JP2012085021A - 放射線画像撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射線の照射により発生するラグを放射線検出素子内から速やかに除去することが可能な放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置1は、検出部P上に二次元状に配列された複数の放射線検出素子7と、各放射線検出素子7にバイアス電圧Vbiasを印加するバイアス電源14と、少なくともバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧Vbiasを制御する制御手段22を備え、制御手段22は、各放射線検出素子7のリセット処理の際に各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧Vbiasを、少なくとも各放射線検出素子7から画像データDを読み出す画像データDの読み出し処理の際に各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧Vbiasよりも低い電圧に可変させる。
【選択図】図8

Description

本発明は、放射線画像撮影装置に係り、特に、各放射線検出素子のリセット処理や画像データの読み出し処理を行う放射線画像撮影装置に関する。
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号(すなわち画像データ)に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台(或いはブッキー装置)と一体的に形成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納し、持ち運び可能とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
このような放射線画像撮影装置では、例えば後述する図4や図7等に示すように、通常、基板4上に交差するように配設された複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rにそれぞれ放射線検出素子7が配置され、複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されて検出部Pが形成される。
また、各放射線検出素子7には、それぞれ薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8で形成されたスイッチ手段が接続される。さらに、各走査線5は走査駆動手段15のゲートドライバ15bに接続され、各信号線6は各読み出しIC16内の読み出し回路17にそれぞれ接続される。
放射線画像撮影の際には、ゲートドライバ15bから全ての走査線5にオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で、放射線画像撮影装置に放射線が照射される。すると、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷が各放射線検出素子7内にそれぞれ蓄積される。
そして、放射線の照射後、ゲートドライバ15bから各走査線5にオン電圧が順次印加されると、各放射線検出素子7内に蓄積された電荷が、オン状態とされたTFT8を介して信号線6に放出され、その電荷が読み出し回路17で電気信号すなわち画像データに変換されて読み出される。
一方、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理は上記のようにして行われるが、画像データとして読み出し切れなかった一部の電荷が各放射線検出素子7内に残存する。また、各放射線検出素子7内では、放射線検出素子7自体の熱による熱励起等によりいわゆる暗電荷が常時発生している。そこで、このような読み残し分の電荷や暗電荷を各放射線検出素子7内から除去するための各放射線検出素子7のリセット処理が、通常、放射線画像撮影の前や後に行われる。
特開平9−73144号公報 特開2006−058124号公報 特開平6−342099号公報
ところで、本発明者らの研究によれば、上記のように、放射線画像撮影の際に放射線画像撮影装置に放射線が照射されると、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷によって、いわゆるラグ(lag)が発生することが分かっている。そして、このラグの影響は、放射線画像撮影装置に対して強い放射線が照射されたような場合に特に大きく現れることが分かっている。
そして、前述した画像データの読み残し分の電荷や暗電荷は、各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返すことによって、各放射線検出素子7から比較的容易に除去されるが、上記のラグは、リセット処理を繰り返し行ってもなかなか容易には消えないことも分かっている。
すなわち、画像データの読み出し処理で読み出し切れなかった読み残し分の電荷は、各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返せば、各放射線検出素子7内から容易に除去されるため、その後、画像データの読み出し処理を行っても、後の読み出し処理では、上記の前回の読み出し処理で読み出し切れなかった読み残し分の電荷に相当する画像データが読み出されることはない。
しかし、放射線画像撮影装置に放射線を照射して行った前回の撮影で生じたラグは、その後、各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返してもなかなか除去できない。そのため、例えば、リセット処理後、放射線を照射しない状態で放射線画像撮影装置を所定時間放置した後で画像データの読み出し処理を行うと、ラグが残存していなければ何も撮影されていない放射線画像が得られるはずであるが、実際には、前回の放射線画像撮影で生じたラグが除去し切れずに残像として現れてしまう。
このようにラグが容易に消えない理由は、放射線の照射により放射線検出素子7内で発生した電子や正孔の一部が、一種の準安定なエネルギーレベル(metastable state)に遷移して、放射線検出素子内での移動性を失った状態が比較的長時間保たれるためと考えられている。
そして、この準安定なエネルギー状態の電子や正孔は、いつまでも準安定なエネルギーレベルにあるわけではなく、熱エネルギーによって、ある確率で少しずつこの準安定なエネルギーよりも高いと考えられるエネルギーレベルの伝導帯に遷移して移動性が復活する。しかし、その割合が必ずしも大きくないため、各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返し行っても容易に消えないと考えられている。
このラグの発生や持続のメカニズムについては、まだ不明な点も多い。しかし、いずれにせよ、このようなラグを除去できないと、少なくとも上記のように放射線画像撮影を連続して行うような場合には、先の撮影で生じたラグが、後の撮影で残像として現れてしまうといった無視し難い問題が生じる。
そして、上記のようにして得られる画像データに基づいて生成される放射線画像を、例えば医療における診断用等に用いるような場合、画像中に残像が存在すると、残像を病変部と誤診してしまったり、残像で病変部が見づらくなって病変部を見落としてしまう等の虞れがある。
このように、ラグによる残像の影響はできるだけ排除されることが望ましい。そして、放射線画像撮影装置は、各放射線検出素子7内で発生したラグを、各放射線検出素子7内からできる限り速やかに除去できるものであることが望ましい。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、放射線の照射により発生するラグを放射線検出素子内から速やかに除去することが可能な放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各放射線検出素子にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、
前記各走査線にオン電圧とオフ電圧とをそれぞれ切り替えて印加する走査駆動手段と、
前記走査線を介してオン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子から前記信号線に放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
前記バイアス電源から前記各放射線検出素子に印加する前記バイアス電圧を制御するとともに、前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記各放射線検出素子内に残存する電荷を放出させる前記各放射線検出素子のリセット処理および前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記各放射線検出素子のリセット処理の際に前記バイアス電源から前記各放射線検出素子に印加する前記バイアス電圧を、少なくとも前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理の際に前記バイアス電源から前記各放射線検出素子に印加する前記バイアス電圧よりも低い電圧に可変させることを特徴とする。
また、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各放射線検出素子にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、
前記各走査線にオン電圧とオフ電圧とをそれぞれ切り替えて印加する走査駆動手段と、
前記走査線を介してオン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子から前記信号線に放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
前記バイアス電源から前記各放射線検出素子に印加する前記バイアス電圧を制御するとともに、前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記各放射線検出素子内に残存する電荷を放出させる前記各放射線検出素子のリセット処理および前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、少なくとも前記各放射線検出素子のリセット処理および前記画像データの読み出し処理の最中に、前記各放射線検出素子の前記スイッチ手段に接続されている前記第1電極の電位が、前記バイアス電源に接続されている前記第2電極に印加される前記バイアス電圧よりも高い状態が維持されるような前記バイアス電圧を、前記各放射線検出素子の前記第2電極に印加することを特徴とする。
本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、撮影と次の撮影との間等に行われる各放射線検出素子のリセット処理の際に、バイアス電源から各放射線検出素子に印加するバイアス電圧を、画像データの読み出し処理等の際に印加する通常の電圧値のバイアス電圧よりも低い電圧に可変させて印加したり、各放射線検出素子のリセット処理の際だけでなく、画像データの読み出し処理等の際にも、各放射線検出素子に印加するバイアス電圧を、通常の電圧値のバイアスよりも低い電圧に可変させて印加して、放射線検出素子の第1電極の電位が、第2電極に印加されるバイアス電圧よりも高い状態が維持される。
そのため、各放射線検出素子7のリセット処理や画像データの読み出し処理等の際に、放射線検出素子の第1電極と第2電極との間に形成される電位勾配がより急峻になり、トラップ準位から伝導帯に遷移した電子が第1電極に到達する量をより多くすることが可能となる。そのため、リセット処理や読み出し処理で放射線検出素子から除去される電子の量が多くなり、放射線の照射により発生するラグ(lag)を放射線検出素子内から速やかに除去することが可能となる。
