以下、本発明に係る放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
以下、放射線画像撮影装置の基本的な構成について説明し、本実施形態に特有の構成については、基本的な構成を説明した後で説明する。
[放射線画像撮影装置の基本的な構成について]
図1は、放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されている。
本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。なお、筐体2をこのようないわゆるモノコック型として形成する代わりに、例えば、フロント板とバック板とで形成された、いわゆる弁当箱型とすることも可能である。
また、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクタ39、バッテリ状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。
本実施形態では、コネクタ39は、例えば図3に示すように、ケーブルCaの先端に設けられたコネクタCが接続されることにより、例えば外部のコンソール等の装置との間でケーブルCaを介して信号等を送受信したり画像データD等を送信したりする際の有線方式の通信手段として機能するようになっている。なお、コネクタ39の設置位置は蓋部材2Bに限定されず、放射線画像撮影装置1の適宜の位置に設置することが可能である。
また、図示を省略するが、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に、アンテナ装置41(後述する図7参照)が例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられており、本実施形態では、このアンテナ装置41が、放射線画像撮影装置1とコンソール等との間で信号等の無線方式で送受信する場合の通信手段として機能するようになっている。
なお、アンテナ装置41の設置位置は蓋部材2Cに限定されず、放射線画像撮影装置1の任意の位置にアンテナ装置41を設置することが可能である。また、設置するアンテナ装置41は1個に限らず、複数設けることも可能である。
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリ24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレータ3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。また、本実施形態では、センサパネルSPと筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材35が設けられている。
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。なお、図4に示す基板4の構成は、放射線画像撮影装置1の基本的な構成を説明するためのものであり、本実施形態に特有の構成については後で説明する。
基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域rの全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレータ3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレータ3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するようになっている。
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
本実施形態では、図5に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、図4に示すように、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
本実施形態では、図4に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう。)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、後述する走査駆動手段15のゲートドライバ15bを構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
そして、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサパネルSPが形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれバイアス電圧を印加するようになっている。また、バイアス電源14は、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22により、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧が制御されるようになっている。
図7や図8に示すように、本実施形態では、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極7bにバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極7a側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバ15bにオン電圧とオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。本実施形態では、ゲートドライバ15bは、複数の前述したゲートIC15c(図6参照)が並設されて構成されている。
図7や図8に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサ21は省略されている。
本実施形態では、増幅回路18は、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続され、オペアンプ18a等に電力を供給する電源供給部18dを備えたチャージアンプ回路で構成されている。増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位V0が印加されるようになっている。なお、基準電位V0は適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加されるようになっている。
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。また、オペアンプ18aと相関二重サンプリング回路19との間には、電荷リセット用スイッチ18cと連動して開閉するスイッチ18eが設けられており、スイッチ18eは、電荷リセット用スイッチ18cがオン/オフ動作と連動してオフ/オン動作するようになっている。
放射線画像撮影装置1で、各放射線検出素子7内に残存する電荷を除去するための各放射線検出素子7のリセット処理を行う際には、図9に示すように、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態(およびスイッチ18eがオフ状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
すると、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを通過して、オペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す。このようにして、各放射線検出素子7のリセット処理が行われるようになっている。
