JP2012185995A - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電池の性能を高めることができる固体酸化物形燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料極2と、燃料極2の一方面に配置された電解質3と、電解質3の一方面に配置された少なくとも1つの中間層4と、中間層4の一方面に配置された少なくとも1つの空気極5と、を備え、中間層4は、銀(Ag)を含む固体酸化物形燃料電池1である。
【選択図】図1
【解決手段】燃料極2と、燃料極2の一方面に配置された電解質3と、電解質3の一方面に配置された少なくとも1つの中間層4と、中間層4の一方面に配置された少なくとも1つの空気極5と、を備え、中間層4は、銀(Ag)を含む固体酸化物形燃料電池1である。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料ガス及び酸化剤ガスと反応することにより発電する固体酸化物形燃料電池に関する。
一般的に、固体酸化物形燃料電池は、電解質と、電解質の表裏面に配置された電極とを備えているが、このような固体酸化物形燃料電池では、電解質が平滑の場合、電極材料との密着性が低いため発電中に電極が電解質から剥離してしまうことがある。このような電解質と電極との剥離が生じると、電池の性能が低下してしまうので、これを解決する手段が求められている。そこで、このような問題を解決するものとして、例えば、特許文献1に記載の発明が従来から知られている。
特許文献1に記載の発明は、表面が粗化されたセラミックグリーンシートを製造する方法であって、未処理セラミックグリーンシートを、表面が粗化された表面粗化用金型により加圧処理する工程を含むことを特徴とする製造方法である(特許文献1の[請求項1]参照)。このような構成によれば、表面が粗化されたセラミックグリーンシートを製造することができ、このセラミックグリーンシートを固体酸化物形燃料電池の電解質膜として用いることができる。その結果、表面粗化セラミックグリーンシートは平坦なシートと比較すると表面積が大きいことから、これを電解質膜として用いると、電解質膜と電極との接触面積を大きくすることができる。これにより、電解質膜と電極との密着性を高めることができ、剥離を防ぐことができる。また、電解質膜と電極との接触面積が大きくなることにより、電極反応を促進することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、セラミックグリーンシートを表面粗化用金型により加圧処理するので、セラミックグリーンシートに圧力が作用することによって、クラックが生じ易くなるという問題があった。特に、電池の性能を高めるために電解質を薄くする場合には、セラミックグリーンシートが薄いので、加圧処理によるクラックの問題が顕著になっていた。また、セラミックグリーンシートが薄いと、クラックが生じるのであまり大きく粗化することができず、そのため、セラミックグリーンシートの表面積があまり大きくならず、密着性を高めることや電極反応を促進することに限界があった。その結果、電池性能を高めることが困難になっていた。さらに、表面粗化用金型の設計・製作も困難であった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、電池の性能を高めることができる固体酸化物形燃料電池の提供を目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための固体酸化物形燃料電池であって、燃料極と、前記燃料極の一方面に配置された電解質と、前記電解質の一方面に配置された少なくとも1つの中間層と、前記中間層の一方面に配置された少なくとも1つの空気極と、を備え、前記中間層は、銀(Ag)を含む固体酸化物形燃料電池である。
このような構成によれば、電解質と空気極との間に介在する中間層に銀が含まれているので、その銀が接着剤として作用して、電解質と空気極との密着性を高めることができる。これにより、電解質と空気極との剥離を防ぐことができ、燃料電池の性能を高めることができる。また、中間層の含まれる銀は、酸素を吸着・イオン化する性能に優れている。そのため、中間層のAgによって空気極に効率的に酸素を供給することができ、空気極の電極反応を促進することができ、燃料電池の性能を高めることができる。したがって、電解質と空気極との密着性の向上と、空気極の電極反応の向上とが相まって、燃料電池の性能を一層高めることができる。
また、上記固体酸化物形燃料電池において、前記中間層は、電解質材料を含む構成でもよい。
また、空気極が、銀(Ag)を含む構成でもよい。
また、前記空気極が、複数であり、互いに離間している構成でもよい。
また、前記中間層が、複数であり、互いに離間している構成でもよい。
本発明の固体酸化物形燃料電池によれば、電池の性能を高めることができる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の断面図である。
