JP2012183567A - 段差成形金型及び段差成形方法 - Google Patents

段差成形金型及び段差成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プレス成形で、ワーク本体129、229に対して深い段差を有するワーク段差形状部143、243に、亀裂を生じさせることなく、ワークフランジ130、230を成形すること、及びワーク段差形状底部144、244に精度よく開口125、225を成形すること。
【解決手段】深い段差を有するワークフランジ130、230を成形する前に、ワーク段差形状底部144、244に下穴123、223を成形する。先に成形した下穴123、223により成形時のワーク105、205の伸びを許容しワーク段差形状部143、243の亀裂発生を抑制する。その後、ワーク段差形状底部144、244に開口125、225を成形することにより、正確に開口125、225を成形することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、段差成形金型及び段差成形方法に関する。詳しくは、ワークに段差形状部の成形及び段差形状底部への穴あけ加工を行うための段差成形金型及び段差成形方法に関する。
例えば自動車等の製造工場において、燃料タンク等の「段差を有する底部に大型の開口を有する部品を成形する」場合は、成形金型により、ワーク本体に対して段差を有するワークフランジを成形する工程と、ワークフランジの所定の位置に穴あけ加工する工程が必要である。
特許文献1は、浅い段差を有する皿部を成形しその皿部分の中央に開口を成形する皿穴加工用プレス装置を開示している。このプレス装置は、先に浅い段差を有する皿部を成形し、その後開口を成形する。
また、特許文献2は、先に開口を成型し、次にフランジを成形する製造方法を開示している。また、この文献には、先に開口を成形する場合、段差の大きいフランジを成形する場合であっても、段差部分に成形の圧力が集中しないので当該段差部分の亀裂を防止できることが開示されている。
実開昭59−165725号公報 特開2009−214151号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ワークの伸びの限界により、ワーク本体に対して深い段差を成形すると段差部分に亀裂が生るので、深い段差を成形することができない。これを避けるために、亀裂が発生しないように工程を数回に分けることも可能である。しかしながら、工程を複数回に分けると、製造工程が増え全体の作業効率が下がり、更に工程が増えることにより、ワークの位置合せ回数も増えワークの精度が落ちることもある。
他方、特許文献2に記載の方法では、先に設けた開口は、その後、フランジを成形すると、位置ずれ及び形状ずれが生じ、所望の精度の開口を形成することは困難である。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、一工程で、ワーク本体に深い段差形状部を成形し、その段差形状部に高い精度で開口を成形する段差成形金型及び段差成形方法を提供することを目的とする。
(1)ワーク(例えば、後述のワーク105、205)に段差形状部(例えば、後述のワーク段差形状部143、243)の成形及び穴あけ加工を行うための段差成形金型(例えば、後述の成形金型100、200)であって、
前記段差形状部に対応する凹形状部(例えば、後述のダイ凹形状部115、215)と、前記凹形状部の底部(例えば、後述のダイ底部141、241)にダイ穴(例えば、後述のダイ穴117、217)を有するダイ(例えば、後述のダイ116、216)と、
前記ダイ穴に対応し前記ダイ穴と係合して前記ワークに穴あけ加工を行う穴あけパンチ(例えば、後述の穴あけパンチ部108、208)と、
前記穴あけパンチの外側に位置し、前記凹形状部に対応し前記凹形状部と係合して、前記ワークに前記段差形状部を成形する凸形状部(例えば、後述のパンチ凸形状部142、242)を備える段差成形パンチ(例えば、後述の段差成形パンチ110、後述のフランジ成形パンチ213)と、
前記穴あけパンチの内側に位置し、前記穴あけパンチよりも前記ダイ側に突出した、先行パンチ(例えば、後述の先行パンチ部106、206)と、を備え、
前記穴あけパンチが前記ワークに穴あけ加工を行う前に、前記先行パンチ部が前記ワークを前記凹形状部に押しこみ、更に前記凸形状部が前記凹形状部と係合して前記ワークに前記段差形状部を成形するように構成された段差成形金型。
(1)の発明によれば、ワークに段差形状部の成形及び穴あけ加工を行うための段差成形金型は、段差形状部に対応する凹形状部と、凹形状部の底部にダイ穴を有するダイと、ダイ穴に対応しダイ穴と係合してワークに穴あけ加工を行う穴あけパンチと、穴あけパンチの外側に位置し、ダイの凹形状部に対応し凹形状部と係合して、ワークに段差形状部を成形する凸形状部を備える段差成形パンチと、穴あけパンチの内側に位置し、穴あけパンチよりもダイ側に突出した、先行パンチと、を備えている。
そして、穴あけパンチがワークに穴あけ加工を行う前に、先行パンチがワークを凹形状部に押しこみ、更に凸形状部が、凹形状部と係合してワークに段差形状部を成形するように構成されている。
これによって、段差成形パンチの凸形状部がダイの凹形状部と係合してワークに段差形状部を成形する前に、先行パンチによってワークを凹形状部に押しこんでいるので、段差成形時に押しこまれた分だけワークに余裕が生じ、ワークの伸びを阻害することがなく、段差部分に亀裂が生じることを抑制できる。
