JP2012184788A - 無断変速機構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転軸(51)上に固定された固定シーブ(61)と,固定シーブ(61)に対して軸方向に移動可能な可動シーブ(62)と,両シーブ(61)(62)間に巻き掛けられるVベルト(53)と,可動シーブ(62)を軸方向に移動させるアクチュエータ(90)と,可動シーブ(62)に設けられていて可動シーブ(62)の回転を許容しつつアクチュエータ(90)からの軸方向の動きを可動シーブ(62)へ伝達する軸受部材(64)とを備え,軸受部材(64)を,軸受部材(64)と可動シーブ(62)との間に設けられていて軸受部材(64)を保持する保持部材(65)を介して可動シーブ(62)に取り付けた。
【選択図】図4
Description
この無断変速機構造によれば,アクチュエータ(90)によって可動シーブ(62)が移動させられるので,可動シーブ(62)を移動させる動力伝達構造を簡素化することができる。
また,従来,例えば特許文献2に見られるように,可動シーブ(5)に対して軸方向の推力を与える遠心ウェイト(12)を備え,可動シーブ(5)側における遠心ウエイト(12)との当接面(5b)が可動シーブ(5)の外面のみによって構成されている無断変速機構造も知られている。
軸受部材(69)は,可動シーブ(62)に取り付けられていて,可動シーブ(62)の回転を許容しつつアクチュエータ(90)からの軸方向の動きを可動シーブ(62)へ伝達する部材であり,可動シーブ(62)および軸受部材(69)の真円度にはそれぞれ自ずと限界があるから,可動シーブ(62)と軸受部材(69)との間には半径方向への振動が発生し,この振動に基づく衝撃力が可動シーブ(62)と軸受部材(69)との間に作用する。
そして上述した特許文献1の無断変速機構造では,軸受部材(69)が可動シーブ(62)のボス部(63)の外周面に直接取り付けられていたため,上記衝撃力が可動シーブ(62)のボス部(63)の外周面に直接作用することとなる。そのため,ボス部(63)の外周面(軸受部材取り付け面)が摩耗し易い(耐久性が低下する)という難点があった。
本発明が解決しようとする課題は,可動シーブにおける軸受部材取り付け面の耐久性を向上させることができる無断変速機構造を提供することである。
前記軸受部材を,該軸受部材と前記可動シーブとの間に設けられていて該軸受部材を保持する保持部材を介して前記可動シーブに取り付けたことを特徴とする無断変速機構造。
この無断変速機構造によれば,アクチュエータによって可動シーブが移動させられるので,可動シーブを移動させる動力伝達構造を簡素化することができる。
そして,可動シーブの回転を許容しつつアクチュエータからの軸方向の動きを可動シーブへ伝達する軸受部材は,該軸受部材と前記可動シーブとの間に設けられていて該軸受部材を保持する保持部材を介して前記可動シーブに取り付けられているので,可動シーブと軸受部材との間に,半径方向への振動および該振動に基づく衝撃力が発生したとしても,その衝撃力は,保持部材によって緩衝された状態で可動シーブへ作用することとなる。
したがって,この発明によれば,可動シーブにおける軸受部材取り付け面の耐久性を向上させることが可能になる。
望ましくは,前記可動シーブを軽金属または軽合金で構成するとともに,前記保持部材を,前記可動シーブよりも硬質の鉄系部材で全体としてリング状に構成し,該保持部材の外周に前記軸受部材を保持するとともに,該保持部材の外周の,軸方向における,反可動シーブ側の端部に,径方向外側に張り出す段部からなる,前記軸受部材の軸方向における位置を規制する抜け止め部を設けた構成とする。
このように構成すると,可動シーブの軽量化を図ることができるとともに,保持部材の耐久性も向上させることができる。しかも,抜け止め部によって,保持部材に対する,軸受部材の軸方向における位置が規制されるので,軸受部材を保持部材の外周に保持させる際に,圧入を用いたとしても,その締め代(圧入圧)を小さくできる。したがって,圧入圧により生じる保持部材および軸受部材の歪みを低減でき,結果として,前述した半径方向の振動および衝撃を低減でき,騒音も低減することができる。
望ましくは,前記Vベルト自動変速機は前記可動シーブに対して軸方向の推力を与える遠心ウェイトを備え,前記保持部材は,軸方向における反可動シーブ側の内面に,前記遠心ウェイトの移動を規制するストッパ部を有する構成とする。
