以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すコントロールユニット1は、例えば油圧ショベル等の建設機械に搭載され、図示しない操作器、検出器等からの信号を入力し、油圧バルブや電動機等の作動を制御するものである。
コントロールユニット1は、油圧ショベルの作業時に車両に発生する振動や衝撃に耐える構造を持つ。以下、コントロールユニット1の構造を説明する。ここで、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が略水平前後方向、Y軸が略水平横方向、Z軸が上下方向(略垂直方向)に延びるものとする。
図1はコントロールユニット1を分解した斜視図である。コントロールユニット1は、筐体として設けられるケース50と、このケース50に収容される制御基板アッシ40と、ケース50に開口する第一、第二(上下)のケース開口部48、49を塞ぐ上下のカバー30と、このカバー30とケース50の間に介装される上下のパッキン20とを備える。
図2はケース50に制御基板アッシ40を組み付けた状態を示す斜視図である。ケース50は、箱形の枠状に接続される複数(4つ)のケース壁52〜55と、このケース壁52〜55の内側に設けられる基板取り付けビーム70とを有し、この基板取り付けビーム70に設けられる第一の基板取り付け座81に制御基板アッシ40が取り付けられる。
制御基板アッシ40は、基板(プリント基板)41と、この基板41に実装される電子部品42と、電源からの配線、入出力信号を導く配線が接続されるコネクタ43、44とを備える。
図3の(a)はケース50の背面図であり、(b)はケース50の平面図であり、(c)はケース50の正面図であり、図4の(d)はケース50の側面図であり、(e)はケース50の底面図である。
ケース50は、例えばアルミ材等の金属を用い、鋳造によって一体形成される。
4つのケース壁52〜55は、四角形の枠状に延びる。前後のケース壁52、53はY軸方向とZ軸方向に延びる。左右のケース壁54、55は、X軸方向とZ軸方向に延びる。
なお、ケース壁は、これに限らず、例えば三角形、あるいは他の形状に延びる構成としてもよい。
前のケース壁52には、第三、第四のケース開口部56、57が開口し、この第三、第四のケース開口部56、57にコネクタ43、44が組み付けられる。
四角形の箱形をしたケース50は、4つのケース壁52〜55の内側に第一、第二(上下)のケース開口部48、49が開口し、この第一、第二のケース開口部48、49のまわりに第一、第二(上下)の開口端面58、59を有する。
第一、第二の開口端面58、59は、四角形の環状に延びる。第一、第二の開口端面58、59には、複数のボス85が所定の間隔をもってZ軸方向に突出する。
ボス85は、第一、第二の開口端面58、59から円柱状に突出し、その頂面87に開口するネジ穴を有する。
上下のカバー30は、各ボス85の頂面87に当接し、各ボス85のネジ穴に螺合するネジ(図示せず)を介してケース壁52〜55に締結される。
パッキン20は、第一、第二の開口端面58、59と上下のカバー30の間に介装され、ケース50内を密封する。
ケース壁52〜55は、それぞれの断面形状がコの字形をした梁部材として形成され(図7、図8参照)、それぞれの上下端面が第一、第二の開口端面58、59として平面状に形成される。
ケース50は、隣り合うケース壁52〜55の端部どうしが互いに直交して接続する4つのケース角部69を有し、各ケース角部69にコーナブラケット60が形成される。このコーナブラケット60は、ボルト(図示せず)を介して車両に設けられる据え付け座(支持部)9に締結される。
図5の(a)はコーナブラケット60の側面図であり、(b)はコーナブラケット60の平面図であり、(c)はコーナブラケット60の正面図である。図6は図5の(c)のA−A線に沿う断面図である。
コーナブラケット60は、Z軸方向に延びる柱状に形成され、隣り合うケース壁52、54の端部どうしを接続するケース角部69として設けられる。ケース角部69は、ケース壁52〜55の端部とコーナブラケット60とを有する。コーナブラケット60は、ケース角部69の一部を構成する。
従来、電子機器を収容するケースを車体等に取り付ける構造として、ケースにケース壁から外側に突出する複数のブラケットを設け、このブラケットを据え付け座に複数本のボルトを介して締結するものがある。しかしながら、このような従来構造にあっては、ブラケットがケース壁から外側に突出するため、ケースが大型化するという問題点があった。
