JP2012179658A - 建築部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ともにZn系めっきが施されためっき鋼板からなる第一の金属板1に第二の金属板2の端部を垂直に押し当てて形成したT字状継手部3aにおいて、T字状継手部3aを構成する第二の金属板2の端部に、レーザー光7を、第一の金属板1の表面に接触せずに第二の金属板2の端部にのみに当たり、前記第二の金属板2が板厚全体にわたって溶融されるように、小さな傾斜角度αで片側からのみ照射する。
Zn系めっきとして、ZnとAlを含む合金めっきを施したものが用いられる。
【選択図】図3
Description
通常、溶接は材料がZn系めっき鋼板であるためにCO2溶接やMAG溶接といった消耗電極式、つまり溶接ワイヤーを用いたアーク溶接が適用されている。この方法であれば、電極損耗による交換作業がなくなり、設備投資も比較的低くすることができるメリットがある。
しかし、このような溶接が施されると、加熱領域が広くなるために材料のめっき層が蒸発する損傷領域も広くなって溶接後の補修塗料の塗布量が多くなるという問題がある。また、2箇所のT字継手部を同時に溶接するため2台の溶接トーチを必要とするばかりでなく、反り等の変形を防止するために、溶接条件の細かな調整・管理が必要であり、管理項目や管理工程時間が増加する問題もある。
一方で、ステンレス鋼を中心として、フランジとウェブとのT字継手部にレーザー光を照射するレーザー溶接法を採用することも提案されている。例えば特許文献3,4参照。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、T字継手部を備えためっき鋼板製の建築部材を溶接法で製造するに際に、補修塗料の塗布量を抑えても耐食性が劣ることがなく、溶接工程時間の短縮を図ることができる建築部材の製造方法を提供することを目的とする。
この際、第一の金属板に対して30度以下の傾斜角度で、第二の金属板端部にレーザー光を照射することが好ましい。より好ましくは15〜22度とする。
さらに、同じくZn系めっきが施されためっき鋼板を第三の金属板とし、第二の金属板の他端部に前記第三の金属板を垂直に押し当ててT字状の溶接継手部を形成すれば、H形鋼が容易に製造される。
Zn系めっきとしては、ZnとAlを含む合金めっきを施したものが好ましい。
したがって、ZnとAlを含んだめっき鋼板を素材として建築部材を低コストで製造することが可能となる。
4:溶接ワイヤー 5:溶接トーチ 6:レーザートーチ
7:レーザー光 8:アングル 9:ガゼットプレート
10:プレート 11:柱 12:梁
α:傾斜角度 w:溶け込み幅 L:脚長 δ:狙い位置
溶接後の補修塗料の塗布量を少なくするためには、T字状継手部を構成する例えばフランジとウェブとを溶接する際、めっき金属が蒸発する損傷領域を狭くする必要がある。そのためには、フランジとウェブとのT字継手部のみの加熱とし、その加熱領域を最小限に抑えなければならない。
レーザー光は、非常に狭い熱源であるが高いエネルギー密度を有しており、焦点距離も比較的長いことからフランジとウェブとのT字継手部に対する照射角度を広く取ることができる。しかしながら、闇雲に照射しても良いわけではない。照射角度を広く取ることができる分、照射角度を誤るとめっき金属が蒸発する損傷領域は却って広くなる。
つまり、図2に示すように通常のアーク溶接では、溶接ワイヤー4からT字継手部3a、3bまでの距離が短いために溶接トーチ5の傾斜角度αが限られて45度にする場合が多いが、その場合は各T字継手部付近のみが溶接されてしまう。しかし、レーザー溶接の場合は、図3に示すようにレーザートーチ6からT字継手部3a、3bまでの距離、つまり焦点距離を比較的長くすることができるため傾斜角度αを広く取ることができる。このような場合、傾斜角度αを小さくすることも可能であることからフランジ1の表面と平行に近いレーザー光7の照射角度となるため、T字継手部3aからのみレーザー光を照射して溶接してもウェブ2の板厚全体に渡ってT字継手部3bまで溶接することが可能となるのである。
