〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は携帯電話機の第1の筐体部を分解状態で示している。図1に示す構成は一例であり、本発明は係る構成に限定されるものではない。
図1に示す携帯電話機2は、本開示の携帯通信装置の一例である。この携帯電話機2は第1および第2の筐体部4、6を備えており、筐体部4がたとえば、固定側筐体又は操作側筐体を構成し、筐体部6がたとえば、表示側筐体を構成する。
筐体部6には支持フレーム部8および可動フレーム部10が備えられている。支持フレーム部8は筐体部4にヒンジ部12により連結され、ヒンジ部12を回動中心Oとして筐体部4に対して回動可能である。したがって、この支持フレーム部8を備える筐体部6は、ヒンジ部12の回動中心Oで筐体部4に対して開閉し、折畳み可能である。すなわち、筐体部4、6は閉状態で折畳み状態(図10)となる。
支持フレーム部8にはスイング機構部14が備えられ、このスイング機構部14を介して可動フレーム部10がスイング(回動)可能に支持されている。したがって、可動フレーム部10は、図1に破線で示す位置まで左右にスイング可能である。
筐体部4には、前面側に固定側フロントケース16と背面側に固定側リアケース18が備えられている。固定側フロントケース16および固定側リアケース18はたとえば、ポリカーボネート、ABS樹脂などの合成樹脂の成形体である。
固定側リアケース18にはスイッチパネル20の他、電子部品が実装されている。スイッチパネル20には複数のスイッチ素子22が一定の配列形態としてたとえば、複数行、複数列に配置されている。スイッチ素子22はたとえば、ドームスイッチ、タクトスイッチ、プッシュスイッチ、その他のスイッチで構成されている。各スイッチ素子22は、前面部がフレキシブルシート24で覆われ、固定側フロントケース16の操作パネル26の押下により、フレキシブルシート24を介してオンオフさせることができる。
この固定側リアケース18の前面側に設置される固定側フロントケース16には、スイッチ素子22を露出させるためのスイッチ操作窓部28が形成されている。このスイッチ操作窓部28の周囲部には、操作パネル26を固定するパネル固定凹部30が形成されている。この固定側フロントケース16の基端部にはヒンジ部12を覆うヒンジカバー部32が形成されている。また、この固定側フロントケース16の終端部側には中央に吸音孔34が形成され、この吸音孔34を挟んで左右に操作パネル26を支持するパネル支持孔36L、36Rが形成されている。パネル支持孔36L、36Rは、操作パネル26のパネル支持部の一例であり、凹部であってもよい。
パネル固定凹部30にはスイッチ操作窓部28を包囲する環状の両面接着テープ38を接着手段に用いて操作パネル26が接合されて配置され、固定される。この操作パネル26に対して、パネル固定凹部30が、平面形状を僅かに大きく、かつ深さを僅かに深くしているので、操作パネル26の周囲形状と相似形の両面テープ38で接合された操作パネル26はパネル固定凹部30内に包摂されて設置される(図5、図9)。すなわち、パネル固定凹部30は、スイッチ操作窓部28の周囲部に両面接着テープ38および操作パネル26の固定エリアを構成している。両面接着テープ38は、防水性を備えているので、操作パネル26とパネル固定凹部30との接着部が防水化される。
操作パネル26は、スイッチ操作に可能な可撓性を備える合成樹脂パネル(シート)であり、可撓性を有する樹脂たとえば、PET(Polyethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)で形成すればよい。この操作パネル26の表面には既述のスイッチ素子22に対応する複数のキートップ40が備えられている。各キートップ40は操作パネル26上に樹脂成形されたボタン部であり、スイッチ素子22の操作可能な位置に配置されている。キートップの形状は、たとえば、長方形、円形、正方形、正方形を各辺部に四分割して割当て中心部分を円形または矩形にくり抜いた形状などである。
この操作パネル26は固定側フロントケース16の終端部側まで延長されており、この操作パネル26の拡張面部42には、一対の係止突部44L、44Rが間隔を設けて設置されている。各係止突部44L、44Rは、可動フレーム部10(筐体部6)を係止させ、そのスイングを抑止する。係止突部44L、44Rは、筐体部6のスイングを抑止するスイング抑止部の一例であって、閉じられた筐体部6の可動フレーム部10を係止させてスイングを抑止するブロック部である。この場合、操作パネル26は固定側フロントケース16の吸音孔34の位置まで延長され、各係止突部44L、44Rの間隔内に吸音孔34が形成されている。
