JP2015059077A - 窒化物結晶の製造方法、反応容器および結晶製造装置 - Google Patents

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紳一郎 川端
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豊 三川
明 森本
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明 森本
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Yuji Kagamitani
勇二 鏡谷
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英夫 藤澤
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Abstract

【課題】反応容器の径方向における大幅な変形を効果的に防止しながら、品質の高い窒化物結晶を得ることができるようにすること。
【解決手段】反応容器に少なくとも原料とアンモニア溶媒を充填して該反応容器を密閉した後、耐圧性容器内に該反応容器を装填し、該反応容器中を超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気にして、該反応容器内で結晶成長を行う際に、該反応容器の少なくとも一部を金属材料により補強する。
【選択図】図3

Description

本発明は、窒化物結晶の製造方法、特に金属材料により補強されている反応容器を用いた窒化物結晶の製造方法に関する。また本発明は、該製造方法を実施する際に用いる反応容器および結晶製造装置にも関する。
アモノサーマル法は、超臨界状態および/または亜臨界状態にあるアンモニアなどの窒素を含有する溶媒を用いて、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の材料を製造する方法である。結晶成長へ適用するときは、アンモニアなどの溶媒への原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させる方法である。アモノサーマル法と類似のハイドロサーマル法は溶媒に超臨界および/または亜臨界状態の水を用いて結晶成長を行うが、主に水晶(SiO2)や酸化亜鉛(ZnO)などの酸化物結晶
に適用される方法である。一方アモノサーマル法は窒化物結晶に適用することができ、窒化ガリウムなどの窒化物結晶の成長に利用されている。
アモノサーマル法に用いられる結晶製造装置としては、例えば特許文献1、2に開示されるように、反応容器を耐圧性容器内に装填した状態で、反応容器内で種結晶上に目的とする単結晶を析出させるものが知られている。
アモノサーマル法では、結晶成長を行うために反応容器内のアンモニアなどの溶媒が超臨界または亜臨界状態となるまで昇温・昇圧する。ここで、特許文献1、2に記載されているような内筒方式の反応容器を使用する場合には、反応容器内と反応容器の外側との間で圧力が略等しくなるように調節する必要がある。これは、反応容器内外での圧力が異なると、反応容器が潰れたり、破裂したりして、破損する可能性が高いからである。
反応容器内と反応容器の外側との間で圧力が略等しくなるように調節する手法については、種々検討されている。
たとえば、特許文献2には、反応容器の内圧が高くなることにより発生する反応容器の破裂を防止する手段として、外壁面全体が変形可能な材料で形成された反応容器を使用することが記載されている。これは、反応容器の内圧が上昇すると反応容器が膨らんで破裂を防止するものである(特許文献2)。
特開2009−263229号公報 特表2006−514581号公報
従来の内筒容器を使用したアモノサーマル法では、反応容器内外の圧力バランスを保つための調整は極めて難しく、実際に運用することが難しかった。また、結晶成長中には圧力バランスが取れていたとしても結晶の取り出しまでの過程で反応容器が破損してしまうと繰返し使用ができなかったり、結晶成長前に反応容器が変形した場合には成長した結晶に損傷が及んだり、結晶成長自体を行うことができないなどの問題もあった。
特許文献2に記載されるような従来の検討においては、反応容器の内部の圧力が上昇して反応容器が膨らむような変形に対する対策に開示されているが、本発明者らの検討では、アモノサーマル法では特に反応容器の外側の圧力が上昇しやすく、その結果、反応容器
内外での圧力バランスが崩れて反応容器に凹みが生じるような径方向の変形が生じやすくなるとの課題を見出した。特に、結晶成長開始前に耐圧性容器および反応容器内を昇温する場合など温度が変化する過程においては、圧力バランスが崩れやすく、この調整をするのが困難であることが判明した。この課題は、反応容器外側の圧力上昇に関するもので、特許文献2に記載の発明では、解決することができない。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、反応容器の一部を金属材料によって補強することにより、反応容器の径方向の変形(凹み)を低減させ、良質な窒化物結晶を得ることができ、生産性向上に大きな効果があることを見出し本発明に到達した。さらに、反応容器の特定の位置を補強することにより、結晶成長速度を高速に保つことができ、生産性のさらなる向上に寄与し得ることを見出した。
すなわち、上記の課題は、以下の本発明の窒化物結晶の製造方法により解決される。
[1] 反応容器に少なくとも原料とアンモニア溶媒を充填して該反応容器を密閉した後、耐圧性容器内に該反応容器を装填し、該反応容器中を超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気にして、該反応容器内で結晶成長を行う窒化物結晶の製造方法であって、該反応容器の少なくとも一部を金属材料により補強する、窒化物結晶の製造方法。
