JP2012176889A - 合成ダイヤモンドを生成するためのシステム及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】合成ダイヤモンド並びに合成単結晶ダイヤモンドを調製及び使用する方法を提供する。
【解決手段】化学気相成長によって形成される1つ又は複数の単結晶ダイヤモンド層を有する、合成単結晶ダイヤモンド組成物であって、該層が、不純物のない他の層又は同様の層と比べて、(ホウ素及び/又は炭素同位体などの)1つ又は複数の不純物の濃度が増加した1つ又は複数の層を含む。このような組成物は、色、強度、音速、電気伝導率、及び欠陥の抑制を含めて、特性の改善された組み合せを提供する。さらに、このような組成物を調製する関連した方法、並びにこのような方法を実施するのに使用するシステム、及びこのような組成物を取り入れた製品が記載される。
【選択図】なし

Description

本発明は、合成ダイヤモンド、並びに合成単結晶ダイヤモンドを調製及び使用する方法に関する。特に本発明は、このような組成物における窒素、リン、硫黄、ホウ素、及び同位体13Cなどの不純物の役割を含めて、化学気相成長法によって生成される単結晶ダイヤモンドに関する。
自然界に見出される単結晶ダイヤモンドは、色、化学的純度、及び最終用途に応じて分類できる。大部分の単結晶ダイヤモンドは着色しており、不純物として窒素を含有し、そのため主として産業用途で用いられ、タイプIa及びIbとして分類される。(すべて“単結晶”ダイヤモンドと考えられる)宝石用ダイヤモンドの大部分は、無色であるか又はさまざまな淡色であり、ほとんど又は全く窒素不純物を含有せず、タイプIIaとして分類される。タイプIa、Ib及びIIaは絶縁体である。(タイプIIbとして分類される)稀な形態の単結晶ダイヤモンドは不純物としてホウ素を含有し、青色であり、半導体である。自然界においては、これらの特徴は支配されないため、色、不純物レベル及び電気的特徴は予測できず、大量の特殊製品を予測可能に製造するのに利用できない。
単結晶ダイヤモンドは、硬度、熱膨張係数、化学的不活性及び耐摩耗性、低摩擦性、並びに高熱伝導率を含めて、広くかつ有用な範囲の極限の特性を提供する。一般的には、単結晶ダイヤモンドはまた電気絶縁性であり、紫外(UV)から遠赤外(IR)まで光透過性であり、吸収は約2.5μm〜6μmの炭素−炭素バンドにあるのみである。これらの特性が与えられると、単結晶ダイヤモンドは、ヒートスプレッダ、研磨剤、切削工具、ワイヤーダイ、光学窓、並びに切削工具用のインサート及び/又は耐摩耗性コーティングとしての用途を含む、多くのさまざまな用途に使用を見出される。ダイヤモンドの工学及び産業的利用は、天然単結晶ダイヤモンドの相対的な不足によってのみ妨げられている。したがって、実験室において単結晶ダイヤモンドを合成する方法が、長い期間にわたって追求されてきた。
産業的利用のための合成単結晶ダイヤモンドは、“高圧法”に依存するもの及び制御された気相成長(CVD)に関するものを含めて、さまざまな方法で製造することができる。“高圧法”又はCVD法の何れかによって製造されるダイヤモンドは、単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドとして製造できる。高圧ダイヤモンドは、ミクロンサイズの結晶として形成されるのが通常であり、粗粒子若しくは遊離砥粒として使用できるか、又は切削、研削若しくは他の用途のために金属若しくは樹脂にはめ込むことができる。
両方の方法、即ち“高圧法”及び“CVD法”によって、高度に特性を調節することが可能となり、それにより理論レベルで、色、不純物レベル、及び電気的特徴の特性を調節することが可能となる。しかしながら、実用レベルで、“高圧法”で有用な物を製造するためには、不純物の有無によって課すには限界がある。例として、窒素の添加は大きな結晶の成長を助長できるが、窒素の除去又はホウ素の添加によって、大きな結晶を成長させることはより困難な場合があるということが示されている。加えて、各層が成長した後で反応器からシード結晶を取り出す必要なく、さらにまた、異なる組成を有する次の層を成長させるために反応器中のシード結晶を取り替えることなく、さまざまな組成の層を有する単結晶構築物を作製することができないようである。さらには、大きなシードは“高圧法”に適応できない。CVD法においては、単結晶の成長及び制御と対照的に、ほとんどの作用が多結晶ダイヤモンドの製造に限定されている。
高圧法によって高品質の純粋な単結晶ダイヤモンドを製造することは、実際に困難でかつ高価である。合成単結晶又は多結晶ダイヤモンドにホウ素を添加することによって、そのダイヤモンドは、半導体デバイス、歪みゲージ、又は他の電気デバイスを組み立てるのに有用になるが、単結晶ダイヤモンドを選択すべきであることが示された。米国特許第5,635,258号明細書を参照。さらに、IEEEにより出版されたW. Ebertらの“Epitaxial Diamond Schottky Barrier Diode With On/Off Current Ratios in excess of 10 at High Temperatures”,Proceedings of IEDM,419−422頁(1994)、及びS. Sahliらの“Piezoelectric Gauge Factor Measured at Different Fields and Temperatures”,95−98頁,Applications of Diamond Films and Related Materials,A. Feldmanら編,NIST Special Publications 885を参照。
いわゆる“産業用ダイヤモンド”は、高圧高温(HPHT)技術を用いて、30年以上もの間商業的に合成されており、その技術においては、単結晶ダイヤモンドは、約50〜100kbarの圧力、及び1800〜2300Kの温度で金属溶媒和炭素から結晶化される。高圧法においては、結晶は3次元的に成長し、成長サイクルの変動から生じ得る不連続を除いて、結晶は1つの不純物レベルだけである。例えば、R. C. Burns及びG. Davisの“Growth of Synthetic Diamond”,396−422頁,The Properties of Natural and Synthetic Diamond,J. E. Field編,Academic Press(1992)、米国特許第3,850,591号明細書、並びに同第4,034,066号明細書を参照。
プロセスガスとしてただ珍しいに過ぎない過剰原子状水素中の炭化水素ガス(典型的にはメタン)を用いて、広範囲のさまざまな化学気相成長(CVD)技術により、多結晶ダイヤモンド膜又はコーティングを製造することが可能であるという非常により最近の発見によって、ダイヤモンドにおける関心がさらに大きくなっている。CVDダイヤモンドは2次元的に各層ごとに成長し、それゆえ、単一組成物であることができるか、又は多数の組成物の層から構成できる(“構築物”と呼ばれる)バルク結晶(又はプレート若しくは膜)を発達させることが可能である。このようにして成長したCVDダイヤモンドは、天然のダイヤモンドに匹敵する機械的性質、摩擦学的性質、さらには電子的性質を示すことができる。例えば、Y. Sato及びM. Kamoの“Synthesis of Diamond From the Vapor Phase”,423−469頁,The Properties of Natural and Synthetic Diamond,J. E. Field編,Academic Press(1992)を参照。さらに、背景技術について米国特許第4,940,015号明細書、同第5,135,730号明細書、同第5,387,310号明細書、同第5,314,652号明細書、同第4,905,227号明細書、及び同第4,767,608号明細書を参照。
例えば、ダイヤモンドの研磨剤及びヒートスプレッダを製造するための従来の高圧法に対して、経済的に実行可能な代替手段を提供する程度に、CVD法の規模を拡大することが可能となるであろうと、現在では非常に楽観的である。高表面積をダイヤモンドの連続膜で被覆できることによって、その結果、CVD調製材料の新しい潜在的用途が開かれるであろう。しかしながら、現在、CVDプロセスによる単結晶ダイヤモンドの製造は、高圧プロセスよりもはるかに成熟しておらず、結果として得られる材料は、より高い欠陥レベルとより小さいサイズを有する傾向がある。
化学気相成長は、その名前が意味するように、固体表面より上で起こる気相化学反応を伴い、その表面上に堆積を生じさせる。ダイヤモンド膜を製造するためのすべてのCVD技術は、気相の炭素含有前駆体分子を活性化する手段を必要とする。これは一般に、熱(例えば、熱フィラメント)若しくはプラズマ(例えば、D.C、R.F、若しくはマイクロ波)の活性化、又は燃焼炎(酸素アセチレン若しくはプラズマトーチ)の使用を伴う。より通俗的な実験法のうち2つは、熱フィラメント反応器の使用、及びマイクロ波プラズマの増強された反応器の使用を含む。各方法は詳細には異なるが、それらすべては共通の特徴を共有する。例えば、(他の十分に規定されていない炭素形態の堆積よりはむしろ)ダイヤモンドの成長は、基材が1000−1400Kの範囲の温度で維持されること、及び前駆体ガスが過剰水素で希釈されること(典型的なCH混合比は1〜2vol%まで)を通常必要とする。
結果として得られる膜は、通常、(単結晶ダイヤモンドシードが提供されない限り)まさにその成長条件に対してセンシティブな形態学を有する多結晶である。さまざまな堆積プロセスについての成長速度は相当に変化し、より速い成長速度は、相当する膜品質の低下を犠牲にしてのみ達成できるということが通常知られている。品質は、試料中のsp3(ダイヤモンド)とsp2結合(黒鉛)の炭素比、組成(例えば、C−C対C−H結合含有量)及び結晶化度など、いくつかの基準ファクターを含むと一般に考えられる。一般に燃焼法は、高速度で(典型的には100μm/h〜250μm/h)、しかししばしば非常に小さい局所的な領域上に、質の悪いプロセス制御で以ってダイヤモンドを堆積させ、それにより劣った品質の膜をもたらす。対照的に、熱フィラメント及びプラズマ法は、はるかにより遅い成長速度(0.1〜10μm/h)を与えるが、高品質の膜を製造する傾向がある。
CVDダイヤモンド技術で研究者らが直面する大きな難題の1つは、膜の品質を落とさずに、成長速度を経済的に実行可能な速度(100+μm/h、又は1mm/h以上でさえあるレベル)に向上することである。堆積速度は、加えられるマイクロ波電力とほぼ直線的に比例して増加することが見出されているので、マイクロ波堆積反応器を使用することで引き続き向上する。現在、マイクロ波反応器の典型的な定格電力は5kWまでであるが、次世代のこのような反応器は、50〜80kWまでの定格電力を有する。これはダイヤモンドについてはるかにより実際的な堆積速度を、しかし当然ながらより高いコストと引き換えに与える。
熱力学的には、ダイヤモンドでなく黒鉛が、周囲圧力及び温度で固体炭素の安定した形態である。ダイヤモンド膜がCVD技術により形成できるという事実は、熱的又は電子衝撃の何れかによりガスが“活性化された”結果として生成する水素原子の存在と分けることができないほどに関連している。これらのH原子は、CVDプロセスにおいていくつかの重要な役割を果たすと考えられている。即ち、
・H原子は、安定な気相炭化水素分子とH引抜反応を行い、高い反応性の炭素含有ラジカル種が生成される。このことは重要である。というのも、安定な炭化水素分子は、ダイヤモンドの成長を引き起こすよう反応しないためである。この反応性ラジカル、特にメチルCHは、基材表面に拡散して反応することができ、ダイヤモンド格子を増加させるのに必要なC−C結合を形成する。
・H原子は、成長ダイヤモンド表面の“ダングリング”炭素ボンドを終わらせ、それらが架橋して、それにより黒鉛のような表面を再構築するのを防ぐ。
・原子状水素は、ダイヤモンドと黒鉛の両方をエッチングするが、典型的なCVD条件下では、ダイヤモンドの成長速度はそのエッチ速度を超え、一方で、他の炭素形態(例えば、黒鉛)については、逆のことが言える。このことは黒鉛よりむしろダイヤモンドの優先的堆積の根拠であると考えられる。
