JP2012189916A - 中間転写ベルト及び該中間転写ベルトを用いた画像形成装置 - Google Patents

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さやか 加藤
Atsushi Aoto
淳 青戸
Hideki Kubo
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Abstract

【課題】前記球形樹脂粒子が深さ方向に50%以上埋没し、かつ、深さ方向に単一層の状態で球形樹脂粒子を含有する弾性層を有する中間転写ベルトを改良するものであり、トナー離型性、クリーニング性に優れ、かつ、柔軟性があり転写媒体によらず高い転写率を実現でき、さらに、長期にわたり高画質な画像を形成できる高耐久な中間転写ベルトを得ること。
【解決手段】少なくとも基層と弾性層とを有する中間転写ベルトであって、該弾性層はその表面に深さ方向に一部が埋没した球形樹脂粒子を有するものであり、該球形樹脂粒子の露出部分は、その直径の平均値が1μm以上8μm以下、直径の最小値と最大値の差が4μm以下、弾性層表面に対する占有面積率aが50%<a<90%を満たし、かつ、隣接する球形樹脂粒子との間隔の最大値が5μm以下であることを特徴とする中間転写ベルト。
【選択図】図1

Description

本発明は、コピー・プリンター等の画像形成装置に装備されるシームレスベルトの製造方法及びそれを用いた画像形成装置、特にフルカラー画像形成に好適な中間転写ベルト及びそれを用いた画像形成装置に関する。
従来から、電子写真装置においては様々な用途でシームレスベルトが部材として用いられている。特に近年のフルカラー電子写真装置においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像画像を一旦中間転写媒体上に色重ねし、その後一括して紙などの転写媒体に転写する中間転写ベルト方式が用いられている。
このような中間転写ベルト方式は、1つの感光体に対して4色の現像器を用いるシステムで用いられていたがプリント速度が遅いという欠点があった。そのため、高速プリントとしては、感光体を4色分並べ、各色を連続して紙に転写する4連タンデム方式が用いられている。しかし、この方式では環境による紙の変動などもあり、各色画像を重ね合わせる位置精度を高めることが非常に困難であり、色ずれ画像を引き起こしていた。そこで近年では、4連タンデム方式に中間転写方式を採用することが主流になってきている。
このような情勢の中で中間転写ベルトは、従来よりも要求特性(高速転写、位置精度)が厳しいものとなっており、これらの要求に対応する特性を満足することが必要となってきている。
また、中間転写ベルトは像担持体からトナーを受け取る1次転写と、紙へトナーを受け渡す2次転写の機能を持ち、共に転写率の向上が求められる。
特に、2次転写の転写率が低いと紙に転写しきれなかったトナーが中間転写ベルト上に残ってしまい、画像の不具合やフィルミングの原因となりやすい。
また、普通紙だけでなく凹凸紙などへのプリント需要が増え、凹凸紙に対応した中間転写ベルトの開発が要求されている。
一般的に凹凸紙へのプリントは普通紙に比べて2次転写率が下がる傾向にあり、その原因は中間転写ベルトが紙の凹部まで密着しないため、トナーを紙に転写しきれず中間転写ベルト上に残ってしまうことがあり、中抜け画像の発生や、トナーが固着するフィルミングができてしまい画像の劣化することがある。
単層ベルトでは屈曲強度や引き裂き強度が高いことが重要であるため、ポリイミドやポリフェニレンサルファイドが用いられており、これらの材料は光沢度・硬度が高いため、凹凸紙に対応するのは困難である。
そのため、凹凸紙への追従性がよい弾性層を持つ、多層構成の中間転写ベルトの開発が盛んに行われており、その構造は、単層ベルトと同様の強度の高い材料で構成される基層上に、凹凸に追従可能な弾性層が積層されたものである。
前記弾性層は一般的にゴム系材料が多く用いられており、ゴム系材料は、凹凸への追従性が良い一方で、表面のタック性が強くトナーの離型性が悪いため、二次転写率が下がってしまう問題があった。
この問題を解決するため、上記弾性層上に保護層を設ける方法があるが、硬度が高くタック性の低い転写性能の高い材料をコートした場合、前記弾性層の柔軟性に追従できず、割れやはがれが発生し好ましくない。
そこで、弾性層表面に粒子を付着させることにより転写性を向上させる提案がなされている。
特許文献1の特開平9−230717号公報には、弾性層表面に3μm以下の直径のビーズを付着させ、弾性層を被覆することが提案されているが、ビーズの脱離が発生してしまい耐久性が十分でない。
特許文献2の特開2007−328165公報には、ベルト表面の熱可塑性樹脂上にシリカ粒子を隙間なく敷き詰めて熱プレスし前記熱可塑性樹脂を溶融させた後、冷却することでシリカ粒子を埋め込むことが提案されており、また、特許文献3の特開2009−75154号公報には、イソシアネート化合物とシリカ粒子を含む塗工液をスプレー塗工しし硬化させた接着層を設けることが開示されている。
しかしながら、シリカ粒子は凝集力が強いため、これらの方法ではシリカ粒子の単一層を形成することが難しく、重なってしまうなど、層厚方向及び面方向に不均一性が生じ、やはり昨今の電子写真装置の要求される高いレベルの画質を満足しうるものが得られない。
さらに、表面にシリカのような無機粒子を有する中間転写ベルトは、有機感光体との接触により、有機感光体の表面を摩耗させやすく、傷つけたりして、耐久性を低下させるという不具合を生じさせることがある。
上記問題を解決するため、本発明者らは、球形樹脂粒子が深さ方向に50%以上埋没し、かつ深さ方向に単一層の状態で球形樹脂粒子を含有する弾性層を形成し、球形樹脂粒子の脱落を解消した中間転写ベルトを提案している(特許文献4の特願2010−009871号明細書)。
しかし、この中間転写ベルトは、弾性層表面に対する球形樹脂粒子の被覆率が低くなりやすく、フィルミングが発生することがあった。
本発明は、前記球形樹脂粒子が深さ方向に50%以上埋没し、かつ、深さ方向に単一層の状態で球形樹脂粒子を含有する弾性層を有する中間転写ベルトを改良するものであり、トナー離型性、クリーニング性に優れ、かつ、柔軟性があり転写媒体によらず高い転写率を実現でき、さらに、長期にわたり高画質な画像を形成できる高耐久な中間転写ベルトを得ることを目的とする。
本発明は、下記(1)〜(4)によって解決される。
(1)少なくとも基層と弾性層とを有する中間転写ベルトであって、該弾性層はその表面に深さ方向に一部が埋没した球形樹脂粒子を有するものであり、該球形樹脂粒子の露出部分は、その直径の平均値が1μm以上8μm以下、直径の最小値と最大値の差が4μm以下、弾性層表面に対する占有面積率aが50%<a<90%を満たし、かつ、隣接する球形樹脂粒子との間隔の最大値が5μm以下であることを特徴とする中間転写ベルト。
