JP2012188337A - ガラス板の加工治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドリル加工によってガラス板に貫通孔を穿設する際に、ガラス板の被加工部及びその周縁部に微小欠陥が形成される確率を一層効果的に低減させる。
【解決手段】ガラス板Gに貫通孔を穿設する際に使用する加工治具1である。この加工治具1は、ガラス板Gの上面Ga側及び下面Gb側に対向して配置される上部保持部材2及び下部保持部材3を有し、各保持部材2,3は、対向する保持部材との間でガラス板Gを挟持する保持面4と、保持面4と直交する方向に延び、一端が保持面4に開口したドリル挿通孔5と、ドリル挿通孔5の周縁部に、ガラス板Gの被加工部Xを指向するように設けられた切削液8の吐出口7bと、ドリル挿通孔5と外部を連通させる廃液通路6とを備える。廃液通路6は、保持面4から軸方向に離間した位置で、ドリル挿通孔5と外部を連通させる貫通孔で構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】ガラス板Gに貫通孔を穿設する際に使用する加工治具1である。この加工治具1は、ガラス板Gの上面Ga側及び下面Gb側に対向して配置される上部保持部材2及び下部保持部材3を有し、各保持部材2,3は、対向する保持部材との間でガラス板Gを挟持する保持面4と、保持面4と直交する方向に延び、一端が保持面4に開口したドリル挿通孔5と、ドリル挿通孔5の周縁部に、ガラス板Gの被加工部Xを指向するように設けられた切削液8の吐出口7bと、ドリル挿通孔5と外部を連通させる廃液通路6とを備える。廃液通路6は、保持面4から軸方向に離間した位置で、ドリル挿通孔5と外部を連通させる貫通孔で構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガラス板に貫通孔を穿設するときに使用する加工治具に関する。
周知のように、フラットパネルディスプレイ(FPD)の一種であるプラズマディスプレイ(PDP)用のガラス板のコーナー部等には、パネル内の排気やパネル内へのガス封入に使用するための貫通孔が設けられている。このような貫通孔を形成するための手段の一例として、下記の特許文献1に記載されているものがある。具体的には、平置き(略水平姿勢で配置)されたガラス板の下面から、ガラス厚さの1/3〜1/2まで第1ドリルを侵入させた後にこの第1ドリルを後退させ、然る後、ガラス板の上面から第2ドリルを侵入させることによってガラス板に貫通孔を形成する手法である。
しかし、このような手法では、ドリル侵入時の摩擦熱やドリルの芯ブレの影響を受け、ガラス板のうち、貫通孔の周縁部にクラックやチッピングなどの微小欠陥が形成され易くなる。そして、貫通孔の周縁部に微小欠陥が形成されていると、搬送時や熱処理時などにガラス板に作用する機械的又は熱的応力により、微小欠陥を起点としてガラス板が破損し易くなる。
そこで、本願出願人は、下記の特許文献2において次のような加工方法を提案している。詳しくは、切削液を供給しながら平置きされたガラス板の上面から上部ドリルを厚み方向中間部まで侵入させた後に上部ドリルを後退させ、然る後、切削液を供給しながらガラス板の下面から下部ドリルを侵入させることによってガラス板に貫通孔を穿設する工程を含み、ドリル胴部からドリル先端側に向かって縮径する下部ドリルの最先端から最大外径部までの軸方向距離をL、上部ドリルが侵入した軸心上の下端位置から、ガラス板の下面までの距離をHとしたときに、L>Hの関係を満たすように、ガラス板の上面からの上部ドリルの侵入深さを設定したものである。
このような方法によれば、最初に実行される上部ドリルによる孔開け加工中には、重力により、上部ドリルと孔の内周面との間に十分量の切削液が介在することとなるため、適切な冷却効果を得ることが可能となって摩擦熱の発生が抑制される。従って、ドリルに芯ブレが生じていても、摩擦熱の発生が抑制されることによる利点が優先され、摩擦熱の発生に起因する微小欠陥の形成確率(発生量)が低減される。また、ガラス板の上面からの上部ドリルの侵入深さを、L>Hの関係式を満たすように設定したことにより、下部ドリルの芯ブレを抑止することが可能となる。従って、下部ドリルによる孔の穿設時に切削液が重力によって落下することによる冷却不足が生じていても、下部ドリルの芯ブレが抑止されることによる利点が優先され、微小欠陥が発生あるいは残存する確率が効果的に低減される。以上の理由から、微小欠陥を起点としたガラス板の破損が生じ難くなり、ガラス板の生産効率や歩留を向上することが可能となる。
