JP2012196917A - インキ供給装置および印刷機 - Google Patents

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Abstract

【課題】インキ元ローラの速度が上昇しても印刷品質を一定に保つことのできるインキ供給装置および印刷機を提供することをその課題とする。
【解決手段】つぼキー6は印刷される画像データに基づき、インキ元ローラ5との間隔、すなわち開度が制御部CONTにより決定される。各つぼキー6のうち、制御部CONTにより設定される開度が約30%以下のつぼキー6に限り、インキ元ローラ5の速度が上昇する程つぼキー6の開度を小さくする前記補正量が制御部CONTにより適用される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、印刷機に搭載されるインキ供給装置によりインキを供給する技術に関するものである。
印刷機に搭載されるインキ供給装置は一般にインキつぼと呼ばれ、回転可能なインキ元ローラと、このインキ元ローラに接離可能で、インキ元ローラの軸方向(搬送される用紙の幅方向)に複数配置され、インキ元ローラ表面へのインキ供給量を調節可能なつぼキーから構成されている。例えば、特許文献1にはこのようなインキ供給装置の開示がある。
特開2010−194962号公報
ところで、インキ供給装置が搭載される印刷機の運転速度が上昇する程、多量のインキ供給が必要とされるので、インキ元ローラの速度(単位時間当たりの回転数)は上昇するように制御されている。インキ元ローラの速度が上昇するに伴い、つぼキーをインキ元ローラから離間させようとする力は大きくなる。これは、インキ元ローラとつぼキーとの間に介在するインキの粘弾性により、インキ元ローラの回転に伴ってつぼキーを離間させようと撓ませる力が働くためで、インキ元ローラの速度が上がるほどこの力は顕著となる。よって速度上昇時にはこの離間作用によりインキ供給量が変化(増大)する傾向にあるが、この変化によって与える印刷品質への悪影響が顕著になるのは、つぼキーの開度(インキ元ローラとつぼキーとの間隔)が小さい時、特に開度ゼロの時である。なぜなら、インキが供給されるべきでない(もしくは極少量にすべき)箇所にインキが供給されること、すなわち、印刷物の着色されるべきでない箇所に着色されることは非常に目立つものであるため、顧客(印刷物の発注者)の要望を満足させることが難しく、印刷品質上大きな問題となるからである。
また、このつぼキーを離間させる力は前記軸方向におけるインキ元ローラの両端部から中央部に向かうほど大きくなる。というのも、印刷機に前記軸方向両側で支持されたインキつぼのホルダ部材に複数のつぼキーが摺動可能に設けられる構成であるため、すなわち、両端支持であって中央が支持されないため、ホルダ部材を撓ませる力は前記軸方向中央部に向かうほど大きくなるからである。特許文献1にはこのような問題を解決する技術の開示がなく、改善の余地があった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、インキ元ローラの速度が上昇しても印刷品質を一定に保つことのできるインキ供給装置および印刷機を提供することである。
本発明は上記目的を達成するため、回転可能なインキ元ローラ5と、該インキ元ローラ5の軸方向に複数配置され、該インキ元ローラ5に対し接離可能で該インキ元ローラ5と共にインキ貯留部を形成するつぼキー6と、画像データに基づいて各つぼキー6の開度を設定する制御部CONTとを有するインキ供給装置において、該制御部CONTは、該つぼキー6の該開度が小さい場合、該インキ元ローラ5の速度上昇に応じ、該開度を減じる方向に該つぼキー6を移動させることを特徴とする。
また本発明に係るインキ供給装置において、該制御部CONTは、該複数のつぼキー6のうち、該軸方向における中央のつぼキー6に向かう程、該開度を大きく減じる方向に該つぼキー6を移動させることを特徴とする。
また、本発明に係る印刷機は、請求項1または2記載のインキ供給装置を備えたことを特徴とする。
本発明に係るインキ供給装置によれば、速度上昇による影響を受けることなく、適正なインキ供給ができ、印刷品質を一定に保つことができるインキ供給装置を得ることが可能となる。
