JP2012172216A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、加工性に格段に優れ、めっきムラもなく外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】鋼板表面にNi、Co、Feのうち一種含む合金のいずれかを含む第一のプレめっきを施し、この鋼板を焼鈍した後、更にその表面にNi,Co,Cu,Snのうち一種以上を含む第二のプレめっきを施し、次いで無酸化または還元雰囲気でめっき浴温−20℃以上、500℃以下の板温まで30℃/sec以上の昇温速度で急速加熱を行ったのち、Alを0.05〜0.25質量%含有するZnめっき浴中に浸漬して溶融めっきを行い、その後加熱合金化処理を行うことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に係り、詳しくは、プレめっきを行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関するものである。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、塗装密着性、塗装耐食性、溶接性などの点に優れることから、自動車用をはじめとして、家電、建材等に非常に多用されている。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は鋼板表面に溶融亜鉛をめっきした後、直ちに亜鉛の融点以上の温度に加熱保持して、鋼板中からFeを亜鉛中に拡散させることで、Zn−Fe合金を形成させるものであるが、鋼板の組成や組織によって合金化速度が大きく異なるため、その制御はかなり高度な技術を要する。
複雑な形状にプレスされる自動車用鋼板には、非常に高い成形性が要求され、合金化溶融亜鉛めっき層の合金化度などが成形性にも大きく影響する。また自動車ボディーに適用される際には、合金化度のムラに起因するめっきの外観ムラが自動車としての見栄えにも影響することから、めっき外観に対する要求も厳格化の一途をたどっている。
これらの要求に対し、合金化溶融亜鉛めっきの製造ラインの設備的な対策と、鋼材やめっき層の成分や構造に関する改良、開発が進められている。製造ラインには、鋼板の洗浄および焼鈍の点で特徴のある各種の様式が存在するが、一般的には以下の2種類である。それは、旧来からの無酸化炉−還元炉方式と、全還元炉方式である。無酸化炉−還元炉方式の特徴は、圧延油が付着したままの鋼板を無酸化炉で圧延油を燃焼、除去させることで焼鈍前の入側に脱脂セクションを持たずに、無酸化炉内で圧延油を焼却して、その後還元炉にて焼鈍し、連続して溶融めっきできるものである。溶融めっきの方式としては合理的であるものの、焼鈍後に残存する鋼板上の炭素によるめっき外観汚れが発生し、特に自動車のボディーなどの高い外観品位を要求される用途には適さない。このため昨今、無酸化炉の替わりに入側に脱脂のセクションを有することで、鋼板に付着した塗油を洗浄し炉内に持ち込まないようにする全還元炉方式が主流になっているのが現状である。
一方、前記のプロセスとは全く異なる製造方法も提案されている。例えば、特許文献1では、鋼板の表面にNiプレめっき層を0.2〜2g/m2めっき後、無酸化あるいは還元雰囲気中で板温430〜500℃に30℃/sec以上の昇温速度で急速加熱を行ったのちAl0.05〜0.25%含有するZnめっき浴中で溶融めっきし、ワイピング直上で470〜550℃で10〜40秒合金化加熱処理を行うことを特徴とする合金化溶融Znめっき鋼板の製造方法、が示されている。このプロセスは、鋼板の焼鈍とめっき濡れ性を確保するための表面活性化が別々になされており、表面活性化するためにプレめっきが必要になるなど、制約はあるものの、耐食性や加工性、塗装性など種々の点で一般法では得られない良好な特性を得ることが可能である。
しかしながら、この特許文献1に開示された技術のみでは、近年の加工性やめっき外観に対する要求の厳格化に対して十分とは言えない。特に、Tiを添加した極低炭素鋼板は、優れた深絞り性と延性が幅広い成分範囲で安定して得られることから、自動車用冷延鋼板あるいは自動車用電気亜鉛めっき鋼板の原板として、幅広く適用されてきた。しかし、鋼中T i の影響により結晶粒界が清浄化される為、合金化反応が結晶粒界で促進され、その結果、アウトバースト反応が起き易くなり過合金が進行しやすくパウダリング性が悪化するという問題を有している。