また、段差成形部を成形した後に、穴あけパンチがワークに穴あけ加工を行うので、穴あけ加工を高い精度で行うことができる。
更に、この成形金型は、これらの一連の作業を一工程で実施できるので作業効率が高い。
(2)この場合、前記先行パンチは先端に刃部(例えば、後述の先行パンチエッジ107、207)を備え、前記先行パンチ部が前記ワークを前記凹形状部に押しこむときに、前記刃部が前記ワークに下穴を成形することが望ましい。
(2)の発明によれば、先端に刃部を有する先行パンチが、ワークに所望のタイミングで確実に下穴を成形することができるので、段差形状部を成形する際に確実に下穴が設けられ、下穴が広がることにより、ワークの伸びを阻害することがなく、段差部分に亀裂が生じることを確実に抑制できる。
(3)ワーク(例えば、後述のワーク105、205)に成形しようとする段差形状部(例えば、後述のワーク段差形状部143、243)に対応する凹形状部(例えば、後述のダイ凹形状部115、215)と、前記凹形状部の底部(例えば、後述のダイ底部141、241)にダイ穴(例えば、後述のダイ穴117、217)を備えるダイ(例えば、後述のダイ116、216)と、
前記ダイ穴に対応した穴あけパンチ(例えば、後述の穴あけパンチ部108、208)と、
前記穴あけパンチの外側に位置し、前記凹形状部に対応した凸形状部(例えば、後述のパンチ凸形状部142、242)を有する段差成形パンチ(例えば、後述の段差成形パンチ110、後述のフランジ成形パンチ213)と、
前記穴あけパンチの内側に位置した先行パンチ(例えば、後述の先行パンチ部106、206)と、
を備えた段差成形金型(例えば、後述の成形金型100、200)を用いて、前記ワークに前記段差形状部の成形及び穴あけ加工を行う段差成形方法であって、
前記先行パンチを前記ダイ方向へ移動させ、前記ワークを前記凹形状部に押し込むステップと、
前記段差成形パンチを前記ダイ方向へ移動させ、前記凸形状部を前記凹形状部に係合させ、前記ワークに前記段差形状部を成形するステップと、
前記穴あけパンチを前記ダイ方向へ移動させ、前記ダイ穴と係合させ、前記段差形状部の前記底部に穴あけ加工を行うステップと、
を有する段差成形方法。
(3)の発明によれば、ワークに段差形状部の成形及び穴あけ加工を行うための段差成形方法であって、これに用いる段差成形金型は、ワークに成形しようとする段差形状部に対応する凹形状部と、凹形状部の底部にダイ穴を備えるダイと、ダイ穴に対応した穴あけパンチと、穴あけパンチの外側に位置しダイの凹形状部に対応した凸形状部を有する段差成形パンチと、穴あけパンチの内側に位置した先行パンチと、を備えていて、
先行パンチをダイ方向へ移動させ、ワークをダイの凹形状部に押し込むステップと、
段差成形パンチをダイ方向へ移動させ、段差成形パンチの凸形状部をダイの凹形状部に係合させ、ワークに段差形状部を成形するステップと、
穴あけパンチを、ダイ方向へ移動させ、ダイ穴と係合させ、段差形状部の底部に穴あけ加工を行うステップと、を有する。
これによって、段差成形パンチの凸形状部がダイの凹形状部と係合してワークに段差形状部を成形する前に、先行パンチによってワークを凹形状部に押しこんでいるので、段差成形時に押しこまれた分だけワークに余裕が生じ、ワークの伸びを阻害することなく段差部分に亀裂が生じることを抑制できる。
また、段差部分を成形した後に、穴あけパンチがワークに穴あけ加工を行うので、穴あけ加工を高い精度で行うことができる。
更に、この成形方法は、これらの一連の作業を一工程で実施できるので作業効率が高い。
本発明によれば、一工程で、ワーク本体に深い段差形状部を成形し、その段差形状部に高い精度で開口を成形する段差成形金型及び段差成形方法を提供することができる。
(a)第1の実施形態の成形金型を用いて成形されたワークを示す図である。(b)第1の実施形態の成形金型の部分断面図である。 第1の実施形態のワークの成形及び穴あけ処理を示す図である。 先行パンチスクラップと穴あけパンチスクラップとの関係を示す図である。 段付パンチ、及びその変形例を示す図である。 (a)第2の実施形態の成形金型を用いて成形されたワークを示す図である。(b)第2の実施形態の成形金型の部分断面図である。 第2の実施形態のワークの成形及び穴あけ処理を示す図である。
[第1の実施形態]
以下、本実施形態について図1ないし図4に基づいて説明する。
図1(a)は、第1の実施形態の成形金型100(図1B)を用いて成形されたワーク105を示す図である。
成形されたワーク105は、ワーク本体129、ワークフランジ130、及びワーク周辺部145を備えている。
ワークフランジ130は、ワーク段差形状部143、及びワーク段差形状底部144を有しており、ワーク段差形状底部144に開口125が成形される。
図1(b)は、第1の実施形態の成形金型100の部分断面図である。
成形金型100は、上型101及び下型102を備えている。
上型101は、図示しない駆動部によって下型102方向へ接近あるいは離隔する方向に駆動される。通常、上型101は上側に、下型102は下側に配置されるので、この場合、上型101は、上下方向に駆動される。上型101は、上型ホルダー103、段付パンチ104、段差成形パンチ110、上型ブランクホルダー112、及び段差成形パンチホールド荷重源122を備えている。