[2] 前記反応容器の外側に金属材料からなる補強部材を配置することにより補強する、[1]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[3] 前記反応容器が、原料を配置する原料溶解領域と種結晶を配置する結晶成長領域を備えており、少なくとも前記結晶成長領域を金属材料により補強する、[1]または[2]に記載の窒化物結晶製造方法。
[4] 前記反応容器内にバッフル板を配置し、反応容器の該バッフル板が配置される位置と同じ位置を金属材料により補強する、[1]〜[3]のいずれかに記載の窒化物結晶の製造方法。
[5] 前記反応容器の2ヵ所以上を補強する、[1]〜[4]のいずれかに記載の窒化物結晶の製造方法。
[6] 反応容器に少なくとも原料とアンモニア溶媒を充填して該反応容器を密閉した後、耐圧性容器内に該反応容器を設置し、該反応容器中を超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気にして、反応容器内で窒化物結晶を成長させるための反応容器であって、前記反応容器の少なくとも一部が金属材料により補強されている反応容器。
[7] 前記反応容器が、原料を配置する原料溶解領域と種結晶を配置する結晶成長領域を備えており、少なくとも前記結晶成長領域が金属材料により補強されている、[6]に記載の反応容器。
[8] 超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気にて窒化物結晶を成長させる結晶製造装置であって、[6]または[7]に記載の反応容器と、該反応容器全体を装填するための耐圧性容器を含む結晶製造装置。
本発明の製造方法によれば、反応容器の径方向の変形(凹み)を低減させて良質な窒化物結晶を得ることができる。このため、反応容器を複数回用いることができ、生産性向上に大きな効果がある。さらに、反応容器の特定の位置を補強することにより、結晶成長速度を高速に保つことができ、生産性のさらなる向上に寄与し得る。また、本発明の製造方法により得られる窒化物結晶は均一で高品質であるために、発光デバイスや電子デバイス用の半導体結晶等として有用である。本発明の反応容器や結晶製造装置を用いれば、このような本発明の製造方法を簡便に実施することができる。
本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。 本発明で用いることができる反応容器の補強部材の例示である。 本発明で用いることができる反応容器の補強方法の例示である。
以下において、本発明の窒化物結晶の製造方法、およびそれに用いる反応容器や結晶製造装置について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の窒化物結晶の製造方法は、反応容器に少なくとも原料とアンモニア溶媒を充填して密閉した後、耐圧性容器内に該反応容器を装填し、該反応容器中で超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気において結晶成長を行う窒化物結晶の製造方法であって、前記反応容器の少なくとも一部を金属材料により補強することを特徴とする。
本発明の結晶製造方法で得られる結晶は窒化物単結晶であれば特に限定されないが、例えばIII族窒化物結晶が好ましく、中でも窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジ
ウムやこれらの混晶などがより好ましい。本明細書においては、窒化ガリウム(GaN)を例として説明するが、本発明の製造方法はこれに限られるものではない。
本発明における反応容器中で超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気において結晶成長を行う場合、アモノサーマル法を好ましく用いることができ、結晶成長の条件としては、例えばGaNであれば特開2009−263229号公報に開示されているような原料、鉱化剤、種結晶、溶媒、温度、圧力などの条件を好ましく用いることができる。また、本製造方法に用いる結晶製造装置、及び具体的な手順においても、特開2009−263229号公報に開示されている方法を好ましく用いることができる。該公開公報の開示全体を本明細書に引用して援用する。
具体的に、種結晶、鉱化剤、原料、溶媒、温度、圧力について以下に説明する。
結晶成長では結晶成長の核として種結晶を用いることが好ましい。種結晶としては、特に限定されないが、成長させる結晶と同種のものが好ましく用いられる。前記種結晶の具体例としては、例えば窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)またはこれらの混晶等の窒化物単結晶が挙げられる。
前記種結晶は、成長させる結晶との格子整合性などを考慮して決定することができる。例えば、種結晶としては、サファイア等の異種基板上にエピタキシャル成長させた後に剥離させて得た単結晶、Gaなどの金属からNaやLi、Biをフラックスとして結晶成長させて得た単結晶、液相エピタキシ法(LPE法)を用いて得たホモ/ヘテロエピタキシャル成長させた単結晶、溶液成長法に基づき作製された単結晶及びそれらを切断した結晶などを用いることができる。前記エピタキシャル成長の具体的な方法については特に制限されず、例えば、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)、液相法、アモノサーマル法などを採用することができる。