このように構成すると,前記アクチュエータによる作用に加え,遠心ウエイトによって可動シーブに対する軸方向の推力が得られるとともに,保持部材の上記内面に遠上記心ウェイトのストッパ部が設けられていることにより,そのストッパ部の分,可動シーブを小型化することができる。すなわち,例えば上記特許文献2における無断変速機構造では遠心ウエイト(12)との当接面(5b)が可動シーブ(5)の外面のみによって構成されていたのに対し,本発明の無断変速機構造によると,遠心ウエイトとの当接面の一部が保持部材の内面のストッパ部で構成されるので,そのストッパ部の分,可動シーブにおける遠心ウエイトとの当接面を小さくできるから,その分,可動シーブを小型化することができる。
望ましくは,前記保持部材は,軸方向から見て全体としてリング状であり,前記ストッパ部と異なる位置において,径方向内側に張り出す複数の突片状の取付部を有しており,該取付部を可動シーブに固定することで可動シーブに取り付けられている構成とする。
このように構成すると,保持部材を可動シーブに対して圧入によらず取付部で取り付けることができる。保持部材を可動シーブに対して圧入するとしても,圧入圧を小さくできる。したがって,保持部材の歪みを低減でき,結果として,前述した半径方向の振動および衝撃を低減でき,騒音も低減することができる。しかも,取付部による組立性を確保しつつ保持部材における取付部以外の部位を開放できるので,遠心ウエイトの冷却性や遠心ウエイト収容部からの摩耗粉等の排出性を向上させることができる。
望ましくは,前記保持部材におけるストッパ部は,前記Vベルト自動変速機の,少なくともトップレシオ状態における前記遠心ウエイトの移動を規制する位置に設けた構成とする。
このように構成すると,最も強い遠心力が作用する位置にて確実に保持部材で遠心ウエイトの遠心力を吸収できるので,当該位置での遠心ウエイトの移動規制を可動シーブとランププレートにて行う場合に比べて軸受け部材に対する負荷変動を防止して,耐久性を向上させることが可能になる。
図1に示す自動二輪車10は,車体フレーム11の後部に,ピボット軸12とリアクッションユニット13とでパワーユニット20を車体フレーム11に対しピボット軸12回りに揺動自在に懸架した車両である。ヘッドパイプ11hに操舵自在にフロントフォーク14を取り付け,このフロントフォーク14の下端に前輪15Fを取り付けてある。フロントフォーク14の上部にはステアリングハンドル15を取り付けてある。
車体フレーム11は後部に左右一対のシートフレーム11s(一方のみ図示)を有している。このシートフレーム11s上に乗員が跨って座るシート16が設けられ,このシート16の下方に,上方へ開口する収納ボックス17が設けられている。収納ボックス17の後方には燃料タンク18が配置されている。
なお,図示のVベルト自動変速機50においては,この実施の形態の無断変速機構造を駆動プーリ60に用いたが,従動プーリ70(図3参照)に用いることもできる。
以下,Vベルト自動変速機50の構成について説明しながらこの実施の形態の無断変速機構造についてさらに説明する。
クランク軸31cは,軸受部材であるベアリング31b,31bで両端支持される大径部51aと,この大径部51aに段部51dを介して設けられていて駆動プーリ60における可動シーブ62の支持部を構成する小径部51bとを有している。
プライマリ軸51は,クランク軸31cの小径部51bで構成されており,このプライマリ軸51すなわち駆動プーリ60の支持軸は,右ケース40Rに片持ち状態で支持されている。
第1の制御機構CM1および第2の制御機構CM2は,可動シーブ62をプーリ軸51における可動シーブ62の支持部51bに沿って軸方向へスライドさせることでプーリ60の溝幅すなわち固定シーブ61と可動シーブ62との間隔を変更するための機構である。
動力伝達部Tは,可動シーブホルダー80と,第1のアクチュエータ90の出力ロッド91の先端部91aとを連結する連結部材130を備えている。
ウエイト収容部62sの外周に円筒壁面62jが形成されており,この円筒壁面62jがベアリング64およびベアリングホルダー65の取り付け面を構成している。
ウエイト収容部62s同士の間には,ベアリングホルダー65(図7)を固定するためのネジ穴を有する固定部62cが複数(図示のものは3個)設けられている。
