroethylene(PTFE)から形成されるフッ素樹脂成形体を用いている。図2の(2A)には、図1に示したフッ素樹脂成形体表面改質装置を用いて表面改質を行ったフッ素樹脂成形体のラマン分光スペクトル(b)、(c)を示している。更に、比較例として、表面改質を行っていない未処理のフッ素樹脂成形体のラマン分光スペクトル(d)と化学処理により表面改質されたフッ素樹脂成形体のラマン分光スペクトル(a)を測定している。これらのラマン分光スペクトルの測定に用いたレーザー光の波長は、532nmであり、このレーザーをフッ素樹脂改質面や未処理のフッ素樹脂表面に照射し、ラマン分光スペクトルを測定している。尚、前記化学処理は、金属ナトリウム溶液を用いた表面改質であり、(株)潤工社製のテトラエッチ(登録商標)を用いている。
波長532nmのレーザー光を用いたラマン分光器を用いて測定した、フッ素樹脂成形体のラマン分光スペクトルでは、CH結合(炭素−水素結合)に由来する蛍光が1000cm−1から2000cm−1における基線の傾きとして観測される場合がある。更に、1500cm−1から1650cm−1の間で極大となるバンドはGバンドと称している。このGバンドは、グラファイト構造由来のバンドと同定することができ、表面改質において、フッ素樹脂表面にグラファイト構造が形成されることにより、ラマン分光スペクトルにおいて、Gバンドが観測されると考えられる。従って、炭化が進むほど、Gバンドのピーク強度Iが大きくなる。(2A)のラマン分光スペクトル(a)は、金属ナトリウム−ナフタレン錯体溶液等を用いた化学処理により、従来のフッ素樹脂成形体表面改質方法を施したフッ素樹脂改質面のラマン分光スペクトルである。グラファイト構造由来のGバンドが1500cm−1から1650cm−1の間で極大となり、明確に観測されている。即ち、前記化学処理によりフッ素樹脂表面が顕著に炭化されていることを示しており、フッ素樹脂改質面においてフッ素樹脂の性質が一部失われていることになる。尚、蛍光のスペクトル強度をバックグラウンドとして差引くことにより、Gバンドのピーク強度Iを見積もることができる。
図2の(2B)により、ラマン分光スペクトルから蛍光のスペクトル強度をバックグラウンドとして差引く方法を説明する。各ラマン分光スペクトルには、フッ素樹脂固有のバンドCFが観測される。(2B)のラマン分光スペクトル(a)は、(2A)の化学処理をしたラマン分光スペクトル(a)と同一である。(2B)のラマン分光スペクトル(a)において、Gバンドの成分が減少し、さらに単調に増加する位置までに、1000cm−1から直線を引き、(2A)に示す直線のバックグラウンドBGとしている。このバックグラウンドBGの成分を蛍光のスペクトル強度として差引くことにより、前記バンドCFのピーク強度ICF2と前記Gバンドのピーク強度Iを見積もり、それらの強度比I/ICF2を導出している。
前述のように、フッ素樹脂成形体のラマン分光スペクトルでは、CH結合(炭素−水素結合)に由来する蛍光が1000cm−1から2000cm−1における基線の傾きとして観測される場合がある。特に、化学処理により表面改質を行った比較例であるラマン分光スペクトル(a)では、フッ素が脱離しCH結合が形成されるため、基線が顕著に傾いたスペクトルが観測されている。
本発明に係る励起ガスにより表面改質処理を行ったフッ素樹脂成形体では、図2の(2A)におけるラマン分光スペクトル(b)、(c)から明らかなように、1000cm−1から2000cm−1における基線の傾き、およびGバンドの成分は現れておらず、未処理のラマン分光スペクトル(d)とほぼ同じスペクトルである。これは、励起ガスの照射によりフッ素樹脂改質面にグラファイト構造が形成されておらず、フッ素樹脂改質面が炭化されていないことを示している。図2に示すように、ラマン分光スペクトルにおける1000cm−1のスペクトル強度をI1000、2000cm−1のスペクトル強度をI2000とし、I1000に対するI2000とI1000との差の比ΔItrを下記の式で表したとき、
ΔItr=|(I2000−I1000)|/ICF2
前記ΔItrは、1000cm−1から2000cm−1における基線の傾きを表している。このΔItrは、0〜0.1の範囲にあることが好ましく、ΔItrが0であることがより好ましい。
