以下、図面を参照しながら、本発明に係る防護板姿勢保持具及び地中埋設物保護構造について説明する。この実施形態では、地中電力ケーブル2回線で送電する場合であって、2つの管路1,2を並べて布設する場合を挙げている。
図1に示すスペーサー101は防護板姿勢保持具の一例を構成するものであり、例えば、地中に埋設される埋設物の一例となる2つの管路1,2と防護板10との間に配置されるものである。管路1,2は、高電圧や超高電圧ケーブル等を収納した地中送電線用の収納部材である(管路埋設式)。
管路1,2には、これに加わる車両その他の重量物の圧力に耐えられるものが使用される。例えば、管路1,2には鋼管、コンクリート管、合成樹脂管、陶管等が使用される。防護板10には車両その他の重量物の圧力から2つの管路1,2を保護するコンクリート板が使用される。埋設物は管路1,2に限られることはなく、暗きょ式の地中送電線路や直接埋設式の地中送電線路であってもよい。
スペーサー101は、管路布設後、埋め戻し土を転圧し易いように組み立て式となされ、例えば、基礎部材11a,11b、立設部材12a〜12d及び載置部材13a,13bを備えて構成される。基礎部材11a,11b、立設部材12a〜12d及び載置部材13a,13bには所定の太さを有した鋼線や、ステンレス棒等が使用される。もちろん、鉄筋部材を防食処理したものを使用してもよい。
基礎部材11a,11bは管路1,2の埋設位置の上方に設けられる。この例で基礎部材11a等は、管路1の外周面に沿った一方の半円弧と、管路2の外周面に沿った半円弧との間が接続された数字の「3」の形状(メガネフレーム状)を有している。
基礎部材11aの所定位置、例えば、その各々の円弧頂点部分には、立設部材12a,12bの一端が取り付けられて、管路1,2と防護板10との間の一方側の離間距離を保持する。立設部材12a,12bは、例えば、基礎部材11aに電気又はガス溶接により接合される。立設部材12aの他端にはフック部121が設けられ、立設部材12bの他端にもフック部122が設けられる。
基礎部材11bの所定位置、例えば、その各々の円弧頂点部分には、立設部材12c,12dの一端が取り付けられて、管路1,2と防護板10との間の他方側の離間距離を保持する。立設部材12c,12dも同様にして基礎部材11bに接合される。立設部材12cの他端にはフック部123が設けられ、立設部材12dの他端にもフック部124が設けられる。
上述の立設部材12aのフック部121及び立設部材12bのフック部122は載置部材13aに取り付けられる。載置部材13aは枠状を成し、両側に防護板10のずれを止める柵状の止め部301,302を備え、その内側の所定位置に梁部311,312を備えた格子(籠)構造を有している。梁部311,312は、載置部材13aの枠状部を橋架するように設けられる。この例で、梁部311,312及び載置部材13aの左右(前後)の枠状部を結ぶ四辺が成す平面が、防護板載置時の防護板10の基準面を構成するようになる。
立設部材12aのフック部121は載置部材13aの梁部311に引っ掛けられ、立設部材12bのフック部122は梁部312に引っ掛けられる。載置部材13aは、防護板10を載置するように施工される。載置部材13aは、少なくとも、四隅に連設用のフック部131〜134を有している。
上述の立設部材12cのフック部123及び立設部材12dのフック部124は載置部材13bに取り付けられる。載置部材13bは、両側に防護板10のずれを止める柵状の止め部303,304を備え、その内側の所定位置に梁部313,314を備えた格子(籠)構造を有している。梁部313,314も梁部311,312と同様に設けられ、梁部313,314及び載置部材13bの左右(前後)の枠状部を結ぶ平面が、防護板載置時の防護板10の基準面を構成するようになる。
立設部材12cのフック部123は載置部材13bの梁部313に引っ掛けられ、立設部材12dのフック部124は梁部314に引っ掛けられる。載置部材13bは、防護板10を載置するように施工される。載置部材13bは、少なくとも、四隅に連設用のフック部135〜138を有する。この連設用のフック部131〜138を使用して複数の載置部材13a,13b等を配設するようになされる。
続いて、図2を参照して、スペーサー101の地中埋設時の連設例について説明する。図2に示すスペーサー101の地中埋設時の連設例によれば、載置部材13aと、隣接する他方の載置部材13bとは、一方の側でフック部133がフック部135に引っ掛けられて接続され、他方の側でフック部134がフック部136に引っ掛けられて接続される。同様にして図示しない他の載置部材も接続される。
