JP2012188469A - 樹脂組成物及びその製造方法並びに成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、脂肪族ポリエステル樹脂(B)と、を含有し、樹脂(A)と樹脂(B)との合計を100質量%とした場合に、樹脂(B)が5〜35質量%であり、樹脂(A)が連続相をなし、樹脂(B)が分散相をなし、連続相と分散相との相間に空隙を有する。連続相を構成する樹脂(A)と分散相を構成する樹脂(B)とを含む溶融混合樹脂を冷却する工程を備え、樹脂(A)の結晶化温度TA、樹脂(B)の結晶化温度TBにおいて、TB<TAであり、TA以下且つTBを超える温度まで40℃/分以上の降温速度で冷却する工程と、TB未満の温度まで10℃/分以下の降温速度で冷却する工程と、を備える。
【選択図】図1
Description
一方、特許文献2には、膨潤性層状珪酸塩を含むポリアミド樹脂と、生分解性ポリエステル樹脂と、を含む樹脂組成物が開示されている。この組成物でも対環境性に優れた原料選択をできる点において優れているものの、膨潤性層状珪酸塩を含むポリアミド樹脂は、膨潤性層状珪酸塩とカプロラクタムとを混合分散させた原料を縮重合して得る必要があり、汎用のポリアミド樹脂を利用することができず、また、対環境性に優れたポリアミド樹脂を選択することもできないものとなっている。
更に、上記非特許文献2には、特殊な高剪断成形加工機を用いて、ポリアミド11をポリフッ化ビニリデン中に微分散させることで、ポリフッ化ビニリデンの伸びを向上させる技術が開示されている。しかし、この技術では特殊な高剪断成形加工機を用いる必要あるという点において実際に利用する観点からは困難である。
前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)が連続相をなし、
前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)が前記連続相に分散された分散相をなし、
前記連続相と前記分散相との相間に空隙を有することを要旨とする。
前記冷却工程は、前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)の結晶化温度をTAとし、前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)の結晶化温度をTBとした場合に、TB<TAであり、前記TA以下且つ前記TBを超える温度まで40℃/分以上の降温速度で冷却する第1冷却工程と、
第1冷却工程に引き続いて、前記TB未満の温度まで10℃/分以下の降温速度で冷却する第2冷却工程と、を備えることを要旨とする。
前記冷却工程は、前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)の結晶化温度をTAとし、前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)の結晶化温度をTBとした場合に、TB<TAであり、前記TA以下且つ前記TBを超える温度まで40℃/分以上の降温速度で冷却する第1冷却工程と、
第1冷却工程に引き続いて、前記TB未満の温度まで10℃/分以下の降温速度で冷却する第2冷却工程と、を備えることを要旨とする。
脂肪族ポリエステル樹脂(B)が、生分解性を有する生分解性脂肪族ポリエステル樹脂である場合は、環境負荷を抑制しつつ、衝撃強度が高い成形体を得ることができる。
脂肪族ポリエステル樹脂(B)が、ポリブチレンサクシネート系樹脂である場合は、環境負荷を抑制しつつ、衝撃強度が高い成形体を得ることができる。
脂肪族ポリアミド樹脂(A)が、炭素原子数が11であるアミド結合含有単位を主鎖に含む脂肪族ポリアミド樹脂である場合は、環境負荷を更に抑制しつつ、衝撃強度が高い成形体を得ることができる。
脂肪族ポリエステル樹脂(B)の平均分散粒径が1μm以下である場合は、特に高い衝撃強度を有する成形体を得ることができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法によれば、汎用性(特に、樹脂種の選択範囲及び製造方法等における汎用性)を維持しつつ簡便に衝撃強度に優れた樹脂組成物を得ることができる。即ち、脂肪族ポリアミド樹脂(A)を連続相とし、脂肪族ポリエステル樹脂(B)を分散相とするとともに、これらの連続相と分散相との相間に空隙を有する樹脂組成物を得ることができる。
第1冷却工程が、脂肪族ポリエステル樹脂(B)の結晶化温度TBよりも20℃以上高い温度で停止する場合は、より優れた耐衝撃性を得ることができる。
