JP2012196598A - 塗布装置及び塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吐出幅変更手段9は、スリットノズル10に形成されている幅方向に長い孔15及びスリット16に設けられ、幅方向に移動することによりスリット16からの塗布液の吐出幅Dを変更する。吐出幅変更手段9は、孔15の内壁面15aに接触するO形の弾性部材41を有し孔15を塗布液側とその幅方向外側とに区画するシール本体部18と、スリット16内で塗布液が幅方向外側へ流れ出るのを規制すると共に、弾性部材41よりも硬質であって当該弾性部材41の外周の一部に端縁部57が食い込んでいる薄板状のスペーサ17とを有している。
【選択図】図4
Description
この塗膜を形成するために、幅方向に長い孔及びこの孔と連通している幅方向に長いスリットが形成されたスリットノズルを備えた塗布装置を用いることが可能であり、前記孔に供給した塗布液を前記スリットを通じて吐出させることにより、ガラス基板上に塗布液による塗膜が形成される。
また、別の吐出幅変更手段として、特許文献2に記載のものがあり、図6(b)の概略図に示しているように、帯状金属箔が円筒基体94の外周に巻回された第1部分95aとスリット92に配置される薄い第2部分95bとを有する本体部95と、前記第1部分95aを介して円筒基体94に外装させたC形パッキン96とを有している。
また、前記特許文献2では、C形パッキン96に幅方向に長いスリット部97が形成されており、このスリット部97においてC形パッキン96が前記第2部分95bの基端部(裾部)を挟む構成である。このスリット部97と第2部分95bの基端部との間で液漏れを防ぐためには、両者間を確実に隙間なく密着させる必要があるが、これらC形パッキン96と本体部95とを一体としてスリットノズル内を幅方向に進退移動させると、C形パッキン96のうち、ねじれ剛性の低いスリット部97において、内周側端部98aから外周側端部98bがめくれてしまい、隙間が発生して塗布液が漏れる原因となる。
このように、従来の吐出幅変更手段では、スリットノズルにおける塗布液の漏れを防止する性能が低いという問題がある。
この場合、弾性部材のうちスペーサの端縁部が食い込む部分(被食い込み部)は、端縁部の形状に追従して凹んで変形しやすいため、端縁部と弾性部材(被食い込み部)とに隙間が生じにくく、スペーサと弾性部材との境界部から塗布液が漏れるのを容易に防止することができる。これにより、簡素な構成で液漏れ防止の性能を高めることが容易となる。
この場合、拡径部材によってO形の弾性部材を拡径させた状態で、孔の内壁面と弾性部材との間の接触面圧を確保することができ、液漏れ防止の性能を高めることができる。そして、この弾性部材の拡径を解除した状態では、弾性部材の外周が孔の内周壁に接触する力を弱くすることができ、接触抵抗を低減させ、この弾性部材を有するシール本体部を孔に沿って進退移動させる作業が容易となる。
この場合、拡径部材を弾性部材に接近させることにより、当該弾性部材をテーパ外周面によって拡径させることができ、また、拡径部材を弾性部材から離反させることで、弾性部材の弾性復元力により、拡径を解除することができる。これにより、液漏れ防止の性能を再現良く発現させることが可能となる。
この場合、ピストンは、シャフトに対して幅方向の移動が制限されているので、シャフトを進退移動させることでピストンを孔に沿って進退移動させることができ、また、このピストンはスペーサを保持しているので、ピストンと共にスペーサをスリットに沿って進退移動させることができる。つまり、スペーサを幅方向に進退移動させることによって行われる吐出幅の変更操作を、前記シャフトを用いて行うことが可能となる。
そして、環状のピストンは、シャフトに隙間をあけて外嵌して取り付けられているので、このシャフトの進退移動軸をスリットの中心平面と厳密に一致させなくとも、さらにはシャフトを周方向に回転して進退移動させたとしても、ピストン及びスペーサの自立姿勢には影響を与えず、スペーサがスリットに強く接触して双方が傷付き液漏れ防止の性能が低下することを防止できる。これにより、シャフトの進退移動距離が長く吐出幅の変更量が大きなスリットノズルであっても、液漏れ防止の性能を高めることが容易に実現可能となる。
本発明によれば、塗布液の漏れを防止する性能が高いスリットノズルによる塗布液の塗布が可能となり、所望の幅の塗膜を基板に形成することができる。