また,ウエイト収容部62s同士の間には,ランププレート110(図9)のガイド部110gに装着されたガイドピース140(図9の仮想線および図11,図4参照)によって案内される被ガイド部62gが複数(図示のものは3個)設けられている。
図8に示すように,リング部81は,ベアリング64に対する軸方向への移動を規制するためのフランジ部81fと,サークリップ66を装着するためのリング状溝81gを有している。
ガイド部110gは,ガイドピース140が嵌め込まれるU字状の切り欠き114と,この切り欠き114の周辺を補強すべくU状に起立させたリブ115とを有している。
図4を参照して説明すると,予め,ベアリング64の外周に可動シーブホルダー80を装着して両者をサークリップ66で係合し,ベアリング64の内周にベアリングホルダー65を装着し,ベアリングホルダー65を可動シーブ62に複数本(この場合3本(図4において1本のみ図示))のボルト65dで結合し,可動シーブ62のボス部62bにオイルシール62sおよびカラー62cを介してスリーブ67を挿入し,可動シーブ62の各ウエイト収容部62sに遠心ウエイト101を収容し,ランププレート110の各ガイド部110gにガイドピース140を装着して,それらガイドピース140のガイド溝141に可動シーブ62の被ガイド部62gを嵌め合わせることで可動シーブ62とランププレート110とを軽く結合させた組立体を構成しておく。
したがって,可動シーブ62はプーリ軸51とともに回転し,かつプーリ軸51の軸方向へ移動可能である。
一方,可動シーブホルダー80は,ベアリング64の一端側がサークリップ66と可動シーブ62のフランジ部62fにおける段部62h(図6参照)とに当接し,ベアリング64の他端側が可動シーブホルダー80のフランジ部81fとベアリングホルダー65のフランジ部65fとに当接していることにより,可動シーブ62に対し,軸方向への相対移動が不能である。
したがって,可動シーブホルダー80を軸方向へ移動させることで,同様に可動シーブ62を軸方向へ移動させることが可能である。
可動シーブホルダー80は,そのアーム部82が連結部材130によって第1のアクチュエータ90の出力ロッド91に連結されており,第1のアクチュエータ90の駆動で軸方向へ移動可能である。
第1のアクチュエータ90は,第2のアクチュエータ100の周囲に配置する。
図4,図8に示すように,可動シーブホルダー80のアーム部82は,リング部81の周方向の一端部から第1のアクチュエータ90側(図4において右側)に一体的に延びている。アーム部82には,第1のアクチュエータ90の出力ロッド91側に向かう,一対の凸部83,83が設けられている。
ケース40におけるアクチュエータ90の取付部にはフック部133を係脱させるためのアクチュエータ90の移動を可能とする隙間41cを設ける。
このような規制部を設けることにより,出力ロッド91が進退動する際の,連結部材130と可動シーブホルダー80との間の動力伝達箇所を,ピン結合の位置(84)と,規制部とに分散できるため,可動シーブホルダー80を傾ける方向への力を抑制することができる。
しかし,何らかの理由(たとえば第1のアクチュエータ90の制御系の故障)によって,可動シーブホルダー80が必要以上に(過度に)移動しようとすることもあるため,それを防止するために,ストッパ41s,42sが設けられている。
駆動プーリ60が回転し,その回転数が一定以上となると,その回転数に応じた遠心力が遠心ウエイト101に作用する。したがって,遠心ウエイト101は駆動プーリ60の回転数に応じてプーリ軸51から遠ざかる方向へ移動する(あるいは移動しようとする)。ここで,遠心ウエイト101が収容されている,可動シーブ62のウエイト収容部62sとランププレート110とで形成される空間S(図4参照)はプーリ軸51から遠ざかるにしたがって狭くなっているため,遠心ウエイト101は,その空間Sを広げるように作用する。ランププレート110が軸方向へ移動不能であるのに対し可動シーブ62は軸方向へ移動可能であるから,結果として,可動シーブ62が遠心ウエイト101によって移動させられることとなる。
この可動シーブ62の移動は,第1の制御機構CM1すなわち第1のアクチュエータ90における出力ロッド91の進退動によって規制される。