本発明の結晶成長では、鉱化剤を用いることが好ましい。アンモニアなどの窒素を含有する溶媒に対する結晶原料の溶解度が高くないために、溶解度を向上させるために鉱化剤を用いる。
用いる鉱化剤は、塩基性鉱化剤であっても、酸性鉱化剤であってもよい。塩基性鉱化剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属と窒素原子を含む化合物で、アルカリ土類金属アミド、希土類アミド、窒化アルカリ金属、窒化アルカリ土類金属、アジド化合物、その他ヒドラジン類の塩が挙げられる。好ましくは、アルカリ金属アミドで、具体例としてはナトリウムアミド(NaNH2)、カリウムアミド(KNH2)、リチウム
アミド(LiNH2)が挙げられる。また、酸性鉱化剤としては、ハロゲン元素を含む化
合物が好ましい。ハロゲン元素を含む鉱化剤の例としては、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素、アンモニウムヘキサハロシリケート、及びヒドロカルビルアンモニウムフルオリドや、ハロゲン化テトラメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラエチルアンモニウム、ハロゲン化ベンジルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ジプロピルアンモニウム、及びハロゲン化イソプロピルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、フッ化アルキルナトリウムのようなハロゲン化アルキル金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、ハロゲン化金属等が例示される。このうち、好ましくはハロゲン元素を含む添加物(鉱化剤)であるハロゲン化アルカリ、アルカリ土類金属のハロゲン化物、金属のハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素であり、さらに好ましくはハロゲン化アルカリ、ハロゲン化アンモニウム、周期表13族金属のハロゲン化物、ハロゲン化水素であり、特に好ましくはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化水素である。ハロゲン化アンモニウムとしては、例えば塩化アンモニウム(NH4Cl)、ヨウ化アンモニウ
ム(NH4I)、臭化アンモニウム(NH4Br)、フッ化アンモニウム(NH4F)であ
る。
前記鉱化剤として、フッ素元素と、塩素、臭素、ヨウ素から構成される他のハロゲン元素から選ばれる少なくとも一つとを含む鉱化剤を用いることが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよいし、複数種を適宜混合して用いてもよい。
前記鉱化剤に含まれるハロゲン元素の組み合わせは、塩素とフッ素、臭素とフッ素、ヨウ素とフッ素といった2元素の組み合わせであってもよいし、塩素と臭素とフッ素、塩素とヨウ素とフッ素、臭素とヨウ素とフッ素といった3元素の組み合わせであってもよいし、塩素と臭素とヨウ素とフッ素といった4元素の組み合わせであってもよい。本発明で用いる鉱化剤に含まれるハロゲン元素の組み合わせと濃度比(モル濃度比)は、成長させようとしている窒化物結晶の種類や形状やサイズ、種結晶の種類や形状やサイズ、使用する反応装置、採用する温度条件や圧力条件などにより、適宜決定することができる。
前記結晶成長では、ハロゲン元素を含む鉱化剤とともに、ハロゲン元素を含まない鉱化剤を用いることも可能であり、例えばNaNH2やKNH2やLiNH2などのアルカリ金
属アミドと組み合わせて用いることもできる。ハロゲン化アンモニウムなどのハロゲン元素含有鉱化剤とアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を含む鉱化剤とを組み合わせて用いる場合は、ハロゲン元素含有鉱化剤の使用量を多くすることが好ましい。具体的には、ハロゲン元素含有鉱化剤100質量部に対して、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を含む鉱化剤を0.01質量部以上とすることが好ましく、0.1質量部以上とすることがより好ましく、0.2質量部以上とすることがさらに好ましく、また、50質量部以下とすることが好ましく、20質量部以下とすることがより好ましく、5質量部以下とすることがさらに好ましい。
前記結晶成長で成長させる窒化物結晶に不純物が混入するのを防ぐために、必要に応じて鉱化剤は精製、乾燥してから使用することができる。前記鉱化剤の純度は、通常は95%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.99%以上である。
前記鉱化剤に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、1.0ppm以下であることがさらに好ましい。
なお、前記結晶成長を行う際には、反応容器にハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化リン、ハロゲン化シリコン、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化ヒ素、ハロゲン化スズ、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化ビスマスなどを存在させておいてもよい。
鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度は0.1mol%以上とするこ