一方、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理の際には、図10に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(およびスイッチ18eがオン状態)とされた状態で、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出されると、電荷が増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積される。
そして、増幅回路18では、コンデンサ18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるようになっており、増幅回路18により、各放射線検出素子7から流出した電荷が電荷電圧変換されるようになっている。
そして、増幅回路18の出力側に設けられた相関二重サンプリング回路(CDS)19は、各放射線検出素子7から電荷が流出する前に制御手段22からパルス信号Sp1(図10参照)が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持し、上記のように各放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積された後に制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
そして、相関二重サンプリング回路19は、2回目のパルス信号Sp2で電圧値Vfiを保持すると、電圧値の差分Vfi−Vinを算出し、算出した差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データDとして下流側に出力するようになっている。そして、相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データDは、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
なお、1回の画像データDの読み出し処理が終了すると、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされ(図10参照)、コンデンサ18bに蓄積された電荷が放電されて、上記と同様に、放電された電荷がオペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す等して、増幅回路18がリセットされる。
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図7等に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリ24が接続されている。また、バッテリ24には、図示しない充電装置からバッテリ24に電力を供給してバッテリ24を充電する際の接続端子25が取り付けられている。
前述したように、制御手段22は、走査駆動手段15や読み出し回路17等を制御して画像データDの読み出し処理や各放射線検出素子7のリセット処理等を行わせたり、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり可変させたりするなど、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するようになっている。
[放射線の照射開始の検出の基本的な制御構成について]
次に、放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出処理の基本的な制御構成について説明する。本実施形態に特有の、放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出処理の制御構成については、後で説明する。
本実施形態では、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置との間でインターフェースが構築されず、放射線画像撮影装置1自体で放射線発生装置から放射線が照射されたことを検出するようになっている。以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1で行われる放射線の照射開始の検出の仕方について説明する。
なお、本実施形態に係る検出方法は、本発明者らの研究により新たに見出された検出方法であり、前述した特許文献4や特許文献5に記載されているように、装置内に電流検出手段を設けて電流検出手段からの出力値に基づいて放射線の照射開始等を検出する手法は採用されていない。本発明者らの研究により新たに見出された検出方法としては、例えば、下記の2つの検出方法のいずれかを採用することが可能である。
[検出方法1]
例えば、放射線画像撮影において放射線画像撮影装置1に放射線が照射される前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。
ここで、リークデータdleakとは、図11に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qの信号線6ごとの合計値に相当するデータである。
そして、リークデータdleakの読み出し処理では、図9に示した各放射線検出素子7のリセット処理や図10に示した画像データDの読み出し処理の場合と異なり、図12に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で、制御手段22から各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19(図7、8のCDS参照)にパルス信号Sp1、Sp2を送信するようになっている。
相関二重サンプリング回路19は、制御手段22からパルス信号Sp1が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。そして、増幅回路18のコンデンサ18bに各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qが蓄積されて増幅回路18から出力される電圧値が上昇し、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
そして、相関二重サンプリング回路19が電圧値の差分Vfi−Vinを算出して出力した値が、リークデータdleakとなる。リークデータdleakが、その後、A/D変換器20でデジタル値に変換されることは、前述した画像データDの読み出し処理の場合と同様である。
しかし、リークデータdleakの読み出し処理のみを繰り返し行うように構成すると、各TFT8がオフ状態のままとなってしまい、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態になってしまう。
そのため、上記のように、放射線画像撮影前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成する場合には、図13に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータdleakの読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成することが望ましい。なお、図13や後述する図14等のTやτについては後で説明する。
このように放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返して行うように構成した場合、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、シンチレータ3(図2参照)で放射線から変換された電磁波が、各TFT8に照射される。そして、それにより、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷q(図13参照)がそれぞれ増加することが本発明者らの研究で分かった。
そして、例えば図14に示すように、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返して行う場合、図15に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された時点で読み出されたリークデータdleakが、それ以前に読み出されたリークデータdleakよりも格段に大きな値になる。