(2)前記球形樹脂微粒子は、弾性層よりも硬度が高いものであることを特徴とする前記(1)記載の中間転写ベルト。
(3)前記球形樹脂粒子は、シリコーン樹脂からなるものであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の中間転写ベルト。
(4)前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の中間転写ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、転写媒体の種類・表面性状によらず、高い転写性能を実現でき、かつ、高いクリーニング性を有し、長期に渡り高画質な画像を形成できる高耐久な中間転写ベルトを得ることができる。
本発明のベルトの表面を真上から観察した拡大模式図である。 本発明のベルトの断面を観察した拡大模式図である。 従来のベルトの断面を観察した拡大模式図である。 従来のベルトの断面を観察した拡大模式図である。 本発明のベルトの構成の一例を示す図である。 本発明の中間転写ベルトを製造する装置の一例を示す図である。 本発明の画像形成装置の一構成例を示す要部模式図である。
本発明の中間転写ベルトについて詳細に説明する。
本発明の中間転写ベルトは、弾性層の層厚方向及び面方向に球形樹脂粒子を均一に配列させたものであって、少なくとも基層と弾性層とを有し、該弾性層はその表面に深さ方向に一部が埋没した球形樹脂粒子を有するものであり、該球形樹脂粒子の露出部分は、その直径の平均値が1μm以上8μm以下、直径の最小値と最大値の差が4μm以下、弾性層表面に対する占有面積率aが50%<a<90%を満たし、かつ、隣接する球形樹脂粒子との間隔の最大値が5μm以下であるものである。
<中間転写ベルトの表面状態>
本発明における転写ベルトの表面状態について説明する。
図1に、転写ベルトの表面を真上から観察した拡大模式図を示す。球形樹脂粒子が独立して整然と配列し、球形樹脂粒子同士の重なり合いは殆どなく、中間転写ベルト表面の50%〜90%を球形樹脂粒子で占有されており、該球形樹脂粒子の間隔の最大値が5μm以下である。
ここで、球形樹脂粒子間隔の最大値が5μm以下とは、隣接する球形樹脂粒子A,Bそれぞれの露出部分の半径をa,bとしたとき、隣接する球形樹脂粒子A,Bそれぞれの露出部分の中心を結ぶ直線の長さが、a+b+5μmより大きいところが存在しないことをいう。
占有率が50%以下では、タック性が高くフィルミングが発生しやすくなり、占有率が90%以上では球形樹脂粒子の重なりが生じ、層厚方向の不均一が生じる。
また、隣接する球形樹脂粒子の間隔の最大値が5μmを越えると、球形樹脂粒子の間にトナー粒子が入り込んで弾性層と接触し易くなり、クリーニング性が低下しフィルミングが発生しやすくなる。
球形樹脂粒子の露出部分の直径の平均値は、1μm以上8μm以下である。
球形樹脂粒子の露出部分の直径の平均値が1μm未満であると、球形樹脂粒子の単一層を形成することが困難であり、8μmを超えると中間転写ベルト表面の凹凸が大きすぎ、クリーニング性、転写率が低下する。
露出部分の直径は、樹脂粒子の粒径及び弾性層中への埋没の程度により調節可能であるが、粒径の大きい樹脂粒子を弾性層中に深く埋没させる方法では、弾性層内で樹脂粒子同士が接触し、前記占有面積率aが50%<a<90%、及び、隣接する球形樹脂粒子との最大間隔が5μm以下を具備することは困難である。
図2に転写ベルトの断面拡大模式図を示す。
球形樹脂粒子は脱離防止のため、球形樹脂粒子の直径に対する球形樹脂粒子が弾性層中に埋没している深さ(以下、埋没率ということがある)は、50%を超えることが必要であり、前記占有面積率及び最大間隔と脱離防止とのバランスから、埋没率は50%を超え60%以下となる。したがって、露出部分の直径の平均値は、球形樹脂粒子の平均粒径によって調節される。
ここで、埋没率は、すべての粒子が前記範囲を具備するという意味ではなく、ある視野で見たときの平均埋没率で表わしたときの数値が50%を超え60%以下であればよい。 しかし、埋没率50%のときは、電子顕微鏡による断面観測において、弾性層中へ完全埋没している粒子が殆ど観測されず(弾性層中に完全に埋没している粒子の個数%は粒子全体のうち3%以下)、弾性層に対して、厚み方向に単一の状態で含有される。
図3に、従来の中間転写ベルトの厚み方向の断面図を示す。厚み方向に複数の粒子を含むような構成では、粒子の含有される分布がむらになり、粒子の有する電気抵抗値の影響により、転写ベルト表面の電気特性が不均一となり画像乱れを生じる。具体的には、粒子が多く存在する部分での電気抵抗値が高くなり、ここに残留電荷による表面電位が発生し、ベルト表面において表面電位のばらつきが発生し、隣接した部分での画像濃度に差が生じる等による画像乱れが顕在化することがある。
また、図4に示されるように、弾性層表面に露出している粒子に、弾性層中に完全埋没している粒子が混在する状態であると、粒子の単一形成が困難になる。
<中間転写ベルトの層構成>
本発明における転写ベルトの層構成について説明する。
図5に本発明の中間転写ベルトの層構成を示す。中間転写ベルトは基層(11)上に、表面に球形樹脂粒子(13)が埋没した弾性層(12)を積層してなる。
まず、基層(11)について説明する。
この構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。
このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。
また、本発明のシームレスベルトの製造方法における少なくとも樹脂成分を含む塗工液には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
前記中間転写ベルトとして好適に装備されるシームレスベルトに含有される電気抵抗調整材は、好ましくは表面抵抗で1×108〜1×1013Ω/□、体積抵抗で1×106〜1×1012Ω・cmとなる量とされるが、機械強度の面から成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。
つまり、中間転写ベルトとする場合には、前記樹脂成分(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体)と電気抵抗調整材の配合を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)と機械強度のバランスが取れたシームレスベルトを製造して用いるのが好ましい。