表1には、図1に示した波長532nmのレーザー光を用いたラマン分光器を用いて測定した、ラマン分光スペクトルにおけるΔTtrと強度比I/ICF2を記載している。表面改質処理を行っていないPTFE(未処理)、励起ガスにより30秒間表面改質処理を行ったPTFE(30s処理)、60秒間表面改質処理を行ったPTFE(60s処理)では、1000cm−1〜2000cm−1の基線の傾きは現れておらずΔTtrは0.1以下である。また、Gバンドについても現れておらず、強度比I/ICF2は0となっている。
同様に、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から形成されるフッ素樹脂成形体に対して表面改質処理を行い、ラマン分光スペクトルの測定を行っている。表1には、励起ガスを60秒間照射して表面改質処理を行ったPFA(60s処理)と励起ガスを60秒間照射して表面改質処理を行ったFEP(60s処理)のラマン分光スペクトルから見積もったΔTtrとIを記載している。PTFEと同様に、ΔTtrは0.1以下であり、Gバンドについても現れておらず、ピーク強度Iは0となっている。即ち、表面改質処理によって、フッ素樹脂改質面が炭化されてはいない。
図3は、本発明に係るPTFEから形成されるフッ素樹脂成形体(以下、単に「PTFE成形体」とも称する)の表面を観察した原子間力顕微鏡像(AFM像)である。(3A)〜(3E)のAFM像は、夫々、表面改質処理が施されていない未処理のPTFE成形体(3A)、金属ナトリウム溶液によりケミカルエッチングを施したPTFE成形体(3B)、減圧下でプラズマ表面改質処理を施したPTFE成形体(3C)、大気圧下でプラズマ表面改質処理を施したPTFE成形体(3D)、本発明に係る図1のフッ素樹脂表面改質装置により励起ガスを照射して表面改質処理を施したPTFE成形体(3E)である。従って、(3A)〜(3D)は、比較例であり、(3E)が本発明に係る実施例のフッ素樹脂成形体である。
図4は、図3に示したAFM像から見積もられた算術平均表面粗さRaのグラフ図である。比較例のケミカルエッチングと実施例の大気圧バイアスプラズマ処理では、未処理と比較して、表面粗さRaが増加しており、粗面化されている。一方、減圧プラズマ処理と大気圧プラズマでは、表面粗さRaが減少している。
即ち、PTFE成形体では、比較例のケミカルエッチングと実施例の大気圧バイアスプラズマ処理により表面改質処理が施されたもののみが粗面化されている。
図5は、本発明に係るFEPから形成されるフッ素樹脂成形体(以下、単に「FEP成形体」とも称する)の表面を観察したAFM像である。(5A)〜(5E)のAFM像は、図3と同様に、表面改質処理が施されていない未処理のFEP成形体(5A)、金属ナトリウム溶液によりケミカルエッチングを施したFEP成形体(5B)、減圧下でプラズマ表面改質処理を施したFEP成形体(5C)、大気圧下でプラズマ表面改質処理を施したFEP成形体(5D)、本発明に係る図1のフッ素樹脂表面改質装置により励起ガスを照射して表面改質処理を施したFEP成形体(5E)である。
図6は、図5に示したAFM像から見積もられた算術平均表面粗さRaのグラフ図である。図6に示したFEP成形体では、実施例の大気圧バイアスプラズマ処理と共に全ての比較例において、未処理と比較し、表面粗さRaが増加しており、粗面化されている。特に、表面粗さRaの明確な増加は、減圧下のプラズマ表面改質処理と大気圧バイアスプラズマ処理のみであり、好適な粗面化が図られている。しかしながら、図4に示したように、PTFE成形体では、減圧下のプラズマ表面改質処理により粗面化を行うことができず、逆に表面粗さRaが減少している。即ち、減圧下のプラズマ表面改質処理では、フッ素樹脂の種類により、表面改質を行うことができないことを示している。
図7は、本発明に係るPFAから形成されるフッ素樹脂成形体(以下、単に「PFA成形体」とも称する)の表面を観察したAFM像である。(7A)〜(7E)のAFM像は、図3、5と同様に、表面改質処理が施されていない未処理のFEP成形体(7A)、金属ナトリウム溶液によりケミカルエッチングを施したFEP成形体(7B)、減圧下でプラズマ表面改質処理を施したFEP成形体(7C)、大気圧下でプラズマ表面改質処理を施したFEP成形体(7D)、本発明に係る図1のフッ素樹脂表面改質装置により励起ガスを照射して表面改質処理を施したFEP成形体(7E)である。
