JP2012179303A - ゴルフクラブヘッド及びそれを用いたゴルフクラブ - Google Patents

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Abstract

【課題】打球音に優れかつ、打球の方向安定性を向上させる。
【解決手段】開口部Oが設けられた金属材料からなるヘッド本体MRと、前記開口部Oを閉塞する繊維強化樹脂からなるカバー部材FRとを含み、かつ中空部iが設けられたゴルフクラブヘッド3である。開口部Oは、クラウン部6に設けられたクラウン開口域O1とソール部及びサイド部に設けられたソール・サイド開口域O2とを含み、前記クラウン開口域O1は、ヘッド表面に投影された開口面積が、クラウン部の表面積の63〜77%、前記ソール・サイド開口域O2は、ヘッド表面に投影された開口面積が、ソール部とサイド部とを合算した表面積の4〜25%である。ソール・サイド開口域O2は、基準状態のヘッドをソール側から見たときの仮想区分、フェース・ヒール領域M2及び/又はバックフェース・ヒール領域M4に設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、打球音に優れかつ、打球の方向安定性を向上させたゴルフクラブヘッド及びそれを用いたゴルフクラブに関する。
近年、ゴルフ競技において、打球の飛距離を向上させるために、ゴルフクラブヘッドのクラウン部及び/又はソール部に、例えばチタン合金等の金属材料よりも比重の小さい繊維強化樹脂を用い、該ゴルフクラブヘッドの低重心化を図ることが知られている。しかしながら、このような複合タイプのゴルフクラブヘッドは、繊維強化樹脂の配設位置によっては、シャフトの軸中心線CL周りの慣性モーメント(以下、このような慣性モーメントを、単に「慣性モーメント」という場合がある。)Ic(図2に示す)が小さくなる傾向がある。このような慣性モーメントIcの小さいゴルフクラブヘッドは、スイング時にフェースの向きが安定せず、打球の方向安定性が悪化し易いという問題があった。
さらに、このようなゴルフクラブヘッドでは、繊維強化樹脂の配設位置によって、打球音が著しく低くなり、打球フィーリングを悪化させるという問題があった。
発明者らは、上記の問題点について種々の実験を行った結果、シャフト軸中心線を任意の垂直面内に配しかつ規定のライ角で傾けるとともに前記フェースをロフト角に保持して水平面に接地させた基準状態のヘッドをソール側から見たとき、該ソール部のヘッド重心部分が、ボールの打撃時における振動の大きい場所であることが判明した。そして、この振動が大きい場所を避けて繊維強化樹脂を配設することが、打球フィーリングの向上に有効であることを知見した。関連する技術として次のものがある。
特開2003−199848号公報 特開2006−006975号公報
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、金属材料からなるヘッド本体と、繊維強化樹脂からなるカバー部材とを具えるゴルフクラブヘッドにおいて、カバー部材の配設位置を規定することにより、打球音に優れかつ、打球の飛距離や方向安定性を向上させたゴルフクラブを提供することを主たる目的としている。
本発明の内、請求項1記載の発明は、少なくとも一つの開口部が設けられた金属材料からなるヘッド本体と、前記開口部を閉塞する繊維強化樹脂からなるカバー部材とを含み、かつ内部に中空部が設けられたゴルフクラブヘッドであって、前記開口部は、クラウン部に設けられたクラウン開口域とソール部及びサイド部に設けられたソール・サイド開口域とを含み、前記クラウン開口域は、ヘッド表面に投影された開口面積が、クラウン部の表面積の63〜77%、前記ソール・サイド開口域は、ヘッド表面に投影された開口面積が、ソール部とサイド部とを合算した表面積の4〜25%、シャフト軸中心線を任意の垂直面内に配しかつ規定のライ角で傾けるとともにフェースをロフト角に保持して水平面に接地させた基準状態のヘッドをソール側から見た底面領域を、ヘッド重心を通る前記シャフト軸中心線と平行な第1の直線と、前記ヘッド重心を通りかつ前記第1の直線と直角な第