この問題に対して特許文献2、3、4では、Ti含有の極低炭素鋼板をはじめとする原板を用い、めっき条件を最適化して、適正な範囲に設定することで外観や加工性などの特性の向上を図っている。しかしながら未だ外観やパウダリング性の点で問題のないレベルには達していない。また、特許文献3では、浴温度の範囲を狭く設定する必要があり操業性上も問題がある。また特許文献4ではAlとNiを狭い範囲に限定する必要があって、やはり操業性上も問題がある。
特許第2783452 特開2007−84913号公報 特開2008−195987号公報 特開2009−280859号公報
上記に鑑み本発明は、焼鈍済みの鋼板にプレめっきを施したのち急速に加熱して、溶融亜鉛めっき、合金化を施す製造方法において、加工性に格段に優れ、めっきムラもなく外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、めっきムラやパウダリング性の点で問題が発生しやすいTi添加極低炭素鋼板を原板として用いても優れたパウダリング性とめっき外観の得られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨とするところは、
(1)鋼板表面にNi、Co、Feのうち一種以上を含む第一のプレめっきを施し、前記鋼板を焼鈍した後、更に前記鋼板の表面にNi,Co,Cu,Snのうち一種以上を含む第二のプレめっきを施し、次いで無酸化または還元雰囲気で[めっき浴温−20]℃以上、500℃以下の板温まで30℃/sec以上の昇温速度で急速加熱を行った後、Alを0.05〜0.25質量%含有するZnめっき浴中に浸漬して溶融めっきを行い、その後加熱合金化処理を行うことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(2)前記第一のプレめっきまたは前記第二のプレめっきは、さらにPを含有することを特徴とする(1)に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(3)前記焼鈍前に施す第一のプレめっきが、0.005〜0.5g/mのCoめっきであることを特徴とする(1)または(2)に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(4)前記焼鈍後の鋼板に施す第二のプレめっきが、0.01〜1g/mのNiめっきであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(5)前記鋼板が、C含有量が0.004質量%以下である極低炭素鋼板であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(6)前記極低炭素鋼板が、Tiを0.01〜0.1質量%含有することを特徴とする(5)に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によって、加工性に格段に優れ、筋状のめっきムラもなく外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、焼鈍前の鋼板に第一のプレめっき(以後、「焼鈍前のプレめっき」または「焼鈍前プレめっき」と記載)を施し、その鋼板を焼鈍した後に更に第二のプレめっき(以後「焼鈍前のプレめっき」または「焼鈍前プレめっき」と記載)を施し、無酸化または還元雰囲気で[めっき浴温−20]℃以上、500℃以下の板温まで30℃/sec以上の昇温速度で急速加熱を行ったのち、Alを0.05〜0.25%含有するZnめっき浴中で溶融めっきし、加熱合金化処理を行うことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
本発明最大の特徴は、焼鈍前プレめっきを施す点にある。この焼鈍前プレめっきの種類としては、Ni、Co、Feあるいはこれらの合金めっきが用いられる。焼鈍前に施す焼鈍前プレめっきの作用効果は以下述べる四点である。
まず、第一は、焼鈍前のプレめっきは、合金化溶融亜鉛めっきのムラを抑制し外観の向上に寄与する。めっきムラの多くは、めっきの原板となる鋼板表面における焼鈍過程よりも前の何らかの汚れ、疵、偏析等の不均一を原因として、焼鈍過程で鋼板の表層結晶粒が不均一となることが影響している。そのため、鋼板表面にNi、Co、Feあるいはこれら合金のプレめっきを施した上で焼鈍することで、これらが鋼板内部に拡散して表層の組織を均一化するため、めっき外観を改善できるものと推定される。
