JP2012182299A - 半導体基板用研磨液及び半導体基板の研磨方法 - Google Patents

半導体基板用研磨液及び半導体基板の研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体基板及び絶縁層を優れた研磨速度で研磨することが可能な半導体基板用研磨液及び半導体基板の研磨方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る半導体基板用研磨液は、セリア粒子及びシリカ粒子を含む砥粒と、第1酸解離定数が7以下である化合物と、塩基性化合物と、を含有する。本発明の一実施形態に係る半導体基板の研磨方法は、表面1aのみに開口した中空部3aが形成された基板本体1と、中空部3a内に配置された、TSV(貫通電極)7aとなるべき導電部材7と、中空部3a内において基板本体1及び導電部材7の間に配置された絶縁層5と、を備える半導体基板400の基板本体1及び絶縁層5を、前記半導体基板用研磨液を用いて裏面1b側から研磨して導電部材7を裏面1b側に露出させ、TSV7aを有する貫通電極構造を形成する研磨工程を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、半導体基板用研磨液及び半導体基板の研磨方法に関し、特に、半導体基板の主面の加工に好適な半導体基板用研磨液及び半導体基板の研磨方法に関する。
これまで長年にわたり、半導体デバイスの高性能化はスケーリング則に基づく微細化、高集積化によってなされてきた(例えば、下記非特許文献1参照)。しかしながら、近年このようなアプローチは限界を迎えつつあり、設計や実装も含めたシステム全体での高性能化へと方向性が変わりつつある。
このようなシステム全体での高性能化の手法が種々検討されており、例えば、LSI(Large−scale Integrated Circuit:大規模集積回路)チップを縦方向(高さ方向)に高密度に積層する三次元実装技術もその一つである(例えば、下記非特許文献2参照)。三次元実装技術の中でも特に、TSV(Through−silicon Via:シリコン貫通ビア)と呼ばれる、LSIチップを貫通した配線(貫通電極)を介して、上下に配置されたLSIチップを接続する技術が注目されている。
TSVを形成する手法は多数提案されており、配線工程においてTSVを形成する手法、又は前工程完了後に基板表面からTSVを形成する手法が検討されている。例えば、TSV構造を有する半導体基板は、以下のようにして製造される。まず、表面(一方の主面)のみに開口した中空部が形成された半導体基板(例えばシリコン基板)の当該表面上に、TSVを絶縁するための絶縁層(例えばシリコン酸化膜(二酸化ケイ素膜))を中空部の形状に沿って形成する。次に、TSV材料である導電部材(例えば銅層等の導電体層)を中空部内に配置する。続いて、半導体基板を裏面(他方の主面)側からグラインダーを用いて研削して、絶縁層が露出する寸前まで半導体基板を薄層化した後、グラインダーによって半導体基板の裏面に発生した研削傷(研削痕)を研磨により解消する。この場合、半導体基板を裏面側から研磨して半導体基板の裏面側の表層部を除去することにより、半導体基板の裏面側に絶縁層が現れる。そして、半導体基板を裏面側から更に研磨して絶縁層を除去することにより、半導体基板の裏面側に導電部材が露出してTSVが形成される。このようにTSVを得るためには、研削傷を解消するための研磨において、研磨面に露出する半導体基板の裏面側の表層部や絶縁層を研磨除去する必要がある。
米国特許第4169337号明細書
IEEE J. Solid−State Circuits, vol. SC−9, pp. 256−268 (1974). Technical Digest of International Electron Devices Meeting (IEEE, Piscataway, NJ, 2001), p. 23.1.1.
ところで、研削傷を解消するための研磨には、シリコン等の半導体基板の構成材料を研磨対象とした半導体基板製造用の研磨液が使用される場合がある。半導体基板製造用の研磨液としては、例えば、一次粒子の粒径が4〜200nm(好ましくは4〜100nm)の範囲内であるコロイド形態のシリカ及びシリカゲルのいずれかと、水溶性アミンとを含有する研磨液が挙げられる(例えば、上記特許文献1参照)。
しかしながら、このような半導体基板製造用の研磨液は、シリコン等の半導体基板の構成材料を主な研磨対象としているため、当該研磨液を用いた場合における絶縁層の研磨速度は非常に低い。そのため、このような半導体基板製造用の研磨液を用いて、導電部材を被覆している絶縁層を研磨したとしても、絶縁層が残存してしまい導電部材が露出し難い。この場合、導電部材を露出させるためには、絶縁層研磨用の研磨液を用いて絶縁層を研磨する工程や、ウエットエッチング、ドライエッチング等の手法により絶縁層を除去する工程が別途必要であり、貫通電極を得るための工程が煩雑化してしまう。そのため、従来の半導体基板用研磨液に対しては、半導体基板と共に絶縁層を優れた研磨速度で研磨することが求められている。
本発明は、前記課題を解決しようとするものであり、半導体基板及び絶縁層を優れた研磨速度で研磨することが可能な半導体基板用研磨液及び当該半導体基板用研磨液を用いた半導体基板の研磨方法を提供することを目的とする。
本発明に係る半導体基板用研磨液は、セリア粒子及びシリカ粒子を含む砥粒と、第1酸解離定数(pKa1)が7以下である化合物と、塩基性化合物と、を含有する。
なお、酸解離定数(pKa)は、酸から水素イオンが放出される解離反応における平衡定数Kaの負の常用対数(逆数の対数)であり、複数のpKaを有する化合物を用いる場合には、一段目の酸解離定数を「pKa1」という。また、本発明において、第1酸解離定数が7以下である化合物は、単一のpKaを有する化合物であってもよく、この場合には、当該単一のpKaを「pKa1」という。前記pKa1の値としては、例えば、化学便覧、基礎編II(改訂5版、丸善(株))を参照することができる。