2の直線とにより、フェース側かつトウ側に形成されるフェース・トウ領域と、フェース側かつヒール側に形成されるフェース・ヒール領域と、バックフェース側かつトウ側に形成されるバックフェース・トウ領域と、バックフェース側かつヒール側に形成されるバックフェース・ヒール領域とに仮想区分したときに、前記ソール・サイド開口域は、フェース・ヒール領域及び/又はバックフェース・ヒール領域に設けられることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記開口部は、前記クラウン開口域と前記ソール・サイド開口域とが連続した一つの開口部である請求項1記載のゴルフクラブヘッドである。
また請求項3記載の発明は、前記ゴルフクラブヘッドの体積は、70〜500cm3である請求項1又は2記載のゴルフクラブヘッドである。
また請求項4記載の発明は、前記ゴルフクラブヘッドの体積は、90〜220cm3である請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドである。
また請求項5記載の発明は、前記ソール・サイド開口域は、バックフェース・ヒール領域に設けられる請求項1乃至4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドである。
また請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載されたゴルフクラブヘッドにシャフトが装着されたゴルフクラブである。
本発明のゴルフクラブヘッドは、少なくとも一つの開口部が設けられた金属材料からなるヘッド本体と、前記開口部を閉塞する繊維強化樹脂からなるカバー部材とを含み、かつ内部に中空部が設けられる。また、前記開口部は、クラウン部に設けられたクラウン開口域とソール部及びサイド部に設けられたソール・サイド開口域とを含み、前記クラウン開口域は、ヘッド表面に投影された開口面積が、クラウン部の表面積の63〜77%に規定される。このようなゴルフクラブヘッドは、カバー部材によって、低重心化が図られるため、打球の飛距離が向上する。
また、前記ソール・サイド開口域は、ヘッド表面に投影された開口面積が、ソール部とサイド部とを合算した表面積の4〜25%に規定される。このようなゴルフクラブヘッドは、繊維強化樹脂の配設される面積がクラウン部に比して小さいため、低重心化が確保される。また、シャフト軸中心線を任意の垂直面内に配しかつ規定のライ角で傾けるとともに前記フェースをロフト角に保持して水平面に接地させた基準状態のヘッドをソール側から見た底面領域を、ヘッド重心を通る前記シャフト軸中心線と平行な第1の直線と、前記ヘッド重心を通りかつ前記第1の直線と直角な第2の直線とにより、フェース側かつトウ側に形成されるフェース・トウ領域と、フェース側かつヒール側に形成されるフェース・ヒール領域と、バックフェース側かつトウ側に形成されるバックフェース・トウ領域と、バックフェース側かつヒール側に形成されるバックフェース・ヒール領域とに仮想区分したときに、前記ソール・サイド開口域は、フェース・ヒール領域及び/又はバックフェース・ヒール領域に設けられる。このようなゴルフクラブヘッドは、繊維強化樹脂がシャフトの軸中心線CLの近傍に配設されるため、前記慣性モーメントIcが大きくなる。従って、スイング時にフェースの向きが安定して、打球の方向安定性が向上する。また、本発明のゴルフクラブヘッドは、繊維強化樹脂からなるカバー部材が、打球時に振動し易い前記基準状態のヘッドをソール側から見たヘッド重心部分から離れた位置に配設されるため、打球音が高くなり、打球フィーリングが向上する。
