JP2012171862A - 窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】たとえ反応容器が破損した場合であっても、耐圧性容器の内壁が腐食されることなく良質な窒化物結晶を得ることができる窒化物結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】反応容器2に原料5、酸性鉱化剤、およびアンモニアを充填して密閉した後、耐圧性容器1内に該反応容器を設置し、さらに該耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に第二溶媒を充填して前記耐圧容器を密閉した後、該反応容器中で超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気において結晶成長を行う窒化物結晶の製造方法において、該耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に、前記酸性鉱化剤または前記酸性鉱化剤から発生する酸と反応して反応生成物23を生じる物質を存在させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物結晶の製造方法、特に酸性鉱化剤を用いて窒化物結晶の成長を行う窒化物結晶の製造方法に関する。
アモノサーマル法は、超臨界状態および/または亜臨界状態にあるアンモニアなどの窒素を含有する溶媒を用いて、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の材料を製造する方法である。結晶成長へ適用するときは、アンモニアなどの溶媒への原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させる方法である。アモノサーマル法と類似のハイドロサーマル法は溶媒に超臨界および/または亜臨界状態の水を用いて結晶成長を行うが、主に水晶(SiO2)や酸化亜鉛(ZnO)などの酸化物結晶に適用される方法である。一方アモノサーマル法は窒化物結晶に適用することができ、窒化ガリウムなどの窒化物結晶の成長に利用されている。
アモノサーマル法による窒化ガリウム結晶育成は、高温高圧(500℃以上、150MPa以上)の超臨界アンモニアなどの超臨界溶媒環境下での反応であり、さらに、例えば溶媒としてアンモニアを用いる場合には、超臨界状態の純アンモニア中への窒化ガリウムの溶解度は極めて小さいため、溶解度を向上させ結晶成長を促進させるためにハロゲン化アンモニウムNH4X(X=Cl、Br、I)に代表される酸性鉱化剤を添加することが知られている。これら鉱化剤を含む超臨界アンモニア環境は極めて苛酷な腐食環境となっているため、このような環境に耐える装置の設計および材料の選定は容易ではない。
そこで、アモノサーマル法に用いられる結晶製造装置としては、例えば特許文献1、2に開示されるように、腐食性の高い酸性鉱化剤に対しても防食性が確認されている貴金属からなる反応容器を、本温度圧力に耐える強度を有する材料(例えばNi基超合金であるInconel 625、RENE 41など)からなる耐圧性容器内に配置した状態で、反応容器内で種結晶上に目的とする単結晶を析出させるものが知られている。
特開2009−263229号公報 特表2006−514581号公報
しかしながら、従来の反応容器を使用したアモノサーマル法では反応容器内外の圧力バランスを保つための調整が極めて難しく、結晶成長の過程で反応容器が破損したり、ピンホールが発生したりして、反応容器内の溶液が反応容器外へ漏れ出し、耐圧容器の一部を腐食してしまうとの懸念があった。
特に、本発明に用いられるような酸性鉱化剤を含むアンモニア溶液は、Ni、Crなどを含む材料からなる耐圧性容器の内壁に接触した場合には、その内壁を腐食してしまうおそれがあるため、十分な対策を施しておく必要がある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、耐圧性容器と反応容器の間の空隙に、酸性鉱化剤と反応して反応生成物を生じる物質を存在させることで、たとえ反応容器が破損した場合であっても、耐圧性容器の内壁が腐食されることなく良質な窒化物結晶を得ることができ、生産性向上に大きな効果があることを見出し本発明に到達した。
すなわち、上記の課題は、以下の本発明の窒化物結晶の製造方法により解決される。
[1] 反応容器に原料、酸性鉱化剤、およびアンモニアを充填して密閉した後、耐圧性容器内に該反応容器を設置し、さらに該耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に第二溶媒を充填して前記耐圧容器を密閉した後、該反応容器中で超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気において結晶成長を行う窒化物結晶の製造方法であって、
該耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に、前記酸性鉱化剤または前記酸性鉱化剤から発生する酸と反応して反応生成物を生じる物質(A)を存在させることを特徴とする、窒化物結晶の製造方法。
[2] 前記物質(A)が、少なくともアルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類のいずれか1以上の元素を含む、[1]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[3] 前記物質(A)が、少なくともアルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類の単体、又はこれらの酸化物、水酸化物、炭酸塩、もしくは酸窒化物を含む、[1]又は[2]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[4] 前記物質(A)が塩基性酸化物である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[5] 前記酸性鉱化剤がハロゲン原子を含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[6] 前記酸性鉱化剤と前記物質(A)が反応して、ハロゲン原子を含む固体を析出する、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[7] 前記酸性鉱化剤と前記物質(A)を、酸性鉱化剤/前記物質(A)(モル比率)が0.1〜100となるように反応容器および耐圧性容器に存在させる、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[8] 前記反応生成物が、常温常圧条件において固体である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[9] 前記物質(A)が、常温常圧条件において固体である、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[10] 前記物質(A)が粉体である、[9]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[11] 前記物質(A)が粉体を圧縮凝固したものである、[10]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[12] 前記物質(A)が多孔質体である、[9]〜[11]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