また、より適正なインキ供給ができ、印刷品質を一定に保つことができるインキ供給装置を得ることが可能となる。
また、前記のようなインキ供給装置を備えた印刷機を得ることができる。
本発明に係るインキ供給装置を備えた印刷機の一実施形態の概略構成を示す図である。 インキ供給装置を模式的に示す拡大側面図である。 インキ元ローラとつぼキーを模式的に示す平面図である。 インキ元ローラの速度とつぼキーの補正量とを示す表およびグラフである。 インキ元ローラとつぼキーを模式的に示す他の実施例の平面図である。 インキ元ローラの速度とつぼキーの補正量とを示す他の実施例の表およびグラフである。 インキ元ローラとつぼキーを模式的に示す更に他の実施例の平面図である。
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係るインキ供給装置を備えた印刷機の一実施形態の概略構成を示す図であり、図2はインキ供給装置を模式的に示す拡大側面図、図3はインキ元ローラとつぼキーを模式的に示す平面図、図4はインキ元ローラの速度とつぼキーの補正量とを示す表およびグラフである。図5はインキ元ローラとつぼキーを模式的に示す他の実施例の平面図である。図6はインキ元ローラの速度とつぼキーの補正量とを示す他の実施例の表およびグラフである。図7はインキ元ローラとつぼキーを模式的に示す更に他の実施例の平面図である。なお、図1において、実質的に同様の構成、作用を有する部品には同じ参照符号を付してある。
図1に示す印刷機100は、給紙部20、印刷部30、排紙部40及び制御部CONTを備えている。給紙部20は、被印刷体P(ここでは印刷用紙)を印刷部30に供給することができる。印刷部30は、給紙部20から供給される用紙Pを印刷することができ、複数の印刷ユニット(ここでは4台の印刷ユニット30a〜30d)を備えている。また、排紙部40は、印刷部30にて印刷された印刷物Qを排紙することができる。この印刷機100では、給紙部20から用紙Pが印刷部30に供給され、当該供給された用紙Pが印刷部30における各印刷ユニット30a〜30dにて印刷された後、当該印刷された印刷物Qが排紙部40にて排紙される。
給紙部20は、収容部21及び供給部22を備えている。収容部21は、複数の用紙Pを収容することができるものであり、供給部22は、収容部21に収容される用紙Pを1枚ずつ引き出し、当該引き出された用紙Pを印刷部30に向けて搬送することができるものである。これにより、用紙Pを印刷部30に供給することができる。
印刷部30の各印刷ユニット30a〜30dは、それぞれ版胴1、ゴム胴2及び圧胴3を主要構成要素の一組として構成されるものである。印刷ユニット30aにおける4aは給紙胴であり、印刷ユニット30b〜30dにおける4はいずれも渡し胴である。
各印刷ユニット30a〜30dにおいて、版胴1には印刷用の版(図示を省略)が配設される。この版にはインキ及び水が供給され、版に従ってインキがゴム胴2に転写される。そしてゴム胴2に転写されたインキがゴム胴2及び圧胴3に挟持されつつ搬送されてくる用紙Pにさらに転写される。これにより、給紙部20から供給される用紙Pに対してそれぞれに設けられた版に対応して印刷を行うことができる。
印刷ユニット30a〜30dは、それぞれブラック色(K)、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロー色(Y)の4色の印刷用インキにより、用紙Pにカラー印刷画像を印刷する。かくして印刷部30では、用紙Pに、互いに異なる複数の基本色(ここではブラック色(K)、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロー色(Y)の4色)で構成されるカラー印刷画像が印刷される。
排紙部40は、搬送部41及び収容部42を備えている。この排紙部40では、印刷ユニット30dの圧胴3にて搬送されてくる印刷物Qが、先端部が搬送部41の保持部(図示省略)に保持され、搬送部41の図中略下側面に沿って搬送されて収容部42に送られる。収容部42は、搬送部41にて搬送されてきた印刷物Qを収容することができる。