図1に示すように、この固体酸化物形燃料電池1(以下、「燃料電池1」という)は、平板状の燃料極2と、燃料極2の一方面(表面)に配置された薄膜状の電解質3と、電解質3の一方面(表面)に配置された薄膜状の中間層4と、中間層4の一方面(表面)に配置された薄膜状の空気極5と、を備えている。これにより、電解質3と空気極5との間に中間層4が介在している。中間層4は、電解質3の表面に均一に積層されている。燃料極2、電解質3、中間層4及び空気極5の各々の表裏面の形状は特に限定されるものではなく、例えば平滑に形成されていても凹凸状に形成されてもよい。
電解質3の厚みは、電池の性能を高める観点から、1μm〜1000μmが好ましい。また、中間層4の厚みは、電解質3と空気極5との密着性を高める観点から、1μm〜30μmが好ましい。また、燃料極2および空気極5の厚みは、1μm〜100μmが好ましく、燃料極2又は空気極5を支持体として用いる場合は、支持体となる電極の厚みが100μm〜1000μmであることが好ましい。また、燃料極2および空気極5には、図示しないインターコネクタが接続されている。
次に、上述した燃料電池1の各構成要素の材料について説明する。
燃料極2の材料としては、固体酸化物形燃料電池の燃料極の材料として公知のものを使用することができ、例えば、金属触媒と、酸化物イオン導電体からなるセラミックス粉末材料との混合物を用いることができる。このとき用いられる金属触媒としては、ニッケル、鉄、コバルトや、貴金属(白金、ルテニウム、パラジウム等)等の還元性雰囲気において安定で、水素酸化活性を有する材料を用いることができる。また、酸化物イオン導電体としては、蛍石型構造又はペロブスカイト型構造を有するものを好ましく用いることができる。蛍石型構造を有するものとしては、例えばサマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物などを挙げることができる。また、ペロブスカイト型構造を有するものとしてはストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物を挙げることができる。上記材料の中では、酸化物イオン導電体とニッケルとの混合物で、燃料極を形成することが好ましい。なお、酸化物イオン導電体からなるセラミックス材料とニッケルとの混合形態は、物理的な混合形態であってもよいし、ニッケルへの粉末修飾などの形態であってもよい。また、上述したセラミックス材料は、1種類を単独で、或いは2種類以上を混合して使用することができる。また、燃料極2は、金属触媒を単体で用いて構成することもできる。
電解質層3の材料としては、固体酸化物形燃料電池の電解質の材料として公知のものを使用することができ、例えば、サマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、ストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物などの酸素イオン伝導性セラミックス材料を用いることができる。
中間層4の材料としては、銀(Ag)を含む材料であれば限定されず、銀のみ、若しくは、銀(Ag)と他の金属との合金や複合体を用いることができる。このような金属としては、例えば、白金(Pt)やパラジウム(Pd)などがある。このとき、合金や複合体は耐熱性を有することが好ましく、中間層4を銀(Ag)と他の金属との合金や複合体とすることで中間層4の導電性を高めることができる。また、中間層4の材料としては、銀と電解質材料とを混合したものを用いることができる。電解質材料としては、上述した電解質3の材料と同様の材料を用いることができる。
中間層4における銀(Ag)の含有量は、電解質3と空気極5との密着性や電池性能の観点から、30wt%〜70wt%であることが好ましい。
空気極5の材料としては、固体酸化物形燃料電池の空気極の材料として公知のものを使用することができ、例えば、ペロブスカイト型構造等を有するCo,Fe,Ni,Cr又はMn等からなる金属酸化物を用いることができる。具体的には(Sm,Sr)CoO3,(La,Sr)MnO3,(La,Sr)CoO3,(La,Sr)(Fe,Co)O3,(La,Sr)(Fe,Co,Ni)O3などの酸化物が挙げられ、好ましくは、(La,Sr)MnO3である。上述した材料は、1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。
また、空気極5は、銀(Ag)やその合金又はその複合体を含有していてもよく、その含有量は、電池性能の観点から、5w%〜40wt%であることが好ましい。
また、燃料極2、電解質層3、中間層4及び空気極5は、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレーコート法、スピンコ−ト法、泳動電着法、ロ−ルコ−ト法、グラビアロ−ルコ−ト法、ディスペンサーコート法、CVD,EVD,スパッタリング法、転写法等の一般的な印刷法を用いて作製することができる。
以上のような構成を備える燃料電池1により発電をするときは、燃料電池1の燃料極2に水素またはメタンやエタンなどの炭化水素からなる燃料ガスを、空気極5に空気等の酸化剤ガスを、高温の状態(例えば、400℃〜1000℃)で供給する。供給された燃料ガス及び酸化剤ガスは、それぞれ燃料極2及び空気極5と接触し、これにより、燃料極2と空気極5との間で電解質3を介したイオン伝導が起こり、発電が行われる。