とが好ましく、0.3mol%以上とすることがより好ましく、0.5mol%以上とすることがさらに好ましい。また、鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度は30mol%以下とすることが好ましく、20mol%以下とすることがより好ましく、10mol%以下とすることがさらに好ましい。濃度が低すぎる場合、溶解度が低下し成長速度が低下する傾向がある。一方濃度が濃すぎる場合、溶解度が高くなりすぎて自発核発生が増加したり、過飽和度が大きくなりすぎるため制御が困難になるなどの傾向がある。
本発明の結晶成長においては、種結晶上に成長させようとしている窒化物結晶を構成する元素を含む原料を用いる。例えば、周期表13族金属の窒化物結晶を成長させようとする場合は、周期表13族金属を含む原料を用いる。好ましくは13族窒化物結晶の多結晶原料及び/又は13族金属であり、より好ましくは窒化ガリウム及び/又は金属ガリウムである。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては13族元素がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有してもよく、例えば、結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。
前記多結晶原料の製造方法は、特に制限されない。例えば、アンモニアガスを流通させた反応容器内で、金属又はその酸化物もしくは水酸化物をアンモニアと反応させることにより生成した窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物などの共有結合性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒素と反応させて作製した窒化物多結晶を用いることもできる。
本発明において原料として用いる多結晶原料に含まれる水や酸素の量は、少ないことが好ましい。多結晶原料中の酸素含有量は、通常10000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。多結晶原料への酸素の混入のしやすさは、水分との反応性又は吸収能と関係がある。多結晶原料の結晶性が悪いほど表面にNH基などの活性基が多く存在し、それが水と反応して一部酸化物や水酸化物が生成する可能性がある。このため、多結晶原料としては、通常、できるだけ結晶性が高い物を使用することが好ましい。結晶性は粉末X線回折の半値幅で見積もることができ、(100)の回折線(ヘキサゴナル型窒化ガリウムでは2θ=約32.5°)の半値幅が、通常0.25°以下、好ましくは0.20°以下、さらに好ましくは0.17°以下である。
反応容器内に充填して結晶成長に用いられる第一溶媒であるアンモニアは、溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましい。具体的には、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上であり、特に好ましくは99.9999%以上である。
結晶成長においては、全体を加熱して反応容器内を含めて耐圧性容器内全体を超臨界状態および/または亜臨界状態とする。超臨界状態では一般的には、粘度が低く、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同様の溶媒和力を有する。亜臨界状態とは、臨界温度近傍で臨界密度とほぼ等しい密度を有する液体の状態を意味する。例えば、原料充填部では、超臨界状態として原料を溶解し、結晶成長部では亜臨界状態となるように温度を変化させて超臨界状態と亜臨界状態の原料の溶解度差を利用した結晶成長も可能である。
超臨界状態にする場合、反応混合物は、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度に保持する。アンモニア溶媒を用いた場合、臨界点は臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaであるが、反応容器の容積に対する充填率が高ければ、臨界温度以下の温度でも圧力は臨界圧力を遥かに越える。本発明において「超臨界状態」とは、このような臨界圧力を越えた状態を含む。反応混合物は、一定の容積の反応容器内に封入されているので、温度上昇は流体の圧力を増大させる。一般に、T>Tc(1つの溶媒の臨界温度)及びP>Pc(1
つの溶媒の臨界圧力)であれば、流体は超臨界状態にある。
超臨界条件では、窒化物結晶の十分な成長速度が得られる。反応時間は、特に鉱化剤の反応性及び熱力学的パラメータ、すなわち温度及び圧力の数値に依存する。窒化物結晶の合成中あるいは成長中、反応容器内の圧力は結晶性および生産性の観点から、50MPa以上にすることが好ましく、100MPa以上にすることがより好ましく、150MPa以上にすることがさらに好ましい。また、反応容器内の圧力は安全性の観点から、700MPa以下にすることが好ましく、500MPa以下にすることがより好ましく、350MPa以下にすることがさらに好ましく、300MPa以下にすることが特に好ましい。圧力は、温度及び反応容器の容積に対する溶媒体積の充填率によって適宜決定される。本来、反応容器内の圧力は、温度と充填率によって一義的に決まるものではあるが、実際には、原料、鉱化剤などの添加物、反応容器内の温度の不均一性、及び自由容積の存在によって多少異なる。