本発明の成形体の製造方法によれば、汎用性(特に、樹脂種の選択範囲及び製造方法等における汎用性)を維持しつつ簡便に衝撃強度に優れた成形体を得ることができる。即ち、脂肪族ポリアミド樹脂(A)を連続相とし、脂肪族ポリエステル樹脂(B)を分散相とするとともに、これらの連続相と分散相との相間に空隙を有した樹脂組成物からなる成形体を得ることができる。
第1冷却工程が、脂肪族ポリエステル樹脂(B)の結晶化温度TBよりも20℃以上高い温度で停止する場合は、より優れた耐衝撃性を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と脂肪族ポリエステル樹脂(B)との合計を100質量%とした場合に、脂肪族ポリエステル樹脂(B)を5〜35質量%含有し、更に、脂肪族ポリアミド樹脂(A)が連続相をなし、脂肪族ポリエステル樹脂(B)が分散相をなし、これらの連続相と分散相との相間に空隙を有することを特徴とする。
即ち、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T等が挙げられる。これらの他のポリアミドは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。但し、他のポリアミドが含有される場合、脂肪族ポリアミド樹脂(A)全体100質量%に対して、他のポリアミドは40質量%未満である。
尚、上記脂肪族ポリアミド樹脂(A)は、主鎖を構成する炭素原子のうちの半数以上(50%以上)の炭素原子が鎖状骨格を構成する。即ち、脂肪族ポリアミド樹脂(A)は、芳香族骨格を含んでもよいが、芳香族骨格を構成する炭素原子は、主鎖を構成する炭素原子のうちの半数未満(50%未満)である。
一方、単量体としてのジオールには、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール(1,4−ブタンジオール等)、ヘキサンジオール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
他の単量体としては、ヒドロキシ酸が挙げられる。単量体としての脂肪族ヒドロキシ酸には、グリコール酸、乳酸(L−、D−)、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸(2−、3−及びγ−)、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ロイシン酸、リシノール酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
脂肪族ヒドロキシ酸に由来する構成単位は、脂肪族ポリエステル樹脂(B)内において全構成単位のうちの50%以上であることが好ましい。即ち、脂肪族ヒドロキシ酸以外の他の単量体に由来する構成単位を脂肪族ポリエステル樹脂(B)内において全構成単位のうちの50%未満含むことができる。
ここで他の単量体としては、前述のジカルボン酸及びジオール等が挙げられる。これらのジカルボン酸及びジオールは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
この分散相は、連続相内において略球状をなして分散されていることが好ましい。更に、この分散相の周囲を覆うように空隙が形成されることが好ましい。また、分散相は空隙によって連続相から完全に分離されて配置されてもよいが、分散相の一部が連続相と繋がって配置されていることが好ましく、特に柱状部(図9の符号14参照)によって連続相と分散相とが接続された形態であることが好ましい。即ち、脂肪族ポリアミド樹脂(A)が連続相(図9の符号11参照)をなし、脂肪族ポリエステル樹脂(B)が連続相に分散された分散相(図9の符号12参照)をなし、これらの連続相と分散相との相間に空隙(図9の符号13参照)を有するとともに、分散相と連続相とが柱状部(図9の符号14参照)によって接続された形態の樹脂組成物であることが好ましい。
尚、分散平均粒径は、電子顕微鏡により1万倍に拡大した樹脂組成物の切断面において、無作為に抽出した3ヶ所の各12.78μm×8.66μmの範囲に含まれる全分散相の粒径(最大長)を実測し、これらの3ヶ所における各々平均値D1、D2及びD3を得た後、更に、これらD1〜D3の平均した値を平均分散粒径とする。
尚、ここでいう結晶化温度は、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に定められた結晶化ピーク温度(Tpc)を意味する。
尚、ここでいう成形収縮率は、JIS K7152−4(プラスチック−熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片−第4部:成形収縮率の求め方)に規定された成形収縮率のうち、流動方向に平行な成形収縮率(Smp)を意味する。