各実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図である。 図1の放射線画像撮影装置を反対側から見た外観斜視図である。 図1におけるX−X線に沿う断面図である。 放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。 図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。 図5におけるY−Y線に沿う断面図である。 フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。 放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。 検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。 各放射線検出素子のリセット処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。 画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。 1面分のリセット処理におけるタイミングチャートである。 照射開始信号の送信、リセット処理の終了および電荷蓄積状態への移行、インターロック解除信号の送信、および放射線の照射のタイミングを表すタイミングチャートである。 各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングを表すタイミングチャートである。 図14に示した一連の処理と同じ処理シーケンスを繰り返してオフセットデータの読み出し処理が行われることを説明するタイミングチャートである。 各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングおよびバイアス電圧を低い電圧に可変させるタイミングを表すタイミングチャートである。 (A)放射線検出素子の第1電極と第2電極との間に形成される電位勾配がなだらかな場合、および(B)急峻な場合を表すグラフである。 図17(A)の場合にはラグがなかなか減衰せず(α)、図17(B)の場合にはラグが速やかに減衰すること(β)を説明するグラフである。 インターロック解除信号を送信すると同時にバイアス電圧を元の通常のバイアスに戻す場合にバイアス電圧を可変させるタイミングを表すタイミングチャートである。 放射線検出素子に低い電圧に設定されたバイアス電圧を常時印加し続けることを表すタイミングチャートである。 印加するバイアス電圧が通常の電圧のバイアス電圧である場合に、(A)放射線検出素子内に電荷が蓄積されていない状態、および(B)放射線検出素子の第1電極と第2電極との間に形成される電位勾配がほぼ0になった状態を表すグラフである。 TFTのゲート−ソース間の電位差VgsとTFTを介してリークするリーク電流の値との関係を表すグラフである。 印加するバイアス電圧を低い電圧のバイアス電圧に可変させた場合において放射線検出素子内に電荷が蓄積されていない状態を表すグラフである。 印加するバイアス電圧を低い電圧のバイアス電圧に可変させた場合に放射線検出素子の第1電極の電位が、(A)通常のバイアス電圧と同じ電位になった状態、および(B)通常のバイアス電圧より低い電位に下がった状態と表すグラフである。 リークデータの読み出し処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミング等を表すタイミングチャートである。 TFTを介して各放射線検出素子からリークした各電荷がリークデータとして読み出されることを説明する図である。 リークデータの読み出し処理と各放射線検出素子のリセット処理とを交互に行う場合のタイミングチャートである。 電流検出手段が設けられた放射線画像撮影装置の等価回路の一例を表すブロック図である。
以下、本発明に係る放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、放射線画像撮影装置が、シンチレータ等を備え、照射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置である場合について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。
また、放射線画像撮影装置が可搬型である場合について説明するが、支持台等と一体的に形成された放射線画像撮影装置(すなわちいわゆる専用機)に対して適用することも可能である。
[第1、第2の実施形態に共通の構成等について]
図1は、各実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、放射線画像撮影装置を反対側から見た外観斜視図である。また、図3は、図1のX−X線に沿う断面図である。放射線画像撮影装置1は、図1〜図3に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されている。
図1や図2に示すように、本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。なお、筐体2をこのようないわゆるモノコック型として形成する代わりに、例えば、フロント板とバック板とで形成された、いわゆる弁当箱型とすることも可能である。
図1に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクタ39、バッテリ状態や放射線画像撮影装置1の作動状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。
本実施形態では、コネクタ39は、例えば図示しないケーブル等が接続されることにより、ケーブル等を介して外部装置に画像データ等を送信したり、放射線画像撮影装置1と外部装置との間で情報や信号等のやり取りを行う場合の通信手段として機能するようになっている。なお、コネクタ39の設置位置は蓋部材2Bに限定されず、放射線画像撮影装置1の適宜の位置に設置することが可能である。
また、図2に示すように、例えば放射線画像撮影装置1と外部装置との間で無線方式で情報や信号等のやり取りを行うためのアンテナ装置41が、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に埋め込まれる等して設けられている。なお、アンテナ装置41の設置位置は蓋部材2Cに限定されず、放射線画像撮影装置1の任意の位置にアンテナ装置41を設置することが可能である。また、設置するアンテナ装置41は1個に限らず、複数設けることも可能である。
図3に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。また、基板4やシンチレータ3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。また、本実施形態では、センサパネルSPと筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材36が設けられている。
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
ここで、本実施形態における放射線検出素子7やTFT8の構造について、図6に示す断面図を用いて簡単に説明する。図6は、図5におけるY−Y線に沿う断面図である。
基板4の面4a上に、AlやCr等からなるTFT8のゲート電極8gが図示しない走査線5と一体的に積層されて形成されており、ゲート電極8g上および面4a上に積層された窒化シリコン(SiN)等からなるゲート絶縁層81上のゲート電極8gの上方部分に、水素化アモルファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層82を介して、放射線検出素子7の第1電極73と接続されたソース電極8sと、信号線6と一体的に形成されるドレイン電極8dとが積層されて形成されている。
ソース電極8sとドレイン電極8dとは、窒化シリコン(SiN)等からなる第1パッシベーション層83によって分割されており、さらに第1パッシベーション層83は両電極8s、8dを上側から被覆している。また、半導体層82とソース電極8sやドレイン電極8dとの間には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたオーミックコンタクト層84a、84bがそれぞれ積層されている。以上のようにしてTFT8が形成されている。
また、放射線検出素子7の部分では、基板4の面4a上に前記ゲート絶縁層81と一体的に形成される絶縁層71の上に、前記第1パッシベーション層83と一体的に形成される絶縁層72が積層されており、絶縁層72上にAlやCr、Mo等からなる第1電極73が積層されている。第1電極73は、第1パッシベーション層83に形成されたホールHを介してTFT8のソース電極8sに接続されている。
第1電極73の上には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたn層74、水素化アモルファスシリコンで形成された変換層であるi層75、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたp層76が下方から順に積層されて形成されている。
放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレータ3で可視光等の電磁波に変換され、変換された電磁波が図中上方から照射されると、電磁波は放射線検出素子7のi層75に到達して、i層75内で電子正孔対が発生する。放射線検出素子7は、このようにして、シンチレータ3から照射された電磁波を電荷に変換するようになっている。
また、p層76の上には、ITO等の透明電極とされた第2電極77が積層されて形成されており、照射された電磁波がi層75等に到達するように構成されている。本実施形態では、以上のようにして放射線検出素子7が形成されている。なお、p層76、i層75、n層74の積層の順番は上下逆であってもよい。また、本実施形態では、放射線検出素子7として、上記のようにp層76、i層75、n層74の順に積層されて形成されたいわゆるpin型の放射線検出素子を用いる場合が説明されているが、これに限定されない。
放射線検出素子7の第2電極77の上面には、第2電極77を介して放射線検出素子7にバイアス電圧を印加するバイアス線9が接続されている。なお、放射線検出素子7の第2電極77やバイアス線9、TFT8側に延出された第1電極73、TFT8の第1パッシベーション層83等、すなわち放射線検出素子7とTFT8の上面部分は、その上方側から窒化シリコン(SiN)等からなる第2パッシベーション層78で被覆されている。
本実施形態では、図5に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、図4や図5に示すように、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
本実施形態では、図4に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう。)11に接続されている。各入出力端子11には、図7に示すように、後述する走査駆動手段15のゲートドライバ15bを構成するゲートIC15c等のICチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
また、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサパネルSPが形成されている。なお、図7では、電子部品32等の図示が省略されている。
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図8は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図9は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極77にそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極77にそれぞれバイアス電圧を印加するようになっている。