第二は、後に述べる焼鈍後のプレめっきの種類および付着量範囲を大きく広げることである。焼鈍前プレめっきの無い極低炭素鋼板を用いて、極めて良好な外観およびパウダリング性を得ようとすると、焼鈍後のプレめっき種はNiに限定され、更にその付着量も少ない方が好ましい。このような限定をしないと、めっき浴内で形成される初期合金層の形態が変化し、浴内で一部Zn−Fe合金化が不均一に進行し、外観やパウダリング性を損なうからである。しかし、Niプレめっきの付着量が少なすぎると溶融亜鉛のめっき濡れ性が低下するため、その付着量範囲は0.05〜0.25g/m程度の狭い範囲に限定される。これに対し、焼鈍前プレめっきを施した上で焼鈍し、表層組織を均一化した鋼板であれば、その後に施す焼鈍後プレめっきの条件によらず均一でかつ浴内でのZn−Fe合金化を抑制する初期合金層の形成が期待できる。尚、このような観点からは、焼鈍前のプレめっきとしてはNiあるいはCoが望ましい。
第三は、溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度および浴温の適正な範囲を大きく広げることである。焼鈍前プレめっきの無い極低炭素鋼板を用いて、極めて良好な外観およびパウダリング性を得ようとすると、亜鉛めっき浴中のAl濃度や浴温度は狭い範囲に限定される。このように限定をしないと、めっき浴内で形成される初期合金層の形態が変化し、浴内で一部Zn−Fe合金化が不均一に進行し、外観やパウダリング性を損なうからである。焼鈍前プレめっき後に焼鈍し、表層を均一化した鋼板であれば、溶融亜鉛浴の条件によらず均一でかつ浴内でのZn−Fe合金化を抑制する初期合金層の形成が期待できる。このような観点からは、焼鈍前のプレめっきとしてはNiあるいはCoが望ましい。
第四は、特にTi含有極低炭素鋼板のように結晶粒界が極めて清浄な鋼板で発生しやすい、いわゆるアウトバーストといわれる局部的で急激な合金化反応を抑制しパウダリング性を改善する効果である。この効果は特に焼鈍前のプレめっきにCoを用いた時に顕著である。これは前述のように表層組織を均一化するため、均一な反応が起きやすくなることに加えて、鋼中の粒界に選択的に拡散しているCoの作用によって、粒界部における急激なZn−Fe合金化を効果的に抑制するためと推定される。
本発明の焼鈍前プレめっきの方法については何ら限定されず、電気めっき、置換めっき、無電解めっき、気相めっきなど公知の方法が用いられる。焼鈍前のプレめっきの適正な付着量は、0.005〜5g/m程度である。元素の種類により効果は異なるがいずれの元素であっても0.005g/m未満では外観改善の効果がなく、5g/mを超えるとムラが発生しやすくなる傾向がある。Ni,CoはFeに比較してより少い付着量でも効果がある一方、付着量が多い場合にはムラになりやすいので、その上限は1g/mとすることが望ましく、0.5g/mとするのがより望ましい。
本発明の焼鈍の方法や条件については何ら限定されるものではなく、通常の設備、方法で限定なく行うことができる。焼鈍後には酸洗処理や調質圧延処理など通常の焼鈍後に行われる処理が何ら限定なく行うことができる。
次に焼鈍後のプレめっきについて説明する。
焼鈍後のプレめっきは、溶融亜鉛のめっき濡れ性を確保するのが第一の目的であり、その種類としては、Ni,Co,Cu,Snあるいはこれらの合金めっきが用いられる。焼鈍前のプレめっきの効果により、焼鈍後のプレめっきの種類はいずれの場合であってもめっき濡れ性は問題なく確保できるが、特に加工性や耐食性を考慮する場合にはNiが望ましい。焼鈍後プレめっきの望ましい付着量としては、0.01〜1g/mである。0.01g/mより少ないと不めっきが発生しやすく、1g/mを超えると外観やパウダリング性が悪化しやすい。本発明では、焼鈍前プレめっきを行っているため、焼鈍後のプレめっき量は0.01g/mと極めて少量であっても優れた不めっき抑制効果が得られる。
本発明の焼鈍前の第一のプレめっきおよび焼鈍後の第二のプレメッキは、Pを含有することができる。Pの添加により、合金化の進行をいっそう均一にし外観をより改善するという効果を期待できる。この効果は、特にTi含有極低炭素鋼板を原板に用いた場合に享受できる。