本発明の製造方法によれば、たとえ反応容器が破損したり、ピンホールが発生したりして、反応容器内の溶液が反応容器外へ漏れ出した場合であっても、耐圧性容器の内壁を腐食することなく品質の高い窒化物結晶を得ることができる。耐圧性容器の使用に当たって、安全性・生産性向上に大きな効果がある。
また、本発明の窒化物結晶は均一で高品質であるために、発光デバイスや電子デバイス用の半導体結晶等として有用である。
本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。
以下において、本発明の半導体結晶の製造方法、およびそれに用いる結晶製造装置や部材について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の窒化物結晶の製造方法は、反応容器に原料、酸性鉱化剤、およびアンモニアを充填して密閉した後、耐圧性容器内に該反応容器を設置し、さらに該耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に第二溶媒を充填して前記耐圧容器を密閉した後、該反応容器中で超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気において結晶成長を行う窒化物結晶の製造方法であって、該耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に、前記酸性鉱化剤と反応して反応生成物を生じる物質(物質(A))を存在させることを特徴とする。
本発明の結晶製造方法で得られる結晶は窒化物単結晶であれば特に限定されないが、例えばIII族窒化物結晶が好ましく、中でも窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウムやこれらの混晶などがより好ましい。本明細書においては、窒化ガリウム(GaN)を例として説明するが、本発明の製造方法はこれに限られるものではない。
本発明における反応容器中で超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気において結晶成長を行う場合の結晶成長の条件としては、例えばGaNであれば特開2009−263229号公報に開示されているような原料、鉱化剤、種結晶、溶媒、温度、圧力などの条件を好ましく用いることができる。また、本製造方法に用いる結晶製造装置、及び具体的な手順においても、特開2009−263229号公報に開示されている方法を好ましく用いることができる。該公開公報の開示全体を本明細書に引用して援用する。
具体的に、種結晶、原料、溶媒、温度、圧力について以下に説明する。
結晶成長では結晶成長の核として種結晶を用いることが好ましい。種結晶としては、特に限定されないが、成長させる結晶と同種のものが好ましく用いられる。前記種結晶の具体例としては、例えば窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)またはこれらの混晶等の窒化物単結晶が挙げられる。
前記種結晶は、成長させる結晶との格子整合性などを考慮して決定することができる。例えば、種結晶としては、サファイア等の異種基板上にエピタキシャル成長させた後に剥離させて得た単結晶、Gaなどの金属からNaやLi、Biをフラックスとして結晶成長させて得た単結晶、液相エピタキシ法(LPE法)を用いて得たホモ/ヘテロエピタキシャル成長させた単結晶、溶液成長法に基づき作製された単結晶及びそれらを切断した結晶などを用いることができる。前記エピタキシャル成長の具体的な方法については特に制限されず、例えば、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)、液相法、アモノサーマル法などを採用することができる。
本発明の結晶成長においては、種結晶上に成長させようとしている窒化物結晶を構成する元素を含む原料を用いる。例えば、周期表13族金属の窒化物結晶を成長させようとする場合は、周期表13族金属を含む原料を用いる。好ましくは13族窒化物結晶の多結晶原料及び/又は13族金属であり、より好ましくは窒化ガリウム及び/又は金属ガリウムである。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては13族元素がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有してもよく、例えば、結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。
前記多結晶原料の製造方法は、特に制限されない。例えば、アンモニアガスを流通させた反応容器内で、金属又はその酸化物もしくは水酸化物をアンモニアと反応させることにより生成した窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物、ガラザンなどの共有結合性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒素と反応させて作製した窒化物多結晶を用いることもできる。
本発明において原料として用いる多結晶原料に含まれる水や酸素の量は、少ないことが好ましい。多結晶原料中の酸素含有量は、通常10000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。多結晶原料への酸素の混入のしやすさは、水分との反応性又は吸収能と関係がある。多結晶原料の結晶性が悪いほど表面にNH基などの活性基が多く存在し、それが水と反応して一部酸化物や水酸化物が生成する可能性がある。このため、多結晶原料としては、通常、できるだけ結晶性が高い物を使用することが好ましい。結晶性は粉末X線回折の半値幅で見積もることができ、(100)の回折線(ヘキサゴナル型窒化ガリウムでは2θ=約32.5°)の半値幅が、通常0.25°以下、好ましくは0.20°以下、さらに好ましくは0.17°以下である。