また、バイアス電源14は、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22により、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を可変させることができるようになっている。
図8や図9に示すように、本実施形態では、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極77にバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極73側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
各放射線検出素子7の第1電極73はTFT8のソース電極8s(図8、図9中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図8、図9中ではGと表記されている。)は、後述する走査駆動手段15のゲートドライバ15bから延びる走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図8、図9中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバ15bにオン電圧とオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。
また、スイッチ手段であるTFT8は、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5を介してそのゲート電極8gにオン電圧が印加されると、放射線検出素子7に蓄積された電荷を信号線6に放出させ、ゲート電極8gにオフ電圧が印加されると、放射線検出素子7からの電荷の放出を停止させて、発生した電荷を放射線検出素子7内に蓄積させるようになっている。
図8や図9に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されており、本実施形態では、読み出しIC16が複数並設されていて、各信号線6がいずれかの読み出しIC16に接続されるようになっている。
読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図8や図9中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図9中では、アナログマルチプレクサ21は省略されている。
本実施形態では、増幅回路18はチャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続されて構成されている。また、増幅回路18には、増幅回路18に電力を供給するための電源供給部18dが接続されている。また、オペアンプ18aと相関二重サンプリング回路19との間には、電荷リセット用スイッチ18cと連動して開閉するスイッチ18eが設けられている。
増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位Vが印加されるようになっている。なお、基準電位Vは適宜の値に設定される。以下では、基準電位Vとして0[V]が印加される場合について説明するが、0[V]以外の正の電位や負の電位に設定することも可能である。
また、この基準電位Vがオペアンプ18aを介して各信号線6や各TFT8のドレイン電極8dに印加されるように構成されている。そのため、本実施形態では、各TFT8のドレイン電極8dの電位は、基本的にこの基準電位Vすなわち0[V](或いは上記のように設定された値の電位)になっている。
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっており、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされるとスイッチ18eがそれと連動してオフ状態となり、電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態とされるとスイッチ18eがそれと連動してオン状態となるようになっている。
放射線画像撮影装置1では、前述したように、放射線画像撮影の前や後に、各放射線検出素子7内に残存する余分な電荷を各放射線検出素子7内から除去するために、各放射線検出素子7のリセット処理が行われる。
この各放射線検出素子7のリセット処理の際には、図10に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされた状態で各TFT8がオン状態とされる。すると、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、信号線6中を流れた電荷が電荷リセット用スイッチ18cを通過した後、オペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出すことで、各放射線検出素子7内から電荷が除去されるようになっている。
一方、各放射線検出素子7から画像データを読み出す読み出し処理の際には、増幅回路18では、図11に示すように、電荷リセット用スイッチ18cをオフした状態で、各TFT8がオン状態とされると、当該TFT8が接続されている放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出されて増幅回路18のコンデンサ18bに流入して蓄積される。
そして、増幅回路18では、コンデンサ18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるようになっており、増幅回路18により、上記のようにして各放射線検出素子7から流れ出してコンデンサ18bに蓄積した電荷が、電荷電圧変換されるようになっている。
なお、増幅回路18を、放射線検出素子7から出力された電荷に応じて電流を出力するように構成することも可能である。また、画像データの読み出し動作が終了するごとに電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされて、増幅回路18がリセットされる。すなわち、増幅回路18のリセット動作では、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされ、コンデンサ18bに蓄積されていた電荷がオペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出すことで、コンデンサ18bから電荷が除去される。
増幅回路18の出力側には、相関二重サンプリング回路(CDS)19が接続されている。相関二重サンプリング回路19はサンプルホールド機能を有しており、図11に示すように、制御手段22からのパルス信号Sp1を受信すると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持し、その後、TFT8がオン/オフされて放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサ18dに蓄積された時点で制御手段22から送信された2回目のパルス信号Sp2を受信すると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持して、電圧値の差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データとして下流側に出力するようになっている。
相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データは、アナログマルチプレクサ21に送信され、アナログマルチプレクサ21から順次A/D変換器20に送信される。そして、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データに変換されて記録手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図8等に示すように、制御手段22には、DRAM(Dynamic RAM)等で構成される記録手段23が接続されている。
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記録手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリ24が接続されている。また、バッテリ24には、図示しない充電装置からバッテリ24に電力を供給してバッテリ24を充電する際の接続端子25が取り付けられている。
前述したように、制御手段22は、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を可変させたり、走査駆動手段15のゲートドライバ15bを作動させる信号を送信したり、或いは、相関二重サンプリング回路19にパルス信号Sp1、Sp2を送信する等して、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するようになっている。
[放射線画像撮影における処理シーケンスについて]
次に、本実施形態に特有の制御手段22によるバイアス電圧の可変のさせ方について説明する前に、放射線画像撮影における基本的な処理シーケンスについて説明する。
以下では、放射線画像撮影装置1と図示しない放射線発生装置との間で互いに信号等のやり取りを行って、両者が連携しながら放射線画像撮影を行うように構成されている場合(以下、この場合を連携方式という場合がある。)について説明する。しかし、本実施形態に特有の制御手段22によるバイアス電圧の可変のさせ方は、連携方式の場合にのみ適用されるものではなく、後で説明する非連携方式の場合にも適用される。
放射線画像撮影が連携方式で行われる場合、制御手段22は、通常、まず、各放射線検出素子7のリセット処理を行うようになっている。各放射線検出素子7のリセット処理では、例えば図12に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバ15b(図8参照)から走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加する。
そして、走査線5の各ラインL1〜Lxに接続されている各TFT8を順次オン状態として、各放射線検出素子7からそれぞれ素子内に残存する電荷を信号線6に放出させる。そして、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う1面分のリセット処理Rmを繰り返して行うように構成される。
そして、図13に示すように、1面分のリセット処理Rmの最中に、放射線技師等の操作者が放射線発生装置で図示しない曝射スイッチを操作して、放射線発生装置から放射線画像撮影装置1に放射線を照射する旨を表す照射開始信号が送信されてくると、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、その時点で行っている1面分のリセット処理Rmが完了した時点で、各放射線検出素子7のリセット処理を終了して、走査駆動手段15から走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させて全TFT8をオフ状態として、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
また、制御手段22は、当該1面分のリセット処理Rmが完了した時点で、放射線発生装置にインターロック解除信号を送信する。そして、放射線発生装置は、放射線画像撮影装置1から送信されたインターロック解除信号を受信すると、放射線画像撮影装置1に対して放射線を照射する。
以上の状態をタイミングチャートで表すと、図14に示すように、各放射線検出素子7のリセット処理が繰り返されている最中に放射線発生装置から照射開始信号が送信されてくると、その時点で行っている1面分のリセット処理Rmが完了した時点でインターロック解除信号を送信するとともに、走査線5の全ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して電荷蓄積状態に移行する。そして、放射線発生装置から放射線が照射される。なお、図14では、放射線が照射されている期間が斜線を付して示されている。