溶接は、板厚が2.3mmのフランジ1の表面に同じ板厚のウェブ2を立ててT字継手部を形成し、溶接トーチ5或いはレーザートーチ6の傾斜角度αをフランジ1表面に対する角度として与え、その角度αを種々変更して行なった。傾斜角度α以外の溶接条件は、両溶接方法とも一定とした。溶け込み状態は、その継手部におけるウェブ2の板厚方向での溶け込み幅wによって評価した。
レーザー照射による溶融領域を深くするためには、前記の結果から、照射角度30度以下にすることが必要である。具体的には約20度程度、15〜22度とすることが好ましい。この角度が22度を上回ると、ウェブの板厚方向の溶け込み深さが狭く浅くなって十分な接合強度を得ることができなくなる。またこの角度が15度を下回ると、フランジ表面にレーザー光が接触してめっき金属の損傷領域が広がってしまう危険性がある。
なお、建築部材としては、図1で示したH形鋼の他に、図2,3でその要部を示したベースプレート、或いは図7に示すアングルやガゼットプレート,プレート等が挙げられる。図7中、溶接箇所は溶接部Mの位置となる。
本発明例では、被溶接材1表面に対してレーザートーチ6を20度傾斜させて図3の3a側からのみレーザー光を照射し、被溶接材2の幅方向全域に渡ってすみ肉溶接を実施した。溶接時のレーザー出力は3.5kW,溶接速度が2m/min,シールドガスをアルゴンとして30リットル/min供給した。
また、比較例では、図2の3a,3bの両側からCO2アーク溶接ですみ肉溶接を施した。溶接条件は、溶接電流が120A,溶接速度が0.4m/min,シールドガスを30リットル/minとし、溶接トーチを被溶接材1表面に対して45度傾斜させて被溶接材2の幅方向全域に渡ってすみ肉溶接を実施した。
G3353に、耐食試験はJIS H8502に準拠した。
製造したベースプレートに関して調査・試験を行なった結果を図8に示す。
レーザー溶接では片側溶接ではあるが被溶接材2の板厚方向全域に渡って溶接でき、引張強度試験でも母材破断となって十分な接合強度を得ていることが分かった。これに対してアーク溶接の場合は、引張強度試験では母材破断となって十分な接合強度であったが、溶け込み幅wはレーザー溶接の場合よりも小さくなり、脚長Lは逆に大きくなる傾向が見られた。
また、耐食試験結果として赤錆発生までの時間比較を図9に示すが、レーザー溶接の場合の方が長くなり、耐食性が良好であることが分かった。これにより、レーザー溶接で溶接H形鋼を製造した方が、片側溶接が可能であるため溶接上の管理をより簡素化でき、補修塗料をより少ない塗布量で処置できることが判明した。
Claims (4)
- ともにZn系めっきが施されためっき鋼板からなる第一の金属板に第二の金属板の端部を垂直に押し当ててT字状の溶接継手部を形成した建築部材を製造する際、溶接法としてレーザー光を照射するレーザー溶接法を用い、前記レーザー光を、第一の金属板の表面に接触せずに第二の金属板端部にのみに当たり、押し当てた第二の金属板端部に当該金属板が板厚方向全域にわたって溶融されるように片側からのみ照射することを特徴とする建築部材の製造方法。
- 第一の金属板に対して30度以下の傾斜角度で、第二の金属板端部にレーザー光を照射する請求項1に記載の建築部材の製造方法。
- 建築部材が、第二の金属板の他端部に第三の金属板を垂直に押し当ててT字状の溶接継手部を形成したH形鋼であり、第三の金属板もZn系めっきが施されためっき鋼からなる請求項1又は2に記載の建築部材の製造方法。
- Zn系めっきが、ZnとAlを含む合金めっきである請求項1〜3のいずれか1項に記載の建築部材の製造方法。
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