本発明の一実施形態のゴルフクラブの基準状態の正面図である。 その部分拡大図である。 図2の平面図である。 図2をトウ側から見た側面図である。 図2をソール側から見た底面図である。 本実施形態のゴルフクラブヘッドの分解斜視図である。 ヘッド本体の平面図である。 開口縁部を説明する拡大断面図である。 (a)は、フェースを説明するクラブヘッドの正面図、(b)は、フェース周縁を説明する(a)の断面図である。 (a)乃至(d)は、比較例のソール側から見た底面領域を表す図、(e)は、他の実施例のソール側から見た底面領域を表す図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態のゴルフクラブ(以下、単に「クラブ」ということがある。)1は、シャフト2と、該シャフト2の先端側2Aに固着されたゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)3と、前記シャフト2の後端側2Bに設けられかつプレーヤに握られるグリップ4とを含んで構成される。また、本実施形態のへッド3は、ドライバー(#1)又はフェアウェイウッドのようなウッド型のゴルフクラブヘッドとして構成され、具体的には、ドライバー(#1)、プラッシー(#2)、スプーン(#3)、バフィ(#4)及びクリーク(#5)等を含み、かつこれらとは番手ないし名称が異なるが、ほぼ類似した形状を持つヘッドをも含む。
また、図1乃至図5のゴルフクラブ1は、基準状態に置かれている。前記基準状態とは、シャフト軸中心線CLを任意の垂直面VP内に配しかつ水平面HPに対して規定のライ角αで傾けるとともに、フェースFのスイートスポットSSをロフト角βに保持(フェース角は零にセットされる)して水平面HPに接地させた状態とする。なお、本明細書では、以後、特に断りがない場合、ゴルフクラブ1はこのような基準状態にあるものとして説明される。なお、ロフト角は0度よりも大きい角度として与えられる。また、図3に示されるように、スイートスポットSSは、ヘッド重心GからフェースFに立てた法線nが該フェースFと交わる点とする。
特に限定されるものではないが、ゴルフクラブ1のクラブ全長Lは、好ましくは39.5インチ以上、より好ましくは40インチ以上が望ましく、また、好ましくは47インチ以下、より好ましくは46インチ以下が望ましい。前記クラブ全長Lが小さいと、クラブの長さを利用したヘッドスピードの向上が十分に期待できず、打球の飛距離を増加させることができない。逆に、クラブ全長Lが大きいと、打点のばらつきが大きくなる他、構えた際にクラブが長く感じられゴルファに不安感を生じさせる。
なお、クラブ全長Lは、図1に示される基準状態において、シャフト2の後端2eから、水平面HPとシャフトの軸中心線CLの交点Pまでをシャフト2の軸中心線CLに沿って測定した長さである。
図2乃至5に示されるように、前記ヘッド3は、ボールを打撃する打撃面をなすフェースFを有するフェース部5と、このフェースFの上縁5aに連なりヘッド上面をなすクラウン部6と、前記フェースの下縁5bに連なりヘッド底面をなすソール部7と、前記クラウン部6とソール部7との間を継ぎ前記フェースFのトウ側縁5cからバックフェースBFを通り前記フェースFのヒール側縁5dにのびるサイド部8と、前記クラウン部6のヒール側に設けられかつシャフト2の先端が挿入される円筒状のシャフト差込孔9aを有するホーゼル9とが設けられる。なお、ヘッド3の内部には中空部i(図6に示す)が設けられている。
特に限定されるものではないが、ヘッド3の体積Vは、好ましくは70cm3以上、より好ましくは90cm3以上が望ましく、また、好ましくは500cm3 以下が望ましく、より好ましくは220cm3 以下が望ましい。前記ヘッド3の体積Vが小さいと、ヘッド3の慣性モーメントIcが小さくなり易く、ミスショット時のヘッドのブレが大きくなるため、打球の方向性が悪化し易い。他方、ヘッド3の体積が大きいと、クラブ重量が増大して、例えばスイングバランスの悪化やヘッドスピードの低下などを招くおそれがある。
また、ヘッド3の質量は、小さすぎるとヘッドの運動エネルギーが小さくなり、飛距離の向上が期待できない傾向がある。逆に、質量が大きすぎると、振り切るのが困難となり、打球の方向安定性や飛距離が悪化する傾向がある。このような観点より、ヘッド3の質量は、好ましくは180g以上、より好ましくは185g以上が望ましく、また好ましくは240g以下、より好ましくは235g以下が望ましい。
またヘッド3は、図6及び7に示されるように、少なくとも一つ(本実施形態では一つ)の開口部Oが設けられた金属材料からなるヘッド本体MRと、前記開口部Oを閉塞する繊維強化樹脂からなるカバー部材FRとを含んで構成される。なお、開口部Oには、前記シャフト差込孔9aは含めない。