制御手段22は、放射線発生装置にインターロック解除信号を送信した後、例えば所定時間が経過した時点で、図14に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7から画像データDをそれぞれ読み出す読み出し処理を行うようになっている。なお、例えば、放射線画像撮影装置1で照射された放射線の線量を測定するように構成し、例えば予め設定された線量の放射線が照射された時点で放射線画像撮影装置1から放射線発生装置に照射を終了するように信号を送信するように構成することも可能である。
一方、図14に示したように、電荷蓄積状態では各TFT8がオフ状態とされるため、その間に、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積される。そのため、その後の読み出し処理で読み出された画像データDには、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した有用な電荷のほか、各TFT8がオフ状態とされている間に各放射線検出素子7内に蓄積された暗電荷も読み出される。
すなわち、読み出し処理で読み出された画像データDには、放射線の照射により発生した有用な電荷に起因する真の画像データDと、暗電荷に起因するオフセット分とが含まれることになる。
そこで、図15に示すように、通常、画像データDの読み出し処理後に各放射線検出素子7のリセット処理を行った後、図14に示した各放射線検出素子7のリセット処理から電荷蓄積状態に移行して画像データDの読み出し処理を行うまでの処理シーケンスが繰り返されて、オフセットデータOの読み出し処理が行われる。なお、オフセットデータOの読み出し処理の際には、放射線画像撮影装置1に放射線は照射されない。
このように、画像データDの読み出し処理までの処理シーケンスと同じ処理シーケンスを繰り返してオフセットデータOの読み出し処理を行うことで、読み出されたオフセットデータOが暗電荷のみに起因するものとなり、画像データD中に含まれる暗電荷に起因するオフセット分と同じ値になる。そのため、後の画像処理において、画像データDからオフセットデータOを減算処理することにより、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した有用な電荷に起因する真の画像データDを算出することが可能となる。
なお、図15では、画像データDの読み出し処理後の各放射線検出素子7のリセット処理を、1面分、すなわち走査線5の各ラインL1〜Lxのオン電圧を1回だけ順次印加して行う場合を示したが、各放射線検出素子7のリセット処理は、1回に限定されず、複数回行うように構成することも可能である。また、リセット処理を行う回数を撮影条件等に応じて可変させるように構成することも可能である。
また、上記のように、オフセットデータOの読み出し処理を、放射線画像撮影の後、すなわち各放射線検出素子7のリセット処理後に放射線画像撮影装置1に放射線を照射して画像データDを読み出すまでの一連の処理の後に行う必要はなく、放射線画像撮影の前に行うように構成することも可能である。
[バイアス電圧の可変のさせ方について]
次に、本実施形態に特有の制御手段22によるバイアス電圧の可変のさせ方について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用についてもあわせて説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、放射線画像撮影で画像データDやオフセットデータOの読み出し処理を終了した後で繰り返し行われる各放射線検出素子7のリセット処理、すなわち撮影と次の撮影との間に繰り返し行われるリセット処理の際に、制御手段22は、バイアス電源14(図8参照)から各放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを、少なくとも画像データDの読み出し処理等の際に印加する通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasよりも低い電圧に可変させて印加するように構成されている。
なお、この第1の実施形態は、上記のように、撮影と次の撮影との間に繰り返し行われるリセット処理の際に各放射線検出素子7のリセット処理だけでなく、放射線画像撮影の前に行うリセット処理(図14参照)や画像データDの読み出し処理後に行うリセット処理(図15参照)においても適用することができる。
具体的には、図16に示すように、画像データDの読み出し処理等の際に、バイアス電源14からバイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極77に印加する通常のバイアス電圧Vbiasの電圧値が、例えば−5[V]に設定されている場合には、制御手段22は、各放射線検出素子7のリセット処理の際には、バイアス電圧Vbiasを、−5[V]よりも低い、例えば−10[V]の電圧に可変させて印加するように構成される。
なお、図16のタイミングチャートは、上側から下側に連続してつながる。また、図16や後述する図19では、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を印加するタイミングがそれぞれ矢印で示されており、画像データDやオフセットデータOの読み出し処理等がそれぞれ「D読み出し」や「O読み出し」等のようにそれぞれ略して表されている。また、図16では、後の放射線画像撮影(すなわち電荷蓄積や画像データDの読み出し処理)の前のリセット処理において、バイアス電圧Vbiasが−10[V]から通常の電圧値である−5[V]に戻されているが、これについては後で説明する。
本実施形態のように、各放射線検出素子7のリセット処理の際に各放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを、少なくとも画像データDの読み出し処理等の際に印加する通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasよりも低い電圧に可変させて印加すると、以下のような有用な効果が得られる。
前述したように、放射線画像撮影の際に放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷によって、いわゆるラグ(lag)が発生する。そして、このラグは、前述したように、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電子の一部が、放射線検出素子7中の伝導帯のエネルギーレベルより低い準安定なエネルギーレベル(metastable state。以下、トラップ準位という。)にトラップされることによって生じると考えられている。
すなわち、放射線の照射により、各放射線検出素子7ではi層75(図6参照)内で、照射された放射線の線量(本実施形態では照射された放射線がシンチレータ3で変換された電磁波の光量)に応じた量の電子正孔対が発生する。そして、発生した電子のうちの大部分は、画像データDの読み出し処理の際に放射線検出素子7からTFT8を介して信号線6に流れ出す(そして読み出し回路17で画像データDとして読み出される)が、発生した電子のうちの一定の割合が、放射線検出素子7のi層75のトラップ準位にトラップされてラグになる。
なお、このように発生した電子のうちの一定割合がトラップ準位にトラップされてラグになるため、照射した放射線の線量が小さく、発生する電子の量が少なければラグになる電子の量も少なくなるが、照射した放射線の線量が大きく、発生する電子の量が多くなるとラグになる電子の量も多くなるため、ラグの影響は、放射線画像撮影装置1に対して強い放射線が照射されたような場合に特に大きく現れるようになると考えられる。
そして、画像データDやオフセットデータOの読み出し処理後の各放射線検出素子7のリセット処理の際に、放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasが仮に通常の電圧値のバイアス電圧Vbias(すなわち例えば−5[V])のままであると、例えば図17(A)にイメージ的に示すように、放射線検出素子7の、TFT8が接続されている第1電極73と、バイアス電圧Vbiasが印加されている第2電極77との間に形成される電位勾配がなだらかになる。
なお、図17(A)、(B)等では、図中のより上側の方が電子に関するエネルギーレベルが高いことを表しており、電位として見た場合には、図中のより上側の方が電位が低いことを表している。また、各図中の黒丸は電子を表す。
図17(A)に示したように、第1電極73と第2電極77との間の電位勾配がなだらかであると、前述したように、トラップ準位Trにトラップされた電子(すなわちラグの電子)が、熱エネルギーによってトラップ準位Trから伝導帯Cに遷移して移動性が復活しても、電位勾配すなわちi層75内の電界が小さいため、i層75内を移動する速度が遅い。
そのため、図17(A)に示すように、伝導帯Cに遷移した電子が第2電極77側から第1電極73側に移動する間にトラップ準位Trに再トラップされる確率が高くなり、何度も再トラップされるようになる。
それに対し、本実施形態のように、各放射線検出素子7のリセット処理の際に、放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを、例えば通常の場合のバイアス電圧Vbiasすなわち例えば−5[V]よりも低い例えば−10[V]に可変させると、例えば図17(B)にイメージ的に示すように、放射線検出素子7の第1電極73と、バイアス電圧Vbiasが印加されている第2電極77との間に形成される電位勾配がより急峻になる。
そして、第1電極73と第2電極77との間の電位勾配がこのように急峻になると、大きな電位勾配すなわちi層75内の強い電界のために、トラップ準位Trから伝導帯Cに遷移した電子がi層75内を移動する速度が速くなり、第1電極73に到達し易くなる。すなわち、伝導帯Cに遷移した電子が第2電極77側から第1電極73側に移動する間にトラップ準位Trに再トラップされる確率が低くなる。そのため、トラップ準位Trから伝導帯Cに遷移した電子が比較的大量に第1電極73に到達するようになる。
そのため、図17(A)に示した通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasを印加する場合には、伝導帯Cに遷移した電子がトラップ準位Trに再トラップされて、放射線検出素子7の第1電極73になかなか到達できなくなるため、トラップ準位Trから伝導帯Cに遷移した電子が単位時間当たりに第1電極73に到達する量が小さくなる。そして、1回のリセット処理で放射線検出素子7から除去できる電子の量が少ないため、図18のαに示すように、各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返し行っても、ラグ(lag)がなかなか減衰しない現象が現れる。
それに対し、図17(B)に示した本実施形態のように、各放射線検出素子7のリセット処理の際に印加するバイアス電圧Vbiasをより低くすれば、放射線検出素子7の第1電極73と第2電極77との間に形成される電位勾配がより急峻になり、トラップ準位Trから伝導帯Cに遷移した電子が単位時間当たりに第1電極73に到達する量がより多くなる。
そのため、1回のリセット処理で放射線検出素子7から除去できる電子の量が多くなるため、図18のβに示すように、各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返し行うことで、ラグ(lag)をより速やかに減衰させることが可能となる。
そして、本実施形態では、上記のように、ラグが速やかに減衰するため、例えばその後に放射線画像撮影を行っても、前回の撮影で生じたラグが、後の撮影の際に残像として現れることを的確に防止することが可能となる。