反応容器内の温度範囲は、結晶性および生産性の観点から、下限値が500℃以上であることが好ましく、515℃以上であることがより好ましく、530℃以上であることがさらに好ましい。上限値は、安全性の観点から、700℃以下であることが好ましく、650℃以下であることがより好ましく、630℃以下であることがさらに好ましい。本発明の窒化物結晶の製造方法では、反応容器内における原料溶解領域の温度が、結晶成長領域の温度よりも高いことが好ましい。原料溶解領域と結晶成長領域との温度差(|ΔT|)は、結晶性およ生産性の観点から、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下が特に好ましい。反応容器内の最適な温度や圧力は、結晶成長の際に用いる鉱化剤や添加剤の種類や使用量等によって、適宜決定することができる。
前記の反応容器内の温度範囲、圧力範囲を達成するための反応容器への溶媒の注入割合、すなわち充填率は、反応容器のフリー容積、すなわち、反応容器に多結晶原料、及び種結晶を用いる場合には、種結晶とそれを設置する構造物の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積、またバッフル板を設置する場合には、さらにそのバッフル板の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積の溶媒の沸点における液体密度を基準として、通常15%以上、好ましくは25%以上、さらに好ましくは40%以上とし、また、通常95%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下とする。
反応容器内での窒化物結晶の成長は、熱電対を有する電気炉などを用いて反応容器を加熱昇温することにより、反応容器内をアンモニア等の溶媒の亜臨界状態および/または超臨界状態に保持することにより行われる。加熱の方法、所定の反応温度への昇温速度に付いては特に限定されないが、通常、数時間から数日かけて行われる。必要に応じて、多段の昇温を行ったり、温度域において昇温スピードを変えたりすることもできる。また、部分的に冷却しながら加熱したりすることもできる。
なお、前記の「反応温度」は、反応容器の外面に接するように設けられた熱電対、および/または外表面から一定の深さの穴に差し込まれた熱電対によって測定され、反応容器の内部温度へ換算して推定することができる。これら熱電対で測定された温度の平均値をもって平均温度とする。
本発明の窒化物結晶の製造方法においては、種結晶に前処理を加えておくことができる。前記前処理としては、例えば、種結晶にメルトバック処理を施したり、種結晶の成長面を研磨したり、種結晶を洗浄するなどが挙げられる。
所定の温度に達した後の反応時間については、窒化物結晶の種類、用いる原料、鉱化剤の種類、製造する結晶の大きさや量によっても異なるが、通常、数時間から数百日とする
ことができる。反応中、反応温度は一定にしてもよいし、徐々に昇温又は降温させることもできる。所望の結晶を生成させるための反応時間を経た後、降温させる。降温方法は特に限定されないが、ヒーターの加熱を停止してそのまま炉内に反応容器を設置したまま放冷してもかまわないし、反応容器を電気炉から取り外して空冷してもかまわない。必要であれば、冷媒を用いて急冷することも好適に用いられる。
反応容器外面の温度、あるいは推定される反応容器内部の温度が所定温度以下になった後、反応容器を開栓する。このときの所定温度は特に限定はなく、通常−80℃以上、好ましくは−33℃以上であり、また、通常200℃以下、好ましくは100℃以下である。ここで、反応容器に接続したバルブの配管接続口に配管を接続し、水などを満たした容器に通じておき、バルブを開けてもよい。さらに必要に応じて、真空状態にするなどして反応容器内のアンモニア溶媒を十分に除去した後、乾燥し、反応容器の蓋等を開けて生成した窒化物結晶及び未反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り出すことができる。なお、結晶成長後には例えば自然冷却または強制冷却により1〜48時間かけて室温まで冷却することができる。
耐圧性容器は高温環境での強度に優れた材料からなることが必要であり、その内壁がNi又はCrを含む金属からなることが好ましい。また耐圧性容器は、本発明で用いる反応容器全体を装填することができる内容積を有するものであることが必要である。反応容器を装填して密封したときに、耐圧性容器の内壁と反応容器の外壁の間には空隙が存在するが、その空隙の体積は反応容器の内容積を100体積%としたときに、5体積%以上であることが好ましく、10体積%以上であることがより好ましく、また、200体積%以下であることが好ましく、100体積%以下であることがより好ましい。空隙の体積の割合が小さすぎる場合、反応容器の外壁と耐圧性容器の内壁の間隔が狭くなりすぎるために、カプセルの変形により反応容器の外壁が耐圧性容器と接触することがあり反応容器を耐圧性容器から取り出すことが困難になることがある。また、空隙の体積の割合が大きすぎる場合、反応容器の体積が小さくなり生産可能な窒化物結晶の量および結晶の大きさが制限され生産性を低下させることがある。
反応容器はアンモニア溶媒や鉱化剤などに対する耐腐食性に優れた材料からなることが必要であり、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Au、Ta、TiおよびWからなる群から選ばれる少なくとも1種類の金属、または該金属を主成分とする合金からなることが好ましい。ここでいう該金属を主成分とする合金とは、合金におけるRh、Pd、Ag、Ir、Pt、Au、Ta、TiおよびWの合計含有量が合金の全重量の50%以上であることを意味し、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上である。反応容器は、上記金属群のうち、少なくともIr,Pt,Taのいずれかを含むことが好ましく、少なくともIr,Ptのいずれかを含むことがより好ましい。さらに好ましくは、PtもしくはPt(100-x)Ir(x)[x=0〜30(重量%)]合金からなる反応容器である。中でもxは3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。
