JP2012177208A - 人工毛髪用繊維および頭髪装飾品 - Google Patents

人工毛髪用繊維および頭髪装飾品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性および強伸度などの繊維物性を維持し、人毛に近い嵩高性および触感を呈し得る人工毛髪用繊維の提供。
【解決手段】熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られる人工毛髪用繊維であって、熱収縮応力の立ち上がり温度Tが60〜135℃である人工毛髪用繊維を提供する。この人工毛髪用繊維は所定の熱応力特性を付与されたことにより、加熱されると人毛と同様な不規則な捲縮を示し、人毛に近い嵩高性および触感を呈する。
【選択図】図1

Description

本技術は、人工毛髪用繊維に関する。より詳しくは、所定の熱応力特性を有する人工毛髪用繊維に関する。
かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪装飾品においては、従来、人毛や人工毛髪用繊維(例えば、モダクリル繊維やポリ塩化ビニル繊維など)が用いられている。昨今では、人毛の供給は困難になってきているため、人工毛髪用繊維の重要性がより高まっている。熱可塑性樹脂からなる人工毛髪用繊維は加熱されると収縮する。収縮の際に発生する熱収縮応力によって繊維に捲縮を生じさせることで、頭髪装飾品に嵩高性や触感などの風合いを付与できる。
人工毛髪用繊維に人毛に近い嵩高性や触感などの風合いを付与するため、様々な工夫がなされてきている。例えば特許文献1には、2つの噛み合う高温のギア間に繊維束を通すことによって繊維に捲縮を施す技術が開示されている。また、特許文献2には、中空繊維と非中空繊維を混合することによって嵩高性とソフト感をバランスよく持つ繊維束を得ることが提案されている。
特開2010−047846 特開2007−009336
本技術は、耐熱性および強伸度などの繊維物性を維持し、人毛に近い嵩高性および触感を呈し得る人工毛髪用繊維を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本技術は、熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られる人工毛髪用繊維であって、熱収縮応力の立ち上がり温度が60〜135℃である人工毛髪用繊維を提供する。
この人工毛髪用繊維は所定の熱応力特性を付与されたことにより、加熱されると人毛と同様な不規則な捲縮を示し、人毛に近い嵩高性および触感を呈する。
この人工毛髪用繊維において、熱収縮応力の最大値は、0.001〜0.5cN/dtexであることが好適となる。
本技術において、「熱収縮応力の立ち上がり温度」とは、横軸に温度(℃)、縦軸に熱収縮応力(cN/dtex)をとったグラフにおいて、各温度での熱収縮応力をプロットした曲線と、この曲線への接線と、の接点に対応する温度を意味する。
耐熱性および強伸度などの繊維物性を維持し、人毛に近い嵩高性および触感を呈し得る人工毛髪用繊維が提供される。
人工毛髪用繊維を加熱した際に生じる熱収縮応力の変化を示す図面代用グラフである。 人工毛髪用繊維の断面形状を説明する模式図である。
以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
1.人工毛髪用繊維
(1)熱収縮応力
本技術に係る人工毛髪用繊維は、熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られる人工毛髪用繊維であって、熱収縮応力の立ち上がり温度が60〜135℃である。人工毛髪用繊維は加熱されると収縮し、熱収縮応力を生じる。図1に、人工毛髪用繊維を加熱した際に生じる熱収縮応力の変化を示す。図中、横軸は温度(℃)、縦軸は熱収縮応力(cN/dtex)を示す。熱収縮応力の立ち上がり温度は、熱収縮応力の変化を示す曲線と、この曲線への接線と、の接点に対応する温度(図中符号T)と定義される。なお、繊維の熱収縮応力は、市販の熱応力測定装置を用いて測定することができる。
本技術に係る人工毛髪用繊維は、熱収縮応力の立ち上がり温度Tが60〜135℃、好ましくは70〜115℃であることにより、加熱されると人毛と同様な不規則な捲縮を示し、人毛に近い嵩高性および触感を呈する。熱収縮応力の立ち上がり温度が60℃未満であると熱処理時の捲縮形態が粗くなるために、触感が硬くなる。一方、熱収縮応力値の立ち上がり温度が135℃より大きいと、熱処理時に捲縮加工ができなくなり、嵩高性が小さくなる。
本技術に係る人工毛髪用繊維の熱収縮応力の最大値(図1中符号M)は、0.001〜0.5cN/dtexであることが好ましく、0.01〜0.2cN/dtexであることがより好ましい。熱収縮応力ピーク値が0.001cN/dtex未満であると、カールがかかり難くなるおそれがある。一方、熱収縮応力ピーク値が0.5cN/dtexより大きいと、カールが強くかかりすぎるおそれがある。
(2)熱可塑性樹脂
本技術に係る人工毛髪用繊維に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン(単独重合体、ランダム重合体、ブロック重合体を包含する)、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた少なくとも1種類以上のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、モダクリル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン又はその共重合体、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂とPMMA樹脂の混合物などが用いられる。これらの樹脂成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。これらのうち、強度、光沢、色相、難燃性、感触、熱収縮性等の特性から、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂の混合体、又はモダクリル樹脂が特に好ましい。