本発明に係る半導体基板用研磨液によれば、半導体基板及び絶縁層を優れた研磨速度ですることができる。このような本発明によれば、導電部材を被覆している絶縁層や半導体基板の表層部を研磨することにより導電部材を露出させることが可能であり、導電部材を被覆する絶縁層を除去する工程を別途設ける必要がないことから、工程を煩雑化させることなく貫通電極構造を容易に形成することができる。
ところで、半導体基板を貫通した貫通電極を介して、上下に配置されたLSIチップを接続するためには、半導体基板の主面に露出した貫通電極の端部を凸状に加工して半導体基板の主面から突出させることが好ましい。この場合、半導体基板の主面から突出する貫通電極を得るためには、半導体基板の主面に露出した貫通電極上に凸状の導電体を別途形成する工程を設けることも考えられるが、工程が煩雑化してしまう。
このような問題を避けるため、半導体基板、絶縁層及び貫通電極が露出した研磨面において、貫通電極に比して半導体基板や絶縁層を過剰に研磨除去し、貫通電極の端部を半導体基板の主面から突出させることが考えられる。しかしながら、従来の半導体基板用研磨液を用いた場合には、絶縁層を充分に研磨除去することが困難であることから、半導体基板の主面から突出する貫通電極を得ることが困難である。
一方、本発明に係る半導体基板用研磨液によれば、貫通電極を構成する導電部材(例えば銅層)の研磨速度を抑制しつつ、半導体基板及び絶縁層を優れた研磨速度で研磨することもできる。このような研磨液によれば、半導体基板の主面に露出した貫通電極上に凸状の導電体を別途形成する工程を設ける必要がないことから、工程を煩雑化させることなく、半導体基板の主面から突出する貫通電極を容易に得ることができる。
第1酸解離定数が7以下である化合物は、アゾール及びアミノ酸から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。アゾールは、1,2,4−トリアゾールであることが好ましい。アミノ酸は、グリシン及びヒスチジンから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの場合、半導体基板及び絶縁層を更に優れた研磨速度で研磨することができる。
塩基性化合物は、含窒素塩基性化合物及び無機塩基性化合物から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、水酸化カリウム及び水酸化テトラメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。これらの場合、半導体基板及び絶縁層を更に優れた研磨速度で研磨することができる。
塩基性化合物の含有量は、0.10質量%以上であることが好ましい。
本発明に係る半導体基板用研磨液は、カルボキシル基を有する有機酸を更に含有していてもよい。
本発明に係る半導体基板用研磨液のpHは、9.0以上12.0以下であることが好ましい。
本発明に係る半導体基板用研磨液は、一方の主面のみに開口した中空部が形成された基板本体と、中空部内に配置された、貫通電極となるべき導電部材と、を備える半導体基板の基板本体を他方の主面側から研磨し、導電部材を前記他方の主面側に露出させて貫通電極構造を形成するために用いられてもよい。また、本発明に係る半導体基板用研磨液は、一方の主面から他方の主面にかけて貫通する貫通孔が形成された基板本体と、貫通孔内に配置された貫通電極と、を備える半導体基板の基板本体を前記一方の主面側又は前記他方の主面側から研磨するために用いられてもよい。
本発明に係る半導体基板の研磨方法は、一方の主面のみに開口した中空部が形成された基板本体と、中空部内に配置された、貫通電極となるべき導電部材と、を備える半導体基板の基板本体を、前記半導体基板用研磨液を用いて前記他方の主面側から研磨し、導電部材を前記他方の主面側に露出させて貫通電極構造を形成する研磨工程を備えていてもよい。このような研磨方法によれば、貫通電極構造を有する半導体基板を容易に得ることができる。
また、本発明に係る半導体基板の研磨方法は、一方の主面から他方の主面にかけて貫通する貫通孔が形成された基板本体と、貫通孔内に配置された貫通電極と、を備える半導体基板の基板本体を、前記半導体基板用研磨液を用いて前記一方の主面側又は前記他方の主面側から研磨する研磨工程を備えていてもよい。このような研磨方法によれば、半導体基板の主面から突出する貫通電極を容易に得ることができる。
本発明に係る半導体基板の研磨方法は、研磨工程の前に、研磨工程において研磨される主面側から基板本体を研削する工程を更に備えていてもよい。
本発明に係る半導体基板の研磨方法では、研磨工程において、アスカーC硬度が50以上90以下である研磨布(研磨パッド)を用いて基板本体を研磨することが好ましい。この場合、半導体基板の主面から突出する貫通電極を更に容易に得ることができる。
本発明によれば、半導体基板及び絶縁層を優れた研磨速度で研磨することが可能な半導体基板用研磨液及び当該半導体基板用研磨液を用いた半導体基板の研磨方法が提供される。このような研磨液によれば、工程を煩雑化させることなく貫通電極構造を容易に形成することができる。また、本発明によれば、導電部材の研磨速度を抑制しつつ、半導体基板及び絶縁層を優れた研磨速度で研磨することもできる。このような研磨液によれば、工程を煩雑化させることなく、半導体基板の主面から突出する貫通電極を容易に得ることができる。
本発明の一実施形態に係る研磨方法の工程を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る研磨方法の工程を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る研磨方法の工程を示す模式断面図である。 本発明の他の一実施形態に係る研磨方法の工程を示す模式断面図である。 研磨後の研磨面のSEM写真を示す図である。 研磨後の研磨面におけるTSVの形状の測定結果を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る半導体基板用研磨液及び当該研磨液を用いた半導体基板の研磨方法ついて詳細に説明する。