上記他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなど)等が挙げられる。
上記難燃助剤としては、各種アンチモン化合物、亜鉛を含む金属化合物、ビスマスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム、粘土質珪酸塩等が挙げられる。
上記充填剤としては、ガラス成分(ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク等)、シリカ、無機繊維(ガラス繊維、アルミナ繊維、カーボン繊維)、黒鉛、珪酸化合物(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ等)、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の金属の炭酸塩及び硫酸塩、有機繊維(芳香族ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、フッ素樹脂繊維、ポリイミド繊維、植物性繊維等)
上記着色剤としては、顔料及び染料等が挙げられる。
上記樹脂組成物はどのようにして製造してもよく、その方法は特に限定されない。即ち、混練後の樹脂組成物の冷却方法に関係無く、優れた耐衝撃性を有する樹脂組成物を得ることができる。しかし、後述する製造方法を用いることで、この耐衝撃を向上させることができる。
即ち、本発明の樹脂組成物の製造方法は、連続相を構成する樹脂と、分散相を構成する樹脂と、を含む溶融混合樹脂を冷却する冷却工程を備えるとともに、下記第1冷却工程及び下記第2冷却工程を備えることを特徴とするものである。より具体的には、脂肪族ポリアミド樹脂(A)の結晶化温度をTAとし、脂肪族ポリエステル樹脂(B)の結晶化温度をTBとした場合に、TB<TAであり、上記冷却工程において、先ず第1冷却工程において、TA以下且つTBを超える温度まで40℃/分以上の降温速度で冷却した後、第2冷却工程において、TB未満の温度まで10℃/分以下の降温速度で冷却するものである。
一方、第2冷却工程における降温速度(冷却速度)は10℃/分以下であればよい。これを超える降温速度では十分に結晶化を促すことが困難であり、耐衝撃性を向上させる効果を得難い。この降温速度は、0.1℃/分以上9℃/分以下が好ましく、0.5℃/分以上9℃/分以下がより好ましく、1℃/分以上8℃/分以下が特に好ましい。
一方、第2冷却工程におけるTB未満の温度(以下、単に「温度T2」ともいう)は、T2<TBである。このT2は具体的には限定されないものの、前述のごとく、TBが70℃以上110℃以下の範囲では、例えば、10℃≦T2<70℃であり、20℃≦T2<70℃が好ましく、30℃≦T2<70℃がより好ましい。
一方、上記第2冷却工程における具体的な冷却方法も特に限定されず、10℃/分以下の降温速度を得ることができればよい。例えば、放冷、風冷などの方法が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記樹脂組成物はどのように成形してもよく、その方法は特に限定されない。即ち、金型等の内部で成形された樹脂組成物を冷却する方法に関係無く、優れた耐衝撃性を有する成形体を得ることができる。しかし、後述する成形体の製造方法を用いることで、この成形体の耐衝撃を向上させることができる。
即ち、本発明の成形体の製造方法は、連続相を構成する樹脂と、分散相を構成する樹脂と、を含む成形された溶融混合樹脂を冷却する冷却工程を備えるとともに、下記第1冷却工程及び下記第2冷却工程を備えることを特徴とするものである。より具体的には、脂肪族ポリアミド樹脂(A)の結晶化温度をTAとし、脂肪族ポリエステル樹脂(B)の結晶化温度をTBとした場合に、TB<TAであり、上記冷却工程において、先ず第1冷却工程において、TA以下且つTBを超える温度まで40℃/分以上の降温速度で冷却した後、第2冷却工程において、TB未満の温度まで10℃/分以下の降温速度で冷却するものである。
〈1〉樹脂組成物の製造(PA11−PBS)
連続相を形成するための脂肪族ポリアミド樹脂(A)としてPA11(ナイロン11樹脂、アルケマ株式会社製、品名「RilsanB」、融点186℃、結晶化開始温度170℃、結晶化温度168℃)を用いた。
分散相を形成するための脂肪族ポリエステル樹脂(B)としてPBS(ポリブチレンサクシネート系樹脂、三菱化学株式会社製、品名「GS Pla」、融点110℃、結晶化開始温度95℃、結晶化温度90.5℃)を用いた。
上記〈1〉のPA11−PBSの樹脂組成物に対して、比較例となるように、脂肪族ポリエステル樹脂PLAと脂肪族ポリエステル樹脂PBSとを混合した樹脂を同様に製造した。
連続相を構成する脂肪族ポリエステル樹脂としてPLA(ポリ乳酸、ユニチカ株式会社製、品名「テラマック」、融点167.5℃、結晶化開始温度126℃、結晶化温度111℃)を用いた。