本発明における電気抵抗調整材の含有量としては、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10〜25wt%、好ましくは15〜20wt%である。また、金属酸化物の場合の含有量としては、塗工液中の全固形分の1〜50wt%、好ましくは10〜30wt%である。含有量が前記それぞれの電気抵抗調整材の範囲よりも少ないと効果が十分に得られず、また含有量が前記それぞれの範囲よりも多いと前記中間転写ベルト(シームレスベルト)の機械強度が低下し、実使用上好ましくない。
前記シームレスベルトの材料として好適に用いられるポリイミド樹脂(以下、「ポリイミド」と略称することがある。)又はポリアミドイミド樹脂(以下、「ポリアミドイミド」と略称することがある。)について以下具体的に説明する。
<ポリイミド>
本発明に用いられるポリイミドとしては、限定されるものではないが芳香族系のポリイミドが好ましい例として挙げられる。芳香族系のポリイミドは、一般的に知られている芳香族多価カルボン酸無水物(又はその誘導体)と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られる。
すなわち、ポリイミド、特に、芳香族系のポリイミドは、その剛直な主鎖構造により溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を有する。そのため、先ず、芳香族多価カルボン酸無水物と芳香族ジアミンとの反応により、有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸、又はポリアミド酸)を合成し、このポリアミック酸の段階で様々な方法で成形加工が行なわれ、その後ポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)しポリイミドとされる。芳香族系のポリイミドを得る反応を例にその概略を下記式(1)に示す。
Figure 2012189916
[式(1)中、Ar1は少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、Ar2は少なくとも1つの炭素6員環を含む2価の芳香族残基を示す。]
上記少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族カルボン酸無水物(芳香族多価カルボン酸無水物)の具体例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して用いてもよい。
また、上記式(1)で表される芳香族多価カルボン酸無水物以外の酸無水物、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸無水物も使用可能であり、これらは単独又は前記芳香族多価カルボン酸無水物と併用してもよい。
なお、前記式(1)においては、芳香族多価カルボン酸無水物としたが、その誘導体(例えば、エステル誘導体)であってもよい。
次に、上記芳香族多価カルボン酸無水物と反応させる少なくとも1つの炭素6員環を含む2価の芳香族ジアミン(芳香族ジアミン)の具体例としては、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用してもよい。本発明における物性を効果的に発現するために、少なくとも成分の1つとして、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いることが特に好ましい。
なお、上記式(1)で表される芳香族ジアミン以外の脂肪族系ジアミンも使用可能であり、芳香族ジアミンと併用してもよい。
芳香族系のポリイミドを得る場合には、上記芳香族多価カルボン酸無水物成分と芳香族ジアミン成分とを略等モル用いて有機極性溶媒中で重合反応させることにより、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得、その後ポリアミック酸を脱水反応させて環化し、イミド化する。下記にポリアミック酸の製造方法について具体的に説明する。
ここで、ポリアミック酸を得る際の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系、又はヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合溶媒として用いるのが望ましい。
溶媒は、前記ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
ポリイミド前駆体を製造する場合の例として、先ず、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、1種又は複数種のジアミンを上記の有機溶媒に溶解するか、又はスラリー状に分散させる。この溶液に前記した少なくとも1種の芳香族多価カルボン酸無水物(又はその誘導体)を添加(固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい)すると、発熱を伴って開環重付加反応が起こり、急速に溶液の粘度増大が見られ、高分子量のポリアミック酸溶液が得られる。この際の反応温度は、通常−20℃〜100℃、望ましくは60℃以下に制御することが好ましい。反応時間は、30分〜12時間程度である。
上記は一例であり、反応における上記添加手順とは逆に、先ず、芳香族多価カルボン酸無水物(芳香族テトラカルボン酸二無水物)又はその誘導体を有機溶媒に溶解又は分散させておき、この溶液中に前記芳香族ジアミン(略、「ジアミン」)を添加させてもよい。ジアミンの添加は、固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい。すなわち、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分との混合順序は限定されない。さらには、芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを同時に有機極性溶媒中に添加して反応させてもよい。
上記のようにして、芳香族多価カルボン酸無水物又はその誘導体と、芳香族ジアミン成分とをおよそ等モル、有機極性溶媒中で重合反応することにより、ポリアミック酸が有機極性溶媒中に均一に溶解した状態でポリイミド前駆体溶液が得られる。
本発明におけるポリイミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液:「ポリイミド樹脂前駆体を含む塗工液」)は、上記のようにして合成したものを使用することが可能であるが、簡便には有機溶媒にポリアミック酸組成物が溶解された状態の、いわゆるポリイミドワニスとして上市されているものを入手して使用することもできる。
このような例としては、トレニース(東レ社製)、U−ワニス(宇部興産社製)、リカコート(新日本理化社製)、オプトマー(JSR社製)、SE812(日産化学社製)、CRC8000(住友ベークライト社製)等が代表的なものとして挙げられる。
