JP2012180096A - インモールドラベル付き薄肉容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成樹脂製の容器本体の胴部の周壁にブロー成形と同時にインモールドラベルを貼着した薄肉容器において、容器本体の胴部の周壁の平均肉厚は0.8mm以下とし、インモールドラベルは、基材フィルム層の内側に、胴部の周壁に接着する接着層を積層した層構成を有し、厚さを0.08mm以下とし、[ラベルの引張弾性率(MPa)]×[ラベルの厚さ(mm)]3で算出されるA値を0.12以下とする。
【選択図】図1
Description
たとえば、特許文献1には胴部の周壁にラベルが貼着一体化された薄肉のプラスチックボトルについての記載がある。しかしながら特許文献1に記載される方法では、薄肉容器のブロー成形後、ラベルを貼着するために用意した金型内に容器本体とラベルを供給する工程が必要であり、生産効率やエネルギー効率が劣るといった問題があった。
図4は、楕円筒状の胴部の平断面図で見られるこの種の変形の典型的な例をしめすもので、ラベル11を貼着した領域では周壁2wの収縮が抑制されるので、ラベル11の端部11eの近傍で周壁2wが凹んで、所謂、ヒケが発生してしまう。
合成樹脂製の容器本体の胴部の周壁にブロー成形と同時にインモールドラベルを貼着した薄肉容器において、
容器本体の胴部の周壁の平均肉厚は0.8mm以下とし、
インモールドラベルは、基材フィルム層の内側に、胴部の周壁に接着する接着層を積層した層構成を有し、厚さを0.08mm以下とし、
[ラベルの引張弾性率(MPa)]×[ラベルの厚さ(mm)]3で算出されるA値を0.12以下とする、と云うものである。
1)ラベルの製造工程あるいは加工工程の生産性
2)ラベルのカール
3)インモールド成形において、ラベルを所定のホルダー内に整列させて、連続的かつ一枚毎に確実に金型内に供給する工程に係る生産性
4)高温の溶融樹脂からなるパリソンが膨張変形しながらラベルに接触することによるラベルでの皺の発生や、エア溜まりの発生
5)金型内での樹脂の冷却固化そして成形後の収縮に伴う容器の変形
6)ラベルの容器表面への接着性
7)ラベルの端部と容器本体との境界部に形成されるV字型のノッチ状の溝に起因する落下衝撃による容器の割れ
たとえば成形中におけるラベルでの皺やエア溜りの発生を抑制することを考慮して、ラベルの弾性率あるいはラベルの厚さを大きくすると、一方で、ラベルの貼着に起因する容器の変形が大きくなってしまう等の問題が発生するため、上記した1)〜7)の要素や問題を全体的に考慮してラベルの構成を適宜選択する必要がある。
発明者らは胴部の周壁の平均肉厚が0.8mm以下の薄肉容器の、インモールド成形法によるラベルの貼着に起因する胴部の周壁の変形の改良を、数多くの異なる層構成を有するラベルについてこのA値を指標として検討するなかで、このA値を0.12以下の値とすることにより、この種のラベルの貼着に起因する容器の変形を効果的に抑制し、防ぐことができるのを見出し、上記主たる構成を創出するに到った。
すなわち、上記主たる構成において使用するラベルのA値を指標とし、このA値を0.12以下の値とすることによりラベルの貼着に起因する、前述したような周壁の変形を効果的に抑制することが可能となる。
インモールド成形法でラベルを貼着した場合、ラベルの端部と周壁との境界部にV字型のノッチ状の溝が形成されるが、ラベルが厚すぎるとこの溝が深く大きくなり、特に薄肉容器の場合、落下衝撃により、この溝を基点として容器が割れると云う問題があるが、
上記構成のように、ラベルの厚さを0.08mm以下とすることにより、溝を小さくでき、たとえ薄肉容器であってもこのノッチ状の溝に起因する容器の割れを防ぐことが可能となる。
また併せて、ラベルの厚さについても、小さくなりすぎると同様な問題の原因となるため、ラベルの厚さは0.03mm以上とすることが好ましい。
押出ラミネート法の場合、押出樹脂の厚さと基材フィルム層のテンションを制御することにより、ラベルのカールを容易に防止することができ、カールの発生によるラベルの供給に係る生産性の低下を防止することができる。