上記のような燃料電池1によれば、銀を含む中間層4が電解質3と空気極5との間に介在するので、銀が接着層として作用し、電解質3と空気極5との密着性を高めることができる。これにより、電解質3と空気極5との剥離を防ぐことができる。また、空気極5に中間層4の銀が付着するので、この銀により空気極5に酸素が吸着し易くなる。これにより、空気極5の電極反応を促進することができる。特に、空気極5の裏面(他方面)は電解質3と対向しているので酸化剤ガスに接触しにくいが、この部位に中間層4の銀が付着することにより、酸化剤ガスに接触しにくい部位において電極反応を促進することができる。その結果、本発明によれば、電解質3と空気極5との密着性の向上と、空気極5の電極反応の向上とが相まって、燃料電池1の性能を高めることができる。
また、中間層4の存在により、電解質3と空気極5との界面に高抵抗層が発生するのを防ぐことができる。例えば、中間層4が存在しない従来技術では、空気極5の材料をランタン−コバルト系酸化物(LaCoO3)とし、電解質3の材料をジルコニア系酸化物とした場合に、温度が1100℃以上になると空気極5と電解質3とが容易に反応してしまい、LaZrO7(高抵抗層)が発生してしまう。また、空気極5のLaの一部をCa,Srと置換して、空気極5の材料を(La、Ca)CoO3、(La,Sr)CoO3とした場合、空気極5と電解質3との反応性はさらに高くなり、1000℃付近になるとそれぞれCaZrO3、SrZrO3(高抵抗層)を生成してしまう。このため、従来では、前述の高抵抗層の発生を防ぐために、空気極5の材料は電解質と化学反応性が小さい材料に限定されていた。しかしながら、本発明によれば、電解質との化学反応性が小さい中間層4が存在しており、また、上記中間層4による接着性の向上効果により、低温で焼結することが可能となるため空気極5の材料選択の自由度を上げることができる。
また、中間層4が銀および電解質材料を含む構成であると、銀により中間層4と空気極5との密着性が高まると共に、中間層4の酸素イオン伝導も向上することができるため、燃料電池1の性能を向上することが可能となる。
また、空気極5が銀を含有していると、空気極反応を促進させることができるとともに、集電性を向上させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は、上記実施形態に限定されるものではない。
図2は、他の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の断面図であり、図3は、図2に係る固体酸化物形燃料電池の上面図である。図2及び図3において、図1と同様の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。上記実施形態では、空気極5は、中間層4の表面全体にわたり配置されていたが、中間層4の表面に少なくとも1つ配置されていればこの構成に限定されない。例えば、空気極5は、図2及び図3に示すように、中間層4の表面に間隔をあけて複数配置され、複数の空気極5,5・・が互いに離間するように配置されている構成であってもよい。本実施形態では、空気極5,5・・は、格子状に配置されている。このような構成によれば、複数の空気極5,5・・が分離されているので、発電時において、空気極5と、中間層4及び電解質3との熱膨張の差による歪を緩和することができる。これにより、空気極5のクラックや剥離を防ぐことができ、更に燃料電池1の性能を高めることができる。
上記実施形態における複数の空気極5,5・・の形状は、特に限定されず、例えば、四角形,三角形,円形等どのような形状でも良い。また、各空気極5,5間の距離は、電極面積を維持する観点から0.1〜1mmが望ましい。また、上記複数の空気極5,5・・は、スクリーン印刷法により作製することができる。 また、図4は、更に他の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の断面図である。図4において、図2と同様の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。上記空気極5と同様に中間層4もまた、電解質3の表面に少なくとも1つ配置されていればよく、図4に示すように、電解質3の表面に間隔をあけて複数配置され、複数の電解質3,3・・が互いに離間するように配置されている構成であってもよい。分離された各中間層4の表面には、それぞれ、分離された空気極5が配置されている。このような構成によれば、中間層4,4・・が分離しているので、上記と同様に、発電時において、中間層4と電解質3との熱膨張の差による歪を緩和することができる。これにより、中間層4と電解質3との剥離やクラックを防ぐことができる。
上記実施形態における複数の中間層4,4・・の形状は、特に限定されず、例えば、四角形,三角形,円形等どのような形状でも良い。また、各中間層4,4間の距離は、0.1〜1mmが望ましい。また、上記複数の中間層4,4・・は、スクリーン印刷法により作製することができる。また、上記中間層4上に配置される空気極5は、中間層5より大きくなり電解質3に接しなければ、形状、大きさに特に限定はない。