反応容器内に充填して結晶成長に用いられる第一溶媒であるアンモニアは、溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましい。具体的には、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上であり、特に好ましくは99.9999%以上である。
結晶成長においては、全体を加熱して反応容器内を含めて耐圧性容器内全体を超臨界状態および/または亜臨界状態とする。超臨界状態では一般的には、粘度が低く、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同様の溶媒和力を有する。亜臨界状態とは、臨界温度近傍で臨界密度とほぼ等しい密度を有する液体の状態を意味する。例えば、原料充填部では、超臨界状態として原料を溶解し、結晶成長部では亜臨界状態となるように温度を変化させて超臨界状態と亜臨界状態の原料の溶解度差を利用した結晶成長も可能である。
超臨界状態にする場合、反応混合物は、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度に保持する。アンモニアを用いた場合、臨界点は臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaであるが、反応容器の容積に対する充填率が高ければ、臨界温度以下の温度でも圧力は臨界圧力を遥かに越える。本発明において「超臨界状態」とは、このような臨界圧力を越えた状態を含む。反応混合物は、一定の容積の反応容器内に封入されているので、温度上昇は流体の圧力を増大させる。一般に、T>Tc(1つの溶媒の臨界温度)及びP>Pc(1つの溶媒の臨界圧力)であれば、流体は超臨界状態にある。
超臨界条件では、窒化物結晶の十分な成長速度が得られる。反応時間は、特に鉱化剤の反応性及び熱力学的パラメータ、すなわち温度及び圧力の数値に依存する。窒化物結晶の合成中あるいは成長中、反応容器内の圧力は結晶性および生産性の観点から、120MPa以上にすることが好ましく、150MPa以上にすることがより好ましく、180MPa以上にすることがさらに好ましい。また、反応容器内の圧力は安全性の観点から、700MPa以下にすることが好ましく、500MPa以下にすることがより好ましく、350MPa以下にすることがさらに好ましく、300MPa以下にすることが特に好ましい。圧力は、温度及び反応容器の容積に対する溶媒体積の充填率によって適宜決定される。本来、反応容器内の圧力は、温度と充填率によって一義的に決まるものではあるが、実際には、原料、鉱化剤などの添加物、反応容器内の温度の不均一性、及び自由容積の存在によって多少異なる。
反応容器内の温度範囲は、結晶性および生産性の観点から、下限値が500℃以上であることが好ましく、515℃以上であることがより好ましく、530℃以上であることがさらに好ましい。上限値は、安全性の観点から、700℃以下であることが好ましく、650℃以下であることがより好ましく、630℃以下であることがさらに好ましい。本発明の窒化物結晶の製造方法では、反応容器内における原料域の温度が、結晶育成域の温度よりも高いことが好ましい。原料域と結晶育成域との温度差(|ΔT|)は、結晶性および生産性の観点から、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下が特に好ましい。反応容器内の最適な温度や圧力は、結晶成長の際に用いる鉱化剤や添加剤の種類や使用量等によって、適宜決定することができる。
前記の反応容器内の温度範囲、圧力範囲を達成するための反応容器への溶媒の注入割合、すなわち充填率は、反応容器のフリー容積、すなわち、反応容器に多結晶原料、及び種結晶を用いる場合には、種結晶とそれを設置する構造物の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積、またバッフル板を設置する場合には、さらにそのバッフル板の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積の溶媒の沸点における液体密度を基準として、通常20%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上とし、また、通常95%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下とする。
反応容器内での窒化物結晶の成長は、熱電対を有する電気炉などを用いて反応容器を加熱昇温することにより、反応容器内をアンモニア等の溶媒の亜臨界状態および/または超臨界状態に保持することにより行われる。加熱の方法、所定の反応温度への昇温速度に付いては特に限定されないが、通常、数時間から数日かけて行われる。必要に応じて、多段の昇温を行ったり、温度域において昇温スピードを変えたりすることもできる。また、部分的に冷却しながら加熱したりすることもできる。
なお、前記の「反応温度」は、反応容器の外面に接するように設けられた熱電対、および/または外表面から一定の深さの穴に差し込まれた熱電対によって測定され、反応容器の内部温度へ換算して推定することができる。これら熱電対で測定された温度の平均値をもって平均温度とする。通常は、原料域の温度と結晶育成域の温度の平均値を平均温度とする。
本発明の窒化物結晶の製造方法においては、種結晶に前処理を加えておくことができる。前記前処理としては、例えば、種結晶にメルトバック処理を施したり、種結晶の成長面を研磨したり、種結晶を洗浄するなどが挙げられる。
所定の温度に達した後の反応時間については、窒化物結晶の種類、用いる原料、鉱化剤の種類、製造する結晶の大きさや量によっても異なるが、通常、数時間から数百日とすることができる。反応中、反応温度は一定にしてもよいし、徐々に昇温又は降温させることもできる。所望の結晶を生成させるための反応時間を経た後、降温させる。降温方法は特に限定されないが、ヒーターの加熱を停止してそのまま炉内に反応容器を設置したまま放冷してもかまわないし、反応容器を電気炉から取り外して空冷してもかまわない。必要であれば、冷媒を用いて急冷することも好適に用いられる。
反応容器外面の温度、あるいは推定される反応容器内部の温度が所定温度以下になった後、反応容器を開栓する。このときの所定温度は特に限定はなく、通常−80℃以上、好ましくは−33℃以上であり、また、通常200℃以下、好ましくは100℃以下である。ここで、反応容器に接続したバルブの配管接続口に配管を接続し、水などを満たした容器に通じておき、バルブを開けてもよい。さらに必要に応じて、真空状態にするなどして反応容器内のアンモニアを十分に除去した後、乾燥し、反応容器の蓋等を開けて生成した窒化物結晶及び未反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り出すことができる。