注目を受ける1つの主な問題は、ヘテロエピタキシャル成長、即ち、ダイヤモンドが非ダイヤモンド基材上で核となる初期過程のメカニズムである。いくつかの研究により、非ダイヤモンド基材を予備研磨することで、核形成の誘導時間が低減され、核形成部位の密度が増加することが示された。連続ダイヤモンド膜の形成は、本質的には、核形成を経て進行し、続いて、さまざまな微結晶が、それらが最終的に凝集する地点に3次元成長する結晶化プロセスであるので、必然的に成長速度が向上する。
研磨プロセスは、研磨粗粒子、通常0.1μm〜10μm粒子サイズのダイヤモンド粉末を用いて、機械的又は超音波撹拌の何れかにより基材を研磨することで通常実施される。しかしながら、研磨法に関係なく、堆積の前にこのような不十分に規定された方法で表面を傷つけることが必要であるために、回路の幾何学的形状がしばしばサブミクロンスケールである、エレクトロニクス産業のような領域の用途にCVDダイヤモンドを使用することがひどく妨げられる場合がある。この懸念により、イオン衝撃など、より制御可能な核形成促進方法の追求に至った。イオン衝撃は、マイクロ波堆積反応器において、数百ボルトの負バイアスを基材に単に印加することで実施でき、イオンが(i)表面を傷つけ、(ii)格子中に注入され、(iii)炭化物中間層を形成する。
これらの方法は、例えば、研磨された単結晶ダイヤモンドがシード結晶として用いられ、そのシード結晶の構造が、シード上に成長される新しい単結晶ダイヤモンドにおいて再現される、CVDによる単結晶ダイヤモンドの製造とは全く対照的である。結果として得られる単結晶ダイヤモンドは、ほとんどの産業的、光学的、電子的及び消費者用途の多結晶ダイヤモンドよりも優れた特性を有する。
さまざまな方法が、合成ダイヤモンドの調製に使用するために説明されている。例えば、米国特許第5,587,210号明細書、同第5,273,731号明細書、及び同第5,110,579号明細書を参照。CVDダイヤモンド技術に対する大部分の科学的研究努力は過去10年に集中しているが、すでに、切削工具及びヒートスプレッダなど、いくつかのより直接的な適用が市場に行き渡っている。しかしながら、いくつかの問題は、この技術が重大な影響を及ぼし始める前に、取り組まれかつ克服されることが必要である。成長速度は、膜品質を低下させることなく(1又は複数桁)向上させる必要がある。堆積温度は、低融点材料の被覆を可能にして、付着性ダイヤモンド膜が堆積できる基材材料の数を増やすよう700度低減される必要がある。核形成プロセスのより良い理解が必要とされ、できれば不十分に制御される予備研磨工程の削除へと導く。基材面積は、前と同様に均一性又は膜品質を低下させることなく拡大する必要がある。電子的用途について、単結晶ダイヤモンド膜は、パターニング並びに制御されたn−型及びp−型ドーピングのための確かな技術とともに強く必要とされる。
関連した主題に関して、ダイヤモンドは、任意の公知材料のうち最も高い熱伝導率を有し、銅金属の5倍程度の熱伝導率値である。高熱伝導率は、多くの用途について非常に重要な特性である。というのも、それによって狭い供給源から速やかに熱を除去し、操作系から完全に熱を除去できるより大きな領域に放散することができる。
材料製作の分野(切削)においては、切削プロセスの結果として、熱が切断火口又は工具のエッジで発生する。その熱が除去されない場合、切削工具の温度は、酸化、腐食又は破壊によって質を低下させる点まで上昇し、工具が使いものにならなくなる。さらには、工具の質が悪いと、製作部品の品質及び精度が相当に低下する。切削工具がダイヤモンド、高熱伝導率のダイヤモンドから作製される場合には、切断火口又はエッジからの熱は、速やかに該火口又はエッジから工具ホルダーに除去され、切断火口又はエッジの温度は、炭化物、酸化物、窒化物、又はホウ化物などの他の材料から作製された同等の工具よりも相当に冷えている。それゆえ、ダイヤモンド工具は一般に、他の切削材料よりも長持ちし、より長期間に渡ってより高品質の製造部品を提供することができる。同様に、ワイヤーダイがダイヤモンドから作製される。というのも、それが優れた耐摩耗性を有し、ワイヤーを成形する熱が、速やかにワイヤーから放散できるためである。これによって、他のワイヤーダイ材料で得ることができるよりもワイヤーダイの寿命が長くなり、より長い長さについてワイヤーの品質がより高くなる。
高電力レーザー用の窓においては、光が部分的にレンズ材料によって吸収され、レンズ材料が温まると、熱レンズ効果が生じて、レンズ材料の屈折率が変化する。レーザービームによって発生する熱は、レンズの外表面に放散されなければならないので、材料の屈折率に勾配があり、それによって、レーザービームは制御されずに歪められるか、又は焦点が合うか若しくは焦点がぼける。このような制御されない歪みによって、高電力レーザーの製造設備においては制御されない切削又は溶接になり、有用な電力が限定され、それによりこのようなレーザーを使用できる用途の数が限定される。同様の問題が、通信、核融合発電、又は当業者に周知である他の用途のための高電力レーザーの使用において生じる。
高電力レーザーシステムでダイヤモンド窓を使用することは非常に望ましく、より高電力のレーザーカッター又は溶接機、及び通信などの他の用途をもたらすことが明らかである。さらに、非常により高熱伝導率のダイヤモンドによって、より高電力のレーザーが実現可能になることも明らかである。さらには、ダイヤモンド窓の破損及び損傷が、いかに速やかに熱を窓から除去できるかによって左右されることも明らかである。その結果、より高熱伝導率のダイヤモンド窓は、破損及び損傷から低減された故障率になることが期待される。
固体レーザーデバイス及び高電力マイクロ波デバイスなどの半導体デバイスにおいては、高いレベルの熱が非常に小さい領域に生じる。この熱は除去されなければならない。さもないと、デバイスの温度は、デバイスが適切に作用しなくなるか、又は壊滅的に故障するレベルに急速に上昇する。この問題は、デバイスの小領域から熱を速やかに除去し、その熱を冷却フィン又は冷却デバイスのより大きな領域に放散するダイヤモンドプレートに、半導体デバイスを取り付けることによって軽減できる(P. Hui,らの“Temperature Distribution in a Heat Dissipation System Using a Cylindrical Diamond Heat Spreader on a Copper Block”,J.Appl.Phys.75(2),15 Jan 1994)。さらに、チップのスタックがダイヤモンドプレートとの接触によって冷却されるべき非常に高速の3次元コンピュータを製造するために、半導体デバイス又はICの3次元配列を冷却するのにダイヤモンドを使用することが提案された(R. EdenのApplications in Computers,Handbook of Industrial Diamonds and Diamond Films,1073−1102頁,Mark Prelas, Galina Popovici及びLouis Bigelow編,Marcel Decker,NY,1998)。
これらデバイス及び切削工具のすべてにおいて、その性能及び寿命は、デバイス及び工具の能動部品の温度に直接的に関係している。デバイス/工具の能動部品の操作温度は、熱が用いられるダイヤモンドの熱伝導率に直接的に関係している。しかしながら、ダイヤモンドの熱伝導率(TC)は、不純物、結晶欠陥、及び多結晶化度によって劇的に変化する。それゆえ、ダイヤモンド工具又はダイヤモンド冷却半導体の性能は、用いられるダイヤモンドの熱伝導率に直接的に関係している(M. Sealの“High Technology Applications of Diamond”,608−616頁,The Properties of Natural and Synthetic Diamond,J. E. Field編,Acadenic Press(1992)を参照)。
多結晶ダイヤモンドは、典型的には最も低い熱伝導率を有し、窒素ドープ単結晶がより高く、純粋なダイヤモンドが最も高い。最も高い熱伝導率の天然ダイヤモンドは、ほとんど乃至全く窒素を含有しないタイプIIaであり、2000〜2500ワット/メートル・ケルビン(W/mK)の熱伝導率値を有する(V. I Nepshaの“Heat Capacity,Conductivity,and Thermal Coefficient of Expansion”,147−192頁,Handbook of Industrial Diamond and Diamond Films,M. A. Prelas, G. Popovici及びL. K. Bigelow編,Marcel Dekker,Inc.(1998)を参照)。
天然ダイヤモンド、及び高温高圧法によって製造された合成ダイヤモンドの多数の測定値は、2000〜2500のこの値が通常達成できる最も高い熱伝導率であり、今日までに一般に容認されている値であることを示した。さらに、約2200のTC値が、高品質の多結晶ダイヤモンドにおいて達成された。例えば“CVD Diamond:a New Engineering Material for Thermal,Dielectric and Optical Applications”,R. S. Sussmanら,Industrial Diamond Review,58(578):69−77(1998)を参照。
ダイヤモンドの熱伝導性は、フォノン−フォノン伝達によって生じ、熱伝導率は、ダイヤモンド結晶中のそれらフォノンの平均自由行程(I)によって支配される。それゆえ、フォノンの平均自由行程に変化を生じさせるダイヤモンドの任意の特性は、ダイヤモンドの熱伝導率に変化をもたらす。フォノン散乱は平均自由行程を低減し、フォノン散乱は、フォノン−フォノン相互作用(ppi)、粒界(gb)、転位(dis)、空孔(vac)、不純物(imp)、同位体(iso)、及び空隙を含む他のメカニズム(othr)によって生じる場合がある。フォノンの平均自由行程は、以下の式によって与えられる。
1/I=1/I(ppi)+1/I(gb)+1/I(dis)+1/I(vac)+1/I(imp)+1/I(iso)+1/I(othr)
理論の詳細な概要については、米国特許第5,540,904号明細書を参照。炭素は3つの同位体12C、13C及び14Cで存在し、12Cは天然ダイヤモンド中におよそ99%のレベルで存在しており、13Cはおよそ1%であり、14Cは、地質学又は考古学の現場で年代を突き止めるのに用いられるように、非常に低くかつ放射性である。上述の理論を適用して、これら材料中の炭素13(13C)の量を低減し、かつ多結晶ダイヤモンド中の粒子サイズを増加させ、それにより粒界の体積を低減することによって、ダイヤモンド結晶及び多結晶ダイヤモンドの熱伝導率がかなり改善された。単結晶及び多結晶ダイヤモンドの13C含有量を、(天然ダイヤモンド及び天然産ダイヤモンド前駆体に見出される)1.1%から0.001%13Cに低減することによって、室温での熱伝導率は、(自然同位体ダイヤモンドの)2000W/mKから同位体濃縮されたダイヤモンドにおいて3300W/mKに向上することが見出された(米国特許第5,540,904号明細書、同第5,360,479号明細書、及び同第5,419,276号明細書)。