また、上記実施形態では、二室型の燃料電池1として説明したが、単室型の燃料電池1として用いることもできる。単室型の燃料電池として発電をするときは、燃料電池1に、メタンやエタンなどの炭化水素からなる燃料ガスと空気等の酸化剤ガスとの混合ガスを、高温の状態(例えば、400℃〜1000℃)で供給する。供給された燃料ガス及び酸化剤ガスは、それぞれ燃料極2及び空気極5と接触し、これにより、燃料極2と空気極5との間で電解質3を介したイオン伝導が起こり、発電が行われる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されない。以下では、2つの実施例と、これと対比する2つの比較例を作製し、電池性能の評価を実施した。
燃料極ペーストの作製
まず、燃料極材料としてNiO粉末(平均粒径1μm)、GDC(Gd0.1Ce0.9Ox)粉末(平均粒径1μm)を重量比で7:3となるように混合して混合物を作製した。その後、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記混合物の割合が80重量%となるように燃料極ペーストを作製した。つまり、上記混合物と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。燃料極ペーストの粘度はスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。
まず、燃料極材料としてNiO粉末(平均粒径1μm)、GDC(Gd0.1Ce0.9Ox)粉末(平均粒径1μm)を重量比で7:3となるように混合して混合物を作製した。その後、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記混合物の割合が80重量%となるように燃料極ペーストを作製した。つまり、上記混合物と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。燃料極ペーストの粘度はスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。
空気極ペーストの作製
(空気極ペースト1)
続いて、空気極材料としてLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3粉末(以下「LSCF」という。;平均粒径0.5μm)を使用し、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記粉末の割合が80重量%となるように空気極ペースト1を作製した。つまり、LSCF粉末と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。空気極ペースト1の粘度は、燃料極と同様にスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。
(空気極ペースト2)
空気極材料としてAg粉末(平均粒径0.5μm)とLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3粉末(以下「LSCF」という。;平均粒径0.5μm)を重量比で2:8となるように混合して混合物を作製した。続いて、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記粉末の割合が80重量%となるように空気極ペースト2を作製した。つまり、Ag-LSCF粉末と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。空気極ペースト2の粘度は、燃料極と同様にスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。
(空気極ペースト1)
続いて、空気極材料としてLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3粉末(以下「LSCF」という。;平均粒径0.5μm)を使用し、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記粉末の割合が80重量%となるように空気極ペースト1を作製した。つまり、LSCF粉末と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。空気極ペースト1の粘度は、燃料極と同様にスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。
(空気極ペースト2)
空気極材料としてAg粉末(平均粒径0.5μm)とLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3粉末(以下「LSCF」という。;平均粒径0.5μm)を重量比で2:8となるように混合して混合物を作製した。続いて、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記粉末の割合が80重量%となるように空気極ペースト2を作製した。つまり、Ag-LSCF粉末と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。空気極ペースト2の粘度は、燃料極と同様にスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。