また、押出ラミネート法の場合、接着層の厚さを0.01〜0.02mm程度の厚さにすることが可能であり、エンボス加工によるエンボスの深さを十分確保することが可能となる。
一方、接着層の層厚を小さくしすぎるとエンボス加工による凹凸の深さが不十分で、ラベルに皺やエア溜まりが発生し易くなってしまうので、接着層の層厚は0.005mm以上とするのが好ましい。
ドライラミネート法により基材フィルム層に接着層となる接着フィルムを積層する際には、接着フィルムとしてある程度の厚さ(最低限の厚さは概ね0.03mm)がないとドライラミネート時のテンションにより接着フィルムが伸びたり、皺が入ったりしてしまう。
このため、A値を上限値以下の範囲に収めて容器の変形がないようにすると、接着フィルムの層厚が厚い分、基材フィルム層の層厚を小さくする必要があり、ドライラミネート時の基材フィルム層へのテンションによりカールが発生しまう。
このため、接着層をドライラミネート法で積層するラベルでは、ラベルの製造法に由来する制約から、ラベルの貼着に起因する容器の変形と、ラベルのカールを共に防ぐことは困難であると云える。
また、感熱性接着剤を塗布する方法によると接着層を厚くできないので、エンボスの深さを十分に大きくすることができない。
接着層を容器本体と同種の樹脂とすることにより、インモールド成形法の作用効果も相俟って、ラベルを強固に接着固定することができる。
また、CPPは無延伸フィルムのため比較的弾性率が低く、延伸フィルムに比較して引張弾性率が低くまた等方的であるので、A値を比較的容易に上限値内の値に収めることができる。
主たる構成を有するものにあっては、容器本体が0.8mm以下の薄肉であっても、[ラベルの引張弾性率(Mpa)]×[ラベルの厚さ(mm)]3で算出されるラベルの腰強さの指標に相当するA値の値を0.12以下とすることにより、ラベルの貼着に起因する容器の変形を効果的に抑制することができると共に、ラベルの厚さを0.08mm以下とすることにラベルの端面に形成されるノッチ状の溝に起因する容器の落下衝撃による割れを効果的に防ぐことができ、
インモールド成形法の特徴を損なうことなく生かしながら、容器本体の表面に強固に接着し、容器に変形のない良好な外観のラベル付き薄肉容器を提供することができる。
図1〜図3は本発明の容器の一実施例を示すものであり、図1は正面図、図2は図1中のA−A線に沿って示す平断面図、そして図3はラベル11の層構成を示す断面図である。
容器本体1は、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂製のダイレクトブロー成形による楕円筒状の胴部2を有する壜体で、高さが200mm、容量が400mlであり、胴部2の平均肉厚は0.45mmである。
このラベル11は、基材フィルム層12/グラビア印刷層13/アンカーコート(AC)層14/接着層15と云う層構成を有する(図3参照)。
基材フィルム層12はPP樹脂製無延伸フィルム(CPP)製で層厚は0.04mm、そして接着層15は低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を押出ラミネート法により積層したもので後述するエンボス加工前の層厚が0.01mmであり、ラベル11全体の平均厚さは0.058mmである。
なお接着層15にエンボス加工を施したラベル11では、図3中、tで示した寸法をラベル11の厚さとしている。
この状態で、ブローエアを吹き込むとパリソン22は膨張し(図5中の矢印方向参照)キャビティの形状に賦形され(図5中の2点鎖線の状態参照)、容器本体1が成形されるが、この成形と同時に予め型面に減圧吸気路24により固定配設しておいたラベル11は胴部の周壁2wに一体化された状態に貼着される。
また、この凹凸により、皺の発生の主たる要因である高温のパリソンの接触によるラベルの収縮挙動を緩和することができ、皺の発生を効果的に抑制することができる。