段付パンチ104、上型ブランクホルダー112、及び段差成形パンチホールド荷重源122は、上型ホルダー103に固定されている。段差成形パンチホールド荷重源122は、スプリング、ガスシリンダー及び油圧シリンダー等を用いて、段差成形パンチ110を上型ホルダー103に対して接近あるいは離隔する方向へ移動する。
段付パンチ104は、略円筒状の穴あけパンチ部108と、先行パンチ部106から構成されている。先行パンチ部106は、穴あけパンチ部108の径より小径であって、穴あけパンチ部108の先端から下型102(後述のダイ116)方向へ突出している。また、先行パンチ部106の先端の先行パンチ部下面133は、先行パンチエッジ(先行パンチ刃部)107を備えている。
穴あけパンチ部108は、その下型102(後述のダイ116)方向の端部に、穴あけパンチエッジ(穴あけパンチ刃部)109を有している。穴あけパンチエッジ109は、後述のダイエッジ119と係合して、ワーク105に開口125を成形する。
なお、段付パンチ104は、先行パンチ部106、及び穴あけパンチ部108と構造的に一体化されているとしたが、中空円筒状の穴あけパンチ部108が、先行パンチ部106の外周に同心円状に配置される等、先行パンチ部106、及び穴あけパンチ部108は構造的に別部材によって構成されていてもよい。
段差成形パンチ110は、本体成形パンチ部111、及びフランジ成形パンチ部113を備え、フランジ成形パンチ部113はその先端にパンチ凸形状部142を有する。本体成形パンチ部111は、後述のダイ本体部127と係合してワーク本体129を成形し、フランジ成形パンチ部113のパンチ凸形状部142は、後述のダイ凹形状部115と係合してワーク本体129に深い段差を有するワークフランジ130を成形する。
下型102は、下型ホルダー118、ダイ116、及び下型ブランクホールド荷重源120を備える。
下型ブランクホールド荷重源120は、スプリング、ガスシリンダー、及びクッションピン等を用いて、下型ブランクホルダー114を、下型ホルダー118に対して接近あるいは離隔する方向に移動させる。
ダイ116は、段差成形パンチ110の本体成形パンチ部111に対応するダイ本体部127、及びフランジ成形パンチ部113のパンチ凸形状部142に対応するダイ凹形状部115を備える。
ダイ凹形状部115は、ダイ内周面128、及びその底部にダイ底部141を有し、ダイ底部141にダイ穴117を有する。ダイ内周面128及びダイ底部141の形状は、パンチ凸形状部142の形状に対応している。
ダイ穴117は、その上型101(前述の穴あけパンチ部108)方向の端部にダイエッジ119を備える。ダイエッジ119は対応する穴あけパンチエッジ109と係合して開口125を成形するよう構成されている。
図2(a)ないし(e)は、本実施形態のワークの成形及び穴あけ処理を示す図であり、以下、これに沿って説明する。
図2(a)は、ワーク105を成形金型の上型101及び下型102の間に配置し、上型101が下型102に接近する状態を示す図である。
このとき、ワーク105のワーク周辺部145(図1(a)参照)に対して、先ず上型ブランクホルダー112が接触し、ワーク105は、下型ブランクホールド荷重源120による上向きの適切な圧力によって、上型ブランクホルダー112と下型ブランクホルダー114とに狭持される。
図2(b)は、先行パンチ部106がワーク105を押し込む状態を示す図である。
上型ホルダー103が下型ホルダー118方向へ移動し、それと同時に、上型ブランクホルダー112、その先端に先行パンチ部106を有する段付パンチ104、及び段差成形パンチホールド荷重源122を介した段差成形パンチ110が、下型ホルダー118方向へ移動する。
このとき、前述の通り、下型ブランクホルダー114は、下型ブランクホールド荷重源120によって、ワーク105のワーク周辺部145に対して適切な圧力を印加しつつ、上型ブランクホルダー112の下型ホルダー118方向への移動にあわせて、後退する。
先行パンチ部106がダイ116方向へ移動すると、先行パンチ部下面133がワーク105に当接し、ワーク105は、ワーク周辺部145が上型ブランクホルダー112と下型ブランクホルダー114によって狭持されているため、ダイ116のダイ凹形状部115に、押し込まれ延ばされる。
図2(c)は、先行パンチエッジ107が、ワーク105に下穴123を成形する状態を示す。
上型ホルダー103が下型ホルダー118方向へ、更に移動すると、段差成形パンチ110がダイ116方向へ移動し、段差成形パンチ110のフランジ成形パンチ部113(図1(b)参照)と、ダイ116のダイ凹形状部115が、一部係合し、ワーク105にワークフランジ130の一部を成形する。
ここで、ワークフランジ130の一部が成形されると、ワークは、フランジ成形パンチ部113とダイ凹形状部115とによって、段差の一部を成形されると共に固定されるので、先行パンチ部下面133の降下によって更に延ばされる。
先行パンチ部106が、更に、ダイ116方向へ移動すると、先行パンチ部下面133の先行パンチエッジ107により、ワーク105に切込みが入り、下穴123が成形される。
このときの段付パンチ104のダイ16方向への移動距離は、張力がかかっているワーク105に対して切込みを行うことができるように適切に設定されている。
図2(d)は、ワーク105に、ワーク本体129(図1(a)参照)、及びワークフランジ130(図1(a)参照)を成形する状態を示す。