更に、一方の側の基礎部材11aと、隣接する他方の基礎部材11bとの間には接続部材14a,14cが更に設けられる。例えば、接続部材14aの一端にはフック部141が設けられ、その他端にはフック部143が設けられる。接続部材14cの一端にはフック部145が設けられ、その他端にはフック部146が設けられる。接続部材14aの一方のフック部141は基礎部材11aの一方の側に引っ掛けられる。他方のフック部143は接続部材14cの一方のフック部145に引っ掛けられる。接続部材14cの他方のフック部147は基礎部材11bの一方の側に引っ掛けられる。
また、他方の側の基礎部材11aと、隣接する他方の基礎部材11bとの間には接続部材14b,14dが更に設けられる。接続部材14bの一端には上向きのフック部142が設けられ、その他端には下向きのフック部144が設けられる。接続部材14dの一端にはフック部147が設けられ、その他端にはフック部148が設けられる。接続部材14bの一方のフック部142は基礎部材11aの他方の側に引っ掛けられる。その他方のフック部144は接続部材14dの一方のフック部146に引っ掛けられる。接続部材14dの他方のフック部148は、基礎部材11bの他方の側に引っ掛けられる。
上述の載置部材13aのフック部133,134、載置部材13bのフック部135,136及び接続部材14a〜14d等を使用すると、地中埋設時、電線ケーブルを収納した管路1,2上の長さ方向に沿って複数の載置部材13a,13b等を容易に連続して配設できるようになる。上述の接続部材14a〜14dには所定の太さを有した鋼線や、ステンレス棒等が使用される。もちろん、鉄筋部材を防食処理したものを使用してもよい。
このように実施形態としてのスペーサー101によれば、地中に埋設される管路1,2を防護板10によって保護する場合に、基礎部材11a,11bは管路1,2の埋設位置に設けられる。立設部材12a,12bは、各々の一端が基礎部材11aの所定位置に取り付けられて管路1,2と防護板10との間の離間距離を保持する。立設部材12c,12dは、各々の一端が基礎部材11bの所定位置に取り付けられて管路1,2と防護板10との間の離間距離を保持する。載置部材13aは、両側に止め部301,302を有し、立設部材12a,12bの他端が取り付けられて防護板10を載置する。載置部材13bは、両側に止め部303,304を有し、立設部材12c,12dの他端が取り付けられて防護板10を載置する。
この構造によって、地中に埋設された管路1,2の上方に防護板10を容易に設置できるようになる。しかも、当該管路1,2に隣接する地面を掘削した場合に、防護板10が載置部材13aの両側の止め部301,302に阻止され、かつ、載置部材13bの両側の止め部303,304に阻止され、防護板10が載置部材13a,13bから脱落することを防止できる。
続いて、図3及び図4を参照して、本発明に係る第1の実施例としての地中送電線路保護構造#1について説明する。図3に示す地中送電線路保護構造#1は、地中埋設物保護構造の一例を構成し、複数のコンクリート板10a〜10j及び、本発明に係るスペーサー101を備え、地中送電用のケーブルを収納した管路1,2を保護する構造である。管路1,2には、例えば、公称電圧22kVの地中送電ケーブルが収納される。ケーブルにはCVケーブルや、鎧装を有するケーブルの他にOFケーブルが使用される。管路1,2は管径が200mm以下である場合に、地表面から0.6m以上の深さに埋設される。例えば、地表面から1.2mの深さに地中送電用のケーブルを収納した管路1,2を埋設する。
この例では、スペーサー101の全体(全部)が管路1,2の上方に設けられている。スペーサー101は、少なくとも、管路1,2を跨る跨座構造を有し、管路1,2の長さ方向に沿って複数設けられる。スペーサー101は、実施形態で説明したように、基礎部材11a,11b、立設部材12a〜12d及び載置部材13a,13bを備えて構成される。
基礎部材11a,11bは2つの半円弧状を成して、管路1,2の埋設位置に設けられる(図4参照)。立設部材12a,12bの各々の一端は、基礎部材11aの所定位置に溶接される。立設部材12aの他端はフック部121となされ、立設部材12bの他端はフック部122となされている。立設部材12a,12bはその立設方向に所定の長さLを有して、管路1,2と載置部材13aとの間の離間距離を保持する。立設部材12a,12b等の長さLは、例えば、0.5mである。