なお、図14および図15では、図14で走査線5のラインL4にオン電圧が印加されてリセット処理が行われた後の4回目の読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが、図15の時刻t1におけるリークデータdleakに対応する。また、図14において「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表し、「L」はリークデータdleakの読み出し処理を表す。
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを監視するように構成し、読み出されたリークデータdleakが、例えば予め設定された所定の閾値dleak_th(図15参照)を越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
そして、この場合、制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図14に示したように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバ15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
そして、例えば放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、制御手段22は、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点またはその直前にオン電圧が印加された走査線5(図14の場合は走査線5のラインL4)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図14の場合は走査線5のラインL5)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、本画像としての画像データDの読み出し処理を行うように構成される。
なお、図14では、本画像としての画像データDの読み出し処理を、放射線の照射開始を検出した時点でオン電圧が印加された走査線5のラインLnの次にラインLn+1からオン電圧の印加を開始して行う場合を示したが、例えば、走査線5の最初のラインL1等からオン電圧の印加を開始して画像データDの読み出し処理を行うように構成することも可能である。
[検出方法2]
また、上記の検出方法1のように、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理を行うように構成する代わりに、放射線画像撮影前に、図16に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からの画像データdの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。
なお、撮影直後に行われる上記の本画像としての画像データDと区別して、以下、この放射線画像撮影前に放射線の照射開始の検出用に読み出される画像データを画像データdという。また、図16中において、1フレームとは、検出部P(図4や図7参照)上に二次元状に配列された1面分の各放射線検出素子7から画像データdの読み出し処理を行う期間をいう。
また、画像データdの読み出し処理における読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフや、相関二重サンプリング回路19へのパルス信号Sp1、Sp2の送信等は、図17に示すように、図10に示した画像データDの読み出し処理における処理と同様に行われる。なお、図17等におけるΔTについては後で説明する。
上記のように放射線画像撮影前に画像データdの読み出し処理を行うように構成した場合、図18に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、その時点で読み出された画像データd(図18では走査線5のラインLnにオン電圧が印加されて読み出された画像データd)が、前述した図15に示したリークデータdleakの場合と同様に、それ以前に読み出された画像データdよりも格段に大きな値になる。
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前の読み出し処理で読み出された画像データdを監視するように構成し、読み出された画像データdが予め設定された所定の閾値dthを越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
そして、この場合、制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図18に示すように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバ15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
そして、例えば放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、制御手段22は、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点またはその直前にオン電圧が印加された走査線5(図18の場合は走査線5のラインLn)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図18の場合は走査線5のラインLn+1)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、本画像としての画像データDの読み出し処理を行うように構成される。
なお、図18に示した場合においても、本画像としての画像データDの読み出し処理を、例えば走査線5の最初のラインL1等からオン電圧の印加を開始して行うように構成することが可能である。また、図18中のΔTやτについては後で説明する。
[放射線の照射終了の検出について]
例えば、上記の検出方法1において、図14に示したように、放射線の照射が開始されたことを検出した後、各走査線5にオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理は停止して電荷蓄積状態に移行する。
そして、その際、例えば図19に示すように、電荷蓄積状態で、各走査線5にオフ電圧を印加して行うリークデータdleakの読み出し処理を続行するように構成して、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射の終了を検出するように構成することも可能である。
放射線の照射開始検出後、リークデータdleakの読み出し処理を続行するように構成すると、電荷蓄積状態では既に放射線の照射が開始されているため、図20に示すように、読み出されるリークデータdleakは大きな値になっているが、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了すると、リークデータdleakは元の小さな値に戻る。
そのため、例えば時刻t2でリークデータdleakが閾値dleak_th*以下の値になったことをもって放射線の照射が終了したことを検出することが可能となる。
なお、この場合の閾値dleak_th*は、上記の検出方法1で放射線の照射開始を検出する際の閾値と同じ値dleak_thであってもよく、別の値として設定することも可能である。また、図20では、時刻t2で放射線の照射の終了を検出した後もリークデータdleakの読み出し処理を引き続き行ってリークデータdleakを読み出す場合が示されているが、実際には、下記のように、放射線の照射の終了を検出するとリークデータdleakの読み出し処理は停止される。