<半導体基板用研磨液>
本実施形態に係る半導体基板用研磨液は、砥粒(研磨粒子)と、第1酸解離定数(pKa1)が7以下である化合物と、塩基性化合物と、を含有する。
(砥粒)
本実施形態に係る半導体基板用研磨液で用いられる砥粒は、セリア粒子(酸化セリウム粒子)及びシリカ粒子(二酸化ケイ素粒子)を少なくとも含む。半導体基板及び絶縁層が露出した研磨面をこのような研磨液を用いて研磨する場合には、シリカ粒子によって主に半導体基板が研磨され、セリア粒子によって主に絶縁層が研磨される。シリカ粒子としては、コロイダルシリカ粒子が好ましい。
また、必要に応じて他の砥粒を併用してもよい。併用できる他の砥粒としては、具体的には例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア又は有機ポリマ等からなる砥粒を挙げることができる。
セリア粒子の平均粒径(二次粒径)は、研磨液中での分散安定性が良く、CMPにより発生する研磨傷(スクラッチ)の発生数が少ない点で、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。セリア粒子の平均粒径は、実用的な研磨速度を得やすくなる点で、10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、50nm以上が更に好ましい。
セリア粒子の含有量は、充分な絶縁層の研磨速度を得やすくなる点で、研磨液全質量基準で0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.10質量%以上が更に好ましい。セリア粒子の含有量は、研磨液中で粒子が凝集することを抑制可能である点で、研磨液全質量基準で2.00質量%以下が好ましく、1.00質量%以下がより好ましく、0.80質量%以下が更に好ましい。
シリカ粒子の平均粒径(二次粒径)は、研磨液中での分散安定性が良く、CMPにより発生する研磨傷(スクラッチ)の発生数が少ない点で、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。特に、シリカ粒子としては、平均粒径が200nm以下のコロイダルシリカが好ましく、平均粒径が100nm以下のコロイダルシリカがより好ましい。シリカ粒子の平均粒径は、実用的な研磨速度を得やすくなる点で、5nm以上が好ましく、7nm以上がより好ましく、9nm以上が更に好ましい。
シリカ粒子の含有量は、充分な半導体基板の研磨速度を得やすくなる点で、研磨液全質量基準で0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.10質量%以上が更に好ましい。シリカ粒子の含有量は、研磨傷等の欠陥の発生を抑制しつつ含有量に見合う研磨速度の向上効果が得やすくなる点で、研磨液全質量基準で5.00質量%以下が好ましく、1.00質量%以下がより好ましく、0.50質量%以下が更に好ましい。
なお、前記平均粒径は、例えば、レーザ回折式粒度分布計(例えば、堀場製作所製のLA−920)、光回折散乱式粒度分布計(例えば、COULTER Electronics社製の商品名COULTER N4 SD)で測定できる。
(第1酸解離定数が7以下である化合物)
本実施形態に係る半導体基板用研磨液は、第1酸解離定数が7以下である化合物を含有する。第1酸解離定数が7以下である化合物を研磨液が含有することによって、所望のpHにて半導体基板の構成材料(シリコン等)の溶解剤として機能する塩基性化合物の含有量を増加させることができる。その結果、第1酸解離定数が7以下である化合物を含有していない研磨液に比して研磨速度を大幅に高めることが可能となる。
第1酸解離定数が7以下である化合物としては、塩基性化合物の含有量を増加させることができる上に、導電部材に対する研磨を抑制しやすくなる点で、アゾール及びアミノ酸から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。アゾールは、1,2,4−トリアゾールであることが好ましい。なお、1,2,4−トリアゾールは、後述する金属防食剤としての効果も有している。アミノ酸は、グリシン及びヒスチジン(例えばL−ヒスチジン)から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
第1酸解離定数が7以下である化合物の含有量は、研磨速度の向上効果を充分に得やすくなる点で、研磨液全質量基準で0.10質量%以上が好ましく、0.20質量%以上がより好ましく、0.30質量%以上が更に好ましい。第1酸解離定数が7以下である化合物の含有量は、研磨液を濃縮する際に砥粒が凝集する等の不具合が発生することを抑制できる点で、研磨液全質量基準で5.00質量%以下が好ましく、3.00質量%以下がより好ましく、1.50質量%以下が更に好ましい。第1酸解離定数が7以下である化合物として複数の化合物を用いる場合は、各化合物の含有量の合計が上記範囲を満たすことが好ましい。
(塩基性化合物)
本実施形態に係る半導体基板用研磨液は、塩基性化合物を含有する。塩基性化合物は、含窒素塩基性化合物及び無機塩基性化合物から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。含窒素塩基性化合物は、水酸化テトラメチルアンモニウムであることが好ましい。無機塩基性化合物は、水酸化カリウムであることが好ましい。塩基性化合物としては、TSVを構成する導電部材(例えば銅)が過剰に溶解することを抑制できる点で、水酸化カリウムがより好ましい。一方で、塩基性化合物としては、TSVを構成する導電部材が過剰に溶解してしまうことを抑制する点で、銅と錯形成する塩基性化合物(例えば水酸化アンモニウム)とは異なる化合物を用いることが好ましい。塩基性化合物は、単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