キートップ40および各係止突部44L、44Rは操作パネル26の表面にUV硬化樹脂を設置し、UV照射による樹脂成形により形成される。たとえば、キートップ40および係止突部44L、44Rを型取りした金型にUV硬化樹脂を充填し、その上に操作パネル26を押し当て、紫外線照射により硬化させれば、操作パネル26上にキートップ40および係止突部44L、44Rが一体的に形成される。
また、筐体部6には、上部角部に筐体部4の係止突部44L、44Rを係止させる係合部50L、50Rが設置されている。各係合部50L、50Rは、筐体部6がフロントケース16側に折り畳まれた状態で、操作パネル26にある係止突部44L、44Rに係止される。これにより、筐体部6の可動フレーム10がスイングすることを抑止することができる。
次に、操作パネル26の背面側の構成について、図2を参照する。図2は携帯電話機の第1の筐体部の分解状態を示している。図2に示す構成は一例であり、本発明は係る構成に限定されない。図2において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
操作パネル26の背面にはキー押下部48が設定され、このキー押下部48には既述のスイッチ素子22を操作する複数のキー押下突起52がスイッチ素子22の対応位置に形成されている。操作パネル26を前面側からキー押下突起52を突出させることにより、選択されるスイッチ素子22を操作できる。
操作パネル26の拡張面部42の背面には、既述のパネル支持孔36L、36Rに支持させる支持突部56L、56Rが形成されている。各支持突部56L、56Rは、操作パネル26を筐体部4に支持させるための支持部材である。
各支持突部56L、56Rには、既述のキートップ40と同様にたとえば、UV硬化樹脂で樹脂成形されたブロック部が用いられる。各支持突部56L、56Rは操作パネル26の表面にUV硬化樹脂を設置し、UV照射により樹脂成形されている。UV硬化樹脂の樹脂成形は既述したようにたとえば、支持突部56L、56Rを型取りした金型にUV硬化樹脂を充填し、その上に操作パネル26の背面を押し当て、紫外線照射により硬化させる。これにより、操作パネル26の背面上に支持突部56L、56Rが一体化される。
操作パネル26の各部について、図3および図4を参照する。図3は操作パネルの前面側の各部配置を示している。図4は操作パネルの背面側の各部配置を示している。
操作パネル26の前面部には、図3に示すように、その中央部にキートップ配置エリア26A、係止突部44L、44Rを設けるための拡張面部42を確保する拡張エリア26Bが設定されている。拡張エリア26Bには、係止突部44L、44Rを形成し支持する部分である。
操作パネル26の背面部には、図4に示すように、その中央部にキー押下エリア26C、支持突部56L、56Rの設置面を確保する拡張エリア26Dが設定されている。キー押下エリア26Cおよび拡張エリア26Dの周囲部には固定エリア26Eが設定され、この固定エリア26Eで操作パネル26を両面接着テープ38に接着し、パネル固定凹部30に固定する部分である。
拡張エリア26Dに形成された支持突部56L、56Rにより、操作パネル26が筐体部4に強固に支持される。
次に、筐体部6について、図5を参照する。図5は携帯電話機の第2の筐体部の分解状態を示している。図5に示す構成は一例であり、本発明は係る構成に限定されない。図5において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
図5に示すように、筐体部6には前面側に可動側フロントケース58が備えられ、背面側に可動側リアケース60が備えられている。可動側フロントケース58および可動側リアケース60は筐体部4と同様にたとえば、ポリカーボネート、ABS樹脂などの合成樹脂の成形体である。可動側フロントケース58および可動側リアケース60の合体により筐体部6の外観が構成される。可動側リアケース60の基部はヒンジ部12に固定されている。