図20に示したように、リークデータdleakが閾値dleak_th*以下の値になり、放射線の照射が終了したことが検出された時点(図19では「A」参照。図20の時刻t2に対応する。)で、各走査線5へのオン電圧の順次の印加を開始して本画像としての画像データDの読み出し処理を開始するように構成することが可能となる。
このように構成すれば、図19に示したように、放射線の照射の終了を検出した後、すぐに画像データDの読み出し処理を開始することが可能となり、画像データDの読み出し処理以降の処理を早期に行うことが可能となるといった利点がある。
なお、この電荷蓄積状態においてリークデータdleakの読み出し処理を行って放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射の終了を検出する手法を、上記の検出方法2で行うように構成することも可能である。
[改良された放射線の照射開始の検出方法について]
ところで、上記の検出方法1、2は、以下のように改良することができる。なお、以下では、前述した検出方法1、すなわち放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理を行い、読み出したリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始を検出する場合について説明するが、上記の検出方法2についても同様にあてはまる。
上記の検出方法1を採用して放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始を検出するように構成する場合、放射線画像撮影装置1の検出部P(図4や図7等参照)には、通常、数千本から数万本の信号線6が配線されており、各信号線6にそれぞれ読み出し回路17が設けられているため、1回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの数は、数千個から数万個の数になる。
そして、それらの全てのリークデータdleakについて、上記のように閾値を越えたか否かを判断する処理を各読み出し処理ごとに行うように構成すると、処理が重くなり、リアルタイムで放射線の照射開始を検出することができなくなる虞れがある。そこで、以下のような検出手法を採用することが可能である。
[検出手法A]
読み出しIC16(図7参照)内には、例えば、128個や256個の読み出し回路17が形成されて内蔵されている。すなわち、1個の読み出しIC16には、128本や256本等の信号線6が接続されている。そして、1回のリークデータdleakの読み出し処理で、1個の読み出しIC16から各信号線6ごとに128個や256個のリークデータdleakが読み出される。
いま、仮に信号線6が4096本設けられており、1個の読み出しIC16に256個の読み出し回路17が内蔵されている(すなわち1個の読み出しIC16に256本の信号線6が接続されている)とすると、読み出しIC16の数は、全部で4096÷256=16個になる。
そこで、例えば、1回のリークデータdleakの読み出し処理で1つの読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの合計値や平均値、中間値、最大値等(以下、これらを代表して平均値という。)を算出し、各読み出しIC16について算出したリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)が、それぞれ閾値を越えたか否かを判断するように構成することが可能である。
なお、平均値dleak_ave(z)中のzは、読み出しIC16の番号であり、上記の例では、読み出しIC16は16個設けられているため、zは1から16までの値をとる。
この検出手法Aのように構成すれば、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記の例で言えば、1回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出される4096個のリークデータdleakについて各々閾値を越えたか否かを判断する必要がなくなり、各読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの16個の平均値dleak_ave(z)について閾値を越えたか否かを判断するだけで済む。そのため、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始の判断処理が軽くなる。
[検出手法B]
また、さらに判断処理を軽くするために、制御手段22で、1回のリークデータdleakの読み出し処理で1つの読み出しIC16から出力されたリークデータdleakから算出した16個の平均値dleak_ave(z)の中から最大値を抽出し、リークデータdleakの平均値dleak_ave(z)の最大値が閾値を越えたか否かを判断するように構成することも可能である。
しかし、この場合、各読み出しIC16内の各読み出し回路17におけるデータの読み出し効率が問題になる場合がある。
すなわち、各読み出し回路17(図7等参照)のデータの読み出し効率は、通常、各読み出し回路17ごとに異なり、各放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷qの合計値(図11参照)が信号線6ごとに同じであったとしても、他の読み出し回路17よりも常に大きな値のリークデータdleakを読み出す読み出し回路17もあれば、他の読み出し回路17よりも常に小さな値のリークデータdleakを読み出す読み出し回路17もある。
このような状況において、例えば図21に示すように、放射線画像撮影装置1に対して放射線が、検出部Pの中央部分に照射野Fが絞られた状態で照射され、他の読み出し回路17よりも常に大きな値のリークデータdleakを読み出す読み出し回路17に接続されている信号線6aが照射野F外に存在する場合を考える。
このような場合、図22に示すように、照射野F内に存在する信号線6に接続されている読み出し回路17を含む読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)(図中のγ参照)が放射線の照射により上昇しても、照射野F外に存在する信号線6aに接続されている読み出し回路17を含む読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)(図中のδ参照)を越えない場合が生じ得る。
そして、このような場合、1回のリークデータdleakの読み出し処理で1つの読み出しIC16から出力されたリークデータdleakから算出した16個の平均値dleak_ave(z)の中から最大値を抽出すると、図中δで示されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)が抽出されるが、抽出されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)は放射線の照射によっても変動しないため、結局、閾値を越えなくなり、放射線の照射を検出することができなくなる。
そこで、このような問題を回避するために、例えば、各読み出し処理ごとに各読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)の移動平均を、読み出しIC16ごとに算出するように構成することが可能である。
すなわち、1回のリークデータdleakの読み出し処理ごとに読み出しIC16から出力されるリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)を算出するごとに、当該読み出し処理の直前の読み出し処理を含む所定回数分の過去の各読み出し処理の際に算出された、読み出しIC16ごとのリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)の平均(すなわち移動平均)を算出するように構成する。
そして、読み出しIC16ごとに、今回の読み出し処理で算出したリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)と、算出した移動平均との差分Δdを算出するように構成することが可能である。