更に上型ホルダー103が下型ホルダー118方向に移動すると、段差成形パンチ110が、ダイ116方向へ移動し、フランジ成形パンチ部113と、ダイ凹形状部115が係合することによってワークフランジ130を成形する。
また、段差成形パンチ110によって、ワーク105に印加されるプレス圧力は、段差成形パンチホールド荷重源122によって、適切な範囲に調整されている。
図2(e)は、ワーク105に開口125を成形する状態を示す。
段差成形パンチ110によって、ワークフランジ130が成形されると、上型ホルダー103が更に下型ホルダー118方向へ移動しても、段差成形パンチホールド荷重源122が後退することによって、段差成形パンチ110は、ダイ116に対して押圧力を印加した状態で停止する。一方、上型ホルダー103のダイ116方向への移動によって、段付パンチ104もダイ116方向へ移動し、段付パンチ104の穴あけパンチ部108の先端に位置する穴あけパンチエッジ109が、ダイエッジ119と係合し、ワーク段差形状底部144に開口125を成形する。
従って、上型ホルダー103が下型ホルダー118方向へ移動し、それによって、上型ブランクホルダー112、先端に先行パンチ部106を有する段付パンチ104、及び上型ブランクホルダー112を介した段差成形パンチが、下型ホルダー118方向へ移動するとき「ワークに対する段差成形方法」について整理すると以下になる。
ステップ1:
ワーク105をダイ凹形状部115に押し込むステップ(図2(b)参照)
先行パンチ部下面133がワーク105に当接し、ワーク105は、ワーク周辺部145が上型ブランクホルダー112と下型ブランクホルダー114によって狭持されているため、ダイ116のダイ凹形状部115に、押し込まれ延ばされる。
ステップ2:
ワーク105に段差形状部の一部を成形するステップ(図2(c)参照)
段差成形パンチ110がダイ116方向へ移動し、段差成形パンチ110のフランジ成形パンチ部113と、ダイ116のダイ凹形状部115が、一部係合し、ワーク105にフランジの一部を成形する。
ステップ3:
ワーク105に下穴123を成形するステップ(図2(c)参照)
先行パンチ部106が、更に、ダイ116方向へ移動することにより、先行パンチ部下面133の先行パンチエッジ107により、ワーク105に切込みが入り、下穴123が成形される。
ステップ4:
ワーク105にワーク段差形状部143を成形するステップ(図2(d)参照)
段差成形パンチ110が、ダイ116方向へ移動し、フランジ成形パンチ部113と、ダイ凹形状部115が係合することによりワークフランジ130を成形する。
ステップ5:
ワーク105に穴あけ加工を行うステップ(図2(e)参照)
段付パンチ104のダイ116方向へ移動によって、段付パンチ104の穴あけパンチ部108の先端に位置する穴あけパンチエッジ109が、ダイエッジ119と係合し、ワーク段差形状底部144に開口125を成形する。
[パンチスクラップ]
次に、図3(a)ないし(c)を用いて、先行パンチ部106によって下穴123を成形したときに発生する先行パンチスクラップ124と、穴あけパンチ部108によって開口125が成形されたときに発生する穴あけパンチスクラップ126との対比によって本実施形態におけるワーク105の挙動を説明する。
図3(a)は、ワーク105に下穴123を成形する状態を示し、図2(c)に対応する詳細図である。
段差成形パンチ110がダイ116方向へ移動することによって、フランジ成形パンチ部113とダイ凹形状部115との一部が係合し、ワークフランジ130(図1(a)参照)の一部が成形される。
ワーク105は、先行パンチ部106の先行パンチ部下面133の先行パンチエッジ107によって、下穴123が成形されるとき、フランジ成形パンチ部113とダイ凹形状部115との係合によって固定され、張力によって保持され、対応するダイ部分が存在しない状態での空中でのカットとなる。従って先行パンチスクラップ124は、ワーク105から完全に切り離されることはなく、一部がワーク105に繋がっている。
図3(b)は、穴あけパンチ部108によって、ワーク105に開口125を成形する状態を示し、図2(e)に対応する詳細図である。
穴あけパンチ部108がダイ116方向へ移動し、穴あけパンチエッジ109とダイエッジ119とが係合することによって、ワーク段差形状底部144に開口125を成形する。同時に穴あけパンチスクラップ126が発生する。
図3(c)は先行パンチスクラップ124と穴あけパンチスクラップ126の比較を示す。
先行パンチ部106で、下穴123を成形した時の下穴123の大きさは、先行パンチスクラップ124の外周である「先行パンチスクラップ外周146」と同じである。ところが、ワークフランジ130の段差成形を行い、その後、開口125を成形した時の、下穴123の大きさは、穴あけパンチスクラップ126の内周である「穴あけパンチスクラップ内周147」と同じであり、拡大している。
図3(a)に示すように、ワーク105に一部段差成形を行うと、ワーク105の下穴123の周囲の下穴周辺部149は、フランジ成形パンチ部113がダイ116方向へ移動するにつれて、フランジ成形パンチ部113に巻き込まれ、ダイ内周面128方向に、即ち、半径方向外側に、引き寄せられる。図3(b)に示すように、段差成形が終了した段階では下穴周辺部149は、ダイ底部141及びダイ内周面128に、対応した形状に成形される。この時ワーク105(下穴周辺部149)に、先行パンチスクラップ外周146と同じ開口に開けられた下穴123は、ダイ内周面128方向へ拡大する。その結果、下穴123の大きさが広がることにより、ワーク105の段差部分の伸びが阻害されることなく段差部分を成形できる。