各印刷ユニット30a〜30dは、前記した版胴1、ゴム胴2及び圧胴3の他、図2の通り、インキ供給装置をなすインキ元ローラ5及びつぼキー6、元ローラ駆動装置7及びつぼキー移動装置8、図2中矢印Z1,Z2方向に揺動可能なダクタローラ9及びダクタローラ揺動装置10、インキローラ11、11を備えている。インキ元ローラ5とつぼキー6とで構成されるインキつぼはインキFを収容可能に構成されている。
インキ元ローラ5は回転自在に配設されており、元ローラ駆動装置7に接続され、更に元ローラ駆動装置7は制御部CONTに接続されており、制御部CONTの指示の下、インキ元ローラ5を所定方向(図2中矢印反時計方向)に回転駆動することができるように構成されている。これにより、インキ元ローラ5は、インキつぼに収容されるインキFを表面に付着しつつ回転駆動されることで、該表面のインキFを次工程のローラ(本例ではダクタローラ9)に供給することができる。インキ元ローラ5の回転速度は制御部CONTにより制御される。
つぼキー6はインキ元ローラ5の軸方向、すなわち搬送される用紙Pの幅方向に沿って複数配置されており、図2中矢印Z3,Z4方向にスライド移動可能に構成されている。つぼキー6はつぼキー移動装置8に接続され、更につぼキー移動装置8は制御部CONTに接続されており、制御部CONTの指示の下、つぼキー6を矢印Z3,Z4方向にスライド移動させることができるように構成されている。これにより、複数のつぼキー6のインキ元ローラ5との間隔(図中G)が変化し、インキ元ローラ5の表面に供給するインキ量を決定することができる。この間隔(G)がインキ元ローラ5に対するつぼキー6の開度である。この開度の設定は、版胴に配設される印刷用の版を形成する画像データにより、つぼキー6毎に設定される。つぼキー6は、印刷ユニット30にその前記軸方向両側が支持された図示しないインキつぼのホルダにスライド移動可能に設けられている。よってつぼキー6は前記軸方向における中央部側ほど支持部から離れるため、ホルダの撓みによるつぼキーを離間させる力は大きくなる。
図3はインキ元ローラ5とつぼキー6を模式的に示す平面図であり、図4はインキ元ローラ5の速度とつぼキー6の補正量とを示す表およびグラフである。本実施例において、つぼキー6は前記軸方向に23個配設されており、図3中上端及び下端から中央へ各3つのつぼキー6(計6個)の開度が約30%以下となっており、他の17個のつぼキー6は開度が30%よりも大きい。よってこれら6個のつぼキー6についてのみ制御部CONTにより補正量が制御適用される。この補正量は、画像データに基づき設定されるつぼキー6の開度とは別に設定されるものであり、図4の通り、インキ元ローラ5の速度が上昇するほど、つぼキー6の開度を小さくする、すなわち閉じ方向へ移動させる補正量である。つぼキー6の開度が30%以下の箇所を発明者らは小画像と言っており、本発明はこのようなインキ供給量の少ない、あるいはインキ供給のない箇所についての適正なインキ供給を目的としている。
具体的な補正量は図4の通り、本実施例においてはインキ元ローラ5の速度が5RPMの時3μm、速度10RPMの時3.5μm、速度15RPMの時6μm、印刷機の最高速度に対応する速度30RPMの時12μmとなっている。この補正量は制御部CONTにテーブル化されて保管されている。なお、この補正量は、前記各速度におけるインキ元ローラ5と各つぼキー6との撓みによる離間量を予め計測しておくことにより求められる。また、RPMとは1分間当たりのインキ元ローラ5の回転数(Round Per Minute)のことである。
本実施形態の作用について説明する。操作者は給紙部20に用紙Pをセットしたり版胴1に印刷用版を設置したりする等の印刷準備を行った後、印刷を行う。つぼキー6は印刷される画像データに基づき、インキ元ローラ5との間隔、すなわち開度が制御部CONTにより決定される。各つぼキー6のうち、制御部CONTにより設定される開度が約30%以下のつぼキー6(上端下端より3個ずつ)に限り、インキ元ローラ5の速度が上昇する程つぼキー6の開度を小さくする前記補正量が制御部CONTにより適用され、つぼキー移動装置8によりつぼキー6が移動する。これら6個のつぼキー6についてはインキ元ローラ5が回転し、ホルダの撓みを受けている状態を実線で示し、前記補正量が適用され、つぼキー6が移動した状態を破線で模式的に示している。