耐圧性容器は高温環境での強度に優れた材料からなることが必要であり、その内壁がNi又はCrを含む金属からなることが好ましい。例えば、Inconel 625、RENE 41などを挙げることができ、他にInconel 718、Hastelloyも用いることができる。
反応容器はアンモニアや鉱化剤などに対する耐腐食性に優れた材料からなることが必要であり、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Au、Ta、TiおよびWからなる群から選ばれる少なくとも1種類の金属、または該金属を主成分とする合金からなることが好ましい。ここでいう該金属を主成分とする合金とは、合金におけるRh、Pd、Ag、Ir、Pt、Au、Ta、TiおよびWの合計含有量が合金の全重量の50%以上であることを意味し、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上である。反応容器は、上記金属群のうち、少なくともIr,Pt,Taを含むことが好ましく、少なくともIr,Ptを含むことがより好ましい。
本発明では、製造する窒化物結晶に損傷を与えない程度に破損する危険性がある反応容器を広く採用することが可能である。例えば、内外の圧力差や圧力変動に対して特に強化されていない反応容器や、すでに複数回使用したため部分的に強度劣化が懸念される反応容器なども本発明で使用することができる。また、ベローズのような圧力調整機構を備えているものの、ベローズそのものの強度が十分とは言えない反応容器なども使用することができる。なお、窒化物結晶の製造が完了するまでに反応容器が破損しない場合であっても、耐圧性容器と反応容器の間の空隙に、反応容器内の酸性鉱化剤または酸性鉱化剤から発生する酸と反応して反応生成物を生じる物質(A)を存在させる限り、本発明の範囲内に含まれる。
本発明で用いる酸性鉱化剤は、アンモニアに比して酸性である鉱化剤である。
鉱化剤は、原料の溶媒への溶解性を高めることができる添加物である。本発明において、酸性鉱化剤は、1種類を用いるほか、必要に応じて共鉱化剤としてもう1種類を共存させたり、2種類以上を混合して用いたりすること可能である。原料と鉱化剤の添加量の比は、原料、鉱化剤等の添加物の種類および目的とする結晶の大きさなどを考慮して適宜選択できる。
酸性鉱化剤は、通常、ハロゲン原子を含む化合物である。中でも、鉱化剤はアンモニウムイオンやアミドなどの形で窒素原子を含むものが好ましい。ハロゲン原子を含む鉱化剤の例としては、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素、アンモニウムヘキサハロシリケート、及びヒドロカルビルアンモニウムフルオリドや、ハロゲン化テトラメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラエチルアンモニウム、ハロゲン化ベンジルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ジプロピルアンモニウム、及びハロゲン化イソプロピルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、フッ化アルキルナトリウムのようなハロゲン化アルキル金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、ハロゲン化金属等が例示される。
このうち、好ましくはハロゲン原子を含む添加物(鉱化剤)であるハロゲン化アルカリ、アルカリ土類金属のハロゲン化物、金属のハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素であり、さらに好ましくはハロゲン化アルカリ、ハロゲン化アンモニウム、周期表13族金属のハロゲン化物、ハロゲン化水素であり、特に好ましくはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化水素である。ハロゲン化アンモニウムとしては、例えば塩化アンモニウム(NH4Cl)、ヨウ化アンモニウム(NH4I)、臭化アンモニウム(NH4Br)、フッ化アンモニウム(NH4F)である。これらの添加物は、超臨界状態のアンモニアへの溶解性が高く、またアンモニア中において窒化能を有し、かつPt等の貴金属に対する反応性が小さい。これらの添加物は、1種類を用いてもよいし、2種類以上の化合物を組み合わせて用いてもかまわない。これらの添加物を用いることによって原料の溶解が促進され、反応条件の適切なコントロールにより、短期間に高品質のサイズの大きい窒化物の塊状結晶が得られる。
また、鉱化剤としては、酸性鉱化剤に加えて塩基性鉱化剤を併用してもよい。塩基性鉱化剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属と窒素原子を含む化合物で、アルカリ土類金属アミド、希土類アミド、窒化アルカリ金属、窒化アルカリ土類金属、アジド化合物、その他ヒドラジン類の塩が挙げられる。好ましくは、アルカリ金属アミドで、具体例としてはナトリウムアミド(NaNH2)、カリウムアミド(KNH2)、リチウムアミド(LiNH2)が挙げられる。
前記酸性鉱化剤として、フッ素元素と、塩素、臭素、ヨウ素から構成される他のハロゲン元素から選ばれる少なくとも一つとを含む鉱化剤を用いることが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよいし、複数種を適宜混合して用いてもよい。ハロゲン化アンモニウムなどのハロゲン元素含有鉱化剤とアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を含む鉱化剤とを組み合わせて用いる場合は、ハロゲン元素含有鉱化剤の使用量を多くすることが好ましい。具体的には、ハロゲン元素含有鉱化剤100質量部に対して、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を含む鉱化剤を0.01質量部以上とすることが好ましく、0.1質量部以上とすることがより好ましく、0.2質量部以上とすることがさらに好ましく、また、50質量部以下とすることが好ましく、20質量部以下とすることがより好ましく、5質量部以下とすることがさらに好ましい。