立設部材12c,12dの各々の一端は、基礎部材11bの所定位置に溶接される。立設部材12cの他端はフック部123となされ、立設部材12dの他端はフック部124となされている。立設部材12c,12dは、管路1,2と載置部材13bとの間の離間距離を保持する。
地中送電線路保護構造#1によれば、立設部材12aのフック部121及び、立設部材12bのフック部122を載置部材13aに引っ掛け、かつ、立設部材12cのフック部123及び立設部材12dのフック部124を載置部材13bに引っ掛けて組み立てられる。これにより、地中送電線路保護構造#1において、容易にスペーサー101を組み立てることができる。
更に、基礎部材11aの一方の側と、隣接する基礎部材11bの一方の側との間は、接続部材14a及び接続部材14cを介して接続される(図2参照)。また、図3に示すように基礎部材11aの他方の側と、隣接する基礎部材11bの他方の側との間は、接続部材14b及び接続部材14dを介して接続される。このように構成すると、基礎部材11a,11b間が接続部材14a〜14dによって接続され、接続後の基礎部材11a,11bによって載置部材13a,13bを立設部材12a〜12dを介して支持できるようになる。
載置部材13aは、両側に柵状の止め部301,302を有し、立設部材12a,12bの他端に取り付けられる。例えば、立設部材12aのフック部121が図4に示す載置部材13aの梁部311に引っ掛けられる。立設部材12bのフック部122が同図に示す載置部材13aの梁部312に引っ掛けられる。載置部材13aは、四隅に設けられた連設用のフック部131〜134を使用して、隣接する他の載置部材13b等に接続される。載置部材13aは、例えば、4個のコンクリート板10a〜10dを載置する。コンクリート板10a等の大きさは、図3に示すように、幅がwで、高さがhで、長さがl(図4参照)である。
載置部材13bも、両側に柵状の止め部303,304を有し、立設部材12c,12dの他端に取り付けられる。例えば、立設部材12cのフック部123が図2に示した載置部材13bの梁部313に引っ掛けられる。立設部材12dのフック部124が同図に示した載置部材13bの梁部314に引っ掛けられる。載置部材13bは、四隅に設けられた連設用のフック部135〜138を使用して、隣接する他の載置部材13b等に接続される。載置部材13bは4個のコンクリート板10g〜10jを載置する。
この例では、載置部材13a及び載置部材13bの連結部分には、2個のコンクリート板10e,10fが載置される。これにより、10個のコンクリート板10a〜10jをスペーサー101に載置し、その後、当該スペーサー101及びコンクリート板10a〜10jを埋設するようになされる。土砂埋め戻し後、立設部材12a〜12dの支持機能は、載置部材13a及び載置部材13b含むコンクリート板10a〜10jと管路1,2との間に埋め戻された土砂によって補強される。
続いて、図5を参照して、地中送電線路保護構造#1の機能例について説明する。図5に示す地中送電線路保護構造#1によれば、当該管路1,2に隣接する地面GLを掘削した場合に、スペーサー101が脱落防止機能を発揮する。この脱落防止機能によれば、載置部材13aの側面の土砂が掘削されても、コンクリート板10aが載置部材13aの一方の側の柵状の止め部301に阻止され、かつ、コンクリート板10bが載置部材13aの他方の側の柵状の止め部302に阻止され、コンクリート板10a,10bが載置部材13aから脱落することを防止できる。
図3に示した2列目のコンクリート板10cも、載置部材13aの一方の側の止め部301に阻止され、同じ列のコンクリート板10dが載置部材13aの他方の止め部302に阻止され、当該載置部材13aからコンクリート板10c,10dの脱落することを防止できる。また、3列目のコンクリート板10eが載置部材13aの一方の側の止め部301と、載置部材13bの一方の側の止め部303との両方に阻止され、コンクリート板10eが脱落することを防止できる。
同様にして、同じ列のコンクリート板10fが載置部材13aの他方の側の止め部302と、載置部材13bの他方の側の止め部304との両方に阻止され、コンクリート板10fが脱落することを防止できる。