図8は、図7に示したAFM像から見積もられた算術平均表面粗さRaのグラフ図である。図8に示したPFA成形体では、比較例のケミカルエッチングと実施例の大気圧バイアスプラズマ処理が、未処理と比較して、表面粗さRaが明確に増加しており、粗面化されている。一方、減圧下のプラズマ表面改質処理では表面粗さRaが減少し、大気圧プラズマでは、表面粗さRaに殆ど変化が見られない。即ち、FEP成形体では、比較例のケミカルエッチングと実施例の大気圧バイアスプラズマ処理により表面改質処理が施されたもののみが粗面化されている。従って、本発明に係る大気圧バイアスプラズマ処理による表面改質では、PTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の全てで、顕著な粗面化が施されている。
次に、算術平均表面粗さRa以外の表面構造を評価する。
図9は、本発明に係るフッ素樹脂成改質面の形成過程を模式的に表した概略図である。フッ素樹脂成形体23に対し、(9A)に示すように、改質プラズマ3bは、フッ素樹脂表面22における所定の照射範囲21に照射され、(9B)に示すように、前記照射範囲21の設定に応じて、フッ素樹脂改質面24が形成される。改質プラズマによって形成されたフッ素樹脂改質面24の粗面化の程度を表す物理量として、ここでは、改質表面積率Rを用いる。
(9C)に示すように、フッ素樹脂改質面24の所定区間平面26の区間平面積をSとし、この所定区間平面26の範囲内にあるフッ素樹脂改質面24の表面25をSとしたとき、前記フッ素樹脂改質面の改質表面積率Rは、R=S/Sで表される。
図10は、本発明に係るPTFE成形体の改質表面積率Rを示すグラフ図である。比較例として未処理、ケミカルエッチングによる表面改質を行ったPTFE成形体を示している。図9において説明した改質表面積率Rは、ケミカルエッチングに比べ、大気圧バイアスプラズマ処理の場合に顕著に増加していることが分かる。
表2には、PTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の改質表面積率Rを記載している。大気圧バイアスプラズマ処理を施したFEP成形体及びPFA成形体は、PTFE成形体よりも大きな改質表面積率Rを有しており、表面改質が好適に行われたことを示している。
図11は、本発明に係るフッ素樹改質面の改質表面積率Rをプロットしたグラフ図である。PTFE成形体、FEP成形体及びPFA成形体のフッ素樹改質面では、改質表面積率RがR=1.5以上となっており、好適な表面改質が施されたことが分かる。
表3には、本発明に係るPTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の算術平均表面粗さRa及び粗面化率RRを記載し、さらに、比較例として各成形体の未処理での算術平均表面粗さRaを記載している。粗面化率RRは、フッ素樹脂改質面の算術平均表面粗さRaを未処理での算術平均表面粗さRaで割ったものである。即ち、粗面化率RRは、表面改質処理による算術平均表面粗さの増加率を示している。大気圧バイアスプラズマ処理による表面改質処理を施したPTFE成形体、FEP成形体及びPFA成形体では、粗面化率RRが1よりも大きな値を有しており、表面改質が好適に行われたことを示している。
図12は、本発明に係るフッ素樹改質面の改質表面積率Rをプロットしたグラフ図である。PTFE成形体、FEP成形体及びPFA成形体のフッ素樹改質面では、粗面化率RがR=1.2以上となっており、好適な表面改質が施されたことが分かる。
表4には、本発明に係るPTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の付着量増加率を記載している。図1に記載のフッ素樹脂表面改質装置によって表面改質されたPTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体を蒸留水に浸漬し、引き上げて水切りしたときの蒸留水の付着量を計測している。具体的には、フッ素樹脂表面改質装置によってフッ素樹脂表面に励起ガスを照射した後、1分以内に蒸留水に10 秒間浸漬し、引き上げ速度10cm/sで各成形体を引き上げている。次に、1分間水切りをして、フッ素樹脂改質面の全改質面積TSに付着した蒸留水量Mを質量の変化量により計測している。励起ガスを照射しない未処理のフッ素樹脂表面の蒸留水付着量をMとしたとき、付着量増加率RMはRM=M/Mで表される。即ち、付着量増加率RMは、表面改質処理による蒸留水付着量の増加率を示している。大気圧バイアスプラズマ処理による表面改質処理を施したPTFE成形体、FEP成形体及びPFA成形体では、付着量増加率RMが1よりも大きな値を有しており、表面改質が好適に行われたことを示している。
