JP2012183871A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トレッド部踏面の少なくとも一部に、少なくとも一本の縦溝と複数本の横溝とを配設して複数個のブロック陸部を区画形成した空気入りタイヤであって、ブロック陸部は、タイヤ周方向に略平行に延び、一端が一方の横溝に開口し他端がブロック陸部内で終端する第1半盲溝、および、タイヤ周方向に略平行に延び、一端が他方の横溝に開口し他端がブロック陸部内で終端する第2半盲溝をタイヤ周方向に対向させて配設してなる少なくとも一対の半盲溝対と、複数本のサイプとを有し、サイプの深さは第1半盲溝および第2半盲溝よりも深く、第1半盲溝および第2半盲溝の幅はサイプよりも広く、ブロック陸部のタイヤ幅方向のエッジ成分の合計長さが、タイヤ周方向のエッジ成分の合計長さよりも大きい空気入りタイヤである。
【選択図】図1
Description
このように、複数本のサイプおよび少なくとも一対の半盲溝対を設ければ、エッジ効果を高めて、タイヤの雪上性能を向上することができる。特に、ブロック陸部のタイヤ幅方向のエッジ成分の合計長さEWを、ブロック陸部のタイヤ周方向のエッジ成分の合計長さECよりも大きくすれば(EC/EW<1.0)、タイヤ幅方向のエッジ成分の長さを十分に確保してタイヤ周方向に対するエッジ効果を高めることができるので、雪上加速性能や雪上制動性能を向上することができる。また、少なくとも一対の半盲溝対を配設すれば、タイヤ周方向のエッジ成分長さを確保してタイヤ幅方向に対するエッジ効果を高めることができるので、雪上操縦安定性能や雪上旋回性能を向上することができる。また、第1半盲溝と第2半盲溝とをタイヤ周方向に対向させて配設することで、ブロック陸部の踏み込み端側と蹴り出し端側との間の剛性およびエッジ効果の偏りを低減することができる。即ち、ブロック陸部の踏み込み端側の剛性およびエッジ効果と、蹴り出し端側の剛性およびエッジ効果とを均一にして、雪上加速性能および雪上制動性能を両立することができる。また、第1半盲溝および第2半盲溝の深さを横溝やサイプより浅くすれば、ブロック陸部のタイヤ幅方向の剛性を確保することができる。更に、横溝および縦溝よりも溝幅が狭い第1半盲溝および第2半盲溝をタイヤ周方向に略平行に延在させると共にブロック陸部内で終端させれば、ブロック陸部のタイヤ周方向の剛性を確保することができる。従って、ブロック陸部の剛性を確保して舗装路での操縦安定性の低下を抑制しつつ、雪上性能を更に向上させることができる。
また、「タイヤ周方向に略平行」とは、タイヤ周方向に対する角度が鋭角側から測定して0°以上10°以下であることを指す。
更に、「第1半盲溝および第2半盲溝がタイヤ周方向に対向する」とは、横溝に対する第1半盲溝の開口と、第2半盲溝の開口とが同一のタイヤ周方向線上に位置していることを指す。
また、「タイヤ周方向のエッジ成分の合計長さ」とは、ブロック陸部の端縁(ブロックエッジ)、並びに、ブロック陸部に配設したサイプ、第1半盲溝および第2半盲溝を、タイヤ回転軸線およびブロック陸部の表面に直交する平面に投影したときの投影図のタイヤ周方向寸法の合計を指す。更に、「タイヤ幅方向のエッジ成分の合計長さ」とは、ブロック陸部の端縁(ブロックエッジ)、並びに、ブロック陸部に配設したサイプ、第1半盲溝および第2半盲溝を、タイヤ回転軸線を含みブロック陸部の表面に直交する平面に投影したときの投影図のタイヤ幅方向寸法の合計を指す。因みに、タイヤ周方向のエッジ成分およびタイヤ幅方向のエッジ成分には、ブロック陸部内で終端している第1半盲溝および第2半盲溝の閉止端縁(他端縁)のエッジ成分も含まれる。また、第1半盲溝および第2半盲溝のタイヤ周方向のエッジ成分の長さは、第1半盲溝および第2半盲溝の片側の溝壁分のエッジ成分のみを用いて求めるものとする。
表1に示す諸元で、図1に示すような構成のトレッド部踏面10を有する、サイズが195/65R15の空気入りタイヤを試作し、下記の方法で性能評価を行った。結果を表1に示す。
諸元を表2〜4に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてサイズが195/65R15の空気入りタイヤを試作し、下記の方法で性能評価を行った。結果を表2〜4にそれぞれ示す。なお、実施例2〜4では、半盲溝対の長さおよび数を変更することでタイヤ周方向のエッジ成分の合計長さEC,Ehを変化させたので、トレッド部踏面構造は厳密には図1に一致していない。そのため、表2中ではトレッド部踏面構造を「概略図1」と表記している。
表1に示す諸元で、図3(a)に示すような半盲溝対を有さない構成のトレッド部踏面20を有する、サイズが195/65R15の空気入りタイヤを試作し、下記の方法で性能評価を行った。結果を表1に示す。なお、図3(a)中、符号21は縦溝、22は屈曲横溝、23は傾斜横溝、24,25はブロック陸部、26,27はサイプを示す。
表1に示す諸元で、図3(b)に示すような構成のトレッド部踏面30を有する、サイズが195/65R15の空気入りタイヤを試作し、下記の方法で性能評価を行った。結果を表1に示す。なお、図3(b)中、符号31は縦溝、32は屈曲横溝、33は傾斜横溝、34,35はブロック陸部、36,37はサイプ、38は細溝を示す。
半盲溝対を配設せず、第1半盲溝および第2半盲溝に代えてタイヤ周方向に沿って延びる縦サイプを配設し、諸元を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてサイズが195/65R15の空気入りタイヤを試作し、下記の方法で性能評価を行った。結果を表1に示す。
作製したタイヤからブロック陸部を切り出し、タイヤ接地圧に相当する300kPaの面圧を負荷しつつ、タイヤ周方向またはタイヤ幅方向に対応する方向へブロック陸部を1mm変位させたときの反力を計測することによりブロック陸部の剛性を測定した。そして、比較例1のタイヤのブロック陸部の剛性を100として指数評価した。表中、数値が大きいほど剛性が高いことを示す。