反応容器の具体的な構造は特に制限されないが、典型的な反応容器は結晶育成用の原料を入れる原料溶解領域と結晶を育成させる結晶成長領域を備えている。結晶成長領域には種結晶を設置することができ、結晶成長領域と原料溶解領域とはバッフル板で分けられているのが一般的である。
本発明に用いる反応容器は、少なくとも一部が金属材料により補強されていることを特徴とする。反応容器を補強する方法としては、反応容器の外側および/または内側から、金属材料からなる補強部材を用いて補強することが好ましい。
補強部材の形態は特に限定されず、板状部材やリング形状の部材などが挙げられる。たとえば、図2の(a)〜(d)に示すようなリングを用いることが好ましい。図2(a)は、厚みがTの金属材料で作製された幅Wの帯状リングであり、図2(b)はこの別の態様としてパンチングメタルで作製された帯状のリングである。図2(c)は厚みがWに相当する金属材料で作製され、外径と内径との差がTに相当する形状でくり抜かれたリングであり、図2(d)はこの別の態様としてパンチングメタルで作製されたリングである。これらのリングを、円筒状の反応容器の外側および/または内側に配置して反応容器の径を均一に補強すると、効果的に径方向の変形を抑えることができるため好ましい。
反応容器を補強する箇所としては反応容器の外側でも内側でもよいが、結晶成長を行う際の溶媒の対流への影響や、得られる結晶への不純物混入を回避することができることから、反応容器の外側に金属材料からなる補強部材を配置することにより補強することが好ましい。本発明の課題となっている反応容器外側の圧力上昇によって発生する反応容器の径方向の変形(凹み)については、反応容器の外側からかかる応力に対する補強であるため、通常、反応容器の内側から補強することが有効と予測できる。しかしながら、本発明者らの検討によれば、反応容器の外側に補強部材を配置することにより、反応容器外側の圧力上昇による径方向の変形(主に凹み)を効果的に抑制することができることを見出した。
反応容器を補強する箇所としては、径方向の変形を抑制するためには、反応容器の直胴部を補強することが好ましい。直胴部の全体を補強してもよいし、一部を補強してもよい。直胴部の一部を補強する場合には、少なくとも結晶成長領域を補強することが好ましい。結晶成長領域を補強することにより、反応容器の変形により得られる窒化物結晶が破壊されるなどの問題を回避することができる。また、反応容器内に配置されるバッフル板の位置と同じ位置を補強することも好ましい。これにより、反応容器の変形でバッフル板が変形し、結晶成長中の溶媒の対流が阻害されるなどの問題を回避することができる。
反応容器の補強は、補強のしやすさの点から、反応容器の全体でなく一部を補強することが好ましく、2ヵ所以上に分けて補強することが好ましい。補強する面積としては、反応容器の直胴部の面積の5%以上を補強することが好ましく、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは25%以上である。2ヵ所以上に分けて補強する場合には、各補強部分の面積の総和が上記範囲にあることが好ましい。
補強部材を構成する材料は、特に限定されないが、600℃付近においても材料強度の劣化が少なく、溶媒に対して耐腐食性を有する金属材料であることが好ましい。具体的には、例えばアンモニア溶媒に対してはNi−Cr合金、Mo、W、Nb、Ag、Ptなどが挙げられる。なかでも、反応容器の外側を補強する場合には高耐腐食性のInconel625(Inconelはハンティントン アロイズ カナダ リミテッドの登録商標、以下同じ)、ワスパロイ(United Technologies,Inc.の登録商標)、Rena41(Teledyne Allvac, Incの登録商標)が好ましく、反応容器の内側を補強する場合には結晶への不純物の混入が少ないMo、W、Ir、Ptが好ましい。
図1に、本発明の結晶製造装置の例を示す。本発明で反応容器と耐圧性容器の間の空隙に充填される第二溶媒は、反応容器の内側と外側をほぼ等しい圧力にすることができる溶媒であればその種類は限定されない。そのような第二溶媒としては、例えば、アンモニア、水、アルコール、二酸化炭素などを用いることができる。反応容器の内側と外側の圧力差を小さくするためには、第二溶媒は、反応容器内の第一溶媒として用いられるアンモニアと性質の近い(つまり内容積一定条件において充填率と温度−圧力の関係がアンモニアの温度−圧力変化に近い)溶媒であることが好ましく、アンモニアを用いることが特に好ましい。その理由は、性質の近い溶媒を用いると、原料の溶解析出によって結晶成長反応
を行うために温度を上げたとき、特に昇温過程において、反応容器の内側と外側の圧力をほぼ同じに保つことが容易になるからである。通常、反応容器の内側と外側には同質の溶媒を用い、反応容器内の溶媒の充填率と反応容器と耐圧性容器の間の空隙の充填率をほぼ同じにすることが好ましい。具体的には、充填率を百分率で表したときに、反応容器内の溶媒の充填率と反応容器と耐圧性容器の間の空隙の充填率の差が±10%以内にすることが好ましく、±5%以内にすることがより好ましい。より厳密には加熱炉のデザイン、耐圧性容器内の反応容器の配置などにより、反応容器内と反応容器外のアンモニアの温度が異なることがあるため、それぞれの温度に合わせて充填率を変化させ反応容器内と反応容器外との圧力がほぼ同じになるようにすることがより好ましい。