これに対して本発明のケース50は、コーナブラケット60がケース角部69に設けられるため、ブラケットが上記の従来構造のようにケース壁52〜55から外側に突出せず、ケース50のコンパクト化がはかれる。
コーナブラケット60は、2つのケース壁52、54とそれぞれ連続して延びる2つのブラケット側面60aを有する。2つのブラケット側面60aは、互いに直交し、それぞれX軸方向、Y軸方向に延びる。
図6に示すように、コーナブラケット60は、ボルトを挿通させるボルト穴61と、このボルト穴61が開口してボルトを着座させるボルト着座面63と、同じくボルト穴61が開口して据え付け座9に着座するケース座面62とを有し、ボルトを介して据え付け座9に締結される。ボルト穴61の両端61a、61bがボルト着座面63とケース座面62にそれぞれ開口している。
コーナブラケット60は、第一(上)の開口端面58に対して窪むブラケット凹部64を有する。ボルト着座面63は、ブラケット凹部64の底面として形成される。
ボルト着座面63にはボルトの頭部またはボルトに螺合するナットが着座する。このボルトの頭部またはナットがブラケット凹部64に収容され、第一の開口端面58から上方に突出しないようになっている。
第一の開口端面58は、ブラケット凹部64が形成されることによって部分的に削除される。これにより、第一の開口端面58は、その幅がケース角部69において部分的に小さくなったコーナ部58cを有する。
コーナブラケット60は、第二(下)の開口端面59に対してZ軸方向に突出するブラケット脚部65を有する。ケース座面62は、このブラケット脚部65の先端面(下端面)として形成される。これにより、ケース50がブラケット脚部65を介して車両の据え付け座9上に設置された状態にて、据え付け座9に対して第二の開口端面59が離れ、両者の間に下のカバー30を介装するスペースが設けられる。
2つのケース50が上下に重ねられるように設置される場合に、上側のケース50のコーナブラケット60のブラケット脚部65が下側のケース50のコーナブラケット60のブラケット凹部64に係合し、上側のケース50のブラケット脚部65のケース座面62が下側のケース50のブラケット凹部64のボルト着座面63に当接するようになっている。
第二の開口端面59は、ブラケット脚部65が形成されることによって部分的に削除される。これにより、第二の開口端面59は、その幅がケース角部69において部分的に小さくなったコーナ部59cを有する(図4の(e)参照)。
第一、第二の開口端面58、59は、略同一形状を有する。
コーナブラケット60は、ブラケット側面60aに対して凹状に窪むブラケット肉抜き部66を有し、ケース50の軽量化がはかられる。
コーナブラケット60は、ブラケット肉抜き部66がコーナブラケット60の中程に開口することによって、コーナブラケット60がボルト着座面63を有するボルト着座台部68と、ブラケット脚部65とに分けられる。
コーナブラケット60は、ブラケット肉抜き部66に面して延びるブラケット補強リブ67を有する。このブラケット補強リブ67は、X軸方向、Z軸方向に延びる帯板状に形成され、その両端(上下端)がボルト着座台部68とブラケット脚部65に連接している。
コーナブラケット60は、ブラケット補強リブ67によってボルト着座台部68が補強されるため、ボルト着座面63に着座するボルトの締め付け荷重によってボルト着座台部68が変形することが抑えられる。
図6に示す直線Lは、第一の基板取り付け座81に基板41が取り付けられる基板取り付け位置を示す。基板取り付け位置Lにおいて第一の基板取り付け座81に基板41が当接する。ボルト着座面63は、この基板取り付け位置Lに対してケース座面62から離れる方向(上方)に配置される。コーナブラケット60は、ケース角部69の一部として形成される構造により、その上端となるボルト着座面63を基板取り付け位置Lより高く設定することが可能となり、基板取り付け位置Lがコーナブラケット60の中程に配置される。
こうして基板取り付け位置Lがコーナブラケット60の中程に配置され、第一の基板取り付け座81が4本の柱状のコーナブラケット60に囲まれる構造により、第一の基板取り付け座81の支持剛性が有効に高められ、基板41の振動を抑えられる。これについて詳述すると、4本のコーナブラケット60は、ボルトを介して車両の据え付け座9に締結された状態において、据え付け座9に立設される柱状の構造部として高い剛性を有する。一方、第一の基板取り付け座81が4本の柱状のコーナブラケット60の中程に配置されることにより、第一の基板取り付け座81が4本の柱状のコーナブラケット60に対してZ軸方向についてオフセットされることがないため、コーナブラケット60に対する第一の基板取り付け座81の支持剛性を高められ、ケース50に入力される振動や衝撃に対して基板41が振動することを抑えられる。