前記酸性鉱化剤に含まれるハロゲン元素の組み合わせは、塩素とフッ素、臭素とフッ素、ヨウ素とフッ素といった2元素の組み合わせであってもよいし、塩素と臭素とフッ素、塩素とヨウ素とフッ素、臭素とヨウ素とフッ素といった3元素の組み合わせであってもよいし、塩素と臭素とヨウ素とフッ素といった4元素の組み合わせであってもよい。本発明で用いる鉱化剤に含まれるハロゲン元素の組み合わせと濃度比(モル濃度比)は、成長させようとしている窒化物結晶の種類や形状やサイズ、種結晶の種類や形状やサイズ、使用する反応装置、採用する温度条件や圧力条件などにより、適宜決定することができる。
前記結晶成長で成長させる窒化物結晶に不純物が混入するのを防ぐために、必要に応じて鉱化剤は精製、乾燥してから使用することができる。前記鉱化剤の純度は、通常は95%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.99%以上である。
前記鉱化剤に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、1.0ppm以下であることがさらに好ましい。
なお、前記結晶成長を行う際には、反応容器にハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化リン、ハロゲン化シリコン、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化ヒ素、ハロゲン化スズ、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化ビスマスなどを存在させておいてもよい。
酸性鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度は0.1mol%以上とすることが好ましく、0.3mol%以上とすることがより好ましく、0.5mol%以上とすることがさらに好ましい。また、鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度は30mol%以下とすることが好ましく、20mol%以下とすることがより好ましく、10mol%以下とすることがさらに好ましい。濃度が低すぎる場合、溶解度が低下し成長速度が低下する傾向がある。一方濃度が濃すぎる場合、溶解度が高くなりすぎて自発核発生が増加したり、過飽和度が大きくなりすぎるため制御が困難になるなどの傾向がある。
物質(A)としては、酸性鉱化剤または酸性鉱化剤から発生する酸と反応して反応生成物を生じる物質であれば特に限定されず、結晶成長中に反応容器から酸性鉱化剤を含むアンモニア溶液が漏洩した場合に、酸性鉱化剤と物質(A)が反応することによって、耐圧性容器の内壁を腐食する可能性のある溶液が該内壁に接触するような場合に、該溶液の腐食性を低減する役割がある。具体的には、酸性鉱化剤から発生する酸をトラップすることによって該溶液の酸性度を低下させ、結果的に耐圧性容器の腐食を防止する。よって、酸性鉱化剤と物質(A)との反応性が、酸性鉱化剤と耐圧性容器の内壁を構成する金属との反応性よりも高いことが好ましい。例えば物質(A)は、少なくとも、Li、Na、Kなどのアルカリ金属、Mg,Ca,Baなどのアルカリ土類金属、およびLa、Ce、Prなどの希土類のいずれか1以上の元素を含むことが好ましく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類の単体、又はこれらの酸化物、水酸化物、炭酸塩、窒化物、もしくは酸窒化物などが挙げられる。具体的には、MgO、CaO、BaOなどの塩基性酸化物を用いることが好ましい。
物質(A)の形態は特に限定されず、耐圧性容器に充填する際に気体であっても、液体であっても、固体であってもよく、これらを混合したものであってもよい。中でも、常温常圧条件において固体であることが取り扱い上容易であるため好ましく、粉体であることが反応する表面積が増加するためより好ましく、粉体を圧縮凝固したものであることが取り扱いやすさと表面積増加の両方の利点を有するためさらに好ましい。粉体の粒径は0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、また、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。圧縮凝固は、例えばペレタイザーにて粉体を充填圧縮することにより行うことができる。また、物質(A)は多孔質であることが好ましい。ここでいう多孔質とは体積に対して10%以上の空隙が存在することを意味する。
物質(A)と酸性鉱化剤が反応して生じる反応生成物としては、結晶成長条件において耐圧性容器内でどのような状態であってもよいが、常温常圧条件において固体の塩であることが好ましい。これらの固体の塩は、溶媒に溶けにくくて、さらに他の物質との反応を生じにくいものであることが好ましい。そのような固体の塩として、例えばCaCl2、MgCl2、BaCl2を挙げることができる。
例えば、酸性鉱化剤としてNH4Cl、物質(A)としてCaOを用いた場合には、耐圧性容器と反応容器の間の空隙で以下のような反応がなされ、結果的に酸性鉱化剤から発生する酸をトラップすることによって、耐圧性容器の腐食を防止することができると考えられる。
NH4Cl+CaO → CaCl2(固体)+NH3+H2
(HCl+CaO → CaCl2(固体)+H2O)
酸性鉱化剤と物質(A)が反応して生じる反応生成物は、ハロゲン原子を含むことが好ましい。
反応容器及び耐圧性容器に充填する酸性鉱化剤と物質(A)は、酸性鉱化剤/前記物質(A)(モル比率)が0.01以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましく、また、100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。
図1に、本発明の結晶製造装置の例を示す。本発明で反応容器と耐圧性容器の間の空隙に充填される第二溶媒は、反応容器の内側と外側をほぼ等しい圧力にすることができる溶媒であればその種類は限定されない。そのような第二溶媒としては、例えば、アンモニア、水、アルコール、二酸化炭素などを用いることができる。反応容器の内側と外側の圧力差を小さくするためには、第二溶媒は、反応容器内の第一溶媒として用いられるアンモニアと性質の近い(つまり内容積一定条件において充填率と温度−圧力の関係がアンモニアの温度−圧力変化に近い)溶媒であることが好ましく、アンモニアを用いることが特に好ましい。その理由は、性質の近い溶媒を用いると、原料の溶解析出によって結晶成長反応を行うために温度を上げたとき、特に昇温過程において、反応容器の内側と外側の圧力をほぼ同じに保つことが容易になるからである。通常、反応容器の内側と外側には同質の溶媒を用い、空隙に対する充填率をそれぞれほぼ同じにすることが好ましい。より厳密には加熱炉のデザイン、耐圧性容器内の反応容器の配置などにより、反応容器内と反応容器外のアンモニアの温度が異なることがあるため、それぞれの温度に合わせて充填率を変化させ反応容器内と反応容器外との圧力がほぼ同じになるようにすることがより好ましい。
