JP2012175861A - 回転電機のステータ - Google Patents

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Abstract

【課題】回転電機のコイル導線の温度検出において、潤滑油等の冷却のためにコイルに掛けられる液体に影響を受けないようにする。
【解決手段】ステータコア22に巻回されるコイル導線26のコイルエンド部分、例えば渡り導線36に温度センサ38を設ける。温度センサ38は、渡り導線36に接して配置され、温度センサ38と、渡り導線36の温度センサが接する部分とが一体的にハウジング42に囲まれて、収容される。ハウジング42により温度センサ38が周囲から遮断され、潤滑油に直接接触することがない。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転電機のステータに関し、特にコイル導線の温度を検出するための温度センサを備えた回転電機のステータに関する。
電動機は、ステータのコイルに電力を供給して、ステータとロータ間に磁気相互作用を生じさせ、これによりロータを回転させる機器である。電動機はまた、ロータを外部より回転させることにより発電を行う発電機として機能させることができる。以下において、電動機、発電機および電動機と発電機の双方の機能を発揮し得る電気機器を回転電機と記して説明する。
電力を供給によるコイルの温度の上昇を検知するために、温度センサを備えた回転電機が知られている。また、回転電機の外形を小形化するために、ステータのスロット内の占積率(スロット断面積に対するスロット内のコイル導線の断面積の総和の割合)を高めたいという要望がある。特に、ハイブリッド車両では、エンジンコンパートメント等の限られた空間に内燃機関と共に回転電機を収める必要があり、小形化が望まれている。温度センサをスロット内に配置することは、占積率の向上を阻害する要因となる。下記特許文献1には、スロット外に温度センサを配置した回転電機が開示されている。
特開2010−246356号公報
コイルの温度上昇を抑えるために、コイルに液体を掛けて冷却を行う回転電機が知られている。例えば、ハイブリッド車両の動力装置の、トランスアクスルまたはトランスミッションと一体化された回転電機は、トランスアクスル等の潤滑油により冷却されている。潤滑油等の液体により冷却を行う場合、温度センサに冷却用の液体が掛かると、コイルの温度を正確に検出することができない。前述の特許文献1の回転電機においては、スロットの外、特にコイルエンド近傍に温度センサを配置しているが、この配置では冷却用の液体が掛かって、この液体の温度の影響を受け、コイル導線の温度を正確に検出ができない懸念がある。
本発明は、冷却用の液体の影響を抑えて、精度良くコイル導線の温度を検出することを目的とする。
本発明の回転電機のステータにおいては、コイル導線のコイルエンド部分に接するように温度センサが配置され、この温度センサと、コイル導線の温度センサに接する部分とを、ハウジングにより一体的に囲み、これらを収容する。温度センサがハウジングに囲まれることにより、冷却用の液体が温度センサに掛かりにくくなる。
前記ハウジングは、当該ハウジングが収容するコイル導線に沿う方向における両端部に柔軟性を有する緩衝材を有するようにできる。この緩衝材は、コイル導線の全周を囲み、これによりハウジングの内部を密封する。
前記緩衝材は、温度センサに接触しないように配置するようにできる。
また、前記ハウジングは弾性材料から構成することができる。ハウジング本体には、ハウジングが収容するコイル導線に沿う方向に切れ目を入れてよく、この切れ目を開いてコイル導線と温度センサをハウジング本体内部に入れて収容するようにできる。収容後はハウジング本体の弾性により切れ目が閉じ合わされる。
温度センサをコイル導線と一体的にハウジングで囲み、冷却用の液体が温度センサに掛かりにくくし、温度検出に係る冷却用の液体の影響を抑えることができる。