熱可塑性樹脂が塩化ビニルの単独重合体の場合、塩化ビニル系樹脂の重合方法は、特に限定されず、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などであってよい。このうち、繊維の初期着色性等の特性から、懸濁重合が好ましい。
塩化ビニル系樹脂には、塩化ビニルの単独重合物であるホモポリマー樹脂、又は各種のコポリマー樹脂を用いることができる。コポリマー樹脂としては、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニルコポリマー樹脂等の塩化ビニルとビニルエステル類とのコポリマー樹脂;塩化ビニル−アクリル酸ブチルコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸2エチルヘキシルコポリマー樹脂等の塩化ビニルとアクリル酸エステル類とのコポリマー樹脂;塩化ビニル−エチレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピレンコポリマー樹脂等の塩化ビニルとオレフィン類とのコポリマー樹脂;塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー樹脂などがある。特に好ましくは、塩化ビニルの単独重合物であるホモポリマー樹脂、塩化ビニル−エチレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂が良い。
コポリマー樹脂において、コモノマーの含有量は、成型加工性、糸特性等の要求品質に応じて決めることができる。塩化ビニル樹脂の配合量が多いほうがよりコストを抑えられるため、コモノマーの含有量は、50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下とされる。
塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度は、引張物性等の特性から、600〜2500が好ましい。また、重合度の異なる塩化ビニルの単独重合体を2種以上混合してなる混合物も使用できる。粘度平均重合度が上記範囲を超えると、得られる繊維が熱収縮し難くなる傾向にある。
粘度平均重合度は、JIS K6720−2に規定の方法により算出できる。具体的には、樹脂200mgをニトロベンゼン50mlに溶解し、この溶液の比粘度を、ウベローデ型粘度計を用いて、30℃恒温槽中で測定し算出する。
塩化ビニル樹脂には、得られる塩化ビニル繊維の特性を阻害しない範囲で、従来公知の添加剤を配合してもよい。添加剤としては熱安定剤、可塑剤、滑剤、相溶化剤、加工助剤、強化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、充填剤、難燃剤、顔料、初期着色改善剤、導電性付与剤、表面処理剤、光安定剤、香料、加工性改良剤などがある。加工性改良剤としては、EVA系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、MBS系樹脂、ABS系樹脂などがある。これら加工性改良剤の配合量は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部程度が好ましい。
塩化ビニル樹脂には、有機酸亜鉛塩やβ−ジケトン化合物を含有することで初期の着色を抑制できる。
有機酸としては、カルボン酸、フェノール類又は有機リン酸等が挙げられる。有機酸亜鉛塩は、正塩、酸性塩、塩基性塩あるいは過塩基性塩であってもよい。カルボン酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルへキシル酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、クロロステアリン酸、12−ケトステアリン酸、フェニルステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸及び類似酸ならびに獣脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、桐油脂肪酸、大豆油脂肪酸及び綿実油脂肪酸等の天然に産出する上記酸の混合物、安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、エチル安息香酸、イソプロピル安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、サリチル酸、5−第三オクチルサリチル酸、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アジピン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノールなどが挙げられる。有機リン酸としては、例えば、モノ又はジオクチルリン酸、モノ又はジドデシルリン酸、モノ又はジオクタデシル燐酸、モノ又はジ(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステルなどが挙げられる。有機酸亜鉛塩の配合量は、塩化ビニル樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましい。