なお、図19に示すように、各放射線検出素子7のリセット処理では、上記のように、低い電圧とされたバイアス電圧Vbiasを印加するように構成し、リセット処理の最中に放射線発生装置側から照射開始信号を受信すると、当該リセット処理が完了した時点で放射線発生装置にインターロック解除信号を送信すると同時に、或いは送信前に、バイアス電圧Vbias(例えば−10[V])を、画像データDの読み出し処理等の際に印加する通常の電圧値のバイアス電圧Vbias(例えば−5[V])に戻すように構成することも可能である。
この場合、各放射線検出素子7のリセット処理が完了し、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧が印加され、各TFT8がオフ状態になった後で、バイアス電圧Vbiasが、例えば−10[V]から−5[V]に引き上げられる。
そして、このようにバイアス電圧Vbiasが上昇すると、各放射線検出素子7では、スイッチ手段であるTFT8がオフの状態で、第1電極73と第2電極77との間の電位差が例えば5[V]減少するため、その電位差の変動に対応する分だけ、放射線検出素子7内部の第1電極73側や第2電極77側にそれぞれ電荷が現れる。
そのため、放射線画像撮影装置1に放射線が照射される前から、すなわちインターロック解除信号を送信すると同時にバイアス電圧Vbiasを上昇させた時点で、各放射線検出素子7内に既に電荷が発生して各放射線検出素子7内に蓄積された状態になる。
このように放射線検出素子7内に予め電荷が蓄積される状態になっても、バイアス電圧Vbiasの上昇によって各放射線検出素子7内でどの程度の電荷が発生するかが予め分かっていれば、その発生した電荷分に相当するデータ量も分かる。そこで、例えばバイアス電圧Vbiasの上昇により発生する電荷に相当するデータ量を予めオフセット分として各放射線検出素子7ごとに求めておき、後の画像処理の段階で、画像データDからこのオフセット分を減算する等して、画像データDを補正するように構成することが可能である。
しかし、各TFT8がオフの状態でバイアス電圧Vbiasを変動させると、上記のように各放射線検出素子7内に電荷が発生してしまうことの他にも、放射線画像撮影装置1の構成上、種々の不都合が生じる場合がある。
そこで、そのような場合には、図16に示したように、放射線画像撮影が終了してオフセットデータOの読み出し処理等が終了した後で繰り返し行う各放射線検出素子7のリセット処理において、例えば、リセット処理を所定の回数分(すなわち1面分のリセット処理Rmを所定回数分)行った時点で、バイアス電圧Vbiasを上昇させて元の通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasに戻す。少なくとも次の放射線画像撮影で放射線画像撮影装置1に放射線が照射される直前のリセット処理では、バイアス電圧Vbiasを元の通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasに戻すように構成することが可能である。
このように構成すれば、上記のようにバイアス電圧Vbiasを変動させて各放射線検出素子7内に新たに電荷が発生してしまったとしても、少なくとも次の撮影の直前のリセット処理で、各放射線検出素子7内から新たに発生した電荷が放出される。そのため、上記のように、インターロック解除信号を送信し、電荷蓄積状態に移行する時点で、各放射線検出素子7内に既に電荷が発生して蓄積されてしまうことを防止することが可能となるとともに、放射線画像撮影装置1に種々の不都合が生じることを回避することが可能となる。
なお、例えば、放射線発生装置から照射開始信号を送信する前に、別の信号を送信するように構成し、放射線画像撮影装置1が当該別の信号を受信した時点でバイアス電圧Vbiasを上昇させて通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasに戻すように構成することが可能である。
放射線発生装置では、放射線技師が前述した曝射スイッチを最初に操作した時点で図示しないX線管球等を起動させ、2回目の操作で照射開始信号を送信するように構成されているものが多い。そこで、例えば、曝射スイッチが最初に操作された時点で放射線発生装置から放射線画像撮影装置1に信号を送信するように構成すれば、上記のように、放射線画像撮影装置1で、その信号を受信した時点でバイアス電圧Vbiasを上昇させて通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasに戻すように構成することが可能となる。
このように、バイアス電圧Vbiasを上昇させて通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasに戻すように構成する場合には、適宜のタイミングで上昇させるように構成することが可能である。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、撮影と次の撮影との間等に行われる各放射線検出素子7のリセット処理の際に、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを、少なくとも画像データDの読み出し処理等の際に印加する通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasよりも低い電圧に可変させて印加するように構成した。
そのため、各放射線検出素子7のリセット処理の際に、放射線検出素子7の第1電極73と第2電極77との間に形成される電位勾配がより急峻になり、トラップ準位Trから伝導帯Cに遷移した電子が第1電極73に到達する量がより多くなる。そのため、1回のリセット処理で放射線検出素子7から除去できる電子の量が多くなり、放射線の照射により発生するラグ(lag)を放射線検出素子7内から速やかに除去することが可能となる。
そして、図18のβに示したように、各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返し行うことで、ラグ(lag)をより速やかに減衰させることが可能となるため、例えばその後に放射線画像撮影を行っても、前回の撮影で生じたラグが、後の撮影の際に残像として現れることを的確に防止し、或いは現れる残像を無視できる程度に小さなものとすることが可能となる。
そのため、上記のようにして得られた画像データに基づいて生成される放射線画像を例えば医療における診断用等に用いるような場合にも、画像中に残像が存在せず、或いは残像が存在しても無視できる程度に小さなものになるため、残像を病変部と誤診してしまったり、残像で病変部が見づらくなって病変部を見落としてしまう等の問題が生じることを的確に防止することが可能となる。
[第2の実施の形態]
上記の第1の実施形態では、撮影と次の撮影との間や、放射線画像撮影の前(図14参照)、或いは画像データDの読み出し処理後(図15参照)に行う各放射線検出素子7のリセット処理において、放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを、少なくとも画像データDの読み出し処理等の際に印加する通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasよりも低い電圧に可変させて印加する場合について説明した。
しかし、画像データDの読み出し処理等の際に放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを低下させても装置的に問題がないのであれば、画像データDの読み出し処理等の際にも、上記の各放射線検出素子7のリセット処理時に印加するバイアス電圧Vbiasと同様に、通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasよりも低い電圧のバイアス電圧Vbiasを印加するように構成することも可能である。
この場合、結局、図20に示すように、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極77に、低い電圧に設定されたバイアス電圧Vbias(例えば−10[V])が常時印加され続ける状態になる。
このように構成すると、撮影と次の撮影との間等に行われる各放射線検出素子7のリセット処理の際には、第1の実施形態で説明したように、放射線検出素子7の第1電極73と第2電極77との間に形成される電位勾配が急峻になるように作用する。そのため、トラップ準位Trから伝導帯Cに遷移した電子が第1電極73に到達する量が多くなって、ラグを放射線検出素子7内から速やかに除去することが可能となるといった効果が第2の実施形態においても得られる。
一方、上記のように構成すると、さらに、以下のような作用効果が得られる。
この作用効果を説明する前に、まず、電荷蓄積状態や画像データDの読み出し処理等において、本実施形態で印加する低いバイアス電圧Vbias(例えば−10[V])よりも高い通常の電圧値のバイアスVbias(例えば−5[V])を印加した場合に生じる現象等について説明する。なお、この場合、TFT8のゲート電極8g(図8、図9等参照)には、例えば−10[V]のオフ電圧が印加されているものとする。
この場合、電荷蓄積状態において、放射線検出素子7内に電荷が蓄積されていない状態では、図21(A)にイメージ的に示すように、信号線6や、TFT8のドレイン電極8dやソース電極8s(ともに不図示)や、放射線検出素子7の第1電極73は同電位であり、基準電位V(本実施形態では0[V])が印加された状態になる。
また、放射線検出素子7の第2電極77には、例えば−5[V]の通常の電圧値のバイアスVbiasが印加されており、放射線検出素子7の第1電極73と第2電極77との間のi層75には、−5[V]の電位差に相当する電位勾配が形成される。
そして、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、変換層であるi層75内で電子等が発生し、電子はi層75における電位勾配に沿って第1電極73側に移動するため、第1電極73側の電位が下がる。そして、エネルギー的に見た場合には、第1電極73側のエネルギーレベルが上がる。なお、発生した電子のうちの一定の割合が、放射線検出素子7のi層75のトラップ準位にトラップされてラグになることは前述した通りである。
そして、放射線画像撮影装置1に十分に大きな線量の放射線が照射されると、図21(B)に示すように、第1電極73側のエネルギーレベルが上昇して第2電極77のエネルギーレベルと同等になり、i層75における電位勾配がほぼ0になる。
そのため、トラップ準位Trにトラップされたラグの電子が、熱エネルギーによってトラップ準位Trから伝導帯Cに遷移して移動性が復活しても、伝導帯Cに電位勾配がほとんどないため、図21(B)に示すように、伝導帯Cに遷移した電子はi層75の伝導帯C内で失活して、トラップ準位Trに再トラップされてしまう。
このように、放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを通常の高い電圧値のバイアス電圧Vbiasとした場合、放射線画像撮影装置1に大きな線量の放射線が照射されると、第1電極73側の電位が第2電極77側の電位(すなわちバイアス電圧Vbias)まで上昇し易くなり(すなわち放射線検出素子7が飽和し易くなり)、第1電極73側の電位と第2電極77側の電位とがほぼ同じ状態になってi層75における電位勾配がほぼ0になる。
そのため、トラップ準位Trにトラップされたラグの電子が伝導帯Cに遷移しても伝導帯C内で失活してトラップ準位Trに再トラップされるようになるため、ラグの電子がトラップ準位Trに蓄積されてしまい、トラップ準位Trから抜け出せない状態になる。
そのため、画像データDの読み出し処理の際に、TFT8にオン電圧が印加されて、放射線検出素子7内に蓄積された電荷(すなわちこの場合は電子)がTFT8を介して信号線6に放出されても、トラップ準位Trにトラップされたラグの電子は放射線検出素子7内から除去されず、トラップ準位Trにトラップされたラグの電子が大量に放射線検出素子7内に残留する状態になる。