以上のように焼鈍前プレめっき、焼鈍、焼鈍後のプレめっきを施した後、無酸化または還元雰囲気で[めっき浴温−20]℃以上、500℃以下の板温まで30℃/sec以上の昇温速度で急速加熱を行ったのち、溶融亜鉛めっきし、加熱合金化処理を行う。
加熱温度を[めっき浴温−20]℃以上、500℃以下としたのは、[めっき浴温−20]℃未満では外観が悪化しやすく、また500℃を超えると焼鈍後プレめっきの拡散が顕著となり、鋼板表層に拡散している焼鈍前プレめっき元素との合金形成などの影響で、合金化処理時の地鉄界面に形成されるΓ相が発達しやすいためである。また昇温速度を30℃/sec以上としたのは、30℃未満では焼鈍後プレめっきの拡散が顕著となり、鋼板表層に拡散している焼鈍前プレめっき元素との合金形成などの影響で、合金化処理時の地鉄界面に形成されるΓ相が発達しやすいためである。なお本願発明の効果を発揮するにあたって昇温速度の上限は無いが、設備的、工業的に100℃/sec程度以上の昇温は困難でありこれが実質的な上限値となる。
その後、Alを0.05〜0.25%含有するZnめっき浴中で溶融めっきを行うが、めっき浴中には、鋼板からのFeやプレめっきに起因するNi等金属が含まれていても良い。溶融亜鉛めっき浴中のAl含有量が0.05質量%未満であると外観やパウダリング性が不良となり、0.25質量%を超えると合金化度が不足しやすく、外観、摺動性、耐食性などが低下する。浴温は、めっき組成合金の融点以上500℃以下程度の通常の範囲であれば特に限定なく用いることができる。
めっき後の合金化処理も通常の条件が限定なく使えるが、その一例を示すならば、470〜600℃の板温に加熱し、均熱時間を取らないかまたは40秒以下の均熱時間の後に冷却する。
加熱合金化処理の後には、調質圧延などの通常用いられる処理が限定なく使用できる。
本発明に用いられる鋼板の成分については特に限定はないが、本発明が加工性、めっき外観に特徴があることを考慮すると、自動車外板などに用いられるC含有量が0.004質量%以下である極低炭素鋼板に適用するのが、最も有効である。更に極低炭素鋼板の中でも、Tiを0.01〜0.1質量%含有するTi添加極低炭素鋼板は、他の方法では良好なパウダリング性、めっき外観が得られにくいため、本発明を適用するには最もふさわしい。
表1に示す種々の成分の冷延鋼板を原板に用いた。なおこれらは、従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では鋳造後の表面の不均一等により合金化ムラが発生しやすいことが分かっている材料である。A〜FがTi添加極低炭素鋼板であり、Gは極低炭素鋼板、Hは一般鋼である。
表2に示す種々の条件で焼鈍前プレめっき処理を行い、その後焼鈍した。焼鈍条件は、5%水素(残窒素)の雰囲気で10℃/secで750℃(鋼種No.A,B,C)または800℃(鋼種No.前記以外)まで昇温、100sec保持後、室温まで冷却した。その後、表2に示す種々の条件で焼鈍後のプレめっき処理を行い、その上で5%水素(残窒素)の雰囲気で各種昇温速度で各種板温まで加熱し、ただちに、各種浴温のAl含有亜鉛浴に浸漬してめっきし、エアーワイピングにより50g/mのめっき付着量に調整した後、さらに所定温度まで昇温し10秒保持後に冷却することで合金化処理を行った。
表3および表4に、用いた鋼種、焼鈍前後でのそれぞれのプレめっきの種類および付着量、溶融亜鉛、昇温速度、昇温板温、めっき浴温、めっき浴のAl濃度、合金化温度の条件を示す。
各サンプルは以下のような方法で評価した。結果を表5および表6に示す。
合金化度
めっき層の組成を化学分析(塩酸溶解後ICP分析)し、合金化度(めっき層Fe%)を求め以下の指標で評価した。
◎:9.5%≦Fe%≦11%
○:9%≦Fe%<9.5%または11%<Fe%≦11.5%
△:8%≦Fe%<9%または11.5%<Fe%≦12.5%
×:Fe%<8%または12.5%<Fe%
外観
外観を目視で確認し、筋状の模様があるか否かで合金化反応の均一性を評価した。評点
は以下の通りである。
◎:筋状模様は無く、かつ均一な外観
○:筋状模様は無いが軽微なむらあり
△:部分的な筋状模様の発生あり
×:全面に筋模様
パウダリング性
供試材を50mm×200mmに切り出し、プレス油を塗油したのち、荷重4.9kNでドロービード試験を行った。ビード通過部をテープ剥離して、テープの黒化度(L値の低下しろを色彩色差計で測定)を測定した。黒化度が大きいほどパウダリングが激しく、めっき密着性に劣る。下記の基準で評価した。
◎:黒化度 2未満