β−ジケトン化合物としては、例えば、ジベンゾイルメタン、ベンゾイルアセトン、ステアロイルベンゾイルメタン、カプロイルベンゾイルメタン、デヒドロ酢酸、トリベンゾイルメタン、1,3−ビス(ベンゾイルアセチル)ベンゼンあるいはこれらの金属塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛等)などが挙げられる。β−ジケトン化合物の配合量は、塩化ビニル樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましい。
(3)頭髪装飾品
人工毛髪用繊維は、そのままかつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪装飾品のために使用することができるが、染色して用いてもよい。染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。また、人工毛髪用繊維は、光沢および触感を確保するために、シリコーン系の繊維表面処理剤あるいは柔軟剤などにより処理をして用いてもよい。
人工毛髪用繊維は、ポリエステル繊維、モダアクリル繊維、ナイロン繊維など、他の人工毛髪素材や人毛と併用してもよい。
2.人工毛髪用繊維の製造方法
本技術に係る人工毛髪用繊維の製造方法では、熱可塑性樹脂を溶融紡糸して人工毛髪用繊維を得る工程において、繊維に上述の熱収縮応力特性を付与する。
熱収縮応力値の立ち上がり温度を制御する方法として、ノズル孔の断面積、ノズル直下の樹脂圧、ノズル圧力、未延伸糸の単繊度、延伸処理温度、熱弛緩処理温度などを制御する方法を採用できる。また、熱収縮応力の最大値を制御する方法として、ノズル金型温度、ノズル孔形状などを制御する方法を採用できる。以下、製造方法の工程と、各工程において繊維の熱収縮応力特性を制御する方法を順に説明する。
(1)溶融紡糸工程
人工毛髪用繊維は、熱可塑性樹脂と必要に応じて添加剤とを混合設備を用いて混合し、混合物を押出機へ投入して溶融紡糸する。混合設備には、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサーなどを用いる。混合物は、粉末状のまま直接紡糸してもよく、押出機、ニーダー、混連ロール等で造粒化した後に紡糸してもよい。押出機には、例えば、単軸押出機、異方向2軸押出機、コニカル2軸押出機などを使用できる。
溶融紡糸に用いられるダイスのノズル孔の断面積の制御することで、繊維の熱収縮応力値の立ち上がり温度を上述した範囲内に設定できる。ノズル孔の断面積は、0.02〜0.5mm2が好ましく、0.03〜0.3mm2がより好ましい。ノズル孔の断面積が0.5mm2を越えると、得られるストランド(未延伸糸)を細繊度の延伸糸とするために過大な張力をかける必要があり、残留歪が多くなって熱収縮応力値の立ち上がり温度が低くなり過ぎる。一方、ノズル孔の断面積が0.02mm2未満の場合、得られるストランドの繊度が小さく、必要な延伸倍率が低くなるため、残留歪が少なく、熱収縮応力値の立ち上がり温度が高くなり過ぎる。特に好ましくは、ノズル孔の断面積が0.03〜0.3mm2のマルチタイプのノズルの各ノズル孔からストランドを溶融、流出させて、単繊度が300dtex以下の未延伸糸とする。
未延伸糸の繊度は、次の点からも300dtex以下であることが好ましい。未延伸糸の繊度が300dtexを超えると、延伸処理の際に延伸倍率を大きくする必要があるので、延伸処理を施した後の繊維に光沢が出てしまい、半艶〜七部艶状態を維持することが困難となる場合がある。
また、ノズル孔の形状を制御することで、繊維の熱収縮応力の最大値を上述した範囲内に設定できる。ノズル孔の形状を繊維に高い嵩高性を付与し得る形状とすると、繊維の熱収縮応力の最大値を大きくできる。嵩高性が高い繊維の断面形状としては、例えばY形、H形、U形、C形、X形がある。逆に、嵩高性が低い繊維の断面形状としては、例えば楕円形、円形、繭形、6葉花形、8葉花形がある。図2に、各断面形状を模式的に示す。
さらに、ノズルの金型温度を制御することで、繊維の熱収縮応力の最大値を上述した範囲内に設定できる。ノズルの金型温度は、160〜190℃が好ましく、165〜185℃がより好ましい。金型温度を低くすると繊維の熱収縮応力の最大値を小さくできる。
(2)熱延伸・熱弛緩工程
未延伸糸は、延伸処理および熱弛緩処理を施して人工毛髪用繊維とする。
延伸処理はストランドを一旦巻き取ってから延伸する2工程法、あるいは巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。処理は、1段延伸法または2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。ニップロールを用いて、多段延伸することも有効である。
延伸処理条件としては、延伸処理温度90〜120℃の雰囲気下で、200〜400%程度延伸することが特に好ましい。延伸処理温度が90℃未満であると繊維の強度が低くなると共に糸切れが発生し易く、逆に120℃を超えると繊維の触感がプラスチック的な滑り触感になり好ましくない。また、延伸倍率が200%未満であると繊維の強度発現が不十分となり、400%を超えると延伸処理時に糸切れを発生し易くなる。
延伸処理を施した繊維は、熱弛緩処理を施すのが人工毛髪用の品質を確保する上で好ましい。熱弛緩処理は、延伸処理と連動させて実施してもよく、分離して実施してもよい。
熱弛緩処理の条件は、温度110〜140℃の雰囲気下で、繊維の長さが処理前の60〜95%になるまで熱弛緩することが好ましい。これにより、繊維の熱収縮率を低下させることができる。