本実施形態に係る回転電機の概略構成を示す図である。 回転電機のコイルエンドの詳細を示す図である。 温度センサを収容するハウジングを示す図である。 図3のA−A線による断面図である。 図3のB−B線による断面図である。 ハウジングの閉じ合わせ部分の形状の一例を示す図である。 ハウジングの閉じ合わせ部分の形状の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。なお、以下は、ハイブリッド車両の車両駆動用原動機としての回転電機、特に駆動力伝達系の機器であるトランスアクスルやトランスミッションの内部に設けられた回転電機を例に挙げて説明する。トランスアクスル等の内部には、歯車、軸受等の機械部品が収められており、これらの部品の潤滑のために潤滑油が封入されている。また、この潤滑油はトランスアクスル等の変速機構等の制御を行うための作動液としても機能する場合がある。トランスアクスル等に内蔵された回転電機は、トランスアクスル等のケースに囲まれ、外気による冷却が期待できないが、前記の潤滑油により冷却を行っている。よって、潤滑油は、回転電機の冷却用の液体としても機能する。また、より積極的に冷却を行うために、潤滑油を回転電機の上方に送り、ここから流し落として回転電機に掛けることも提案されている。
図1は、本発明に係る回転電機10の概略構成を示す図である。回転電機10は、トランスアクスルケース12内に収められている。トランスアクスルケース12内には潤滑油14が溜まっており、回転電機10の一部が溜まった潤滑油に漬かっている。回転電機10は、その回転軸16が横倒しに配置されている。さらに、回転電気10は、回転軸16と同心に配置され、これと一体に回転する概略円筒または円柱形状のロータ18と、ロータ18と同心に配置された円筒形状のステータ20を有する。ステータ20は、磁性鋼板が積層されて形成された概略円筒形状のステータコア22を含む。ステータコア22の円筒内周面には、周方向に凹凸が配列されており、凸部分がティース24と呼ばれる。ティース24の間の空間、すなわち周方向に配列される凹部分は、スロットと呼ばれる。ステータコア22には、コイル導線26が券回されてコイル28が形成されている(図2参照)。より詳しくは、コイル導線26は、その一部がスロット内に収められ、そこから出てステータコア22の端面に沿って、あらかじめ定められた規則に従った別のスロットに向け延び、そのスロットに進入し、これを繰り返してコイル28が形成される。
コイル導線26のスロット外に位置する部分、すなわちステータコア22の円筒端面に隣接して配置される部分は、コイルエンドと呼ばれており、図1において符号30でこれを示す。コイルエンド30は、実際にはコイル導線が複雑に束ねられたものであるが、概略の形状としては円環形状である。また、その断面は、円形、四角形等とすることができるが、このコイルエンド30の断面は四角形である。図1において、コイルエンド30は簡略化して示している。
コイル28に電力を供給すると、ステータ20の円筒内側の空間には回転する磁界が形成される。言い換えれば、所定の電力、例えば三相交流電力を供給したとき、ステータ20が回転磁界を形成するように、コイルが形成されている。ロータ18は、永久磁石(不図示)が備えられており、ステータ20が形成した回転磁界と永久磁石が相互作用してロータ18が回転する。また、ロータ18に、周方向にリラクタンスの異なる部分を交互に配列し、これと回転磁界の相互作用によりロータを回転させるようにすることもできる。永久磁石による作用、リラクタンスによる作用の双方を得られるようにロータを構成することもできる。
回転電機10の上方には、潤滑油を供給する潤滑油供給口32が配置される。潤滑油供給口32には、不図示のオイルポンプから潤滑油が送油されており、ここから流出した潤滑油は、コイルエンド30の上方から、コイルエンド30に供給される。コイルエンド30に掛かった潤滑油は、コイルエンド30を伝って図中の矢印のように下方に向かう。このとき、コイル導線26から熱を奪ってコイル導線26の冷却を行う。
図2に、ステータ20、特にコイルエンド30の詳細を示す。回転電機10において、コイル導線26は、断面が方形、特に長方形の平角線が使用されている。コイル28は、前述のようにコイル導線26がステータコア22に巻回されて形成されている。そして、コイルエンド30は、複数のコイル導線26が複雑に束ねられている。この回転電機10は、コイル導線26をステータコア22に巻回した後、コイル導線26同士を接続して、複数のコイルを直列に接続している。コイル導線26は、図中円形の破線で囲む領域34(例示として一つを示す。)で接続されている。図2によく示されるように、コイルエンド30の内側から、回転電機の径方向外側に向けて延びるコイル導線の部分26aと、スロットの最外周側から出て、コイルエンド30の外側に沿って延びるコイル導線の部分26bとが領域34で接続されている。コイル導線の部分26aは、コイルエンド30の、ステータコア22から最も遠い部分を径方向に延びている。このような、コイルエンドの径方向内側から外側に延びる部分を以降、渡り導線36と記す。