しかし、本願発明者が検証したところ、特許文献2に記載された方法を採用しただけでは、微小欠陥の発生量を十分に低減することができないことが判明した。その理由として、ドリルによる孔開け加工中に、ガラス板の被加工部を中心にして発生する局所的な撓みについて何ら手当てがなされていないことを挙げることができる。すなわち、特許文献2に記載の方法は、ドリルの動作態様(挙動)にのみ着目したものであるため、微小欠陥の発生量をある程度低減する上で有効ではあるが、微小欠陥の発生量を一層低減するためには、被加工側であるガラス板の局所的な挙動に対しても何らかの対策を施す必要がある。
そこで、本願発明者は鋭意検討を重ね、ドリルによる孔開け加工時に、図5(a)(b)に示すような加工治具100を使用することを考え付くに至った。詳しくは、ガラス板110の上面側及び下面側に対向して配置される2つの保持部材101,101を有し、各保持部材101が、対向する保持部材101との間でガラス板110を挟持する保持面102と、保持面102と直交する方向に延び、一端が保持面102に開口したドリル挿通孔103と、ガラス板110の被加工部(ドリル加工によって貫通孔が穿設される部位)に向けて切削液を供給する切削液供給路104と、ドリル挿通孔103と外部を連通させる廃液通路105とを備えるものである。廃液通路105は、その長手方向の全域が保持面102に開口した溝状に形成されている。
上記構成の加工治具100を用いた場合、ドリルによる孔開け加工は、概ね次のようにして行うことができる。先ず、各保持部材101の保持面102でガラス板110の上面及び下面の被加工部周縁を夫々保持してガラス板110を挟持する。次いで、ドリル挿通孔103に挿通したドリル111(又は112)を回転させつつガラス板110に対して接近移動させ、ドリル加工を開始する。ドリル加工中、又はドリル加工前には切削液供給路104を介してガラス板110の被加工部に向けて切削液を供給することにより、ガラス板110の被加工部が切削液によって潤滑・冷却され、またドリル加工に伴って形成された切粉(微小なガラス片)が切削液で捕捉される。そして、ドリル加工中、切削液は連続的又は間欠的にガラス板110の被加工部に向けて供給され、切粉を含む切削液(廃液)は、廃液通路105を流通して順次外部に排出される。
このように、図5(a)(b)に示す加工治具100を用いれば、ガラス板110の被加工部を含む所定領域が2つの保持面102,102間で挟持固定され、この挟持固定された領域では、ガラス板110の厚み方向での変位が規制される。そのため、加工治具100を用いずにドリルによる孔開け加工を実行する場合と比較して、ドリル111(又は112)の侵入に伴ってガラス板110に生じる撓みの量を小さくすることができる。これにより、上記の撓みに起因してガラス板110の被加工部周縁にクラックやチッピングなどの微小欠陥が発生し難くなる、という効果が得られる。
しかしながら、FPDの低価格化や軽量化が急速に進展している昨今の実情に鑑みると、ガラス板に対する貫通孔の穿設加工を、より一層精度良く、しかも微小欠陥を発生させることなく実行可能とすることが求められている。
そこで、本発明は、ドリル加工によってガラス板に貫通孔を穿設する際に、ガラス板の被加工部及びその周縁部に微小欠陥が発生する確率をより一層効果的に低減することができる加工治具の提供を目的とする。
上記の目的を達成するために創案された本発明は、切削液を供給しながらガラス板の上面及び下面からドリルを夫々侵入させることにより、ガラス板に貫通孔を穿設する際に使用する加工治具であって、ガラス板の上面側及び下面側に対向して配置される2つの保持部材を有し、各保持部材は、対向する保持部材との間でガラス板を挟持する保持面と、保持面と直交する方向に延び、一端が保持面に開口したドリル挿通孔と、ドリル挿通孔の周縁部に、ガラス板の被加工部を指向するように設けられた切削液の吐出口と、ドリル挿通孔と外部を連通させる廃液通路とを備え、廃液通路を、保持面から軸方向に離間した位置で、ドリル挿通孔と外部を連通させる貫通孔で構成したことを特徴とする。なお、本発明でいう「ガラス板の被加工部」とは、ガラス板のうち、ドリル加工によって貫通孔が穿設される部位(領域)をいう。