さらに、ダイヤモンドの熱伝導率は、炭素同位体に関してダイヤモンド出発材料の純度を変化させることで変えることができるということが見出された。例えば、12C同位体に関して99.999%純度のダイヤモンド結晶又は多結晶ダイヤモンドが製造された場合、室温での熱伝導率は3300W/mKに向上した。さらに、これは可能な実に最も高い熱伝導率であり、この高熱伝導率は多結晶ダイヤモンドにおいても観測されたので、粒界などの結晶特性は熱伝導率の主な損失にはならないと結論した。ダイヤモンドの熱伝導率の理論的な分析が実施され(P. G. KlemensのSolid State Physics:Advances in Research and Applications,R. Seitz及びD. Turnbill編(Academic,New York,1958)Vol.7)、それは、高熱伝導率が同位体濃縮されたダイヤモンドにおいて生じると予測した点で、上に挙げた研究と一致を示した。しかしながら、さらにこの研究は、純粋な自然同位体濃度ダイヤモンドの熱伝導率も、室温で3300W/mKであるはずだと予測した。2200W/mKよりも高い熱伝導率を有する天然ダイヤモンド又は合成ダイヤモンドは全く見つかっていないので(Field同上681頁)、理論が間違っているか、又は自然同位体濃度ダイヤモンドの熱伝導率を低下させるいくつかの今だ説明されていないファクターが存在するのかは、当業者によって結論される。
単結晶ダイヤモンドの熱伝導率を、2300W/mKから3300W/mKへ50%又はそれ以上増加させることができることにより、ダイヤモンド切削工具、ダイヤモンドワイヤーダイ、高電力レーザー窓、レーザーなどの高電力半導体デバイス、マイクロ波デバイス、及び3次元コンピュータ又は回路について、有意な性能の向上がもたらされる。しかしながら現在まで、熱伝導率の向上したダイヤモンドの利点は、全く商業的用途に適用できていない。というのも、12Cの増大した前駆体ガス(典型的にはメタンガス)を製造するコストが、自然同位体ガスのコストに比べて極端に高いためである。典型的には、メタンガスなどの12C濃縮前駆体のコストは、0.01ドル/g未満での非濃縮メタンのコストと比べて、75ドル〜200ドル/gである。1〜2%のメタンしかダイヤモンドに転化されないので、これにより、熱伝導率の向上した材料のコストは、製造されるダイヤモンド結晶1g当たり7,500ドル〜20,000ドルとなり、自然同位体原料のコストは、製造されるダイヤモンド1g当たり1ドル未満となる。この高いコストのために、工具、ワイヤーダイ、窓又はデバイスの得られる性能の利点が全く見劣りして、最も要求が厳しく、コストに寛容で、低体積の特別な用途にしかこのような熱伝導率の向上したダイヤモンドを使用できない。
本発明は、例えば、熱伝導率、結晶完全性、着色、強度、音速、破壊靭性、硬度、形状等の特性の改善された組み合せを与える、合成単結晶ダイヤモンドを提供する。改善されたダイヤモンドは、制御された気相成長(CVD)法によって調製され、該CVD法では、全体的に改善された生成物及び/又はそのような生成物を調製する改善されたプロセスを提供するために、不純物の量及び/又は種類が、ダイヤモンドの1つ又は複数の層中で変えられ、慎重に調節される。1つの実施態様においては、このような不純物は、例えば、硬度、破壊靭性、電気伝導率、光学的性質、及び結晶完全性などの特性の改善された組み合せを達成するために、多層ダイヤモンドの1つ又は複数の層中にホウ素などの不純物を積極的に添加することを含む。他に代わる実施態様においては、このような不純物の調節は、厚い単層ダイヤモンド中の窒素含有量を低下させることを含み、一方で、とりわけ熱伝導率を改善するために、天然又は天然に近いレベルでC同位体含量を維持する。
上で明らかにされた第1の実施態様においては、本発明は、化学気相成長によって形成された1つ又は複数の単結晶ダイヤモンド層を含んで成り、該層が、不純物のない他の層又は同様の層と比べて、(ホウ素及び/又は炭素同位体などの)1つ又は複数の不純物の濃度が増加した1つ又は複数の層を含む、合成単結晶ダイヤモンド組成物を提供する。このような組成物は、色、強度、音速、電気伝導率、及び欠陥の抑制を含めて、特性の改善された類のない組み合せを提供する。別の態様においては、本発明は、所定の不純物を有するダイヤモンド層を成長させる工程と、異なる不純物及び/又は不純物レベルを有する単結晶ダイヤモンドの付加的な層を成長させる工程と、所望の構造を達成するよう種々の組成及び厚さのさまざまな層を用いてこのプロセスを繰り返す工程とを伴う、そのようなダイヤモンドを調製する方法を提供する。さらに別の態様においては、本発明は、このような方法を実施するのに使用するシステム、及びこのような組成物を組み込む製品を提供する。
本明細書で用いられる“ドープ”とは、本発明の組成物中の少なくとも1つの層が、例えば、電気的、物理的、光学的、電子的又は結晶学的性質において測定可能な変化を作り出すのに十分な、合成単結晶層中のホウ素、硫黄、リン、炭素同位体、又はリチウムなどの不純物量をもたらすために、ガス流中に含まれるある量の1つ又は複数の不純物で成長されたことを意味する。“非ドープ”とは、該層が、純粋な単結晶ダイヤモンドの上述されたすべての属性を有するように、ホウ素(又は他の不純物)を実質的に有さないことを意味する。
別の態様においては、本発明は、例えば、異なる不純物濃度を含有する層から構成された本発明の単結晶ダイヤモンドから作ることのできるさまざまな構築物、並びにそのような構築物を用いる方法に関する。さらに本発明は、不純物がドープされた層を添加することで作製される半導体単結晶ダイヤモンドの新しい使用と、改善された光学的及び電気的性質を有する単結晶ダイヤモンドの結晶を生成する方法と、非ドープ単結晶ダイヤモンドプレート及びドープ単結晶ダイヤモンドプレートの両方を使用する方法とを説明する。これらの方法及び組成物のすべては、CVD法によって成長された単結晶ダイヤモンドに関連する。
上述の他に代わる実施態様に関して、出願人らは、同様の(即ち、同位体濃縮されていないCVD成長の)ダイヤモンドについて以前に知られているよりも相当に高い熱伝導率を有する単結晶ダイヤモンドが調製できる方法を見出した。このようなダイヤモンドは、例えば、少なくとも約2300W/mK、好ましくは少なくとも約2500W/mK、より好ましくは少なくとも約2800W/mKの熱伝導率を示し、一方で、標準的な範囲内の(例えば、約0.1%、より好ましくは約0.8%よりも高い)13C同位体含有量を保持する。このような熱伝導率レベルは、現在まで“同位体濃縮”として公知の比較的高価でかつ技術的に難しいプロセスによって成長したダイヤモンドについて知られているか、又は主張されているだけであり、該プロセスではそれに比べて、対応する13C含有量は、0.01%〜約0.0001%の範囲まで相当に低減することを要求される。
しかしながら本説明を所与のものとすれば、当業者は、同位体濃縮を用いずに通常のCVD技術を用いて、例えばより厚いダイヤモンドを成長させ、一方で好適な低レベル(例えば、約50ppm未満、より好ましくは約20ppm未満、さらに好ましくは約10ppm未満、最も好ましくは約5ppm未満)に不純物窒素を維持することによって、この実施態様のダイヤモンドを調製できる。結果として得られるダイヤモンドは、その技術分野で最も近い公知の方法よりもはるかに高価でない方法において、有意に改善された特性を提供する。
本発明の方法及び組成物は、以下を含めてさまざまな実施態様を取り上げることができる。この節におけるダイヤモンドの使用は、単結晶ダイヤモンドに関連する。理論によって結びつけることを意図するものではないが、本発明の方法及び組成物は、少なくとも1つの実施態様において、窒素又はホウ素原子が炭素原子よりも大きいという事実に基づいている。それゆえ、これらの元素がダイヤモンド構造に添加されると、結晶格子が広がる。高含量の窒素又はホウ素がダイヤモンド中に組み込まれると、ダイヤモンド中の炭素原子間の平均距離が、純粋なダイヤモンドより適度に大きくなる。例えば、A. R. Langの“Diffraction and Imaging Studies of Diamond”,215−258頁,The Properties of Natural and Synthetic Diamond,J. E. Field編,Academic Press(1992)、A. R. Langの“Dilation,density and nitrogen
containing type la diamonds:previous work and proposed experiments”,2239−2244頁,IPO Publishing Ltd.,1993、及びO. A. Voronov, A. V. Rahmaniaの“Cubic Lattice Parameter of Boron Doped Diamond”を参照。出願人は、この原理が、本明細書で説明されるように改善されたダイヤモンド組成物を提供するのに有利に使用できることを見出した。窒素含有量と格子定数において結果として得られる増加との間の関係は、以下の式(同様に、A. R. Langの“Diffraction and Imaging Studies of Diamond”,246頁,The Properties of Natural and Synthetic Diamond,J. E. Field編,Academic Press(1992)を参照)によって与えられる。即ち、a=a×(1+1.4×10−7×[N])、式中、a=ドープダイヤモンドの格子定数、a=純粋なダイヤモンドの格子定数、[N]=原子百万分率(ppma)における窒素濃度である。
ホウ素含有量と格子定数において結果として得られる増加との間の関係は、以下の式(F. Brunetらの“Effect of boron doping on the lattice parameter of homoepitaxial diamond films”,Presented at the 1997 European Diamond Conference,Edinburgh,Scotland,August 3−8,(1997)を参照)によって与えられる。即ち、[B]≦1525の場合、a=a×(1+1.38×10−7×[B])、及び[B]≧1525の場合、a=a×(1−5.6×10−4+4.85×10−4×[B])、式中、a=ドープダイヤモンドの格子定数、a=純粋なダイヤモンドの格子定数、[B]=ppmaにおけるホウ素濃度である。
これらの式は、整合格子の多層構造、又は仕様に合った格子不整合を備えた層又は複数の層を有する多層構造の設計を助けるのに使用できる。例えば、ホウ素ドープ又は窒素ドープ薄層が、通常のダイヤモンド基材上に成長される場合、炭素原子の表面間隔は基材よりも大きいのが通常であり、それゆえ、基底のダイヤモンド基材は引張下に配置されるが、ホウ素(又は窒素)ドープダイヤモンドの新しい表面層は圧縮される。出願人は、これによってダイヤモンドの表面が強化され、クラッキング又は他の機械的な破損に対してより抵抗性になることを見出した。この特徴は、例えば、切削工具、メス、ミクロトーム、ワイヤーダイ等、多くの単結晶ダイヤモンド製品の強化を助長するのに使用できる。
格子不整合による歪エネルギー(ε=(a−a)/ao1、式中、a=基材の格子定数、a=層の格子定数)は次の式を用いて概算できる。即ち、エネルギー=t×E×ε/(1−v)、式中、t=膜厚、E=ヤング率、v=ポアソン比である(例えば、C. R. M. GrovenorのMicroelectronic Materials,139頁,Adam Hilger(1989)を参照)。この式は、不純物の添加によって格子定数を変化させる式とともに、仕様に合った歪エネルギーを有する層又は複数の層を作り出すのに使用できる。
ダイヤモンド結晶は通常、完全な整列から原子配列において不連続である転位を含む。これらの転位は直線的に進行するのが通常であり、それゆえ、基材から基材上で成長した膜又は結晶に及ぶ。転位が圧縮又は引張下にある層と交差する場合には、転位は方向を変え、その元々の方向と異なる角度で進むことが、通常の半導体に関して実証されている(J. Y. Tsao, B. W. Dodson, S. T. Picraux及びD. M. Cornelisonの“Critical Stress for Si−Ge(1−x) Strained−Layer Plasticity”,59(21)Physical Review Letters,2455−2458頁,23 November 1987を参照)。交互に圧縮及び引張下にある一連の薄層を作製することによって、転位の伝播を低減又は完全に止めることができる(Y. C. Chen, J. Singh及びP. K. Bhattacaryaの“Suppression of defect propagation in semiconductors by pseudomorphic layers”,J.Applied Physics,74(6),14 Sept.1993を参照)。出願人らは、このプロセスが、ホウ素ドープ(又は窒素ドープ)と、非ドープとを交互にした層を成長させることによってダイヤモンドに拡張できることを見出した。