可動側リアケース60には、中心部に情報表示部の一例であるLCD(Liquid Crystal Display)62が設置され、上端中央にはスピーカ64が設置されている。可動側リアケース60の上部角部側には、可動側リアケース60の前面を覆う可動側フロントケース58を固定するための一対の固定突部66が形成されている。各固定突部66には、固定ビス68をねじ込むためのねじ孔67が形成されている。
可動側フロントケース58は支持枠70と防護パネル72とで構成されている。支持枠70はLCD62の周囲側の溝部74内に設置される。防護パネル72はLCD62の画面を覆う防護カバーであり、LCD62の表示を透過させるため、透光性樹脂で形成されている。この防護パネル72は支持枠70に固定されている。
可動側フロントケース58の上縁の両角部には、角部をL字形に切り欠いた防護パネル72と、この防護パネル72から露出させた支持枠70とで、係合部50L、50Rを固定するための固定凹部74L、74Rが形成されている。固定凹部74L、74Rの平面形状は係合部50L、50Rに一致する形状である。
各固定凹部74L、74Rのそれぞれには可動側リアケース60の固定突部66の対応位置に貫通孔76が形成されている。可動側リアケース60の固定突部66のねじ孔67には可動側フロントケース58の各貫通孔76から固定ビス68がねじ込まれる。これにより、可動側フロントケース58は可動側リアケース60内に位置決めされて固定され、可動側フロントケース58が可動側リアケース60に合体される。可動側フロントケース58の上部中央には、可動側リアケース60の上部中央にあるスピーカ64のための放音孔78が形成されている。
固定凹部74L、74Rには、係合部50L、50Rが設置される。各係合部50L、50Rは左右対称形であり、可動側フロントケース58の上部角部にある各固定凹部74L、74Rに両面接着シートなどの接着剤で取り付けられる。したがって、各係合部50L、50Rは、各固定凹部74L、74Rを補完して可動側フロントケース58の上部角部の外観形状を形成し、各固定凹部74L、74R内の各固定ビス68の頭部を覆うカバーを構成する。
次に、係合部50L、50Rについて、図6を参照する。図6のAは係合部50Lの一例を示し、図6のBは係合部50Rの一例を示している。
図6のAに示すように、係合部50Lには、可動側フロントケース58の側面側を厚くして突部80、その内側を薄くして凹部82が形成されている。これら突部80と凹部82との境目には、壁部84が形成されている。凹部82には既述の係止突部44Lが適合し、この係止突部44Lの側面部が壁部84に当たる。したがって、突部80および壁部84が係止突部44Lのストッパを構成している。
係合部50Rは図6のBに示すように、係合部50Lと左右対称形であり、係止突部44Rに対するストッパを構成する。
次に、係止突部および係合部の配置関係について、図7および図8を参照する。図7は携帯電話機の開状態を示している。図8は係止突部と係合部の配置および大小関係を示している。
携帯電話機2を最大限に開くと、図7に示すように、筐体部4と筐体部6を開状態に維持することができる。筐体部4にある係止突部44L、44Rと、筐体部6にある係合部50L、50Rの凹部82はヒンジ部12の回転中心Oを中心に対称位置に配置されている。係止突部44L、44Rの外壁間距離をW1 、係合部50L、50Rの壁部84の間隔をW2 とすると、W1 <W2 に設定されている。W2 −W1 =ΔWとすると、ΔWの大きさは、筐体部4と筐体部6を折り畳んだ際に、係合突部44L、44Rのそれぞれが間隔W2 内に収まるような大きさに設定されている。
係止突部44L、44Rはこの実施の形態では、直方体のブロックであり、縦幅をt1 、横幅をt2 とする。また、係合部50L、50Rの壁部84の幅をt3 、係合部50L、50Rの凹部82の幅をt4 とする。そして、t1 <t3 およびt2 <t4 に設定されている。この結果、係合部50L、50Rの壁部84の幅t3 内に係止突部44L、44Rが設置される。さらに、各係止突部44L、44Rの上端面の面積S1 は、S1 =t1 ×t2 となる。即ち、各面積S1 が各係止突部44L、44Rの係合部50L、50Rの凹部82の表面に対する当接面積となる。そこで、係合部50L、50Rの凹部82に対して幅t3 、t4 の面積S2 を想定すると、面積S2 はS2 =t3 ×t4 であり、図8に示すように、S2 >S1 の関係にある。
次に、係止突部および係合部の高さ方向の係合関係について、図9を参照する。図9のAは図7の IXA−IXA 線断面を示している。図9のBは図7のIXB −IXB 断面を示している。