従動プーリ70は固定シーブ(固定半体)71と可動シーブ(可動半体)72とを備えている。
前述した駆動プーリ60と従動プーリ70とに無端状Vベルト53が掛け渡され,駆動プーリ60の回転が従動プーリ70に伝達される。従動プーリ70の回転数が所定回転数を越えると,従動プーリ70とセカンダリ軸52との間に設けられている遠心クラッチ54が接続状態となり,セカンダリ軸52が回転を始める。
したがって,セカンダリ軸52の回転は減速されて後輪軸55に伝達され,後輪軸55に取り付けられた後輪15R(図1)が駆動されることとなる。
第1のアクチュエータ90は,駆動プーリ60における可動シーブ62の低回転領域においては,第2の制御機構CM2による可動シープ62を移動させようとする力と同方向の力を生じさせるように作動し,可動シーブ62の高回転領域においては,第2の制御機構CM2による可動シープ62を移動させようとする力に対して抵抗となるように作動する。
これらのグラフにおいて,一点鎖線(CM1)は第1の制御機構CM1すなわち第1のアクチュエータ90による推力を,破線(CM2)は第2の制御機構CM2すなわち遠心ウエイト101による第2のアクチュエータ100による推力を,実線(CM1+CM2)は,それらの合力による推力を,それぞれ表している。
車速が約S3(例えば約60km/h)を超えると,エンジン回転数に応じて第2の制御機構CM2による推力が次第に増大するので,合計推力(CM1+CM2)を一定に維持すべく,第1の制御機構CM1による推力を次第に減少させる。
車速が約S4(例えば約80km/h)を超えると,エンジン回転数に応じて第2の制御機構CM2による推力が大きくなり過ぎるので,該推力を相殺して合計推力(CM1+CM2)を一定に維持すべく,第1の制御機構CM1(第1のアクチュエータ90)による推力をマイナス側へ作動させる。
車速が約S4を超えると,エンジン回転数に応じて第2の制御機構CM2による推力が大きくなり過ぎるので,該推力を相殺して合計推力(CM1+CM2)を一定に維持すべく,第1の制御機構CM1(第1のアクチュエータ90)による推力をマイナス側へ作動させる。
(a)可動シーブ62の回転を許容しつつアクチュエータ90からの軸方向の動きを可動シーブ62へ伝達する軸受部材64が,該軸受部材64と可動シーブ62との間に設けられていて軸受部材64を保持する保持部材65を介して可動シーブ62に取り付けられているので,可動シーブ62と軸受部材64との間に,半径方向への振動および該振動に基づく衝撃力が発生したとしても,その衝撃力は,保持部材65によって緩衝された状態で可動シーブ62へ作用することとなる。
したがって,この無断変速機構造によれば,可動シーブ62における軸受部材64の取り付け面62jの耐久性を向上させることが可能になる。
(b)可動シーブ62を軽金属または軽合金で構成するとともに,保持部材65を,可動シーブ62よりも硬質の鉄系部材で全体としてリング状に構成し,該保持部材65の外周に軸受部材64を保持するとともに,該保持部材65の外周の,軸方向における,反可動シーブ62側の端部に,径方向外側に張り出す段部からなる,軸受部材64の軸方向における位置を規制する抜け止め部65fを設けたので,可動シーブ62の軽量化を図ることができるとともに,保持部材65の耐久性も向上させることができる。しかも,抜け止め部65fによって,保持部材65に対する,軸受部材64の軸方向における位置が規制されるので,軸受部材64を保持部材65の外周に保持させる際に,圧入しなくてもよく,仮に圧入を用いたとしても,その締め代(圧入圧)を小さくできる。したがって,圧入圧により生じる保持部材65および軸受部材64の歪みを低減でき,結果として,前述した半径方向の振動および衝撃を低減でき,騒音も低減することができる。
特に,この実施の形態のように,軸受部材としてのラジアルボールベアリング64が遠心ウェイトローラ101の外周に位置する構造であると,大型サイズのラジアルボールベアリング64が高速回転するため,転がり騒音や寿命に対する,ボール転動面の歪防止が重要課題となるが,この実施の形態によれば,抜け止め部65fによって,保持部材65に対する,軸受部材64の軸方向における位置が規制されるので,軸受部材64を保持部材65の外周に保持させる際に,圧入しなくてもよく,仮に圧入を用いたとしても,その締め代(圧入圧)を小さくでき,圧入圧により生じる保持部材65および軸受部材64の歪みを低減できるので,ボール転動面の歪防止に大きく寄与することができる。