なお、この場合、放射線検出素子7の第1電極73の電位は、図21(A)に示した電荷が蓄積されていないいわゆる空の状態における0[V]から、図21(B)に示した電荷が飽和した状態におけるVbiasすなわち−5[V]まで変動する。そのため、第1電極73に接続されているTFT8のソース電極8sの電位も、0[V]から−5[V]まで変動する。
その際、前述したように、TFT8のゲート電極8gには−10[V]のオフ電圧が印加されているため、TFT8のゲート−ソース間の電位差Vgsは、−10[V]から−5[V]まで変動する。TFT8のゲート−ソース間の電位差Vgsと、TFT8を介して放射線検出素子7から信号線6に電荷がリークする際のリーク電流の値との関係は、例えば図22に示すような関係になることが知られている。
そして、図22に示した関係から分かるように、TFT8のゲート−ソース間の電位差Vgsが−10[V]から−5[V]まで変動する場合には、リーク電流は10−14[A]以下の値になる。そのため、放射線検出素子7の第1電極73の電位が、放射線検出素子7が空の状態である場合の0[V]から飽和状態である場合の−5[V]まで変動しても、その間、TFT8からはほとんど電荷がリークしない。
逆の言い方をすれば、通常、図22に示したようなリーク電流の特性に従って、放射線検出素子7の第1電極73の電位が、放射線検出素子7が空の状態である場合の0[V]から飽和状態である場合の−5[V]まで変動しても、その間、TFT8からはほとんど電荷がリークしないように、オフ電圧の値やバイアス電圧Vbiasの値が設定される。
そのため、上記のように、放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを通常の高い電圧値のバイアス電圧Vbiasとした場合には、TFT8を介して放射線検出素子7内の電子がほとんどリークしないため、放射線画像撮影装置1に大きな線量の放射線が照射された場合に、第1電極73側の電位が第2電極77側の電位(すなわちバイアス電圧Vbias)まで上昇して、第1電極73の電位と第2電極77の電位とがほぼ同じ状態になるのである。
それに対し、本発明の第2の実施形態のように、画像データDの読み出し処理等の際にも放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを低下させて、通常の電圧値のバイアス電圧Vbias(例えば−5[V])よりも低い電圧のバイアス電圧Vbias(例えば−10[V])を印加するように構成すると、以下のような作用効果が得られる。
すなわち、この場合も、放射線検出素子7内に電荷が蓄積されていない状態では、図23にイメージ的に示すように、信号線6や、TFT8のドレイン電極8dやソース電極8s(ともに不図示)や、放射線検出素子7の第1電極73は同電位であり、基準電位V(本実施形態では0[V])が印加された状態になる。
しかし、本実施形態では、放射線検出素子7の第2電極77には例えば−10[V]の低い電圧値のバイアスVbiasが印加されているため、放射線検出素子7の第1電極73と第2電極77との間のi層75には、−10[V]の電位差に相当する電位勾配が形成される。
そして、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、変換層であるi層75内で電子等が発生し、電子はi層75における電位勾配に沿って第1電極73側に移動するため、第1電極73側の電位が下がる。なお、その際、発生した電子のうちの一定の割合が、放射線検出素子7のi層75のトラップ準位にトラップされてラグになる。
しかし、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されて、仮にバイアス電圧VbiasをVbias(すなわち−5[V])に設定した場合(図21(B)参照)に第1電極73の電位が第2電極77の電位と同じ電位になるような大量の電子が発生したとしても、本実施形態のようにバイアス電圧Vbiasを−10[V]が設定されていれば、図24(A)にイメージ的に示すように、第1電極73の電位が第2電極77の電位よりも高い状態が維持される。
エネルギー的に言えば、本実施形態のように、バイアス電圧Vbiasを−10[V]が設定されていれば、第1電極73側のエネルギーレベルが、第2電極77側のエネルギーレベルよりも低い状態が維持される。そのため、i層75における電位勾配が有意な勾配を有する状態(すなわち勾配が0でない状態)が維持される。
そのため、トラップ準位Trにトラップされたラグの電子が熱エネルギーによってトラップ準位Trから伝導帯Cに遷移して移動性が復活すると、図24(A)に示すように、電子がi層75の電位勾配に沿って伝導帯Cを通って第1電極73側に移動するようになる。そして、トラップ準位Trから伝導帯Cに遷移した電子の中には、移動中にトラップ準位Trに再トラップされる電子も生じるが、第1電極73に到達する電子が増える。
従って、図21(B)に示した通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasを印加した場合には電荷が飽和してi層75の電位勾配がほぼ0になってしまうような線量の放射線が放射線画像撮影装置1に照射されても、この第2の実施形態のように、バイアス電圧Vbiasを十分に低い電圧に可変させておけば、図24(A)に示したように、トラップ準位Trに再トラップされる電子の数が少なくなり、トラップ準位Trにトラップされているラグの電子の数が減少する。また、その一方で、第1電極73に到達する電子の量は増加する。
そして、上記のように、第1電極73に到達する電子が増加すると、図24(B)にイメージ的に示すように、それに応じて第1電極73の電位が下がっていく(すなわち第1電極73側のエネルギーレベルが上昇していく。)。このように第1電極73の電位が下がると、i層75における電位勾配が図24(A)の場合に比べればなだらかになり、トラップ準位Trから伝導帯Cに遷移した電子の第1電極73側への移動速度は遅くなる。
しかし、第1電極73の電位が下がって、第1電極73やそれに接続されているTFT8のソース電極8sの電位が−5[V]以下になると、−10[V]に設定されているオフ電圧との電位差が−5[V]以上になり、TFT8のゲート−ソース間の電位差Vgsが−5[V]以上になる。
そして、図22に示すように、Vgsが−5[V]以上の範囲では、TFT8を介して放射線検出素子7からリークするリーク電流が、上記のようにVgsが−10[V]〜−5[V]の範囲内にある場合よりも、数十倍から数百倍(或いは千倍以上)に大きくなる。そのため、第1電極73に蓄積された電子の一部が、TFT8を介して信号線6にリークするようになるため、第1電極73に蓄積されている電子の量が減り、第1電極73の電位が上昇する(エネルギーレベルとしては下がる。)。
そのため、第1電極73に電子が蓄積され続けることで第1電極73の電位が低下し続けて、第1電極73の電位が第2電極77の電位すなわちバイアス電圧Vbiasの電位と同等の電位にまで達するような事態にはならない。
すなわち、第2の実施形態のように、電荷蓄積状態や画像データDの読み出し処理等の際に、放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアスVbiasを、通常の画像データDの読み出し処理等の際に印加する通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasよりも十分に低い値に可変させるように構成すれば、図22に示したようなTFT8を介するリーク電流の電位差Vgsに対する特性に従って、第1電極73に蓄積される電荷の量が増加するとリーク電流が増加するため、蓄積された電荷の一部がTFT8を介して信号線6に流出する。
そのため、図24(B)に示したように、第1電極73の電位が一旦下がったとしても(すなわち第1電極73のエネルギーレベルが一旦上がったとしても)、第1電極73に蓄積された電荷の一部がTFT8を介してリークして第1電極73から失われるため、第1電極73の電位は、図24(A)に示したような電位にまで上がる(すなわち第1電極73のエネルギーレベルが図24(A)に示したようなレベルまで下がる)。
このように、第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを十分に低い電位に設定すれば、第1電極73の電位が、第2電極77の電位まで低下することが自動的に防止される。そのため、各放射線検出素子7の、TFT8に接続されている第1電極73の電位が、バイアス電源14に接続されている第2電極77に印加されるバイアス電圧Vbiasよりも高い状態が自動的に維持されるようになる。
つまり、別の言い方をすれば、放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射されることにより各放射線検出素子7の変換層であるi層75内で電荷が発生して第1電極73の電位が低下していくが、本実施形態では、図21(B)に示した通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasを印加した場合にi層75の電位勾配がほぼ0になり飽和する量の電荷が発生するような場合でも、図24(A)に示したように、通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasよりも低い電圧値のバイアス電圧Vbiasを第2電極77に印加することで、第1電極73の電位が、第2電極77に印加されるバイアス電圧Vbiasよりも高い状態を維持する。
また、放射線画像撮影装置1にさらに放射線が照射されて各放射線検出素子7のi層75内でさらに多くの電荷が発生して第1電極73の電位が−5[V]以下に低下した場合には、本実施形態では、図22に示したように、TFT8のゲート−ソース間の電位差Vgsが−5[V]以上の範囲ではTFT8を介してリークするリーク電流が急増するという特性を利用して、TFT8を介するリーク電流を格段に増加させて、−5[V]以下に低下した第1電極73の電位を再度上昇させることで、第1電極73の電位が第2電極77に印加されるバイアス電圧Vbiasよりも高い状態を維持する。
第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasが通常の例えば−5[V]のバイアス電圧Vbiasの場合には、図21(B)に示したように、放射線検出素子7の第1電極73が−5[V]まで低下すると、第1電極73と第2電極77との間の電位勾配が0になって飽和し、第1電極73の電位が−5[V]以下に低下することが困難になるが、第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを、例えば−10[V]のように十分に低い電圧値のバイアス電圧Vbiasにすれば、図24(B)に示したように、第1電極73の電位が−5[V]以下に低下することが許容される。
そのため、本実施形態では、放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを上記のように十分に低い電圧値に低下させることで、第1電極73の電位が−5[V]以下に低下することを許容するが、第1電極73が−5[V]以下に低下する場合には、上記のTFT8の特性を利用してリーク電流を増加させて第1電極73の電位を再び上昇させる。このようにして、放射線検出素子7の第1電極73の電位が、第2電極77に印加されるバイアス電圧Vbiasよりも高い状態を維持するように構成されている。
そして、その結果、各放射線検出素子7のi層75における電位勾配が、0でない有意な勾配を有する状態が維持されるようになるため、電子がトラップ準位Trから伝導帯Cに遷移すれば、i層75の電位勾配に沿って伝導帯Cを通って第1電極73側に移動するようになり、トラップ準位Trに再トラップされる電子の数が少なくなる。そのため、トラップ準位Trにトラップされているラグの電子の数が減少する。