図9のAに示すように、可動側フロントケース58の支持枠70には、防護パネル72および係合部50L、50Rが固定され、係合部50L、50Rの凹部82は防護パネル72の表面部と同一面に設定されている。突部80は凹部82より高さt5 だけ突出している。
図9のBに示すように、固定側フロントケース16に固定された操作パネル26の上面には、係止突部44L、44Rが突出している。係止突部44L、44Rの固定側フロントケース16からの突出高さをt6 とすると、この高さt6 はt6 >t5 に設定されている。
操作パネル26の背面側に突出する支持突部56L、56Rは、固定側フロントケース16のパネル支持孔36L、36Rを係合させている。これにより、操作パネル26が筐体部4の固定側フロントケース16に支持されている。支持突部56L、56Rの突出長t7 は、固定側フロントケース16のパネル支持孔36L、36Rの周囲部の肉厚t8 より大であり、t7 >t8 の関係に設定されている。したがって、支持突部56L、56Rは、固定側フロントケース16に対して十分な係合強度を持って固定されている。
筐体部4の固定側フロントケース16には固定部86が形成され、この固定部86に固定ビス88をねじ込むことにより、固定側フロントケース16が固定側リアケース18に固定されている。
次に、折畳み状態にある筐体部4、6のスイング抑止機能、操作パネル26の支持機能について、図10および図11を参照する。図10は携帯電話機の折畳み状態(閉状態)を示している。図11は図10のXI−XI線断面を示している。
筐体部4と筐体部6とを閉じると、図10に示すように、筐体部4、6が折畳み状態になり、筐体部4の係止突部44L、44Rが筐体部6側に当たる。このような折畳み状態では図11に示すように、係止突部44L、44Rが筐体部6にある係合部50L、50Rの凹部82に入り込む。このため、係止突部44LのXL方向の移動が係合部50Lの突部80の壁部84により抑止される。同様に、係止突部44RのXR方向の移動が係合部50Rの突部80の壁部84により抑止される。
このような係合により筐体部4からXL方向またはXR方向の力が操作パネル26に作用する場合がある。これに対し、操作パネル26の支持突部56L、56Rと筐体部4との係合により、操作パネル26は強固に筐体部4に支持されているので、筐体部4から離脱することがない。
係止突部44L、44Rは筐体部4より突出しているので、折畳み状態にある筐体部4と筐体部6との間には係止突部44L、44Rの突出長に応じた隙間t9 が形成される。つまり、筐体部4、6間の対向面部間の衝突を操作パネル26にある係止突部44L、44Rによって回避でき、衝撃から筐体部4、6間の対向面部を防護できる。
この防護機能について、図12を参照する。図12のAは筐体部6側の長手方向の断面を示している。図12のBは係止突部44L、44Rとキートップ40の断面を示している。
図12のAに示すように、操作パネル26には、係止突部44L、44Rおよびキートップ40がUV硬化樹脂の樹脂成形によって形成されている。係止突部44L、44Rの操作パネル26からの突出高さt10(>t6 )はキートップ40の突出高さt11に対してt10>t11に設定されている。つまり、t10−t11=Δtによるクリアランスが設定され、この差Δtないし差Δtにより、キートップ40と筐体部6側の防護パネル72との間に隙間が形成される。この隙間により、両者の衝突を回避でき、防護パネル72を損傷から防護できる。
〔第1の実施の形態の効果〕
(1) 筐体部4、6を折畳み状態にすれば、筐体部4に設置されている操作パネル26のスイング抑止部である係止突部44L、44Rで筐体部6のスイングを抑止することができる。
(2) 筐体部4に設置される操作パネル26にスイング抑止部として係止突部44L、44Rを備えたので、筐体部6のスイング防止のための部品点数を削減でき、装置の組立工数を削減することができる。
(3) 操作パネル26に形成された支持突部56L、56Rにより操作パネル26が筐体部4に支持され、筐体部4と操作パネル26の固定強度を増強でき、携帯電話機2を堅牢化することができる。