そして、制御手段22で、1回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出しIC16から出力されたリークデータdleakから算出した平均値dleak_ave(z)と、それぞれに対応する移動平均との差分Δdを、各読み出しIC16ごとにそれぞれ算出し、算出した差分Δd(上記の例では16個の差分Δd)の中から最大値を抽出し、差分Δdの最大値が閾値を越えたか否かを判断するように構成することが可能である。
このように構成すれば、読み出しIC16内に設けられた読み出し回路17ごとに読み出し効率にばらつきがあったとしても、同じ読み出し効率で読み出されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)と移動平均との差分Δdを算出することで、読み出し効率によるばらつきが相殺される。
そのため、上記差分Δdが、読み出しIC16ごとに、純粋にリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)が過去のデータから増加したか否かのみを反映する値になり、それに基づいて放射線の照射開始を検出するように構成することで、図22に示したような問題が発生することを的確に防止することが可能となる。
[検出手法C]
また、制御手段22で、1回のリークデータdleakの読み出し処理で1つの読み出しIC16から出力されたリークデータdleakから算出した16個の平均値dleak_ave(z)と、それぞれに対応する移動平均との差分Δdをそれぞれ算出するが、算出した差分Δdの中から最大値だけでなく最小値も抽出し、差分Δdの最大値と最小値との差が、閾値を越えたか否かを判断するように構成することも可能である。
[検出手法D]
また、放射線画像撮影装置1に放射線を照射する図示しない放射線源から照射される放射線の線量が非常に小さい場合、上記の検出手法A〜Cに従って算出する読み出しIC16ごとのリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)(検出手法A)や、読み出しIC16ごとのリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)と移動平均との差分Δd(検出手法B)、或いは差分Δdの最大値と最小値との差(検出手法C)が小さく、放射線が照射されてもそれらの値が閾値を越えない場合があり得る。
そこで、例えば、読み出しIC16ごとに、リークデータdleakの平均値dleak_ave(z)と移動平均との差分Δdの時間的な積分値(すなわち積算値)を算出し、この積分値が閾値を越えたか否かを判断するように構成することも可能である。
このように構成すると、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されないうちは、リークデータdleakの平均値dleak_ave(z)がゆらいで移動平均よりも大きくなったり小さくなったりするため、それらの差分Δdの積分値は0に近い値で推移する。しかし、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、リークデータdleakの平均値dleak_ave(z)は移動平均よりも大きな値になるため、それらの差分Δdは、正の値になる場合が多くなる。
そのため、上記のように構成すれば、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されないうちは積分値が閾値を越えることはないが、放射線の照射が開始されると、積分値が増加していき、閾値を越えるようになる。そのため、上記のように構成することで、放射線源から放射線画像撮影装置1に照射される放射線の線量が非常に小さい場合でも、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始を的確に検出することが可能となる。
なお、上記の検出手法A〜Dのいずれか1つの検出手法を採用するように構成することも可能である。また、例えば、検出手法A〜Dのうちの複数の手法或いは全ての手法を併用して行うように構成し、いずれか1つの検出手法で放射線の照射開始が検出された場合に、制御手段22が放射線の照射が開始されたと判断するように構成することも可能である。
また、上記の検出方法1において、放射線画像撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理で、ある走査線5に対するオン電圧の印加を開始してから次の走査線5に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期τ(図13や図14等参照)を長くして、制御手段22から送信する2回のパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔Tを長くすると、1回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの値が大きくなり、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度が向上する。
また、上記の検出方法2において、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理で、各TFT8をオン状態とする時間ΔT(図17や図18参照)、すなわち走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5にオン電圧を印加してからオフ電圧に切り替えるまでの時間ΔTを長くすると、1回の画像データdの読み出し処理で読み出される画像データdの値が大きくなり、やはり放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度が向上する。
このように、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度を向上させること等を目的として、上記の検出手法A〜D以外にも、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出方法については種々の改良が可能である。
[本発明における構成等について]
以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1に特有の構成および放射線の照射開始の検出処理の制御構成について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用についてもあわせて説明する。
上記のように、放射線画像撮影装置1では、放射線画像撮影前に、所定のタイミングでリークデータdleakの読み出し処理や画像データdの読み出し処理を行い、読み出したリークデータdleak等の値に基づいて放射線の照射開始を検出する。
しかし、これは、逆の言い方をすれば、放射線源から実際に放射線の照射が開始されても、その時点では放射線画像撮影装置1は放射線の照射開始を検出することができず、その後のリークデータdleakの読み出し処理等でリークデータdleak等が読み出された時点で初めて放射線の照射開始が検出される。
特に、放射線の照射開始の検出感度を上げるために、上記のように、検出方法1において上記の周期τや送信間隔T(図13や図14等参照)を長くしたり、検出方法2において上記の時間ΔTや周期τ(図17や図18参照)を長くすると、放射線源から実際に放射線の照射が開始されてから放射線画像撮影装置1で放射線の照射開始を検出するまでの時間が長くなる場合がある。
そして、このように、放射線画像撮影装置1で放射線の照射開始を検出するまでの時間が長くなると、例えば上記のように放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後で本画像としての画像データDの読み出し処理を行うように構成されている場合には、本画像としての画像データDの読み出し処理を開始するタイミングが遅れる。