以上に説明した本技術に係る人工毛髪用繊維の製造方法においては、必要におじて、従来公知の溶融紡糸に関わる技術、例えば、各種ノズル断面形状に関わる技術、加熱筒に関わる技術、延伸処理に関わる技術、熱処理に関わる技術などは、自在に組み合わせて使用することが可能である。
<実施例1>
1.人工毛髪用繊維の製造
塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製、TH−1000)100質量部、ハイドロタルサイト複合安定剤(日産化学工業社製、CP−410A)3質量部(熱安定剤成分は1.5質量部)、エポキシ化大豆油(旭電化工業社製、O−130P)0.5質量部、エステル滑剤(理研ビタミン社製、EW−100)0.8質量部を配合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。
塩化ビニル樹脂組成物を、繭形ノズル(図2(H)参照)、ノズル断面積0.1mm、孔数100個の紡糸金型を用いて、シリンダー温度180℃及び押出量10kg/時間にて溶融紡糸した。ストランドを100℃の空気雰囲気下で300%に延伸し、120℃の空気雰囲気下で繊維全長が処理前の75%の長さに収縮するまで熱弛緩処理した。得られたアニール糸の単繊度は69dtexであった。
2.人工毛髪用繊維の熱応力特性の評価
(1)熱応力特性
熱応力測定装置(インテック株式会社製KE−2S型)を用いて、温度範囲30〜300℃、昇温速度1.25℃/secの条件で、繊維一本の張力値を測定した。測定された張力値を繊維の繊度で除し、繊維の熱収縮応力値を算出した。横軸を温度(℃)、縦軸を熱収縮応力(cN/dtex)としたグラフを作成し、熱収縮応力値の立ち上がり温度と最大値を得た。
(2)嵩高性
100mmに切断した繊維を56mlの容器(100mm×14mm×40mm)に一杯になるまで充填した。充填した繊維を取り出し計量し、下記の式により比容積を算出した。
比容積(cc/g)=容器の容積(cc)/繊維重量(g)
算出された比容積に基づいて以下の基準により繊維の嵩高性を評価した。
優:比容積1.3〜1.6、嵩高性が人毛に非常に似ている。
良:比容積1.1〜1.3あるいは1.6〜1.8、嵩高性が人毛に似ている。
不良:比容積1.1未満あるいは1.8以上、嵩高性が人毛とは異なる。
(3)触感
人工毛髪用繊維処理技術者(実務経験5年以上)10人の判定より、以下の基準により繊維の触感を評価した。
優:技術者10人全員が、触感が良いと評価したもの
良:技術者の8人又は9人が、触感が良いと評価したもの
不良:技術者の7人以下が、触感が良いと評価したもの
(4)カール性
120本の単繊維からなる繊維束を一定の長さに切断し、20mmφのアルミ製筒に巻き付け、100℃の空気循環式オーブンに投入して30分間加熱した。次いで、アルミ製筒を温度23℃、相対湿度50%の恒温室に24時間静置した。その後、アルミ製筒から繊維束を取り外し、一方の端を固定して吊り下げた。固定端側の根元部分のカール形状の山(谷)部分の角度と、先端部分のカール形状の山(谷)部分の角度をそれぞれ算出し、先端部分のカール形状の角度を根元部分のカール形状の角度で割った値(角度比)を算出した。
算出された角度比に基づいて以下の基準により繊維のカール性を評価した。
優:角度比0.7〜0.85、カール性が非常に人毛と似ている。
良:角度比0.85以上、人毛と比べてカールがやや強くかかりすぎている。
不良:角度比が0.7未満、カール性が劣っている。
得られた繊維の評価結果を「表1」に示す。嵩高性、触感、カール性の全てにおいて良好であった。
Figure 2012177208
<実施例2〜5>
ノズル断面積を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を製造した。得られたアニール糸の単繊度は実施例2で72dtex、実施例3で70dtex、実施例4で63dtex、実施例5で65dtexであった。
<実施例6・7>
ノズル形状およびノズル断面積を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を製造した。得られたアニール糸の単繊度は実施例6で62dtex、実施例7で70dtexであった。
<比較例1・2>
ノズル断面積を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして人工毛髪用繊維を製造した。得られたアニール糸の単繊度は比較例1で82dtex、比較例2で56dtexであった
本技術に係る人工毛髪用繊維は、耐熱性および強伸度などの繊維物性を維持し、人毛に近い嵩高性および触感を呈し得る。従って、本技術に係る人工毛髪用繊維は、かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪装飾品のために好適に用いられ得る。

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られる人工毛髪用繊維であって、熱収縮応力の立ち上がり温度が60〜135℃である人工毛髪用繊維。
  2. 熱収縮応力の最大値が0.001〜0.5cN/dtexである請求項1記載の人工毛髪用繊維。
  3. 請求項1または2記載の人工毛髪用繊維を用いてなる頭髪装飾品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023021883A1 (ja) * 2021-08-20 2023-02-23 デンカ株式会社 人工毛髪用繊維、人工毛髪用繊維束及び頭髪装飾製品

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