(4) 筐体部4と操作パネル26との間を防水性の高い両面接着テープ38で接着すれば、筐体部4側の防水機能を高めることができる。しかも、スイング防止のための部品点数を削減できるとともに、ケースパッドスイング防止のための部品取付けのための構造が不要となり、これによりコストダウンや、防水対応を軽減できる。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態について、図13および図14を参照する。図13は携帯電話機の操作パネルの分解状態を示している。図14はキー押下シートの背面を示している。図13および図14に示す構成は一例であり、本発明は係る構成に限定されるものではない。図13および図14において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付してある。
図13に示す携帯電話機2は、第1の実施の形態と同様に、筐体部4、筐体部6およびヒンジ部12を備え、筐体部4および筐体部6を開閉することができ、筐体部6にはスイング機構部14を備え、可動フレーム部10がスイング可能である。
第1の実施の形態では単一のパネルで操作パネル26を構成したが、図13に示す操作パネル26は複合パネルで構成されている。この操作パネル26では、前面側にフロントシートとしてキーシート90を設置し、このキーシート90の背面側にキー押下シート92が備えられている。キー押下シート92はスイッチパネル20のスイッチ素子22を押下するための手段、いわゆる押し子シートである。
キーシート90は可撓性を有する樹脂たとえば、PET(Polyethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)で形成されたシートである。このキーシート90の表面には、マトリックス状に配置された既述のキートップ40、延長された拡張面部42に係止突部44L、44RがUV成形樹脂により形成されている。この実施の形態のキーシート90の背面はキー押下シート92の接着面に設定され、たとえば、フラット面である。
キー押下シート92はキーシート90と同様に可撓性を有する樹脂たとえば、PETのシートである。このキー押下シート92にはスイッチパネル20に設置されているスイッチ22の配置位置に対応する位置に打ち抜き加工により複数のキー押下片94が形成されている。つまり、各キー押下片94は一辺部をキー押下シート92に残し、U字形の抜き部96によって形成されており、キー押下シート92の厚み方向に進退可能であり、キーシート90との接着面に設定されている。このキー押下シート92の背面には、既述の支持突部56L、56RがUV成形樹脂により形成されている。
このキー押下シート92とキーシート90との接合には複数の両面接着片98および両面接着テープ100が用いられている。各両面接着片98は、キー押下片94の形状たとえば、矩形形状に対応し、キー押下片94の面積より僅かに狭く設定されている。各キー押下片94は、キートップ40の位置に位置決めされ、それぞれ両面接着片98によりキーシート90の背面に接合されて一体化される。また、キーシート90の延長された面部42の背面にはキー押下シート92の延長された面部42が両面接着テープ100で接合され、一体化される。
このキー押下シート92の背面には図14に示すように、各キー押下片94毎にキー押下突起52が形成されている。
次に、操作パネル26の平面構造について、図15および図16を参照する。図15は操作パネルの外面側を示している。図16は操作パネルの背面側を示している。
操作パネル26の背面側には、図15に破線で示すように、キー押下シート92が位置決めされ、既述の両面接着片98により接合されている。図16に示すように、キーシート90の背面にはキー押下シート92の周囲部に両面接着テープ38を接着するための既述の固定エリア26Eが設定されている。各キー押下片94はキートップ40の配置位置に対応し、キー押下突起52がスイッチ素子22の位置に対応している。
操作パネル26の延長された面部42のキーシート90側には係止突部44L、44Rが設けられ、その背面側には支持突部56L、56Rが設けられている。この実施の形態では、各支持突部56L、56Rは係止突部44L、44Rの間隔内に配置されている。各支持突部56L、56Rと係止突部44L、44Rとは操作パネル26の表裏面間の隣接位置に配置されている。
次に、操作パネル26の断面構造について、図17を参照する。図17のAは図15に示す操作パネルの XVIIA−XVIIA 線断面を示している。図17のBは図15に示す操作パネルのXVIIB −XVIIB 線断面を示している。図17のCは図15に示すXVIIC −XVIIC 線断面を示している。