本発明の方法は、低転位の又は転位のないダイヤモンド結晶、基材及び構築物を調製するのに使用できる。さらに該方法は、低転位の又は転位のないダイヤモンドから作製された、歪みのない光学素子を調製するのに使用できる。歪みは、レンズ及び窓などの光学素子、並びに宝石の性能を低下させる複屈折をもたらす。
さらに該方法は、半導体デバイス用の低転位又は転位のない基材の製造を可能にする。デバイス性能の局所的な劣化を招く転位の上に不純物が蓄積する場合があることは、シリコンにおいて公知であり、ダイヤモンドにおいて報告されている。それゆえ本発明はまた、低転位の基材を用い、かつ本明細書で記載される方法によって作製されたより高性能なデバイスを含む。
ドープダイヤモンドと、非ドープダイヤモンドとの交互層からもっぱら作製されたダイヤモンドプレートはまた、向上した強度及びクラッキングに対する抵抗性を提供することが期待される。これらは、メス、切削工具、スライシングツール、ワイヤーダイ、及び応力が加えられる他の用途において有用である。
本明細書で記載される合成ダイヤモンド組成物を用いて調製できる製品の別の系統群は、ダイヤモンド中のホウ素濃度が高いと、ダイヤモンドが青くなるという事実に基づいている。ダイヤモンドプレートは、例えば、ホウ素を大量にドープされて青色になっているメスを含めて、ある種類の手術に非常に有利な小さく鋭いブレードに形作ることができる。一般にメスに関しては、米国特許第5,713,915号明細書を参照。このようなブレードは特に利点を与える。というのも、典型的に無色であるか又は淡黄色であり、見えにくい通常のダイヤモンドブレードに比べて、ブレードをより良く見分けることができるためである。加えて、ダイヤモンドブレードの表面は圧縮して配置でき、それによって、ダイヤモンドプレートに更なる強度を与える。ホウ素ドープダイヤモンドは、ブレードの体積全体として、又は外部層若しくは内部層上のコーティングとして提供できる。
さらにダイヤモンドの着色は、レーザー切断技術を用いてより容易に製作されるダイヤモンドを作製するのに使用できる。ホウ素を添加することによって、YAGレーザー光線のより高い吸収をもたらす近赤外での光吸収が生じ、これによって、レーザー切断で製品を製作するのに必要とされる電力レベルが低減される。例えば、ダイヤモンドは、YAGレーザーを1.06μmで作用させて切断することによってしばしば形作られる。ホウ素の添加によってこの波長での光吸収が向上し、これによってより低い電力の使用が可能になることでレーザー切断プロセスを相当に簡単にでき、その結果、製造されるダイヤモンド部品の損傷及びクラッキングが低減される。1.06μmでの吸収量は、導入されるホウ素の量を調節することで仕様に合わせて変化させることができ、ダイヤモンドにおける吸収位置は、多層構造におけるホウ素層の位置によって調整できる。
ホウ素ドープ層はプロセスの任意の時間で添加できるので、透明シースの内側に青の色合いを置くことができ、外表面の研磨を可能にすると同時に青の色合いを与える。青色の内部又は外部ダイヤモンド層は、ダイヤモンドの容易な視覚又は光学的検知が必要とされる任意の使用に提供できる。あるいは、メスは固体のホウ素ドープダイヤモンドから作製できる。色はホウ素の濃度に応じて淡青色から黒色まで変えることができる。
適用の第3の系統群は、ホウ素のドーピングが電気伝導性をもたらすという事実に基づいている。適用は以下を含む。即ち、
1.ホウ素ドープダイヤモンドは、それが圧縮又は引張下に置かれ、温度を変化させると電気抵抗率の変化を受ける。それゆえ本発明の方法は、単結晶ダイヤモンドの工具を、ホウ素ドープ単結晶ダイヤモンドで被覆して、作業及びその温度下での工具の応力を測定するのに使用できる。その結果、これは機械加工作業を監視及び管理するための現場センサーを提供するのに使用でき、該工具を最適に作用させることができる。さらにこの特徴は、最小侵襲タイプの手術に機械的に誘導されるメスを与えることでの使用に適応できる。
2.手術において導電性のホウ素ドープダイヤモンドを使用することは、静電気によって生じるメスからの放電の可能性を低減し、それにより、患者を傷つけること、又は周囲の電気モニター装置若しくはペースメーカなどの植込みデバイスに害を与えることを防ぐ。
3.ダイヤモンドは、例えばプラスチック膜、紙等の材料を裂くのに使用できるか、又はミクロトームにおいて組織の薄片をカットするのに使用できる。このようなプロセスに関する共通の問題は、大きな放電又は塵、ほこり及び切断面上の切削残留物の堆積をもたらす静電気の蓄積である。工具に関してホウ素ドープダイヤモンド表面は、このような静電気の発達を防ぐのに使用できる。いくつかの場合には、膜又は多層構造よりもむしろ、全体が固体のホウ素ドープダイヤモンドの工具を使用することが望ましい場合がある。
4.ホウ素ドープダイヤモンドは、酸又は塩基性水溶液の腐食に対して非常に耐性がある。ホウ素ドープ多結晶ダイヤモンドは、酸素及び塩素などの物質の電気化学合成に電極として使用されている。多結晶ダイヤモンド電極は、黒鉛又はステンレス鋼など、通常電極材料の何倍もの寿命を有する。しかしながら、多結晶ダイヤモンドは、何時間もの操作でかなりの減退を受ける。多結晶ダイヤモンドは、粒界で互いに接続する何百万もの微結晶から構成されている。これらの粒界は不純物を集める傾向があり、ゆっくりと攻撃されて減退をもたらす。出願人は、単結晶のホウ素ドープダイヤモンドから作製された電極を製造した。これらの電極には粒界がなく、多結晶ダイヤモンドよりも相当に長い寿命を有し、一定の摩耗を示すが、壊滅的な減退は示さない。さらには、単結晶ダイヤモンド電極は、壊滅的に減退すること又は相当に腐食することなく、多結晶ダイヤモンドよりも桁違いに高い電流に耐えることができる。
最後に、本発明の組成物は、例えば、工具、ミクロトーム、検出器用切削工具等のような物を製作するのに有用な、類のない及び特有の半導体特性を提供することができる。
本発明のドープされた(複数の)層はまた、炭素原子間の間隔が増すよりはむしろ減少する状況も包含できる。炭素はいくつかの同位体に見出される。12Cは最も一般的な同位体であり、一方で、13Cは約1%の存在量である。すべてが13C原子から成るダイヤモンドは、(99%の12Cと1%の13Cを含有する)通常のダイヤモンドよりも炭素原子間の間隔が小さい。ダイヤモンドの同位体含有量に関する格子定数の依存は、以下の式によって与えられる。
a=a−5.4×10−9×[13C]
式中、a=同位体濃縮されたダイヤモンドの格子定数、a=非ドープの自然同位体ダイヤモンドについての格子定数、[13C]=13Cの原子分率である(H. Hollowayらの“Erratum:Isotope dependence of the lattice constant of diamond”,Physical Review B45,6353頁(1992)を参照)。
それゆえ、12C基材上に13Cダイヤモンドの層を堆積させること、並びに圧縮下に12Cダイヤモンド及び引張下に13C表面層を置くことが可能である。その結果、これによって以下がもたらされる。即ち、
1.単層を適用しかつホウ素又は窒素ドーピングのない、強化ダイヤモンドプレート又は結晶。
2.ホウ素又は窒素ドープ層を用いないで転位を減少させるために、ヘテロ構造を作り出すこと。このヘテロ構造は、非ドープの12C及び13Cダイヤモンドの交互層を包含できる。このような構造は、12C又は13C何れかの層で終わることができ、さらに12C又は13C何れかのダイヤモンドの単結晶プレートを成長させるのに使用できる。
3.連続的に変わる12C/13Cの層を生成して、一方から他方への格子間隔を変化させ、それによって大きな13Cダイヤモンド結晶に基材を与える。
4.13Cの原子は通常のダイヤモンドよりも互いに近いので、13Cダイヤモンドは、通常のダイヤモンドをすり減らす、引掻く、へこませる又は摩耗させることが避けがたい状況において、13Cのバルク結晶又は層を使用できる程度に、通常のダイヤモンドよりも硬いことが期待される。
5.(同位体濃縮されているとされる)0.1%未満の13C不純物を有する13Cダイヤモンドは、特に高い熱伝導率を有することが示された。通常のダイヤモンド上にホウ素をドープした同位体濃縮ダイヤモンド層を成長させることによって、熱が速い速度で横に、次いで軸方向下にヒートスプレッダへ分散する半導体デバイスを作ることができる。同じことが、熱を速やかに横方向へ除去し、次いでその熱を軸方向にヒートスプレッダへ除去することを目的として、通常のダイヤモンド上の非ドープ同位体濃縮ダイヤモンドに適用できる。このような構造は、通信用レーザー及び他の高電力デバイスにおいて、より良好な温度制御をもたらすことができる。加えて、通常のダイヤモンドと同位体濃縮ダイヤモンドとの交互層は、鉛直方向の伝導率に比べて、極めて高い横方向の熱伝導率を有する構造をもたらすことができる。
6.12C及び13Cは異なる質量を有するので、同位体の含有量が変化すると、ダイヤモンドのバンドギャップは対応する電気的性質の変化とともに変わる(A. T. Collinsらの“Indirect Energy Gap of 13C Diamond”,Physical Review Letters,65,891頁(1990)を参照)。バンドオフセット及び電気的性質において結果として得られる変化は、これらのオフセットなしでは可能でない電気及び光学デバイスを作製するのに使用できる。
7.13Cはダイヤモンド格子を小さくし、かつホウ素又は窒素は該格子を広げるので、12C、13C及び高濃度のホウ素又は窒素から成る組成物を作り出すことが可能である(ホウ素のドーピングは、多くのデバイスに必要とされるp型半導体をもたらす)。この組成物は、通常のダイヤモンドの格子間隔に正確に適合し、かつデバイス性能に必要とされる高いホウ素濃度を有するが、歪みのない構築物を提供するよう設計できる。このアプローチは、III−V半導体構造で用いられるような歪みのないヘテロ構造を提供する。
8.あるいは、層が交互に圧縮及び引張下にあり、任意の層がホウ素若しくは窒素(又はいくつかの他の元素)でドープできる擬似格子整合構造を作ることができる。この場合には、電気的及びデバイス特性は、歪み誘起の電気的不連続から生じる。
9.リンは、CVDダイヤモンドにおいてn型ドーパントであることが最近示された(KoizumiのDiam Films 1997を参照)(S. Koizumiらの“Growth and characterization of phosphorus doped n−type diamond thin films”,Diamond and Related Materials 7,540−544頁(1998)を参照)。しかしながら、リンは、炭素、窒素又はホウ素よりも相当に大きな原子であり(Pの共有結合半径はNよりも1.57倍大きく、Bよりも1.25倍大きい)(K. W. BoerのSurvey of Semiconductor Physics,25頁,van Nostrand(1990)を参照)、このためダイヤモンド中に組み込むことができるリンの量には限界があり、デバイスの潜在的な電気性能を制限する。13Cはダイヤモンド格子を小さくし、リンは該格子を広げるので、12C、13C及び高濃度のリンから成る合金組成物を作り出すことが可能である。その結果、このことによってデバイス性能により好適であるより高いリン濃度をもたらすことができる。
10.硫黄は、CVDダイヤモンドにおいてn型ドーパントであることが最近示された(KoizumiのDiam Films 1997、M. N. Gumoらの“Sulfur:A N