上記したように、本発明に係る加工治具を用いれば、ガラス板の被加工部を含む所定領域が2つの保持面間で挟持固定され、この挟持固定された領域では、ガラス板の厚み方向での変位が規制される。しかも、廃液通路を、保持面から軸方向に離隔した位置で、ドリル挿通孔と外部を連通させる貫通孔で構成したことから、各保持部材のガラス板との接触端面全域を保持面として活用することができる。そのため、廃液通路を保持面に開口した溝状に形成する場合(図5)と比較して、保持面の有効面積を拡大することができると共に、被加工部の周囲を均等な力で保持することができる。従って、ドリル加工中におけるガラス板の被加工部周縁部の撓み量を一層小さくすることができ、撓みに起因した微小欠陥の発生確率(発生量)をより一層低減することが可能となる。
保持面の有効面積を拡大することができれば、保持部材(加工治具)自体に必要とされる機械的強度を確保し得る範囲内において、廃液通路の流路断面積を増大することができるので、廃液の排出効率を一層向上することができる。また、切削液を吐出する切削液吐出口が、ガラス板の被加工部を指向していることから、吐出された切削液をガラス板の被加工部の潤滑・冷却に有効利用することができる。以上のことから、ドリル加工によってガラス板に貫通孔を穿設する最中に、ガラス板の被加工部及びその周縁部に微小欠陥が発生するのを効果的に防止することができる。
上記の構成において、廃液通路は、ドリル挿通孔を中心として放射状に複数設けることができる。
切削液吐出口から吐出された切削液には、ドリルが回転するのに伴って遠心力が作用する。そのため、廃液通路を、ドリル挿通孔を中心として放射状に複数設けておけば、廃液を効率的に外部に排出することができる。また、回転中のドリルに切削液が接触したとき、加工条件(ドリル回転数や加工速度等)により切削液の流れ方向に変化が生じる。廃液通路が放射状に複数設けられていれば、最も抵抗の少ない廃液通路から廃液が排出されるため、ガラス板とドリルの接点における切削液の交換が円滑に実行される。これらの点からも、微小欠陥が発生するのを効果的に低減することができる。
ところで、廃液通路を、図5に示すような保持面に開口した溝状に形成した場合、廃液通路を比較的容易に形成することができるというメリットがある。また、廃液が流通することによって廃液通路の内壁面に付着した(廃液通路内に堆積した)切粉の除去作業を簡便に実行することができるというメリットもある。切粉の除去作業を簡便に実行することができれば、廃液通路内に堆積した切粉によって廃液の排出効率が低下するのを、またこれに伴って、廃液に含まれる切粉がガラス板とドリルの間に侵入し、その結果、ガラス板に微小欠陥が形成され易くなるのを可及的に防止する上で有利である。
そこで、本発明では、貫通孔で構成される廃液通路を、二部材の接合部に形成する構成を提供する。
このようにすれば、廃液通路を貫通孔で構成するときに得られる上述のメリットを有効に享受しつつ、廃液通路を溝状に形成したときに得られる上述のメリットをも有効に享受することができる。
以上の構成において、ドリル挿通孔は、ドリル径が1mm〜5mmのドリルを挿通可能な孔径に設定することができる。また、本発明に係る加工治具は、ガラス板が、フラットパネルディスプレイ用のガラス板であるとき、すなわち、フラットパネルディスプレイ用のガラス板に貫通孔を穿設するときに好ましく使用することができる。
以上に示すように、本発明に係るガラス板の加工治具であれば、ドリル加工によってガラス板に貫通孔を穿設する際に、ガラス板の被加工部及びその周縁部にクラックやチッピングなどの微小欠陥が形成される確率をより一層効果的に低減することができる。これにより、ガラス板の生産効率や歩留を向上することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1(a)及び図1(b)に、本発明の第1実施形態に係る加工治具1の概略平面図及び概略正面図をそれぞれ示す。同図に示す加工治具1は、図示外の支持部材上に平置きされた矩形状のガラス板Gの上面Ga及び下面Gbから上部ドリル11及び下部ドリル12を夫々侵入させることにより、ガラス板Gのコーナー部に貫通孔を穿設する際に使用される(ガラス板Gに貫通孔を穿設するドリル加工機に設置して使用される)ものであり、ガラス板Gの上面Ga側に配置される上部保持部材2と、ガラス板Gの下面Gb側に、上部保持部材2と対向配置される下部保持部材3とを主要部とする。貫通孔の穿設対象であるガラス板Gは、フラットパネルディスプレイ(FPD)の一種であるプラズマディスプレイ(PDP)用のガラス板である。