中間層ペーストの作製
(中間層ペースト1)
中間層材料として、Ag粉末(平均粒径0.5μm)に、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記混合物の割合が80重量%となるように中間層ペーストを作製した。つまり、上記混合物と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。中間層ペーストの粘度は、燃料極、空気極同様にスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。
(中間層ペースト2)
中間層材料として、Ag粉末(平均粒径0.5μm)、GDC(Gd0.1Ce0.9Ox)粉末(平均粒径1μm)を重量比で7:3となるように混合して混合物を作製した。その後、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記混合物の割合が80重量%となるように中間層ペーストを作製した。つまり、上記混合物と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。中間層ペーストの粘度は、燃料極、空気極同様にスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。
(中間層ペースト1)
中間層材料として、Ag粉末(平均粒径0.5μm)に、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記混合物の割合が80重量%となるように中間層ペーストを作製した。つまり、上記混合物と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。中間層ペーストの粘度は、燃料極、空気極同様にスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。
(中間層ペースト2)
中間層材料として、Ag粉末(平均粒径0.5μm)、GDC(Gd0.1Ce0.9Ox)粉末(平均粒径1μm)を重量比で7:3となるように混合して混合物を作製した。その後、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記混合物の割合が80重量%となるように中間層ペーストを作製した。つまり、上記混合物と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。中間層ペーストの粘度は、燃料極、空気極同様にスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。
次に、電解質材料としてスカンジア安定化ジルコニア粉末(平均粒径0.5μm)を使用した。まず、電解質粉末を耐圧容器に入れ、一軸プレス機にて1t/cm2の圧力で成形した。その後、成形品を真空パックで包装し、静水圧プレス機にて2t/cm2の圧力で再度成形した。続いて、成形品の焼結(1450℃、10時間)を行い電解質基板を作製した。その後、研磨装置を用いてφ13mm、厚さ0.5mmである固体電解質を形成した。
(実施例1)
続いて、固体電解質の上面に、燃料極ペーストをスクリーン印刷法により塗布厚み40μmとなるように印刷した。そして、130℃で15分間乾燥後、燃料極を1450℃で1時間焼結し、燃料極を形成した。なお、燃料極ペーストの塗布面積は、φ11mmである。次に、固体電解質の下面に、燃料極と同様の塗布方法で、中間層ペースト1(Ag)をスクリーン印刷法により塗布し厚み10μmとなるように印刷した。そして、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで中間層を形成した。なお、中間層ペーストの塗布面積は、φ13mmである。
続いて、固体電解質の上面に、燃料極ペーストをスクリーン印刷法により塗布厚み40μmとなるように印刷した。そして、130℃で15分間乾燥後、燃料極を1450℃で1時間焼結し、燃料極を形成した。なお、燃料極ペーストの塗布面積は、φ11mmである。次に、固体電解質の下面に、燃料極と同様の塗布方法で、中間層ペースト1(Ag)をスクリーン印刷法により塗布し厚み10μmとなるように印刷した。そして、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで中間層を形成した。なお、中間層ペーストの塗布面積は、φ13mmである。
燃料極と中間層を作製後、中間層上に空気極として空気極ペースト1(LSCF)をスクリーン印刷法により塗布し、厚み40μmとなるように印刷した。続いて、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで空気極を形成した。なお、空気極ペースト1の塗布面積は、φ11mmである。こうして、実施例1に係る燃料電池が完成した。