また、それに伴って、本画像としての画像データDの読み出し処理以降の各処理を行うタイミングが遅れていく。そのため、結局、この放射線画像撮影装置1を用いた放射線画像撮影に要する時間が長くなってしまう場合があった。
そこで、本実施形態では、このような問題点を解消し、放射線画像撮影装置1自体で放射線が照射されたことを可能な限り早急に検出することができるようにするために、検出部P(図4、図7参照)等が、以下のように構成されるようになっている。すなわち、本実施形態では、検出部Pは、当該検出部Pの中央部分を含む複数の領域に分割されて構成されるようになっている。
具体的には、例えば図23に示すように、検出部P上で各信号線6をその延在方向の途中で分断し、検出部Pを2つの領域Pa、Pbに分割して構成することが可能である。この場合、各信号線6は、その延在方向の中央部分でそれぞれ等分するように構成される。このように構成することで、図24に示すように、検出部P上で等分された2つの領域Pa、Pbが、それぞれ検出部Pの中央部分Aを含む領域になる。
なお、図4に示した基本的な構成では、各信号線6の片側の端部にそれぞれ入出力端子11が設けられ、各信号線6が各入出力端子11を介して例えば16個の読み出しIC16に接続されていた。しかし、図23に示したように、本実施形態の場合、各信号線6がそれぞれ途中で分断されるため、上記の端部とは反対側の端部にもそれぞれ入出力端子11が設けられ、各信号線6が各入出力端子11を介して例えば16個の読み出しIC16に接続される。
また、上記のように、検出部P上で各信号線6をその延在方向の途中で分断して、検出部Pを2つの領域Pa、Pbに分割して構成する代わりに、例えば図25に示すように、検出部P上で各走査線5をその延在方向の途中で分断して、検出部Pを2つの領域Pc、Pdに分割して構成することも可能である。
この場合も、各走査線5は、その延在方向の中央部分でそれぞれ等分するように構成される。このように構成することで、図26に示すように、検出部P上で等分された2つの領域Pc、Pdが、それぞれ検出部Pの中央部分Aを含む領域になる。
なお、図4に示した基本的な構成では、各走査線5の片側の端部にそれぞれ入出力端子11が設けられ、各走査線5が各入出力端子11を介してゲートIC15c(図6参照)に接続されていた。しかし、図25に示したように、各走査線5をそれぞれ途中で分断する場合、上記の端部とは反対側の端部にもそれぞれ入出力端子11が設けられ、各走査線5は各入出力端子11を介してそれぞれゲートIC15cに接続される。
そのため、図26では図示を省略するが、この場合は、ゲートIC15cの数が、図4等に示した基本的な構成の場合の倍になる。なお、この場合、各信号線6は分断されないため、図26に示すように、読み出しIC16は元の例えば16個のままである。
さらに、図23や図25に示したような検出部Pの図示は省略するが、例えば図27に示すように、各信号線6と各走査線5を、それぞれその延在方向の中央部分でそれぞれ分断するように構成して、検出部Pを、検出部Pの中央部分Aを含む4つの領域Pe、Pf、Pg、Phに等分するように構成することも可能である。
このように構成した場合でも、やはり検出部P上で4等分された4つの領域Pe、Pf、Pg、Phは、いずれも検出部Pの中央部分Aを含む領域になる。
上記のように、検出部Pを、当該検出部Pの中央部分Aを含む複数の領域に分割するように構成することで、後述するように、放射線が照射されたことをより早急に検出することが可能となるといった効果が得られる。
また、放射線画像撮影装置1に対して放射線を照射野Fが絞られた状態で照射する際、大抵の場合、図21に示したように、放射線は、照射野Fが少なくとも検出部Pの中央部分を含む位置に絞られた状態で照射される。
その際、図24や図26、図27等に示したように、検出部Pが、検出部Pの中央部分Aを含む複数の領域に分割されて構成されていれば、各領域にそれぞれ上記の検出方法1或いは検出方法2(或いはさらに改良された検出手法A〜D等)を適用して、読み出されたリークデータdleakや画像データd等に基づいて放射線の照射開始を検出することができる。
このように、検出部Pを、検出部Pの中央部分Aを含む複数の領域Pa、Pb等に分割して構成することで、放射線画像撮影装置1に対して照射野Fが絞られた状態で放射線が照射された場合でも、放射線の照射開始を的確に検出することが可能となるといった効果を得ることも可能となる。
なお、前述した改良された検出手法A〜Dを適用して、読み出しIC16から出力されたリークデータdleakや画像データd(或いはそれらの合計値や平均値、中間値、最大値等)に基づいて放射線の照射開始を検出するように構成する場合、図24等に示したように検出部Pを領域Pa、Pbに分割する場合には、領域Paの各信号線6に接続された16個の読み出しIC16について検出手法A〜Dが適用される。また、領域Pbでは、領域Paとは独立して、領域Pbの各信号線6に接続された16個の読み出しIC16について検出手法A〜Dが適用される。
また、図26等に示したように検出部Pを領域Pc、Pdに分割する場合には、領域Pcの各信号線6に接続された8個の読み出しIC16について検出手法A〜Dが適用される。また、領域Pdでは、領域Pcとは独立して、領域Pdの各信号線6に接続された8個の読み出しIC16について検出手法A〜Dが適用される。
さらに、図27に示したように検出部Pを領域Pe〜Phに分割する場合には、領域Pe〜Phで、それぞれ独立して、各領域の各信号線6に接続された8個の読み出しIC16についてそれぞれ検出手法A〜Dが適用される。
なお、図23等に示したように、本実施形態では、バイアス線9や結線10については検出部Pの各領域Pa、Pb等で分割するようには構成されていないが、バイアス線9や結線10等についても、検出部Pの各領域Pa、Pb等で分割するように構成することも可能である。
一方、本実施形態では、上記のように、検出部Pをその中央部分Aを含む複数の領域Pa、Pb等に分割して構成したうえで、さらに、各領域Pa、Pb等で互いに異なるタイミングで放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理や画像データdの読み出し処理を行うように構成されている。
以下、検出部Pを、前述した図23や図24に示したように2つの領域Pa、Pbに分割した場合を例に挙げて説明するが、検出部Pを図25や図26に示したように構成した場合や図27に示したように構成した場合でも同様に説明される。
例えば、各領域Pa、Pbにそれぞれ上記の検出方法1を適用して放射線の照射開始を検出する場合、例えば図28に示すように、領域Paでは、図14に示した放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理と同じタイミングでリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理を行う。
すなわち、図28に示すように、図14に示した放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理と同じタイミングで制御手段22から相関二重サンプリング回路19に2回のパルス信号Sp1、Sp2を送信してリークデータdleakの読み出し処理を行い、各放射線検出素子7のリセット処理では、図14に示した各放射線検出素子7のリセット処理と同じタイミングで走査線5の各ラインL1、L2、…にオン電圧を順次印加して各放射線検出素子7のリセット処理を行う。領域Paでは、このようにして、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とが行われる。
また、領域Pbにおいても、同様に、図14に示した放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理と同じタイミングで、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とが行われる。
しかし、例えば図28に示すように、領域Paで走査線5の各ラインLにオフ電圧を印加してリークデータdleakの読み出し処理を行っているタイミングで、領域Pbでは走査線5にオン電圧を印加して各放射線検出素子7のリセット処理を行うように制御される。