また、第1電極73では、蓄積される電子が増加するが、第1電極73に蓄積される電子の量が多くなれば上記のように自動的にTFT8を介して信号線6にリークさせる。そのため、TFT8にオフ電圧を印加している状態でも、各放射線検出素子7内に蓄積された電荷の量が減る。従って、トラップ準位Trに再トラップされる電子の数が少なくなるため、この点でも、トラップ準位Trにトラップされているラグの電子の数が少なくなる。
この状態で画像データDの読み出し処理等が行われると、第1電極73に蓄積された電子が画像データD等として信号線6に放出されて各放射線検出素子7内から除去される。そして、放射線検出素子7を、より少ない数のラグの電子がトラップ準位Trにトラップされた状態とすることができる。
すなわち、図24(A)や図24(B)に示した状態で画像データDの読み出し処理等を行った場合、各放射線検出素子7内にラグとして残存する電子の数は、少なくとも図21(B)に示した状態で画像データDの読み出し処理等を行った場合に、各放射線検出素子7内にラグとして残存する電子の数よりも少なくすることが可能となる。
このように、第2の実施形態では、電荷蓄積状態において各放射線検出素子7からTFT8を介してリークする電荷や、画像データDの読み出し処理等(オフセットデータOの読み出し処理等の場合も同様)で各放射線検出素子7からリークしたり画像データD等として読み出される電荷の量を増加させることが可能となり、その分だけ、各放射線検出素子7内にラグとして残存する電子の量を低減させることが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、各放射線検出素子7のリセット処理の際だけでなく、電荷蓄積状態や画像データDの読み出し処理等の際に、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極77に印加するバイアス電圧Vbiasを、通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasよりも低い電圧に可変させて印加し、放射線検出素子7の第1電極73の電位が、第2電極77に印加されるバイアス電圧Vbiasよりも高い状態が維持されるように構成した。
また、そのような状態が維持されるようなバイアス電圧Vbiasを各放射線検出素子7の第2電極77に印加するように構成した。そのため、少なくとも各放射線検出素子7のリセット処理の際には、放射線検出素子7の第1電極73と第2電極77との間に形成される電位勾配が急峻になり、トラップ準位Trから伝導帯Cに遷移した電子が第1電極73に到達する量が多くなって、ラグを放射線検出素子7内から速やかに除去することが可能となるといった第1の実施形態と同様の効果が第2の実施形態においても得られる。
また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、上記のように構成したことにより、電荷蓄積状態において各放射線検出素子7からTFT8を介してリークする電荷や、画像データDの読み出し処理等(オフセットデータOの読み出し処理等の場合も同様)で各放射線検出素子7からリークしたり画像データD等として読み出される電荷の量を増加させることが可能となり、その分だけ、各放射線検出素子7内にラグとして残存する電子の量を低減させることが可能となる。
そのため、各放射線検出素子7のリセット処理の際のみならず、電荷蓄積状態や画像データDの読み出し処理等の際にも、各放射線検出素子7内からより多くの電荷を除去することが可能となり、また、各放射線検出素子7内にラグとして残存する電子の量を低減させることが可能となり、放射線の照射により発生するラグ(lag)を放射線検出素子7内から速やかに除去することが可能となる。
そのため、上記のような低い電圧のバイアス電圧Vbiasを印加して画像データDの読み出し処理等を行い、各放射線検出素子7のリセット処理等を繰り返し行うことで、ラグ(lag)をより速やかに減衰させることが可能となる。そのため、例えばその後に放射線画像撮影を行っても、前回の撮影で生じたラグが、後の撮影の際に残像として現れることを的確に防止し、或いは現れる残像を無視できる程度に小さなものとすることが可能となる。
そして、上記のようにして得られた画像データに基づいて生成される放射線画像を例えば医療における診断用等に用いるような場合にも、画像中に残像が存在せず、或いは残像が存在しても無視できる程度に小さなものになるため、残像を病変部と誤診してしまったり、残像で病変部が見づらくなって病変部を見落としてしまう等の問題が生じることを的確に防止することが可能となる。
なお、上記の各実施形態では、画像データDの読み出し処理等の際に印加する通常のバイアス電圧Vbiasが−5[V]であり、各放射線検出素子7のリセット処理において低い電圧値に可変させるバイアス電圧Vbiasが−10[V]である場合について説明したが、これらはあくまで例示であり、放射線画像撮影装置1の構成に応じてバイアス電圧Vbiasやより低い電圧値のバイアス電圧Vbiasが適切に設定されることは言うまでもない。
また、上記の各実施形態では、放射線画像撮影装置1と図示しない放射線発生装置との間で照射開始信号やインターロック解除信号等の信号のやり取りを行って、両者が連携しながら放射線画像撮影を行う連携方式の場合について説明したが、前述したように、上記の各実施形態に特有のバイアス電圧の可変のさせ方は、連携方式の場合にのみ適用されるものではなく、非連携方式の場合にも適用される。
非連携方式の場合、放射線画像撮影装置1は、放射線発生装置側から照射開始信号の送信を受けられないため、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射が開始されたことを検出しなければならなくなる。そのための手法としてはいくつかの手法を採用することができるが、採用される手法の例として、以下、3つの手法について説明する。
[手法1]
例えば、上記の各実施形態のように、放射線画像撮影前に、各放射線検出素子7のリセット処理(図14等参照)を行う代わりに、例えば、画像データd(上記のいわゆる本画像としての画像データDと区別する意味で画像データdと記載する。)の読み出し処理を繰り返し行うように構成することが可能である。
このように構成すると、放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射される前に、各放射線検出素子7から読み出される画像データdは、主に前述した暗電荷に起因するデータであり、小さな値にしかならないが、放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射されると、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷に起因するデータが読み出されるようになるため、画像データdの値が急増する。
そこで、この現象を利用して、例えば、画像データdに対して予め閾値を設定しておき、読み出される画像データdが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することが可能である。この場合、放射線の照射が開始されたことを検出すると、その時点で即座に画像データdの読み出し処理が停止され、走査駆動手段15から走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧が印加されて電荷蓄積状態に移行するように構成される。
放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した有用な電荷が、画像データdの読み出し処理によって放射線検出素子7から失われてしまうことを防止するためである。
[手法2]
また、手法1のように、放射線画像撮影前に、画像データdの読み出し処理を繰り返し行い、画像データdに基づいて放射線の照射開始を検出するように構成する代わりに、リークデータdleakの読み出し処理を行い、読み出したリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始を検出するように構成することも可能である。
リークデータdleakとは、図25に示すように、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加した状態で、読み出し回路17に読み出し動作を行わせて読み出されるデータをいう。
具体的には、リークデータdleakの読み出し処理では、図25に示すように、走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加し、各TFT8をオフ状態とした状態で、画像データDの読み出し処理の場合と同様に、読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18c(図9参照)をオフ状態とし、コンデンサ18bに電荷が蓄積される状態にして、制御手段22から相関二重サンプリング回路19にパルス信号Sp1、Sp2を送信して保持動作を行わせるが、その間、各TFT8のオン/オフ動作は行わない。
このように各読み出し回路17を動作させると、図26に示すように、オフ状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークした各電荷qが、増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積される。そのため、増幅回路18からはこの蓄積された電荷、すなわち各放射線検出素子7からリークした電荷qの合計値に相当する電圧値が出力され、図26では図示を省略した相関二重サンプリング回路19で電圧値が保持されて、リークデータdleakが読み出される。
このように構成した場合、放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射されると、各TFT8を介してリークする電荷qが急激に増加するため、リークデータdleakの値も急増する。そこで、この現象を利用して、例えば、リークデータdleakに対して予め閾値を設定しておき、読み出されるリークデータdleakが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
この場合も、放射線の照射が開始されたことを検出すると、その時点でリークデータdleakの読み出し処理を停止して電荷蓄積状態に移行するように構成することも可能であるが、リークデータdleakの読み出し処理は上記のようにTFT8をオフ状態としたまま行われるため、電荷蓄積状態においてリークデータdleakの読み出し処理を続行するように構成しても、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した有用な電荷が、リークデータdleakの読み出し処理によって放射線検出素子7から失われてしまうことはない。
また、放射線の照射が開始されたことを検出した後の電荷蓄積状態においてもリークデータdleakの読み出し処理を続行するように構成すれば、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了した時点で、読み出されるリークデータdleakの値が減少する。そのため、リークデータdleakの値が例えば閾値以下に低下したことをもって放射線の照射が終了したことを検出することが可能となる。
そのため、電荷蓄積状態においてもリークデータdleakの読み出し処理を続行するように構成することが可能である。
なお、上記のように、リークデータdleakの読み出し処理は、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧が印加され、各TFT8がオフ状態とされた状態で行われる。そして、各TFT8がオフ状態のままであると、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態になってしまう。
そこで、例えば図27に示すように、放射線画像撮影前に、リークデータdleakの読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に行うように構成すれば、上記のように、暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態が生じることを防止することが可能となる。