反応容器と耐圧性容器の間の空隙に充填される第二溶媒がアンモニアである場合、通常は、該アンモニアは原料等と直接触れることはないので、不純物等の物性に関しては特に問題とならないが、反応容器内のアンモニアと反応容器と耐圧性容器の間の空隙に充填されるアンモニアの物理的な物性をほぼ等しくするためには、アンモニアに含まれる水や酸素の量をできるだけ少なくすることが望ましい。水と酸素の合計含有量は、好ましくは1000ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下である。水や酸素量をできるだけ少なくすることは、耐圧性容器の腐食を抑制する観点からも有効である。
図1に示される反応容器(カプセル)2として、例えば、図3の(a)〜(c)に示すような形態で補強された反応容器を用いる。図3(a)は、反応容器の外側から、結晶成長領域の計3ヵ所をリングにより補強する場合の模式図である。図3(b)は、反応容器の内側から、結晶成長領域の計3ヵ所をリングにより補強する場合の模式図である。図3(c)は、反応容器の外側および内側から3ヵ所ずつ、結晶成長領域の計6ヵ所をリングにより補強する場合の模式図である。
これらの補強により、反応容器内外の圧力バランスが崩れた場合であっても、径方向の変形(凹み)を効率よく抑制することができる。これにより、結晶成長領域で育成された窒化物結晶に損傷を与えずに窒化物結晶を得ることができる。変形した反応容器は、変形の程度がわずかであればそのまま次の窒化物結晶の成長に利用することができる。また、変形した反応容器は圧元の形に復元してから次の窒化物結晶の成長に利用することもできる。復元の方法としては、例えば、金型を用いて機械的に成型する方法、水、油、気体を反応容器内に充填することにより内部圧力を上昇させて膨張させる方法、ロール成形機により修正する方法などを挙げることができる。また、変形した部位を切断して、新たな直胴部を接合することにより反応容器を再利用することも可能である。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
本実施例では、図1に示すような反応装置を用いて下地基板を得るための結晶成長を行った。結晶成長には、ニッケル基合金製のオートクレーブ1を耐圧性容器として用い、Pt−Ir製の円筒形状のカプセルを反応容器2として用いた。このカプセル2は、カプセルの外側から、図2(b)に示すInconel625製で幅(W)30mm、厚み(T)1mmの帯状のリング23を用いて、次のように金属材料により補強を行った。
外径60mmの円筒形カプセルのうち、長さ800mmの直胴部の上部に位置する結晶成長領域(上部360mm)に対して、図3(a)に示すように、バッフル板の位置を含め等間隔に3ヵ所配置し、カプセルの外側表面に密着させてきつく嵌め込んで巻きつけた
。補強を行った面積は、カプセル直胴部の表面積の25%となった。
原料5として多結晶GaN粒子をカプセル下部領域(原料溶解領域8)内に設置し、鉱化剤として高純度のNH4Fをカプセル内に投入した。さらに下部の原料溶解領域8と上
部の結晶成長領域7の間には白金製のバッフル板6を設置した。種結晶4として、HVPE法で得られたM面基板を、白金製のワイヤーとシード支持枠を用いて吊るし、カプセル上部の結晶成長領域7に設置した。
カプセルの上部にPt−Ir製のキャップを溶接により接続したのち、カプセル下部を液体窒素で冷却し、バルブを開け外気に触れることなく、鉱化剤としてHIを充填した。次いで、カプセルをNH3ガスラインに接続し、外気に触れることなくNH3を充填した後、再びバルブを閉じた。その後、キャップ上部のチューブを封じ切った。なお、カプセル中に導入されたF濃度はNH3に対して0.5mol%、I濃度は2.0mol%であっ
た。
次いで、カプセルをオートクレーブに挿入し、オートクレーブを密封した。
その後、バルブを開けて真空脱気し、真空状態を維持しながらオートクレーブ1をドライアイスエタノール溶媒によって冷却し、導管をNH3ボンベ20に通じて外気に触れる
ことなくNH3をオートクレーブ1に充填した後、再びバルブを閉じた。
オートクレーブ1を複数に分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。
オートクレーブ1内部の平均温度が600℃、内部の温度差(|ΔT|)が20℃になるようにオートクレーブ1外面温度で制御しながら昇温し、設定温度に達した後、その温度にて20日間保持した。オートクレーブ1内の圧力は215MPaであった。また保持中のオートクレーブ1外面制御温度のバラツキは±0.3℃以下であった。
オートクレーブ1を冷却しながら、オートクレーブ1に付属したバルブを開放し、オートクレーブ1内のNH3を取り除いた。その後、カプセル内に充填したNH3も取り除いた。
オートクレーブ1の蓋を開け、カプセルを取り出し、更に内部の結晶を取り出した。カプセルの外観を目視で確認したところ、径方向の変形はしておらずカプセルの直胴部は円筒形を保っていた。種結晶上には窒化ガリウム結晶が成長しており、M軸方向の成長厚みは7mmであった。
上記窒化ガリウム結晶より、M面を主面とする直方体の板状の窒化ガリウムウエハを複数切り出すことができた。このウエハを主面であるM面の表裏と4側面をエッチングしてダメージを除去し、更にM面の表裏をミラー研磨した。得られた両面研磨結晶のX線回折測定を行い、結晶系は六方晶系で立方晶GaNは含まれていないことを確認した。
この後、上述の方法と同様にして反応容器の一部の補強を行い、同様の条件で窒化物結晶の成長を3回行った。いずれの場合も、カプセルの外観を目視で確認したところ、径方向の変形はしておらずカプセルの直胴部は円筒形保っていた。また、原料の溶解量は657.4g〜736.5gとなっており、カプセル内で十分に溶媒の対流が起こり、原料が溶解していることが分かった。
(実施例2)
カプセル2について、カプセルの内側から、図2(d)に示すモリブデン製で外径55mmが内径45mmであって厚み(T)10mm、幅(W)2mmのリング23を用いて、次のように金属材料により補強を行った。
