JP3762906B2

JP3762906B2 - ゴルフクラブヘッド

Info

Publication number: JP3762906B2
Application number: JP2002306805A
Authority: JP
Inventors: 紀彦中原; 洋西澤; 智朗森; 眞司山本
Original assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Current assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date: 2001-10-24
Filing date: 2002-10-22
Publication date: 2006-04-05
Anticipated expiration: 2022-10-22
Also published as: JP2003199848A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空構造を有するゴルフクラブヘッドに関し、更に詳しくは、異種素材を複合することで、振動減衰性と心地よい打音の両方を兼ね備えるようにしたゴルフクラブヘッドに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ゴルフクラブヘッドでは、飛距離や方向性等の性能や強度を改善することに加えて、打球時の振動を減衰し、更には打球時に心地よい打音を発することが要求される。これは、メンタルスポーツでもあるゴルフでは微妙な振動や打音が結果に大きな影響を及ぼすからである。
【０００３】
従来より、繊維強化プラスチック（ＦＲＰ）からなる中空構造のゴルフクラブヘッドが開示されている（例えば、特許文献１参照。）。このようなＦＲＰ製のゴルフクラブヘッドは、振動減衰性は良いものの、打球音と飛距離の面で不利である。また、異種素材を複合してなるゴルフクラブヘッドが開示されている（例えば、特許文献２及び特許文献３参照。）。しかしながら、これらゴルフクラブヘッドは振動減衰性と心地よい打音の両方を兼ね備えたものではなかった。
【０００４】
【特許文献１】
特開平１１−４９１９号公報
【特許文献２】
特開平５−１６８７３１号公報
【特許文献３】
特開２０００−２２９１３５号公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、異種素材を複合することで、振動減衰性と心地よい打音の両方を兼ね備えることを可能にしたゴルフクラブヘッドを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のゴルフクラブヘッドは、中空構造を有するゴルフクラブヘッドにおいて、サイド部、ネック部及びフェース部を構成する金属製の外殻部材と、ソール部及びクラウン部を構成すると共にヘッド全体での質量比率が４％以上４８％以下となる繊維強化プラスチック製の外殻部材とを備え、これら金属製の外殻部材と繊維強化プラスチック製の外殻部材を接合して中空構造としたことを特徴とするものである。
【０００７】
このように中空構造を有するゴルフクラブヘッドにおいて、サイド部、ネック部及びフェース部を構成する金属製の外殻部材と、ソール部及びクラウン部を構成すると共に上記質量比率となる繊維強化プラスチック製の外殻部材とを備え、これら金属製の外殻部材と繊維強化プラスチック製の外殻部材を接合して中空構造としたことにより、振動減衰性と心地よい打音の両方を兼ね備えたゴルフクラブヘッドを構成することができる。
【０００８】
本発明において、金属としては、２種以上の金属を互いに異なる部位に使用しても良い。繊維強化プラスチックとしては、２種以上の繊維強化プラスチックを互いに異なる部位に使用しても良い。繊維強化プラスチックの繊維の弾性率が２７ton/mm²未満である場合には、特に振動減衰性の改善効果が大きくなり、繊維強化プラスチックの繊維の弾性率が２７ton/mm²以上である場合には、特に打音の改善効果が大きくなる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１０】
図１（ａ）〜（ｃ）は本発明に関連するゴルフクラブヘッド（参考例）を示すものである。図１（ａ）〜（ｃ）に示すように、このゴルフクラブヘッドは中空構造を有し、ネック部１、フェース部２、ソール部３、クラウン部４及びサイド部５のうち、クラウン部４が繊維強化プラスチック（斜線部）から構成され、残部が金属から構成されている。つまり、ネック部１、フェース部２、ソール部３及びサイド部５を構成する金属製の外殻部材Ｘはクラウン部４に相当する位置に孔部Ｘ１（貫通孔）を有し、クラウン部４には少なくとも孔部Ｘ１を覆うように繊維強化プラスチック製の外殻部材Ｙが配置されている。その結果、中空構造を形成する外殻において、ネック部１、フェース部２、ソール部３及びサイド部５には金属のみで構成される部分が存在し、クラウン部４には繊維強化プラスチックのみで構成される部分が存在している。
【００１１】