合成又は入手したポリアミック酸溶液に、必要に応じて充填剤(例えば、電気抵抗調整材、あるいは分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加剤)を混合・分散して塗工液が調製される。塗工液を後述のように支持体(成形用の型)に塗布した後、加熱等の処理することにより、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸からポリイミドへの転化(イミド化)が行なわれる。
ポリアミック酸は、前述のように加熱する方法(1)、又は化学的方法(2)によってイミド化することができる。
加熱する方法(1)は、ポリアミック酸を、例えば、200〜350℃に加熱処理することによってポリイミドに転化する方法であり、ポリイミド(ポリイミド樹脂)を得る簡便かつ実用的な方法である。
一方、化学的方法(2)は、ポリアミック酸を脱水環化試薬(例えば、カルボン酸無水物と第3アミンの混合物など)により反応した後、加熱処理して完全にイミド化する方法であり、(1)の加熱する方法に比べると煩雑でコストのかかる方法であるため、通常(1)の方法が多く用いられている。
なお、ポリイミドの本来的な性能を発揮させるためには、相当するポリイミドのガラス転移温度以上に加熱して、イミド化を完結させることが好ましい。
イミド化の進行状況(イミド化の程度)は、通常行なわれているイミド化率の測定手法により評価することができる。
このようなイミド化率の測定方法としては、例えば、9〜11ppm付近のアミド基に帰属される1Hと、6〜9ppm付近の芳香環に帰属される1Hとの積分比から算出する核磁気共鳴分光法(NMR法)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、カルボン酸中和滴定法など種々の方法が用いられているが、中でもフーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)は最も一般的な方法である。
フーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)では、イミド化率を、例えば、下記式(a)のように定義する。
すなわち、焼成段階(イミド化処理段階)でのイミド基のモル数を(A)とし、100%イミド化された場合(理論的)のイミド基のモル数を(B)とすると、次により表される。
イミド化率(%)=[(A)/(B)]×100 ・・・ (a)
この定義におけるイミド基のモル数は、FT−IR法により測定されるイミド基の特性吸収の吸光度比から求めることができる。例えば、代表的な特性吸収として、以下の吸光度比を用いてイミド化率を評価することができる。
(1)イミドの特性吸収の1つである725cm-1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,015cm−1との吸光度比
(2)イミドの特性吸収の1つである1,380cm−1(イミド環C−N基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
(3)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
(4)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1とアミド基の特性吸収1,670cm−1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比
また、3000〜3300cm−1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すればさらにイミド化完結の信頼性は高まる。
<ポリアミドイミド>
次に、ポリアミドイミドについて説明する。
ポリアミドイミドは、分子骨格中に剛直なイミド基と柔軟性を付与するアミド基を有する樹脂であり、本発明に用いられるポリアミドイミドとしては一般的に知られている構造のものを使用することができ、限定されるものではないが芳香族系のポリアミドイミドが特に好ましい例として挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂を合成する方法としては、公知の下記酸クロライド法(a)やイソシアネート法(b)が適用できる。
(a)酸クロライド法:酸無水物基とハロゲン化カルボニル基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体[以下、「酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体ハライド」と称することがある。](最も代表的には当該誘導体の酸クロライド化合物が挙げられる。)とジアミンとを溶媒中で反応させ、ポリアミド−アミック酸(ポリアミドイミド樹脂前駆体)を経由してポリアミドイミドを製造する。例えば、特公昭42−15637号公報に記載の方法が知られている。
(b)イソシアネート法:酸無水物基とカルボキシラト基を有する3価のカルボン酸化合物[以下、「酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体」と呼称することがある。]とイソシアネート化合物(特に、芳香族イソシアネート化合物が好ましい。)とを溶媒中で反応させてポリアミドイミドを製造する。例えば、特公昭44−19274号公報に記載の方法が知られている。
本発明においては酸クロライド法(a)及びイソシアネート法(b)のいずれも使用することができる。好ましく用いられる芳香族系のポリアミドイミドを例として各製造方法について以下に説明する。
(a)酸クロライド法:
酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体ハライドとしては、例えば、下記構造式(2)及び構造式(3)に示す化合物を使用することができる。
Figure 2012189916
[式(2)中、Xはハロゲン原子を示す。]
Figure 2012189916
[式(3)中、Xはハロゲン原子を示し、Yは単結合、−CH2−、−CO−、−SO2−又は−O−を示す。]
前記構造式(2)又は構造式(3)において、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられるが、塩素原子が好ましい。最も代表的には、無水トリメリット酸クロライドが挙げられる。
前記構造式(2)又は構造式(3)に示す酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体ハライドは芳香族系のポリアミドイミドを得るための原料の一例であって、これらに限られるものではない。
上記構造式(2)又は構造式(3)に示す芳香族系の3価のカルボン酸化合物以外に、脂肪族系の酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体ハライドも使用可能であり、芳香族系の誘導体と併用することもできる。