これに対して、ボルト着座面63が基板取り付け位置Lに対してZ軸方向について下方(ケース座面62に近づく方向)に配置される構造では、第一の基板取り付け座81が柱状のコーナブラケット60に対してZ軸方向についてオフセットして設けられるため、第一の基板取り付け座81がコーナブラケット60から上方に離れて、第一の基板取り付け座81がコーナブラケット60に対して振れやすくなり、ケース50に入力される振動や衝撃に対して基板41が振動することを十分に抑えられない可能性がある。
基板取り付けビーム70は、ケース壁52〜55の内側に梁状に掛け渡される4本の縦ビーム71と3本の横ビーム72とを有する。なお、縦ビーム71と横ビーム72の本数は、これに限らず、ケース50に要求される剛性に応じて増減される。
3本の横ビーム72は、Y軸方向に延びる梁状に形成され、それぞれの両端が左右のケース壁54、55に結合される。後端に配置される1本の横ビーム72は、後のケース壁53に連接される。前端に配置される横ビーム72は、前のケース壁52に連接せず、前のケース壁52との間にコネクタ43、44の介装スペースが設けられる。
図7は、図3の(b)におけるB−B線に沿うケース50の断面図である。
ケース壁52〜55は、コの字形の断面形状を有し、Z軸方向に延びるフレーム部45と、このフレーム部45の両端部から直交して延びる上下のフランジ部46、47とを有する。
横ビーム72と縦ビーム71との交差部に基板ブラケット80が形成される。基板ブラケット80はZ軸方向に延びる柱状に形成される。基板ブラケット80の上下端に、第一、第二の基板取り付け座81、82がそれぞれ形成される。第一、第二の基板取り付け座81、82にネジ穴83、84がそれぞれ形成される。制御基板アッシ40は、ネジ穴83に螺合するボルト(図示せず)を介して第一の基板取り付け座81に締結される。なお、これに限らず、制御基板アッシ40を、ネジ穴84に螺合するボルトを介して第二の基板取り付け座82に締結してもよい。
左右端の基板ブラケット80は、左右のケース壁54、55のフレーム部45に連接して形成される。左右のケース壁54、55は、基板ブラケット80によってそれぞれの剛性が高められ、車両から伝達される振動や衝撃に対するケース50の変形を抑えられる。
横ビーム72の両端部と左右のケース壁54、55の間に補強リブ74、75が形成される。補強リブ74、75は、略三角形の断面形状を有し、その一辺が横ビーム72に連接し、他の一辺が左右端の基板ブラケット80に連接して形成される。左右のケース壁54、55と左右端の基板ブラケット80は、補強リブ74、75によってそれぞれの剛性が高められ、車両から伝達される振動や衝撃に対するケース50の変形を抑えられる。
図8は、図4の(e)におけるC−C線に沿うケース50の断面図である。
後端の横ビーム72と縦ビーム71の交差部及び基板ブラケット80は、後のケース壁53のフレーム部45に補強リブ73を介して連接して形成される。後端の横ビーム72と縦ビーム71の接続部は、後のケース壁53のフレーム部45に補強リブ76を介して連接して形成される。後のケース壁53は、補強リブ73、76によってその剛性が高められ、車両から伝達される振動や衝撃に対するケース50の変形を抑えられる。
縦ビーム71と基板ブラケット80との間に補強リブ77が形成される。補強リブ77は、略三角形の断面形状を有し、その一辺が縦ビーム71に連接し、他の一辺が基板ブラケット80に連接して形成される。縦ビーム71と基板ブラケット80は、補強リブ77によってそれぞれの剛性が高められ、車両から伝達される振動や衝撃に対するケース50の変形を抑えられる。
図7に示すように、左右端の縦ビーム71と左右のケース壁54、55のフレーム部45の間に補強リブ78が形成される。補強リブ78は、略三角形の断面形状を有し、その一辺が縦ビーム71に連接し、他の一辺がフレーム部45に連接して形成される。縦ビーム71と左右のケース壁54、55は、補強リブ78によってそれぞれの剛性が高められ、車両から伝達される振動や衝撃に対するケース50の変形を抑えられる。
