JP2012187683A - 熱変位補正装置および熱変位補正方法 - Google Patents
熱変位補正装置および熱変位補正方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ワークWの温度を実際に変化させた時にワークWの基準点P1に対するワークWの所定点P2〜P7の熱変位方向θ2〜θ7を予め測定しておき、測定した熱変位方向θ2〜θ7をデータベース32に記憶しておく。データベース32に記憶されているワークWの所定点P2〜P7の熱変位方向θ2〜θ7、ワークWの温度Tw、および、ワークWの線膨張係数に基づいて、加工時におけるワークWの所定点P2〜P7の熱変位補正位置Ob2〜Ob7を算出する。そして、ワークWの所定点P2〜P7を工具5により加工する際に、熱変位補正位置Ob2〜Ob7に基づいてワークWの基準点P1に対する工具5の相対位置を補正する。
【選択図】図3
Description
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ワークの形状の影響によって、熱変位する方向や熱変位の大きさが、理論値とは異なることを見出した。具体的には、基準点から見た所定点の熱変位方向は、基準点と所定点とを結ぶ直線上からずれていることを発見した。
上記においては、本発明を熱変位補正装置として捉えたものとして記載した。この他に、本発明は、熱変位補正方法として捉えることもできる。
本発明の熱変位補正装置および熱変位補正方法を適用した工作機械の一例として、横型マシニングセンタを例に挙げ、図1を参照して説明する。当該工作機械は駆動軸として、相互に直交する3つの直進軸(X,Y,Z軸)を有する工作機械である。
次に、ワークWの一例について図2および図3を参照して説明する。図2および図3に示すように、台形の開口部を有する有底箱形に形成された箱形本体11と、箱形本体11の開口縁全周にて外側へ延在したフランジ部12と、箱形本体11の内部にて側面と底面とに固定された複数のリブ13〜16とを備える。さらに、フランジ部12には、7個の穴P1〜P7が貫通形成されている。このワークWは、例えば、アルミニウムや鉄などの金属製からなる。つまり、ワークWは、X軸方向においても、Y軸方向においても、非対称形状である。特に、このような非対称形状からなるワークWは、理論値とは異なる熱変位をすることが分かった。
本実施形態における熱変位補正に関する手順について、図4のフローチャートを参照して説明する。図4に示すように、まず、測定室における事前測定により、穴P1の中心位置O1を基準点とした場合に、各穴P2〜P7の熱変位方向を表す角度θ2〜θ7、および、各穴P2〜P7の線膨張係数a2〜a7を算出して、後述するデータベースに記憶しておく(ステップS1)。その後に、データベースに記憶されている情報を用いた熱変位補正を行いながら、ワークWの穴P1〜P7を工具5により加工する(ステップS2)。以下に、それぞれのステップにおける詳細について説明する。
図4のステップS1における事前測定について、図3および図5を参照して説明する。上述したワークWにおいて、穴P1〜P7を加工部位とした場合に、各穴P1〜P7の熱変位位置を実際に測定する。ここで、熱変位位置とは、ワークWの温度Twが基準温度T0の場合における各穴P2〜P7の中心位置O2〜O7のそれぞれを原点として、ワークWの温度Twが基準温度T0から変化することに伴って、穴P2〜P7の中心位置O2〜O7が移動した座標を意味する。
次に、上述した工作機械の制御ブロック構成について図6〜図9を参照して説明する。図6に示すように、工作機械は、NCプログラム41に基づいて、各軸モータ43を制御する制御装置30を備える。そして、ワークWに対して工具5が相対移動することによって、工具5によりワークWが加工される。また、ワークWの加工は、ワークWにクーラントをかけながら行う。ここで、ワークWの温度Twは、室温Trおよびクーラント温度Tcに影響を受ける。ただし、クーラント温度Tcは、室温Trに一致するように温度制御されている。そのため、ワークWの温度Twはクーラント温度Tcにほぼ一致する。
データベース32に記憶する情報についての第二実施形態について、図10を参照して説明する。図10に示すように、データベース32において、穴P2〜P7における線膨張係数として、穴P2〜P7全てについて一定値aaveを記憶している。この線膨張係数aaveは、実測した各穴P2〜P7における線膨張係数a1〜a7の平均値である。この平均値である線膨張係数aaveは、当然ではあるが、理論値と一致するとは限らない。そして、熱変位補正位置算出部33による熱変位補正位置算出処理は、線膨張係数aaveが相違するのみで、上記と同様の処理となる。