一方、酸クロライド法において芳香族多価カルボン酸無水物と反応させるジアミンとしては特に限定されないが、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、及び脂環族ジアミンのいずれも用いられるが、芳香族ジアミンが好ましく用いられる。
芳香族ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、オキシジアニリン、ジアミノ−m−キシリレン、ジアミノ−p−キシリレン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、イソプロピリデンジアニリン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス−(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
脂肪族系ジアミンとしてはメチレンジアミン、ヘキサフルオロイソプロピリデンジアミンなどが挙げられる。
また、ジアミンとして両末端にアミノ基を有するシロキサン系化合物、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノフェノキシメチル)ポリジメチルシロキサン、1,3,−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)エチル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)プロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)プロピル)ポリジメチルシロキサン等を用いればシリコーン変性ポリアミドイミドを得ることができる。
酸クロライド法により本発明におけるポリアミドイミド(ポリアミドイミド樹脂)を得るためには、前記ポリイミド樹脂の製造の場合と同様に、上記した酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体ハライドとジアミンとを有機極性溶媒に溶解した後、低温(0〜30℃)で反応させ、ポリアミドイミド樹脂前駆体(ポリアミド−アミック酸)とした後、イミド化する。
使用することのできる有機極性溶媒としては前記ポリイミドの場合と同様であり、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等)、ホルムアミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等)、アセトアミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等)、ピロリドン系溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等)、フェノール系溶媒(例えば、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール等)、エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等)、セロソルブ系溶媒(例えば、ブチルセロソルブ等)、又はヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
これらを単独又は混合溶媒として用いるのが望ましい。溶媒は、ポリアミド−アミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
上記により得たポリアミド−アミック酸溶液を所望の支持体、例えば、成形用の型に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を加熱等により処理することで、イミド化が行なわれてポリアミド−アミック酸からポリアミド−イミド(ポリアミドイミド)へ転化する。
イミド化の方法としては、前記ポリイミドの場合と同様に加熱処理によりアミック酸を脱水閉環させる方法、及び脱水閉環触媒を用いて化学的に閉環させる方法が用いられる。
加熱処理により脱水閉環させる場合、例えば、反応温度は150〜400℃、好ましくは180〜350℃であり、加熱処理時間は30秒間〜10時間、好ましくは5分間〜5時間である。また、脱水閉環触媒を用いる場合、反応温度は0〜180℃、好ましくは10〜80℃であり、反応時間は数十分間〜数日間、好ましくは2時間〜12時間である。脱水閉環触媒の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸等の酸無水物等が挙げられる。
(b)イソシアネート法:
イソシアネート法の場合に用いる酸無水物基とカルボキシラト基を有する3価のカルボン酸化合物(酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体)としては、例えば、下記構造式(4)及び構造式(5)に示す化合物を使用することができる。
Figure 2012189916
[式(4)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示す。]
Figure 2012189916
[式(5)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示し、Yは単結合、−CH2−、−CO−、−SO2−又は−O−を示す。]
上記一般式で表される誘導体は何れも使用することができるが、最も代表的には無水トリメリット酸が挙げられる。また、これらの酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体は、目的に応じて単独または混合して用いることができる。
前記構造式(4)又は構造式(5)に示す酸無水物基とカルボキシラト基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体は芳香族系のポリアミドイミドを得るための原料の一例であって、これらに限られるものではない。
上記構造式(4)又は構造式(5)に示す芳香族系の3価のカルボン酸化合物以外に、脂肪族系の3価のカルボン酸化合物も使用可能であり、例えば、芳香族系のカルボン酸化合物と併用することもできる。