ew Donor Dopant for N−TYPE DIAMOND SEMICONDUCTORS,Applied Diamond Conference/Frontier Carbon Technology Joint Conference(1999)54頁”を参照)。しかしながら、硫黄は、炭素、窒素又はホウ素よりも相当に大きな原子であり(Sの共有結合半径はNよりも1.49倍大きく、Bよりも1.09倍大きい)(CRC Materials Science and Engineering Handbook,18頁,CDC Press(1994)を参照)、このためダイヤモンド中に組み込むことができる硫黄の量には限界があり、デバイスの潜在的な電気性能を制限する。13Cはダイヤモンド格子を小さくし、硫黄は該格子を広げるので、12C、13C及び高濃度の硫黄から成る合金組成物を作り出すことが可能である。その結果、このことによってデバイス性能により好適であるより高い硫黄濃度をもたらすことができる。
11.項目8及び9(又は項目8及び10)を組み合せ、ホウ素ドープダイヤモンド層、続いてリン又は硫黄ドープダイヤモンド層を成長させることによって、多くの半導体デバイスに必要なp−n接合を作り出すことができる。合金組成物を用いることの利点は、ダイヤモンドにおいて従来の半導体デバイスの操作を可能にする非常に高レベルの電気的に活性なキャリヤーを得ることである。ダイヤモンドの半導体デバイスは、任意の他の半導体デバイス材料よりも高電力レベル、高温度、及び高速度で作用することが期待される。
12.本発明の方法は、通常の同位体炭素から単結晶ダイヤモンドを成長させるのに使用でき、例えば、天然ダイヤモンドとCVD成長の単結晶ダイヤモンドとの間の混同を防ぐことが望ましい場合、宝石などの特定の物品に使用するCVD単結晶ダイヤモンドであるときには、ダイヤモンドの起源を同定するためのマーカを提供することを目的として、13Cダイヤモンド層を散在させるのに使用できる。あるいは、単結晶全体が少量の13C炭素で成長させることができ、さらに検知の方法も提供できる。このような検知の方法は、高分解能X線回折、ラマン分光、及び質量分析であり、そのそれぞれが同位体含有量を測定するのに使用できる。例えば、ラマン法は、格子間隔を大きくするか、又は小さくすることによって生じる結晶構造の小さな変化を示す。
CVDダイヤモンドは、天然又は高圧のダイヤモンドと実質的に同じである。本発明の方法及び組成物は、単結晶ダイヤモンドが、大量のダイヤモンド製品を製造するための初期工程として使用できるプレート又は他の基材の形態で与えられることを可能にする。さらに該方法は、鋸引き及びラップ仕上など、かなりの数の製作工程を省き、有用な製品の生産を向上させるのに使用できる。さらには、CVD単結晶ダイヤモンドの品質は、天然又は高圧合成ダイヤモンドと等しいか又はそれ以上であるので、結果として得られる製品は、高品質であり、破損がより少なく、より高い光伝送等を有する。それゆえ本発明は、宝石、メス、ワイヤーダイ、ミクロトーム、ヒートスプレッダ、光学窓、ナイフ、切削工具、及び単結晶ダイヤモンドの能動デバイス用基材について、本明細書で記載されるCVD単結晶ダイヤモンドプレートの使用を含む。
特に好ましい実施態様においては、該方法は、百万分率(ppma)で約0.005〜約10,000ppma、好ましくは約0.05ppma〜約3000ppmaのホウ素濃度を有するダイヤモンド層を与えるのに使用できる。このような層は、(気相の炭素に関して)それぞれ約100ppma〜約300,000ppmaと、約1000ppma〜約100,000ppmaの濃度で前駆体ガス中にホウ素を取り込むことによって、CVD技術を用いて成長させることができる。
(ホウ素などの)1つのドーパントを有するダイヤモンド層は、歪みのないドープ層を与えるために、(窒素などの)他のドーパントを含有する層に調和した格子にすることができる。これは、結果として得られる格子定数の変化と不純物濃度を関連づける上述の式によって与えられるように、適切なある程度の不純物濃度を取り入れることで達成できる。加えて、仕様に合った歪みを有するダイヤモンド層は、所望の格子不整合を作り出す選択された不純物レベルで以って層を成長させることにより作り出すことができる。このような構造は、非ドープ層、並びに/又はホウ素、窒素、リン、硫黄及び/若しくは同位体の増大を含む層から成ることができる。
ダイヤモンド全体又は個々の層は、前駆体ガスにホウ素を添加して、ダイヤモンド中に約0.05ppmaから約3000ppmaに及ぶホウ素濃度を与えることによって、それぞれ空色から非常に濃い青色に及ぶ青の色合いを有するよう作製できる。このような膜においては、450nm〜7μmの波長についての光吸収係数は、ドーピング含量が増すにつれて、及び厚さが増すにつれて増加する。
前駆体ガスにホウ素を添加して、ダイヤモンド中に約0.005ppma〜約10,000ppma(好ましくは約0.01ppma〜約3000ppma)のホウ素濃度を与えることによって、室温の電気抵抗率が約100,000Ω・cm〜約0.01Ω・cm、好ましくは約5000Ω・cm〜約0.02Ω・cmの単一のダイヤモンド又は個々の層を作製できる。このようなホウ素ドープ層はまた、バンドギャップの不連続を有する層の接合を作り出すために、同位体濃縮層とともに成長させることもできる。例えば、自然同位体非ドープ層上のホウ素ドープ13C濃縮層は、非ドープ層よりも広いバンドギャップを有するドープ層を作り出す。このような層は、バンドギャップの不連続がない構造に比べて、向上した電気的性質を与えることが期待できる。
本発明の別の実施態様においては、発明者らは、本明細書で説明されるCVDプロセスによって成長された通常同位体の単結晶ダイヤモンドが、室温で2200W/mKを大きく超える熱伝導率を有することを見出した。熱伝導率の測定は、ダイヤモンド試料の一方の側に熱源を適用し、該試料の反対側の温度を測定することによって行った。装置は、アルミニウム、銅及び窒素ドープダイヤモンドを測定することで校正され、室温で3200W/mKの熱伝導率を与えることを見出した。
これは、これまで任意の技術によって製造された自然同位体存在率のダイヤモンド(単結晶又は多結晶)について最も高い熱伝導率である。自然同位体分布を有するすべての先の天然及び合成ダイヤモンドが、2500W/mK以下の熱伝導率であるので、この高熱伝導率は従来技術からは全く期待されない。
本明細書で製造される単結晶ダイヤモンドは、ワイヤーダイとして試験され、天然又は高圧合成のダイヤモンド結晶を用いて作製されたダイよりも高い生産量の高品質ワイヤーをもたらした。これらの結果は、本発明の製品がより長い工具寿命を通して向上した性能を与えることを実証する。
高電力レーザー又はマイクロ波デバイス用ヒートスプレッダの要件の工学計算は、冷却効果がダイヤモンドの熱伝導率、ダイヤモンドの厚さ及び直径に直接的に関係していることを示す。このことは、ダイヤモンドの熱伝導率を増加させることによってヒートスプレッダの性能を向上できるということ、又はより少ないダイヤモンドを用いることによってコストを低減できるということを示す。さらには、例外的に高い熱伝導率のダイヤモンドに期待できる能力は、(1)高レーザー損傷閾値、(2)向上したワイヤーダイ寿命を含めてこの材料において示される。それゆえ、本発明の単結晶ダイヤモンドは、同位体濃縮の高コストなしに(本プロセスの炭素前駆体コストは実質的には無視できる)、同位体濃縮ダイヤモンドの性能を有するようである。
単結晶合成ダイヤモンドは、高圧法(米国特許第5,127,983号明細書)によって成長され、室温で2200〜2500W/mKの最大熱伝導率を示すことが見出された。高圧ダイヤモンドは、縁を下にして数ミリメートルサイズの独立した結晶として成長される。これらの大きな結晶は、研磨することにより熱伝導率の正確な測定を行うことができるスラブに容易に製作できる。単結晶ダイヤモンドは、天然のダイヤモンド結晶、高圧成長のダイヤモンド結晶、又はCVD成長のダイヤモンド結晶に源を発することのできる単結晶シード上への成長でCVD法によって製造される。単結晶ダイヤモンドシード上のダイヤモンドの成長は、熱フィラメント、マイクロ波プラズマ、DCプラズマ、及びセ氏800〜1500度の温度での燃焼炎を用いた、メタン又は他の炭化水素前駆体から実証されている(米国特許第5,628,824号明細書、同第5,387,310号明細書、同第5,470,21号明細書、同第5,653,952号明細書)。これらの結晶に関して熱伝導率の測定報告がない。というのも、一つには、上に挙げたプロセスが、CVDダイヤモンド結晶をダイヤモンドシード結晶に付着させたままにしているためであり、一つには、該ダイヤモンド結晶は、たとえ該シード結晶から取り出されても、熱伝導率の有意な測定を行うには薄すぎるためである。
CVD結晶は、いくつかの手段によってそのシード結晶から取り出すことができる。シード結晶は、その技術分野で周知の方法でダイヤモンド粗粒子を有するシード結晶をどんどん研削することによって除去できる(Gridinsky)。あるいはまた、シード結晶は、産業用及び宝石用ダイヤモンドをカットするのに一般に用いられる、ダイヤモンドを含浸したダイヤモンド砥石で鋸引きすることにより除去できる(Field)。シード結晶からCVDダイヤモンドを取り出すためのさらに別の方法においては、犠牲層がダイヤモンドのシード表面に作製され、CVDダイヤモンドがこの犠牲層の上面に成長され、続いて犠牲層が除去され、独立したダイヤモンド結晶プレートを与える。このような犠牲層を作製及びそれを除去する方法は、酸化雰囲気で電気分解若しくは加熱すること(米国特許第5,587,210号)、ダイヤモンドが成長できかつ酸浸出と酸化の組み合せによって除去できる多孔質構築物を作ること(米国特許第5,443,032号、同第5,614,019号)、又は酸化若しくは他の処理によって除去できる非ダイヤモンド材料の層を堆積させること(米国特許第5,290,392号)から成る酸化除去プロセスがその後に続く、シード表面の下に非ダイヤモンド層を形成するイオン注入である。これらすべての場合において、天然及び高圧ダイヤモンドシード結晶から厚い単結晶ダイヤモンドを成長及び除去することが要求及び主張されている。しかしながら、これらのプロセスのうち、現に以前に実施され、熱伝導率、不純物量について又は工具、ワイヤーダイ、窓、若しくはヒートスプレッダを製作するのに十分高品質の厚い結晶を製造しているものはない。実際には、上記プロセス特許で説明されている成長速度は、経済的には実現可能でないほどゆっくりであり、任意の商業に有用なCVDダイヤモンド結晶を製造するのに何百時間もかかる。
本発明においては、高熱伝導率の単結晶ダイヤモンドは、以下のように成長させることで得られる。即ち、(1)少なくとも約20μm、好ましくは50μm、より好ましくは少なくとも約75又は100μmでさえある厚さのダイヤモンド結晶が、天然ダイヤモンド結晶、合成高圧ダイヤモンド結晶、又は合成CVDダイヤモンド結晶から選択できる単結晶シード上に成長され、(2)該ダイヤモンド結晶が、炭化水素ガス及び水素から成長され、酸素を含有してもしなくても良く、原子状水素リッチであり、(3)CVD成長が10μm/hを超える成長速度で実行され、CVD成長結晶が、研削、鋸引き、犠牲層の使用、又は有用であると思われる他の除去方法によりシード結晶から取り出され、(4)出発ガス組成物の窒素含有量が、10〜20ppmより少ない窒素を結晶中に置換部位及び/又は格子間部位に取り込ませた、最終CVDダイヤモンド結晶を結果として得るほど十分低い。これらの条件を満たすと、その場合には、製造される単結晶ダイヤモンドは、2200W/mKよりも大きな熱伝導率を有し、該材料は、工具、ワイヤーダイ、光学窓、及びヒートスプレッダとしての使用に要求されるサイズ及び品質である。
[試験方法]
本出願で説明される種々のパラメータは、任意の好適な方式において決定できる。本特許請求の範囲のために、これらのパラメータは、以下に説明される方法によって決定される。
[熱伝導率]
ダイヤモンドの熱伝導率を測定する方法は、文献(J. E. Graebnerの“Thermal Measurement Techniques”,193−226頁,Handbook of Industrial Diamond and Diamond Films,M.