図13は、本発明に係るフッ素樹改質面の付着量増加率RMをプロットしたグラフ図である。PTFE成形体、FEP成形体及びPFA成形体のフッ素樹改質面では、粗面化率RがR=1.1以上となっており、好適な表面改質が施されたことが分かる。
図14は、本発明に係るPTFE成形体の平均傾斜角Δaを示すグラフ図である。比較例として未処理、ケミカルエッチングによる表面改質を行ったPTFE成形体の平均傾斜角Δaを示している。フッ素樹脂改質面の断面の高さ方向をY軸とし、前記断面上のX軸を所定間隔ΔXでn個の区間に区切り、各区間におけるY軸上での間隔をΔYとしたとき、前記フッ素樹脂改質面の平均傾斜角Δaは下記の式で表される。
Δa={1/(n−1)}{Σ[i=1,n]tan−1|(ΔY/ΔX)|}
未処理の平均傾斜角Δaに比べて、ケミカルエッチングと大気圧バイアスプラズマ処理による表面改質処理では、平均傾斜角Δaが増大していることが分かる。
表5には、本発明に係るPTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の平均傾斜角Δaを記載している。表面改質処理を施されたFEP成形体、PFA成形体の平均傾斜角Δaは、図14に示したPTFE成形体の平均傾斜角Δaよりも大きな値を有しており、好適なフッ素樹脂改質面が形成されている。
図15は、表5に示したPTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の平均傾斜角Δaをプロットしたグラフ図である。PTFE成形体、FEP成形体及びPFA成形体のフッ素樹改質面では、平均傾斜角Δaが5°以上となっており、好適なフッ素樹改質面が形成されていることが分かる。
表6には、本発明に係るPTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の色差ΔEを記載している。色差ΔEは、下記数式(I)により算出されるCIE1976Lの色空間において、
ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2 (I)
ΔL=L −L
Δa=a −a
Δb=b −b
で定義される。ここで、式中、L ,a ,b 及びL ,a ,b は、
CIE標準光源D65の入射角40°の入射光に対する正反射光の色味をCIE1976L色空間のL値,a値,b値で表したものである。さらに、L ,a ,b は、表面改質処理を施す前のフッ素樹脂形表面のL値,a値,b値を表し、L ,a ,b は、表面改質処理を施した後のフッ素樹脂改質面のL値,a値,b値を表す。
図16は、表7に示したPTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の色差ΔEをプロットしたグラフ図である。PTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の色差ΔEは、全て1以下であり、本発明に係るフッ素樹脂表面改質装置を用いた表面改質処理では、表面改質の前後における色差ΔEが小さく、フッ素樹脂の固有の組成が保持されていると考えることができる。
図17は、本発明に係るフッ素樹脂成形体の接着強度測定の測定方法概略図である。接着剤により2つのPTFE成形体41、42を表面改質処理が施された互いの接着面43で接着し、引張り速度50mm/minで図中の矢印で示した反対方向に引張り、接着強度測定を行っている。接着強度測定には、(株)イマダ製荷重・変位出力付計測ユニットを用いている。PTFE成形体41、42の大きさは20×5×1mmであり、接着面積は5×5mm、接着剤としてセメダイン(株)製多用途型家庭用のセメダイン(登録商標)を用いている。
図18は、本発明に係るフッ素樹脂成形体のせん断強度測定の測定結果を示すグラフ図である。各せん断強度は、図1のフッ素樹脂表面改質装置において、供給する動作ガスの種類を変え、各動作ガスを用いて表面改質処理された各PTFE成形体を試料として測定している。
(18A)には、動作ガスとして窒素Nとその混合ガスを用いた時のせん断強度(N)を示している。具体的には、動作ガスとして、窒素N、窒素Nと水分HOの混合ガス、窒素Nと水素Hの混合ガス、窒素Nと水分HOと水素Hの混合ガスが用いられている。尚、動作ガスの供給流量は、窒素Nが20L/min、Hが0.1L/minであり、HOはバブリングにより混合されている。