反応容器と耐圧性容器の間の空隙に充填される第二溶媒がアンモニアである場合、通常は、該アンモニアは原料等と直接触れることはないので、不純物等の物性に関しては特に問題とならないが、反応容器内のアンモニアと反応容器と耐圧性容器の間の空隙に充填されるアンモニアの物理的な物性をほぼ等しくするためには、アンモニアに含まれる水や酸素の量をできるだけ少なくすることが望ましい。水と酸素の合計含有量は、好ましくは1000ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下である。水や酸素量をできるだけ少なくすることは、耐圧性容器の腐食を抑制する観点からも有効である。
本発明者らの検討においては、耐圧性容器及び反応容器に用いる材料として特定のものを用いた場合に、特に反応容器の外側の圧力が上昇しやすく、その結果、反応容器内外での圧力バランスが崩れやすくなるとの課題を見出すに至った。この要因については明らかではないが、次のようなことが考えられる。一般的に、反応容器としては、Ptなどの貴金属といった耐腐食性に優れた材料を用いるのに対して、耐圧性容器としてはNi,Crなどを含む高温環境での強度に優れた材料を用いる。つまり、反応容器の内側のアンモニアは貴金属しか接していないが、反応容器の外側のアンモニアは貴金属以外にNi,Cr等のアンモニア分解を促進させ得る金属に接している。よって、結晶成長反応を行うために温度を上げたときに、反応容器の外側のアンモニアのごく一部が分解して窒素と水素になることにより、圧力がわずかに上昇してしまうことが考えられる。
このような場合に、反応容器が破損したり、ピンホールが生じたりした場合であっても、反応容器内の酸性鉱化剤を含むアンモニア溶液が耐圧性容器と反応容器の間の空隙に存する物質(A)と反応して反応生成物を生じることで、耐圧性容器の内壁に接触する溶液の酸性度を低下させて腐食性を低減し、ひいては耐圧性容器の内壁の腐食を防止することとなる。よって、安全性・生産性高く、品質の高い窒化物結晶を得ることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<参考実験例1>
Ptを内貼りした内容積110cm3のオートクレーブ1内に試験片として10×30mmのRene 41,Inconel 625,Agの小片と、鉱化剤としてアンモニアに対する濃度が2mol%となる量のNH4Clを充填した。試験片はオートクレーブ下部(高温部)に配置した。更に物質(A)としてアンモニアに対する濃度が2mol%となる量のMgを加えて密閉した後、ガス配管を使用して脱気した。この後、オートクレーブ1をドライアイスエタノールで冷却しながら次にNH3をオートクレーブ1の内容積の約52%に相当する液体として充填(−33℃のNH3密度で換算)した後、オートクレーブを結晶育成域が470℃、原料域が600℃となるように昇温し保持した。この時のオートクレーブ内の圧力は約170MPaであった。
3時間、所定の温度で保持した後、室温まで冷却し、NH3を脱気した後、オートクレーブを開放して各々の試験片の重量を測定した。重量変化割合(%)の結果は表1に示す。試験片は何れも表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さかった。オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在していた。粉体の成分を分析すると、MgとMgCl2である。
試験片としてInconel 718を使用して同様の操作を行った場合、試験片は表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さい。また、オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在している。粉体の成分を分析すると、MgとMgCl2である。
<参考実験例2>
表1に記載されるように、物質(A)としてアンモニアに対する濃度が2mol%となる量のMgOを用いる以外は、参考実験例1と同様の条件で腐食試験を行った。
3時間、所定の温度で保持した後、室温まで冷却し、NH3を脱気した後、オートクレーブを開放して各々の試験片の重量を測定した。重量変化割合(%)の結果は表1に示す。試験片は何れも表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さかった。オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在していた。粉体の成分を分析すると、MgOとMgCl2である。
試験片としてInconel 718を使用して同様の操作を行った場合、試験片は表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さい。また、オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在している。粉体の成分を分析すると、MgとMgCl2である。
<参考実験例3>
表1に記載されるように、物質(A)としてアンモニアに対する濃度が2mol%となる量のCaOを用いる以外は、参考実験例1と同様の条件で腐食試験を行った。
3時間、所定の温度で保持した後、室温まで冷却し、NH3を脱気した後、オートクレーブを開放して各々の試験片の重量を測定した。重量変化割合(%)の結果は表1に示す。試験片は何れも表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さかった。オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在していた。粉体の成分を分析すると、CaOとCaCl2である。
試験片としてInconel 718を使用して同様の操作を行った場合、試験片は表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さい。また、オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在している。粉体の成分を分析すると、CaOとCaCl2である。
<参考実験例4>
表1に記載されるように、物質(A)としてアンモニアに対する濃度が2mol%となる量のBaOを用いる以外は、参考実験例1と同様の条件で腐食試験を行った。