キーシート90とキー押下シート92とは複数の両面接着片98および両面接着テープ100で接合されることにより、単一の操作パネル26が構成される。この操作パネル26の断面部分では、図17のAに示すように、キーシート90、両面接着テープ100およびキー押下シート92の三層構造が構成されている。そして、この操作パネル26の表面側には、係止突部44L、44R、その背面側に支持突部56L、56Rが形成されている。
操作パネル26のキーシート90には図17のBおよびCに示すように、キートップ40が形成され、このキートップ40の背面側にはキー押下シート92のキー押下突起52が配置されている。
したがって、このような操作パネル26では、キートップ40の押下によってキーシート90の変形によりキー押下シート92からキー押下片94のみが後方に突出する。そして、キートップ40により押下されたキー押下片94は、その押下を解除すればキーシート90が備える弾性による復元力で元の位置に復帰する。
次に、操作パネル26の固定構造について、図18、図19および図20を参照する。図18は携帯電話機の各筐体部の一部を示している。図19は図18に示す筐体部のXIX −XIX 線断面を示している。図20は図18に示す筐体部のXX−XX線断面を示している。図18ないし図20に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。図18ないし図20において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
操作パネル26は図18および図19に示すように、筐体部4の固定側フロントケース16の上面に位置決めされて固定される。操作パネル26の上面に設置された係止突部44L、44Rと筐体部6側にある係合部50L、50Rとの位置的関係および係合関係は第1の実施の形態と同様である。
操作パネル26は図20に示すように、背面側にキー押下シート92と合体され、筐体部4の固定側フロントケース16のパネル固定凹部30に配置され、両面接着テープ38によって固定側フロントケース16に固定されている。この場合、操作パネル26に張り付けられたキー押下シート92の背面側にある支持突部56L、56Rは、固定側フロントケース16のパネル支持孔36L、36R(図13)に挿入されている。
次に、筐体部4、6のスイング抑止機能および操作パネルの支持機能について、図21を参照する。図21は折畳み状態の携帯電話機の係止突部および支持突部の部分で切断した断面を示している。
筐体部4と筐体部6とを閉じると、図21に示すように、筐体部4、6が折畳み状態になり、筐体部4の係止突部44L、44Rが筐体部6側に当たる。このような折畳み状態では第1の実施の形態と同様に、係止突部44L、44Rが筐体部6にある係合部50L、50Rの凹部82に入り込む。このため、係止突部44LのXL方向の移動が係合部50Lの突部80の壁部84により抑止される。同様に、係止突部44RのXR方向の移動が係合部50Rの突部80の壁部84により抑止される。
そして、操作パネル26に張り付けられたキー押下シート92側にある支持突部56L、56Rは、筐体部4との係合により、操作パネル26は強固に筐体部4に支持されているので、筐体部4から離脱を防止できる。
この実施の形態においても、係止突部44L、44Rは筐体部4より突出しているので、折畳み状態にある筐体部4と筐体部6との間には係止突部44L、44Rの突出長に応じた隙間t9 が形成される。したがって、筐体部4、6間の対向面部間の衝突を操作パネル26にある係止突部44L、44Rによって回避でき、衝撃から筐体部4、6間の対向面部を防護できることは第1の実施の形態と同様である。
次に、操作パネル26の係止突部44L、44Rの形成について、図22を参照する。図22は係止突部44L、44Rの形成工程の一例を示している。
操作パネル26の係止突部44L、44Rの形成には図22のAに示すように、キートップ40および係止突部44L、44Rの成形型としてたとえば、金型104を使用する。この金型104には、キートップ40が型取りされた複数のキートップ用キャビティ106、係止突部44L、44Rが型取りされた係止突部用キャビティ108を形成する。これらキャビティ106、108には所定量のUV硬化樹脂110を充填する。