次に、イソシアネート法において酸無水物基とカルボキシラト基を有する3価のカルボン酸化合物と反応させる一方のイソシアネート化合物としては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4′−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート、ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3′−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジエチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、特に芳香族イソシアネート化合物(芳香族ポリイソシアネート)が好ましく用いられる。これらの芳香族ポリイソシアネートは単独で使用することもできるし、組み合わせて使用することもできる。
また、必要に応じてこの一部としてヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族、脂環式イソシアネート及び3官能以上のポリイソシアネートを使用することもできる。
イソシアネート法により本発明におけるポリアミドイミドを得るためには、前記ポリイミドの製造の場合と同様に、上記した酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体と、芳香族ポリイソシアネートとを有機極性溶媒に溶解、調整して得られるポリアミドイミド前駆体を含む溶液を支持体に塗布した後、加熱処理することにより、ポリアミドイミド前駆体からポリアミドイミドへの転化が行なわれる。このイソシアネート法によるポリアミドイミドへの転化の際、概略ポリアミック酸を経由することなく、炭酸ガスを発生してポリアミドイミドを生成する。
下記式(6)に無水トリメリット酸と芳香族ジイソシアネートとを用いた場合のポリアミドイミド化による芳香族ポリアミドイミドの生成例を示す。
Figure 2012189916
[式(6)中、Arは2価の芳香族基を示す。]
前述したポリイミド(ポリイミド樹脂)又はポリアミドイミド(ポリアミドイミド樹脂)へ転化する前駆体は、通常単一の組成分を原料として反応したものが使用されるが、必要に応じて相溶性等を考慮して選択された別の組成分を原料として反応した前駆体を組み合せ併用することも可能である。また、ポリイミド繰返単位とポリアミドイミド繰返単位を有する共重合体であってもよい。
<弾性層>
次に、上記基層(11)上に積層する弾性層(21)について説明する。
構成する材料としては、レザック紙のような表面性状に凹凸のある転写材の表面形状に追従させるため、本発明の効果を十分に発現するに十分な柔軟性(弾性)を有する材料を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料を用いるのが良いが、本発明においては、この材料の表面に球形樹脂粒子層を埋没させ、固定させるため、熱硬化性であることが好ましい。熱硬化性のものは、その硬化反応に寄与する官能基の効果により樹脂粒子との密着性に優れ確実に固定化することが可能である。
熱硬化性エラストマー材料としては、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系、シリコーン変性アクリル系等が挙げられる。
また、ゴム材料としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等が挙げられる。
上記選択した材料に、電気特性を調整するための抵抗調整剤、難燃性を得るための難燃剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、加硫促進剤などの材料を適宜含有させた配合を行う。
電気特性を調整するための抵抗調整剤としては、すでに前述した各種材料が適用できるが、カーボンブラックや金属酸化物などは柔軟性を損なうため、使用量を抑えることが好ましく、イオン導電剤や導電性高分子を用いることも有効である。また、これらの併用でも構わない。
当弾性層の抵抗値としては、表面抵抗で1×108〜1×1013Ω/□、体積抵抗で1×10〜1×1012Ω・cmとなるように調整されることが好ましい。
弾性層の膜厚としては、200μm〜2mm程度が好ましい。膜厚が薄いと、転写媒体の表面性状への追従性や転写圧力低減効果が低く好ましくない。厚すぎると、膜の重さが重くなりたわみやすくなり走行性が不安定になったり、ベルトを張架させるためのローラ曲率部での屈曲により亀裂が発生しやすくなるため好ましくない。
<球形樹脂粒子>
次に、この弾性層の表面に形成する球形樹脂粒子について説明する。
材料としては特に問わないが、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、などの樹脂を主成分としてなる球形粒子が挙げられる。また、これらの樹脂材料からなる粒子の表面を異種材料で表面処理を施したものでも良い。
また、ここで言う樹脂粒子の中には、ゴム材料も含む。ゴム材料で作製された球状粒子の表面を硬い樹脂をコートしたような構成のものも適用可能である。
また、中空であったり、多孔質であっても良い。
これらの樹脂中で、滑性を有し、トナーに対しての離型性、耐磨耗性を付与できる機能の高いものとして、シリコーン樹脂粒子が最も好ましい。
これら樹脂を用い、重合法などにより球状の形状に作製された粒子であることが好ましく、本発明においては、真球に近いものほど好ましい。
また、その粒径は、体積平均粒径が、1.5μm〜8.0μmであり、単分散粒子であることが望ましい。ここで言う単分散粒子とは、単一粒子径の粒子という意味ではなく、
粒度分布が極めてシャープなもののことを指す。
具体的には、±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅のもので良い。
粒径が1.5μm以下の場合、粒子による転写性能の効果が十分に得られず、一方、8.0μm以上では、表面粗さが大きくなり、粒子間の隙間が大きくなるため、トナーがうまく転写できなくなったりクリーニング不良となったりする不具合が生じる。
さらには、粒子は絶縁性であることが多いため、粒径が大きすぎると粒子による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する不具合も生じる。
<中間転写ベルトの作製方法>
まず、基層の作製方法について説明する。
円筒状の型、例えば、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、少なくとも樹脂成分を含む塗工液(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液)をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行う。
<ベルト表面状態作製法>
十分に冷却後、引き続き、弾性層を積層する。
この弾性層は、射出成形、押し出し成形などにより基層上に形成することも可能であるが、本発明においては弾性層塗工液を塗布することにより形成することが有効である。