さらに、この凹凸がホルダー内に重ねて整列されたラベルの表面とラベル裏面との接触面積を小さくするため、ラベルの金型への自動供給においてラベルを一枚毎に、確実にホルダーから取り出し、金型内に供給することができる。
・CPP;PP樹脂製無延伸フィルム
・OPP;PP樹脂製二軸延伸フィルム
・Co−PP;共重合ポリプロピレン樹脂製無延伸フィルム
・押出LDPE;押出ラミネート法により積層した低密ポリエチレン樹脂層
・AC;アンカーコート層
・DL;ドライラミネート層
なお図6の表中、( )内の数値はマイクロメートル単位で示す層厚である。
また、ラベルLc1に使用される合成紙はユポ・コーポレーション社製のユポIDS80である。
この表中、ラベルの引張弾性率は、縦方向と横方向に各ラベルをASTM−1822Lのダンベル形状に打ち抜き、1mm/分の引張速度で引張り試験を実施して測定した値である。
ここで、ラベルの縦方向は、容器本体11に貼着した際の容器本体11の軸方向に相当し、横方向はそれに直角な方向に相当する。従ってA値についても縦方向と横方向について算出している。
また、落下衝撃試験の試験方法は、容器に規定量の水を充填し、5℃に調整した恒温槽内に24時間放置後、取り出し、直ちに1mの高さから正立状態、横倒状態の順に落下させる。これを1サイクルとし、10サイクル落下させ、容器が破損しなければ異常なしとする。
ラベルLの層構成は前述した通りで、ラベルLの厚さは0.058mm、またA値は縦方向0.044、横方向0.027で、LDPE樹脂を押出ラミネート法により積層した接着層15のエンボス加工前の層厚は0.01mmである。
そして、このラベルLではカールの発生がなく、A値は0.12以下の範囲にあり、図2の平断面図に示されるようにラベルの貼着に起因する容器本体1の胴部2の周壁2wの変形のないものであった。
また、接着層15のエンボス加工前の層厚は0.01mmで、エンボス加工による凹凸の深さを十分にとることができ、エア溜りの発生はなく、接着層15が容器本体1と同種の合成樹脂製であること、さらにはインモールド成形法による作用効果が相俟って強固な接着性が達成されている。
また、ラベルLの厚さは0.058mmと0.08mm以下の値であり、ラベルの端部11e(図2参照)と周壁2wとの境界部に形成されるV字型のノッチ状の溝を小さくでき、この溝に起因する落下衝撃による容器の割れは見られなかった。
この比較例1は、基材フィルムとして合成紙を使用したもので、接着層として感熱接着性樹脂が設けられ、この接着層にはエンボス加工が施されたラベルLc1を使用したもので、引張弾性率と厚さが共に大きく、A値が0.12を超え縦方向では0.543とした、謂わば、モデル的な例であり、図4の平断面図で示されるような変形が発生し、落下衝撃試験ではVノッチ状の溝に起因する容器の割れが発生した。
容器本体の肉厚が十分に大きな場合には、この種のラベルを使用することができるが、本発明のような薄肉容器では使用することができない。
この比較例2に使用したラベルLc2の層構成は、実施例に使用したラベルLと略同様で、基材フィルム層12の層厚を0.02mm、接着層15の層厚を0.01mm大きくし、また接着層15にエンボス加工を施していない例である。
層厚を大きくしたため、A値が0.12を超えて0.2程度になり容器に図4の平断面図で示されるような変形が発生した。
また、ラベルの厚さも0.08mmを超え、落下衝撃試験ではVノッチに起因する容器の破損が発生した。
また、エンボス加工による凹凸がない状態ではエア溜りが発生する。
この比較例3に使用したラベルLc3の層構成は、実施例に使用したラベルLと略同様であるが、基材フィルムをPP樹脂製二軸延伸フィルム(OPP)製で層厚0.04mmとし、接着層15の層厚を0.01mmから0.02mmとした例である。
上記基材フィルムの材質変更により、ラベルLに比較してラベルLc3のラベルの厚さは大きく変化していないが、引張弾性率が4倍程度にまで大きくなり、その結果、その分、A値が0.2程度まで大きくなり、図4の平断面図で示されるような変形が発生した。