上記においては、ワークWの穴P1〜P7を加工部位とした場合について説明した。この他に、図11に示すワークWの面を加工部位として、上記の熱変位補正を適用することもできる。ワークWの面などの加工部位としては、曲面形状部位であってもよいし、平面形状部位であってもよい。
上記実施形態においては、ワークWの温度Twについてクーラント温度Tcを用いた。この他に、ワークWの温度Twが室温Trに一致するのであれば、室温Trを計測して、計測した室温TrをワークWの温度Twとして適用することもできる。また、非接触温度センサを用いることで、ワークW自身の温度Twを直接計測できる。
32:データベース、 33:熱変位補正位置算出部、 34:補正部
42:クーラント温度センサ
P1:基準穴、 P2〜P7:熱変位補正対象の穴、 W:ワーク
Claims (6)
- ワークの熱変位に基づいて前記ワークの基準点に対する工具の相対位置を補正する熱変位補正装置であって、
前記ワークの温度を実際に変化させた時に予め測定した前記ワークの基準点に対する前記ワークの所定点の熱変位方向を記憶するデータベースと、
加工時における前記ワークの温度を直接または間接に計測する温度計測手段と、
前記データベースに記憶されている前記ワークの所定点の熱変位方向、前記温度計測手段により計測された前記ワークの温度、および、前記ワークの線膨張係数に基づいて、加工時における前記ワークの所定点の熱変位補正位置を算出する熱変位補正位置算出手段と、
前記ワークの所定点を前記工具により加工する際に、前記熱変位補正位置に基づいて前記ワークの基準点に対する前記工具の相対位置を補正する補正手段と、
を備える熱変位補正装置。 - 請求項1において、
前記データベースは、前記ワークの温度を実際に変化させた時に予め測定した前記ワークの基準点に対する前記ワークの所定点の熱変位量と前記ワークの温度とに基づいて算出した前記ワークの線膨張係数をさらに記憶し、
前記熱変位補正位置算出手段は、前記データベースに記憶されている前記ワークの線膨張係数を用いて、前記ワークの所定点の熱変位補正位置を算出する熱変位補正装置。 - 請求項2において、
前記ワークの所定点は、複数であり、
前記データベースに記憶されている前記線膨張係数は、前記ワークの複数の所定点における線膨張係数の平均値である熱変位補正装置。 - 請求項2において、
前記ワークの加工部位は、複数の穴であり、
前記ワークの所定点は、それぞれの前記穴であり、
前記データベースに記憶されている前記線膨張係数は、前記ワークのそれぞれの所定点の線膨張係数であり、
前記熱変位補正位置算出手段は、前記データベースに記憶されている前記ワークのそれぞれの所定点の線膨張係数を用いて、前記ワークのそれぞれの所定点の熱変位補正位置を算出する熱変位補正装置。 - 請求項1において、
前記ワークの加工部位は、曲面形状部位または平面形状部位であり、
前記ワークの所定点は、前記ワークの加工部位に含まれる複数の点であり、
前記データベースに記憶されている前記熱変位方向は、前記ワークのそれぞれの所定点の熱変位方向であり、
前記熱変位補正位置算出手段は、前記ワークの加工点に応じた前記熱変位方向を、前記データベースに記憶されている前記ワークのそれぞれの所定点の熱変位方向を用いて補間することにより算出する熱変位補正装置。 - ワークの熱変位に基づいて前記ワークの基準点に対する工具の相対位置を補正する熱変位補正方法であって、
前記ワークの温度を実際に変化させた時に前記ワークの基準点に対する前記ワークの所定点の熱変位方向を予め測定する測定工程と、
加工時における前記ワークの温度を直接または間接に計測する温度計測工程と、
予め測定した前記ワークの所定点の熱変位方向、前記温度計測工程にて計測された前記ワークの温度、および、前記ワークの線膨張係数に基づいて、加工時における前記ワークの所定点の熱変位補正位置を算出する熱変位補正位置算出工程と、
前記ワークの所定点を前記工具により加工する際に、前記熱変位補正位置に基づいて前記ワークの基準点に対する前記工具の相対位置を補正する補正工程と、
を備える熱変位補正方法。
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