弾性層塗工液においては、液状樹脂または液状エラストマー、液状ゴム等を用いることができる。また、溶剤可溶な樹脂またはエラストマー、ゴム材料を溶剤に溶解した溶液を塗布液として用いることもできる。
ここでは、熱硬化型の液状のエラストマー材料を用い、基層上に塗布形成する方法について説明する。少なくとも液状の熱硬化型エラストマー材料を含む塗布液を、基層同様、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、ノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。
その後、回転速度を所定速度まで上げ、所望の時所定速度に達したら一定速度に維持し、間回転を継続する。そして、十分にレベリングしたところで、図6に示すように、弾性層塗工後の中間転写ベルトの下方の回転ブラシによって球形樹脂粒子を汲み上げ、弾性層の接着力を利用して球形樹脂粒子を均一付着させ、必要により表面に付着した球形樹脂粒子を押し当て部材により一定圧力で押し当てる。
ここで、球形樹脂粒子を中間転写ベルトの上方から供給すると球形樹脂粒子を均一に配置させることが困難である。
球形樹脂粒子の弾性層中への埋没率の調整は、他の方法によっても可能であるかも知れないが、例えば、回転ブラシや押し当て部材の押圧力を加減することにより、容易に果たすことができる。
流延塗工液の粘度、樹脂分含量率、溶剤の使用量、樹脂材質等にも依るが、目安として、流延塗工液の粘度100〜100000mPa・sにおいて、押圧力を、1mN/cm〜1000mN/cmの範囲とすることにより、前記50%を超える埋没率を容易に達成することができる。
球形樹脂粒子を均一に付着させた後、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより、硬化させ弾性層を形成する。
十分冷却後、金型から基層ごと脱離することにより、所望のシームレスベルト(中間転写ベルト)を得ることができる。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、感光体ドラムを一つだけ備えたものであってもよいが、図7に示すような複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置であることが好ましい。
図7に、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(21BK)、(21Y)、(21M)、(21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
図7において、プリンタ本体(10)は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部(12)、画像形成部(13)、給紙部(14)、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部(12)に送信する。画像書込部(12)は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部(13)の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)に各色信号に応じた画像書込を行う。
画像形成部(13)は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)を備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)の周囲には、帯電装置、上記書込部(12)からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト(22)は、各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)と、各1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)との間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
一方、転写紙(P)は、給紙部(14)から給紙された後、レジストローラ(16)を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト(50)に担持される。そして、中間転写ベルト(22)と転写搬送ベルト(50)とが接触するところで、上記中間転写ベルト(22)上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ(60)により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙(P)上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙(P)は、転写搬送ベルト(50)により定着装置(15)に搬送され、この定着装置(15)により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト(22)上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング部材(25)によって中間転写ベルト(22)から除去される。このベルトクリーニング部材(25)の下流側には、潤滑剤塗布装置(27)が配設されている。この潤滑剤塗布装置(27)は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト(22)に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。前記導電性ブラシは、中間転写ベルト(22)に常時接触して、中間転写ベルト(22)に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト(22)のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
前記固形潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛等が挙げられ、高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等が挙げられるが、脂肪酸金属塩が好ましく、更にはステアリン酸亜鉛が最も好ましい。