図7、8に示すように、基板ブラケット80が縦ビーム71と横ビーム72から突出する柱状に形成され、複数の基板ブラケット80間の空間であって、縦ビーム71と横ビーム72の下側の空間に、第一の実装空間88aが画成される。すなわち第一の実装空間88aは、基板41と縦ビーム71、横ビーム72との間に画成される。この第一の実装空間88aに基板41に実装される、基板41と縦ビーム71、横ビーム72との間の高さより低い高さを有する電子部品42が臨む。これにより、背の低い電子部品42が基板取り付けビーム70に干渉することが避けられ、ケース50の空間が有効に利用され、ケース50のコンパクト化がはかれる。
図2に示すように、縦ビーム71と横ビーム72は格子状に延び、両者の間に第二の実装空間88bが画成される。この第二の実装空間88bに基板41に実装される、基板41と縦ビーム71、横ビーム72との間の高さ以上の高さを有する電子部品42が臨む。これにより、背の高い電子部品42が基板取り付けビーム70に干渉することが避けられ、ケース50の空間が有効に利用され、ケース50のコンパクト化がはかれる。
なお、これ限らず、電子部品42に基板取り付けビーム70を接触させて、電子部品42に発生する熱が基板取り付けビーム70を介して放熱される構成としてもよい。また、電子部品42と基板取り付けビーム70の間にヒートシンクや熱パイプ等の熱伝導部材を介装して、電子部品42に発生する熱が基板取り付けビーム70を介して放熱される構成としてもよい。
ケース50は、第一、第二(上下)のケース開口部48、49を有する構造のため、基板取り付けビーム70の上下に設けられる第一、第二の基板取り付け座81、82に制御基板アッシ40をそれぞれ取り付けることが可能となる。
また、制御基板アッシ40の基板41が基板取り付けビーム70に取り付けらた後に、コネクタ43、44を基板41に組み付け、基板41上の回路にコネクタ43、44の配線を接続する半田付け作業を行うことができる。
図1に示すように、上下のパッキン20は、ケース50の第一、第二の開口端面58、59と上下のカバー30の間にそれぞれ介装され、ケース50内を密封する。上下のパッキン20は、それぞれ同一形状とする。上下のカバー30は、それぞれ同一形状とする。
図9の(a)はパッキン20を示す平面図であり、(b)はパッキン20を示す側面図である。
図9の(a)に示すように、パッキン20は、四角形の環状に延び、X軸方向、Y軸方向について直線状に延びる4つのパッキンストレート部22と、隣り合うパッキンストレート部22の端部どうしを接続するように曲折して延びる4つのパッキンコーナ部23とを有する。
パッキン20は、帯板状のベース(パッキン基板)25と、このベース25からZ軸方向に突出するリップ21とを有し、これらが弾性材によって一体形成される。パッキン20は、第一、第二の開口端面58、59と上下のカバー30の間にて圧縮されることによって、ベース25とリップ21が弾性変形して平板状になる。
図10は図9のD−D線に沿う断面図であり、パッキン20が弾性変形していない自由状態を示す。
図10に示すように、ベース25はその上下に2つのベース面26を有し、一方のベース面26が第一、第二の開口端面58、59に対峙し、他方のベース面26がカバー30に対峙する。ベース面26はX軸方向とY軸方向について平面状に延びる。パッキン20は、第一、第二の開口端面58、59と上下のカバー30の間にて圧縮される状態にて、一方のベース面26がケース50の第一の開口端面58に当接し、他方のベース面26がカバー30に当接する。
パッキンストレート部22のベース25は、リップ21より内側に延びるベース内周部25aと、リップ21より外側に延びるベース外周部25bとを有する。ベース外周部25bはベース内周部25aよりリップ21に直交する方向(X軸方向またはY軸方向)に長い幅を持つ。
パッキン20は、複数のベース穴29が所定の間隔を持って並ぶように形成される。ベース穴29は、ベース外周部25bをZ軸方向について貫通するように形成される。パッキン20は、ベース穴29にケース50のボス85を挿入させてケース50に装着されることにより、ケース50の第一、第二の開口端面58、59に沿って延びるように位置決めされる。
ベース25の外形は、前述した第一、第二の開口端面58、59と略同一形状に形成される。パッキン20のパッキンコーナ部23は、第一、第二の開口端面58、59のコーナ部58c、59cと略同一形状に形成される。
パッキンコーナ部23において、リップ21より外側に延びるベース外周部25bがブラケット凹部64またはブラケット脚部65に対峙する部位によって部分的に削除される。これにより、ベース外周部25bの幅がパッキンコーナ部23においてパッキンストレート部22より小さくなる。