3時間、所定の温度で保持した後、室温まで冷却し、NH3を脱気した後、オートクレーブを開放して各々の試験片の重量を測定した。重量変化割合(%)の結果は表1に示す。試験片は何れも表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さかった。オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在していた。粉体の成分を分析すると、BaOとBaCl2である。
試験片としてInconel 718を使用して同様の操作を行った場合、試験片は表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さい。また、オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在している。粉体の成分を分析すると、BaOとBaCl2である。
<参考実験例5>
表1に記載されるように、物質(A)としてアンモニアに対する濃度が2mol%となる量のCaOを用いる以外は、参考実験例1と同様の条件で腐食試験を行った。
9時間、所定の温度で保持した後、室温まで冷却し、NH3を脱気した後、オートクレーブを開放して各々の試験片の重量を測定した。重量変化割合(%)の結果は表1に示す。試験片は何れも表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さかった。オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在していた。粉体の成分を分析すると、CaOとCaCl2である。
試験片としてInconel 718を使用して同様の操作を行った場合、試験片は表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さい。また、オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在している。粉体の成分を分析すると、CaOとCaCl2である。
<参考実験例6>
表1に記載されるように、物質(A)としてアンモニアに対する濃度が2mol%となる量のCaOを用いる以外は、参考実験例1と同様の条件で腐食試験を行った。
105時間、所定の温度で保持した後、室温まで冷却し、NH3を脱気した後、オートクレーブを開放して各々の試験片の重量を測定した。重量変化割合(%)の結果は表1に示す。試験片は何れも表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さかった。オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在していた。粉体の成分を分析すると、CaOとCaCl2である。
試験片としてInconel 718を使用して同様の操作を行った場合、試験片は表面の光沢を維持しており、重量変化もごく小さい。また、オートクレーブ1内には、白色の粉体が存在している。粉体の成分を分析すると、CaOとCaCl2である。
<参考比較例1>
表1に記載されるように、物質(A)を用いなかったことと以外は、参考実験例1と同様の条件で腐食試験を行った。
3時間、所定の温度で保持した後、室温まで冷却し、NH3を脱気した後、オートクレーブを開放して各々の試験片の重量を測定した。重量変化割合(%)の結果は表1に示す。試験片は何れも表面の光沢がなく、明らかに腐食が進行していた。また、試験片の重量も大幅に減少していた。
試験片としてInconel 718を使用して同様の操作を行った場合、試験片は表面の光沢がなく、明らかに腐食が進行している。また、試験片の重量も大幅に減少している。
Figure 2012171862
<実施例1>
図1に示す結晶製造装置を用いてアモノサーマル法にてGaN結晶の製造を行った。ここでは、内寸が直径30mm、長さが450mmのRENE 41製オートレーブ1を耐圧性容器として使用し、内寸が直径25mm、長さが300mmである、壁面厚が0.6mmのPt製筒状容器を反応容器(内筒)2として使用した。内筒2をオートクレーブ1内に挿入してオートクレーブ蓋3をした状態で、オートクレーブ1と内筒2との間には第二溶媒を充填することができる空隙(オートクレーブ内容積−内筒容積)が約70cm3存在していた。
十分に乾燥した窒素雰囲気グローブボックス内にて多結晶GaN粒子を内筒2の下部領域(原料域)8内に原料5として設置した。さらに下部の原料域8と上部の結晶育成域7の間に白金製のバッフル板6(開口率20%)を設置した。種結晶4としてHVPE法により成長した六方晶系GaN単結晶(10mmx5mmx0.3mm)4枚を用いた。これら種結晶4を直径0.2mmの白金ワイヤーにより白金製種子結晶支持枠に吊るし、内筒上部の結晶育成域7に設置した。真空ポンプを用いて内筒2内を真空脱気して、内筒2内を窒素ガスにて5回パージした後、酸性鉱化剤としてHClガスをアンモニアに対する濃度が6mol%になるように液体窒素温度にて充填した。次にNH3を内筒2の有効容積の約58%に相当する液体として充填(−33℃のNH3密度で換算)した後、内筒2を密封した。
内筒2をオートクレーブ1内に挿入し、オートクレーブ1と内筒2との間の空隙に、物質(A)として内筒2内のアンモニアに対する濃度が6mol%になるように粉体状の酸化カルシウム(CaO)を充填してオートクレーブ蓋3を閉じた。オートクレーブ1内を真空脱気して窒素ガスパージを複数回行った後、第二溶媒としてNH3をオートクレーブ1内に充填した。このとき、NH3をオートクレーブ1と内筒2の空隙の約60%に相当する液体として充填(−33℃のNH3密度で換算)した。
続いてオートクレーブ1を上下に2分割されたヒーター11,12で構成された電気炉内に収納した。熱電対16で測定したオートクレーブ1外表面の結晶育成域7の温度が620℃、熱電対17で測定した原料域の温度が640℃(温度差20℃:平均温度630℃)になるように9時間かけて昇温し、設定温度に達した後、その温度にて4日間保持した。オートクレーブ1内の圧力は250MPaであった。育成期間終了後、オートクレーブを冷却中550℃〜500℃の間に内筒2が破損し、酸性鉱化剤を含む溶液が内筒2外に漏洩した。
その後、オートクレーブ1の外面の温度が室温に戻るまで約10時間かけて自然冷却し、オートクレーブ1に付属したバルブ9を開放し、オートクレーブ1内のNH3を取り除いた。その後オートクレーブ1を計量しNH3の排出を確認した後、オートクレーブ蓋3を開け、内筒2を取り出した。内筒2上部に付属したチューブ(図示せず)に穴を開け内筒2内部からNH3を取り除いた。
オートクレーブ1内壁に腐食は見られず、オートクレーブ1と内筒2との間の空隙には、白色の粉体が存在していた。粉体の成分を粉末X線回折により分析するとCaOのピークが観測された。この結果、CaOとCaCl2が存在することが推察された。