この場合、当然ながら、領域Paで走査線5にオン電圧を印加して各放射線検出素子7のリセット処理を行っているタイミングでは、領域Pbでは、走査線5の各ラインLにオフ電圧を印加してリークデータdleakの読み出し処理が行われるようになる。すなわち、この場合、放射線画像撮影前に、領域Paと領域Pbで、いわば交互にリークデータdleakの読み出し処理が行われるようになる。
また、例えば、各領域Pa、Pbにそれぞれ上記の検出方法2を適用して放射線の照射開始を検出する場合、例えば図29に示すように、領域Paでは、図16や図18等に示した放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理と同じタイミングで走査線5の各ラインL1、L2、…にオン電圧を順次印加する等して、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理が行われる。
また、領域Pbにおいても、同様に、図16や図18等に示した放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理と同じタイミングで走査線5の各ラインLx、Lx-1、…にオン電圧を順次印加する等して、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理が行われる。
そして、例えば図29に示すように、領域Paで、ある走査線5にオン電圧を印加して画像データdの読み出し処理を行い、次の走査線5にオン電圧を印加して画像データdの読み出し処理を行う間に、領域Pbで、走査線5にオン電圧を印加して画像データdの読み出し処理を行うように制御される。すなわち、この場合、放射線画像撮影前に、領域Paと領域Pbで、いわば交互に画像データdの読み出し処理が行われるようになる。
このように、放射線画像撮影前に、領域Paと領域Pbで、リークデータdleakの読み出し処理や画像データdの読み出し処理をいわば交互に行うように構成すると、以下のように有益な作用効果が得られる。
すなわち、図28に示した検出方法1における本実施形態に特有の放射線の照射開始の検出処理の制御構成では、領域Pa(或いは領域Pb)でリークデータdleakの読み出し処理が行われた後、領域Pb(或いは領域Pa)でリークデータdleakの読み出し処理が行われるまでの時間間隔が、図14に示した基本的な制御構成の場合に比べて、半分の時間間隔になる。
また、図29に示した検出方法2における本実施形態に特有の放射線の照射開始の検出処理の制御構成においても、同様に、領域Pa(或いは領域Pb)で画像データdの読み出し処理が行われた後、領域Pb(或いは領域Pa)で画像データdの読み出し処理が行われるまでの時間間隔が、図16や図18等に示した基本的な制御構成の場合と比べて、半分の時間間隔になる。
このように、検出部Pを複数の領域Pa、Pbに分割して構成し、しかも、各領域Pa、Pbで互いに異なるタイミングでリークデータdleakの読み出し処理や画像データdの読み出し処理を行うように構成することで、放射線源から実際に放射線の照射が開始されてから、放射線画像撮影装置1で放射線の照射開始を検出するまでの時間をより短縮することが可能となる。
そのため、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出するように構成する際に、放射線の照射開始をより早急に検出することが可能となる。
なお、検出部Pを図25や図26に示したように領域Pc、Pdに分割した場合も、同様に、領域Pc(或いは領域Pd)で放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理(或いは画像データdの読み出し処理。以下同じ。)が行われた後、領域Pd(或いは領域Pc)でリークデータdleakの読み出し処理等が行われるまでの時間間隔が、図14や図18等に示した基本的な制御構成の場合と比べて、半分の時間間隔になる。
そのため、放射線源から実際に放射線の照射が開始されてから、放射線画像撮影装置1で放射線の照射開始を検出するまでの時間をより短縮することが可能となり、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出するように構成する際に、放射線の照射開始をより早急に検出することが可能となる。
また、検出部Pを、例えば図27に示したように領域Pe〜Phに4分割した場合には、各領域Pe〜Phで、上記のように放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理や画像データdの読み出し処理のタイミングをずらすことで、ある領域で放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理等が行われた後、次の領域でリークデータdleakの読み出し処理等が行われるまでの時間間隔が、図14や図18等に示した基本的な制御構成の場合と比べて、1/4の時間間隔になる。
そのため、この場合は、放射線源から実際に放射線の照射が開始されてから、放射線画像撮影装置1で放射線の照射開始を検出するまでの時間をさらに短縮することが可能となり、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出するように構成する際に、放射線の照射開始をさらに早急に検出することが可能となる。
なお、検出部Pの各領域でリークデータdleakの読み出し処理や画像データdの読み出し処理を異なるタイミングで行うように構成する際、上記のように、ある領域で放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理等が行われた後、次の領域でリークデータdleakの読み出し処理等が行われるまでの時間間隔が、図14や図18等に示した基本的な制御構成の場合の半分の時間間隔や1/4の時間間隔になるようにずらすことが必須であるわけではない。
すなわち、図28や図29に示した例で言えば、例えば、領域Paでリークデータdleakの読み出し処理等が行われた後、領域Pbでリークデータdleakの読み出し処理等が行われるまでの時間間隔を、図14に示した基本的な制御構成の場合の1/3の時間間隔とし、領域Pbでリークデータdleakの読み出し処理等が行われた後、領域Paでリークデータdleakの読み出し処理等が行われるまでの時間間隔を基本的な制御構成の場合の2/3の時間間隔とするように構成することも可能である。
しかし、このように構成すると、領域Pbでリークデータdleakの読み出し処理等が行われてから領域Paでリークデータdleakの読み出し処理等が行われるまでの時間間隔が、領域Paでリークデータdleakの読み出し処理等が行われてから領域Pbでリークデータdleakの読み出し処理等が行われるまでの時間間隔の2倍になる。
そのため、領域Paでリークデータdleakの読み出し処理等が行われてから領域Pbでリークデータdleakの読み出し処理等が行われるまでの間に放射線の照射が開始されれば、放射線の照射開始が検出されるタイミングが早まるが、逆に、領域Pbでリークデータdleakの読み出し処理等が行われてから領域Paでリークデータdleakの読み出し処理等が行われるまでの間に放射線の照射が開始されると、放射線の照射開始が検出されるタイミングが遅くなってしまう。
そのため、上記の本実施形態のように、ある領域で放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理等が行われた後、次の領域でリークデータdleakの読み出し処理等が行われるまでの時間間隔が、図14や図18等に示した基本的な制御構成の場合の半分や1/4の時間間隔になるようにずらし、各領域での検出処理が時間的に等間隔で行われるように構成すれば、上記のように放射線の照射開始が検出されるタイミングが遅れる場合が生じることを防止することが可能となり好ましい。