本実施形態のヘッド本体MRは、比強度に優れた金属材料で構成されるのが望ましい。前記金属材料としては、特に限定はされないが、例えばチタン合金やステンレスなどの1種ないし2種以上を用いることができる。そして、ヘッド本体MRの金属材料の比重ρ1は、ヘッド本体MRの剛性を確保しつつヘッド3に必要な体積Vを確保するために、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上が望ましく、また好ましくは8.5以下、より好ましくは8.0以下が望ましい。
また、ヘッド本体MRは、フェース部5と、開口部Oを除きクラウン部6の主要部をなすクラウン主壁部10と、開口部Oを除きソール部7の主要部をなすソール主壁部11と、開口部Oを除きサイド部8の主要部をなすサイド主壁部12と、ホーゼル9とを含んで構成される。本実施形態のヘッド本体MRは、鋳造により前記各部が一体形成されたものとして構成される。しかしながら、ヘッド本体MRは、例えば鍛造、鋳造、プレス又は圧延等により2以上のパーツで成形された後、これらを溶接等により一体接合して形成されたものでもよい。
前記カバー部材FRは、本実施形態では、小厚さかつ滑らかな曲面で湾曲した略板状体で形成される。
また、カバー部材FRを構成する繊維強化樹脂は、補強材としての繊維と、マトリックス樹脂とを複合させた複合材料であって、金属材料に比べて小さい比重を持つ。このため、本発明のヘッド3は、ヘッド本体MRに設けられた開口部Oと相俟って軽量化が図られる。このような観点より、前記カバー部材FRの比重ρ2は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下が望ましい。なお、前記比重ρ2が小さくなると、カバー部材FRの強度が低下するおそれがある。従って、比重ρ2は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上が望ましい。
前記マトリックス樹脂は、例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が好ましい。また前記繊維は、例えばカーボン繊維、ガラス繊維といった有機繊維や、アモルファス繊維等の金属繊維などが好ましい。なお、繊維の引張弾性率については、特に限定はされないが、カバー部材FRの耐久性を確保しつつコストの上昇を抑制する観点より、好ましくは50GPa以上、より好ましくは100GPa以上が望ましく、また、好ましくは450GPa以下、より好ましくは350GPa以下が望ましい。なお、前記引張弾性率は、JISR7601の「炭素繊維試験方法」に準じて測定された値とする。また2種以上の繊維が含まれている場合には、下記式(1)で表されるように、それぞれの繊維の弾性率を、その質量比で重み付けして計算した平均弾性率とする。
平均弾性率=Σ(Ei・Vi)/ΣVi (i=1,2…)
(ここで、Eiは繊維の弾性率、Viは繊維の総重量とする。)
図6及び7に示されるように、ヘッド本体MRには、前記開口部Oの回りに、ヘッド外面側の表面が、クラウン主壁部10、ソール主壁部11及びサイド主壁部12から中空部i側に凹む段差面13aと、前記段差面13aの中空部i側の端部から開口部Oの中心側にのびかつ前記カバー部材FRの内面FRiの周縁部を支える受け面13bとからなる断面ステップ状の開口縁部13が設けられる。該開口縁部13は、本実施形態では、環状に連続して設けられる。なお、開口縁部13とカバー部材FRとは、例えば溶接、接着剤、ろう付け又は一部を塑性変形させたかしめなど種々の接合方法を用いて固着される。
また、図8に示されるように、開口縁部13の前記段差面13aの厚さtは、カバー部材FRの厚さに応じた厚さとすることにより、ヘッド本体MRとカバー部材FRとの面一な仕上げを可能にする。
前記開口部Oは、仕上がり状態のヘッド3において、クラウン部6に設けられたクラウン開口域O1と、ソール部7及びサイド部8に設けられたソール・サイド開口域O2とを含んで構成される。このような開口部Oが設けられたヘッド3は、金属材料の使用量をより減らすことができ、低重心化及び慣性モーメントIcを大きくするのに役立つ。