図9の(a)に示すように、パッキン20は、ベース25が平板状に形成される一方、リップ21の突出高さがベース穴29とパッキンコーナ部23の位置に対応して変化する。
穴近接リップ部21aは、リップ21のベース穴29に近接する部位であり、ベース穴29と並んで直線状に延び、かつベース穴29について対称的に延びるように形成される。
穴離間リップ部21bは、リップ21のベース穴29から離れる部位であり、隣り合うベース穴29の間に配置される。穴離間リップ部21bの両端(穴近接リップ部21aとの境界部)は、それぞれ隣り合うベース穴29に対して略等しい間隔をもつ。
図10に示すように、パッキン20は、穴離間リップ部21bを含む部位の断面形状が略円形に形成され、穴近接リップ部21aを含む部位の断面形状が偏平な略長円形に形成される。
パッキン20は、ベース面26に対する穴離間リップ部21bの突出高さがベース面26に対する穴近接リップ部21aの突出高さに比べて高くなるように形成される。
コーナリップ部21cは、リップ21のパッキンコーナ部23に沿って延びる部位であり、互いに略直交する穴近接リップ部21aの端部どうしを結ぶように形成される。
パッキン20は、ベース25のベース面26に対するコーナリップ部21cの突出高さがベース面26に対する穴離間リップ部21bの突出高さと同等になるように形成される。
図10に示すように、Z軸方向について、第一の開口端面58に対するボス85の突出高さをEとし、ベース25の厚さをFとし、穴近接リップ部21aを含む部位の厚さをGとし、穴離間リップ部21bを含む部位の厚さをHとすると、各部の寸法は次式の関係を満たすように設定される。
E≦F<G<H …(1)
図1に示すように、コントロールユニット1の製造時に、ケース50に制御基板アッシ40が組み付けられた後、ケース50の第一、第二の開口端面58、59にパッキン20を介して上下のカバー30を組み付け、上下のカバー30が各ボス85に螺合するネジを介してケース壁52〜55に締結される。これにより、カバー30はボス85の頂面87に着座し、カバー30と第一、第二の開口端面58、59との間に高さEの間隙が画成される。パッキン20は、この間隙に介装され、第一、第二の開口端面58、59とカバー30の間で圧縮される。
板金製のカバー30が第一、第二の開口端面58、59に複数のボルトを介して締結される構造のため、隣り合うボルト間でカバー30の撓みが生じ、その撓み量はボルトから離れるのにしたがって大きくなる。つまり、この撓みによりパッキン20の面圧がボルトに近い部位で高くなり、ボルトから離れる部位で低下する原因になる。このため、リップ部の突出高さが一定に形成される従来のパッキンでは、ボルトの近傍でカバーとケースの開口端面の間からパッキンの一部がはみ出したり、隣り合うボルト間でパッキンの面圧が不足する可能性があった。
これに対処して、パッキン20は、各部の厚さが前記(1)式の関係を満たすように設定されることにより、カバー30の撓みが大きい隣り合うボルト間で穴離間リップ部21bの突出高さが穴近接リップ部21aより高く形成されるため、カバー30に対する面圧が十分に得られ、パッキン20による密封性(防水性)を確保できる。
穴近接リップ部21aは、その突出高さが穴離間リップ部21bより低く形成されるが、ボルトの締め付け荷重によるカバー30の撓みが小さい部位に当接するため、カバー30に対する面圧が十分に得られるとともに、カバー30と第一、第二の開口端面58、59の間からパッキン20におけるベース穴29のまわりの部位がみ出すことが防止され、パッキン20による密封性を確保できる。
隣り合うボルト間でカバー30の撓みが大きくなることに対処して、穴離間リップ部21bは、その突出高さが穴近接リップ部21aより高く形成されるため、カバー30に対する面圧が十分に得られ、パッキン20による密封性を確保できる。
カバー30の角部は、隣り合うボルト間に位置してパッキン20に対する押し付け力が弱いため、リップ部の突出高さが一定に形成される従来のパッキンでは、カバー30の角部でパッキンの面圧が不足する可能性があった。
カバー30のパッキンコーナ部23に対峙する部位に対する押し付け力が弱いことに対処して、パッキンコーナ部23に位置するコーナリップ部21cは、その突出高さが穴近接リップ部21aより高く形成されるため、カバー30に対する面圧が十分に得られ、パッキン20による密封性を確保できる。