また、中間転写ベルト(22)の外周面あるいは内周面には図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト(22)の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニング装置(25)の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト(22)の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ(28)は、2次転写バイアスローラ(60)とベルト駆動ローラ(24)との間の位置に設けられる。位置検知は中間転写ベルト表面からの光反射を検知することによって行なっている。よって、中間転写ベルト表面の光沢度が低下する、または不均一になると検出が安定しない。本発明の中間転写ベルトを用いることで表面光沢度の低下を抑制でき、検出を安定化することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。
〔中間転写ベルト基層の製造〕
先ず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
次に、外径300mm、長さ300mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製円筒を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記基層用塗工液を円筒外面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に導入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して成形膜が形成された円筒型を取り出し、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。
〔中間転写ベルト弾性層の製造〕
下記材料を混合し、混練機にて30℃,30分間練ったのちメチルエチルケトンで固形分30%になるように溶解し弾性層用塗布液を得た。

H-NBR(水素化ニトリルゴム) ZETPOL2020L(日本ゼオン社製)100部
塩素化パラフィン トヨパラックス150(東ソー社製) 50部
硫黄 200mesh硫黄(鶴見化学工業製) 1部
酸化亜鉛 亜鉛華2種(正同化学工業社製) 5部
加硫促進剤 ノクセラーTS(大内新興化学工業社製) 1部
加工助剤 ルナックS-20(花王社製) 0.2部
ヒドロキシスズ酸亜鉛 ALCANEX/ZHSF(水澤化学工業) 20部
上記で作製したポリイミド基層上に、上記弾性層用塗布液を同様に外面に均一にディスペンサーを用いて流延して塗布した。塗布量としては最終的な膜厚が300μmになるような液量の条件とした。
ベルト表面全面の処理を終えた後、そのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で90℃まで昇温して60分加熱した。
図6に記載の粒子塗布装置を用い、平均粒子径2μmのシリコーン樹脂粒子(トスパール120A モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を、円筒型を10rpmで5回転させて塗布し、ローラーで加圧したのち加硫処理を行い、粒子の露出部分の粒子径の範囲が1.1〜2.2μmの中間転写ベルトを得た。
シリコーン樹脂粒子を、平均粒子径6.7μmのシリコーン樹脂粒子(トスパール2000B モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)に代える他は、実施例1と同様にして、粒子の露出部分の粒子径の範囲が4.5〜7.3μmの中間転写ベルトを得た。
円筒型を10rpmで3回転させて塗布する他は実施例1と同様にして、粒子の露出部分の粒子径の範囲が1.4〜2.4μmの中間転写ベルトを得た。
(比較例1)
シリコーン樹脂粒子を、平均粒子径2μmのシリコーン樹脂粒子トスパール120A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)50wt%と平均粒子径6μmのシリコーン樹脂粒子トスパール2000Bを50wt%混合する他は、実施例1と同様にして露出部分の粒子径の範囲が1.0〜7.5μmの中間転写ベルトを得た。
(比較例2)
円筒型を20rpmで3回転させて塗布する他は実施例1と同様にして、粒子の露出部分の粒子径の範囲が1.2〜2.4μmの中間転写ベルトを得た。
実施例1〜3、比較例1,2で作製した中間転写ベルトを以下の方法により評価した。
評価結果を表1に示す。
(粒子付着状態評価方法)
中間転写ベルト表面のSEM画像を画像処理ソフトImage−proplus(cyber netics社製)にて画像を2値化して、弾性層露出部分と樹脂粒子による被覆部分との面積比、球形樹脂粒子の露出部分の直径の平均値、及び、隣接する球形樹脂粒子の露出部分の最大間隔を測定した。
(クリーニング性測定方法)
単体機にて中間転写ベルト上にベタ画像を出力し、ウエスによってトナーを拭き取り、以下の基準により、クリーニング性を評価した。
○:10往復以内で中間転写ベルト上のトナーを除去できる 。
△:15往復以内で中間転写ベルト上のトナーを除去できる 。
×:15往復以上でも除去できない。
(二次転写率測定方法)
二次転写率の評価は、単体機にてベタ画像を出力し、中間転写ベルトからレザック紙へのトナー移動量を量り、転写率を算出した。

転写率(%)=(1−転写後のベルト上のトナー量(g)/転写前のベルト上のトナー量(g))×100
Figure 2012189916
(図1〜図5の符号)
11 基層
12 弾性層
13 球形樹脂粒子

(図6の符号)
1 弾性層塗装後の中間転写ベルト
2 回転ブラシ
3 球形樹脂粒子

(図7の符号)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
特開平9−230717号公報 特開2007−328165号公報 特開2009−75154号公報 特願2010−009871号明細書

Claims (4)

  1. 少なくとも基層と弾性層とを有する中間転写ベルトであって、該弾性層はその表面に深さ方向に一部が埋没した球形樹脂粒子を有するものであり、該球形樹脂粒子の露出部分は、その直径の平均値が1μm以上8μm以下、直径の最小値と最大値の差が4μm以下、弾性層表面に対する占有面積率aが50%<a<90%を満たし、かつ、隣接する球形樹脂粒子との間隔の最大値が5μm以下であることを特徴とする中間転写ベルト。
  2. 前記球形樹脂微粒子は、弾性層よりも硬度が高いものであることを特徴とする請求項1記載の中間転写ベルト。
  3. 前記球形樹脂粒子は、シリコーン樹脂からなるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の中間転写ベルト。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の中間転写ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
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