結晶を確認したところ、5×10mm角の種結晶全面に均一に窒化ガリウム結晶が析出していた。種結晶上に成長した窒化ガリウム結晶をX線回折測定した結果、結晶系は六方晶系であり、立方晶GaNは含まれていないことが確認された。
<実施例2>
表2に記載されるように、酸性鉱化剤としてHClの代わりにHBrを用い、物質(A)として内筒2内のアンモニアに対する濃度が1mol%になるようにMgOを用いる以外は、実施例1と同様の条件で結晶成長を行う。
育成期間終了後、オートクレーブを冷却中に、内筒2の一部が破損し、内筒2内の酸性鉱化剤を含む溶液が内筒2外に漏洩した場合、オートクレーブ1内壁に腐食は見られず、オートクレーブ1と内筒2との間の空隙には、白色の粉体が存在する。粉体の成分を分析すると、MgOとMgBr2である。
<実施例3>
表2に記載されるように、酸性鉱化剤としてHClの代わりにHIを用い、物質(A)として内筒2内のアンモニアに対する濃度が1mol%になるようにCaOを用いる以外は、実施例1と同様の条件で結晶成長を行う。
育成期間終了後、オートクレーブを冷却中に、内筒2の一部が破損し、内筒2内の酸性鉱化剤を含む溶液が内筒2外に漏洩した場合、オートクレーブ1内壁に腐食は見られず、オートクレーブ1と内筒2との間の空隙には、白色の粉体が存在する。粉体の成分を分析すると、CaOとCaI2である。
<実施例4>
表2に記載されるように、酸性鉱化剤としてHClの代わりにHFを用い、物質(A)として内筒2内のアンモニアに対する濃度が1mol%になるようにCaOを用いる以外は、実施例1と同様の条件で結晶成長を行う。なお、酸性鉱化剤としてNH4Fを用いた場合には、原料GaNの溶解度曲線が負になるので、原料域が上部、育成域が下部となる。
育成期間終了後、オートクレーブを冷却中に、内筒2の一部が破損し、内筒2内の酸性鉱化剤を含む溶液が内筒2外に漏洩した場合、オートクレーブ1内壁に腐食は見られず、オートクレーブ1と内筒2との間の空隙には、白色の粉体が存在する。粉体の成分を分析すると、CaOとCaF2である。
参考実験例1〜6および実施例1〜4により、酸性鉱化剤を含むアンモニア溶液が耐圧性容器に接触するような環境になった場合であっても、物質(A)が存在することにより、耐圧性容器を腐食することなくアモノサーマル法を実施することができる。一方、参考比較実験例1から明らかなように、物質(A)が存在しない場合には、酸性鉱化剤を含むアンモニア容器が耐圧性容器を腐食することが予測され、アモノサーマル法の実施に問題がある。
Figure 2012171862
本発明は、窒化物の塊状単結晶、とりわけGaNの塊状単結晶の育成に有用である。本発明の製造方法によれば耐圧性容器の内壁が腐食される心配がなく、品質の高い窒化物結晶を得ることができる。さらに耐圧性容器の使用に当たって、安全性・生産性を向上させ得る。よって、本発明は産業上の利用可能性が極めて高い。
1 耐圧容器(オートクレーブ)
2 反応容器(内筒)
3 オートクレーブ蓋
4 種結晶
5 原料
6 バッフル板
7 結晶育成域
8 原料域
9 バルブ
10 保温材
11 結晶育成域ヒーター
12 原料域ヒーター
13 導管
14 排気管
15 真空ポンプ
16 熱電対1
17 熱電対2
18 破裂板
19 マスフローメーター
20 アンモニアボンベ
21 窒素ボンベ
22 圧力センサー
23 物質(A)

Claims (12)

  1. 反応容器に原料、酸性鉱化剤、およびアンモニアを充填して密閉した後、耐圧性容器内に該反応容器を設置し、さらに該耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に第二溶媒を充填して前記耐圧容器を密閉した後、該反応容器中で超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気において結晶成長を行う窒化物結晶の製造方法であって、
    該耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に、前記酸性鉱化剤または前記酸性鉱化剤から発生する酸と反応して反応生成物を生じる物質(A)を存在させることを特徴とする、窒化物結晶の製造方法。
  2. 前記物質(A)が、少なくともアルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類のいずれか1以上の元素を含む、請求項1に記載の窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記物質(A)が、少なくともアルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類の単体、又はこれらの酸化物、水酸化物、炭酸塩、もしくは酸窒化物を含む、請求項1又は請求項2に記載の窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記物質(A)が塩基性酸化物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  5. 前記酸性鉱化剤がハロゲン原子を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  6. 前記酸性鉱化剤と前記物質(A)が反応して、ハロゲン原子を含む固体を析出する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  7. 前記酸性鉱化剤と前記物質(A)を、酸性鉱化剤/前記物質(A)(モル比率)が0.1〜100となるように反応容器および耐圧性容器に存在させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  8. 前記反応生成物が、常温常圧条件において固体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  9. 前記物質(A)が、常温常圧条件において固体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  10. 前記物質(A)が粉体である、請求項9に記載の窒化物結晶の製造方法。
  11. 前記物質(A)が粉体を圧縮凝固したものである、請求項10に記載の窒化物結晶の製造方法。
  12. 前記物質(A)が多孔質体である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
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