塩基性化合物の含有量は、実用的な半導体基板の研磨速度を得やすくなる点で、研磨液全質量基準で0.10質量%以上が好ましく、0.20質量%以上がより好ましく、0.30質量%以上が更に好ましい。塩基性化合物の含有量は、砥粒であるシリカ粒子の解重合やイオン強度の高まりによる凝集等の不具合が発生することを抑制できる点で、研磨液全質量基準で5.00質量%以下が好ましく、3.00質量%以下がより好ましく、1.00質量%以下が更に好ましい。
(金属防食剤)
本実施形態に係る半導体基板用研磨液は、金属防食剤を更に含有していてもよい。金属防食剤としては、アゾール(第1酸解離定数が7以下である化合物に該当するアゾールを除く)が好ましく、トリアゾール骨格を有するアゾールがより好ましく、ベンゾトリアゾール骨格を有するアゾールが更に好ましく、1H−ベンゾトリアゾールが特に好ましい。
金属防食剤の含有量は、導電部材(例えば銅層)が研磨されることを充分に抑制し易くなる点で、研磨液全質量基準で0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましい。金属防食剤の含有量は、砥粒の凝集といった不具合の発生を抑制しつつ、含有量に見合うだけの導電部材の研磨の抑制効果が得られる点で、研磨液全質量基準で1.00質量%以下が好ましく、0.50質量%以下がより好ましく、0.20質量%以下が更に好ましい。
(カルボキシル基を有する有機酸)
本実施形態に係る半導体基板用研磨液は、カルボキシル基を有する有機酸(アミノ酸を除く)を更に含有していてもよい。カルボキシル基を有する有機酸としては、例えばリンゴ酸、ピコリン酸、マレイン酸が挙げられる。カルボキシル基を有する有機酸の含有量は、研磨液全質量基準で例えば0.001質量%以上1.0質量%以下である。
(その他の成分)
本実施形態に係る半導体基板用研磨液は、上述した成分の他に、水、水以外の溶媒、水溶性高分子等のように一般に研磨液に添加される成分を、上述した研磨液の作用効果を損なわない範囲で更に含有することができる。
(pH)
本実施形態に係る半導体基板用研磨液のpHは、充分な研磨速度を得やすくなる点で、9.0以上が好ましく、9.5以上がより好ましく、10.0以上が更に好ましい。半導体基板用研磨液のpHは、研磨液の液状安定性の低下を抑制する点で、12.0以下が好ましく、11.5以下がより好ましく、11.0以下が更に好ましい。半導体基板用研磨液のpHが12.0以下であることにより、砥粒が解重合を生じて研磨液の液状安定性が低下することを抑制することもできる。半導体基板用研磨液のpHは、例えば、半導体基板用研磨液における、pKa1が7以下の化合物及び塩基性化合物の含有量で調整することができる。
半導体基板用研磨液のpHは、pHメータ(例えば、横河電機株式会社製、Model pH81)で測定することができる。中性リン酸塩pH緩衝液(pH6.86(25℃))と、ホウ酸塩pH標準液(pH9.18(25℃))とを用いて2点校正した後、電極を研磨液に入れて、2分以上経過して安定した後の値を研磨液のpHとして採用することができる。
(保存形態)
本実施形態に係る半導体基板用研磨液は、含有成分の濃度を予め高くした濃縮形態として保存することができる。この場合、研磨液の使用時には、水等で本来の含有成分の濃度まで濃縮形態の研磨液を希釈して使用すればよい。さらに、本実施形態に係る半導体基板用研磨液は、含有成分をいくつかの液体に分けた分液形態として保存し、それらを使用時に混合して使用することもできる。
<半導体基板の研磨方法>
本実施形態に係る半導体基板の研磨方法では、前記半導体基板用研磨液を用いて半導体基板を研磨する。前記半導体基板用研磨液は、半導体基板及び絶縁層を優れた研磨特性で同時研磨可能である。そのため、導電部材を被覆する半導体基板の表層部及び絶縁層が露出した半導体基板の主面を前記半導体基板用研磨液を用いて研磨して、半導体基板の表層部及び絶縁層を除去することにより、導電部材を主面に露出させることが可能である。これにより、半導体基板の一方の主面から他方の主面にかけて貫通し一方の主面及び他方の主面を接続する貫通電極を有する配線構造を得ることができる。このような半導体基板用研磨液は、半導体基板の研削工程において研削(グラインディング)した当該基板の主面を研磨して研削傷を解消する用途に特に適している。さらに、前記半導体基板用研磨液を用いて半導体基板の主面を研磨することにより、半導体基板の主面から突出する貫通電極を有する配線構造を得ることも可能であり、上下に配置されたLSIチップの接続に好適な貫通電極を容易に得ることができる。
本実施形態に係る半導体基板の研磨方法の第1態様は、
(1)表面(一方の主面)のみに開口した中空部が形成された基板本体と、中空部内に配置された、貫通電極となるべき導電部材と、導電部材における裏面(基板本体の他方の主面)側の端部及び基板本体の裏面側の表層部の間に少なくとも配置された絶縁層と、を備える半導体基板を準備する準備工程と、
(2)準備工程の後、導体部材が露出しないように裏面側から基板本体を研削して基板本体を薄化する研削工程(薄層化工程)と、
(3)研削工程の後、前記半導体基板用研磨液を用いて基板本体及び絶縁層を裏面側から研磨し、導電部材を裏面側に露出させて貫通電極構造を形成する研磨工程と、を備える。
半導体基板の研磨方法の第1態様では、研磨工程において、導電部材を被覆する絶縁層や基板本体の裏面側の表層部を研磨除去して導電部材を裏面側に露出させ、貫通電極を形成する。以下、図1〜図3を用いて半導体基板の研磨方法の第1態様について説明する。
準備工程では、まず、互いに対向する表面(一方の主面、第1の主面)1a及び裏面(他方の主面、第2の主面)1bを有するシリコン基板等の基板本体1を準備した後、表面1a上に素子2を形成する(図1(a)参照)。次に、TSV(貫通電極)が配置されるための中空部3aをプラズマエッチング等の方法により基板本体1の表面1aに形成する(図1(b)参照)。続いて、TSVを絶縁するための絶縁層(例えばシリコン酸化膜や、シリコン窒化膜)5を中空部3aの形状に追従するように表面1a上に形成して半導体基板100を得る(図1(c)参照)。