なお、図28では、領域Paでは走査線5のラインL1から順に、また、領域Pbでは走査線5のラインLxから順にそれぞれオン電圧を順次印加して各放射線検出素子7のリセット処理を行うように構成した場合を示した。また、図29では、領域Paでは走査線5のラインL1から順に、また、領域Pbでは走査線5のラインLxから順にそれぞれオン電圧を順次印加して画像データdの読み出し処理を行うように構成した場合を示した。
すなわち、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理と交互に行われる各放射線検出素子7のリセット処理や、画像データdの読み出し処理が、例えば図24に示した検出部Pの外側(すなわち図24では最も上側および最も下側)から中央部分Aに向けて各走査線5にオン電圧が順次印加されていくように構成された場合を示した。
しかし、図示を省略するが、例えば領域Paと領域Pbとで、例えば図24に示した検出部Pの中央部分Aから外側(すなわち図24では最も上側および最も下側)に向けて各走査線5にオン電圧を順次印加していくように構成することも可能である。また、図示を省略するが、例えば領域Paと領域Pbとで、ともに、例えば検出部Pの図24では上側から下側に向けて、或いは下側から上側に向けて、各走査線5にオン電圧を順次印加していくように構成することも可能である。
これは、検出部Pを、図25や図26に示したように2分割したり、或いは図27に示したように4分割する場合も同様であり、検出部Pを分割して形成された各領域で互いに異なるタイミングでリークデータdleakの読み出し処理や画像データdの読み出し処理を行うように構成されていれば、オン電圧を順次印加する走査線5をシフトさせる方向は適宜の方向に設定される。
一方、検出部Pを各領域に分割する場合、各領域に対応する各ゲートドライバ15b(すなわちゲートIC15c)や各読み出しIC16等に電力を供給する電源が各領域ごとに設けられたり、或いは、前述したように各領域でバイアス線9や結線10等が分割され、各領域ごとにバイアス電源14(図7参照)が設けられる場合等がある。
このような場合、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されていない状態で、各読み出しIC16から出力されたリークデータdleakや画像データd(或いはそれらの合計値や平均値、中間値、最大値等。以下同じ。)が、各領域ごとに異なる値になる場合がある。
その状態で、各領域に同一の閾値(すなわち検出方法1の場合の閾値dleak_thや検出方法2の場合の閾値dth)を適用すると、ある領域では、放射線の照射が開始されていないにもかかわらず、読み出しIC16から出力されたリークデータdleak等が閾値を越えてしまう場合が生じ得る。
また、このような事態が発生することを防止するために、例えば閾値を大きな値に設定してしまうと、例えば、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されていない状態で読み出しIC16から比較的小さな値のリークデータdleak等が出力される領域では、出力されたリークデータdleak等の値がなかなか閾値を越えず、放射線の照射開始の検出が遅れる場合が生じ得る。
そこで、放射線の照射開始の検出処理に用いる閾値を、検出部Pの各領域ごとに設定するように構成することが可能である。この場合、閾値は、上記の閾値dleak_th、dthのほか、前述した検出手法Aにおけるリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)に関する閾値も含まれる。
また、前述した検出手法Bにおけるリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)の最大値に関する閾値或いはリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)と移動平均との差分Δdの最大値に関する閾値、検出手法Cにおける差分Δdの最大値と最小値との差に関する閾値、検出手法Dにおけるリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)と移動平均との差分Δdの時間的な積分値(すなわち積算値)に関する閾値も含まれる。
このように構成すれば、検出部Pを各領域に分割する場合、各領域ごとに放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されたか否かを的確に判断することが可能となり、放射線の照射開始を的確に検出することが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理や画像データdの読み出し処理を行い、読み出したリークデータdleakや画像データdの値に基づいて放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始を検出するように構成した。
そのため、前述した特許文献4や特許文献5に記載された発明のように、例えばバイアス線9を流れる電流を検出する電流検出手段を設けなくても、読み出したリークデータdleakや画像データdの値に基づいて放射線の照射開始を的確に検出することが可能となる。そのため、電流検出手段で発生したノイズがバイアス線9を介して各放射線検出素子7に伝わって画像データDにノイズとして重畳される等の問題が生じることを確実に防止することが可能となる。
また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、検出部Pが複数の領域に分割されて形成され、しかも、放射線画像撮影前に、各領域で互いに異なるタイミングでリークデータdleakの読み出し処理や画像データdの読み出し処理を行うように構成した。
そのため、検出部Pの各領域で、放射線画像撮影前に、互いに同じタイミングでリークデータdleakの読み出し処理や画像データdの読み出し処理を行う場合に比べて、ある領域でリークデータdleakの読み出し処理等が行われてから次の領域でリークデータdleakの読み出し処理等が行われるまでの時間間隔を半分や1/4等のより短い時間間隔にすることが可能となる。
そのため、放射線源から実際に放射線の照射が開始されてから、放射線画像撮影装置1で放射線の照射開始を検出するまでの時間を、検出部Pの各領域で、放射線画像撮影前に、互いに同じタイミングでリークデータdleakの読み出し処理等を行う場合に比べてより短縮することが可能となる。そのため、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出するように構成する際に、放射線の照射開始をより早急に検出することが可能となる。
また、それに伴って、本画像としての画像データDの読み出し処理以降の各処理をより早急に行うことが可能となり、放射線画像撮影装置1を用いた放射線画像撮影に要する時間をより短縮することが可能となる。
さらに、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、検出部Pを複数の領域に分割する際、各領域に検出部Pの中央部分Aが含まれるように分割される。そのため、放射線画像撮影装置1に対して照射野Fが絞られた状態で放射線が照射された場合でも、放射線の照射開始を的確に検出することが可能となる。
なお、上記の実施形態では、図24に示したように検出部Pを2つの領域Pa、Pbに分割する場合には各領域Pa、Pbごとに16個の読み出しIC16に信号線6をそれぞれ接続する場合について説明した。また、図26や図27に示したように検出部Pを2つの領域Pc、Pd或いは4つの領域Pe〜Phに分割する場合には各領域ごとに8個の読み出しIC16に信号線6をそれぞれ接続する場合について説明した。
しかし、各領域ごとに各信号線6に接続される読み出しIC16の個数は、検出部Pの各領域への分割の仕方や、配置される信号線6の本数、1個の読み出しIC16に内蔵される読み出し回路17の個数等に応じて、適宜決定される。
また、上記の実施形態では、検出部Pを2つの領域や4つの領域に分割する場合について説明したが、さらに多くの領域に分割するように構成することも可能である。