図1に示すドリル加工機において、上部ドリル11及び下部ドリル12の基端部は、それぞれ、昇降移動可能とされたドリルホルダーに保持されている。上部ドリル11は、円柱状のドリル胴部11aの下端に、先端に向かって漸次縮径するドリル先細り部11bが滑らかに連なったものであり、また下部ドリル12も同様に、円柱状のドリル胴部12aの上端に、先端に向かって漸次縮径するドリル先細り部12bが滑らかに連なったものである。上部ドリル11及び下部ドリル12のドリル径(ドリル胴部11a,12aの直径)は、要求される貫通孔の孔径に応じて選択可能であり、例えば1〜5mmの範囲内で選択される。
加工治具1を構成する上部保持部材2は、平面視真円状に形成されており、対向する下部保持部材3との間でガラス板Gの被加工部Xの周縁部を挟持する保持面4と、上部ドリル11を挿通させるドリル挿通孔5と、ドリル挿通孔5の径方向外側に一又は複数(図示例は二つ)設けられた切削液供給路7と、廃液通路6とを備える。上部保持部材2のうち、少なくとも保持面4は、当該保持面4をガラス板Gに接触させたときにガラス板Gにキズ等が形成されるのを可及的に防止すべく、ゴムや樹脂等の弾性材料で形成されている。ここで、下部保持部材3は、上部保持部材2と実質的に同一の構成を備えている。従って、以下では、上部保持部材2の各部についてのみ詳細に説明を行い、下部保持部材3の各部についての詳細な説明は省略する。
図2に拡大して示すように、各切削液供給路7は、軸方向に対して傾斜している。より詳しくは、吐出口7bが、保持面4とは反対側の端面に開口した流入口7aよりも径方向内側で保持面4に開口し、かつガラス板Gの被加工部Xを指向するように、軸方向に対して傾斜している。このように、切削液8の吐出口7bをガラス板Gの被加工部Xを指向するように設けることで、吐出口7bから吐出された切削液8をガラス板G(ガラス板Gとドリルの接点)の潤滑・冷却に有効利用することができる。なお、各切削液供給路7は、図3に拡大して示すように、上部保持部材2を平面視したとき、切削液供給路7の中央部に沿って延びる仮想線L1が、上部保持部材2の軸心(上部ドリル11の回転中心)を通って径方向に延びる中心線L2から所定量δだけオフセットした箇所に位置するように設けられている。このような構成としておけば、切削液供給路7の吐出口7bから吐出された切削液8が回転している上部ドリル11とぶつかるため、ガラス板Gの被加工部Xに切削液8が供給され易くなり、ガラス板Gの被加工部Xの潤滑・冷却効果、および切削液8による切粉の捕捉効果を一層有効に享受することができる。図3においては、理解の容易化のために、中心線L2に対する仮想線L1のオフセット量δ(切削液供給路7の中心線L2からの位置ズレ量)を誇張して描いている。
廃液通路6は、ドリル挿通孔5と外部(加工治具1外部)を連通させる通路であり、切削液供給路7の吐出口7bから吐出された切削液8は、この廃液通路6を流通して外部に排出されるようになっている。本実施形態において、廃液通路6は、保持面4から軸方向に離間した位置にてドリル挿通孔5と外部を連通させる貫通孔で構成されており、ドリル挿通孔5を中心として放射状に複数(図示例では8本)設けられている。廃液通路6の通路幅や本数は、必要とされる廃液性能等を考慮して任意に設定することが可能である。
以上の構成からなる加工治具1を用いてのガラス板Gに対する貫通孔の穿設作業は、概ね次のようにして行うことができる。
先ず、上部保持部材2及び下部保持部材3の保持面4,4でガラス板Gの上面Ga及び下面Gbを夫々保持することによってガラス板Gの被加工部Xの周縁部を挟持し、その状態で、上部ドリル11を回転させつつ下降移動させることにより、ガラス板Gの上面Gaから上部ドリル11を侵入させる。この上部ドリル11による穿孔作業中、又は穿孔作業前に切削液供給路7の吐出口7bから切削液8を吐出させる。切削液8は、連続的に吐出させても良いし、間欠的(断続的)に吐出させることもできる。これにより、ガラス板Gの被加工部Xが切削液8によって潤滑・冷却され、また穿孔作業が進展するのに伴って形成された切粉(微小なガラス片)が切削液8で捕捉される。切粉を含む切削液8(廃液)は、廃液通路6を流通して外部に排出される。