分散相を構成する脂肪族ポリエステル樹脂(B)としてPBS(ポリブチレンサクシネート系樹脂、三菱化学株式会社製、品名「GS Pla」、融点110℃、結晶化開始温度95℃、結晶化温度90.5℃)を用いた。
(1)実験例1の試験片
脂肪族ポリアミド樹脂(A)であるPA11(ナイロン11樹脂、アルケマ株式会社製、品名「RilsanB」、融点186℃、結晶化開始温度170℃、結晶化温度168℃)を、金型を用いてJIS K7111−1に準拠したシャルピー衝撃試験用試験片に成形した。この成形に際しては、溶融プレスした後(水冷プレス前のPA11の温度は約200℃)、水冷プレスにて、200℃から125℃の間におけるPA11の降温速度が375℃/分であり、125℃から60℃の間におけるPA11の降温速度が約175℃/分となるように急冷した(以下、この冷却方法を「冷却1(急冷)」ともいう)。尚、上記降温速度の測定は熱電対(データロガー)により直接溶融状態の樹脂を測定することで行った(以下同様)。
上記〈1〉で得られた6種類の樹脂組成物(PA11−PBS混合樹脂)の各々を、上記〈3〉(1)と同様に成形した後、冷却1(急冷)の方法により冷却した。
脂肪族ポリエステル樹脂(B)であるPBS(ポリブチレンサクシネート系樹脂、三菱化学株式会社製、品名「GS Pla」、融点110℃、結晶化開始温度95℃、結晶化温度90.5℃)を、上記〈3〉(1)と同様に成形した後、冷却1(急冷)の方法により冷却した。
上記〈1〉で得られた樹脂組成物(PA11−PBS混合樹脂)のうち、PA11:PBS=80:20である樹脂組成物を、金型を用いてJIS K7111−1に準拠したシャルピー衝撃試験用試験片に成形した。この成形に際しては、溶融プレスした後(水冷プレス前のPA11の温度は約200℃)、水冷プレスと放冷とを組み合わせて、200℃から125℃の間における樹脂組成物の降温速度が560℃/分となるように急冷した後、更に、100℃から60℃の間における樹脂組成物の降温速度が約3.0℃/分となるように徐冷した。この冷却方法は表1において「冷却2(急冷→徐冷)」と標記した。
上記〈1〉で得られた樹脂組成物(PA11−PBS混合樹脂)のうち、PA11:PBS=80:20である樹脂組成物を、金型を用いてJIS K7111−1に準拠したシャルピー衝撃試験用試験片に成形した。この成形に際しては、溶融プレスした後(水冷プレス前のPA11の温度は約200℃)、水冷プレスと放冷とを組み合わせて、200℃から140℃の間における樹脂組成物の降温速度が4.2℃/分となるように徐冷した後、更に、140℃から60℃の間における樹脂組成物の降温速度が約68℃/分となるように急冷した。
PLA(ポリ乳酸、ユニチカ株式会社製、品名「テラマック」、融点167.5℃、結晶化開始温度126℃、結晶化温度111℃)を、上記〈3〉(1)と同様に成形した後、冷却1(急冷)の方法により冷却した。
上記〈2〉で得られた5種類の樹脂組成物(PLA−PBS混合樹脂)の各々を、上記〈3〉(1)と同様に成形した後、冷却1(急冷)の方法により冷却した。
上記〈3〉で得られた実験例1〜16の各試験片を用いて、JIS K7111−1に準拠してシャルピー衝撃試験を行った。その結果を表1に併記した。
上記〈3〉で得られた実験例2〜7及び実験例9及び10の各試験片の断面を電子顕微鏡により1万倍に拡大し、無作為に選択した1ヶ所の12.78μm×8.66μmの範囲に含まれる空隙を伴った分散相の有無を観察し、空隙を伴った分散相が1つでも認められた実験例に「○」を、全く認められない実験例に「×」を、各々表1の「空隙の有無」の欄に記載した。
更に、1万倍(図8、図12、図16〜19)、及び、3万倍(図9〜11、図13〜15)に拡大した各々のデジタル画像を取得し、図として示した。
更に、図7は、示差走査熱量計(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、型式「DSC404F3」)を用い、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に従って、測定したPA11とPBSとの結晶化ピーク温度(Tpc)を示すグラフである。
表1のシャルピー衝撃強度の結果のうち、実験例1〜8を用いて、PA11とPBSとの配合比と、シャルピー衝撃強度と、の相関をグラフに表して図1に示した。
また、表1のシャルピー衝撃強度の結果のうち、実験例11〜16及び実験例8を用いて、PLAとPBSとの配合比と、シャルピー衝撃強度と、の相関をグラフに表して図2に示した。尚、図2には図1の相関を併記している。