更に、4,5列目のコンクリート板10g,10iが載置部材13bの一方の側の柵状の止め部303に阻止され、コンクリート板10h,10jが載置部材13bの他方の側の柵状の止め部304に阻止され、コンクリート板10g〜10jが載置部材13bから脱落することを防止できる。このように、管路1,2とコンクリート板10a〜10jとの間に、下部支え用のスペーサー101を取り付けることにより、他社の隣接工事により地盤が緩んでも、コンクリート板10a〜10jの崩壊を防止できるようになる。
続いて、図6〜図8を参照して、地中送電線路保護構造#1の施工例について説明する。この実施例では、地中に埋設された管路1,2の上方にコンクリート板10a〜10j等を施工する場合であって、公称電圧22kVの超高圧地中送電線路2回線を布設する場合を想定し、管路布設後、埋め戻し土を転圧し易いように、本発明に係る組み立て式のスペーサー101を使用する。
スペーサー101は、基礎部材11a,11b、立設部材12a〜12d及び載置部材13a,13b等を備えて構成される。基礎部材11aには、間隔保持用の立設部材12a,12bが溶接され、基礎部材11bにも立設部材12c,12dが溶接されたものを準備する。図中では、基礎部材11a、立設部材12a,12b及び載置部材13aのみを記述する。基礎部材11a、立設部材12a,12b及び載置部材13aには所定の太さを有した鋼線が使用される。もちろん、鉄筋部材を防食処理したものを使用してもよい。
まず、図6Aに示す幅がW[m]で、深さがD[m]の掘削穴部5に、2回線の超高圧地中送電線路を引き入れるための管路1,2を布設する。幅Wは例えば、1.0[m]で、深さDが1.5[m]である。管路1,2の管径は、例えば、200mmである。管路1,2には、鋼管、コンクリート管、合成樹脂管又は陶管等を使用する。鋼管には配管用炭素鋼鋼管、ポリエチレン被覆鋼管、鋼製電線管が含まれる。配管用炭素鋼鋼管及び鋼製電線管は、管体に防食テープを巻き、ライニング等の防食処理を施すようになされる。コンクリート管には、遠心力鉄筋コンクリート管が含まれる。合成樹脂管には硬質ビニル電線管、硬質塩化ビニル管、波付き硬質合成樹脂管が含まれる。陶管には、多孔陶管が含まれる。
次に、図6Bに示す管路1,2上に基礎部材11aを載置する。基礎部材11aには、一方の円弧と、他方の円弧との間を接続した数字の「3」の形状を有し、かつ、立設方向の長さLが、例えば、0.5mの立設部材12a,12bを溶接したものを準備する。この管路1,2上に基礎部材11aを載置するとき、一方の円弧が管路1の外周面に沿うように、また、他方の円弧が管路2の外周面に沿うように基礎部材11aを配設する。基礎部材11bも管路1,2の埋設位置に設ける。
更に、図2に示したような接続部材14a,14b等を組み付ける。例えば、接続部材14aのフック部141は基礎部材11aの一方の側に引っ掛けられる。接続部材14bのフック部142は基礎部材11aの他方の側に引っ掛けられる。これにより、管路1,2の埋設位置の上方に離間距離保持用の立設部材12a,12bが設けられた基礎部材11aを配設できるようになる。
その後、図7Aに示す立設部材12aのフック部121及び、立設部材12bのフック部122の部分まで土砂を埋め戻す。そして、図7Aに示す防護板受け止め用の載置部材13aを立設部材12aに取り付ける。載置部材13aには、四隅に連設用のフック部131〜134が設けられ、両側に柵状の止め部301,302を備え、その内側の所定位置に梁部311,312を備えた格子構造のものを使用する。このとき、図2に示したように、載置部材13aと、隣接する他方の載置部材13bとは、一方の側でフック部133がフック部135に引っ掛けられて接続され、他方の側でフック部134がフック部136に引っ掛けられて接続される。
その後、図7Bに示す載置部材13aには、4個のコンクリート板10a〜10dを載置する。この例ではコンクリート板10a,10b等を管路1,2に沿って2列縦隊で並べる。載置部材13a,13bの連設部分には2個のコンクリート板10e,10fを載置し、載置部材13bには4個のコンクリート板10g〜10jを載置する。コンクリート板10a〜10jにはコンクリート板を使用する。コンクリート板の大きさは、長さがl[m]で幅がw[m]で、高さがh[m]である。例えば、コンクリート板は、長さlが0.6[m]で幅wが0.6[m]で、高さhが0.05[m]程度である。