このUV硬化樹脂110の上に図22のBに示すように、操作パネル26のキーシート90を載せ、圧力Pを加えて金型104上にキーシート90を維持しながら、UV照射を行う。
これにより、キーシート90にはキートップ40および係止突部44L、44Rを形成することができる。すなわち、キートップ40および係止突部44L、44Rを表面に備える操作パネル26が得られる。
次に、操作パネル26の支持突部56L、56Rの形成について、図23を参照する。図23は支持突部56L、56Rの形成工程の一例を示している。
キー押下シート92の支持突部56L、56Rの形成には図23のAに示すように、支持突部56L、56Rの成形型としてたとえば、金型112を使用する。この金型112には、支持突部56L、56Rの型取りされた係止突部用キャビティ114を形成する。これらキャビティ114には所定量のUV硬化樹脂110を充填する。
このUV硬化樹脂110の上に図23のBに示すように、キー押下シート92を載せ、圧力Pを加えて金型112上にキー押下シート92を維持しながら、UV照射を行う。
これにより、キー押下シート92には支持突部56L、56Rを形成することができる。そして、このキー押下シート92をキーシート90の背面に接合することにより支持突部56L、56Rを背面に備えた操作パネル26が得られる。
〔第2の実施の形態の効果〕
(1) 第1の実施の形態の効果に加え、キートップ40とともに係止突部44L、44Rをキーシート90に樹脂成形して形成でき、スイング防止のための部品点数を削減でき、携帯電話機2の組み立て工数を削減できる。
(2) キー押下シート92を備えることにより、キー押下シート92に形成されている支持突部56L、56Rで操作パネル26を筐体部4に強固に支持させることができ、筐体構造の堅牢化を図ることができる。
(3) キーシート90に対する係止突部44L、44Rと、キー押下シート92に対する支持突部56L、56Rとを別個に形成でき、接合時に両者の位置精度を設定すればよく、設計変更に即応できる。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態について、図24および図25を参照する。図24および図25はフロントパネルに支持突部を備えた操作パネルを示している。
図24に示す操作パネル26では、キー押下シート92の長手方向の幅を第2の実施の形態のキー押下シート92(図13)より短く設定している。つまり、この実施の形態の操作パネル26の背面には、キー押下シート92より露出する拡張面部91が設定されている。この拡張面部91はキーシート90のみからなる部分である。この拡張面部91に既述の支持突部56L、56Rが吸音孔34を挟んで形成されている。
斯かる構成では、キーシート90の拡張面部91の裏面側に既述の支持突部56L、56Rを形成すればよく、キー押下シート92に支持突部56L、56Rを形成する必要がない。
可撓性を持つキー押下シート92に形成された支持突部56L、56Rをキーシート90の背面の所定位置に位置決めして張り付ける手数を省くことができる。
また、図25に示す操作パネル26では、キーシート90の既述の拡張面部91に支持突部56L、56Rを形成し、キー押下シート92を支持突部56L、56Rを覆う位置まで延長している。この場合、キー押下シート92および両面接着テープ100には、支持突部56L、56Rを貫通させる透孔116L、116Rが形成されている。斯かる構成では、支持突部56L、56Rを透孔116L、116Rに貫通させることによりキー押下シート92との接着を避け、キー押下シート92の背面側に突出させることができる。
〔他の実施の形態〕
(1) 係止突部および係合部
図26に示すように、筐体部4の操作パネル26の既述の支持突部44L、44Rをそれぞれ一対の支持突部441L、442L、支持突部441R、442Rで構成してもよい。支持突部441L、442L間、支持突部441R、442R間のそれぞれに幅t12の凹部ないし間隔部を形成する。これに対し、筐体部6側の係合部50L、50Rにたとえば、直方体状の突部120を備える。突部120の幅t13をt13<t12に設定すれば、支持突部441L、442L間、支持突部441R、442R間に係合部50L、50Rを係合させることができる。したがって、折畳み状態にある筐体部4、6間を係合させ、筐体部6のスイングを防止できる。