尚、内部に分散相12が認められない連続相11の凹部15は、空隙13が存在したために切断時に分散相12が脱落して形成された凹部15と考えられ、切断前の状態においては、これらの凹部15はいずれも、空隙13を伴った分散相12であったと考えられる。
また、実験例6(図18)及び実験例7(図19)では、空隙を伴った分散相が全く認められない。
更に、図2に示すように、脂肪族ポリエステル樹脂PLAに対して、脂肪族ポリエステル樹脂PBSを分散させた場合には、耐衝撃性に関する変化はほとんど認められないことが分かる。
この冷却方法による差異は、実験例3では急冷したのに対して、実験例9では、脂肪族ポリアミド樹脂(A)の結晶化温度TAと、脂肪族ポリエステル樹脂(B)の結晶化温度TBと、間の温度120℃までは急冷して、脂肪族ポリアミド樹脂(A)の結晶化を抑制したうえで、温度TB未満の温度40℃まで徐冷して、脂肪族ポリエステル樹脂(B)の結晶化を促し、結晶化に伴う収縮を促進している。このため、実験例3よりも実験例9で空隙量が増えたものと考えられる。
Claims (9)
- 脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、脂肪族ポリエステル樹脂(B)と、を含有するとともに、該脂肪族ポリアミド樹脂(A)と該脂肪族ポリエステル樹脂(B)との合計を100質量%とした場合に、該脂肪族ポリエステル樹脂(B)が5〜35質量%であり、
前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)が連続相をなし、
前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)が前記連続相に分散された分散相をなし、
前記連続相と前記分散相との相間に空隙を有することを特徴とする樹脂組成物。 - 前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)が、生分解性を有する生分解性脂肪族ポリエステル樹脂である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)が、ポリブチレンサクシネート系樹脂である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)は、炭素原子数が11であるアミド結合含有単位を主鎖に含む脂肪族ポリアミド樹脂である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)は、平均分散粒径が1μm以下である請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法であって、前記連続相を構成する樹脂と、前記分散相を構成する樹脂と、を含む溶融混合樹脂を冷却する冷却工程を備え、
前記冷却工程は、前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)の結晶化温度をTAとし、前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)の結晶化温度をTBとした場合に、TB<TAであり、前記TA以下且つ前記TBを超える温度まで40℃/分以上の降温速度で冷却する第1冷却工程と、
第1冷却工程に引き続いて、前記TB未満の温度まで10℃/分以下の降温速度で冷却する第2冷却工程と、を備えることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。 - 前記第1冷却工程は、温度TBよりも20℃以上高い温度で停止する請求項6に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の樹脂組成物を用いた成形体の製造方法であって、溶融状態の請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の樹脂組成物を冷却する冷却工程を備え、
前記冷却工程は、前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)の結晶化温度をTAとし、前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)の結晶化温度をTBとした場合に、TB<TAであり、前記TA以下且つ前記TBを超える温度まで40℃/分以上の降温速度で冷却する第1冷却工程と、
第1冷却工程に引き続いて、前記TB未満の温度まで10℃/分以下の降温速度で冷却する第2冷却工程と、を備えることを特徴とする成形体の製造方法。 - 前記第1冷却工程は、温度TBよりも20℃以上高い温度で停止する請求項8に記載の成形体の製造方法。
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