そして、図8に示すコンクリート板10a,10b、載置部材13a上に土砂を埋め戻す。埋め戻しには掘削時の土砂の他に、山砂や、川砂等を使用してもよい。その際に埋設標識テープ(シート)を埋設してもよい。例えば、地表面から0.5mの深さであって、概略2mの間隔で耐久性のあるケーブル標識シートを2列縦隊のコンクリート板10a〜10jの直上の地中に連続して埋設する。これにより、地中送電線路保護構造#1が完成する。
このように、第1の実施例としての地中送電線路保護構造#1によれば、公称電圧22kVの地中送電線路2回線を地中に布設する場合であって、管路1,2を10個のコンクリート板10a〜10f等で保護する場合に、本発明に係るスペーサー101が管路1,2の上方に設けられる。このスペーサー101にはコンクリート板10a〜10jが載置される。この構造によって、地中に埋設された管路1,2の上方のコンクリート板10a〜10jの姿勢を維持できるようになる。
しかも、当該管路1,2に隣接する地面GLを掘削した場合に、コンクリート板10a,10cが載置部材13aの一方の側の止め部301に阻止され、コンクリート板10b,10dが載置部材13aの他方の止め部302に阻止され、当該載置部材13aからコンクリート板10a〜10dの脱落することを防止できる。
また、コンクリート板10eが載置部材13aの一方の側の止め部301と、載置部材13bの一方の側の止め部303との両方に阻止され、コンクリート板10eが脱落することを防止できる。同様にして、コンクリート板10fが載置部材13aの他方の側の止め部302と、載置部材13bの他方の側の止め部304との両方に阻止され、コンクリート板10fが脱落することを防止できる。更に、コンクリート板10g,10iが載置部材13bの一方の側の止め部303に阻止され、コンクリート板10h,10jが載置部材13bの他方の側の止め部304に阻止され、コンクリート板10g〜10jが載置部材13bから脱落することを防止できる。
また、コンクリート板10a,10b等を一時除去し、再度、コンクリート板10a,10bを設置するような場合に、梁部311,312及び載置部材13aの左右(前後)の枠状部を結ぶ四辺が防護板載置時の基準面を構成するようになる。従って、当該コンクリート板10aと隣接する他のコンクリート板10c,10d等との平行を容易に保つことができる。
続いて、図9を参照して、第2の実施例としての地中送電線路保護構造#2の埋設例について説明する。図9に示す地中送電線路保護構造#2は、地中埋設物保護構造の他の一例を構成し、複数のコンクリート板10a及び本発明に係るスペーサー102を備え、超高圧地中送電用のケーブルを収納した管路1を保護する構造である。管路1には、第1の実施例と同様にして、公称電圧22kVの1回線の地中送電ケーブルが収納される。ケーブルにはCVケーブルや、鎧装を有するケーブルの他にOFケーブルが使用される。管路1は地表面から0.6m以上の深さに埋設される。
この例では、スペーサー102の全体が管路1の上方に設けられている。スペーサー102は少なくとも、管路1を跨る跨座構造を有し、管路1の長さ方向に沿って複数設けられる。第1の実施例で説明したスペーサー101を2回線用とするならば、スペーサー102は1回線用であり、基礎部材11c、立設部材12e等及び載置部材13c等を備えて構成される。
基礎部材11cは単一の半円弧状を成して、管路1の埋設位置に設けられる。立設部材12eの一端は、基礎部材11cの所定位置に溶接される。立設部材12eの他端はフック部125となされる。立設部材12eに隣接する他の立設部材も同様に構成される。立設部材12e等は管路1と載置部材13cとの間の離間距離を保持する。基礎部材11cに隣接する他の基礎部材も同様に構成される。地中送電線路保護構造#2によれば、立設部材12eのフック部125を載置部材13cに引っ掛けて組み立てられる。これにより、地中送電線路保護構造#2においても、容易にスペーサー102を組み立てることができる。
更に、基礎部材11cの一方の側と、隣接する図示しない基礎部材の一方の側との間は、図9に示すような接続部材14a及び接続部材14c(図示せず)を介して接続される。また、基礎部材11cの他方の側と、隣接する図示しない基礎部材の他方の側との間は、図9に示すような接続部材14b及び接続部材14d(図示せず)を介して接続される。このように構成すると、基礎部材11c及び隣接する基礎部材間が接続部材14a〜14dによって接続され、接続後の基礎部材11c及び隣接する基礎部材によって載置部材13cを立設部材12e及び隣接する載置部材を介して支持できるようになる。