(実施例2)
実施例1と同様に、燃料極を作製後、固体電解質の下面に、燃料極と同様の塗布方法で、中間層ペースト2(Ag−GDC(7:3))をスクリーン印刷法により塗布し厚み10μmとなるように印刷した。そして、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで中間層を形成した。なお、中間層ペーストの塗布面積は、φ13mmである。最後、燃料極と中間層を作製後、実施例1と同様の手法で空気極を作製した。
実施例1と同様に、燃料極を作製後、固体電解質の下面に、燃料極と同様の塗布方法で、中間層ペースト2(Ag−GDC(7:3))をスクリーン印刷法により塗布し厚み10μmとなるように印刷した。そして、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで中間層を形成した。なお、中間層ペーストの塗布面積は、φ13mmである。最後、燃料極と中間層を作製後、実施例1と同様の手法で空気極を作製した。
(実施例3)
実施例2と同様に、燃料極と中間層を作製後、中間層上に空気極として空気極ペースト2(Ag-LSCF(2:8))をスクリーン印刷法により塗布し、厚み40μmとなるように印刷した。続いて、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで空気極を形成した。空気極ペースト2の塗布面積は、φ11mmである。こうして、実施例3に係る燃料電池が完成した。
実施例2と同様に、燃料極と中間層を作製後、中間層上に空気極として空気極ペースト2(Ag-LSCF(2:8))をスクリーン印刷法により塗布し、厚み40μmとなるように印刷した。続いて、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで空気極を形成した。空気極ペースト2の塗布面積は、φ11mmである。こうして、実施例3に係る燃料電池が完成した。
(実施例4)
実施例2と同様に、燃料極と中間層を作製後、中間層上に空気極として空気極ペースト2(Ag-LSCF(2:8))を、開口部500μm角、開口部間幅200μmの開口率約51%の格子状マスク版を用いてスクリーン印刷法により塗布し、厚み40μmとなるように印刷した。続いて、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで200μmの間隔でそれぞれ離間した複数の空気極を形成した。なお、空気極ペースト2の塗布面積は、φ11mmである。こうして、実施例4に係る燃料電池が完成した。
実施例2と同様に、燃料極と中間層を作製後、中間層上に空気極として空気極ペースト2(Ag-LSCF(2:8))を、開口部500μm角、開口部間幅200μmの開口率約51%の格子状マスク版を用いてスクリーン印刷法により塗布し、厚み40μmとなるように印刷した。続いて、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで200μmの間隔でそれぞれ離間した複数の空気極を形成した。なお、空気極ペースト2の塗布面積は、φ11mmである。こうして、実施例4に係る燃料電池が完成した。
(実施例5)
実施例2と同様に、燃料極を作製後、中間層ペースト2(Ag−GDC(7:3))を、開口部500μm角、開口部間幅200μmの開口率約51%の格子状マスク版を用いてスクリーン印刷法により塗布し厚み10μmとなるように印刷した。そして、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで200μmの間隔でそれぞれ離間した複数の中間層を形成した。なお、中間層の塗布面積は、φ11mmである。続いて、実施例4と同様の手法で、中間層上に重なるように空気極を作製した。こうして、実施例5に係る燃料電池が完成した。
実施例2と同様に、燃料極を作製後、中間層ペースト2(Ag−GDC(7:3))を、開口部500μm角、開口部間幅200μmの開口率約51%の格子状マスク版を用いてスクリーン印刷法により塗布し厚み10μmとなるように印刷した。そして、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで200μmの間隔でそれぞれ離間した複数の中間層を形成した。なお、中間層の塗布面積は、φ11mmである。続いて、実施例4と同様の手法で、中間層上に重なるように空気極を作製した。こうして、実施例5に係る燃料電池が完成した。
また、比較例として以下のサンプルを作製した。
(比較例1)
燃料極は実施例1と同様の手法で作製した。続いて、電解質の下面に空気極ペースト1(LSCF)を塗布して、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで中間層を形成した。空気極ペースト1の塗布面積は、φ11mmである。
(比較例1)
燃料極は実施例1と同様の手法で作製した。続いて、電解質の下面に空気極ペースト1(LSCF)を塗布して、130℃で15分間乾燥し、850℃で1時間焼結することで中間層を形成した。空気極ペースト1の塗布面積は、φ11mmである。
(比較例2)