前記クラウン開口域O1は、ヘッド表面に投影された開口面積S1が、クラウン部6の表面積Scの63〜77%に規定される必要がある。即ち、前記開口面積S1が63%未満になると、ヘッド上部の質量削減による低重心化を図ることができない。また、逆に、開口面積S1が77%よりも大きくなると、クラウン主壁部10の剛性が過度に低下し、ヘッド3の耐久性を悪化させる。このような観点より、前記開口面積S1は、クラウン部6の表面積Scのより好ましくは66%以上が望ましく、また、より好ましくは74%以下が望ましい。
ここで、図3に示されるように、クラウン部6の表面積Scは、仕上がり状態のヘッド3の基準状態の平面視において、フェースFの上縁5aと、最もヘッド側方に張り出したサイド縁eと、シャフト差込孔9aの軸中心線CLを中心軸とする半径20mmの仮想円筒がヘッド外面と交わってできる仮想曲線VCとで囲まれる部分の表面積とする。
また、特に限定されるものではないが、クラウン部6の表面積Scは、軽量化及びアドレス時の安心感を両立させるために、好ましくは40cm2以上、より好ましくは50cm2以上が望ましく、また、好ましくは200cm2以下、より好ましくは190cm2以下が望ましい。
また、図7に示されるように、本実施形態のクラウン開口域O1は、フェース部5の上縁5aから離間して、バックフェースBF側に設けられる。これにより、高い振動減衰効果を有し打球音を低くさせ易い繊維強化樹脂からなるカバー部材FRが、フェースFから遠ざかる位置に設けられるため、打球音を高く維持でき、打球フィーリングを向上できる。他方、クラウン開口域O1は、前記上縁5aから離れ過ぎると、開口部Oが小さくなり、ヘッド3の低重心化を図ることができないおそれがある。このような観点より、ヘッド3のリーディングエッジLe(基準状態で最もフェース面2側の位置)からヘッド最後部までのヘッド前後方向の最大長さであるヘッド長さLaと、前記リーディングエッジLeからクラウン開口域O1までのヘッド前後方向の最短距離Lbとの比(Lb/La)は、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上が望ましく、また好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下が望ましい。
前記ソール・サイド開口域O2は、ヘッド表面に投影された開口面積S2が、ソール部7とサイド部8とを合算した表面積Sgの4〜25%に規定される必要がある。前記開口面積S2が4%未満であると、上述の慣性モーメントIcを大きくする効果が得られない。逆に、開口面積S2が25%を超えると、低重心化を図ることができない。さらに、ソール部6に占めるカバー部材FRの割合が大きくなると、打球音が低下し易く、ひいては打球フィーリングが悪化する。このような観点より、前記開口面積S2は、ソール部7とサイド部8とを合算した表面積Sgのより好ましくは6%以上が望ましく、また、より好ましくは20%以下が望ましい。
前記ソール部7とサイド部8とを合算した表面積Sgは、ヘッド本体MRとカバー部材FRとを組立てたヘッド3の全表面積Sから、前記仮想曲線VCのホーゼル側部分の表面積と前記クラウン部6の表面積ScとフェースFの面積Sfとを差し引いた面積として規定される。また、前記フェースFの面積Sfとは、前記フェースFの上縁5a、下縁5b、トウ側縁5c及びヒール側縁5dからなるフェース周縁ELで囲まれる閉じた領域であって、前記フェースFにフェース溝やパンチマーク(ともに図示せず)等の凹部が設けられている場合、該凹部を全て埋めた状態でフェースFの面積が測定される。
さらに、前記フェース周縁ELは、外観上明瞭な稜線で区別しうるときには、該稜線として定められる。しかしながら、そのような稜線が明瞭でないときには、図9(a)及び(b)に示されるように、ヘッド重心GとスイートスポットSSとを結ぶ多数の平面E1、E2…でヘッド3を切断し、各断面において、フェースFの輪郭線Lfの曲率半径rfがスイートスポットSS側から外側に向かってそれぞれに初めて200mmとなる位置Peをその位置におけるフェース周縁ELとして定義する。このような周縁は、例えば平面E1、E2…を小角度(例えば5度)刻みで測定し、これらを継ぐことにより求めることができる。