図27に示すように、筐体部6側の係合部50L、50Rに凹部122を形成してもよい。この凹部122の幅をt12とし、第1および第2の実施の形態(図1、図13)の支持突部44L、44Rのそれぞれの幅をt13(図26)に設定すれば、支持突部44L、44Rを係合部50L、50Rに係合させることができ、筐体部4に対して折畳み状態にある筐体部6のスイングを防止できる。
図28に示すように、筐体部4の操作パネル26に既述の係止突部44L、44Rとして環状の係止突部124を形成し、この係止突部124内の円凹部126に嵌合させる円柱状の突部128を筐体部6側の係合部50L、50Rに備えてもよい。
(2) 支持突部および窓部
操作パネル26に備える支持突部56L、56Rは、図29に示すように、直方体状の単一の支持突部56に形成してもよい。これに対し、この支持突部56が挿入される支持部として長孔状の支持孔36を筐体部4の固定側フロントケース16に備えれば、操作パネル26を筐体部4に強固に支持することができる。
(3) 第2の実施の形態では、キーシート90とキートップ40および係止突部44L、44Rを別部材としたが、キーシート90、キートップ40および係止突部44L、44Rを単一部材としてたとえば、UV樹脂で成形してもよい。
(4) 第2の実施の形態では、キーシート90にキートップ40および係止突部44L、44RをUV樹脂で成形したが、他の樹脂で形成してもよい。また、成形されたキートップ40および係止突部44L、44Rのシートをキーシート90に接着または加圧などの成形加工で密着固定してもよい。
(5) 第2の実施の形態では、キー押下シート92に支持突部56L、56RをUV樹脂で成形したが、キー押下シート92および支持突部56L、56RをUV樹脂で一体成形してもよい。また、UV樹脂以外の他の樹脂で形成された支持突部56L、56Rであってもよいし、成形された支持突部56L、56Rをキーシート90に接着または加圧などの成形加工で密着固定してもよい。
(6) 上記実施の形態では、スイング機構を備えてスイング可能な携帯電話機2を例示したが、これに限定されない。スイング機構を備えていない携帯電話機であって、ヒンジ部を備えて折畳み可能な筐体構造を持つ携帯電話機に上記実施の形態のスイング抑止構造を適用してもよく、同様のスイング防止を図ることができる。これにより、ヒンジ部のがたつき防止や、スイング方向の応力からヒンジ部を防護できる。
(7) 上記実施の形態では、携帯通信装置として携帯電話機2を例示したが、これに限定されない。携帯電話機2について例示した既述の構成は、パーソナルコンピュータ、通信機能を持つ電子ゲーム機、電子カメラ、携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)などに搭載してもよい。
〔比較例〕
携帯電話機の比較例について、図30および図31を参照する。図30は携帯電話機の筐体部を示している。図31は図30に示す携帯電話機のXXXI−XXXI線断面を示している。
図30に示す携帯電話機200では、筐体部204の固定側フロントケース216に係止パッド244L、244Rが形成されている。各係止パッド244L、244Rは、図31に示すように、固定側フロントケース216と別個に形成されて独立した部品であり、たとえば、エラストマの成形体である。このような係止パッド244L、244Rを固定側フロントケース216に固定するため、固定側フロントケース216には固定孔246L、246Rが形成され、これら固定孔246L、246Rに係止パッド244L、244Rが挿入されて固定されている。各係止パッド244L、244Rは、筐体部204、206が折り畳まれた際に、筐体部206にある係合パッド250L、250Rに係合する。
このような構造では、固定側フロントケース216に係止パッド244L、244Rを固定するための固定孔246L、246Rを形成しなければならない。各係止パッド244L、244Rを成形し、その寸法は固定孔246L、246Rとの固定精度を実現する必要がある。また、両者の固定には接着剤による処理も必要であり、固定孔246L、246Rとの隙間を埋め、防水性を高めるための対策も必要となる。しかも、部品点数が多く、ケースパッド部品を取り付ける工数が必要があり、防水対応も必要である。このような課題は、上記実施の形態で解決されている。
以上説明したように携帯通信装置の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。