次に、中空部3aを埋め込むと共に絶縁層5の全面を覆うように、スパッタリングや電解メッキ等の方法により導電部材(例えば銅層)7を絶縁層5上に積層する(図2(a)参照)。続いて、素子2が露出するまで表面1a側から導電部材7及び絶縁層5を研磨して、半導体基板200を得る(図2(b)参照)。
研削工程では、絶縁層5が露出する寸前までグラインダーによって基板本体1を裏面1b側から研削して基板本体1を薄層化し、半導体基板300を得る(図2(c)参照)。
研磨工程では、半導体基板用研磨液を用いて基板本体1を裏面1b側から研磨して、研削工程においてグラインダーによって裏面1bに発生した研削傷を解消する。研磨工程における研磨対象である半導体基板300は、TSVを形成するための半導体基板であり、表面1aのみに開口した中空部3aが形成された基板本体1と、中空部3a内に配置された、TSVとなるべき導電部材7と、中空部3aの内壁に沿って基板本体1及び導電部材7の間に配置された絶縁層5と、を備えている。導電部材7の裏面1b側の端部は、絶縁層5と基板本体1の裏面1b側の表層部とに被覆されており、導電部材7の表面1a側の端部は、表面1a側に露出している。導電部材7は、基板本体1が裏面1b側から研磨されて導電部材7が裏面1b側に露出することによりTSVとなる。
研磨工程では、研磨定盤の研磨布上に半導体基板用研磨液を供給しながら、半導体基板300における基板本体1の裏面1bを研磨布に押圧した状態で、研磨定盤と基板本体1を相対的に動かして基板本体1を裏面1b側から研磨することが好ましい。このような研磨方法を用いた場合に、前記半導体基板用研磨液の研磨特性を顕著に向上させることができる。
研磨装置としては、回転数が変更可能なモータ等に接続されていると共に研磨布を貼り付けることができる研磨定盤と、研磨される基板を保持できるホルダーとを有する一般的な研磨装置を使用できる。研磨布としては、特に制限はなく、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等を使用できる。
研磨定盤の回転速度は、基板が飛び出さないように200rpm以下の低回転が好ましい。基板の研磨布への押し付け圧力(研磨圧力)は、7〜50kPaが好ましい。研磨している間、研磨布には研磨液をポンプ等で連続的に供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨布の表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
研磨工程では、研磨が進行するに伴い基板本体1の裏面1b側の表層部が除去されて絶縁層5が露出し、半導体基板400が得られる(図3(a)参照)。そして、半導体基板400における基板本体1が裏面1b側から更に研磨されるに伴い絶縁層5が除去されて、基板本体1に貫通孔3bが形成されると共に導電部材7が裏面1bに露出する(図3(b)参照)。これにより、表面1aから裏面1bにかけて基板本体1を厚さ方向に貫通するTSV7aを有する半導体基板500が得られる。
研磨工程は、裏面1bに研削傷を有する粗ウエハである基板本体1を裏面1b側から粗研磨する粗研磨工程と、粗研磨工程の後に、基板本体1を裏面1b側から精密研磨する精密研磨工程とを有していてもよい。粗研磨工程では、前記半導体基板用研磨液を用いて基板本体1を裏面1b側から研磨して、基板本体1の裏面1b側の表層部と絶縁層5とを除去し、TSV7aを有する半導体基板500を得る。
前記半導体基板用研磨液は、半導体基板及び絶縁層を優れた研磨特性で同時研磨可能であり、さらに導電部材に対する研磨を充分に抑制できる。このため、さらに研磨を行った場合、TSV7aの研磨速度を抑制しつつ基板本体1及び絶縁層5を研磨できるため、裏面1bから突出したTSV7bが形成された半導体基板600が得られる(図3(c)参照)。
前記研磨工程では、アスカーC(ASKER C)硬度が50以上90以下である研磨布を用いて基板本体1を裏面1b側から研磨することが好ましい。アスカーC硬度が50以上であることにより、研磨が進行し易くなる傾向がある。また、アスカーC硬度が90以下であることにより、研磨面への追随性が充分であり、研磨が進行するに伴い形成される裏面1bから突出したTSV7bに研磨が阻害されることを抑制できる傾向がある。なお、アスカーC硬度は、ゴムのような軟質なものの硬度を表す際に多用されており、日本ゴム協会標準規格(SRIS)によって規定されている。
次に、本実施形態に係る半導体基板の研磨方法の第2態様について説明する。半導体基板の研磨方法の第2態様は、
(1)表面のみに開口した中空部が形成された基板本体と、中空部内に配置された、貫通電極となるべき導電部材と、導電部材における裏面側の端部及び基板本体の裏面側の表層部の間に少なくとも配置された絶縁層と、を備える半導体基板を準備する準備工程と、
(2)準備工程の後、導体部材が露出するように裏面側から基板本体を研削することにより、表面から裏面にかけて貫通する貫通孔が形成された基板本体と、貫通孔内に配置された貫通電極と、を備える半導体基板を得る研削工程と、
(3)研削工程の後、前記半導体基板用研磨液を用いて基板本体及び絶縁層を裏面側から研磨する研磨工程と、を備える。
半導体基板の研磨方法の第2態様では、研削工程において、導電部材を裏面側に露出させて貫通電極を形成し、研磨工程において、裏面に露出した半導体基板及び絶縁層を研磨することにより、裏面から突出した貫通電極を形成する。
半導体基板の研磨方法の第2態様では、準備工程において、第1態様と同様に半導体基板100を準備する。次に、研削工程において、導電部材7が露出するまでグラインダーによって基板本体1を裏面1b側から研削して基板本体1を薄層化し、半導体基板500(図3(b)参照)と同様にTSV7aを有する半導体基板を得る。得られた半導体基板は、第2態様における研磨工程の研磨対象であり、表面1aから裏面1bにかけて貫通する貫通孔3bが形成された基板本体1と、貫通孔3b内に配置されたTSV7aとを備えている。