内径59mmの円筒形のカプセルの内側に、長さ800mmの直胴部の上部に位置する結晶成長領域(上部360mm)に対して、図3(b)に示すように等間隔に3ヶ所配置し、種結晶を保持するための枠に取付けて設置した。
上記の補強を行ったカプセル2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして窒化物結晶の成長を行い、種結晶上には窒化ガリウム結晶を成長させた。
結晶成長後に取り出したカプセルの外観を目視で確認したところ、径方向の変形はしておらずカプセルの直胴部は円筒形を保っていた。また、原料の溶解量は531.7gとなっており、カプセル内で十分に溶媒の対流が起こり、原料が溶解していることが分かった。
(実施例3)
カプセル2について、カプセルの内側および外側から、実施例1および実施例2で用いたリング23を用いて、次のように金属材料により補強を行った。
図3(c)に示すようにして、実施例1と同様にカプセルの外側にリング23を配置し、さらに実施例2と同様にカプセルの内側にもリング23を配置してカプセルの補強を行った。
上記の補強を行ったカプセル2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして窒化物結晶の成長を行い、種結晶上には窒化ガリウム結晶を成長させた。
結晶成長後に取り出したカプセルの外観を目視で確認したところ、径方向の変形はしておらずカプセルの直胴部は円筒形を保っていた。また、原料の溶解量は621.8gとなっており、カプセル内で十分に溶媒の対流が起こり、原料が溶解していることが分かった。
(比較例)
反応容器の補強を実施せず、カプセルをそのまま用いたこと以外は、実施例1と同様にして窒化物結晶の成長を行い、種結晶上には窒化ガリウム結晶を成長させる実験を14回実施した。結晶成長後に取り出したカプセルの外観を目視で確認したところ、このうち5回はカプセルが径方向に凹みを生じて大きく変形しており、カプセルの直胴部は長さ方向に300mmにわたって円筒形を保持していなかった。また、バッフル板を配置した位置の周辺においてカプセルが変形した影響で、バッフル板自体も変形している場合には、原料の溶解量は47.3〜189.1gとなっており、バッフルの変形によってカプセル内の溶媒の対流が阻害され、十分に原料が溶解していないことが分かった。
実施例および比較例の結果を、表1にまとめて示した。
本発明は、第13族窒化物の塊状単結晶、とりわけGaNの塊状単結晶の育成に有用である。本発明の製造方法によれば、反応容器の径方向の変形を抑制することができ、品質の高い窒化物結晶を得ることができる。さらに反応容器を複数回用いることが可能であり、時間とコストの両面において大幅な改善が期待できる。よって、本発明は産業上の利用可能性が極めて高い。
1 耐圧性容器(オートクレーブ)
2 反応容器(カプセル)
3 オートクレーブ蓋
4 種結晶
5 原料
6 バッフル板
7 結晶成長領域
8 原料溶解領域
9 バルブ
10 保温材
11 結晶成長領域ヒーター
12 原料溶解領域ヒーター
13 導管
14 排気管
15 真空ポンプ
16 熱電対1
17 熱電対2
18 破裂板
19 マスフローメーター
20 アンモニアボンベ
21 窒素ボンベ
22 圧力センサー
23 リング

Claims (8)

  1. 反応容器に少なくとも原料とアンモニア溶媒を充填して該反応容器を密閉した後、耐圧性容器内に該反応容器を装填し、該反応容器中を超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気にして、該反応容器内で結晶成長を行う窒化物結晶の製造方法であって、
    該反応容器の少なくとも一部を金属材料により補強することを特徴とする、窒化物結晶の製造方法。
  2. 前記反応容器の外側に金属材料からなる補強部材を配置することにより補強する、請求項1に記載の窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記反応容器が、原料を配置する原料溶解領域と種結晶を配置する結晶成長領域とを備えており、少なくとも前記結晶成長領域を金属材料により補強する、請求項1または2に記載の窒化物結晶製造方法。
  4. 前記反応容器内にバッフル板を配置し、反応容器の該バッフル板が配置される位置と同じ位置を金属材料により補強する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  5. 前記反応容器の2ヵ所以上を補強する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  6. 反応容器に少なくとも原料とアンモニア溶媒を充填して該反応容器を密閉した後、耐圧性容器内に該反応容器を設置し、該反応容器中を超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気にして、反応容器内で窒化物結晶を成長させるための反応容器であって、
    前記反応容器の少なくとも一部が金属材料により補強されていることを特徴とする、反応容器。
  7. 前記反応容器が、原料を配置する原料溶解領域と種結晶を配置する結晶成長領域とを備えており、少なくとも前記結晶成長領域が金属材料により補強されている、請求項6に記載の反応容器。
  8. 超臨界および/または亜臨界アンモニア雰囲気にて窒化物結晶を成長させる結晶製造装置であって、
    請求項6または7に記載の反応容器と、該反応容器全体を装填するための耐圧性容器を含む結晶製造装置。
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