図1は、本発明の塗布装置の実施の一形態を示す概略図である。この塗布装置は、基台1と、基台1に設けられたガイド部材2と、ガイド部材2によって前後方向に移動可能であり基板Wを載置可能なステージ3と、このステージ3を前後方向に移動させる駆動部4とを備えている。そして、この塗布装置は、ステージ3上の基板Wに対して塗布液を吐出して塗布するスリットノズル10を備えている。基板Wは、矩形の枚葉部材であり、本実施形態では太陽電池パネル用のガラス基板である。
ステージ3は、その上面に基板Wを載せることができ、また、この基板Wを例えばエア吸引力又は静電力によって保持する(固定する)ことができる。
また、基台1にはスリットノズル用支柱(図示せず)が設けられており、この支柱にスリットノズル10は固定されている。
本実施形態では(図1参照)、フロントリップ12と一体である第1本体ブロック14aと、リアリップ13と一体である第2本体ブロック14bとを組み立てることにより、孔(マニホールド)15とスリット16とが形成されている。前記本体ブロック14は、第1本体ブロック14aと第2本体ブロック14bとからなる。
以上のように、スリットノズル10には、スリット16からなる吐出口11が形成されており、塗布液Lをこの吐出口11から基板Wに対して吐出して塗布することができる。吐出口11から連続的に吐出された塗布液Lは、幅方向に長い帯状となって吐出され、これと同時に、前記駆動部4によって基板Wを保持したステージ3が後方へ移動し、これにより、基板W上に塗布液Lによる塗膜Sが形成される。なお、塗膜Sの幅方向の寸法を塗布幅Bと呼ぶ。
吐出幅変更手段9は、孔15に設けられているシール本体部18と、スリット16に設けられているスペーサ17とを有している。なお、図1に示しているポンプユニット6から供給される塗布液Lは、幅方向両側にあるシール本体部18の間に供給される。また、図3は、図4のV3矢視の断面図である。
このため、スペーサ17によって、塗布液が吐出される幅となる吐出口11の幅方向寸法(吐出幅D)が規定され、また、このスペーサ17を幅方向に移動させることで、吐出口11の幅方向寸法(吐出幅D)を変更することができる。つまり、吐出口11の幅方向寸法は、塗布液Lを吐出可能とする幅寸法を意味し、この吐出幅Dを変更することにより塗布液による塗布幅Bを変更することができる。このスペーサ17(塗布幅変更手段9)により、スリットノズル10を交換することなく、塗布幅Bを様々な値に変更することができる。なお、スリット16内におけるスペーサ17の幅方向寸法は、液漏れ防止性能や進退移動時の抵抗、ならびに取り扱い易さなどを考慮して適宜定めることができる。本実施形態では、スペーサ17の幅方向寸法を50mmに設定している。また、本実施形態では、スペーサ17は1枚の薄板部材により構成されているが、複数枚の薄板部材を重ねて使用することも可能である。
これら第1の拡径部材44及び第1のリング部材45によれば、前記締め付け状態では、弾性部材41を弾性的に拡径させることができ、拡径した弾性部材41の外径は、孔15が無いと仮定した場合、当該孔15(内壁面15a)の内径よりも大きくなることができる。このため、孔15に存在している弾性部材41の外周面は、内壁面15aに潰れ代を有して密着した状態となり、塗布液の漏れを防止することができる。
また、スペーサ17の端縁部57が食い込む寸法、すなわち図3に示すスペーサ17の端縁部57からスリット16の入り口(孔15との境界部)までの距離Hは、スポンジゴムの硬度、すなわち前記断面変化の追従性や耐久性、ならびにスペーサ17の後述する位置決め精度(距離Hの寸法公差)などを考慮して定められることが好ましく、本実施形態では0.2mm〜1mmの範囲内に設定されている。
また、スポンジゴムの幅方向の厚さは、2mm〜5mmの範囲内に設定されているのが好ましい。厚さが薄すぎると前記密閉機能を充分に発現させることが困難となり、厚すぎると前記締め付け状態において孔15の内壁面15aとの接触抵抗が大きくシャフト40を幅方向に移動させるのに必要な力が過大となる。さらにまた、弾性部材41,42の径方向の肉厚は、前記距離Hに対して十分に大きな値でありかつ孔15の内径が大きくなりすぎない範囲に設定され、5mm〜10mmの範囲であることが好ましい。
なお、本実施形態では、液漏れを防ぐために、弾性部材41,42は、独立気泡による多孔質のスポンジゴムであるが、スポンジゴム単体において液の浸透が無い程度に細かい気泡であれば、独立気泡でなくてもよい。スポンジゴムの材質は、耐溶剤性の点からシリコンゴム、EPDMゴム、フッ素ゴムが好適である。