このようにネック部１、フェース部２、ソール部３、クラウン部４及びサイド部５の少なくとも１ヵ所に繊維強化プラスチックを使用し、残部を金属から構成することにより、振動減衰性と心地よい打音の両方を兼ね備えたゴルフクラブヘッドを構成することができる。但し、上記繊維強化プラスチックの質量比率〔（ＦＲＰ質量／ヘッド全体の質量）×１００〕は４％以上とすることが必要である。この繊維強化プラスチックの質量比率が４％未満であると振動減衰性と打音の改善効果が十分に得られない。なお、繊維強化プラスチックの質量比率の上限は４８％にすることが好ましい。この範囲内にすることによって、ゴルフクラブヘッドの重心位置をより好適に保つことが可能になる。
【００１２】
金属としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼等を使用することができる。また、２種以上の金属を互いに異なる部位に使用するようにしても良い。
【００１３】
繊維強化プラスチックとしては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維に、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させてなる繊維強化プラスチックがあり、特に炭素繊維を強化繊維とするものが好ましい。また、２種以上の繊維強化プラスチックを互いに異なる部位に使用するようにしても良い。繊維強化プラスチックの繊維の弾性率が２７ton/mm²未満である場合には、振動減衰性の改善効果が大きくなり、繊維強化プラスチックの繊維の弾性率が２７ton/mm²以上である場合には、打音の改善効果が大きくなる。
【００１４】
クラウン部４を構成する繊維強化プラスチック製の外殻部材Ｙは、ネック部１、フェース部２、ソール部３及びサイド部５を構成する金属製の外殻部材Ｘに対して接着することができる。図１（ａ）では、単層構造の外殻部材Ｙを外殻部材Ｘのクラウン部４に外側から貼り合わせているが、この繊維強化プラスチック製の外殻部材Ｙを２層以上の複層構造にしても良い。例えば、図２（ａ）〜（ｃ）に示すように、繊維強化プラスチック製の外殻部材Ｙを２層構造とし、これらを外殻部材Ｘの孔部Ｘ１を覆うように内外から貼り合わせることも可能である。この場合、繊維強化プラスチック製の外殻部材Ｙを金属製の外殻部材Ｘに対して強固に固定することができる。
【００１５】
ネック部１、フェース部２、ソール部３及びサイド部５を構成する金属製の外殻部材Ｘに開口する孔部Ｘ１の形状は、特に限定されるものではなく、目的とする振動減衰性や打音に応じて種々選択することができる。例えば、図３（ａ）〜（ｌ）のように孔部Ｘ１を任意の形状に設定したり、図４（ａ）〜（ｂ）のように孔部Ｘ１を横断するブリッジＸ２を設け、このブリッジＸ２により繊維強化プラスチック製の外殻部材Ｙを支持するようにしても良い。ブリッジＸ２の本数は特に限定されるものではなく、必要に応じて２本以上にしても良い。
【００１６】
図５（ａ）〜（ｃ）は本発明の実施形態からなるゴルフクラブヘッドを示すものである。本実施形態のゴルフクラブヘッドは中空構造を有し、ソール部３及びクラウン部４が繊維強化プラスチック（斜線部）から構成され、サイド部５がステンレス鋼から構成され、ネック部１及びフェース部２がチタンから構成されている。この場合、図６に示すように、ステンレス鋼製のサイド部５とチタン製のネック部１及びフェース部２との接合に繊維強化プラスチックを介在させても良い。
【００１７】
図７（ａ）〜（ｃ）は本発明の更に他の実施形態からなるゴルフクラブヘッドを示すものである。本実施形態のゴルフクラブヘッドは中空構造を有し、ソール部３及びクラウン部４が繊維強化プラスチック（斜線部）から構成され、ネック部１、フェース部２及びサイド部５が金属から構成されている。つまり、ネック部１、フェース部２及びサイド部５を構成する金属製の外殻部材Ｘは、ソール部３及びクラウン部４に相当する位置にそれぞれ孔部Ｘ１，Ｘ１（貫通孔）を有し、これら孔部Ｘ１，Ｘ１を覆うように繊維強化プラスチック製の外殻部材Ｙが配置されている。これら繊維強化プラスチック製の外殻部材Ｙは、金属製の外殻部材Ｘの縁部を挟み込むように該外殻部材Ｘに対して強固に固定されている。
【００１８】
【実施例】
中空構造を有するゴルフクラブヘッドにおいて、ネック部、フェース部、ソール部、クラウン部及びサイド部の構成材料を表１のように種々異ならせた比較例１〜２及び実施例１〜３をそれぞれ作製した。表１において、「Ｔｉ」はチタン又はチタン合金、「ＦＲＰ」は繊維強化プラスチックを意味する。また、「２７ｔ未満」は繊維の弾性率が２７ton/mm²未満の繊維強化プラスチック（繊維：カーボン）の使用、「２７ｔ以上」は繊維の弾性率が２７ton/mm²以上の繊維強化プラスチック（繊維：カーボン）の使用を意味する。
【００１９】
これらゴルフクラブヘッドを装着したゴルフクラブをそれぞれ用意し、１０人のゴルファーによる試打を通して振動減衰性と打音を評価し、その結果を表１に併せて示した。これら評価結果は、比較例１を１００とする指数にて示した。振動減衰性については指数値が大きいほど振動減衰効果が大きいことを意味し、打音については指数値が大きいほど良好であること、つまり金属音とパーシモンによる打音との中間的な打音を発生することを意味する。
【００２０】
【表１】