上部ドリル11がある程度ガラス板Gに侵入した時点、例えば、上部ドリル11のドリル胴部11aがガラス板Gに完全に侵入した時点で、上部ドリル11の下降を停止し、上部ドリル11を上昇移動(原点復帰)させる。これにより、ガラス板Gには、上面Gaのみに開口した非貫通状態の孔部が形成された状態となる。このとき、非貫通状態の孔部の孔深さは、当該孔部の底部からガラス板Gの下面Gbまでの距離が、下部ドリル12のドリル先細り部12bの軸方向寸法よりも短くなるようにするのが望ましい。下部ドリル12をガラス板Gの下面Gbから侵入させたときにおける下部ドリル12の芯ブレ等を可及的に防止することができるからである。
上部ドリル11を原点復帰させた後、下部ドリル12を回転させつつ上昇移動させることにより、ガラス板Gの下面Gbから下部ドリル12を侵入させる。この下部ドリル12による穿孔作業中には、上部ドリル11による穿孔作業中と同様の態様で切削液8が供給され、切粉を含む切削液8(廃液)は、下部保持部材3の廃液通路6を流通して外部に排出されると共に、その自重によってドリル挿通孔5の保持面4とは反対側の開口部から外部に排出される。下部ドリル12がガラス板Gの上面Ga側に突き抜けた時点で下部ドリル12の上昇移動を停止させ、下部ドリル12を下降移動(原点復帰)させる。以上の工程を経ることにより、ガラス板Gのコーナー部等に、ガラス板Gの上面Ga及び下面Gbに開口した貫通孔が穿設される。
なお、図示は省略しているが、上部保持部材2の保持面4でガラス板Gの上面Gaを保持すると共に、下部保持部材3の保持面4でガラス板Gの下面Gbを保持することによってガラス板Gの被加工部Xの周縁部を上下両側から挟持したときには、上部保持部材2と下部保持部材3の相対移動が規制されるようになっている。これにより、例えば、上部ドリル11による穿孔作業中に上部ドリル11と上部保持部材2が干渉(又は下部ドリル12による穿孔作業中に下部ドリル12と下部保持部材3が干渉)し、加工不良が生じるような事態が可及的に防止される。
また、本実施形態では、ドリル加工によってガラス板Gに貫通孔を穿設するに際し、上部ドリル11をガラス板Gの所定深さまで侵入させ、これを原点復帰させてから、下部ドリル12をガラス板Gに侵入させるようにしたが、ガラス板Gの被加工部Xの周縁部にクラック等の微小欠陥が形成されるのを可及的に防止することができるのであれば、下部ドリル12をガラス板Gの所定深さまで侵入させ、これを原点復帰させてから、上部ドリル11をガラス板Gに侵入させるようにしても構わない。
以上の構成を備えた本発明に係る加工治具1を用いれば、ドリルによる穿孔作業中、ガラス板Gの被加工部Xの周縁部が2つの保持面4,4間で挟持固定され、この挟持固定された領域では、ガラス板Gの厚み方向での変位が規制される。しかも、廃液通路6を、保持面4から軸方向に離間した位置でドリル挿通孔5と外部を連通させる貫通孔で構成したことから、上部保持部材2のうちガラス板Gの上面Gaとの接触端面(下端面)、及び下部保持部材3のうちガラス板Gの下面Gbとの接触端面(上端面)全域を保持面4として活用することができる。従って、廃液通路6を保持面4に開口した溝状に形成する場合(図5参照)と比較して、保持面4の有効面積を拡大することができると共に、ガラス板Gの被加工部Xの周縁部を均等な力で保持することができる。これにより、ドリル加工中におけるガラス板Gの被加工部X周縁部の撓み量を一層小さくすることができ、撓みに起因した微小欠陥の発生確率をより一層低減することが可能となる。
また、保持面4の有効面積を拡大することができれば、各保持部材2,3、並びに加工治具1自体に必要とされる機械的強度を確保し得る範囲内において、廃液通路6の流路断面積を増大することができる。従って、本実施形態のように、廃液通路6を、ドリル挿通孔5を中心として放射状に複数設けることが可能となる。また、切削液供給路7の吐出口7bから吐出された切削液8には、上部ドリル11(又は下部ドリル12。以下同様。)が回転するのに伴って遠心力が作用する。これらのことから、廃液通路6を、ドリル挿通孔5を中心として放射状に複数設けておけば、廃液の排出効率をより一層向上することができる。廃液の排出効率が高まれば、廃液中に含まれる切粉がガラス板Gと上部ドリル11の接点に侵入し難くなるので、ガラス板Gと上部ドリル11の接点に切粉が侵入することによる微小欠陥の発生確率を効果的に低減することができる。なお、回転中のドリルに切削液8が接触したとき、加工条件(ドリル回転数や加工速度等)により切削液8の流れ方向に変化が生じる。廃液通路6が放射状に複数設けられていれば、最も抵抗の少ない廃液通路6から廃液が排出されるため、ガラス板Gと上部ドリル11の接点における切削液8の交換が円滑に実行される。この点からも、微小欠陥の発生確率を効果的に低減することができる。