図5に示されるように、本発明のソール・サイド開口域O2は、前記基準状態のヘッド3をソール側から見た底面領域Mを、ヘッド重心Gを通る前記シャフト軸中心線CLと平行な第1の直線N1と、前記ヘッド重心Gを通りかつ前記第1の直線N1と直角な第2の直線N2とにより、フェース側かつトウ側に形成されるフェース・トウ領域M1と、フェース側かつヒール側に形成されるフェース・ヒール領域M2と、バックフェース側かつトウ側に形成されるバックフェース・トウ領域M3と、バックフェース側かつヒール側に形成されるバックフェース・ヒール領域M4とに仮想区分したときに、フェース・ヒール領域M2及び/又はバックフェース・ヒール領域M4に設けられる。このようなヘッド3は、比重の小さい繊維強化樹脂からなるカバー部材FRが軸中心線CLの近傍に配され、かつ、比重の大きい金属材料からなるヘッド本体MRの多くが軸中心線CLから離れて配されるため、前記慣性モーメントIcが大きくなる。従って、スイング時にフェースの向きが安定して、打球の方向安定性が向上する。
また、前記ソール・サイド開口域O2は、打球音を高く維持するため、本実施形態のように、ボールを打撃するフェースFから遠いバックフェース・ヒール領域M4のみに限定して設けられるのが望ましい。
また、本実施形態の開口部Oは、前記クラウン開口域O1と前記ソール・サイド開口域O2とがバックフェース側かつヒール側で連続した一つの開口部として形成される。このように一つの開口部として形成されたヘッド3は、ヘッド質量をさらに削減できるとともに、ヘッド本体MRが容易に成形される。また、前記カバー部材FRとヘッド本体MRとを一度に固着できるため、生産効率が向上する。
また、底面領域Mにおけるヘッド重心Gの位置とカバー部材FRとの間の最短距離Lcは、例えば、前記ヘッド長さLaの好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上が望ましく、また好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下が望ましい。前記最短距離Lcが大きくなると、開口部Oが小さくなるため、慣性モーメントIcを大きくできないおそれがある。逆に、前記最短距離Lcが小さくなると、打球時に振動し易い前記基準状態のヘッドをソール側から見たヘッド重心部分に繊維強化樹脂からなるカバー部材が配され易くなるため、打球音が低くなり打球フィーリングが悪化するおそれがある。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定させることなく、必要に応じて種々の態様に変更しうる。例えば、開口部Oは、クラウン部6とサイド・ソール部との2個に分割されても良い。
本発明の効果を確認するために、図3に示されるクラウン部及び表1の仕様に基づいたウッド型ゴルフクラブヘッドが試作され、打球の方向安定性、慣性モーメントIc、打球フィーリング及び重心高さについてテストが行なわれた。各ヘッド本体は、チタン合金(Ti−6Al−4V)の一体鋳造品とした。表1に示すパラメータ以外はすべて同一であり、主な共通仕様は次の通りである。
ライ角α:59°
ロフト角β:19.0°
ヘッド体積V:155cm3
クラブ全長L:42インチ
ヘッド本体の比重ρ1:4.5
カバー部材の比重ρ2:1.1
フェース部の平均厚さ:2.0mm
テスト方法は、次の通りである。
<打球の方向安定性>
ハンデイキャップ3〜25のゴルファー30名にて、市販の3ピースゴルフボール(SRIスポーツ(株)製の「ゼクシオ SUPER XD」)を10球づつ打撃し、目標と打撃点を結んだ直線からボール停止位置までの最短距離(目標に対して左右どちらにずれても、測定値はプラス値としている。)を測定し、各ゴルファーの10球の平均値を計算した。そして、さらに30名分の平均値を求めて評価した。数値が小さいほど良好である。
<慣性モーメント>