【００２１】
この表１から判るように、実施例１〜３のゴルフクラブヘッドは、いずれも比較例１に比べて、振動減衰性及び打音が改善されていた。比較例２は繊維強化プラスチックの使用量が少ないため十分な効果が得られなかった。
【００２２】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、中空構造を有するゴルフクラブヘッドにおいて、サイド部、ネック部及びフェース部を構成する金属製の外殻部材と、ソール部及びクラウン部を構成すると共にヘッド全体での質量比率が４％以上４８％以下となる繊維強化プラスチック製の外殻部材とを備え、これら金属製の外殻部材と繊維強化プラスチック製の外殻部材を接合して中空構造としたから、振動減衰性と心地よい打音の両方を兼ね備えたゴルフクラブヘッドを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に関連するゴルフクラブヘッド（参考例）を示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は左側面図、（ｃ）はＡ−Ａ矢視断面図である。
【図２】図１のゴルフクラブヘッドの変形例を示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は左側面図、（ｃ）はＡ’−Ａ’矢視断面図である。
【図３】図１のゴルフクラブヘッドの他の変形例を繊維強化プラスチック製の外殻部材を除いた状態で示し、（ａ）〜（ｌ）はそれぞれ平面図である。
【図４】図１のゴルフクラブヘッドの更に他の変形例を繊維強化プラスチック製の外殻部材を除いた状態で示し、（ａ）〜（ｂ）はそれぞれ平面図である。
【図５】本発明の実施形態からなるゴルフクラブヘッドを示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は左側面図、（ｃ）は右側面図である。
【図６】図５のゴルフクラブヘッドの変形例を示す左側面図である。
【図７】本発明の更に他の実施形態からなるゴルフクラブヘッドを示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）はＡ''−Ａ''矢視断面図である。
【符号の説明】
１ネック部
２フェース部
３ソール部
４クラウン部
５サイド部
Ｘ，Ｙ外殻部材
Ｘ１孔部
Ｘ２ブリッジ

Claims

中空構造を有するゴルフクラブヘッドにおいて、サイド部、ネック部及びフェース部を構成する金属製の外殻部材と、ソール部及びクラウン部を構成すると共にヘッド全体での質量比率が４％以上４８％以下となる繊維強化プラスチック製の外殻部材とを備え、これら金属製の外殻部材と繊維強化プラスチック製の外殻部材を接合して中空構造としたことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
前記金属製の外殻部材がソール部及びクラウン部に相当する位置にそれぞれ孔部を有する請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
前記金属として、２種以上の金属を互いに異なる部位に使用した請求項１又は請求項２に記載のゴルフクラブヘッド。
前記繊維強化プラスチックとして、２種以上の繊維強化プラスチックを互いに異なる部位に使用した請求項１〜３のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
前記繊維強化プラスチックの繊維の弾性率が２７ton/mm²未満である請求項１〜４のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
前記繊維強化プラスチックの繊維の弾性率が２７ton/mm²以上である請求項１〜４のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
前記金属製の外殻部材に前記孔部を横断するブリッジを設けた請求項２に記載のゴルフクラブヘッド。
ソール部を構成する繊維強化プラスチック製の外殻部材に繊維の弾性率が２７ton/mm²以上である繊維強化プラスチックを使用し、クラウン部を構成する繊維強化プラスチック製の外殻部材に繊維の弾性率が２７ton/mm²未満である繊維強化プラスチックを使用した請求項１又は請求項２に記載のゴルフクラブヘッド。