載置部材13cは、両側に柵状の止め部305,306を有し、立設部材12eの他端に取り付けられる。例えば、立設部材12eのフック部125が図9に示す載置部材13cの梁部315に引っ掛けられる。載置部材13cは、図示しない四隅に設けられた連設用のフック部を使用して、隣接する他の載置部材に接続される。載置部材13cは、例えば、2個のコンクリート板10a等を縦列に載置する。コンクリート板10a等の大きさは、第1の実施例と同様であるので、その説明を省略する。
この例では、載置部材13cと、隣接する他の載置部材との連結部分には、図示しない1個のコンクリート板が載置される。これにより、複数のコンクリート板10a等をスペーサー102に載置し、その後、当該スペーサー102及びコンクリート板10a等を埋設することで、地中送電線路保護構造#2が得られる。
このように第2の実施例としての地中送電線路保護構造#2によれば、管路1を跨る跨座構造を有した、単一の半円弧状のスペーサー102を備え、基礎部材11cによって載置部材13cを立設部材12eを介して支持するので、地中に埋設された管路1の上方のコンクリート板10a等の姿勢を維持できるようになる。しかも、電線ケーブルを収納した管路1の上方にスペーサー102を容易に配設することができる。
当該管路1に隣接する地面GLを掘削した場合に、コンクリート板10a等が載置部材13eの両側の止め部305,306に阻止され、当該載置部材13eからコンクリート板10a等の脱落することを防止できる。また、コンクリート板10a等を一時除去し、再度、コンクリート板10a等を設置するような場合に、第1の実施例と同様にして、当該コンクリート板10aと隣接する他のコンクリート板との平行を容易に保つことができる。
続いて、図10を参照して、第3の実施例としての地中送電線路保護構造#3の埋設例について説明する。図10に示す地中送電線路保護構造#3は、地中埋設物保護構造の他の一例を構成し、複数のコンクリート板10a及び本発明に係るスペーサー103を備え、超高圧地中送電用のケーブルを収納した管路1を保護する構造である。管路1には、第1の実施例と同様にして、公称電圧22kVの1回線の地中送電ケーブルが収納される。ケーブルにはCVケーブルや、鎧装を有するケーブルの他にOFケーブルが使用される。管路1は地表面から0.6m以上の深さに埋設される。
この例では、スペーサー103の全体が管路1の上方に設けられている。スペーサー103は少なくとも、管路1を跨る跨座構造を有し、管路1の長さ方向に沿って複数設けられる。スペーサー103は第2の実施例と同様にして1回線用であり、基礎部材11d、立設部材12f等及び載置部材13c等を備えて構成される。
基礎部材11dは単一のコ状を成して、管路1の埋設位置に設けられる。立設部材12fの一端は、基礎部材11dの所定位置に溶接される。立設部材12fの他端はフック部126となされる。立設部材12fに隣接する他の立設部材も同様に構成される。立設部材12f等は管路1と載置部材13cとの間の離間距離を保持する。基礎部材11dに隣接する他の基礎部材も同様に構成される。地中送電線路保護構造#3によれば、立設部材12fのフック部126を載置部材13cに引っ掛けて組み立てられる。これにより、地中送電線路保護構造#3においても、容易にスペーサー103を組み立てることができる。
更に、基礎部材11dの一方の側と、隣接する図示しない基礎部材の一方の側との間は、図10に示すような接続部材14a及び接続部材14c(図示せず)を介して接続される。また、基礎部材11dの他方の側と、隣接する図示しない基礎部材の他方の側との間は、図10に示すような接続部材14b及び接続部材14d(図示せず)を介して接続される。このように構成すると、基礎部材11d及び隣接する基礎部材間が接続部材14a〜14dによって接続され、接続後の基礎部材11d及び隣接する基礎部材によって載置部材13cを立設部材12f及び隣接する載置部材を介して支持できるようになる。載置部材13cについては、第2の実施例と同様であるので、その説明を省略する。
このように第3の実施例としての地中送電線路保護構造#3によれば、管路1を跨る跨座構造を有した、コ状のスペーサー103を備え、基礎部材11dによって載置部材13cを立設部材12fを介して支持するので、地中に埋設された管路1の上方のコンクリート板10a等の姿勢を維持できるようになる。しかも、電線ケーブルを収納した管路1の上方にスペーサー103を容易に配設することができる。