パッキンコーナ部23は、ブラケット凹部64に対峙する部位が削除されているが、突出高さが高いコーナリップ部21cを有することによって、カバー30に対する面圧が十分に得られ、パッキン20による密封性を確保できる。
こうして、パッキン20は、第一、第二の開口端面58、59、カバー30の当接部に対する面圧が上下のリップ21によって全周に渡って十分に確保され、その密封性を高められる。
従来のパッキンは、その密封性を確保するために、複数本のリップが並列に延びる構成とするものがあった。これに対して、本実施形態のパッキン20は、複数本のリップが並列に延びる構成とする必要がなく、第一、第二の開口端面58、59とカバー30が大型化することを避けられる。
なお、パッキン20は、要求される密封性に応じて、複数本のリップ21が並列に延びる構成としてもよい。この場合にも、リップ21にZ軸方向の突出高さが異なる穴近接リップ部21a、穴離間リップ部21b、コーナリップ部21cを設けることにより、密封性を高められる。
また、パッキン20は、これに限らず、Z軸方向に突出する上下のリップ21のうち一方のみを有する構成としてもよい。この場合にも、リップ21にZ軸方向の突出高さが異なる穴近接リップ部21a、穴離間リップ部21b、コーナリップ部21cを設けることにより、密封性を高められる。
以下、本実施形態の要旨と作用、効果を説明する。
本実施形態では、基板41を収容するケース50であって、箱形の枠状に接続される複数のケース壁52〜55と、このケース壁52〜55の内側に梁状に掛け渡される基板取り付けビーム70と、この基板取り付けビーム70に設けられ基板41が取り付けられる基板取り付け座81とを備える構成とする。
上記構成に基づき、基板取り付けビーム70がケース壁52〜55に連接して掛け渡されることによって、ケース50に外力が加わっても基板取り付けビーム70がケース壁52〜55の変形を抑えるため、ケース壁52〜55及び基板取り付け座81の剛性が共に高められる。これにより、車両からケース50に伝達される振動や衝撃に対する基板41の振動を抑えられ、基板41の耐久性を高められる。
本実施形態では、基板取り付けビーム70は互いに交差して延びる縦ビーム71と横ビーム72を備え、この縦ビーム71と横ビーム72の交差部に基板取り付け座81が形成される構成とした。
上記構成に基づき、ケース50は、縦ビーム71と横ビーム72によって基板取り付け座81の剛性が有効に高められ、車両からケース50に伝達される振動や衝撃に対する基板41の変形を抑えられる。
本実施形態では、基板取り付けビーム70は、互いに交差して延びる縦ビーム71と横ビーム72と、この縦ビーム71と横ビーム72の交差部から基板41に向けて突出する基板ブラケット80と、を備え、この基板ブラケット80の先端に基板取り付け座81が形成され、基板41と縦ビーム71または横ビーム72との間に第一の実装空間88aが画成され、この第一の実装空間88aに基板41に実装される電子部品42が臨む構成とした。
上記構成に基づき、背の低い電子部品42が基板取り付けビーム70に干渉することなく第一の実装空間88aに収容されるため、ケース50の空間が有効に利用され、ケース50がX、Y軸方向に大型化することを抑えられる。
本実施形態では、基板取り付けビーム70は互いに交差して延びる縦ビーム71と横ビーム72を備え、この縦ビーム71と横ビーム72との間に第二の実装空間88bが画成され、この第二の実装空間88bに基板41に実装される、基板41と縦ビーム71、横ビーム72との間の高さ以上の高さを有する電子部品42が臨む構成とした。
上記構成に基づき、背の高い電子部品42が基板取り付けビーム70に干渉することなく第二の実装空間88bに収容され、ケース50の空間が有効に利用され、ケース50がZ軸方向に大型化することを抑えられる。
本実施形態では、カバー30によって閉塞される第一、第二のケース開口部48、49を有し、この第一、第二のケース開口部48、49が基板取り付けビーム70を挟んで両側に開口される構成とした。
上記構成に基づき、第一、第二のケース開口部48、49から基板41を基板取り付けビーム70に取り付けられる。これにより、基板取り付けビーム70の上下に設けられる第一、第二の基板取り付け座81、82に基板41をそれぞれ取り付けることが可能となる。基板取り付けビーム70の上下に2枚の基板41が設けられることにより、上下の基板41に実装される電子部品42をケース50内の限られたスペースに納められ、ケース50のコンパクト化がはかれる。
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。