(18A)に示すように、各試料を用いたせん断強度の測定において、18N以上の好適なせん断強度を有することが示されている。特に、混合ガスを用いた場合により大きなせん断強度が得られている。
(18B)には、動作ガスとして、ヘリウムHe、ヘリウムHeと水分HOの混合ガス、ヘリウムHeと水素Hの混合ガス、ヘリウムHeと水分HOと水素Hの混合ガスが用いて表面改質処理を施したフッ素樹脂成形体のせん断強度を示している。各試料を用いたせん断強度の測定において、15N以上のせん断強度を有することが示されている。
図19は、本発明に係る表面改質処理を行ったPTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の引き剥がし試験の試験方法を示した概略図である。保持基板50の上に載置されたフッ素樹脂成形体51の表面に銀熱硬化ペースト52を塗布して粘着テープ53と接着されるよう硬化させている。粘着テープ53を引張ることにより、硬化した銀熱硬化ペースト52を引き剥がし、接着強度(N/cm)を測定している。
図20は、図19に示した引き剥がし試験により測定された接着強度を示すグラフ図である。PTFE成形体、FEP成形体、PFA成形体の全てにおいて、未処理よりも大きな接着強度を有することが示されている。更に、大気圧バイアスプラズマ処理では、大気圧プラズマ処理よりも大きな接着強度が得られており、バイアスの印加により、より好適な表面改質処理を施せることを示している。
本発明によれば、表面改質処理により表面が殆ど炭化されることがなく、表面の粗面化が施されているフッ素樹脂成形体を提供することができる。
よって、他の材料と容易に接着させることができると共に、本発明に係るフッ素樹脂改質面は、改質前のフッ素樹脂が有する耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性等を保持することができる。
1 フッ素樹脂成形体
2 フッ素樹脂表面
3a プラズマ
3b 改質プラズマ
4 絶縁ノズル
5 絶縁板
6 基体電極
7 外部電極
8 内部電極
9 動作ガス
10 電源回路
11 コイル
12 コンデンサ
13 コイル
14 コンデンサ
15 二次コイル
16 一次コイル
17 鉄心
18 接続点
21 照射範囲
22 フッ素樹脂表面
23 フッ素樹脂成形体
24 フッ素樹脂改質面
41 PTFE成形体
42 PTFE成形体
43 接着面
50 保持基板
51 フッ素樹脂成形体
52 銀熱硬化ペースト
53 粘着テープ

Claims (11)

  1. フッ素樹脂表面に励起ガスを照射してフッ素樹脂改質面を形成したフッ素樹脂成形体において、波長532nmのレーザー光を前記フッ素樹脂改質面に照射してラマン分光器によりレーザーラマン分光スペクトルを測定して、前記レーザーラマン分光スペクトルの1500cm−1から1650cm−1の間で極大となるGバンドと1300cm-1から1400cm-1の間で極大となるCFバンドからバックグラウンドのスペクトル強度を差引いたとき、前記Gバンドのピーク強度Iと前記CFバンドのピーク強度ICF2の強度比I/ICF2が0〜0.01の範囲にあり、前記バックグラウンドの前記スペクトル強度を差引く前の前記レーザーラマン分光スペクトルにおける1000cm−1のスペクトル強度をI1000、2000cm−1のスペクトル強度をI2000としたとき、前記ICF2に対する前記I2000と前記I1000との差の比ΔItrが下記の式で表され、
    ΔItr=|(I2000−I1000)|/ICF2
    前記ΔItrが0〜0.1の範囲にあり、前記フッ素樹脂改質面上で所定区間平面の区間平面積をSとし、前記所定区間平面内にある前記フッ素樹脂改質面の表面積をSとしたとき、前記フッ素樹脂改質面の改質表面積率Rは、R=S/Sで表され、前記改質表面積率Rが1.2以上であることを特徴とするフッ素樹脂成形体。
  2. 前記励起ガスを照射しない未処理の前記フッ素樹脂表面の算術平均粗さをRaとし、前記励起ガスを照射した後の前記フッ素樹脂改質面の算術平均粗さをRaとしたとき、粗面化率RRはRR=Ra/Raで表され、前記粗面化率RRが1.20以上である請求項1に記載のフッ素樹脂成形体。