このように、開度の小さいつぼキー6のみに補正量を適用することにより、着色が極少量であるべき、もしくは着色されてはいけない箇所のインキ供給量を適正に制御でき、インキ元ローラ5の速度上昇に影響されることなく、安定した印刷品質を保つことが可能となる。
図5はインキ元ローラ5とつぼキー6を模式的に示す他の実施例の平面図であり、図6はインキ元ローラ5の速度とつぼキー6の補正量とを示す表およびグラフである。本実施例において、つぼキー6は前記軸方向に23個配設されており、上下両端側各4個のつぼキー6をC、中央の7個のつぼキー6をA、両者の間の各4個のつぼキー6をBの各ブロックに分け、これらブロック毎に制御部CONTにより補正量が制御される。この補正量は、前記画像データに基づいて制御部CONTにより設定されるつぼキー6の開度が約30%以下の場合にのみ適用される。
すなわち、前記ホルダの撓みの影響が大きいつぼキー6の中央部側のブロックAに対する補正量は大きく、本実施例においては、インキ元ローラ5の速度が5RPMの時5μm、速度10RPMの時6μm、速度15RPMの時10μm、印刷機の最高速度に対応する速度30RPMの時20μmとなっている。
そして、前記ホルダの撓みの影響が少ないつぼキー6の両端側のブロックCに対する補正量はブロックAに対する補正量よりも小さく、ブロックBに対する補正量はその中間であり、それぞれ図6に示す通りである。この補正量は制御部CONTにテーブル化されて保管されている。なお、この補正量は、前記各速度におけるインキ元ローラ5と各つぼキー6との撓みによる離間量をブロック毎に予め計測しておくことにより求められる。
このようにブロック毎に補正量を設定することにより、より適正にインキ供給量を制御できる。なお、図5に示すつぼキー6は、全てのつぼキー6の開度(開度)が約30%以下の場合で同一の値(例えば開度が一律10%)とし、インキ元ローラ5が回転し、ホルダの撓みを受けている状態を実線で示し、前記補正量が適用され、つぼキー6が移動した状態を破線で模式的に示している。
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、図5の実施形態では、つぼキー6をA,B,Cのブロックに分けて、それぞれ補正量を設定していたが、図7のように中央に向かうほど補正量が大きくなるよう、つぼキー1個毎に該補正量を個別に設定するようにしてもよい。もっとも、図5のように各ブロックに分けた方が制御の簡素化が図れ、コストダウンにもなる。なお、図7に示すつぼキー6は、全てのつぼキー6の開度(開度)が約30%以下の場合で同一の値(例えば開度が一律10%)とし、インキ元ローラ5が回転し、ホルダの撓みを受けている状態を実線で示し、前記補正量が適用され、つぼキー6が移動した状態を破線で模式的に示している。
また、前述の実施形態では、枚葉オフセット印刷機であったが、これに限定されず、インキつぼを使用する印刷機であればグラビア印刷機やフレキソ印刷機のようなものであってもよい。
本発明に係るインキ供給装置および印刷機は、インキ元ローラとつぼキーとを有するインキ供給装置及び印刷機において極めて有用である。
5…インキ元ローラ、6…つぼキー6、7…元ローラ駆動装置、8…つぼキー移動装置、9…ダクタローラ10…ダクタローラ揺動装置、11…インキローラ11、CONT…制御部、F…インキ

Claims (3)

  1. 回転可能なインキ元ローラと、該インキ元ローラの軸方向に複数配置され、該インキ元ローラに対し接離可能で該インキ元ローラと共にインキ貯留部を形成するつぼキーと、画像データに基づいて各つぼキーの開度を設定する制御部とを有するインキ供給装置において、該制御部は、該つぼキーの該開度が小さい場合、該インキ元ローラの速度上昇に応じ、該開度を減じる方向に該つぼキーを移動させることを特徴とするインキ供給装置。
  2. 該制御部は、該複数のつぼキーのうち、該軸方向における中央のつぼキーに向かう程、該開度を大きく減じる方向に該つぼキーを移動させることを特徴とする請求項1記載のインキ供給装置。
  3. 請求項1または2記載のインキ供給装置を備えたことを特徴とする印刷機。
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