[手法3]
一方、手法1や手法2のように、放射線画像撮影前に画像データdやリークデータdleakの読み出し処理を行って、読み出された画像データdやリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始を検出するように構成する代わりに、放射線画像撮影装置1内に、放射線が照射されたことを検出する手段を設けて、放射線の照射を検出するように構成することも可能である。
具体的には、例えば、放射線画像撮影装置1の内部に図示しないX線センサを設け、X線センサからの信号に基づいて放射線が照射されたことを検出するように構成することが可能である。
また、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、前述したように、各放射線検出素子7内で放射線の照射により電荷が発生するため、バイアス電圧Vbiasが印加された放射線検出素子7の第2電極77に対する第1電極73の電位が変化する。そのため、第2電極77に接続されたバイアス線9やその結線10中を流れる電流の量が増大する。
このように、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、放射線画像撮影装置1に設けられた上記のバイアス線9や結線10のほか、走査線5や、走査駆動手段15の電源回路15aとゲートドライバ15bとを結ぶ配線15d等の各配線中を流れる電流の値が増大する。
そこで、この現象を利用して、図28に示すように、例えばバイアス線9の結線10がバイアス電源14に接続される位置等に電流検出手段26を設けるように構成し、電流検出手段26から出力される電流の値を監視するように構成する。そして、例えば、電流の値に閾値を設ける等して、電流の値が閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたと判断して、放射線が照射されたことを検出するように構成することも可能である。
この場合、放射線画像撮影前には、前述した連携方式の場合(図14等参照)と同様に、各放射線検出素子7のリセット処理を行うように構成することができる。また、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了すると、上記の各配線中を流れる電流の値が低下するため、例えば、電流の値が閾値以下に小さくなった時点で放射線の照射が終了したことを検出するように構成することも可能である。
上記の手法1〜3に示したようにして、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始が検出された後は、連携方式の場合と同様に、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧が印加されて各TFT8がオフ状態とされ、放射線の照射により発生した有用な電荷を各放射線検出素子7内に蓄積するための電荷蓄積状態に移行するように構成される。
そして、電荷蓄積状態に移行した後は、基本的には連携方式の場合と同様に、放射線の照射開始を検出してから例えば所定時間が経過した後、走査線5の各ラインL1〜Lxへのオン電圧の順次の印加を再開して、本画像としての画像データDの読み出し処理を行う。なお、上記のように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了したことを検出するように構成した場合には、照射終了を検出した時点で画像データDの読み出し処理に移行するように構成することも可能である。
そして、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理を終了すると、必要に応じて各放射線検出素子7のリセット処理を行った後、オフセットデータOの読み出し処理を行う。
そして、非連携方式の場合にも、撮影と次の撮影との間には、各放射線検出素子7のリセット処理が繰り返し行われる。第1の実施形態を適用する場合には、このリセット処理においてバイアス電圧Vbiasが低い電圧になるように可変させる。そして、各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返すことで、ラグの電子を各放射線検出素子7から速やかに除去することが可能となり、上記の第1の実施形態で説明した優れた効果が、非連携方式の場合にも的確に発揮される。
また、第2の実施形態を適用する場合には、本画像としての画像データDの読み出し処理や、手法1や手法2における放射線画像撮影前の画像データdやリークデータdleakの読み出し処理、或いは手法3における各放射線検出素子7のリセット処理を含む全ての処理において、通常の電圧値のバイアス電圧Vbiasよりも低い電圧値のバイアス電圧Vbiasを各放射線検出素子7の第2電極77に印加するように構成される。
そして、このように構成することで、上記の第2の実施形態で説明した優れた効果が、非連携方式の場合にも的確に発揮される。
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ手段、薄膜トランジスタ)
8g ゲート電極
8s ソース電極
14 バイアス電源
15 走査駆動手段
17 読み出し回路
22 制御手段
73 第1電極
77 第2電極
D 画像データ
P 検出部
q 電荷
r 領域
Vbias バイアス電圧
Vbias 画像データの読み出し処理の際のバイアス電圧
Vgs TFTのゲート−ソース間の電位差

Claims (6)

  1. 互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
    前記各放射線検出素子にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、
    前記各走査線にオン電圧とオフ電圧とをそれぞれ切り替えて印加する走査駆動手段と、
    前記走査線を介してオン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
    前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子から前記信号線に放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
    前記バイアス電源から前記各放射線検出素子に印加する前記バイアス電圧を制御するとともに、前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記各放射線検出素子内に残存する電荷を放出させる前記各放射線検出素子のリセット処理および前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記各放射線検出素子のリセット処理の際に前記バイアス電源から前記各放射線検出素子に印加する前記バイアス電圧を、少なくとも前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理の際に前記バイアス電源から前記各放射線検出素子に印加する前記バイアス電圧よりも低い電圧に可変させることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  2. 前記制御手段は、前記各放射線検出素子のリセット処理の際に前記各放射線検出素子に印加する前記バイアス電圧を、少なくとも前記画像データの読み出し処理の際に前記各放射線検出素子に印加する前記バイアス電圧よりも低い電圧に可変させて、前記リセット処理の際に、前記各放射線検出素子の、前記スイッチ手段に接続されている第1電極と、前記バイアス電源から前記バイアス電圧が印加される第2電極との間に形成される電位勾配を、仮に前記読み出し処理の際に印加する前記バイアス電圧を前記第2電極に印加した場合に形成される電位勾配よりも大きくなるように変化させることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
  3. 前記制御手段は、少なくとも前記リセット処理の最中には、前記各放射線検出素子の前記スイッチ手段に接続されている前記第1電極の電位が、前記バイアス電源に接続されている前記第2電極に印加される前記バイアス電圧よりも高い状態が維持されるような前記バイアス電圧を、前記各放射線検出素子の前記第2電極に印加することを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
  4. 前記制御手段は、放射線画像撮影で放射線が照射される前に、前記各放射線検出素子のリセット処理で低い電圧に可変させた前記バイアス電圧を上昇させて、前記画像データの読み出し処理の際に前記各放射線検出素子に印加する前記バイアス電圧に戻すことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
  5. 互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
    前記各放射線検出素子にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、
    前記各走査線にオン電圧とオフ電圧とをそれぞれ切り替えて印加する走査駆動手段と、
    前記走査線を介してオン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
    前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子から前記信号線に放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
    前記バイアス電源から前記各放射線検出素子に印加する前記バイアス電圧を制御するとともに、前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記各放射線検出素子内に残存する電荷を放出させる前記各放射線検出素子のリセット処理および前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、少なくとも前記各放射線検出素子のリセット処理および前記画像データの読み出し処理の最中に、前記各放射線検出素子の前記スイッチ手段に接続されている前記第1電極の電位が、前記バイアス電源に接続されている前記第2電極に印加される前記バイアス電圧よりも高い状態が維持されるような前記バイアス電圧を、前記各放射線検出素子の前記第2電極に印加することを特徴とする放射線画像撮影装置。
  6. 前記スイッチ手段は、前記放射線検出素子の第1電極に接続されたソース電極と、前記信号線に接続されたドレイン電極と、前記走査線に接続されたゲート電極とを備える薄膜トランジスタで構成されており、
    前記制御手段は、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子から前記信号線にリークするリーク電流の、前記スイッチ手段である前記薄膜トランジスタの前記ゲート電極と前記ソース電極間の電位差に対する特性を用い、前記第1電極の電位が低下すると、前記スイッチ手段を介するリーク電流を増加させて前記第1電極の電位を再度上昇させて、前記第1電極の電位が前記第2電極に印加される前記バイアス電圧よりも高い状態を維持することが可能な前記バイアス電圧を、前記各放射線検出素子の前記第2電極に印加することを特徴とする請求項5に記載の放射線画像撮影装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013098825A (ja) * 2011-11-02 2013-05-20 Sony Corp 撮像装置および撮像表示システム
JP2016003966A (ja) * 2014-06-17 2016-01-12 キヤノン株式会社 放射線撮像装置および放射線撮像システム

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