○:黒化度 2以上、4未満
△:黒化度 4以上、6未満
×:黒化度 6以上
摺動性
30mm巾サンプルにて平板連続摺動試験(長さ40mm、肩r2mmの平板金型で両側から圧着)を行った。圧着荷重4.9kNにて5回の連続摺動を行ない、5回目の摩擦係数で評価した。
◎:摩擦係数<0.13
○:0.13≦摩擦係数<0.15
△:0.15≦摩擦係数<0.2
×:0.2≦摩擦係数
耐食性
供試材を70mm×150mmに切り出し、アルカリ脱脂(日本パーカライジング製、FC−E2001にて40℃、3分浸漬)、化成処理(日本パーカライジング製、PB−SX35にて40℃、3分浸漬)、カチオン電着塗装(日本ペイント製、PN120M、膜厚20μm、160℃20分焼付)を行ったのち、中央部に地鉄まで届くカット傷を入れた。これを、JASO M609−91法により腐食促進試験を4週間行い、カット傷からの塗膜膨れ幅を測定し、膨れ幅最大値について下記の基準で評価した。
◎:塗膜膨れ幅 1mm未満
○:塗膜膨れ幅 1mm以上、2mm未満
△:塗膜膨れ幅 2mm以上、4mm未満
×:塗膜膨れ幅 4mm以上
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以上のように本発明例では良好な特性を示した。特に、焼鈍前プレめっきにCoを用いたものは、Ti添加極低炭素鋼板をはじめとする全ての鋼種で、パウダリング性はじめ各種特性が良好であった。比較例1では、焼鈍前プレめっきがなく、比較例2では、焼鈍後のプレめっきがないために、外観が筋模様を呈しパウダリング性も良好ではなかった。比較例3では、溶融亜鉛めっき浴中のAl含有量が低かったため、外観が筋模様を呈し、パウダリング特性が悪かった。比較例4および5では、溶融亜鉛浴中のAl含有量が高すぎたため、Zn−Fe合金化が不均一となり、摺動性が悪く外観が一部筋状模様を呈し良好ではなかった。比較例6では、急速加熱の昇温速度が遅かったため、パウダリング性が良好ではなかった。また、比較例7では、急速加熱後の板温が[めっき浴温−20]=43℃未満の420℃であったため、外観が一部筋状模様を呈し良好ではなかった。
本発明によって、加工性に格段に優れ、めっきムラもなく外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が得られる。本発明により、従来材質的に優れていながらめっき特性の点で広く展開が図られていなかったTi添加極低炭素鋼板を原板として用いた場合でも極めて良好な特性が得られるため、産業上極めて有用なものである。

Claims (6)

  1. 鋼板表面にNi、Co、Feのうち一種以上を含む第一のプレめっきを施し、前記鋼板を焼鈍した後、更に前記鋼板の表面にNi,Co,Cu,Snのうち一種以上を含む第二のプレめっきを施し、次いで無酸化または還元雰囲気で[めっき浴温−20]℃以上、500℃以下の板温まで30℃/sec以上の昇温速度で急速加熱を行った後、Alを0.05〜0.25質量%含有するZnめっき浴中に浸漬して溶融めっきを行い、その後加熱合金化処理を行うことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記第一のプレめっきまたは前記第二のプレめっきは、さらにPを含有することを特徴とする請求項1に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 前記焼鈍前に施す第一のプレめっきが、0.005〜0.5g/mのCoめっきであることを特徴とする請求項1または2に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 前記焼鈍後の鋼板に施す第二のプレめっきが、0.01〜1g/mのNiめっきであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 前記鋼板が、C含有量が0.004質量%以下である極低炭素鋼板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  6. 前記極低炭素鋼板が、Tiを0.01〜0.1質量%含有することを特徴とする請求項5に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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