ここで、「下穴123が成形されていない場合」を考えると、「下穴123が成形された場合」の下穴周辺部149に相当する部分は、フランジ成形パンチ部113がダイ116方向へ移動するにつれて、ダイ内周面128方向に引き寄せられるが、「下穴123が成形されていない場合」では下穴123に相当する部分が存在するためダイ内周面128方向への移動が阻害され、ワーク段差形状部143に歪が生じ亀裂が生じることがある。
本実施形態では、ワークフランジ130を成形する前に、下穴123を成形することによって、下穴周辺部149の移動を阻害しないようにして、ワーク段差形状部143に亀裂が生じることを抑制できる。
更に、先行パンチスクラップ124は、穴あけパンチスクラップ126とは一部で繋がっている。これにより先行パンチスクラップ124と穴あけパンチスクラップ126とが散乱することを防止できる。
[先行パンチの形状]
図4(a)ないし(d)は、段付パンチ104、及びその変形例を示す。
図4(a)で示す先行パンチ部106は、その先行パンチ部下面133が平坦であり、そのエッジ(先行パンチエッジ107)は、先行パンチ部下面133の端部(周囲)に設けられていて、円形の下穴123を成形するように構成されている。本実施形態は、先行パンチ106の形状につき様々な変形、バリエーションが可能である。図4(b)ないし(d)に、先行パンチ部106の変形例である、106b、106c、及び106dを示す。
図4(b)は、先行パンチ部106bを示す。先行パンチ部106bの断面は円形状であり、先行パンチ部下面133bが斜面になっており、先端部に鋭利な先行パンチエッジ107bを有する。
図4(c)は、先行パンチ部106cを示す。先行パンチ部106cの断面は円形状であり、先行パンチ部下面133cは円錐状であり、先端部に鋭利な先行パンチエッジ107cを有する。
図4(d)は、先行パンチ部106dを示す。先行パンチ部106dの断面は円形状であり、先行パンチ部下面133dは、二平面から構成されており、先端部に鋭利な先行パンチエッジ107dを有する。
図4(a)ないし(d)に示すように、先行パンチ部106、106b、106c、106dの断面はいずれも円形状であるとしたが、これらには限らない。例えば、先行パンチ部106、106b、106c、106dの断面は、正方形、三角形等他の形状を有するものであってもよい。
更に、先行パンチ部下面133、133b、133c、及び133dの形状は、同様に円形には限らず、先行パンチ部106、106b、106c、106dの断面が四角形の場合、四角錐であってもよい。
また、先行パンチ部106、106b、106c、106dの断面が三角形の場合、三角錐であってもよい。
更に、これらに限らず様々な変形が可能である。
[第2の実施形態]
以下、本実施形態について図5、及び図6に基づいて説明する。
図5(a)は、本実施形態の成形金型を用いて成形されたワーク205を示す図である。
成形されたワーク205は直線部と湾曲部が混在する多角形であり、ワーク本体229、ワークフランジ230、及びワーク周辺部245を備えている。
ワークフランジ230は、ワーク段差形状部243、及びワーク段差形状底部244を有しており、ワーク段差形状底部244に開口225が成形される。
図5(b)は、第2の実施形態の成形金型200の部分断面図である。
成形金型200は、上型201及び下型202を備えている。
上型201は、図示しない駆動部によって下型202方向へ接近あるいは離隔する方向へ駆動される。通常上型201は上側に、下型202は下側に配置されるので、この場合上型201は、上下方向に駆動される。上型201は、上型ホルダー203、段付パンチ204、本体成形パンチ211、フランジ成形パンチ213、上型ブランクホルダー212、本体成形パンチホールド荷重源239、及びフランジ成形パンチホールド荷重源240を備えている。
段付パンチ204、上型ブランクホルダー212、本体成形パンチホールド荷重源239、及びフランジ成形パンチホールド荷重源240は、上型ホルダー203に固定されている。
本体成形パンチホールド荷重源239は、スプリング、ガスシリンダー及び油圧シリンダー等を用いて、本体成形パンチ211を上型ホルダー203に対して接近あるいは離隔する方向へ移動する。フランジ成形パンチホールド荷重源240は、スプリング、ガスシリンダー及び油圧シリンダー等を用いて、フランジ成形パンチ213を上型ホルダー203に対して接近あるいは離隔する方向へ移動する。
本体成形パンチホールド荷重源239、及びフランジ成形パンチホールド荷重源240を個別に制御することができるので、本体成形パンチ211とフランジ成形パンチ213とを個別に制御し移動させることができる。
ここで、第1の実施形態の成形金型100と、第2の実施形態の成形金型200とを比較すると、成形金型100では、本体成形パンチ部111とフランジ成形パンチ部113とが段差成形パンチ110として一体化されているのに対して、成形金型200は、別体であって、それらを個別に制御できる本体成形パンチ211とフランジ成形パンチ213とを備える。
段付パンチ204は、第1の実施形態と同様に、略円筒状の穴あけパンチ部208と、穴あけパンチ部208の先端から穴あけパンチ部208の径より小径であり下型202(後述のダイ216)方向へ突出している略円筒状の先行パンチ部206から構成されている。また、先行パンチ部206の先端の先行パンチ部下面233は先行パンチエッジ(先行パンチ刃部)207を備えている。