<雪上加速性能>
作製したタイヤをリムサイズ15×6Jのリムに装着し、内圧を200kPaとして、乗用車両に装着した。その後、雪路において停止状態からアクセルを全開にして50m走行するまでの時間(加速タイム)を測定した。そして、比較例1のタイヤの加速タイムを100として指数化した。表中、値が大きいほど加速タイムが短く、雪上加速性能が良好であることを示す。
<雪上旋回性能>
作製したタイヤをリムサイズ15×6Jのリムに装着し、内圧を200kPaとして、乗用車両に装着した。その後、雪路において半径30mの円周上をグリップ走行した際の限界横向き加速度を測定した。そして、比較例1のタイヤの限界横向き加速度を100として指数化した。表中、値が大きいほど限界横向き加速度が大きく、雪上旋回性能が良好であることを示す。
<操縦安定性能(舗装路)>
作製したタイヤをリムサイズ15×6Jのリムに装着し、内圧を200kPaとして、乗用車両に装着した。その後、乾燥した舗装路を走行し、操縦安定性をドライバーがフィーリング評価した。そして、比較例1のタイヤの操縦安定性能を100として指数化した。表中、値が大きいほど操縦安定性能が良好であることを示す。
また、表1および表2より、EC/EWやEh/ECが大きい実施例1および4の空気入りタイヤは、EC/EWやEh/ECが小さい実施例2および3の空気入りタイヤよりも雪上旋回性能に優れていることが分かる。
更に、表3より、タイヤ周方向に対する横溝の配設角度が小さい実施例5および7の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に対する横溝の配設角度が大きい実施例6および8の空気入りタイヤよりも雪上旋回性能に優れており、タイヤ周方向に対する横溝の配設角度が大きい実施例6および8の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に対する横溝の配設角度が小さい実施例5および7の空気入りタイヤよりも雪上加速性能に優れていることが分かる。なお、実施例7および8の空気入りタイヤでは、比較例1の空気入りタイヤと比較して雪上加速性能や雪上旋回性能の大幅な向上は見られないが、これは、横溝の配設角度が異なりブロックの形状が大幅に変化していることに起因するものである。
また、表1および表4より、半盲溝対を構成する半盲溝の長さLhをブロック陸部の長さLの0.10倍以上とした実施例1、10および12の空気入りタイヤは、半盲溝の長さLhが小さい実施例9および10の空気入りタイヤよりも雪上旋回性能が優れており、半盲溝の長さLhをブロック陸部の長さLの0.45倍以下とした実施例1、9および10の空気入りタイヤは、半盲溝の長さLhが大きい実施例11および12の空気入りタイヤよりもブロック陸部の剛性の低下を抑制し得ることが分かる。
2 屈曲横溝
3 傾斜横溝
4,5 ブロック陸部
10 トレッド部踏面
21 縦溝
22 屈曲横溝
23 傾斜横溝
24,25 ブロック陸部
26,27 サイプ
31 縦溝
32 屈曲横溝
33 傾斜横溝
34,35 ブロック陸部
36,37 サイプ
38 細溝
41 サイプ
42 半盲溝対
42A 第1半盲溝
42B 第2半盲溝
43 端縁
44A,44B 端縁
Claims (6)
- 両トレッド端間に位置するトレッド部踏面の少なくとも一部に、タイヤ周方向に延びる少なくとも一本の縦溝と、縦溝間および/または縦溝とトレッド端間でタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝とを配設して複数個のブロック陸部を区画形成した空気入りタイヤであって、
前記ブロック陸部は、タイヤ周方向に略平行に延び、一端が一方の横溝に開口し他端がブロック陸部内で終端する第1半盲溝、および、タイヤ周方向に略平行に延び、一端が他方の横溝に開口し他端がブロック陸部内で終端する第2半盲溝をタイヤ周方向に対向させて配設してなる少なくとも一対の半盲溝対と、複数本のサイプとを有し、
前記サイプの深さは、前記第1半盲溝および第2半盲溝の深さよりも深く、且つ、前記横溝の深さ以下であり、
前記第1半盲溝および第2半盲溝の幅は、前記サイプの幅よりも広く、且つ、前記横溝の幅および前記縦溝の幅よりも狭く、
前記ブロック陸部のタイヤ幅方向のエッジ成分の合計長さが、ブロック陸部のタイヤ周方向のエッジ成分の合計長さよりも大きい、
ことを特徴とする、空気入りタイヤ。 - 前記ブロック陸部のタイヤ周方向のエッジ成分の合計長さが、前記ブロック陸部のタイヤ幅方向のエッジ成分の合計長さの0.4倍以上であることを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロック陸部内に配設された前記半盲溝対のタイヤ周方向のエッジ成分の合計長さが、前記ブロック陸部のタイヤ周方向のエッジ成分の合計長さの0.2倍以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記横溝の延在方向とタイヤ周方向との成す角度が、20°以上85°以下の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記第1半盲溝および前記第2半盲溝のタイヤ周方向の長さが、前記ブロック陸部のタイヤ周方向の長さの0.1〜0.45倍であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロック陸部に前記半盲溝対が2対以上配設されていることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の空気入りタイヤ。
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