燃料極は実施例1と同様の手法で作製した。続いて、電解質の下面に空気極ペースト1(LSCF)を塗布して、130℃で15分間乾燥し、1200℃で1時間焼結することで中間層を形成した。空気極ペースト1の塗布面積は、φ11mmである。
燃料極は実施例1と同様の手法で作製した。続いて、電解質の下面に空気極ペースト1(LSCF)を塗布して、130℃で15分間乾燥し、1200℃で1時間焼結することで中間層を形成した。空気極ペースト1の塗布面積は、φ11mmである。
(テープ剥離試験)
実施例1〜5および比較例1〜2で作製した燃料電池において、空気極の密着性評価としてテープ剥離試験を実施した。テープとしては、市販のニチバン製セロテープ(登録商標)(No.405)を用い、空気極全面を覆うようにして貼り付けて、これを引張速度10mm/分で剥がすことによって、空気極の密着性評価した。
実施例1〜5および比較例1〜2で作製した燃料電池において、空気極の密着性評価としてテープ剥離試験を実施した。テープとしては、市販のニチバン製セロテープ(登録商標)(No.405)を用い、空気極全面を覆うようにして貼り付けて、これを引張速度10mm/分で剥がすことによって、空気極の密着性評価した。
(評価試験)
実施例1〜5および比較例1〜2で作製した燃料電池に対して、集電体として燃料極側にPtメッシュ、空気極側にPtメッシュを設置し、次のような評価実験を行った。電気炉温度約700℃で、作製した各燃料電池に水素:200ml/min、空気:500ml/minで供給し、出力密度を測定した。結果は、表1に示す通りである。
実施例1〜5および比較例1〜2で作製した燃料電池に対して、集電体として燃料極側にPtメッシュ、空気極側にPtメッシュを設置し、次のような評価実験を行った。電気炉温度約700℃で、作製した各燃料電池に水素:200ml/min、空気:500ml/minで供給し、出力密度を測定した。結果は、表1に示す通りである。
表1に示すように、比較例1の場合、焼結温度850℃だと65mW/cm2の性能であったが、密着性が低かった。比較例2の場合、焼結温度を1200℃にすると、密着性は向上したが電解質と空気極の間で固相反応(SrZrO2)が起こり高抵抗層が発生したため、性能が低下していることがわかる。
空気極にAgをまぜた実施例3〜5では、空気極の電子伝導性が向上し性能が向上していることがわかる。また、密着性が向上したことが確認できた。また実施例4、5に関しても、中間層等を電解質上に分割して配置しても比較例と比較して性能が向上した。
1 固体酸化物形燃料電池
2 燃料極
3 電解質
4 中間層
5 空気極
2 燃料極
3 電解質
4 中間層
5 空気極
Claims (5)
- 燃料極と、
前記燃料極の一方面に配置された電解質と、
前記電解質の一方面に配置された少なくとも1つの中間層と、
前記中間層の一方面に配置された少なくとも1つの空気極と、を備え、
前記中間層は、銀(Ag)を含む固体酸化物形燃料電池。 - 前記中間層は、電解質材料を含む請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記空気極は、複数であり、互いに離間している請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記中間層は、複数であり、互いに離間している請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記空気極は、銀(Ag)を含む請求項1から4のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011047975A JP2012185995A (ja) | 2011-03-04 | 2011-03-04 | 固体酸化物形燃料電池 |
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JP2011047975A JP2012185995A (ja) | 2011-03-04 | 2011-03-04 | 固体酸化物形燃料電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012185995A true JP2012185995A (ja) | 2012-09-27 |
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Family Applications (1)
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JP2011047975A Withdrawn JP2012185995A (ja) | 2011-03-04 | 2011-03-04 | 固体酸化物形燃料電池 |
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- 2011-03-04 JP JP2011047975A patent/JP2012185995A/ja not_active Withdrawn
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