穴あけパンチ部208も、第1の実施形態と同様に、その下型202(後述のダイ216)方向の端部に、穴あけパンチエッジ(穴あけパンチ刃部)209を有している。穴あけパンチエッジ209は、後述のダイエッジ219と係合して、ワーク205に開口225を成形する。
なお、段付パンチ104は、第1の実施形態と同様に、先行パンチ部106、及び穴あけパンチ部108と構造的に一体化されているとしたが、中空円筒状の穴あけパンチ部108が、先行パンチ部106の外周に同心円状に配置される等、先行パンチ部106、及び穴あけパンチ部108は構造的に別部材によって構成されていてもよい。
フランジ成形パンチ213は、その先端にはパンチ凸形状部242を有する。
本実施形態では、フランジ成形パンチ213、及びパンチ凸形状部242の形状は、直線部と湾曲部が混在する多角形のワークフランジ230に対応する直線部と湾曲部が混在する多角形である。
本体成形パンチ211は、後述のダイ本体部227と係合してワーク本体229(図5(a)参照)を成形し、フランジ成形パンチ部213のパンチ凸形状部242は、後述のダイ凹形状部215と係合してワーク本体229に深い段差を有するワークフランジ230(図5(a)参照)を成形する。
下型202は、下型ホルダー218、ダイ216、及び下型ブランクホールド荷重源220を備える。
下型ブランクホールド荷重源220は、スプリング、ガスシリンダー、及びクッションピン等を用いて、下型ブランクホルダー214を、下型ホルダー218に対して接近あるいは離隔する方向に移動させる。
ダイ216は、本体成形パンチ211に対応するダイ本体部227、及びフランジ成形パンチ213のパンチ凸形状部142に対応するダイ凹形状部215を備える。
ダイ凹形状部215は、ダイ内周面228、及びその底部にダイ底部241を有し、ダイ底部241にダイ穴217を有する。ダイ内周面228及びダイ底部241の形状は、パンチ凸形状部142の形状に対応している。
従って、ダイ凹形状部215、及びダイ内周面228の形状も、直線部と湾曲部が混在する多角形である。
ダイ穴217は、その上型201(前述の穴あけパンチ部208)方向の端部にダイエッジ219を備える。ダイエッジ219は対応する穴あけパンチエッジ209と係合して開口225を成形するように構成されている。
以下、成形金型200を用いたワークフランジ230の成形処理について説明する。
図6(a)ないし(e)は、本実施形態のワーク205の成形及び穴あけ処理を示す図であり、以下、これに沿って説明する。
図6(a)は、ワーク205を成形金型200の上型201及び下型202の間に配置し、上型201が下型202に接近する状態を示す図である。
このとき、ワーク205のワーク周辺部245に、上型ブランクホルダー212が接触し、ワーク205は、下型ブランクホールド荷重源220による上向きの適切な圧力によって、上型ブランクホルダー212と下型ブランクホルダー214に狭持される。
図6(b)は、本体成形パンチ211、及びダイ216により、ワーク205を拘束しワーク本体229を成形する状態を示す図である。
上型ホルダー203が下型ホルダー218方向へ移動し、それと同時に、上型ブランクホルダー212、その先端に先行パンチ部106を有する段付パンチ204、本体成形パンチホールド荷重源239を介した本体成形パンチ部111、及びフランジ成形パンチホールド荷重源240を介したフランジ成形パンチ213が下型ホルダー218方向へ移動する。
この時、下型ブランクホルダー214は、下型ブランクホールド荷重源220によって、ワーク205に対して適切な圧力を印加しつつ、上型ブランクホルダー212の下型ホルダー218方向への移動にあわせて、後退する。
これにより、ワーク205のワーク周辺部245が、上型ブランクホルダー212と下型ブランクホルダー214とに狭持されつつ、下型ホルダー218方向へ移動し、成形される。
更に、本体成形パンチホールド荷重源239が伸長し、本体成形パンチ211を、ダイ216方向へ移動させる。これにより本体成形パンチ211、及びダイ本体部227が係合することによりワーク本体229を拘束し成形する。このとき、本体成形パンチ211は、本体成形パンチホールド荷重源239によって、ワーク本体229に対して適切な圧力を印加しつつ、ワーク本体229を成形する。
これにより直線部と湾曲部が混在する多角形段差を有するワークフランジ230を成形するときに、発生する可能性のあるワーク本体229の湾曲部から外側に向かう部分での「浮き上り」が発生する前に、ワーク本体229を拘束し成形する。これによりワーク本体229での「浮き上り」を防止し、更に「浮き上り」に起因するシワの発生を抑制することができる。
図6(c)は、先行パンチ部206が、ワーク205を押し込み延ばしつつ、更に先行パンチエッジ207が切り込みを入れている状態を示す。
上型ホルダー203が下型ホルダー218方向へ移動すると、それに伴い先行パンチ部206がダイ216方向へ移動する。ワーク本体229(図5(a)参照)が、本体成形パンチ211、及びダイ本体部227により成形され拘束されているので、先行パンチ部206の先端に位置する先行パンチ部下面233が、ダイ216のダイ凹形状部215に配置されているワーク205に当接し、ワーク205をダイ方向へ押し込み延ばす。更に、先行パンチ部206がダイ216方向へ移動すると、先行パンチ部206の先端に位置する先行パンチエッジ207により、ワーク205に切り込みが入り、下穴223が成形される。