この連続する止水線により、スリットノズル10における塗布液の漏れを防止することができ、さらに、本実施形態では、弾性部材41(42)はスポンジゴムからなるため、弾性部材41(42)のうちスペーサ17の端縁部57が食い込む部分(前記一部58)は、端縁部57の形状に追従して凹んで変形しやすい。このため、端縁部57と弾性部材(前記一部58)とに隙間が生じにくく、弾性部材41(42)とスペーサ17との境界部から、塗布液Lが漏れるのを防止することができる。また、本実施形態によれば、このように液漏れを防止する機能を簡単な構成により実現することができる。
なお、本実施形態では、弾性部材41(42)はスポンジゴムからなるが、スポンジゴムと同等の機能が得られる軟質ゴムで代用することも可能である。
以上より、スペーサ17と一体であるピストン43のスムーズな挿入作業が可能となり、特に、薄いスペーサ17が曲がったり、傷が付いたりするのを防止することができる。
この状態で、塗布作業が実行される。すなわち、前記実施形態にかかる塗布装置(図1参照)によって、塗布液による塗膜Sを基板Wに形成する塗布方法では、塗膜Sの幅方向寸法は、吐出幅変更手段9が有するシール本体部18とスペーサ17との位置調整により、規定される。また、本実施形態では、シール本体部18とスペーサ17とは一体となっており、このシール本体部18がシャフト40に取り付けられているため、当該シャフト40を幅方向に進退移動させることで、スペーサ17及びシール本体部18を幅方向に変位させる(位置調整する)ことができる。
以上で説明した塗布幅変更手段9の構成により、本発明のスリットノズル10は、吐出幅の変更量が大きなスリットノズルであっても、液漏れ防止の性能を高めることが可能である。さらに、粘度が10mPa・s以下と低粘度の塗布液を安定に塗布するために、スリット16の前後方向の寸法が、例えば0.1mm程度と非常に小さく設定されたスリットノズルであっても、薄く折れ曲がりやすいスペーサ17を損傷させることなくスリット16に挿入し、進退移動をさせることができるので、液漏れ防止の性能を高めることが可能である。
また、本発明の塗布装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。本実施形態の駆動部4は、基台1に固定状態にあるスリットノズル10に対して、基板Wを保持したステージ3を前方へ移動させる形態として説明したが、これとは反対に、固定状態にあるステージ3に対してスリットノズル10を移動させる構成であってもよい。つまり、駆動部4は、スリットノズル10と基板Wとを相対的に前後方向に移動させればよい。
Claims (7)
- 幅方向に長い孔及びこの孔と連通している幅方向に長いスリットが形成され当該孔に供給された塗布液が当該スリットを通じて吐出されるスリットノズルと、
前記孔及び前記スリットに設けられ幅方向に移動することにより当該スリットからの塗布液の吐出幅を変更する吐出幅変更手段と、を備え、
前記吐出幅変更手段は、
前記孔の内壁面に接触するO形の弾性部材を有し当該孔を塗布液側とその幅方向外側とに区画するシール本体部と、
前記スリット内で塗布液が幅方向外側へ流れ出るのを規制すると共に、前記弾性部材よりも硬質であって当該弾性部材の外周の一部に端縁部が食い込んでいる薄板状のスペーサと、を有していることを特徴とする塗布装置。 - 前記O形の弾性部材は、前記スペーサの前記端縁部が食い込んだ状態で当該端縁部の形に沿って変形しているスポンジゴムからなる請求項1に記載の塗布装置。
- 前記シール本体部は、前記O形の弾性部材の拡径及び拡径の解除を切り替えて行う拡径部材を有している請求項1又は2に記載の塗布装置。
- 前記拡径部材は、前記O形の弾性部材に対して幅方向に接離可能であって、当該弾性部材に接近することにより当該弾性部材の内周に挿入状態となって当該弾性部材を拡径させるテーパ外周面を有する請求項3に記載の塗布装置。
- 前記吐出幅変更手段は、前記孔内を幅方向に進退移動可能であるシャフトを有し、
前記シール本体部は、前記スペーサを保持していると共に前記シャフトに対して幅方向の移動が制限されかつ当該シャフトに隙間をあけて外嵌して取り付けられている環状のピストンを有している請求項1から4のいずれか一項に記載の塗布装置。 - 前記ピストンは、前記孔に対して同心状に位置決めするための位置決め部を外周側の幅方向中心の一部に有している請求項5に記載の塗布装置。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載の塗布装置によって、塗布液による塗膜を基板に形成する塗布方法であって、
前記塗膜の幅方向寸法を、前記吐出幅変更手段が有する前記シール本体部と前記スペーサとの位置調整により規定することを特徴とする塗布方法。
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