当該管路1に隣接する地面GLを掘削した場合に、コンクリート板10a等が載置部材13eの両側の止め部305,306に阻止され、当該載置部材13eからコンクリート板10a等の脱落することを防止できる。また、コンクリート板10a等を一時除去し、再度、コンクリート板10a等を設置するような場合に、当該コンクリート板10aと隣接する他のコンクリート板との平行を容易に保つことができる。
続いて、図11を参照して、第4の実施例としての地中送電線路保護構造#4の埋設例について説明する。図11に示す地中送電線路保護構造#4は、地中埋設物保護構造の他の一例を構成し、複数のコンクリート板10a及び本発明に係るスペーサー104を備え、超高圧地中送電用のケーブルを収納した管路1を保護する構造である。管路1には、第1の実施例と同様にして、公称電圧22kVの1回線の地中送電ケーブルが収納される。ケーブルにはCVケーブルや、鎧装を有するケーブルの他にOFケーブルが使用される。管路1は地表面から0.6m以上の深さに埋設される。
この例では、スペーサー104の一部が管路1の上方に設けられ、他の一部が管路1の下方に設けられている。スペーサー104は少なくとも、管路1を受ける枕構造を有し、管路1の長さ方向に沿って複数設けられる。スペーサー104は第2及び第3の実施例と同様にして1回線用であり、基礎部材15、立設部材12g,12h及び載置部材13d等を備えて構成される。
基礎部材15は単一の管路1を受ける枕状の長方体を成して、管路1の埋設位置の下方に設けられる。基礎部材15は、その上部に管路1を受ける半円弧状の凹部を有している。底部は、その上部に比べて幅が広がり、上部面積に比べて底部面積が広くなされる。断面形状は末広がりの台形状を成している。この形状によると基礎部材15の座り具合がよくなる。
立設部材12g,12hの一端は、基礎部材15の所定位置にネジ止めされる。例えば、基礎部材15の所定の位置に1対の雌ねじが設けられ、立設部材12g,12hの一端に雄ネジが施される。この例では、基礎部材15の一方の側の雌ねじに、立設部材12gの雄ネジが螺合されて第1のネジ構造16aを構成する。基礎部材15の他方の側の雌ねじに、立設部材12hの雄ネジが螺合されて第2のネジ構造16bを構成する。もちろん、固定方法は、ネジ止めに限られることはなく、単なる有底状の1対の穴部を基礎部材15の所定の位置に設け、この穴部に立設部材12g,12hの一端を差し込むように装着してもよい。
立設部材12gの他端は第1〜第3の実施例と同様にして、フック部127となされ、立設部材12hの他端もフック部128となされる。立設部材12g,12hに隣接する他の立設部材も同様に構成される。立設部材12g,12h等は管路1と載置部材13dとの間の離間距離を保持する。基礎部材15に隣接する他の基礎部材も同様に構成される。この例で、載置部材13dは、2つの梁部316,317を有している。
地中送電線路保護構造#4によれば、立設部材12gのフック部127を載置部材13dの梁部316に引っ掛け、立設部材12hのフック部128を載置部材13dの梁部317に引っ掛けて組み立てられる。これにより、地中送電線路保護構造#4においても、容易にスペーサー104を組み立てることができる。
なお、基礎部材15の断面形状を台形状としたことで、第1〜第3の実施例で使用していた接続部材14a〜14dを省略することができる。もちろん、接続部材14a〜14dを取り付ける構造を採用してもよい。載置部材13dについては、2つの梁部316,317が設けられる他は、第2及び第3の実施例と同様であるので、その説明を省略する。
このように第4の実施例としての地中送電線路保護構造#4によれば、管路1を受ける枕構造を有したスペーサー104を備え、基礎部材15が立設部材12g,12hを介して載置部材13dを支持するので、地中に埋設された管路1の上方のコンクリート板10a等の姿勢を維持できるようになる。しかも、電線ケーブルを収納した管路1の上方にスペーサー104を容易に配設することができる。
当該管路1に隣接する地面GLを掘削した場合に、コンクリート板10a等が載置部材13dの両側の止め部305,306に阻止され、当該載置部材13dからコンクリート板10a等の脱落することを防止できる。また、コンクリート板10a等を一時除去し、再度、コンクリート板10a等を設置するような場合に、当該コンクリート板10aと隣接する他のコンクリート板との平行を容易に保つことができる。なお、第1〜第4の実施例では管路埋設式の場合について説明したが、これに限られることはなく、暗きょ式や、直接埋設式等により地中送電線路を布設してもよい。