図6(d)は、ワーク本体229に対する深い段差を有するワークフランジ230を成形する状態を示す図である。
フランジ成形パンチホールド荷重源240が伸張することにより、フランジ成形パンチ213がダイ216方向へ移動する。これによりフランジ成形パンチ213と、ダイ凹形状部215が係合することによってワークフランジ230を成形する。ここでフランジ成形パンチ213によって与えられるワークフランジ230に印加されるプレス圧力は、フランジ成形パンチホールド荷重源240によって、適切な範囲に調整されている。
図6(e)は、ワーク205に開口225を成形する状態を示す図である。
フランジ成形パンチ213と、ダイ凹形状部215が係合することにより、ワークフランジ230が成形されると、更に、上型ホルダー203が下型ホルダー218方向へ移動しても、フランジ成形パンチホールド荷重源240、及び本体成形パンチホールド荷重源239が後退することによって、フランジ成形パンチ213、及び本体成形パンチ211は、ダイ216に対して押圧力を印加した状態で移動を停止する。一方、上型ホルダー103のダイ216方向へ移動によって、段付パンチ204もダイ216方向へ移動し、段付パンチ204の穴あけパンチ部208の先端に位置する穴あけパンチエッジ209が、ダイエッジ219と係合し、ワーク段差形状底部244(図5(a)参照)に開口225(図5(a)参照)を成形する。
以上により、成形金型200は、深い段差を有する、直線部と湾曲部が混在する多角形のワークフランジ230を成形する場合であっても、ワーク本体229の「浮き上り」の発生を防止し「浮き上り」に起因するシワの発生を抑制する。これによって、図5(a)に示すように、深い段差を有し、かつ、シワのない直線部と湾曲部が混在する多角形のワークフランジ230を成形できる。
なお、以上ワーク205は直線部と湾曲部が混在する多角形のワークフランジ230であるとして説明したが、第1の実施形態と同様に、円形のワークフランジであっても成形できることは言うまでもない。
ここで、上型ホルダー203が下型ホルダー218方向へ移動し、それと同時に、上型ブランクホルダー212、その先端に先行パンチ部106を有する段付パンチ204、本体成形パンチホールド荷重源239を介した本体成形パンチ部111、及びフランジ成形パンチホールド荷重源240を介したフランジ成形パンチ213が下型ホルダー218方向へ移動するとき「ワークに対する段差成形方法」について整理すると以下になる。
ステップ1:
ワーク本体229を成形するステップ(図6(b)参照)
ワーク205のワーク周辺部245が、上型ブランクホルダー212と下型ブランクホルダー214とに狭持されつつ、下型ホルダー218方向へ移動し、成形される。
更に、本体成形パンチ211が、ダイ216方向へ移動し、本体成形パンチ211、及びダイ本体部227が係合することによりワーク本体229を成形する。
ステップ2:
ワーク205をダイ凹形状部215に押し込み延ばすステップ(図6(c)参照)
先行パンチ部206がダイ216方向へ移動すると、ワーク本体229(図5(a)参照)が、本体成形パンチ211、及びダイ本体部227により拘束されているので、先行パンチ部206の先端に位置する先行パンチ部下面233が、ダイ216のダイ凹形状部215に配置されているワーク205に当接し、ワーク205をダイ方向へ押し込み延ばす。
ステップ3:
ワーク205に下穴223を成形するステップ(図6(c)参照)
更に、先行パンチ部206がダイ216方向へ移動すると、先行パンチ部206の先端に位置する先行パンチエッジ207により、ワーク205に切り込みが入り、下穴223が成形される。
ステップ4:
ワーク205にワーク段差形状部243を成形するステップ(図6(d)参照)
フランジ成形パンチ213がダイ216方向へ移動すると、フランジ成形パンチ213と、ダイ凹形状部215とが係合することによってワークフランジ230を成形する。
ステップ5:
ワーク205に穴あけ加工を行うステップ(図6(e)参照)
段付パンチ204のダイ216方向へ移動によって、段付パンチ204の穴あけパンチ部208の先端に位置する穴あけパンチエッジ209が、ダイエッジ219と係合し、ワーク段差形状底部244(図5(a)参照)に開口225(図5(a)参照)を成形する。
[第1の実施形態及び第2の実施形態に共通の効果]
(1)成形金型100、200によって、パンチ凸形状部142、242が、ダイ凹形状部115、215と係合し、ワーク105、205にワーク段差形状部143、243を成形する前に、先行パンチ部106、206が、ワーク105、205に下穴123、223を成形しているので、段差成形時に、下穴123、223が広がることにより、ワーク105、205の伸びを阻害することがなく、ワーク段差形状部143、243に亀裂が生じることを抑制できる。
(2)また、段差成形後に、穴あけパンチ部108、208がワーク105、205に穴あけ加工を行うので、穴あけ加工を高い精度で行うことができる。
(3)更に、これらの一連の作業が一工程で、実施できるので、作業効率が向上する。
(4)先端に刃部107、207有する先行パンチ部106、206が、ワーク105、205に、確実に下穴123、223を成形することができるので、ワーク段差形状部143、243を成形する際に、ワーク105、205の伸びを阻害することなく、段差部分に亀裂が生じることを確実に抑制できる。