以上のことから、本発明に係る加工治具1を用いれば、上部ドリル11および下部ドリル12による穿孔作業中に、ガラス板Gの被加工部X及びその周縁部に微小欠陥が発生する確率(微小欠陥の発生量)をより一層効果的に低減することができる。
以上、本発明の一実施形態に係る加工治具1について説明を行ったが、本発明の実施の形態は、上記のものに限定されるわけではない。
図4に、本発明の第2実施形態に係る加工治具1を構成する上部保持部材2の概略正面図を示す。同図に示す加工治具1(上部保持部材2)は、主に、貫通孔状の廃液通路6を二つの部材(第1分割部材21及び第2分割部材22)の接合部に形成した点において、以上で述べた実施形態と構成を異にする。さらに詳しく述べると、第1分割部材21は、ドリル挿通孔5(の上側部分)と、このドリル挿通孔5の径方向外側に形成された切削液供給路7とを備える部材であり、第2分割部材22は、保持面4と、ドリル挿通孔5(の下側部分)と、ドリル挿通孔5を中心として放射状に延び、かつ上端面に開口した溝状に形成された複数の廃液通路6とを備える部材である。そして、第1分割部材21の下端面と第2分割部材22の上端面(保持面4とは反対側の端面)とを衝合させ、両者を適当な手段で一体化すれば、以上で述べた実施形態と同様に、貫通孔状に形成された複数の廃液通路6を備えた上部保持部材2が得られる。
ところで、円盤形状を呈するワークに対する溝加工と、同ワークに対する貫通孔の形成加工とでは、前者の加工の方が容易である。そのため、図4に示すように、貫通孔状の廃液通路6を二部材の接合部に形成すれば、貫通孔状の廃液通路6を比較的容易に形成することが可能となる。また、廃液通路6が溝状を呈していれば、廃液が流通することによって廃液通路6の内壁面に付着した(廃液通路6内に堆積した)切粉の除去作業を簡便に実行することができるというメリットもある。切粉の除去作業を簡便に実行することができれば、廃液通路6内に堆積した切粉によって廃液の排出効率が低下するのを、またこれに伴って、廃液に含まれる切粉がガラス板Gとドリル11,12の間に侵入し、その結果、ガラス板Gに微小欠陥が発生し易くなるのを可及的に防止する上で有利である。
このように、貫通孔状の廃液通路6を二部材(第1分割部材21及び第2分割部材22)の接合部に形成すれば、前述した廃液通路6を貫通孔で構成するときに得られるメリット(保持面4の有効面積拡大や廃液通路6の流路断面積拡大)を有効に享受しつつ、廃液通路6を溝状に形成したときに得られるメリット(廃液通路6の形成容易性及び清掃容易性)をも有効に享受することができる。
なお、図示は省略するが、貫通孔状の廃液通路6は、相手側との接合面に溝状の廃液通路6を形成した第1分割部材21と第2分割部材22とを接合することで形成することも可能である。
以上では、フラットパネルディスプレイ(FPD)の一種であるプラズマディスプレイ(PDP)用のガラス板Gに貫通孔を穿設するに際して、本発明に係る加工治具1を用いる場合について説明を行ったが、本発明に係る加工治具1は、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等、他のFPD用ガラス板に貫通孔を穿設する場合にも好ましく用いることができるのはもちろんのこと、その他、クラック等の微小欠陥の形成が問題となる貫通孔をガラス板に形成する場合にも好ましく用いることができる。
本発明の有用性を実証するため、A:「図1に示す加工治具1を用いたドリル加工でガラス板に貫通孔を穿設する場合」と、B:「図5に示す加工治具100を用いたドリル加工でガラス板に貫通孔を穿設する場合」とで、微小欠陥の発生度合いにどの程度差が生じるのかを比較検証した。ここでは、孔加工を施したガラス板に貼り付けたラバーヒーター(シリコンラバーヒーター)でガラス板を加熱することによってガラス板に熱曲げを生じさせ、ガラス板が破断したときの熱強度を算出することで微小欠陥の発生度合いを検証した。すなわち、微小欠陥が多く発生しているほどガラス板が破断し易くなるので、上記手順で算出される熱強度が高ければ高いほど、ガラス板の被加工部周縁等における微小欠陥の発生度合いが小さいと言える。なお、比較試験で使用したガラス板のサイズは高さ500mm×幅600mm×厚み1.8mmであり、また上記A,Bの場合共にサンプル数は20とし、その平均値を算出した。その結果、上記Aの場合の熱強度は1246kg/cm2であり、上記Bの場合の熱強度は1137kg/cm2であった。従って、図5に示す加工治具100を用いてガラス板にドリル加工を施すよりも、図1に示す加工治具1を用いてガラス板にドリル加工を施す場合の方が、ガラス板に微小欠陥が発生するのを防止する上で有効であることが理解される。