この比較例4に使用したラベルLc4の層構成は、実施例に使用したラベルLと略同様で、基材フィルム層12の層厚を0.05mmから0.06mmと大きくした例である。
上記層厚の変更により、ラベルLに比較してラベルLc4のラベルの厚さと引張弾性率が若干程度大きくなり、その結果、A値が0.12を僅かではあるが超えて0.13程度なり、この場合も、図4の平断面図で示されるような変形が見られた。
この比較例5に使用したラベルLc5の層構成は、CPP製の基材フィルム層12にドライラミネート法により、エンボス加工された、Co−PP製の接着フィルムからなる接着層15を積層した例である。
ドライラミネート法により基材フィルム層12に接着層15となる接着フィルムを積層する際には、接着フィルムとしてある程度の厚さ(最低限の厚さは概ね0.03mm程度)がないとドライラミネート時のテンションにより接着フィルムが伸びたり、皺が入ったりしてしまう。
このため、ラベルLc5のようにA値を0.12以下の範囲に収めて容器の変形がないような層構成にしようとすると、接着フィルムの層厚が厚い分、基材フィルム層12の層厚を小さくする(本例では0.03mm)ことが必要であり、ドライラミネート時の基材フィルム層12へのテンションにより出来上がったラベルにカールが発生してしまう。
ラベルにカールが発生した場合、ラベルをホッパー内に整列した状態で入れることができず、ラベルを装置で自動的に金型へ供給することができない。
この比較例5から分かるように接着層15をドライラミネート法で積層するラベルでは、ラベルの製造法に由来する制約から、ラベルの貼着に起因する容器の変形と、ラベルのカールを共に防ぐことは困難であると云える。
(1)ラベルの貼着に起因する容器の変形の有無は、ラベルの腰強さの指標に相当するA値で予測することでき、A値を0.12以下することにより変形を効果的に防ぐことができる。
(2)上記のように、A値を0.12以下として容器の変形を防ぐと共に、ラベルのカールを防ぐためには、基材フィルム層と接着層の積層は押出ラミネート法が適している。
(3)ラベルの厚さを0.8mm以下とすることによりラベルの端部に形成されるVノッチに起因する落下衝撃による破損を防ぐことができる。
容器本体1とラベル11に使用する材料の組み合わせはさまざまな組み合わせとすることができる。
たとえば、上記実施例では容器本体1をHDPE樹脂製としたが、PP樹脂製等の他のポリオレフィン系樹脂や、ポリエステル系樹脂等、従来からブロー成形に使用されている樹脂を使用することができる。
2 ;胴部
2w;胴壁
11;ラベル
11e;(ラベルの)端部
12;基材フィルム層
13;印刷層
14;アンカーコート層
15;接着層
21;ダイス
22;パリソン
23;ブロー割型
24;減圧吸気路
Claims (3)
- 合成樹脂製の容器本体(1)の胴部(2)の周壁(2w)にブロー成形と同時にインモールドラベル(11)を貼着した薄肉容器であって、前記容器本体(1)の周壁(2w)の平均肉厚は0.8mm以下とし、前記インモールドラベル(11)は、基材フィルム層(12)の内側に、前記周壁(2w)に接着する接着層(15)を積層した層構成を有し、厚さを0.08mm以下とし、[ラベルの引張弾性率(MPa)]×[ラベルの厚さ(mm)]3で算出されるA値を0.12以下としたことを特徴とするインモールドラベル付き薄肉容器。
- 接着層(15)を容器本体(1)と同系統の合成樹脂を押出ラミネート法で0.005〜0.025mmの範囲の層厚に積層し、その後エンボス加工により凹凸を形成したものとした、請求項1記載のインモールドラベル付き薄肉容器。
- 容器本体(1)をポリエチレン樹脂製とし、ラベル(11)を、ポリプロピレン樹脂無延伸フィルム製の基材フィルム層(12)に低密度ポリエチレン樹脂製の接着層(15)を押出ラミネート法により積層した構成とした請求項1または2記載のインモールドラベル付き薄肉容器。
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