A. Prelas, G. Popovici及びL. K. Bigelow編,Marcel Dekker,Inc.(1998)を参照)において検討されている。その測定技術は、熱が試料の一部に加え
られる定常状態加熱の使用を含み、試料の残りの部分に関する温度分布が測定される。試験の幾何学が線形である場合、熱伝導率(k)は、以下の式から推定できる。
k=加熱電力/σ×ΔT/Δx
式中、k=熱伝導率、加熱電力=ダイヤモンドを加熱するために加えられる電力、σ=断面積、ΔT/Δx=試料に沿った測定温度勾配である。
放射経路及び代わりの伝導経路を含めて、他の熱損失のメカニズムを考慮するよう気をつけなければならない。ダイヤモンドの熱伝導率はまた、周期加熱を用い、熱波を発生させて測定でき、温度拡散率が測定される。周期加熱源は、直接接触加熱器のパルス加熱を介して、又は試料の一部を加熱する(レーザーなどの)光源のパルス操作によって試料に適用される。熱波の拡散は、熱電対又は赤外線温度センサーを用いて測定され、これにより温度拡散率が決定できる。該拡散率(D)は、以下の式によって熱伝導率(k)と関連づけられる。
k=D×c
式中、k=温度拡散率、c=熱容量/単位体積である。
[窒素含有量]
ダイヤモンド中の窒素含有量を測定するのに用いられる方法がいくつかあり、最も適切な技術は、ダイヤモンド中に見出される窒素中心の種類によって決定され測定される。窒素はいくつかのダイヤモンド構成において存在でき、最も一般的な構成は、単置換形態(ssf)(孤立窒素原子が格子中の1つの炭素原子に置き換わる)、A中心(1対の隣接置換窒素原子)、及びB中心(格子空孔の周りに集まった4つの置換窒素原子に起因する)である(C. D. Clark, A. T. Collins及びG. S. Woodsの“Absorption and Luminescence Spectroscopy”,The Properties of Natural and Synthetic Diamond,J. E. Field編,Academic Press(1992)を参照)。ダイヤモンド中の窒素含有量は、質量分析、光吸収、及び電子スピン共鳴(esr)を用いて決定できる。(二次イオン質量分析(SIMS)などの)質量分析は、ダイヤモンド中の全形態の窒素を検出するのに使用できるので特に好ましいが、いくらか又はすべての試料を消費する。分光測定技術は非破壊であるが、ダイヤモンド中の特定形態の窒素にしかセンシティブでない。赤外吸収は、以下の補正係数を用いてさまざまな形態の窒素の窒素濃度を決定するのに使用できる。
ssf:濃度=22原子ppm/1cm−1吸収(1130cm−1
A中心濃度=17.5原子ppm/1cm−1吸収(1130cm−1
B中心濃度=103.8原子ppm/1cm−1吸収(1130cm−1
(常磁性の)ssf形態はまた、esrを用いて公知のスピン濃度を有する基準吸収と、マイクロ波吸収を比較することによって測定できる。CVD及びHPHT成長ダイヤモンドについては、窒素はほとんどもっぱらssfに含まれることが見出され、それゆえ窒素濃度は、(ssf補正係数を用いた)赤外吸収、esr、及び/又は質量分析の何れかを用いて決定される。
[ホウ素含有量]
同様に、ダイヤモンド中のホウ素含有量は、質量分析及び光吸収、並びに電気的測定を用いて決定できる。3563nmでの吸収は、以下の式によって未補正のホウ素濃度を与える。
[N−N](cm−3)=0.54×1014=吸光度(1cm−1)(3563nm)
式中、N=全ホウ素濃度、N=(上に与えられた技術のうち1つを用いて決定できる)単置換形態の窒素濃度である。ホウ素濃度はまた、電気的中性の十分に確立された式を用いて、温度の関数として電気キャリヤー濃度を分析することでも決定できる(J. S. BlakemoreのSemiconductor Statistics,Dover Publications(1987)を参照)。
ダイヤモンドの同位体含有量は、質量分析、X線回折、及びラマン分光を用いて決定できる。ダイヤモンドの同位体含有量を決定する最も正確な方法は、SIMS又はダイヤモンドを焼成することで作製される燃焼生成物の分析など、質量分析技術を用いることである。このような技術は、0.01%レベルの実証された分解能で同位体含有量の測定を可能にし(T. R. Anthonyらの“Thermal diffusivity of isotopically enriched 12C diamond”Physical Review B42,1105頁(1990)を参照)、一方で、SIMS測定は、適切な測定技術が用いられ、標準試料が入手できる場合には、10億分の1の分解能が可能であることが公知である(J. M. Anthonyの“Ion Beam Characterization of Semiconductors”,Semiconductor Characterization;Present Status and Future Needs,W. M. Bullis, D. G. Seiler及びA. C. Diebold編,AIP Press(1996)を参照)。質量分析技術では、測定中にいくらか又はすべてのダイヤモンドを破壊すること
が必要とされることを認識しなければならない。(以下に記載する)X線回折及びラマン分光は、非破壊の方法でダイヤモンドの同位体含有量を測定するのに使用できるが、測定精度は、使用する装置及びダイヤモンドの品質に左右される。高分解能X線回折は、格子定数を測定するのに使用でき、測定された格子定数は、先に与えた式を用いてダイヤモンドの同位体含有量を決定するのに使用できる。X線分析を用いて原子パーセントレベルで同位体含有量を決定するためには、格子定数は0.00005Åの分解能で測定されなければならないことに注意すべきである。これは、非常に完全なモノクロメータ結晶を有しかつ試料の回転を含む、二結晶回折計などの高分解能X線回折装置の使用を必要とする。このような測定のアプローチは、Bartelsによって説明されている(W. J. BartelsのJournal of Vacuum Science and Technology,B1,338頁(1983)を参照)。1%未満の分解能で同位体含有量を測定するためには、測定精度の更なる向上が必要である。同位体含有量はまた、K. C. Hassらによって説明される同位体依存を用いて、一次の1−フォノンラマンバンドのピーク位置を測定することにより決定することもできる(K. C. Hassらの“Lattice dynamics and Raman spectra of isotopically mixed diamond”,Physical Review B45,7171−7182頁(1992)を参照)。ラマンバンドの位置は、100%12C〜100%13Cの同位体変化について、1332cm−1〜1281cm−1にシフトし、位置変化は同位体含有量とほとんど直線的である。したがって、ラマン分光を用いて同位体含有量における1%の変化を測定するために、ラマン線の位置は、0.5cm−1未満の確実性で測定されなければならない。これは、測定が高分解能のラマン分光計を用いて実施されることを必要とし、ダイヤモンド品質が0.5cm−1未満のラマン線幅を与えるのに十分高いことを必要とする。1%未満の分解能で同位体含有量を測定するためには、測定精度の更なる向上が必要である。
特定のダイヤモンドの同位体含有量を測定するのに使用する適切な技術の選択は、上述されるように、必要とされる精度、及び消費できる試料の入手可能性に依存している。
以下の限定的でない例が本発明を説明するために与えられる。
[例1]
[熱フィラメント法を用いたタイプIA天然ダイヤモンド上での(100)配向単結晶ダイヤモンドの成長]
天然のタイプIAダイヤモンド単結晶を、ダイヤモンドを含浸した鋸でスライスして(100)配向の基材を与える。オリーブ油中に懸濁され、鋳鉄プレートに含浸されたダイヤモンド粗粒子で以って該基材を研磨し、溝、引掻き傷、又は穴(digs)のない表面にする。次いで、この基材を超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデンホルダー内に保持されたタングステンフィラメントから成る基材ヒータを有し、かつ基材からおよそ10mmにレニウムフィラメントを有する熱フィラメント化学気相成長反応器(HFCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。
レニウムフィラメントに電力を加えて2100℃の温度にし、線状消失式光高温計により測定される950℃の温度に基材が達するまで、電力を基材ヒータに加える。5分間フィラメントと基材の温度を一定に保った後、最終混合ガスを99%水素及び1%メタンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、メタンガスをガス流に加える。水素の一部はフィラメントの表面で原子状水素に転化し、メタンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で24時間成長を維持して、24μm厚さの単結晶堆積物を形成する。この期間の最後でメタン流を停止し、フィラメントの電力供給と基材の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、単結晶シードに付着した単結晶ダイヤモンド膜を残す。
(100)配向の非ドープ単結晶ダイヤモンドプレートが得られ、およそ24μmの厚さを有する。
[例2]
[熱フィラメント法を用いたタイプIIA天然ダイヤモンド上での(100)配向単結晶ダイヤモンドの成長]
天然のタイプIIAダイヤモンド単結晶を、ダイヤモンドを含浸した鋸でスライスして(100)配向の基材を与える。オリーブ油中に懸濁され、鋳鉄プレートに含浸されたダイヤモンド粗粒子で以って該基材を研磨し、溝、引掻き傷、又は穴のない表面にする。次いで、該基材を超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデンホルダー内に保持されたタングステンフィラメントから成る基材ヒータを有し、かつ基材からおよそ10mmにレニウムフィラメントを有する熱フィラメント化学気相成長反応器(HFCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。
レニウムフィラメントに電力を加えて2100℃の温度にし、線状消失式光高温計により測定される950℃の温度に基材が達するまで、電力を基材ヒータに加える。5分間フィラメントと基材の温度を一定に保った後、最終混合ガスを99%水素及び1%13Cメタンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、13Cに関して濃縮したメタンガスをガス流に加える。水素の一部はフィラメントの表面で原子状水素に転化し、メタンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で24時間成長を維持して、24μm厚さの単結晶堆積物を形成する。この期間の最後でメタン流を停止し、フィラメントの電力供給と基材の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、単結晶シードに付着した単結晶ダイヤモンド膜を残す。
(100)配向の非ドープ単結晶ダイヤモンドプレートが得られ、およそ24μmの厚さを有する。
[例3]
[熱フィラメント法を用いたタイプIB高圧合成ダイヤモンド上での(100)配向単結晶ダイヤモンドの成長]
高圧合成のタイプIbダイヤモンド単結晶を研削かつ研磨して、(100)配向の基材を与える。次いで、該基材を超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデンホルダー内に保持されたタングステンフィラメントから成る基材ヒータを有し、かつ基材からおよそ10mmにレニウムフィラメントを有する熱フィラメント化学気相成長反応器(HFCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。
レニウムフィラメントに電力を加えて2100℃の温度にし、線状消失式光高温計により測定される1000℃の温度に基材が達するまで、電力を基材ヒータに加える。5分間フィラメントと基材の温度を一定に保った後、最終混合ガスを99%水素及び1%アセトンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、アセトン蒸気をガス流に加える。水素の一部はフィラメントの表面で原子状水素に転化し、アセトンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で48時間成長を維持して、48μm厚さの単結晶堆積物を形成する。この期間の最後でアセトン流を停止し、フィラメントの電力供給と基材の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去する。洗浄後、該基材及びダイヤモンドを、ダイヤモンド粗粒子を含浸した銅ブレードを有する鋸に取り付け、シードダイヤモンドを鋸引きして単結晶シードから単結晶ダイヤモンド膜を分離する。
(100)配向の非ドープ単結晶ダイヤモンドプレートが得られ、およそ48μmの厚さを有する。
[例4]
[熱フィラメント法を用いたタイプIB高圧合成ダイヤモンド上での(100)配向のホウ素ドープ単結晶ダイヤモンドの成長]
高圧合成のタイプIbダイヤモンド単結晶を研削かつ研磨して、(100)配向の基材を与える。次いで、該基材を超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデンホルダー内に保持されたタングステンフィラメントから成る基材ヒータを有し、かつ基材からおよそ10mmにレニウムフィラメントを有する熱フィラメント化学気相成長反応器(HFCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。