[第2の実施形態の効果]
(5)直線部と湾曲部が混在する多角形のワークフランジ230を成形する場合でも、フランジ成形パンチ213とダイ凹形状部215(図5(b)参照)によって、ワークフランジ230を成形する前に、本体成形パンチ211、及びダイ216によりワーク本体229を拘束し成形するので、ワーク本体129をシワの発生を抑制しながら加工ができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、ワーク105、205に下穴123、223を成形していた。しかしながら、ワーク105、205の伸びを阻害することがなく、ワーク段差形状部143、243に亀裂が生じることを抑制するという効果を奏するためには、ワーク105、205に下穴123、223を成形することは必須ではない。
即ち、上述した「ワークに対する段差成形方法」において、上述のステップS3は必須なステップではなく、たとえ省略しても、ステップS2の処理によって、段差成形パンチの凸形状部がダイの凹形状部と係合してワークに段差形状部を成形する前に、先行パンチによってワークを凹形状部に押しこんでいるので、段差成形時に押しこまれた分だけワークに余裕が生じ、その結果、当該効果自体を奏することは可能になる。
もっとも、前記実施形態のようにステップS2の後にステップS3を含めることで、当該効果がより顕著なものとなる。
100、200…成形金型
101、201…上型
102、202…下型
103、203…上型ホルダー
104、204…段付パンチ
105、205…ワーク
106、106a、106b、106c、206…先行パンチ部(先行パンチ)
107、107a、107b、107c、207…先行パンチエッジ(先行パンチ刃部)
108、208…穴あけパンチ部(穴あけパンチ)
109、209…穴あけパンチエッジ(穴あけパンチ刃部)
110…段差成形パンチ
111、211…本体成形パンチ部(本体成形パンチ)
112、212…上型ブランクホルダー
113、213…フランジ成形パンチ部(フランジ成形パンチ)
114、214…下型ブランクホルダー
115、215…ダイ凹形状部
116、216…ダイ
117、217…ダイ穴
118、218…下型ホルダー
119、219…ダイエッジ(ダイ刃部)
120、220…下型ブランクホールド荷重源
122…段差成形パンチホールド荷重源
123、223…下穴
124、224…先行パンチスクラップ
125、225…開口
126、226…穴あけパンチスクラップ
127、227…ダイ本体部
128、228…ダイ内周面
129、229…ワーク本体
130、230…ワークフランジ
133、133a、133b、133c、233…先行パンチ部下面
141、241…ダイ底部(底部)
142、242…パンチ凸形状部
143、243…ワーク段差形状部(段差形状部)
144、244…ワーク段差形状底部(段差形状底部)
145、245…ワーク周辺部
146、246…先行パンチスクラップ外周
147、247…穴あけパンチスクラップ内周
149…下穴周辺部
239…本体成形パンチホールド荷重源
240…フランジ成形パンチホールド荷重源

Claims (3)

  1. ワークに段差形状部の成形及び穴あけ加工を行うための段差成形金型であって、
    前記段差形状部に対応する凹形状部と、前記凹形状部の底部にダイ穴を有するダイと、
    前記ダイ穴に対応し前記ダイ穴と係合して前記ワークに穴あけ加工を行う穴あけパンチと、
    前記穴あけパンチの外側に位置し、前記凹形状部に対応し前記凹形状部と係合して、前記ワークに前記段差形状部を成形する凸形状部を備える段差成形パンチと、
    前記穴あけパンチの内側に位置し、前記穴あけパンチよりも前記ダイ側に突出した、先行パンチと、
    を備え、
    前記穴あけパンチが前記ワークに穴あけ加工を行う前に、前記先行パンチが前記ワークを前記凹形状部に押しこみ、更に前記凸形状部が前記凹形状部と係合して前記ワークに前記段差形状部を成形するように構成された段差成形金型。
  2. 前記先行パンチは先端に刃部を備え、
    前記先行パンチ部が前記ワークを前記凹形状部に押しこむときに、前記刃部が前記ワークに下穴を成形する、
    請求項1に記載の段差成形金型。
  3. ワークに成形しようとする段差形状部に対応する凹形状部と、前記凹形状部の底部にダイ穴を備えるダイと、
    前記ダイ穴に対応した穴あけパンチと、
    前記穴あけパンチの外側に位置し、前記凹形状部に対応した凸形状部を有する段差成形パンチと、
    前記穴あけパンチの内側に位置した先行パンチと、
    を備えた段差成形金型を用いて、前記ワークに前記段差形状部の成形及び穴あけ加工を行う段差成形方法であって、
    前記先行パンチを前記ダイ方向へ移動させ、前記ワークを前記凹形状部に押し込むステップと、
    前記段差成形パンチを前記ダイ方向へ移動させ、前記凸形状部を前記凹形状部に係合させ、前記ワークに前記段差形状部を成形するステップと、
    前記穴あけパンチを前記ダイ方向へ移動させ、前記ダイ穴と係合させ、前記段差形状部の前記底部に穴あけ加工を行うステップと、
    を有する段差成形方法。
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