(c)Vベルト自動変速機50は可動シーブ62に対して軸方向の推力を与える遠心ウェイト101を備え,保持部材65は,軸方向における反可動シーブ62側の内面に,遠心ウェイト101の移動を規制するストッパ部65sを有しているので,アクチュエータ90による作用に加え,遠心ウェイト101によって可動シーブ62に対する軸方向の推力が得られるとともに,保持部材65の上記内面に遠上記心ウェイトのストッパ部65sが設けられていることにより,そのストッパ部65sの分,可動シーブ62を小型化することができる。すなわち,例えば前記特許文献2における無断変速機構造では遠心ウエイト(12)との当接面(5b)が可動シーブ(5)の外面のみによって構成されていたのに対し,本実施の形態の無断変速機構造によると,遠心ウエイト101との当接面の一部が保持部材65の内面のストッパ部65sで構成されるので,そのストッパ部65sの分,可動シーブ62における遠心ウエイト101との当接面を小さくでき,その分,可動シーブ32を小型化することができる。
(d)保持部材65は,軸方向から見て全体としてリング状であり,ストッパ部65sと異なる位置において,径方向内側に張り出す複数の突片状の取付部65cを有しており,該取付部65cを可動シーブ62に固定することで可動シーブ62に取り付けられているので,保持部材65を可動シーブ62に対して圧入によらず取付部65cで取り付けることができる。保持部材65を可動シーブ62に対して圧入するとしても,圧入圧を小さくできる。したがって,保持部材65の歪みを低減でき,結果として,前述した半径方向の振動および衝撃を低減して,騒音も低減することができる。しかも,取付部65cによる組立性を確保しつつ保持部材65における取付部以外の部位を開放できるので,遠心ウェイト101の冷却性や遠心ウェイト収容部62sからの摩耗粉等の排出性を向上させることができる。
(e)保持部材65におけるストッパ部65sは,Vベルト自動変速機50の,少なくともトップレシオ状態における遠心ウェイト101の移動を規制する位置に設けたので(図13参照),最も強い遠心力が作用する位置にて確実に保持部材65で遠心ウェイト101の移動を規制できる(遠心ウエイト101の遠心力を吸収できる)。したがって,当該位置での遠心ウェイト101の移動規制を可動シーブ62とランププレート110とで行う場合に比べて軸受部材64に対する負荷変動を防止して耐久性を向上させることが可能になる。
このため,可動シーブ62を移動させるための動力を大きくする場合,その動力を,第1のアクチュエータ90を有する第1の制御機構CM1と,第2のアクチュエータ100を有する第2の制御機構CM2とに分散させることができる(例えば図14(a)参照)。
したがって,可動シーブ62を単一のアクチュエータおよび単一の制御機構で移動させる従来の構造に比べ,可動シーブ62を移動させるための動力を大きくした場合でも,夫々のアクチュエータ90,100への負荷を減らし,各アクチュエータ90,100の大型化を抑制して,全体的にVベルト自動変速機50の小型化を図ることができる。
しかも,各アクチュエータ90,100の負荷を抑制することで,各アクチュエータの耐久性を向上させることができる。
さらに,第2のアクチュエータ100の遠心ウェイト101の重さの設定を,通常モードおよびスポーツモード(図14(a)(b)参照)の双方において,第1のアクチュエータ90の必要最大推力が略同等(約−P2〜P2)となるように設定したので,第1のアクチュエータ90および第2のアクチュエータ100をそれぞれ小型化することができる。
(g)第1のアクチュエータ90は電力により駆動され,第2のアクチュエータ100は可動シーブ62の回転に伴う遠心力により駆動される,すなわち,一方のアクチュエータ100が可動シーブ62の回転を利用した遠心力により駆動されるため,無断変速機構造全体としての電力消費を抑えてエネルギーロスを低減できる。
(h)第1のアクチュエータ90は,第2のアクチュエータ100の周囲に配置してあるので,両アクチュエータ90,100をプーリ60の回転軸51周りにコンパクトに配置しつつ,第1のアクチュエータ90の配置自由度を向上させることができる。