研磨工程では、第1態様の研磨工程と同様に、前記半導体基板用研磨液を用いて基板本体1を裏面1b側から研磨する。これにより、半導体基板600(図3(c)参照)と同様に裏面1bから突出したTSV7bが形成された半導体基板を得ることができる。
本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。例えば、上述の実施形態では、半導体基板100を用いて研削工程や研磨工程を行っているが、半導体基板100に代えて、図4(a)に示す半導体基板100aを用いてもよい。半導体基板100aでは、半導体基板100と同様に素子2及び中空部3aが形成されており、TSVを絶縁するための絶縁層(例えばシリコン酸化膜や、シリコン窒化膜)5aが中空部3aの形状に追従するように表面1a上に形成されている。さらに、半導体基板100aでは、絶縁層5aの形状に追従するように絶縁層5a上にバリアメタル層(例えばTaN層)5bが形成されている。
このような半導体基板100aを用いた場合においても、半導体基板100aにおける基板本体1を裏面1b側から研削及び研磨して、基板本体1の裏面1b側の表層部、絶縁層5a及びバリアメタル層5bを除去することにより、裏面1b側にTSV7aが露出した半導体基板500a(図4(b)参照)や、裏面1bから突出したTSV7bが形成された半導体基板600a(図4(c)参照)が得られる。半導体基板500a,600aでは、TSV7a,7b及び絶縁層5aの間にバリアメタル層5bが配置されているため、TSV7a,7bの構成成分であるCu等が基板本体1へ拡散することを抑制すると共に、TSV7a,7b及び絶縁層5aの密着性を向上させることができる。このような実施形態に用いられる半導体基板用研磨液は、前記バリアメタルに対する研磨速度が、前記TSVを構成する導電部材に対する研磨速度より速いものを用いることが好ましい。
また、上述の半導体基板の研磨方法の第1態様では、研削工程において絶縁層5が露出する寸前までグラインダーによって基板本体1を裏面1b側から研削しているが、導電部材7が露出する寸前までグラインダーによって基板本体1を裏面1b側から研削して基板本体1を薄層化してもよい。この場合、研削工程に続く研磨工程において基板本体1を裏面1b側から研磨して絶縁層5を除去し、導電部材7を裏面1bに露出させることにより、TSV7aを得ることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[半導体基板用研磨液の調製]
(実施例1〜5)
砥粒と、第1酸解離定数が7以下である化合物と、塩基性化合物とを以下の手順に従って表1に示す含有量で配合して、実施例1〜5の各半導体基板用研磨液を調製した。なお、実施例1及び実施例3〜5では、第1酸解離定数が7以下である化合物としてアゾールとアミノ酸とを含有する研磨液を調製し、実施例2では、第1酸解離定数が7以下である化合物としてアゾールを含有し、アミノ酸を含有していない研磨液を調製した。
各研磨液の調製では、まず、第1酸解離定数が7以下である化合物を研磨液全体の50質量%に相当する純水に溶解させた後、塩基性化合物を所定量添加した。次いで、二次粒径がおよそ25nmであるコロイダルシリカを砥粒固形分が表1の含有量となるように添加して混合液を得た。混合液を充分に撹拌した後、二次粒径が140nmであるセリア砥粒のスラリー(日立化成工業株式会社製、GPXシリーズ、pH:8〜9)を砥粒固形分が表1の含有量となるように添加した。そして、残部を純水で計100質量%になるように配合した。
(実施例6)
砥粒と、第1酸解離定数が7以下である化合物(1,2,4−トリアゾール、グリシン)と、塩基性化合物(水酸化カリウム)と、カルボキシル基を有する有機酸(リンゴ酸)とを以下の手順に従って表1に示す含有量で配合して、実施例6の半導体基板用研磨液を調製した。
研磨液の調製では、まず、研磨液全体の50質量%に相当する純水に1,2,4−トリアゾール、グリシン、及び、リンゴ酸を溶解させた後、水酸化カリウムを所定量添加した。次いで、二次粒径がおよそ25nmであるコロイダルシリカを砥粒固形分が表1の含有量となるように添加して混合液を得た。混合液を充分に撹拌した後、二次粒径が140nmであるセリア砥粒のスラリー(日立化成工業株式会社製、GPXシリーズ、pH:8〜9)を砥粒固形分が表1の含有量となるように添加した。そして、残部を純水で計100質量%になるように配合した。
(比較例1)
研磨液の調製では、まず、カルボキシル基を有する有機酸(リンゴ酸)を研磨液全体の50質量%に相当する純水に溶解させた後、塩基性化合物(水酸化カリウム)を所定量添加して混合液を得た。混合液を充分に撹拌した後、二次粒径が140nmであるセリア砥粒のスラリー(日立化成工業株式会社製、GPXシリーズ、pH:8〜9)を砥粒固形分が表2の含有量となるように添加した。そして、残部を純水で計100質量%になるように配合した。
(比較例2)
研磨液の調製では、まず、カルボキシル基を有する有機酸(リンゴ酸)を研磨液全体の50質量%に相当する純水に溶解させた後、塩基性化合物(水酸化カリウム)を所定量添加して混合液を得た。混合液を充分に撹拌した後、二次粒径がおよそ25nmであるコロイダルシリカを砥粒固形分が表2の含有量となるように添加した。そして、残部を純水で計100質量%になるように配合した。
(比較例3)
研磨液の調製では、まず、カルボキシル基を有する有機酸(リンゴ酸)を研磨液全体の50質量%に相当する純水に溶解させた後、塩基性化合物(水酸化カリウム)を所定量添加した。次いで、二次粒径がおよそ25nmであるコロイダルシリカを砥粒固形分が表2の含有量となるように添加して混合液を得た。混合液を充分に撹拌した後、二次粒径が140nmであるセリア砥粒のスラリー(日立化成工業株式会社製、GPXシリーズ、pH:8〜9)を砥粒固形分が表2の含有量となるように添加した。そして、残部を純水で計100質量%になるように配合した。
(比較例4)
研磨液の調製では、まず、第1酸解離定数が7以下である化合物(L−ヒスチジン)、及び、カルボキシル基を有する有機酸(リンゴ酸)を研磨液全体の50質量%に相当する純水に溶解させた後、塩基性化合物(水酸化カリウム)を所定量添加して混合液を得た。次いで、混合液を充分に撹拌した後、二次粒径がおよそ25nmであるコロイダルシリカを砥粒固形分が表2の含有量となるように添加した。そして、残部を純水で計100質量%になるように配合した。