  3. 前記励起ガスを前記フッ素樹脂表面に照射した後、1分以内に前記フッ素樹脂成形体を蒸留水に10 秒間浸漬し、引き上げ速度10cm/sで前記フッ素樹脂成形体を引き上げて1分間水切りをしたとき、前記励起ガスが照射された前記フッ素樹脂改質面の全改質面積TSに付着した蒸留水量をMとし、前記励起ガスを照射しない未処理の前記フッ素樹脂表面の蒸留水付着量をMとしたとき、付着量増加率RMはRM=M/Mで表され、前記付着量増加率RMが1.1以上である請求項1又は2に記載のフッ素樹脂成形体。
  4. 前記フッ素樹脂改質面の断面の高さ方向をY軸とし、前記断面上のX軸を所定間隔ΔXでn個の区間に区切り、各区間におけるY軸上での間隔をΔYとしたとき、前記フッ素樹脂改質面の平均傾斜角Δaは下記の式で表され、
    Δa={1/(n−1)}{Σ[i=1,n]tan−1|(ΔY/ΔX)|}
    前記平均傾斜角Δaが5°以上である請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素樹脂成形体。
  5. 大気圧雰囲気下にある2つ以上の励起電極と基体電極の間にフッ素樹脂成形体を配設し、励起用電圧が印加された前記励起電極の間に動作ガスを供給してプラズマを生起し、且つ前記励起電極と前記基体用電極の間に処理用電圧を印加して、前記プラズマを前記フッ素樹脂成形体のフッ素樹脂表面に誘導すると同時に改質プラズマを生成し、前記改質プラズマによりフッ素樹脂改質面を形成するフッ素樹脂成形体表面改質方法であり、波長532nmのレーザー光を前記フッ素樹脂改質面に照射してラマン分光器によりレーザーラマン分光スペクトルを測定して、前記レーザーラマン分光スペクトルの1500cm−1から1650cm−1の間で極大となるGバンドと1300cm-1から1400cm-1の間で極大となるCFバンドからバックグラウンドのスペクトル強度を差引いたとき、前記Gバンドのピーク強度Iと前記CFバンドのピーク強度ICF2の強度比I/ICF2が0〜0.01の範囲にあり、前記バックグラウンドの前記スペクトル強度を差引く前の前記レーザーラマン分光スペクトルにおける1000cm−1のスペクトル強度をI1000、2000cm−1のスペクトル強度をI2000としたとき、前記ICF2に対する前記I2000と前記I1000との差の比ΔItrが下記の式で表され、
    ΔItr=|(I2000−I1000)|/ICF2
    前記ΔItrが0〜0.1の範囲にあり、前記フッ素樹脂改質面上で所定区間平面の区間平面積をSとし、前記所定区間平面内にある前記フッ素樹脂改質面の表面積をSとしたとき、前記フッ素樹脂改質面の改質表面積率Rは、R=S/Sで表され、前記改質表面積率Rが1.2以上であることを特徴とするフッ素樹脂成形体表面改質方法。
  6. 前記改質プラズマを照射しない未処理の前記フッ素樹脂表面の算術平均粗さをRaとし、前記励起ガスを照射した後の前記フッ素樹脂改質面の算術平均粗さをRaとしたとき、粗面化率RRはRR=Ra/Raで表され、前記粗面化率RRが1.20以上である請求項5に記載のフッ素樹脂成形体表面改質方法。
  7. 前記励起用電圧と前記処理用電圧が単一の電源を用いて印加される交播電圧である請求項5又は6に記載のフッ素樹脂成形体表面改質方法。
  8. 前記交播電圧の周波数が1kHz〜40kHzの範囲に設定される請求項7に記載のフッ素樹脂成形体表面改質方法。
  9. 前記動作ガスが不活性ガス又は不活性ガスと反応性ガスの混合ガスからなる請求項5〜8のいずれかに記載のフッ素樹脂成形体表面改質方法。
  10. 前記動作ガスが固体及び/又は液体を気化させて供給される請求項5〜8のいずれかに記載のフッ素樹脂成形体表面改質方法。
  11. 前記フッ素樹脂改質面が形成されたフッ素樹脂成形体において、下記数式(I)により算出されるCIE1976Lの色空間における色差ΔE
    ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2 (I)
    ΔL=L −L
    Δa=a −a
    Δb=b −b
    (式中、L ,a ,b およびL ,a ,b は、CIE標準光源D65の入射角40°の入射光に対する正反射光の色味をCIE1976L色空間のL値,a値,b値で表したものであり、L ,a ,b は、前記励起ガスを照射しない未処理のフッ素樹脂表面のL値,a値,b値を表し、L ,a ,b は、前記フッ素樹脂改質面のL値,a値,b値を表す。)で定義されるとき、前記色差ΔEが1以下である請求項1〜4のいずれかに記載のフッ素樹脂成形体。
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