(i)第1のアクチュエータ90は,Vベルト53の内周位置に配置されているので,デッドスペースとなりがちなVベルト内周スペース53iを有効利用することができる。
(j)第2のアクチュエータ100は,可動シーブ62の回転軸線62c周りに配置された複数の遠心ウェイト101と,この遠心ウェイト101を可動シーブ62との間に保持し,可動シーブ62の回転に伴う遠心力で遠心ウェイト101に可動シーブ62を移動させるカム部材110とを備えているので,第2のアクチュエータ100による,可動シーブ62を移動させる力が可動シーブ62の角速度の二乗に比例して増加する。
したがって,第1のアクチュエアータ90による可動シーブ62を移動させる力を低減させ,電力消費を一層抑えることができる(例えば図14(a)における車速S3〜S4km/hの範囲参照)。
また,Vベルト自動変速機50の分解時には,遠心ウェイト101が可動シーブ62におけるウエイト収容部62sから脱落するのをカム部材110で防止できるので,整備性を向上させることができる。
(k)第1の制御機構CM1は,可動シーブ62に対しベアリング64を介して保持される可動シーブホルダー80と,この可動シーブホルダー80へ第1のアクチュエータ90の動力を伝達する動力伝達部Tとを備え,この動力伝達部Tは,可動シーブ62の回転中心62cに対して第1のアクチュエータ90側に配置されているので,動力伝達部Tを小型化して,無断変速機構造およびVベルト自動変速機の小型化を図ることができる。
(l)ベアリング64は,遠心ウェイト101の周囲に配置してあるので,ベアリング64を遠心ウェイト101の外周スペースを利用して配置でき,第1のアクチュエータ90を有する第1の制御機構CM1と第2のアクチュエータ100を有する第2の制御機構CM2とを設けたにもかかわらず,無断変速機構造およびVベルト自動変速機装置の軸方向への大型化を抑制することができる。
(m)第1のアクチュエータ90は,可動シーブ62の低回転領域(例えば図14(a)におけるN3〜N7rpmの領域参照)においては,第2の制御機構CM2による可動シープ62を移動させようとする力と同方向の力を生じさせるように作動し,可動シーブ62の高回転領域(例えば図14(a)におけるN7rpm以上の領域参照)においては,第2の制御機構CM2による可動シープを移動させようとする力に対して抵抗となるように作動する。
したがって,可動シーブ62の低回転領域においては,第1の制御機構CM1と第2の制御機構CM2とによる同一方向への力によって可動シープ62が移動するので,両制御機構によって可動シープ62を円滑に移動させることができる。
一方,可動シーブ62の高回転領域においては,第2の制御機構CM2による可動シープ62を移動させようとする力に対して,第1のアクチュエータ90が抵抗となるように作動するので,第2の制御機構CM2による可動シープの過度な移動すなわち,過度な変速動作を抑制することができる。
(n)遠心ウェイト101は,可動シーブ62の回転中心62cの周囲に複数個分散配置したので,可動シーブ62の半周部分が受けるベルト反力よる可動シーブ62の傾きに対する可動シーブ62の歪や第1のアクチュエータ90への負荷を低減させることができる。
この動力伝達部材80,130は,前述した従来技術におけるフォーク部材(300)とは異なり,エンジンケースに支持する必要はないので,組み付け性および組み付けスペースを改善することができる。
しかも,連結部材130と出力ロッド91の先端部との連結は,連結部材130のU溝131を介してなされるので,組み付け性を一層向上させることができる。
(p)アクチュエータ90は固定シーブ61側に配置され、出力ロッド91および連結部材130がVベルト53の走行ラインを横断して可動シーブホルダー80に連結されているので,デッドスペースとなりがちなVベルト走行ラインの内側スペース53iを有効利用できる。したがって,無断変速機構造を小型化することが可能になる。
(q)連結部材130は,可動シーブホルダー80に対して該可動シーブホルダー80における周方向の一端部(アーム部82)に連結され,かつ,U溝131を構成するフック構造を有しているので,フック構造のU溝131の開口を通して連結部材130と出力ロッド91とを容易に組立/分解できる。