レニウムフィラメントに電力を加えて2100℃の温度にし、線状消失式光高温計により測定される1000℃の温度に基材が達するまで、電力を基材ヒータに加える。5分間フィラメントと基材の温度を一定に保った後、最終混合ガスを、1000ppmのホウ酸メチルを含有する99%水素及び1%アセトンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、アセトン蒸気をガス流に加える。水素の一部はフィラメントの表面で原子状水素に転化し、アセトンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で12分間成長を維持して、0.2μm厚さのホウ素ドープ単結晶堆積物を形成する。この期間の最後でアセトン流を停止し、フィラメントの電力供給と基材の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去する。洗浄後、付着した単結晶のホウ素ドープ膜ダイヤモンドを備えた基材を、ファンデルホール(van der Pauw)試験システムに装備して抵抗率及び移動度を測定する。
およそ0.2μmの厚さを有する(100)ホウ素ドープ単結晶ダイヤモンド膜が成長し、単結晶ダイヤモンド基材に付着している。
[例5]
[熱フィラメント法を用いたCVD成長単結晶合成ダイヤモンド上での(100)配向の13C単結晶ダイヤモンドの成長]
(100)配向を有する研磨されたCVD成長ダイヤモンドの単結晶を、超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデンホルダー内に保持されたタングステンフィラメントから成る基材ヒータを有し、かつ基材からおよそ10mmにレニウムフィラメントを有する熱フィラメント化学気相成長反応器(HFCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。
レニウムフィラメントに電力を加えて2100℃の温度にし、線状消失式光高温計により測定される950℃の温度に基材が達するまで、電力を基材ヒータに加える。5分間フィラメントと基材の温度を一定に保った後、最終混合ガスを99%水素及び1%13Cメタンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、13Cに関して濃縮したメタンガスをガス流に加える。水素の一部はフィラメントの表面で原子状水素に転化し、メタンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で24時間成長を維持して、24μm厚さの単結晶堆積物を形成する。この期間の最後でメタン流を停止し、フィラメントの電力供給と基材の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、通常同位体のダイヤモンドシードに付着した単結晶13Cダイヤモンド膜を残す。
(100)配向の非ドープ13C単結晶ダイヤモンドプレートが得られ、およそ24μmの厚さを有する。
[例6]
[熱フィラメント法を用いたCVD成長単結晶合成ダイヤモンド上での(100)配向のホウ素と13Cを共ドープした単結晶ダイヤモンド膜の成長]
(100)配向を有する研磨されたCVD成長ダイヤモンドの単結晶を、超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデンホルダー内に保持されたタングステンフィラメントから成る基材ヒータを有し、かつ基材からおよそ10mmにレニウムフィラメントを有する熱フィラメント化学気相成長反応器(HFCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。
レニウムフィラメントに電力を加えて2100℃の温度にし、線状消失式光高温計により測定される950℃の温度に基材が達するまで、電力を基材ヒータに加える。5分間フィラメントと基材の温度を一定に保った後、最終混合ガスを、100ppmのジボランを含有する99%水素及び1%13Cメタンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、13C及びジボランに関して濃縮したメタンガスをガス流に加える。
水素の一部はフィラメントの表面で原子状水素に転化し、メタンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で10分間成長を維持して、0.17μm厚さの単結晶堆積物を形成する。この期間の最後でメタン流を停止し、フィラメントの電力供給と基材の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、通常同位体の単結晶ダイヤモンドシードに付着した、ホウ素ドープ単結晶13Cダイヤモンド膜を残す。
CVD単結晶ダイヤモンド基材に付着した、(歪みの低減された)ホウ素及び13Cドープ単結晶ダイヤモンド膜が成長し、該膜は(100)配向とおよそ0.17μmの厚さを有する。
[例7]
[熱フィラメント法を用いたCVD成長単結晶合成ダイヤモンド上での(100)配向のリンと13Cを共ドープした単結晶ダイヤモンド膜の成長]
(100)配向を有する研磨されたCVD成長ダイヤモンドの単結晶を、超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデンホルダー内に保持されたタングステンフィラメントから成る基材ヒータを有し、かつ基材からおよそ10mmにレニウムフィラメントを有する熱フィラメント化学気相成長反応器(HFCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。
レニウムフィラメントに電力を加えて2100℃の温度にし、線状消失式光高温計により測定される950℃の温度に基材が達するまで、電力を基材ヒータに加える。5分間フィラメントと基材の温度を一定に保った後、最終混合ガスを、100ppmのホスフィンを含有する99%水素及び1%13Cメタンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、13C及びホスフィンに関して濃縮したメタンガスをガス流に加える。水素の一部はフィラメントの表面で原子状水素に転化し、メタンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で10分間成長を維持して、0.17μm厚さの単結晶堆積物を形成する。この期間の最後でメタン流を停止し、フィラメントの電力供給と基材の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、通常同位体の単結晶ダイヤモンドシードに付着した、リンドープ単結晶13Cダイヤモンド膜を残す。
(歪みの低減された)リン及び13C共ドープ単結晶ダイヤモンド膜が、(100)配向を有するCVD単結晶ダイヤモンド基材上に形成し、該膜は同様に(100)配向であり、およそ0.17μmの厚さを有する。
[例8]
[CVD成長単結晶合成ダイヤモンド上に、ホウ素ドープ単結晶ダイヤモンド層、次いで非ドープ単結晶ダイヤモンド層を有する、熱フィラメント法を用いた構築物の成長]
(100)配向と75μmの厚さを有する研磨されたCVD成長ダイヤモンドの単結晶を、超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデンホルダー内に保持されたタングステンフィラメントから成る基材ヒータを有し、かつ基材からおよそ10mmにレニウムフィラメントを有する熱フィラメント化学気相成長反応器(HFCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。レニウムフィラメントに電力を加えて2100℃の温度にし、線状消失式光高温計により測定される950℃の温度に基材が達するまで、電力を基材ヒータに加える。5分間フィラメントと基材の温度を一定に保った後、最終混合ガスを、1000ppmのジボランを含有する99%水素及び1%メタンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、メタンガスとジボランをガス流に加える。水素の一部はフィラメントの表面で原子状水素に転化し、メタンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で15分間成長を維持して、0.25μm厚さの単結晶堆積物を形成する。この期間の最後でジボラン流を停止し、メタン流をさらに75時間続ける。この期間の最後でメタン流を停止し、フィラメントの電力供給と基材の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、150μm厚さのダイヤモンド結晶に埋め込まれたホウ素ドープ単結晶ダイヤモンド層を残す。
75μm厚さの非ドープCVDダイヤモンド、次いで0.25厚さのホウ素ドープ単結晶ダイヤモンド層、次に75μm厚さのCVD単結晶ダイヤモンド層を有する、(100)配向の単結晶ダイヤモンド構築物が形成される。
[例9]
[CVD成長単結晶合成ダイヤモンド上に、ホウ素ドープ単結晶ダイヤモンドと非ドープ単結晶ダイヤモンドの交互層を有する、熱フィラメント法を用いた構築物の成長]
(100)配向と75μmの厚さを有する研磨されたCVD成長ダイヤモンドの単結晶を、超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデンホルダー内に保持されたタングステンフィラメントから成る基材ヒータを有し、かつ基材からおよそ10mmにレニウムフィラメントを有する熱フィラメント化学気相成長反応器(HFCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。
レニウムフィラメントに電力を加えて2100℃の温度にし、線状消失式光高温計により測定される950℃の温度に基材が達するまで、電力を基材ヒータに加える。5分間フィラメントと基材の温度を一定に保った後、最終混合ガスを、1000ppmのジボランを含有する99%水素及び1%メタンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、メタンガスとジボランをガス流に加える。水素の一部はフィラメントの表面で原子状水素に転化し、メタンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で1.2分間成長を維持して、0.02μm厚さのホウ素ドープ単結晶堆積物を形成する。この期間の最後でジボラン流を停止し、メタン流をさらに1.2分間続けて0.02μm厚さの非ドープ層を作製する。このサイクルを1〜10回又はそれ以上繰返し、ホウ素ドープ及び非ドープ交互層の単結晶構築物を作製する。この期間の最後でメタン流を停止し、フィラメントの電力供給と基材の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、ホウ素ドープ及び非ドープ交互単結晶ダイヤモンド層のヘテロ構築物を残す。
個々に0.02μm厚さで合計厚さが0.2μm厚さである、ホウ素ドープダイヤモンドと非ドープダイヤモンドの10枚の交互層から成る単結晶ダイヤモンド構築物が形成され、該構築物は、上部層が75μm厚さのCVD単結晶ダイヤモンドであり、すべてが(100)配向を有する。
[例10]
[マイクロ波プラズマ法を用いたCVD成長単結晶合成ダイヤモンド上での(100)配向のホウ素ドープ単結晶ダイヤモンドの成長]
(100)配向と75μmの厚さを有する研磨されたCVD成長ダイヤモンドの単結晶を、超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデン基材ホルダーを有するマイクロ波プラズマ反応器(MWCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。
マイクロ波発生器に電力を加えてプラズマボールを与え、線状消失式光高温計により測定される900℃の基材温度にする。5分間プラズマ電力と基材温度を一定に保った後、最終混合ガスを、1000ppmのジボランを含有する99%水素及び1%メタンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、メタンガスとジボランをガス流に加える。水素の一部はプラズマ中で原子状水素に転化し、メタンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で250時間成長を維持して、250μm厚さの単結晶のホウ素ドープダイヤモンドを形成する。この期間の最後でジボラン流を停止し、メタン流をさらに75時間続ける。この期間の最後でメタン流を停止し、マイクロ波の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、非ドープ単結晶ダイヤモンドシードに付着したホウ素ドープ単結晶ダイヤモンド層250μm厚さのダイヤモンド結晶を残す。
(100)配向のホウ素ドープ単結晶ダイヤモンドプレートが得られ、およそ250μmの厚さを有する。
[例11]
[アークジェット法を用いたCVD成長単結晶合成ダイヤモンド上での(100)配向の単結晶ダイヤモンドの成長]
(100)配向と75μmの厚さを有する研磨されたCVD成長ダイヤモンドの単結晶を、超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデン基材ホルダーを有するアークジェットマイクロ波プラズマ反応器(MPCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度5000sccmで以って99.999%純度の水素で100torrの圧力に充填する。