1 加工治具
2 上部保持部材
3 下部保持部材
4 保持面
5 ドリル挿通孔
6 廃液通路
7 切削液供給路
7b 吐出口
8 切削液
11 上部ドリル
12 下部ドリル
G ガラス板
Ga 上面
Gb 下面
X 被加工部
2 上部保持部材
3 下部保持部材
4 保持面
5 ドリル挿通孔
6 廃液通路
7 切削液供給路
7b 吐出口
8 切削液
11 上部ドリル
12 下部ドリル
G ガラス板
Ga 上面
Gb 下面
X 被加工部
Claims (5)
- 切削液を供給しながらガラス板の上面及び下面からドリルを夫々侵入させることにより、前記ガラス板に貫通孔を穿設する際に使用する加工治具であって、前記ガラス板の上面側及び下面側に対向して配置される2つの保持部材を有し、各保持部材は、
対向する保持部材との間で前記ガラス板を挟持する保持面と、
前記保持面と直交する方向に延び、一端が前記保持面に開口したドリル挿通孔と、
前記ドリル挿通孔の周縁部に、前記ガラス板の被加工部を指向するように設けられた切削液の吐出口と、
前記ドリル挿通孔と外部を連通させる廃液通路とを備え、該廃液通路を、前記保持面から軸方向に離間した位置で、前記ドリル挿通孔と外部を連通させる貫通孔で構成したことを特徴とするガラス板の加工治具。 - 前記廃液通路が、前記ドリル挿通孔を中心として放射状に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の加工治具。
- 前記廃液通路を、二部材の接合部に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板の加工治具。
- 前記ドリル挿通孔は、ドリル径が1mm〜5mmの前記ドリルを挿通可能な孔径に設定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のガラス板の加工治具。
- 前記ガラス板が、フラットパネルディスプレイ用のガラス板であるときに使用される請求項1〜4の何れか一項に記載のガラス板の加工治具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011055538A JP2012188337A (ja) | 2011-03-14 | 2011-03-14 | ガラス板の加工治具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011055538A JP2012188337A (ja) | 2011-03-14 | 2011-03-14 | ガラス板の加工治具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2012188337A true JP2012188337A (ja) | 2012-10-04 |
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ID=47081913
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JP2011055538A Withdrawn JP2012188337A (ja) | 2011-03-14 | 2011-03-14 | ガラス板の加工治具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012188337A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104552623A (zh) * | 2013-10-25 | 2015-04-29 | 三星钻石工业股份有限公司 | 切断装置 |
-
2011
- 2011-03-14 JP JP2011055538A patent/JP2012188337A/ja not_active Withdrawn
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