(r)連結部材130のU溝131は,出力ロッド91の進退方向と交差する方向に開口するU溝であるので,出力ロッド91の進退両方向の動力を連結部材130を介して可動シーブ6280に伝達できる。このため,可動シーブ6280の両方向への移動制御をスムーズに行うことが可能になる。
(s)Vベルト自動変速機50はクランクケース31を覆う変速機カバーである左ケース40Lを備え、該変速機カバー40Lにアクチュエータ90を取り付けることにより,可動シーブ62に対しクランクケース31と反対側にアクチュエータ90を配置できる。このため,配置の自由度が向上し,駆動シーブ62の回転中心62cに近づけてアクチュエータ90を配置することも可能となる。したがって,無断変速機構造の一層の小型化が可能になる。
(t)アクチュエータ90を駆動シーブ62の回転中心62cに近づけて配置することにより,アクチュエータ90をピボット軸12回りに近づけて配置できるため,バネ下荷重を低減できる。
(u)連結部材130は可動シーブホルダー80に対してピン84で回動可能に連結し,可動シーブホルダー80には,連結部材130と当接して連結部材の回動を規制する規制部85,86を設けたので,連結部材130と可動シーブホルダー80との連結をピン結合にて容易に行うことができるとともに,連結部材130と可動シーブホルダー80との間の動力伝達箇所を,ピン結合の位置と,規制部85,86とに分散できるため,可動シーブホルダー80を傾ける方向への力を抑制することができる。
(v)可動シーブホルダー80の軸方向の移動を規制するストッパー41s,42sを,可動シーブホルダー80の回転中心(62c)から見て,可動シーブホルダー80と連結部材130との連結部の直ぐ近くに設けたので,可動シーブホルダー80がストッパ41s,42sに当接した際に可動シーブホルダー80に作用する捩り力を少なくすることができるとともに,ストッパ一機能部分を集約して配置し,変速装置を小型化することができる。
Claims (5)
- 回転軸(51)上に固定された固定シーブ(61)と,この固定シーブ(61)に対して軸方向に移動可能な可動シーブ(62)と,両シーブ(61)(62)間に巻き掛けられるVベルト(53)と,前記可動シーブ(62)を軸方向に移動させるアクチュエータ(90)と,前記可動シーブ(62)に設けられていて該可動シーブ(62)の回転を許容しつつ前記アクチュエータ(90)からの軸方向の動きを可動シーブ(62)へ伝達する軸受部材(64)とを備えたVベルト自動変速機用の無断変速機構造において,
前記軸受部材(64)を,該軸受部材(64)と前記可動シーブ(62)との間に設けられていて該軸受部材(64)を保持する保持部材(65)を介して前記可動シーブ(62)に取り付けたことを特徴とする無断変速機構造。 - 前記可動シーブ(62)を軽金属または軽合金で構成するとともに,前記保持部材(65)を,前記可動シーブ(62)よりも硬質の鉄系部材で全体としてリング状に構成し,該保持部材(65)の外周に前記軸受部材(64)を保持するとともに,該保持部材(65)の外周の,軸方向における,反可動シーブ側の端部に,径方向外側に張り出す段部からなる,前記軸受部材(64)の軸方向における位置を規制する抜け止め部(65f)を設けたことを特徴とする請求項1記載の無断変速機構造。
- 前記Vベルト自動変速機は前記可動シーブ(62)に対して軸方向の推力を与える遠心ウェイト(101)を備え,前記保持部材(65)は,軸方向における反可動シーブ(62)側の内面に,前記遠心ウェイト(101)の移動を規制するストッパ部(65s)を有することを特徴とする請求項1または2記載の無断変速機構造。
- 前記保持部材(65)は,軸方向から見て全体としてリング状であり,前記ストッパ部(65s)と異なる位置において,径方向内側に張り出す複数の突片状の取付部(65c)を有しており,該取付部(65c)を可動シーブ(62)に固定することで可動シーブ(62)に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の無断変速機構造。
- 前記保持部材(65)におけるストッパ部(65s)は,前記Vベルト自動変速機の,少なくともトップレシオ状態における前記遠心ウェイト(101)の移動を規制する位置に設けたことを特徴とする請求項3または4に記載の無断変速機構造。
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