回転電機の過熱を防ぐために、回転電機に温度センサを設け、温度を監視する場合がある。回転電機における主な発熱源はコイルであるので、温度センサはコイル近傍、好ましくはコイル導線に接するように配置することが望ましい。回転電機10のように、液体(潤滑油)を直接掛けて冷却を行う場合、温度センサに液体が掛かると液体の温度の影響を受け、温度を正確に検出できない懸念がある。温度センサを、スロット内にコイル導線と共に収めれば、冷却用の液体は掛かりにくくなる。しかし、温度センサを設けた分、占積率が低下する。特に、回転電機10のようにコイル導線として平角線を使用する場合、スロット内部には、ほとんど隙間がなくなり、温度センサをスロット内に配置することは難しい。よって、温度センサは、コイルの、スロット内以外の部分、すなわちコイルエンド30に設けることになる。
回転電機10においては、温度センサをコイルエンド30に設けた場合にも、冷却用の液体、つまり潤滑油の影響が低減される。以下、説明する。
回転電機10においては、温度センサ38は、コイルエンド30に設けられる。特に、回転電機10の回転軸線の方向において、ステータコア22から最も離れた位置にあるコイル導線26に接して設けられる。回転電機10において、ステータコア22から最も離れた位置にあるコイル導線は、前述の渡り導線36である。以下、この渡り導線36に接するように温度センサ38を配置する場合を例に挙げて説明する。温度センサ38は、例えばサーミスタを用いることができ、センサの検出した信号を外部に伝達するための引き出し線40が引き出されている。
図2には、温度センサ38を収めるハウジング42が渡り導線36に設けられている様子が示されている。温度センサ38は、ハウジング42の内部に隠れて、この図では見えない。図3には、渡り導線36およびハウジング42を図2の上方から視た様子が示されている。ハウジング42は、渡り導線36が延びる方向に長い筒形状、例えば角筒形状であり、筒の内部を渡り導線36が貫いている。ハウジング42の内部には温度センサ38が収められている。図4は、図3のA−A線による断面図、すなわち温度センサ38の位置における断面図である。また、図5は、図3のB−B線による断面図、すなわちハウジング42の長手方向端部における断面図である。
図4に示すように、温度センサ38は、渡り導線36に接して配置される。そして、温度センサ38と渡り導線36は、接した状態で一緒に、つまり一体となった状態でハウジング42に収められている。これにより、渡り導線36の側方周囲がハウジング42により取り囲まれる。ハウジング42は、角筒形状のハウジング本体44と、ハウジング本体44と渡り導線36の間に配置される緩衝材46を含む。ハウジング本体44は、弾性のある材料、例えば適切な樹脂で構成され、一つの側面には、渡り導線36が延びる方向に沿って切れ目48が入れられている。通常、切れ目48は、ハウジング本体44の弾性により閉じているが、この弾性に抗して開くことができる。渡り導線36および温度センサ38を内部に収容するときには、切れ目48を開く。
緩衝材46は、柔軟な材料、例えばゴムで構成することができる。図4に示すように、緩衝材46は温度センサ38の周囲には配置されず、温度センサ38に接触しないようにされている。渡り導線36の、温度センサ38が配置されていない面には、全面に緩衝材46を配置するようにできる。また、図5に示すように、ハウジング42の、渡り導線36が延びる方向、すなわちハウジングの長手方向の端部では、渡り導線36の全周に対応して緩衝材46が配置される。渡り導線36の、温度センサ38が配置される側面においては、ハウジングの長手方向において、緩衝材46と温度センサ38が接触しないように、二つに分けて配置される。
ハウジング42の両端部においては、渡り導線36の全周にわたって緩衝材46が配置され、ハウジング本体44と渡り導線36の間を封止する。これにより、ハウジング42内部に潤滑油の浸入が防止される。また、渡り導線36には、柔軟材料製の緩衝材46で接しているので、損傷が防止される。緩衝材46は、ハウジング42の両側の端部にのみ配置されてもよい。両側を緩衝材46で支持していれば、中間部分は、ハウジング本体44と間隔が開き、直接接触せず、損傷を受けることが防止される。また、温度センサ38には、緩衝材46が接していないので、緩衝材46の温度の影響を受けずに、渡り導線36、すなわちコイル導線の温度を検出することができる。