続いて、図12を参照して、第5の実施例としての地中送電線路保護構造#5の埋設例について説明する。図12に示す地中送電線路保護構造#5は、地中埋設物保護構造の他の一例を構成し、複数のコンクリート板10a及び本発明に係るスペーサー105を備え、超高圧地中送電用のケーブルを収納したトラフ17を保護する構造である。トラフ17には、第1〜第4の実施例とは異なり、公称電圧22kVの1回線の地中送電ケーブルが直接収納される(直接埋設式)。トラフ17は車両その他の重量物の圧力を受けるおそれが有る場所では、地表面を基準にして1.2m以上の深さに埋設され、その他の場所は0.6m以上の深さに埋設される。
この例では、スペーサー105の全体がトラフ17の上方に設けられている。スペーサー105が使用されるトラフ17は、少なくとも、ケーブルを収納する溝部17aと、当該溝部17aに蓋をする蓋部17bから構成される。ケーブルにはCVケーブルや、鎧装を有するケーブルの他にOFケーブルが使用される。
スペーサー105は、トラフ17の長さ方向に沿って複数設けられる。スペーサー105は第2〜第4の実施例と同様にして1回線用であり、立設部材12g,12h及び載置部材13d等を備えて構成される。なお、トラフ17の蓋部17bが基礎部材を兼用する。蓋部17bは平板状を成して、溝部17aの埋設位置上方から覆うように施工される。
立設部材12g,12hの一端は、蓋部17bの所定位置にネジ止めされる。例えば、蓋部17bの所定の位置に1対の雌ねじが設けられ、立設部材12g,12hの一端に雄ネジが施される。この例では、蓋部17bの一方の側の雌ねじに、立設部材12gの雄ネジが螺合されて第1のネジ構造16aを構成する。蓋部17bの他方の側の雌ねじに、立設部材12hの雄ネジが螺合されて第2のネジ構造16bを構成する。もちろん、固定方法は、ネジ止めに限られることはなく、単なる有底状の1対の穴部を蓋部17bの所定の位置又は蓋部17bを貫いて溝部17aの側壁に到達する穴部を設け、この穴部に立設部材12g,12hの一端を挿入するように装着してもよい。このような係合構造を採ると、立設部材12g,12hで溝部17aに対して蓋部17bを固定できるようになる。
立設部材12gの他端は第1〜第4の実施例と同様にして、フック部127となされ、立設部材12hの他端もフック部128となされる。立設部材12g,12hに隣接する他の立設部材も同様に構成される。立設部材12g,12h等はトラフ17と載置部材13dとの間の離間距離を保持する。蓋部17bに隣接する他の基礎部材も同様に構成される。この例で、載置部材13dは、2つの梁部316,317を有している。
地中送電線路保護構造#5によれば、立設部材12gのフック部127を載置部材13dの梁部316に引っ掛け、立設部材12hのフック部128を載置部材13dの梁部317に引っ掛けて組み立てられる。これにより、地中送電線路保護構造#5においても、容易にスペーサー105を組み立てることができる。
なお、トラフ17の溝部17aの連続配置によって、第1〜第3の実施例で使用していた接続部材14a〜14dを省略することができる。もちろん、接続部材14a〜14dを取り付ける構造を採用してもよい。載置部材13dについては、2つの梁部316,317が設けられる他は、第2及び第3の実施例と同様であるので、その説明を省略する。
このように第5の実施例としての地中送電線路保護構造#5によれば、ケーブルを直接収納するトラフ17と、コンクリート板10a等の間にスペーサー105を備え、蓋部17bが立設部材12g,12hを介して載置部材13dを支持するので、地中に埋設されたトラフ17の上方のコンクリート板10a等の姿勢を維持できるようになる。しかも、電線ケーブルを収納したトラフ17の上方にスペーサー105を容易に配設することができる。
当該トラフ17に隣接する地面GLを掘削した場合に、コンクリート板10a等が載置部材13dの両側の止め部305,306に阻止され、当該載置部材13dからコンクリート板10a等の脱落することを防止できる。また、コンクリート板10a等を一時除去し、再度、コンクリート板10a等を設置するような場合に、当該コンクリート板10aと隣接する他のコンクリート板との平行を容易に保つことができる。