[半導体基板用研磨液のpHの測定]
半導体基板用研磨液のpHを横河電機株式会社製の「Model pH81」を用いて測定した。半導体基板用研磨液のpHの測定結果を表1及び表2に示す。
[半導体基板の研磨1]
配合直後の実施例1の半導体基板用研磨液を研磨定盤の研磨布上に供給しながら、半導体基板(研磨ウエハ)の研磨面を研磨布に押圧した状態で、半導体基板に対して研磨定盤を相対的に回転させることにより、半導体基板の研磨面を研磨した。また、実施例1と同様の方法で、配合直後の実施例2〜6及び比較例1〜4の各研磨液を用いて半導体基板の研磨面を研磨した。研磨条件の詳細は以下の通りである。
(研磨条件1)
研磨ウエハ:300mmシリコンウエハ、300mmシリコンウエハ上に二酸化ケイ素膜(膜厚1μm)が成膜されたウエハ、300mmシリコンウエハ上にCu膜(膜厚1.4μm)が成膜されたウエハ、300mmシリコンウエハ上にTaN膜(膜厚0.25μm)が成膜されたウエハ
研磨装置:F−REX (荏原製作所製)
研磨布:SUBA600 (ニッタ・ハース製)
研磨定盤回転数:123rpm
ホルダー回転数:117rpm
研磨圧力:210hPa
研磨液供給量:250ml/分
研磨時間:5分(300mmシリコンウエハ)、30秒(二酸化ケイ素膜が成膜されたウエハ、Cu膜が成膜されたウエハ、TaN膜が成膜されたウエハ)
研磨前及び研磨後における300mmシリコンウエハ及び各被研磨膜の厚みを下記の装置を用いて測定した。研磨前及び研磨後の厚み差並びに研磨時間から研磨速度を求めた。
厚み計測:C8125−11(浜松ホトニクス社製)
実施例1〜6における研磨速度の評価結果を表1に示し、比較例1〜4における研磨速度の評価結果を表2に示す。なお、表1及び表2において、「Si」は、300mmシリコンウエハの研磨速度を示し、「SiO」は、二酸化ケイ素膜が成膜されたウエハの研磨速度を示し、「Cu」は、Cu膜が成膜されたウエハの研磨速度を示し、「TaN」は、TaN膜が成膜されたウエハの研磨速度を示す。
実施例1〜5の評価結果から、セリア粒子及びシリカ粒子を含む砥粒と、第1酸解離定数が7以下である化合物と、塩基性化合物とを含有する半導体基板用研磨液を用いた場合、シリコン(Si)ウエハの研磨速度がいずれも600nm/分以上であることから、研削後の研削傷の解消に供するに充分な研磨速度が得られることが分かる。また、二酸化ケイ素膜の研磨速度はいずれも300nm/分以上であることから、導電部材(電極)を被覆する二酸化ケイ素膜を研磨して導電部材を露出させるに充分な研磨速度が得られることが分かる。また、Cu膜の研磨速度はいずれも60nm/分以下であるように充分に抑制されていることから、導電部材が過剰に研磨されることを防ぐことができることが分かる。さらに、実施例2〜5では、TaN膜の研磨速度がいずれも200nm/分以上であることから、TSVの構成成分であるCu等が半導体基板へ拡散することを抑制することや、TSVと絶縁層との密着性を向上させることを目的としてバリアメタルが使用された場合でも、TaN等からなるバリアメタル層の研磨速度を向上できることが分かる。
また、実施例3〜5の評価結果から、セリア粒子の含有量の増減により二酸化ケイ素膜の研磨速度を制御できることが分かる。すなわち、TSVのサイズやパターン密度、二酸化ケイ素膜の厚みが異なる様々なTSV構造を得るための半導体基板の研磨において、導電部材を被覆する二酸化ケイ素膜を研磨して導電部材を露出させることができる。
実施例6の評価結果から、セリア粒子及びシリカ粒子を含む砥粒と、第1酸解離定数が7以下である化合物と、塩基性化合物と、カルボキシル基を有する有機酸とを含有する半導体基板用研磨液を用いた場合、シリコンウエハの研磨速度が700nm/分以上であることから、研削後の研削傷の解消に供するに充分な研磨速度が得られることが分かる。また、二酸化ケイ素膜の研磨速度は700nm/分以上であることから、導電部材を被覆する二酸化ケイ素膜を研磨して導電部材を露出させるに充分な研磨速度が得られることが分かる。また、Cu膜の研磨速度は60nm/分以下であるように充分に抑制されていることから、導電部材が過剰に研磨されることを防ぐことができることが分かる。さらに、TaN膜の研磨速度が200nm/分以上であることから、TSVの構成成分であるCu等が半導体基板へ拡散することを抑制することや、TSVと絶縁層との密着性を向上させることを目的としてバリアメタルが使用された場合でも、TaN等からなるバリアメタル層の研磨速度を向上できることが分かる。
一方、比較例1の研磨液は、セリア粒子と、カルボキシル基を有する有機酸と、塩基性化合物とを含有する研磨液である。比較例1の研磨液を用いた場合、二酸化ケイ素膜の研磨速度は300nm/分程度であるものの、シリコンウエハの研磨速度は400nm/分程度であることから、研削後の研削傷の解消に供するには実用的ではない。また、Cu膜の研磨速度は700nm/分以上と非常に速く、また、Cu膜の表面も茶褐色に変色していた。
比較例2の研磨液は、シリカ粒子と、カルボキシル基を有する有機酸と、塩基性化合物とを含有する研磨液である。比較例2の研磨液を用いた場合、二酸化ケイ素膜の研磨速度は15nm/分であるように実質的に研磨されておらず、また、シリコンウエハの研磨速度は400nm/分程度であることから、研削後の研削傷の解消に供するには実用的ではない。
比較例3の研磨液は、セリア粒子及びシリカ粒子を含む砥粒と、カルボキシル基を有する有機酸と、塩基性化合物とを含有する研磨液である。比較例3の研磨液を用いた場合、二酸化ケイ素膜の研磨速度は550nm/分であることから、導電部材を被覆する二酸化ケイ素膜を研磨して導電部材を露出させるに充分な研磨速度が得られるものの、シリコンウエハの研磨速度は400nm/分程度であることから、研削後の研削傷の解消に供するには実用的ではない。また、Cu膜の研磨速度は120nm/分であり充分に抑制されていない。