温度センサ38のコイルエンド30上の位置は、ハウジング42の長手方向が水平方向になる位置が望ましい。前述のように、渡り導線36は回転電機のほぼ径方向に延びているので、回転軸16と同じ高さに配置することでハウジング42が水平方向となる。ハウジング42を水平方向に配置することで、図3の矢印50に示すように潤滑油が横方向からかかる。矢印52のようにコイルエンドの長手方向から潤滑油が掛かると、渡り導線36に沿ってハウジング内に浸入しやすくなるので、水平方向に配置し、潤滑油が横方向から掛かる位置とすることが好ましい。このようにハウジング42を水平方向に配置すると、ハウジング42の筒形状の端は横を向き、ここから内部に流れ込もうとする潤滑油は少ない。よって、この場合、ハウジングの端部において若干の隙間があっても、潤滑油が直接温度センサに掛かる場合に比べて、温度検出に対する影響を少なくすることができる。
また、渡り導線36をコイルエンド30の他の部分から離して隙間を設けておくことにより、ハウジング42を渡り導線36とコイルエンド30の他の部分の間に入れやすくなる。
ハウジングの切り目48は直線状であるが、切れ目をより強固に係合させるために、嵌合形状としてよい。例えば、図6は、アリ溝形状の切れ目54を採用した例である。切れ目54の一方の面にアリ溝を形成し、他方の面には、このアリ溝に嵌り合う突起を設け、これらを係合する。また、図7は、切れ目56の互いに対向する面に爪58a,58bを設ける。爪58a,58bは、切れ目56を閉じ合わせるときには、形成された斜面により撓み、閉じ合わせた位置となると、互いに段差が噛み合って係合する。これらにより、ハウジングを確実に閉じた状態に維持することができる。また、ハウジングは、筒形状の部材を長手方向に二つに割った2個の部品から構成してもよい。
回転電機10においては、温度センサ38およびハウジング42を渡り導線36に取り付けた。これは、渡り導線36が、コイルエンド30を構成する他のコイル導線の外側に位置し、温度センサ38等を取り付けやすいためである。コイルエンド30を構成する渡り導線以外のコイル導線に温度センサ等を取り付けることもできる。この場合、温度センサ等を取り付けるコイル導線は、他のコイルエンド30を構成するコイル導線から少し離して、浮かせた状態とすることで、渡り導線36と同様、温度センサおよびハウジングを取り付けやすくなる。
本発明に係る他の態様として、以下の温度センサを収容するハウジングが提供される。回転電機のステータコイルの温度を検出するための温度センサを収容するハウジングは、ステータコイルのコイルエンド部分のコイル導線に前記温度センサを接触させ、温度センサと、コイル導線の温度センサが接する部分とを一体的に囲み、収容する。
10 回転電機、14 潤滑油、16 回転軸、20 ステータ、22 ステータコア、26 コイル導線、36 渡り導線、38 温度センサ、42 ハウジング、44 ハウジング本体、46 緩衝材、48,54,58 切れ目。

Claims (4)

  1. 液体をコイルに直接接触させて冷却を行う回転電機のステータであって、
    ステータコアと、
    ステータコアに巻回されてコイルを形成するコイル導線と、
    コイル導線のコイルエンド部分に接して配置される温度センサと、
    温度センサと、コイル導線の温度センサに接する部分とを一体的に囲み、収容するハウジングと、
    を有する、回転電機のステータ。
  2. 請求項1に記載の回転電機のステータであって、
    前記ハウジングは、当該ハウジングが収容するコイル導線に沿う方向における両端部に柔軟性を有する緩衝材を有し、
    緩衝材は、コイル導線の全周を囲み、ハウジング内部を密封する、
    回転電機のステータ。
  3. 請求項2に記載の回転電機のステータであって、前記緩衝材は、温度センサに接触しないよう配置される、回転電機のステータ。
  4. 請求項2または3に記載の回転電機のステータであって、
    前記ハウジングは弾性材料からなるハウジング本体を有し、ハウジング本体にはハウジングが収容するコイル導線に沿う方向に切れ目が入れられ、この切れ目を開いてコイル導線と温度センサをハウジング本体内部に入れて収容し、収容後はハウジング本体の弾性により切れ目が閉じ合わされる、
    回転電機のステータ。
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