電力を加えて水素流中にアークを生成し、線状消失式光高温計により測定される900℃の基材温度にする。5分間アーク電力と基材温度を一定に保った後、最終混合ガスを99%水素及び1%メタンにして、一方で合計ガス流量を5000sccmに維持するように、メタンガスをチャンバーに加える。水素の一部はガス流中で原子状水素に転化し、メタンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。10μm/hの速度で25時間成長を維持して、250μm厚さの単結晶非ドープダイヤモンドを形成する。この期間の最後でメタン流を停止し、アークの電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、非ドープ単結晶ダイヤモンドシードに付着した非ドープ単結晶ダイヤモンド層250μm厚さのダイヤモンド結晶を残す。
(100)配向の非ドープ単結晶ダイヤモンドプレートが得られ、およそ250μmの厚さを有する。
[例12]
[燃焼法を用いたCVD成長単結晶合成ダイヤモンド上での単結晶ダイヤモンドの成長]
(100)配向と75μmの厚さを有する研磨されたCVD成長ダイヤモンドの単結晶を、超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、水冷のモリブデン基材ホルダーを有しかつ大気圧で操作する燃焼炎反応器(CFCVD)に該基材を配置する。アセチレンと酸素のガス混合物を用いて、線状消失式光高温計により測定される1000℃に基材を加熱する。炎と基材温度を5分間一定に保った後、組成が炭素リッチで、ダイヤモンドの成長が始まるようアセチレン濃度を上げた。水素の一部は炎中で原子状水素に転化し、アセチレンと他の炭化水素は基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。20μm/hの速度で25時間成長を維持して、500μm厚さの単結晶非ドープダイヤモンドを形成する。この期間の最後でアセチレン及び酸素流を停止し、膜を備えた基材を室温まで冷却する。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、非ドープ単結晶ダイヤモンドシードに付着した非ドープ単結晶ダイヤモンド層500μm厚さのダイヤモンド結晶を残す。
(100)配向の非ドープ単結晶ダイヤモンドプレートが得られ、およそ500μmの厚さを有する。
[例13]
[熱フィラメント法を用いたCVD成長単結晶合成ダイヤモンド上での(110)配向の単結晶ダイヤモンドの成長]
天然のタイプIAダイヤモンド単結晶を、ダイヤモンドを含浸した鋸でスライスして(110)配向の基材を与える。オリーブ油中に懸濁され、鋳鉄プレートに含浸されたダイヤモンド粗粒子で以って該基材を研磨し、溝、引掻き傷、又は穴のない表面にする。次いで、該基材を超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデンホルダー内に保持されたタングステンフィラメントから成る基材ヒータを有し、かつ基材からおよそ10mmにレニウムフィラメントを有する熱フィラメント化学気相成長反応器(HFCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。
レニウムフィラメントに電力を加えて2100℃の温度にし、線状消失式光高温計により測定される950℃の温度に基材が達するまで、電力を基材ヒータに加える。5分間フィラメントと基材の温度を一定に保った後、最終混合ガスを99%水素及び1%メタンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、メタンガスをガス流に加える。水素の一部はフィラメントの表面で原子状水素に転化し、メタンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で24時間成長を維持して、24μm厚さの単結晶堆積物を形成する。この期間の最後でメタン流を停止し、フィラメントの電力供給と基材の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、単結晶シードに付着した単結晶ダイヤモンド膜を残す。
(100)配向の非ドープ単結晶ダイヤモンドプレートが得られ、およそ24μmの厚さを有する。
[例14]
[熱フィラメント法を用いた天然単結晶合成ダイヤモンド上での(111)配向の単結晶ダイヤモンドの成長]
天然のタイプIAダイヤモンド単結晶を、(111)平面に沿って切断して(100)配向の基材を与える。オリーブ油中に懸濁され、鋳鉄プレートに含浸されたダイヤモンド粗粒子で以って該基材を研磨し、溝、引掻き傷、又は穴のない表面にする。次いで、この基材を超音波洗浄器において高温の洗浄剤で洗浄し、アセトンでリンスして乾燥する。洗浄に続いて、モリブデンホルダー内に保持されたタングステンフィラメントから成る基材ヒータを有し、かつ基材からおよそ10mmにレニウムフィラメントを有する熱フィラメント化学気相成長反応器(HFCVD)に該基材を配置する。該反応器を10mtorr未満の圧力に排気し、次いで、速度100sccmで以って99.999%純度の水素で40torrの圧力に充填する。
レニウムフィラメントに電力を加えて2100℃の温度にし、線状消失式光高温計により測定される950℃の温度に基材が達するまで、電力を基材ヒータに加える。5分間フィラメントと基材の温度を一定に保った後、最終混合ガスを99%水素及び1%メタンにして、一方で合計ガス流量を100sccmに維持するように、メタンガスをガス流に加える。水素の一部はフィラメントの表面で原子状水素に転化し、メタンは基材表面で原子状水素の存在下において分解して、ダイヤモンドのエピタキシャル層を形成する。1μm/hの速度で24時間成長を維持して、24μm厚さの単結晶堆積物を形成する。この期間の最後でメタン流を停止し、フィラメントの電力供給と基材の電力供給を停止して、膜を備えた基材を室温まで冷却する。この時点で反応器を排気してすべての水素を除去し、次いで室内空気で満たして大気圧にする。
付着ダイヤモンド膜を備えた単結晶ダイヤモンド基材を取り出し、クロム酸と硫酸の混合液において250℃の温度で洗浄して、残留する非ダイヤモンド炭素をダイヤモンド表面から除去し、単結晶シードに付着した単結晶ダイヤモンド膜を残す。
(111)配向の非ドープ単結晶ダイヤモンドプレートが得られ、およそ24μmの厚さを有する。
[窒素含有量]
ダイヤモンド中の窒素含有量を測定するのに用いられる方法がいくつかあり、最も適切な技術は、ダイヤモンド中に見出される窒素中心の種類によって決定され測定される。窒素はいくつかのダイヤモンド構成において存在でき、最も一般的な構成は、単置換形態(ssf)(孤立窒素原子が格子中の1つの炭素原子に置き換わる)、A中心(1対の隣接置換窒素原子)、及びB中心(格子空孔の周りに集まった4つの置換窒素原子に起因する)である(C. D. Clark, A. T. Collins及びG. S. Woodsの“Absorption and Luminescence Spectroscopy”,The Properties of Natural and Synthetic Diamond,J. E. Field編,Academic Press(1992)を参照)。ダイヤモンド中の窒素含有量は、質量分析、光吸収、及び電子スピン共鳴(esr)を用いて決定できる。(二次イオン質量分析(SIMS)などの)質量分析は、ダイヤモンド中の全形態の窒素を検出するのに使用できるので特に好ましいが、いくらか又はすべての試料を消費する。分光測定技術は非破壊であるが、ダイヤモンド中の特定形態の窒素にしかセンシティブでない。赤外吸収は、以下の補正係数を用いてさまざまな形態の窒素の窒素濃度を決定するのに使用できる。
ssf:濃度=22原子ppm/1cm-1吸収(1130cm-1
A中心濃度=17.5原子ppm/1cm-1吸収(1282cm-1
B中心濃度=103.8原子ppm/1cm-1吸収(1282cm-1

Claims (38)

  1. a)改善された特性を提供するために、1つ又は複数の不純物が、1つ又は複数のダイヤモンド層中で調節される化学気相成長プロセスによって、ダイヤモンドを成長させる工程と、
    b)該ダイヤモンドを少なくとも約20μmの全体厚さに成長させる工程と、
    c)成長したダイヤモンドを取り出す工程と、
    を含んで成る、合成単結晶ダイヤモンドを形成する方法。
  2. 前記ダイヤモンドが、異なる組成物の複数層として形成され、前記方法が、所望の厚さ及び構造を達成するために、1つ又は複数の所定の不純物を層間に異なる含量で有するダイヤモンド層を成長させる工程を含んで成る、請求項1に記載の方法。
  3. 前記不純物が、窒素、ホウ素、硫黄、リン、炭素同位体、及びリチウムから成る群より独立して選択された、請求項1に記載の方法。
  4. 1つ又は複数の層がホウ素でドープされた、請求項3に記載の方法。
  5. 前記ホウ素が、約0.03ppma〜約3,000ppmaの最終的なホウ素濃度にドープされた、請求項4に記載の方法。
  6. 前記ダイヤモンドが単一のホウ素ドープ層を含んで成る、請求項5に記載の方法。
  7. 前記ダイヤモンドが、約200μm〜約0.01μmの合計厚さに成長された少なくとも1つのホウ素ドープ層を含んで成る、請求項2に記載の方法。
  8. 前記ダイヤモンドが、約10μm〜約0.05μmの合計厚さに成長された少なくとも1つのホウ素ドープ層を含んで成る、請求項7に記載の方法。
  9. 成長して取り出されたダイヤモンドを、宝石、メス、ワイヤーダイ、ミクロトーム、ヒートスプレッダ、光学窓、ナイフ、切削工具、及び単結晶ダイヤモンドの能動デバイス用基材から成る群より選択される製品に製作する更なる工程を含んで成る、請求項1に記載の方法。
  10. 前記製品が宝石であり、前記ダイヤモンドが、少なくとも1つのドープ層を含む複数の層を含んで成る、請求項9に記載の方法。
  11. 前記ダイヤモンドが単一層の単結晶ダイヤモンドであり、前記不純物を調節する工程が、窒素濃度を実質的に通常レベルより低くすることを含んで成り、一方で、通常又は通常に近いレベルで同位体濃度を維持する、請求項1に記載に方法。
  12. 前記改善された特性が、熱伝導率、硬度、破壊靭性、電気伝導率、光学的性質、及び結晶完全性から成る群より選択された、請求項11に記載の方法。
  13. 前記改善された特性が熱伝導率を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記熱伝導率が少なくとも約2500W/mKである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記ダイヤモンドが、少なくとも約2800W/mKの熱伝導率を示す、請求項14に記載の方法。
  16. 前記ダイヤモンドが、少なくとも約3200W/mKの熱伝導率を示す、請求項15に記載の方法。
  17. 前記ダイヤモンドが約20ppm未満の窒素濃度を含有する、請求項11に記載の方法。
  18. 前記ダイヤモンドが約10ppm未満の窒素濃度を含有する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記ダイヤモンドが約5ppm未満の窒素濃度を含有する、請求項18に記載の方法。
  20. 前記ダイヤモンドが少なくとも約0.1%の13C含有量を有する、請求項11に記載の方法。
  21. 前記ダイヤモンドが少なくとも約0.5%の13C含有量を有する、請求項20に記載の方法。
  22. 前記ダイヤモンドが少なくとも約0.8%の13C含有量を有する、請求項21に記載の方法。
  23. 前記ダイヤモンドが約5ppm未満の窒素濃度を含有し、少なくとも約3200W/mKの熱伝導率を示し、少なくとも約0.8%の13C含有量を有する、請求項11に記載の方法。
  24. 請求項1に記載の方法によって調製された、合成単結晶ダイヤモンド。
  25. 請求項2に記載の方法によって調製された、合成単結晶ダイヤモンド。
  26. 請求項3に記載の方法によって調製された、合成単結晶ダイヤモンド。
  27. 前記ダイヤモンドが約20ppm未満の窒素濃度を含有する、請求項26に記載の合成単結晶ダイヤモンド。
  28. 前記ダイヤモンドが約10ppm未満の窒素濃度を含有する、請求項27に記載の合成単結晶ダイヤモンド。
  29. 前記ダイヤモンドが約5ppm未満の窒素濃度を含有する、請求項28に記載の合成単結晶ダイヤモンド。
  30. 前記ダイヤモンドが少なくとも約2300W/mKの熱伝導率を示す、請求項29に記載の合成単結晶ダイヤモンド。
  31. 前記ダイヤモンドが少なくとも約2500W/mKの熱伝導率を示す、請求項30に記載の合成単結晶ダイヤモンド。
  32. 前記ダイヤモンドが少なくとも約2800W/mKの熱伝導率を示す、請求項31に記載の合成単結晶ダイヤモンド。
  33. 前記ダイヤモンドが少なくとも約0.1%の13C含有量を有する、請求項29に記載の合成単結晶ダイヤモンド。
  34. 前記ダイヤモンドが少なくとも約0.5%の13C含有量を有する、請求項33に記載の合成単結晶ダイヤモンド。
  35. 前記ダイヤモンドが少なくとも約0.8%の13C含有量を有する、請求項34に記載の合成単結晶ダイヤモンド。
  36. 前記ダイヤモンドが約5ppm未満の窒素濃度を含有し、少なくとも約3200W/mKの熱伝導率を示し、少なくとも約0.8%の13C含有量を有する、請求項29に記載の合成単結晶ダイヤモンド。
  37. 前記製品が、宝石、メス、ワイヤーダイ、ミクロトーム、ヒートスプレッダ、光学窓、ナイフ、切削工具、及び単結晶ダイヤモンドの能動デバイス用基材から成る群より選択された、請求項21のダイヤモンドから調製された製品。
  38. 請求項21に記載のダイヤモンドを調製する工程と、該ダイヤモンドを、宝石、メス、ワイヤーダイ、ミクロトーム、ヒートスプレッダ、光学窓、ナイフ、切削工具、及び単結晶ダイヤモンドの能動デバイス用基材から成る群より選択された製品の形状に製作する工程とを含んで成る、製品を作製する方法。
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