比較例4の研磨液は、シリカ粒子と、カルボキシル基を有する有機酸と、第1酸解離定数が7以下であるL−ヒスチジンと、塩基性化合物とを含有する研磨液である。比較例4の研磨液を用いた場合、シリコンウエハの研磨速度が700nm/分以上であることから、研削後の研削傷の解消に供するに充分であるものの、二酸化ケイ素膜の研磨速度は17nm/分であり実質的に研磨されていない。
[半導体基板の研磨2]
配合直後の実施例1の半導体基板用研磨液を研磨定盤の研磨布上に供給しながら、半導体基板(研磨ウエハ)の研磨面を研磨布に押圧した状態で、半導体基板に対して研磨定盤を回転させることにより、半導体基板の研磨面を研磨した。研磨条件の詳細は以下の通りである。
(研磨条件2)
研磨ウエハ:TSV形成済みシリコンウエハPT−007(フィルテック社製)をサポート板に固定し、裏面研削にておよそ60μmまで薄層化した後、2cm角にダイシングしたシリコンウエハ
研磨装置:ナノファクター製FACT−200型
研磨布:SUBA600 (ニッタ・ハース製)(アスカーC硬度:82)
研磨定盤回転数:80rpm
ホルダー回転数:駆動装置無し(自由回転)
研磨圧力:33.83kPa
研磨液供給量:16ml/分
研磨時間:50分
図5は、研磨後の研磨面をFE−SEMにて観察したものである。絶縁層である二酸化ケイ素膜が研磨により除去され、電極となるCu層が露出していることが確認された。Cu層が露出していることから、上下に配置されるLSIチップの接続に使用できると考えられる。
図6は、研磨後の研磨面に存在するTSVの形状を接触式段差計にて測定した結果である。直径40μmのTSVは、およそ8.5μmほど基板の主面から突き出した形状であることが確認された。このような形状が得られたのは、本発明に係る研磨液を用いた上で、アスカーC硬度計で測定した値が50から90を示す比較的軟質な研磨布を用いたことによる効果が大きいと考えられる。
1…基板本体、1a…表面(一方の主面)、1b…裏面(他方の主面)、3a…中空部、3b…貫通孔、7…導電部材、7a,7b…TSV(貫通電極)、300,400,500,500a…半導体基板。

Claims (15)

  1. セリア粒子及びシリカ粒子を含む砥粒と、第1酸解離定数が7以下である化合物と、塩基性化合物と、を含有する、半導体基板用研磨液。
  2. 前記第1酸解離定数が7以下である化合物が、アゾール及びアミノ酸から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の半導体基板用研磨液。
  3. 前記アゾールが1,2,4−トリアゾールである、請求項2に記載の半導体基板用研磨液。
  4. 前記アミノ酸が、グリシン及びヒスチジンから選ばれる少なくとも一種である、請求項2又は3に記載の半導体基板用研磨液。
  5. 前記塩基性化合物が、含窒素塩基性化合物及び無機塩基性化合物から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体基板用研磨液。
  6. 前記塩基性化合物が、水酸化カリウム及び水酸化テトラメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも一種である、請求項5に記載の半導体基板用研磨液。
  7. 前記塩基性化合物の含有量が0.10質量%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体基板用研磨液。
  8. カルボキシル基を有する有機酸を更に含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体基板用研磨液。
  9. pHが9.0以上12.0以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体基板用研磨液。
  10. 一方の主面のみに開口した中空部が形成された基板本体と、前記中空部内に配置された、貫通電極となるべき導電部材と、を備える半導体基板の前記基板本体を他方の主面側から研磨し、前記導電部材を前記他方の主面側に露出させて貫通電極構造を形成するために用いられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体基板用研磨液。
  11. 一方の主面から他方の主面にかけて貫通する貫通孔が形成された基板本体と、前記貫通孔内に配置された貫通電極と、を備える半導体基板の前記基板本体を前記一方の主面側又は前記他方の主面側から研磨するために用いられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体基板用研磨液。
  12. 一方の主面のみに開口した中空部が形成された基板本体と、前記中空部内に配置された、貫通電極となるべき導電部材と、を備える半導体基板の前記基板本体を、請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体基板用研磨液を用いて前記他方の主面側から研磨し、前記導電部材を前記他方の主面側に露出させて貫通電極構造を形成する研磨工程を備える、半導体基板の研磨方法。
  13. 一方の主面から他方の主面にかけて貫通する貫通孔が形成された基板本体と、前記貫通孔内に配置された貫通電極と、を備える半導体基板の前記基板本体を、請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体基板用研磨液を用いて前記一方の主面側又は前記他方の主面側から研磨する研磨工程を備える、半導体基板の研磨方法。
  14. 前記研磨工程の前に、前記研磨工程において研磨される主面側から前記基板本体を研削する工程を更に備える、請求項12又は13に記載の研磨方法。
  15. 前記研磨工程において、アスカーC硬度が50以上90以下である研磨布を用いて前記基板本体を研磨する、請求項12〜14のいずれか一項に記載の研磨方法。
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