ヘッドの基準状態において、シャフトの軸中心線CL周りの慣性モーメントIcを INERTIA DYNAMICS Inc 社製のMOMENT OF INERTIA MEASURING INSTRUMENTの MODEL NO.005-002を用いて測定した。数値が大きいほどミスショット時のヘッドのブレが小さく良好である。
<打球フィーリング>
上記ゴルファーが、上記ゴルフボールを5球ずつ試打し、各ゴルファーのフィーリングにより打球音の好みを5点法により評価し、これらの平均点を示した。数値が大きいほど、ゴルファーに好まれる音であることを示す。
<重心高さ>
前記基準状態において、水平面からスイートスポットSSまでの垂直高さである重心高さが測定された。小さいほど良好である。テストの結果などを表1に示す。
Figure 2012179303
Figure 2012179303
テストの結果、実施例のゴルフクラブは、比較例に比べて重心高さが小さく、慣性モーメントIcが大きくなり、方向安定性及び打球フィーリングが有意に向上していることが確認できる。また、異なる比重の繊維強化樹脂や異なるヘッド体積のゴルフクラブを用いて実験を行ったが、本テストと同様の結果となった。
3 ゴルフクラブヘッド
6 クラウン部
CL シャフトの軸中心線
F フェース
FR カバー部材
G ヘッド重心
HP 水平面
MR 底面領域
M1 フェース・トウ領域
M2 フェース・ヒール領域
M3 バックフェース・トウ領域
M4 バックフェース・ヒール領域
N1 第1の直線
N2 第2の直線
O 開口部
O1 クラウン開口域
O2 ソール・サイド開口域

Claims (6)

  1. 少なくとも一つの開口部が設けられた金属材料からなるヘッド本体と、前記開口部を閉塞する繊維強化樹脂からなるカバー部材とを含み、かつ内部に中空部が設けられたゴルフクラブヘッドであって、
    前記開口部は、クラウン部に設けられたクラウン開口域とソール部及びサイド部に設けられたソール・サイド開口域とを含み、
    前記クラウン開口域は、ヘッド表面に投影された開口面積が、クラウン部の表面積の63〜77%、
    前記ソール・サイド開口域は、ヘッド表面に投影された開口面積が、ソール部とサイド部とを合算した表面積の4〜25%、
    シャフト軸中心線を任意の垂直面内に配しかつ規定のライ角で傾けるとともにフェースをロフト角に保持して水平面に接地させた基準状態のヘッドをソール側から見た底面領域を、
    ヘッド重心を通る前記シャフト軸中心線と平行な第1の直線と、前記ヘッド重心を通りかつ前記第1の直線と直角な第2の直線とにより、フェース側かつトウ側に形成されるフェース・トウ領域と、フェース側かつヒール側に形成されるフェース・ヒール領域と、バックフェース側かつトウ側に形成されるバックフェース・トウ領域と、バックフェース側かつヒール側に形成されるバックフェース・ヒール領域とに仮想区分したときに、
    前記ソール・サイド開口域は、フェース・ヒール領域及び/又はバックフェース・ヒール領域に設けられることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
  2. 前記開口部は、前記クラウン開口域と前記ソール・サイド開口域とが連続した一つの開口部である請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
  3. 前記ゴルフクラブヘッドの体積は、70〜500cm3である請求項1又は2記載のゴルフクラブヘッド。
  4. 前記ゴルフクラブヘッドの体積は、90〜220cm3である請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
  5. 前記ソール・サイド開口域は、バックフェース・ヒール領域に設けられる請求項1乃至4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載されたゴルフクラブヘッドにシャフトが装着されたゴルフクラブ。
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